(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037744
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】気中放射性物質捕集装置
(51)【国際特許分類】
G21F 9/02 20060101AFI20220302BHJP
G21C 13/00 20060101ALI20220302BHJP
G21C 9/00 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
G21F9/02 511T
G21F9/02 511S
G21C13/00 300
G21C9/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142029
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 達也
(72)【発明者】
【氏名】富永 和生
(72)【発明者】
【氏名】田中 基
【テーマコード(参考)】
2G002
【Fターム(参考)】
2G002BA04
2G002DA10
2G002EA10
(57)【要約】
【課題】原子炉建屋内かつ原子炉格納容器外の気中に放射性物質が放出される事故が発生したときに、原子炉建屋内の電源を喪失した場合であっても、気中に放出された放射性物質を除去できる気中放射性物質捕集装置を提供する。
【解決手段】原子炉建屋22内かつ原子炉格納容器21外の気中に含まれる放射性物質を除去するための気中放射性物質捕集装置1において、収納容器2と、収納容器2に折り畳んだ状態で収納され、電源を用いず環境条件に応じて自律的に展開可能でかつ気中の放射性物質を捕集可能な放射性物質捕集部4とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉建屋内かつ原子炉格納容器外の気中に含まれる放射性物質を除去するための気中放射性物質捕集装置において、
収納容器と、
前記収納容器に折り畳んだ状態で収納され、電源を用いず環境条件に応じて自律的に展開可能でかつ気中の放射性物質を捕集可能な放射性物質捕集部とを備える
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記放射性物質捕集部は、ジャバラ状に構成されている
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項3】
請求項1に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記収納容器の開口部を開閉する収納扉と、
前記放射性物質捕集部の展開しようとする力に対抗して前記収納扉を閉じた状態でロックし、前記環境条件に応じて前記収納扉のロックを解除するロック装置とを備える
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項4】
請求項3に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記ロック装置は、前記収納扉を閉じた状態でロックするロック位置と前記収納扉のロックを解除する解除位置とに切換操作可能なストッパーと、前記ストッパーを前記ロック位置に向けて付勢するバイアスバネと、前記ストッパーを前記解除位置に向けて付勢する駆動バネとを有し、
前記駆動バネは、常温で縮んだ形状を保持し、周囲温度の上昇に応じて伸びる形状記憶合金で構成されている
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項5】
請求項4に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記ロック装置は、手動操作に応じて前記ストッパーを前記解除位置に向けて付勢することにより前記ストッパーによる前記収納扉のロックを解除する手動解除ボタンを有する
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項6】
請求項3に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記ロック装置は、前記収納扉を閉じた状態でロックするロック位置と前記収納扉のロックを解除する解除位置とに切換操作可能なストッパーと、前記ストッパーを前記解除位置に向けて付勢する駆動バネと、前記駆動バネの力に対抗して前記ストッパーを前記ロック位置に拘束するストッパー拘束具とを有し、
前記ストッパー拘束具は、周囲の温度上昇によって融解する低融点融解金属、または、周囲の積算線量の増加によって劣化する放射線劣化素材で構成されている
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項7】
請求項1に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記放射性物質捕集部は、多孔質物質を塗布または練り込んだ布で構成されている
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項8】
請求項7に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記布は、難燃性を有する
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項9】
