(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037716
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】餅菓子用品質改良剤、餅菓子、および餅菓子の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23G 3/34 20060101AFI20220302BHJP
A23L 7/104 20160101ALI20220302BHJP
A23G 3/36 20060101ALI20220302BHJP
A23G 3/42 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
A23G3/34 106
A23L7/104
A23G3/36
A23G3/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141985
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】506009453
【氏名又は名称】オルガノフードテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 勝
【テーマコード(参考)】
4B014
4B023
【Fターム(参考)】
4B014GG03
4B014GG06
4B014GG07
4B014GG15
4B014GK03
4B014GK08
4B014GK12
4B014GL10
4B014GL11
4B014GP01
4B014GP12
4B014GP14
4B014GP24
4B014GP27
4B014GQ09
4B023LC05
4B023LE07
4B023LG04
4B023LK07
4B023LK08
4B023LK17
4B023LL02
4B023LP07
4B023LP15
4B023LP20
(57)【要約】
【課題】白玉団子等の餅菓子の食感を維持し、加熱成型時の保形性の低下を抑制することができる餅菓子用品質改良剤、その餅菓子用品質改良剤を用いた餅菓子、および餅菓子の製造方法を提供する。
【解決手段】G4アミラーゼとα化エンドウ澱粉とを含む、餅菓子用品質改良剤、その餅菓子用品質改良剤を用いた餅菓子、および餅菓子の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
G4アミラーゼとα化エンドウ澱粉とを含むことを特徴とする餅菓子用品質改良剤。
【請求項2】
請求項1に記載の餅菓子用品質改良剤であって、
前記α化エンドウ澱粉の配合量は、前記G4アミラーゼの重量1に対して、3000~5000の範囲であることを特徴とする餅菓子用品質改良剤。
【請求項3】
G4アミラーゼと、α化エンドウ澱粉と、米粉と、を含むことを特徴とする餅菓子。
【請求項4】
請求項3に記載の餅菓子であって、
前記α化エンドウ澱粉の配合量は、前記G4アミラーゼの重量1に対して、3000~5000の範囲であることを特徴とする餅菓子。
【請求項5】
G4アミラーゼとα化エンドウ澱粉とを含む餅菓子用品質改良剤と、米粉と、を用いて餅菓子を製造することを特徴とする餅菓子の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の餅菓子の製造方法であって、
前記α化エンドウ澱粉の配合量は、前記G4アミラーゼの重量1に対して、3000~5000の範囲であることを特徴とする餅菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、餅菓子用品質改良剤、その餅菓子用品質改良剤を用いた餅菓子、および餅菓子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
うるち米粉やもち米粉等の米粉を主体とした白玉団子や団子等の餅菓子類では、餅類特有の弾力を示すが、澱粉の老化に従い、弾力が失われ、固く、ぼそぼそとした食感になっていく。
【0003】
これらの課題を解決するために、トレハロース等の糖類を配合したり、乳化剤や加工澱粉等を配合したりすることがあるが、特に効果的なのは、澱粉分解酵素(特にβ-アミラーゼ)を配合することである(特許文献1~3参照)。
【0004】
