(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037833
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】フラット街渠用連立型歩車道境界庇縁石付き落し蓋掛け側溝
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
E03F5/04 A
E03F5/04 D
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020152384
(22)【出願日】2020-08-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】503234115
【氏名又は名称】大嶋 正剛
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 正剛
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CA04
2D063CA09
2D063CA22
2D063CB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】歩道と自転車通行との環境に適したアスファルト舗装自転車通行帯を形成する庇縁石付き連立型歩車道境界落し蓋U形側溝ならびにボックス形側溝を提供する。
【解決手段】上面がフラット部4と蓋版長より短い縁石3とで構成するL形落し蓋2Aにおいて、前記フラット部4は歩道17の一部となって、縁石3は自転車進入可能の範囲内での連立間隔ごとに途切れ、車道側に沿う庇5付きとし、側溝の側壁上空間を覆う前記庇5の先端面は上面舗装止と略一致して自転車通行帯10に沿って車道排水落下口に直結してなり、路肩16沿い自転車通行帯10は全てアスファルト舗装面で前記連立間隔ごとに歩道17と自転車通行帯10との相互が通行の安全向上と利活用環境が形成され、段差のない歩車道境界において縁石3は、落し蓋2Aとして着脱自在に設置され、一時除去や取替え等路面空間の多様化にも適応出来、歩行者と自転車通行とになじむ道路側帯を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車通行帯と段差のない歩道との境界をU形側溝で区分する街渠施設の連立型歩車道境界縁石付き落し蓋側溝であって、
上面がフラット部と蓋版長より短い縁石とで構成するL形落し蓋において前記フラット部は歩道の一部となって、
同時に前記連立型歩車道境界縁石は自転車進入可能の範囲内での連立間隔ごとに途切れ、車道側に沿う庇付きとし、側溝の側壁上空間を覆う前記庇の先端面は上面舗装止と略一致して自転車通行帯に沿ってエプロン渠底の天井を形成し車道排水落下口に直結してなり、
路肩沿い自転車通行帯は全てアスファルト舗装面で前記連立間隔ごとに歩道と自転車通行帯との相互が通行の安全向上と利活用環境が形成される。
さらに段差のない歩車道境界において縁石は、落し蓋として着脱自在に設置されて、一時除去や取替え等路面空間の多様化にも適応出来、歩行者と自転車通行とになじむ道路側帯を構成することを特徴とする庇縁石付き連立型歩車道境界落し蓋U形側溝。
【請求項2】
自転車通行帯と段差のない歩道との境界を門形側溝ないしボックス形側溝で区分する街渠施設の連立型歩車道境界縁石付き落し蓋側溝であって、上面がフラット部と蓋版と同一長の縁石とで構成するL形落し蓋において前記フラット部は歩道の一部となって、
同時に前記連立型歩車道境界縁石部は自転車進入可能の範囲内での連立間隔ごとに途切れ、車道側に沿う庇付きとし、側溝の側壁上空間を覆う前記庇の先端面は上面舗装止と略一致して自転車通行帯に沿ってエプロン渠底の天井を形成し車道排水落下口に直結してなり
路肩沿い自転車通行帯は全てアスファルト舗装面で、前記連立間隔ごとに歩道と自転車通行帯との相互が通行の安全向上と利活用環境が形成される。