請求項7に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記多孔質物質は、銀ゼオライトである
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項10】
請求項1に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記放射性物質捕集部は、メッシュ状容器と、前記メッシュ状容器に充填された多孔質物質とを有する
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項11】
請求項10に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記多孔質物質は、銀ゼオライトである
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項12】
請求項1に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記放射性物質捕集部は、直接触れずに折り畳むことができる機構を有する
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【請求項13】
請求項1に記載の気中放射性物質捕集装置において、
前記放射性物質捕集部は、バネの弾性力で伸長する展開機構を有する
ことを特徴とする気中放射性物質捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉建屋内かつ原子炉格納容器外の気中に放出された放射性物質を除去する気中放射性物質捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所には、万が一の事故に備え、事故に伴い放出された放射性物質を環境へ放出しないよう低減対策が取られている。原子炉格納容器内に放出された放射性物質に対しては、サプレッションプール水のスクラビング効果や格納容器スプレイなどの格納容器内の気中に存在する放射性物質を除去する方法や、特許文献1のフィルタベント装置は、設置されたフィルタベント装置に放射性物質を含む気体を移送し、気中から放射性物質を除去する手段が取られている。
【0003】
上記サプレッションプール水のスクラビング効果、格納容器スプレイ及びフィルタベント装置は原子炉格納容器内の事故に対する対策であり、原子炉建屋内かつ原子炉格納容器外で発生する事故、例えば、インターフェイスLOCAのような事象では、特許文献2のような非常用ガス処理系によって、原子炉建屋内に放出された放射性物質を気中から除去し原子炉建屋外に放出するとともに、原子炉建屋内の空気を外へ流出することで、原子炉建屋内を負圧に保ち、環境への放射性物質の放出低減を行なっている。
【0004】
上記、非常用ガス処理系は、上流から順に空気乾燥機、排風機、プレフィルタ、前置高性能粒子フィルタ、チャコールフィルタ、後置高機能粒子フィルタで構成され、チャコールフィルタの上流及び下流にはスペースヒーターが設置されフィルタの性能を担保している。この、非常用ガス処理系に、放射性物質を含む原子炉建屋内の空気が通ることにより、空気中に含まれる放射性物質が除去されて排気筒から環境へ排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-223535号公報
【特許文献2】特開2016-206132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原子炉格納容器内で放射性物質が放出した場合は、サプレッションプール水のスクラビング効果、格納容器スプレイ及びフィルタベント装置といった低減対策が取られている。しかしながら、原子炉建屋内かつ原子炉格納容器外で発生した放射性物質の放出には使用することができない。
【0007】
また、原子炉建屋内かつ原子炉格納容器外で発生した放射性物質の放出に対しては、特許文献2のような非常用ガス処理系によって、環境への放射性物質の放出低減を期待している。
【0008】
しかしながら、非常用ガス処理系は、ポンプやヒーターといった動力を必要とした動的機器があり、その動作には電源が必要である。そのため、電源が喪失してしまう事故に対しては、電源がない期間、非常用ガス処理系は動作できず、放射性物質を含む気体は低減対策を取られずに環境中へ放出されてしまう。
【0009】
電源喪失時においても稼働することのできる環境への放射性物質の放出低減対策を設置することが、さらなる安全性の向上を図るためには望ましい。
【0010】
これを実現しようとした時、配置上の制約から、大型機器の導入する余地がない原子炉もあるため、小型かつ電源の必要としない放射性物質除去装置が必要である。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、原子炉建屋内かつ原子炉格納容器外の気中に放射性物質が放出される事故が発生したときに、原子炉建屋内の電源を喪失した場合であっても、気中に放出された放射性物質を除去できる気中放射性物質捕集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、原子炉建屋内かつ原子炉格納容器外の気中に放出された放射性物質を除去するための気中放射性物質捕集装置において、収納容器と、前記収納容器に折り畳んだ状態で収納され、電源を用いず環境条件に応じて自律的に展開可能でかつ気中の放射性物質を捕集可能な放射性物質捕集部とを備えるものとする。
【0013】
