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  • 特開-上下足踏み運動により前進する歩行車 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037832
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】上下足踏み運動により前進する歩行車
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/04 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
A61H3/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020152383
(22)【出願日】2020-08-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】520351233
【氏名又は名称】尾島 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】尾島 潤一郎
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA24
4C046BB08
4C046CC01
4C046DD07
4C046DD14
4C046DD26
4C046DD33
(57)【要約】
【課題】薬効が切れた状況下でも階段を昇ることは比較的容易に出来るという行動特性を利用して、階段を昇ることと同様な動作を行うことにより前進するパーキンソン病患者用歩行を提供する。
【解決手段】前車輪と後車輪が取り付けられたベース枠体3と2対のクランク回転体40及び50、2対の踏み板9、手摺フレーム2で歩行車を構成する。各クランク回転体は同位相、平行かつ回転可能にベース枠体3に取り付ける。また前記踏み板9も回転可能に各クランク回転体に取り付ける。
この構成により、使用者が踏み板9の上で上下足踏み運動を行うと、踏み板9は地面と平行を維持したままクランク回転体を回転させながら自身は上下前後にスライド移動を繰り返す。一方、クランク回転体の回転軸16はチェーン12等で車輪が固定された車軸と同程度の回転半径で連結されているため、前記運動を行なうことにより本歩行車が歩行速度と同程度に前進する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪及び後輪が取り付けられたベース枠体と2対のクランク回転体(40)・(50)、2対の踏み板、手摺フレームで構成された歩行車において、前記各クランク回転体は同位相、平行かつ回転可能にベース枠体に取り付けられており、また前記各踏み板も回転可能にクランク回転体に取り付けられていることにより、使用者が踏み板の上で階段を昇ることと同様な動作(以降、上下足踏み運動という)を行うと踏み板は地面と平行を維持したままクランク回転体を回転させながら自身は上下前後にスライド移動を繰り返し、一方、クランク回転体の回転軸はチェーン等の回転力を確実に伝える部材で車軸と連結されているため、クランク回転体が回転することにより車軸及び車軸に固定されている車輪が回転し前進することを特徴とする歩行車。
【請求項2】
ベース枠体と手摺フレームとを初めから一体として構成する場合と、ベース枠体を形成した後に、介護用として広く公衆に利用されているフレーム型歩行器で車輪のないタイプのもの(以降、一般的な歩行器という)を用いて構成する場合のいずれの手段も可能であることを特徴とする請求項1に記載の歩行車。
【請求項3】
請求項2において、一般的な歩行器を用いて構成する場合にはその着脱が容易に行えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歩行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にパーキンソン病患者の歩行補助に使用される歩行車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病患者は、薬効が切れた時の自立歩行において、第一歩が出にくい状況になることが顕著であり、そのため、平地において前進歩行を行うのが非常に困難である。
【0003】
しかしながら、薬効が切れた状況下でも、階段を昇ることは比較的容易に出来る。
本発明の発明者自身が同病の患者であり、このことは事実である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-158970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においても、上記0003と同様な旨が記載されており(同文献の明細書段落0005)、そのことに対応した歩行補助具が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示された歩行補助具では、使用者の第一歩の着地位置は歩き初めと同じ高さレベルである地面前方向となっている。実際に階段を昇るときの第一歩の着地は歩き始めより前方かつ上方となるので、この歩行補助具は、階段を昇ることは比較的容易に出来るというパーキンソン病患者の特性を有効に利用したものとは言い難い。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、階段を昇ることと同様な動作(以降、上下足踏み運動と言う)を使用者の足元で再現しかつそのことにより前進する歩行車を提供することにある。