さらに、段差のない歩車道境界において縁石は、落し蓋として着脱自在に設置されて、一時除去や取替え等路面空間の多様化にも適応出来、歩行者と自転車通行とになじむ道路側帯を構成することを特徴とする庇縁石付き連立型歩車道境界落し蓋門形側溝ないしボックス形側溝。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装道路の車道側帯と段差のない歩道との境界排水エプロン沿いに使用し、蓋L形上面の車道側連立型縁石部を自転車通行帯用に、フラット部を歩道用に形成する街渠用歩車道境界落し蓋掛けU形、門形およびボックス形側溝に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプレキャストコンクリート側溝は、別途施工の歩車道境界ブロック沿い車道内に設置し、蓋掛け等の上面が路肩に露出するので、コンクリート面のままアスファルト舗装車道と並行して帯び状に延び、蓋掛け等の上面と路肩舗装面とにまたがる自転車通行については安全性が問題である。
【0003】
かまぼこ状断面の車道部は路肩がおおむね2%の横断勾配エプロンで街渠と接している。
近時、車道の側帯を自転車通行帯とする道路構造令が施行され、加えて国が示す「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」では、側溝との舗装すりつけエプロン部横断勾配を2%に規定して車道からの急変緩和とともに全体をアスファルト舗装とすることが求められる。
そして、現在では道路空間における利活用の多様化を目指し、歩行者中心に再構築するとして、歩道と自転車通行帯の柔軟な使い方を推進すべきとの流れとなっている。
【先行技術文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の別途施工による歩車道境界ブロック沿い車道内に設置する側溝では上面全部が露出して車道側帯の一部を占め、車道のアスファルト舗装面と異質の路面となっているため、自転車通行空間の安全性が確保しにくく、本発明においては歩車道境界ブロックを落し蓋と一体化し車道内の側溝露出をなくして安全性を高め、自転車通行に適合させる。
その上で、道路空間の利活用において、歩車道境界ブロックを一定間隔ごとの連立設置とすることにより、歩道と自転車通行帯の柔軟な使い方を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明のU形、門形およびボックス形側溝は、歩車道境界ブロックの別途施工を省き、落し蓋と一体化した縁石付落し蓋を用い、L形状落し蓋の縁石部をアスファルト舗装止めを兼ねる側溝車道側に、フラット部を歩道内に設置する。
この場合、縁石付落し蓋は
U形側溝においては、側溝本体と同一長の落し蓋にそれより短い縁石付とし、門形側溝およびボックス形側溝では、上面開口部に収納する落し蓋と揃う同一長の縁石付とする。
【0007】
落し蓋の縁石部は全アスファルト舗装の自転車道側端に沿う庇付きとし、側溝のアスファルト舗装止めを兼ねる外側面と揃う庇先端面により、庇の下にコンクリート面の車道排水エプロン渠底の天井部を形成する。
落し蓋のフラット部は歩道の一部を構成し、歩行者の安全に粗面等を施したり、歩道全体の排水エプロンとしての機能をもちU形側溝では適宜に排水勾配付きとすることもある。
【0008】
歩車道境界庇縁石付き落し蓋は、一般の平板状蓋版と同じく側溝の上部に落し蓋として収納据付するが、クレーン施工等による省力工法に適し、脱着可能状態が維持される。
そして、
歩車道境界庇縁石は、一定の間隔ごとに連立して配設されるが、U形側溝では落し蓋より短い縁石が、門形側溝およびボックス形側溝では開口部にのみ縁石が立上り連立設置を形成する。
【発明の効果】
【0009】
自転車通行帯に沿う庇下のエプロン渠底となる側溝壁コンクリート面が、自転車通行者の視線に入りにくく、さらに陰影によっても歩車道境界ラインがアクセントになって自転車通行に適した全てアスファルト舗装面の路側帯が形成される。