以上のように構成した本発明によれば、原子炉格納容器外で放射性物質放出事故が発生した際に、電源が喪失した場合であっても、収納容器に折り畳んだ状態で収納されていた放射性物質捕集部が自動的に展開する。これにより、原子炉建屋内かつ原子炉格納容器外の気中に放出された放射性物質を捕集し、環境への放出量を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る気中放射性物質捕集装置によれば、原子炉建屋内かつ原子炉格納容器外の気中に放射性物質が放出される事故が発生したときに、原子炉建屋内の電源を喪失した場合であっても、気中に放出された放射性物質を除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る気中放射性物質捕集装置の構造を示す図である。
【
図3】ロック装置によるロックが解除された状態を示す図である。
【
図5】改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)の原子炉建屋における気中放射性物質捕集装置の設置位置を示す図である。
【
図6】機器ハッチ付近に設置された気中放射性物質捕集装置が放射性物質捕集部を展開した状態を示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施例に係る気中放射性物質捕集装置の構造を示す図である。
【
図8】本発明の第3の実施例に係る気中放射性物質捕集装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る気中放射性物質捕集装置について、図面を用いて説明する。なお、各図において、同一の部材には同じ符号を付し、重複した説明は適宜省略するものとする。
【実施例0017】
図1に、本発明の第1の実施例に係る気中放射性物質捕集装置の構造を示す。
図1において、気中放射性物質捕集装置1は、収納容器2と、収納容器2の開口部を開閉する収納扉3と、収納容器2に折り畳んで状態で収納された放射性物質捕集部4と、収納扉3を閉じた状態でロックするロック装置5とを備える。
【0018】
図1(a)は、放射性物質捕集部4が収納容器2に収納された状態を示し、
図1(b)は、収納扉3が開いて放射性物質捕集部4が展開していく様子を示している。
図1(b)示す通り、放射性物質捕集部4は収納容器2にジャバラ状に収納されている。また、放射性物質捕集部4の最下部には重り6が取り付けられている。重り6は、放射性物質捕集部4の収納時は収納扉3によって支えられている。
【0019】
収納扉3は、ロック装置5によって閉じた状態に保持されている。ロック装置5は、環境条件(例えば周囲温度えの上昇)に応じて収納扉3のロックを解除するように構成されている。収納扉3のロックが解除されると、収納扉3が開いて重り6が落下することにより、収納容器2に折り畳んだ状態で収納されていた放射性物質捕集部4が鉛直下方に展開する。展開した放射性物質捕集部4は、折り畳み機構7を手動操作することにより、直接触れずに折り畳むことができる。
【0020】
図2に、ロック装置5の構造を示す。ロック装置5は、ケーシング8と、ストッパー9と、バイアスバネ10と、駆動バネ11と、手動解除ボタン12とを有する。ストッパー9は、ケーシング8内に固定ピン13を介して回動可能に支持されている。バイアスバネ10は、ストッパー9を図示時計回りに付勢する。駆動バネ11は形状記憶合金で形成され、常温で縮んだ形状を保持し、温度上昇に応じて伸びることにより、ストッパー9を図示反時計回りに付勢する。事故が発生し周囲の温度が上昇すると、駆動バネ11が伸びることでストッパー9が図示反時計回りに回動し、収納扉3のロックが解除される。手動解除ボタン12が押されると、駆動バネ11自体が図示左方向に移動することでストッパー9が図示反対時計回りに回動し、収納扉3のロックが解除される。
図3(a)は、温度上昇により形状記憶合金の駆動バネ11が伸びることによりロックが解除された状態を示し、
図3(b)は手動解除ボタン12が押されたことによりロックが解除された状態を示す。
【0021】
図4に、ロック装置5の構造の変形例を示す。
図3に示したロック装置5との相違点は、バイアスバネ10および手動解除ボタン12が省略され、駆動バネ11が通常の素材で形成され、駆動バネ11の伸びる力に対抗してストッパー9の図示反時計回りの回動を不能とするストッパー拘束具14を追加で設けられている点である。ストッパー拘束具14は、低融点融解金属または放射線劣化素材で糸状に形成された部材である。
図4(b)に示すように、ストッパー拘束具14が周囲の温度上昇によって融解し、または、周囲の積算線量の増加によって劣化して破断すると、ストッパー9が駆動バネ11の伸びによって図示半時計回りに回動し、収納扉3のロックが解除される。
【0022】
図5に、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)の原子炉建屋における気中放射性物質捕集装置1の設置位置を示す。図中の矢印は、放射性物質を含む気体の流れを示す。炉水を内包する配管15がある部屋は溢水対策がされており、その部屋の扉は水密扉であることが多く、配管破断で放出された放射性物質を含む気体は空調ダクト16を通って通路17に放出される。通路17に放出された放射性物質を含む気体は、通路17を介してフロア全体に拡散されていく。また、各フロア間をつなぐ漏えい孔は、常時解放されている機器ハッチ18と大物搬入口19であり、機器ハッチ18と大物搬入口19を介して原子炉建屋22内に拡散し、最終的にブローアウトパネル20を通って環境へ放出される。各フロア間をつなぐ漏えい孔となる機器ハッチ18および大物搬入口19に気中放射性物質捕集装置1を設置することにより、展開した放射性物質捕集部4に放射性物質を含む気体を効率よく接触するため、気中に放出された放射性物質を効率よく除去することが可能となる。これにより、放射性物質の各フロアへの拡散防止を図ることができ、事故の収束を行う作業員の被ばく低減が可能となる。