一方で酵素の使用においては、米粉の蒸煮前に添加すると、加熱により失活し、効力を十分に発揮することが難しいため、米粉を蒸煮したのち、水に浸漬などして失活温度以下になってから酵素を添加し、混練、均一化してから成型する必要があり、操作が煩雑になる。本発明者らは、エキソマルトテトラオヒドロラーゼ(以下、「G4アミラーゼ」と呼ぶ。)を使用することで、蒸煮前に添加しても十分に老化防止効果を発揮することを見出したが、反応が進みすぎ、加熱時に保形性が低下してしまう課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1-215243号公報
【特許文献2】特許第2808201号公報
【特許文献3】特開第3547947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、白玉団子等の餅菓子の食感を維持し、加熱成型時の保形性の低下を抑制することができる餅菓子用品質改良剤、その餅菓子用品質改良剤を用いた餅菓子、および餅菓子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、G4アミラーゼとα化エンドウ澱粉とを含む餅菓子用品質改良剤である。
【0008】
前記餅菓子用品質改良剤において、前記α化エンドウ澱粉の配合量は、前記G4アミラーゼの重量1に対して、3000~5000の範囲であることが好ましい。
【0009】
本発明は、G4アミラーゼと、α化エンドウ澱粉と、米粉と、を含む餅菓子である。
【0010】
前記餅菓子において、前記α化エンドウ澱粉の配合量は、前記G4アミラーゼの重量1に対して、3000~5000の範囲であることが好ましい。
【0011】
本発明は、G4アミラーゼとα化エンドウ澱粉とを含む餅菓子用品質改良剤と、米粉と、を用いて餅菓子を製造する、餅菓子の製造方法である。
【0012】
前記餅菓子の製造方法において、前記α化エンドウ澱粉の配合量は、前記G4アミラーゼの重量1に対して、3000~5000の範囲であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、白玉団子等の餅菓子の食感を維持し、加熱成型時の保形性の低下を抑制することができる餅菓子用品質改良剤、その餅菓子用品質改良剤を用いた餅菓子、および餅菓子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例における、品質改良剤無添加、β-アミラーゼ添加、G4アミラーゼ添加の餅菓子の冷蔵保管後のかたさ応力(Pa)を示すグラフである。
【
図2】実施例における、G4アミラーゼ製剤無添加(左)、G4アミラーゼ製剤0.1重量%添加(中央)、G4アミラーゼ製剤0.2重量添加(右)の加熱後の餅菓子の形状を示す写真である。
【
図3】実施例における、G4アミラーゼに対する各種素材を併用したときの餅菓子の冷蔵保管後のかたさ応力(Pa)を示すグラフである。
【
図4】実施例における、G4アミラーゼに対する各種α化澱粉を併用したときの餅菓子の冷蔵保管後のかたさ応力(Pa)を示すグラフである。
【
図5】実施例における、G4アミラーゼに対するα化エンドウ澱粉の添加量を変えたときの餅菓子の冷蔵保管後のかたさ応力(Pa)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0016】
<餅菓子用品質改良剤>
本発明の実施の形態に係る餅菓子用品質改良剤は、G4アミラーゼとα化エンドウ澱粉とを含む。
【0017】
澱粉分解酵素の一種である「G4アミラーゼ」を白玉団子等の餅菓子に配合することにより、餅菓子に軟らかい食感を付与し、かつ、澱粉の老化を抑制することで、その食感を維持することができる。また、G4アミラーゼは、アミラーゼ等の一般的な澱粉分解酵素を配合するよりも澱粉分解のバランスが良く、味への影響も少ない。これは、澱粉分解による分解物がほぼマルトテトラオースであるためと考えられる。しかし、澱粉分解酵素が働きすぎると、澱粉が分解されすぎて、加熱成型時に餅菓子の成型性が悪くなってしまう。本発明者らは、G4アミラーゼとα化エンドウ澱粉とを併用することにより、白玉団子等の餅菓子の食感を維持し、加熱成型時の保形性の低下を抑制することができることを見出した。
【0018】
G4アミラーゼは、エキソマルトテトラオヒドロラーゼとも呼ばれ、デンプンやグリコーゲンを分解する酵素の一種であり、4個のグルコース単位ずつ切断する酵素である。
【0019】
