(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037837
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】スライドファスナーの防犯構造
(51)【国際特許分類】
A44B 19/30 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
A44B19/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020152402
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】513174047
【氏名又は名称】松田 誠一
(72)【発明者】
【氏名】松田 誠一
【テーマコード(参考)】
3B098
【Fターム(参考)】
3B098AB07
3B098AB08
3B098CA08
3B098CC16
3B098CC21
3B098CC26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スライダー部分の布を横に引っ張ったり奥行方向に押したりしても、開口部が開かないスライドファスナー構造を提供する。
【解決手段】施錠部を設けた2つのスライドファスナー16、17を上下に重ねて配置する。開口方向が異なる上下のスライダーを距離を確保して施錠し、上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域を作る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのスライドファスナーを上下に重ねて配置し、上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域を保持するため、開口方向が異なる上下のスライダー間の距離を確保する施錠部を備えるスライドファスナー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドファスナーの防犯構造に関する。
【背景技術】
【0002】
スライドファスナーはリュックサックやスクールバッグ、スポーツバッグなどの開口部に広く用いられている。またテントの出入り口や最近では配送荷物の不在時受取り用収納袋などにも使われている。
【0003】
カバン類は、学校の教室やスポーツ施設、宿泊施設などで所有者の目が届かないところに置かれる場合もある。スライドファスナーは誰にでも簡単に開けることができることから、悪意ある他人による内容物の窃盗や異物の挿入など悪戯を受けることもあり、防犯対策が必要とされている。
【0004】
カバン類の防犯対策として、特許文献1ではスライダーの引き手に錠孔を設け、カバンと複数のスライダーの引き手を南京錠で施錠して開口部が開かないようにしている。
【0005】
特許文献2では、向かい合うスライダーが連結する構造をしており、連結した状態では開口部が開かないようにしている。
【0006】
特許文献3では上下のスライドファスナーの開口部の位置をずらし、上にあるスライドファスナーが開いても、下のスライドファスナーを覆い隠すように重ねてあり、下にあるスライダーを操作し難くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3114912号公報
【特許文献2】特開2020-74939号公報
【特許文献3】実用新案登録第3194708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スライダーとカバンやスライダー同士を南京錠などで施錠しても、そこにわずかな隙間があると、その隙間部分にある布をスライドファスナーと直角横方向に引っ張ったり垂直奥行方向に押したりすると、スライダー間の距離を保ったまま周辺の布がその隙間に引き寄せられ、
図2に示すようにお菓子袋を開けたような状態になり開口部が開いてしまう。
【0009】
特許文献3で示したスライドファスナーを複数重ねた構造でも、上のスライドファスナーから順に開ければ、手間や時間は掛かるが簡単に開いてしまう。
【0010】
本発明は、スライダー部分の布を横に引っ張ったり奥行方向に押したりしても、開口部が開かないスライドファスナー構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
2つのスライドファスナーを上下に重ねて配置し、開口方向が異なる上下のスライダーを距離を確保して施錠し、上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域を作る。
【0012】
上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域を保持する手段として、スライドファスナーの各部に錠孔などの施錠部を設ける。その施錠部を固定するためには、南京錠などの施錠器具を利用しても良い。
【発明の効果】
【0013】
上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域を保持することで、スライダー部分の布が横に引っ張られたり奥行方向に押されたりしても周辺の布が引き寄せられる隙間ができないため、お菓子袋を開けたような開口状態にはならない。開口方向が異なる上下のスライダー間の距離を確保したままスライダーを移動しても、上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域が移動するだけで、開口部は開かない。
【0014】
施錠をしていない状態では、スライダーが向い合せに2つ対になっているスライドファスナーと同様に使用でき、開口部を大きく開ける事ができる。また上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域が確保できれば、上下のスライドファスナーの開口側が重なる長さは短くても良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】垂直横方向に引っ張られ開口する従来のスライドファスナー
【
図4】本発明のスライドファスナー構造 施錠状態の側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。なお、本実施の形態に記載されている構成要素の材質や形状等は、特に発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例0017】
本実施例では上下のスライドファスナーの引き手の長さを違えることで、上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域を確保する例を示す。
【0018】
図1に施錠をしていない状態を示す。2つのスライドファスナーを開口方向が異なる向きに上下に重ねて配置し、下側のスライドファスナー10の引き手12は、上側のスライドファスナー11の引き手13より長くする。引き手12、13の先端には南京錠のシャックルを通す錠孔14、15が設けてある。
【0019】
図3と
図4で施錠した状態を示す。
図3では上側のスライドファスナー11で隠れた下側のスライドファスナー10を点線で表している。
図4は
図3の状態を側面から見た図である。
【0020】
施錠時には、引き手12は下側のスライドファスナー10が閉じている方向に倒す。上側のスライダー17は、下側のスライダー16をスライドファスナー11で覆い隠し上下の引き手の錠孔14、15が重なる位置まで移動して、上側のスライドファスナー11が開いている方向に引き手13を倒す。
【0021】
この状態で上下の引き手の錠孔14、15に南京錠4のシャックル5を通して施錠し2つのスライダー16、17の距離を確保して、上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域を作る。
【0022】
上側のスライドファスナー11の開口側では下側のスライドファスナー10が閉じている。スライダー17とスライダー16との間が、上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域である。下側のスライドファスナー10の開口側では上側のスライドファスナー11が閉じている。上下に重ねたスライドファスナー全体でみると、わずかにでも開口している隙間は存在しない。
【0023】
南京錠のシャックル部分の遊びや上下に重ねたスライドファスナーの奥行方向の空間を使ってスライダー間を近づけたとしても、上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域が確保できる程度に引き手の長さを考慮すれば、南京錠を外さない限り開口部を開くことはできない。
この引き手の形状であれば、南京錠のシャックルの長さによる遊びは、上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域に対して影響しない。引き手21が引き手20の穴22を長く通過すれば、それだけ上下のスライドファスナーの閉じている部分が重なる領域は増すことになる。