【0023】
図6に、機器ハッチ18付近に設置された気中放射性物質捕集装置1が放射性物質捕集部4を展開した状態を示す。
図6に示すように、機器ハッチ18付近で放射性物質捕集部4を展開することにより、機器ハッチ18から流入してくる気体に含まれる放射性物質を捕集すると共に、放射性物質を含む気体を滞留させ、部屋全体に拡散することを防止することができる。
【0024】
本実施例では、原子炉建屋22内かつ原子炉格納容器21外の気中に放出された放射性物質を除去するための気中放射性物質捕集装置1において、収納容器2と、収納容器2に折り畳んだ状態で収納され、電源を用いず環境条件に応じて自律的に展開可能でかつ気中の放射性物質を捕集可能な放射性物質捕集部4とを備える。
【0025】
以上のように構成した本実施例に係る気中放射性物質捕集装置1によれば、原子炉建屋22内かつ原子炉格納容器21外の気中に放射性物質が放出される事故が発生したときに、原子炉建屋22内の電源を喪失した場合であっても、放射性物質捕集部4を自律的に展開させて表面沈着を見込める表面積を増加させることで、気中の放射性物質を捕集することができる。また、原子炉建屋22内の部屋や通路17で放射性物質捕集部4を展開することで、放射性物質を含む気体を滞留させることができる。これにより、放射性崩壊による時間減衰及び壁面沈着量が増加するため、放射性物質の環境への放出量を低減することが可能となる。
【0026】
また、放射性物質捕集部4は、ジャバラ状に構成されている。これにより、放射性物質捕集部4をコンパクトに折り畳むことが可能となる。
【0027】
また、本実施例に係る気中放射性物質捕集装置1は、収納容器2の開口部を開閉する収納扉3と、放射性物質捕集部4の展開しようとする力に対抗して収納扉3を閉じた状態でロックし、環境条件に応じて収納扉3のロックを解除するロック装置5とを備える。これにより、環境条件に応じて収納扉3のロックを解除し、放射性物質捕集部4を展開させることが可能となる。
【0028】
また、ロック装置5は、収納扉3を閉じた状態でロックするロック位置と収納扉3のロックを解除する解除位置とに切換操作可能なストッパー9と、ストッパー9をロック位置に向けて付勢するバイアスバネ10と、ストッパー9を解除位置に向けて付勢する駆動バネ11とを有し、駆動バネ11は、常温で縮んだ形状を保持し、周囲温度の上昇に応じて伸びる形状記憶合金で構成されている。これにより、周囲温度の上昇に応じてストッパー9による収納扉3のロックを解除し、放射性物質捕集部4を展開させることが可能となる。
【0029】
また、本実施例におけるロック装置5は、手動操作に応じてストッパー9を解除位置に向けて付勢することによりストッパー9による収納扉3のロックを解除する手動解除ボタン12を有する。これにより、環境条件に関わらず、必要に応じてストッパー9による収納扉3のロックを解除し、放射性物質捕集部4を展開させることが可能となる。
【0030】
また、ロック装置5は、収納扉3を閉じた状態でロックするロック位置と収納扉3のロックを解除する解除位置とに切換操作可能なストッパー9と、ストッパー9を解除位置に向けて付勢する駆動バネ11と、駆動バネ11の力に対抗してストッパー9をロック位置で拘束するストッパー拘束具14とを有し、ストッパー拘束具14は、周囲の温度上昇によって融解する低融点融解金属、または、周囲の積算線量の増加によって劣化する放射線劣化素材で構成されている。これにより、周囲の温度上昇または周囲の積算線量の増加に応じてストッパー9による収納扉3のロックを解除し、放射性物質捕集部4を展開させることが可能となる。
【0031】
また、放射性物質捕集部4は、多孔質物質を塗布または練り込んだ布で構成されている。これにより、放射性物質を含む気体の拡散を抑制することが可能となる。
【0032】
また、放射性物質捕集部4を構成する布は、難燃性を有する。これにより、高温環境下でも放射性物質捕集部4の性能を維持することが可能となる。
【0033】
また、放射性物質捕集部4を構成する布に塗布または練り込む多孔質物質は、銀ゼオライトが望ましい。これにより、気化した放射性物質も化学反応により捕らえることが可能となる。
【0034】
また、前記放射性物質捕集部4は、直接触れずに折り畳むことができる機構を有する。これにより、放射性物質を捕集した放射性物質捕集部4に触れることなく、放射性物質捕集部4を収納容器2に再び収納することが可能となる。
本実施例における放射性物質捕集部4は、バネの弾性力で伸長する展開機構23を有する。展開機構23は、通常時は収納容器2の内部から収納扉3を押圧している。事故時にロック装置5が外れると、展開機構23が伸長することで収納扉3が開くとともに、放射性物質捕集部4が水平方向に展開する。
以上のように構成した本実施例に係る気中放射性物質捕集装置1Aによっても、第1の実施例と同様の効果を達成することができる。また、気中放射性物質捕集装置1Aを原子炉建屋22内の壁面に設置した場合でも、バネの弾性力で展開機構23が伸長することにより、放射性物質捕集部4を展開することが可能となる。