エンドウ澱粉は、エンドウの子実中に約50%程度含まれているデンプンを意味する。エンドウ(Pisum sativum L.)は、マメ科の1~2年草で、広く食用に供されている植物であり、その種類は特に問わない。デンプンは、α-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した天然高分子であって、直鎖状の分子構造を有するアミロースと、分岐構造を有するアミロペクチンとで構成されている。エンドウ澱粉の総量に対するアミロースの含有量(質量比)は、20%以上30%以下程度である。
【0020】
エンドウ澱粉は、エンドウを原料として常法に従って製造したものであれば、その製造方法は特に限定されない。一般的には、原料となる完熟したエンドウの子実を洗浄、乾燥し、外殻を取り除いた後、水を使用して繰り返し洗浄することにより、タンパク質、塩類、水溶性多糖類、食物繊維等を除去することで、エンドウ澱粉が得られる。
【0021】
α化エンドウ澱粉は、エンドウ澱粉を加熱してα化(糊化)することによって得られる。α化エンドウ澱粉は、エンドウ澱粉の結晶構造の隙間に水分子が入り込むことで緩んだ構造となったものである。α化エンドウ澱粉としては、乾燥して粉末状としたものが好ましい。α化エンドウ澱粉の入手方法は特に制限されず、市販品として入手可能なものを使用すればよい。
【0022】
本実施形態に係る餅菓子用品質改良剤において、α化エンドウ澱粉の配合量は、例えば、G4アミラーゼの重量1に対して、500~15000の範囲であり、1000~10000の範囲であることが好ましく、3000~5000の範囲であることがより好ましい。α化エンドウ澱粉の配合量がG4アミラーゼの重量1に対して3000未満であると、十分に保形性を付与できない場合があり、5000を超えると、餅菓子の物性からかけ離れる場合がある。
【0023】
G4アミラーゼは、G4アミラーゼを含む酵素の複合製剤として添加してもよい。G4アミラーゼを含む酵素の複合製剤としては、例えば、オルガノフードテック社製G4-4150(G4アミラーゼを0.8質量%含有、その他に賦形剤を含む)を用いることができる。
【0024】
本実施形態に係る餅菓子用品質改良剤において、G4アミラーゼ、α化エンドウ澱粉の他に、糖類、澱粉、乳化剤、増粘多糖類等の他の成分を含んでもよい。
【0025】
他の成分の含有量は、例えば、G4アミラーゼの重量1に対して、0~7000の範囲であり、0~4000の範囲であることが好ましい。
【0026】
餅菓子は、うるち米粉、もち米粉等の米粉に水、糖類等を加え、混合、成形し、蒸すこと等によって得られた食品であり、例えば、白玉団子、団子、ぎゅうひ、もち等が挙げられる。本実施形態に係る餅菓子用品質改良剤は、どのような餅菓子に対しても適用することができるが、特に白玉団子、団子に対して好適に適用することができる。
【0027】
本実施形態に係る餅菓子用品質改良剤は、5℃での冷蔵48時間保管後の餅菓子の固さを、本改良剤無添加区を100とした場合に、好ましくは、30~10の範囲に、より好ましくは、20~10の範囲にすることができる。
【0028】
本実施形態に係る餅菓子用品質改良剤の形態は特に制限されず、例えば、顆粒状、粉末状、固形状、液体状、ペースト状等のいずれの形態であってもよい。
【0029】
<餅菓子>
本発明の実施の形態に係る餅菓子は、G4アミラーゼと、α化エンドウ澱粉と、米粉と、を含む。
【0030】
本実施形態に係る餅菓子は、うるち米粉、もち米粉等の米粉に水、糖類、上記餅菓子用品質改良剤等を加え、混合、成形し、蒸すこと等によって得られた食品である。
【0031】
米粉としては、米から得られる粉であればよく、特に制限はないが、例えば、上新粉等のうるち米粉、白玉粉等のもち米粉等が挙げられる。
【0032】
水としては、特に制限はないが、水道水、純水、軟水、硬水等が挙げられる。
【0033】
本実施形態に係る餅菓子は、上記餅菓子用品質改良剤、米粉の他に、グラニュー糖、上白糖、砂糖等の糖類;pH調整剤、乳化剤、増粘多糖類等のその他成分を含んでもよい。
【0034】
本実施形態に係る餅菓子において、G4アミラーゼの配合量は、例えば、米粉の重量に対して、0.001重量%~0.01重量の範囲であり、0.002重量~0.005重量の範囲であることが好ましい。G4アミラーゼの配合量が米粉の重量に対して0.001重量%未満であると、老化防止の効果が不十分となる場合があり、0.01重量%を超えると、餅菓子が柔らかくなりすぎる場合がある。