なお、一般に公知されている自転車のペダルを漕ぐ動作は、足を乗せるペダル自体が回転するため、足の運び方が階段を昇る動作とは異なるものである。本発明の発明者自身が同病の患者であり、このことも事実である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の歩行車は、前輪及び後輪が取り付けられたベース枠体と2対のクランク回転体、2対の踏み板、手摺フレームで構成されていることを特徴とする。
【0009】
一のクランク回転体は、縦長アーム、2つの縦短アーム、2つの横バー、2つの回転軸で構成されており、各クランク回転体は同位相、平行かつ回転可能にベース枠体に取り付けられている。
また、各踏み板も回転可能にクランク回転体に取り付けられている
【0010】
この構成により、使用者が踏み板の上で前方に重心を置いて上下足踏み運動を行うと、踏み板は地面との平行を維持したままクランク回転体を回転させながら自身は上下前後にスライド移動を繰り返すため、階段を昇ることと同様な動作が使用者の足元で再現される。
【0011】
一のクランク回転体の回転軸はチェーン等の回転力を確実に伝える部材で車軸と連結されているため、クランク回転体が回転することにより、車軸及び車軸に固定されている車輪が回転し本発明に係る歩行車が前進する
【発明の効果】
【0012】
特に、パーキンソン病患者において、薬効が切れた時の移動が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】は、本発明に係る歩行車の一実施例の斜視図である。
図2】は、ベース枠体にクランク回転体を取り付けた状態の一実施例を説明する斜視図である。
図3】は、図2の状態のクランク回転体に踏み板を取り付けた状態の一実施例を説明する斜視図である。
図4】は、クランク回転体の構成を説明する図である。
図5】は、ベース枠体と手摺フレームとの着脱方法の一実施例を説明する図である。
図6】は、本発明に係る歩行車の一実施例の正面図及び使用状態を示す図である。
図7】は、本発明に係る歩行車の一実施例の側面図及び使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る歩行車の一実施例について、図1図7に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る歩行車の一実施例の斜視図である。
本例の歩行車30は、木材、金属、合成樹脂等の部材で適宜構成されたベース枠体3にクランク回転体40、クランク回転体50、車軸7、車軸8、手摺フレーム2が取り付けられた構成になっている。さらに、各クランク回転体には踏み板9が取り付けられている。
また、進行速度を制御するためのブレーキレバー17、ブレーキワイヤー18、ブレーキ19を備える。進行速度を制御するにあたっては、介護用として広く公衆に利用されている車輪のある歩行器に備えられているブレーキ構成など、公知の構成を用いてもよい。
なお、本図ではクランク回転体の構成を分かりやすくするために、一のクランク回転体を引き出して表示してある。
【0015】
本発明を理解しやすいよう、順を追って説明する。
図2は、ベース枠体にクランク回転体を取り付けた状態の一実施例を説明する斜視図である。
ベース枠体3とクランク回転体40、クランク回転体50とはベアリング10等の潤滑に回転する部材を介して取り付けられている。両クランク回転体は同位相かつ平行に位置し、各々が回転軸16を軸として容易に回転する。
【0016】
また、両クランク回転体の軸間の距離すなわち回転軸16間の距離Lは、縦長アーム13の長さ以上とする。
【0017】
図3は、図2の状態の各クランク回転体に踏み板を取り付けた状態の一実施例を説明する斜視図である。
各クランク回転体には踏み板9がベアリング11等の潤滑に回転する部材を介して取り付けられている。
この構成により、使用者が踏み板9の上で前方に重心を置いて上下足踏み運動を行うと、踏み板9は地面と平行を維持したままクランク回転体を回転させながら自身は上下前後にスライド移動を繰り返す。
【0018】
クランク回転体50の回転軸16と車軸8とはチェーン12等の回転力を確実に伝える部材で連結されており、クランク回転体50が回転することにより回転軸16、車軸8も同方向に回転する。
【0019】
車軸8の両端には車輪6が固定されており、車軸8が回転することにより車輪6も同方向に回転する。
【0020】
なお、前進する速度を考慮すると、回転軸16に係るチェーン12の回転半径と車軸8に係るチェーンの回転半径は同じとすることが望ましい。
【0021】
以上の構成により、使用者が踏み板9の上で上下足踏み運動を行うことにより後車軸8、後車輪6が回転し、本発明に係る歩行車30が前進する。
【0022】
図4は、クランク回転体40及び50の詳細を説明する図である。
図4(a)に示すように、一のクランク回転体は、それぞれ鉄、アルミ等の強固な部材で形成される縦長アーム13、2つの縦短アーム14、2つの横バー15、2つの回転軸16から構成される。
【0023】
横バー15、回転軸16は円筒形で縦長アーム13、縦短アーム14と差し込み穴及びボルト等により強固に緊結される。
【0024】