【0010】
歩車道境界落し蓋の縁石がフラット面に連立設置され、自転車通行帯と歩道との区分だけでなく、連立間隔ごとに相互利用が可能で、自転車通行での咄嗟の危険回避など安全向上に資するものとなる。
別途施工を省き歩車道境界縁石付き落し蓋としての設置は省力安価で一般の平板蓋と同等に側溝の蓋受部に収納されているに過ぎず、側溝外側面の舗装転圧等に影響されないので、着脱には側溝本体に拘束されること無く、維持補修にも適している。
【0011】
自転車通行帯の上面舗装面の横断勾配が車道部から急変化のない2%に形成され、路側帯舗装面が一様に広がって自転車通行上の安全が高まる。
歩道面は落し蓋のフラット部が縁石沿いに帯状に連続し、すべり止め粗面にも出来、歩行者の安全面と歩道全体の排水機能が高まる。
【0012】
歩車道境界落し蓋はフラット面に設置され、着脱可能であり、維持管理において、積雪地帯の冬季の除雪対策にも縁石を一時除去するなど用途面での多様化にも資するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】 側溝と同一長の蓋版にそれより短い庇縁石付き歩車道境界落し蓋を用い、一部支道自動車乗入箇所のみ平板蓋とするフラット街渠蓋掛けU形側溝の実施例を示す切欠斜面図である。
【
図4】
図2の実施例における縁石付き落し蓋とU形側溝本体の斜面図である。
【
図5】
図4の縁石付き落し蓋のエプロン部側を示す斜面図である。
【
図6】 縁石付き歩車道境界落し蓋を上面開口部のみに用い、一部支道自動車乗入箇所だけ上面開口部無しとするフラット街渠門形側溝の実施例を示す切欠斜面図である。
【
図9】
図6の実施例における縁石付落し蓋と門形側溝本体の斜面図である。
【
図10】
図9の縁石付き落し蓋のエプロン部側を示す斜面図である。
【
図11】
図6の実施例における上面開口部のない門形側溝本体の斜面図である。
【
図12】 上面開口部のあるボックス形側溝の斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
U形側溝の場合は、おおむね通水断面が内幅上部30cm~40cm、内高10cm刻みで30~120cm、長さは2mとするプレキャストコンクリートで供給され、基礎上に路面を天端高として布設する。
上面の蓋版は厚さ9cm~12cm、長さは側溝本体と同じ全長2mとし、それより短い1.0m、1.2m、1.5m等の庇付き縁石部を有するL形のプレキャストコンクリートで供給され、側溝本体蓋受部内に落し蓋として収納設置する。
門形側溝の場合は、おおむね通水断面が内幅30cm~40cm、内高10cm刻みで30~120cm、長さは2mとするプレキャストコンクリートで供給され、全長2m上面中央に長さ1.0m~1.5mの開口部があり、両寄りが開口のない上版部となっているほか、上面に開口部のない暗渠タイプと併用する。
蓋版は厚さ9cm~12cm、長さは本体開口部に合わせ1.0m~1.5mとする庇付き縁石部を有するL形のプレキャストコンクリートで供給され、側溝本体開口部に落し蓋として収納設置する。
【0015】
舗装車道側帯と段差のない歩道の境界に沿って庇付き縁石部が連立する落し蓋街渠において、蓋版上面フラット部エプロンは歩道の一部として道路沿い帯状にのび、庇付縁石はアスファルト舗装横断勾配2%の自転車通行帯沿いに一定の間隔ごとに設置され連立する。
連立間隔は0.5m~1.0mの自転車進入可能の範囲で設定される。
【0016】
落し蓋上面は、側溝本体を介して車道面、歩道面とフラットで段差がなく車道面から2%、歩道面から略1%横断勾配での路面流出雨水を受止め、側溝内へ落下排水する。
上面舗装を透水性とする場合には舗装端末となる側溝の上面舗装止め沿いに排水口から浸透水を排水する。
【0017】
縁石は平坦部エプロンから高さ15cm、20cm、25cmで側溝天端を外側舗装止めまで庇で覆い設置される。