【0035】
本実施形態に係る餅菓子において、α化エンドウ澱粉の配合量は、例えば、米粉の重量に対して、6重量%~10重量の範囲である。α化エンドウ澱粉の配合量が米粉の重量に対して6重量%未満であると、蒸煮時の保形性が低下する場合があり、10重量%を超えると、餅らしい食感から逸脱する可能性がある。
【0036】
本実施形態に係る餅菓子において、その他の成分の配合量は、各種餅菓子の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0037】
本実施形態に係る餅菓子物は、上記餅菓子用品質改良剤を用いて作製したものであり、餅菓子の作製方法は、各種餅菓子の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0038】
本実施形態に係る餅菓子は、5℃での冷蔵48時間保管後の固さが、本改良剤無添加区を100とした場合に、好ましくは、30~10の範囲であり、より好ましくは、20~10の範囲である。
【0039】
<餅菓子の製造方法>
本発明の実施の形態に係る餅菓子の製造方法は、G4アミラーゼとα化エンドウ澱粉とを含む餅菓子用品質改良剤と、米粉と、を用いて餅菓子を製造する方法である。
【0040】
本実施形態に係る餅菓子の製造方法は、例えば、うるち米粉、もち米粉等の米粉に水、糖類、上記餅菓子用品質改良剤等を加え、混合、成形し、蒸すこと等によって製造する方法であり、餅菓子の製造方法は、各種餅菓子の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0041】
本実施形態に係る餅菓子の製造方法により得られる餅菓子は、5℃での冷蔵48時間保管後の固さが、本改良剤無添加区を100とした場合に、好ましくは、30~10の範囲であり、より好ましくは、20~10の範囲である。
【実施例0042】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
[G4アミラーゼの効果確認]
表1に示す組成、配合量で、水以外の材料を混合し、次に水を加え、混練して生地を作製した。物性測定用のステンレス容器に生地20gを敷き詰め、蒸し器を用い、98℃で6分間蒸して餅菓子を得た。5℃で60分(D+0)、2日(48時間)(D+2)の冷蔵保管後の餅菓子について、クリープメータ(山電製、クリープメータ RE2-33005C)を用い、圧縮率:70%、速度:1mm/sec、プランジャー:φ5mmの条件で測定を行い、かたさ応力(Pa)を求めた。G4アミラーゼとしては、G4アミラーゼを含む酵素の複合製剤であるG4アミラーゼ製剤(オルガノフードテック社製、G4-4150)を用いた。このG4アミラーゼ製剤は、主成分であるG4アミラーゼの他に賦形剤を含む。結果を
図1に示す。
【0044】
【0045】
図1に示すように、G4アミラーゼ製剤を白玉団子に配合することによって、冷蔵保管後の老化が抑制された。
【0046】
[G4アミラーゼ配合の保形性確認]
表1に示す組成、配合量で、G4アミラーゼ製剤の配合量を無添加、0.1重量%、0.2重量と変え、上記方法で、生地を製造した。未加熱の生地約10gを型抜きで形を整え、バットに並べ、蒸し器を用い、98℃で6分間蒸して、加熱前後の餅菓子の形状の差を目視で確認した。結果を
図2に示す。
図2において、左の写真がG4アミラーゼ製剤無添加、中央の写真がG4アミラーゼ製剤0.1重量%添加、右の写真がG4アミラーゼ製剤0.2重量添加である。
【0047】
図2に示すように、G4アミラーゼの添加量が増えると餅菓子の保形性が低下し、煮崩れを起こしてしまった。
【0048】
<実施例1、比較例1~5>
[G4アミラーゼに対する各種素材の併用効果確認]
表2に示す組成、配合量で、水以外の材料を混合し、次に水を加え、混練して生地を作製した。物性測定用のステンレス容器に生地20gを敷き詰め、蒸し器を用い、98℃で6分間蒸して餅菓子を得た。5℃で48時間の冷蔵保管後の餅菓子について、クリープメータ(同上)を用い、圧縮率:70%、速度:1mm/sec、プランジャー:φ5mmの条件で測定を行い、かたさ応力(Pa)を求めた。各種素材としては、G4アミラーゼのみ(比較例1)、エンドウ澱粉(生)(比較例2)、エンドウ澱粉(生)(比較例3)、α化エンドウ澱粉(実施例1)、加工澱粉(リン酸架橋、馬鈴薯由来)(比較例4)、不溶性食物繊維(比較例5)を用いた。結果を