なお、クランク回転体すべてを丸鋼棒等の曲げ加工で一体として形成してもよい。
【0025】
縦長アーム13と縦短アーム14の差し込み穴の芯々の距離比を2:1とすることによりクランク回転体は回転軸16を軸として回転することができる。
【0026】
なお、図4(b)に示すように、縦長アーム13′と縦短アーム14′の差し込み穴の芯々の距離比が2:1に維持されれば各々の長さは任意であり、使用者の体格等により適切な長さとする。
【0027】
図5は、手摺フレーム2とベース枠体3との取り付け方法の一実施例を示す図である。
本発明に係る歩行車30は、ベース枠体3と手摺フレーム2とを初めから一体として構成する場合と、ベース枠体3を形成した後に介護用として広く公衆に利用されているフレーム型歩行器で車輪のないタイプのもの(以降、一般的な歩行器という)を利用して構成する場合のいずれの手段も可能である。
図5は、一般的な歩行器を本発明の手摺フレーム2として構成する場合の着脱方法の一実施例を説明する図である。
【0028】
図5(a)に示すように、ベース枠体3の下部に一般的な歩行器の脚部22が隙間なく入りかつ貫通しない程度の欠き込みを入れた部材を渡して緊結する。
【0029】
その後、図5(b)に示すように、一般的な歩行器の脚部22を欠き込み部に嵌め込む。
このようにして、一般的な歩行器を手摺フレーム2として構成する場合にはその着脱が容易である。
【0030】
図6は、本発明に係る歩行車の一実施例の正面図及び使用状態を示す図である。
【0031】
図7は、本発明に係る歩行車の一実施例の側面図及び使用状態を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
30 本発明に係る歩行車
40 クランク回転体
50 クランク回転体
2 手摺フレーム
3 ベース枠体
6 車輪
7 車軸
8 車軸
9 踏み板
10 ベアリング等の円滑に回転する部材
11 ベアリング等の円滑に回転する部材
12 チェーン等の回転力を確実に伝える部材
13 縦長アーム
14 縦短アーム
15 横バー
16 回転軸
17 ブレーキバー
18 ブレーキワイヤー
19 ブレーキ
22 一般的な歩行器の脚部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪及び後輪が取り付けられたベース枠体と2対のクランク回転体(40)・(50)、2対の踏み板、手摺フレームで構成され、薬効が切れた状況下でも階段を昇ることは比較的容易に出来るという行動特性を利用したパーキンソン病患者用の歩行車において、前記各クランク回転体は同位相、平行かつ回転可能にベース枠体に取り付けられており、また前記各踏み板も回転可能にクランク回転体に取り付けられていることにより、使用者が踏み板の上で階段を昇ることと同様な動作(以降、上下足踏み運動という)を行うと踏み板は地面と平行を維持したままクランク回転体を回転させながら自身は上下前後にスライド移動を繰り返し、一方、クランク回転体の回転軸はチェーン等の回転力を確実に伝える部材で車軸と同程度の回転半径で連結されているため、クランク回転体が回転することにより車軸及び車軸に固定されている車輪が回転して歩行速度と同程度に前進することを特徴とする歩行車。
【請求項2】
ベース枠体と手摺フレームとが一体として構成されているか、または、ベース枠体とフレーム型歩行器で車輪のないタイプのものを用いて構成されることを特徴とする、請求項1に記載の歩行車。
【請求項3】
フレーム型歩行器で車輪のないタイプのものを用いて構成する場合にはその着脱が行えることを特徴とする請求項2に記載の歩行車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
図5は、手摺フレーム2とベース枠体3との取り付け方法の一実施例を示す図である。
本発明に係る歩行車30は、ベース枠体3と手摺フレーム2とが一体として構成されているか、または、ベース枠体3とフレーム型歩行器で車輪のないタイプのものを用いて構成される。
図5は、フレーム型歩行器で車輪のないタイプのものを本発明の手摺フレーム2として構成する場合の着脱方法の一実施例を説明する図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
図5(a)に示すように、ベース枠体3の下部にフレーム型歩行器で車輪のないタイプのものの脚部22が隙間なく入りかつ貫通しない程度の欠き込みを入れた部材を渡して緊結する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
その後、図5(b)に示すように、フレーム型歩行器で車輪のないタイプのものの脚部22を欠き込み部に嵌め込む。
このことにより、フレーム型歩行器で車輪のないタイプのものが着脱可能に手摺フレーム2として構成される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
30 本発明に係る歩行車
40 クランク回転体
50 クランク回転体
2 手摺フレーム
3 ベース枠体
6 車輪
7 車軸
8 車軸
9 踏み板
10 ベアリング等の円滑に回転する部材
11 ベアリング等の円滑に回転する部材
12 チェーン等の回転力を確実に伝える部材
13 縦長アーム
14 縦短アーム
15 横バー
16 回転軸
17 ブレーキバー
18 ブレーキワイヤー
19 ブレーキ
22 フレーム型歩行器で車輪のないタイプの脚部