【実施例0018】
図1に路面を天端高とし、主舗装止めを兼ねて布設したU形側溝(1A)本体上部蓋受内に庇縁石を一定間隔ごとに連立するため落し蓋長より短い縁石付き落し蓋(2A)とし、ほかに平板落し蓋(2B)とを設置し、アスファルト舗装の自転車通行帯沿いすべり止め粗面街渠に形成した実施例を示す。
図1の実施例は
図2図3にも示すとおり縁石付き落し蓋(2A)の庇(5)を車道側に、上面舗装止め(7)まで自転車通行帯(10)とする路肩(16)に設けた街渠施設であり、歩道への自転車、自動車の一部支道自動車乗入箇所にのみ平板落し蓋(2B)を用いている。
U形側溝(1A)に設置する縁石付落し蓋(2A)は庇(5)の直下が側溝壁天端で車道排水のエプロン渠底(19)となり、上面舗装止め(7)と一致し、長さ方向に連続する。
図2図4に示す落下口(11)は車道側雨水を、またスリット(12)は歩車道の雨水を街渠(15)からU形側溝内への排水に、さらにU形側溝(1A)の切込(13)は上面舗装を透水性とする場合の浸透水の排出用となる。
【0019】
図4は
図1に示す実施例におけるU形側溝(1A)と縁石付き落し蓋(2A)の斜面図で、落し蓋のU形側溝本体への収納設置部分を示している。
図5はフラット部(4)をすべり止めの粗面(18)とした縁石付き落し蓋(2A)で、歩道の一部となる連立する縁石沿い帯状部分に加え連立間隔フラット面部の利用環境を高める。
なお縁石の端面は角部に丸味と面取を施してある。
【0020】
図6に路面を天端高とし、主舗装止めを兼ねて布設した門形側溝(1B)の本体上部開口蓋受内のみに縁石付き落し蓋(2A)を設置し、縁石が一定の間隔ごとに連立するアスファルト舗装の自転車通行帯沿いスリット付き街渠に形成した実施例を示す。
図6の実施例は
図7図8にも示すとおり縁石付き落し蓋(2A)の庇(5)を車道側に上面舗装止め(7)まで自転車通行帯(10)とする路肩(16)に設けた街渠施設であり、歩道への自転車、自動車の一部支道乗入箇所にのみ上面開口のない門形側溝(1B)を用いている。
門形側溝(1B)に設置する縁石付落し蓋(2A)は、庇(5)の真下が側溝壁天端でエプロン街底(19)となり、上面舗装止(7)と一致する。
図7図9に示す落下口(11)は車道側雨水を、またスリット(12)は歩車道の雨水を街渠(15)から側溝内への排水に、さらに側溝(1B)の切込(13)は上面舗装が透水性の場合の浸透水排出用となる。
【0021】
図9は
図6に示す実施例における門形側溝(1B)と縁石付き落し蓋(2A)の斜面図で、落し蓋の側溝本体への収納設置部分を示している。
図10は
図9の縁石付き落し蓋(2A)のフラット部側を示し、この実施例では歩道面となるフラット部にスリット(12)を設けている。また縁石の端面は角に丸味と面取を施してある。
図11は
図6図8の実施例における上面開口部のない門形側溝(1B)の斜面図で、この実施例では上面にスリット(12)を設けている。
自転車通行帯と段差のない歩道との境界を門形側溝ないしボックス形側溝で区分する街渠施設の連立型歩車道境界縁石付き落し蓋側溝であって、上面がフラット部と蓋版と同一長の縁石とで構成するL形落し蓋において前記フラット部は歩道の一部となって、
同時に前記連立型歩車道境界縁石は自転車進入可能の範囲内での連立間隔ごとに途切れ、車道側に沿う庇付きとし、側溝の側壁上空間を覆う前記庇の先端面は上面舗装止と略一致して自転車通行帯に沿ってエプロン渠底の天井を形成し車道排水落下口に直結してなり
路肩沿い自転車通行帯は全てアスファルト舗装面で、前記連立間隔ごとに歩道と自転車通行帯との相互が通行の安全向上と利活用環境が形成される。
さらに、段差のない歩車道境界において縁石は、落し蓋として着脱自在に設置されて、一時除去や取替え等路面空間の多様化にも適応出来、歩行者と自転車通行とになじむ道路側帯を構成することを特徴とする庇縁石付き連立型歩車道境界落し蓋門形側溝ないしボックス形側溝。