図3に示す。余った未加熱の生地約10gを型抜きで形を整え、バットに並べ、蒸し器を用い、98℃で6分間蒸して、加熱前後の餅菓子の形状の差を目視で確認した。結果を表3に示す。表3において、○は型崩れしなかったもの、△は型崩れしたもの、×は型崩れし、さらに表面が煮溶けてしまったものをそれぞれ示す(下記表5、表7においても同様)。
【0049】
【0050】
【0051】
図3に示すように、G4アミラーゼにα化エンドウ澱粉を併用することによって、冷蔵保管後の老化が最も抑制された。また、表3に示すように、G4アミラーゼにα化エンドウ澱粉を併用することによって、餅菓子の保形性が良好であった。
【0052】
<実施例1、比較例6~10>
[G4アミラーゼに対する各種α化澱粉の併用効果確認]
表4に示す組成、配合量で、水以外の材料を混合し、次に水を加え、混練して生地を作製した。物性測定用のステンレス容器に生地20gを敷き詰め、蒸し器を用い、98℃で6分間蒸して餅菓子を得た。5℃で48時間の冷蔵保管後の餅菓子について、クリープメータ(同上)を用い、圧縮率:70%、速度:1mm/sec、プランジャー:φ5mmの条件で測定を行い、かたさ応力(Pa)を求めた。各種α化澱粉としては、α化エンドウ澱粉(実施例1)、もち米のα化澱粉(比較例6)、うるち米のα化澱粉(比較例7)、タピオカのα化澱粉(リン酸架橋)(比較例8)、タピオカのα化澱粉(オクテニルコハク酸デンプンナトリウム)(比較例9)、タピオカのα化澱粉(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉)(比較例10)を用いた。結果を
図4に示す。余った未加熱の生地約10gを型抜きで形を整え、バットに並べ、蒸し器を用い、98℃で6分間蒸して、加熱前後の餅菓子の形状の差を目視で確認した。結果を表5に示す。
【0053】
【0054】
【0055】
図4に示すように、G4アミラーゼにα化エンドウ澱粉を併用することによって、冷蔵保管後の老化が最も抑制された。また、表5に示すように、G4アミラーゼにα化エンドウ澱粉を併用することによって、餅菓子の保形性が最も良好であった。
【0056】
<実施例1-1~1-5、比較例1,11>
[α化エンドウ澱粉の添加量確認]
表6に示す組成、配合量で、G4アミラーゼなし(比較例11(ブランク))、G4アミラーゼあり(比較例1(対照))、G4アミラーゼ+α化エンドウ澱粉2重量%置き換え(実施例1-1:G4アミラーゼの重量1に対して1250)、4重量%置き換え(実施例1-2:G4アミラーゼの重量1に対して2500)、6重量%置き換え(実施例1-3:G4アミラーゼの重量1に対して3750)、8重量%置き換え(実施例1-4:G4アミラーゼの重量1に対して5000)、10重量%置き換え(実施例1-5:G4アミラーゼの重量1に対して6250)について、水以外の材料を混合し、次に水を加え、混練して生地を作製した。物性測定用のステンレス容器に生地20gを敷き詰め、蒸し器を用い、98℃で6分間蒸して餅菓子を得た。5℃で48時間の冷蔵保管後の餅菓子について、クリープメータ(同上)を用い、圧縮率:70%、速度:1mm/sec、プランジャー:φ5mmの条件で測定を行い、かたさ応力(Pa)を求めた。結果を
図5に示す。余った未加熱の生地約10gを型抜きで形を整え、バットに並べ、蒸し器を用い、98℃で6分間蒸して、加熱後の餅菓子の形状の差を目視で確認した。結果を表7に示す。
【0057】
【0058】
【0059】
図5に示すように、G4アミラーゼにα化エンドウ澱粉を併用することによって、冷蔵保管後の老化が抑制された。表7に示すように、2重量%置き換え、4重量%置き換えでは、表面の煮溶けがほとんどなくなり、保形性はやや改善された。6重量%置き換え以上で、潰れや表面の荒れがより少なくなり、保形性の改善効果が良好であった。
【0060】
このように、G4アミラーゼとα化エンドウ澱粉とを併用することにより、餅菓子の老化が抑制され、柔らかい食感を維持することができ、加熱成型時の保形性の低下を抑制することができた。α化エンドウ澱粉以外の他の澱粉等では保形性を改良できないか、保形性を改良できても固くなってしまい、老化が抑制されなかった。
【0061】
以上の通り、G4アミラーゼとα化エンドウ澱粉とを含む餅菓子用品質改良剤を用いることにより、白玉団子等の餅菓子の食感を維持し、加熱成型時の保形性の低下を抑制することができた。