(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037841
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】バグフィルターの除塵方法とバグフィルター型集塵機の除塵装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/04 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
B01D46/04 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020153349
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】320006265
【氏名又は名称】日本鋳造機械株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 基彰
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA04
4D058KB05
4D058MA15
4D058MA17
4D058MA25
4D058MA47
4D058QA03
4D058QA21
(57)【要約】
【課題】バグフィルターの目詰まりを効率よく解消すること。
【解決手段】バグフィルターに対する高圧ジェット噴射に際して、バグフィルターの開口を一時閉鎖(余剰圧逃がし状態で)して、内部圧力が高くなるように工夫することで、バグフィルター内の圧力を高めて、ジェット噴射による振動を高め、除塵、清掃効果を高める。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バグフィルターの除塵方法であって、集塵機本体に排風機が接続され、排風機によって吸引された塵埃を集塵室においてバグフィルターにて分離し、空気は外気に分離排出するよう構成された集塵機において、
集塵機本体(1)は、吸引ダクトに繋がる上部区画室(2)と、該区画室(2)に開口した複数の円筒状バグフィルター(3)が垂下された下部集塵分離室(4)とに分離構成され、前記上部区画室(2)が、外部の排風機(5)に接続されていて、前記バグフィルター(3)を通過したエアーが外部に排気されるように構成されており、前記上部区画室(2)には、移動パルス架台(6)が水平移動自在に設けられ、該移動パルス架台(6)には、高圧のパルス噴射ノズル(7)が上下移動自在に複数設けられ、前記バグフィルター(3)の開口に対して、高圧エアーを噴射するように構成されており、高圧エアーの噴射に際しては、前記パルス噴射ノズル(7)が降下して前記バグフィルター(3)の開口を、前記下部集塵室(4)から上記上部区画室への高圧エアーの余剰噴射圧を一部逃がすように閉鎖した状態でバグフィルター(3)の内部に噴射されるように構成され、終了後は上昇して前記バグフィルター(3)の開口を開放して通常の集塵機能を再開するように構成されていることを特徴とする、バグフィルターの除塵方法。
【請求項2】
バグフィルターの除塵装置であって、上部区画室(2)と下部集塵室(4)から成る集塵機本体(1)に排風機が接続され、排風機によって吸引された塵埃を集塵機本体(1)においてバグフィルターにて分離し、前記上部区画室(2)を介して空気は外気に分離排出するよう構成されたバグフィルター型集塵機の除塵装置において、
集塵室本体(1)は、排風機に繋がる上部区画室(2)と、該区画室(2)に開口した複数の円筒状バグフィルター(3)が垂下された下部集塵分離室(4)とに分離構成され、該下部集塵分離室(4)が、外部の吸引ダクトに接続されていて、前記バグフィルター(3)を通過したエアーが上部区画室(2)を介して外部に排気されるように構成されており、前記上部区画室(2)には、移動パルス架台(6)が水平移動自在に設けられ、該移動パルス架台(6)には、高圧のパルス噴射ノズル(7)が上下移動自在に複数設けられ、前記バグフィルター(3)の開口に対して、高圧エアーを噴射するように構成されており、前記バグフィルター(3)の目詰まり解消のための高圧エアーの噴射に際しては、前記パルス噴射ノズル(7)が降下して前記バグフィルター(3)の開口を、前記下部集塵室(4)から上記上部区画室への高圧エアーの余剰噴射圧を一部逃がすように閉鎖した状態でバグフィルター(3)の内部に高圧エアーが噴射されるように構成され、終了後は上昇して前記バグフィルター(3)の開口を開放して通常の集塵機能を再開するように構成されていることを特徴とする、バグフィルター型集塵機の除塵装置。
【請求項3】
前記パルス噴射ノズル(7)は、エアーシリンダー(7A)によって昇降自在に設けられ、該シリンダー(7A)の下端には、前記バグフィルター(3)の開口を、前記下部集塵室(4)から上記上部区画室への高圧エアーの余剰噴射圧を一部逃がすように閉鎖するための鍔状体(7B)が設けられていることを特徴とする、請求項2に記載のバグフィルター型集塵機の除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場集塵等に使用されるバグフィルターの除塵方法とバグフィルター型集塵機の除塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場集塵等に用いられる集塵機として、バグフィルター型の集塵機は一般に多用されている。一般にバグフィルターとしては、円筒状のろ布を濾過基材として使用する方式で、基本的には、集塵機本体に排風機が接続され、排風機によって吸引された塵埃を集塵室においてバグフィルターにて分離し、空気は外気に分離排出するよう構成されている。
【0003】
このような集塵機は、所定期間の稼働によって、バグフィルターの表面に塵埃(ダスト)が堆積して、目詰まりを来すことになり、濾過効率が低下するので、適当時期に目詰まり解消を行う必要があり、通常は、バグフィルターに対して高圧エアー(パルスジェット)を噴射して、塵埃を剥離分離することになる。こうした構成については、種々提案されており、公知の構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-113318
【特許文献2】特開2003-220314
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の集塵機においては、バグフィルターが、目詰まりを来すと、定期的にバグフィルターを清掃してやらなければいけないが、通常、バグフィルターに対して高圧エアーを噴射して▲濾▼布を振動させる。この場合、塵埃(ダスト)を落とすには、通常、集塵機本体にダンパーを設けて通路を遮断し、吸引状態を一旦止めてから、高圧パルスのエアーを噴射するのであるが、これまでは高圧エアーの圧力は低く、且つ、バグフィルターの上部開口は、排風機に繋がり、解放されたままであるので、バグフィルターの内部の圧力が高まることが少なく、低い圧力でバグフィルターを振動させることになって、塵埃の堆積状態を十分に振動させ、剥離脱落させることができなかった。
【0006】
従って、十分に圧力の高いエアーを噴射してバグフィルターを振動させるための工夫が必要であり、本発明は、こうした問題を解消して、バグフィルターの清掃を効率よく行うことを目的とする。
【0007】
本発明は、バグフィルター型の集塵機におけるバグフィルターの清掃を効率よく行い、目詰まり状態を解消させるための方法と、装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、次の手段を講じた。
即ち、バグフィルターの除塵方法であって、集塵機本体に排風機が接続され、排風機によって吸引された塵埃を集塵室においてバグフィルターにて分離し、空気は外気に分離排出するよう構成された集塵機において、
集塵機本体(1)は、吸引ダクトに繋がる上部区画室(2)と、該区画室(2)に開口した複数の円筒状バグフィルター(3)が垂下された下部集塵分離室(4)とに分離構成され、前記上部区画室(2)が、外部の排風機(5)に接続されていて、前記バグフィルター(3)を通過したエアーが外部に排気されるように構成されており、前記上部区画室(2)には、移動パルス架台(6)が水平移動自在に設けられ、該移動パルス架台(6)には、高圧のパルス噴射ノズル(7)が上下移動自在に複数設けられ、前記バグフィルター(3)の開口に対して、高圧エアーを噴射するように構成されており、高圧エアーの噴射に際しては、前記パルス噴射ノズル(7)が降下して前記バグフィルター(3)の開口を、前記下部集塵室(4)から上記上部区画室への高圧エアーの余剰噴射圧を一部逃がすように閉鎖した状態でバグフィルター(3)の内部に噴射されるように構成され、終了後は上昇して前記バグフィルター(3)の開口を開放して通常の集塵機能を再開するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、バグフィルターの除塵装置であって、上部区画室(2)と下部集塵室(4)から成る集塵機本体(1)に排風機が接続され、排風機によって吸引された塵埃を集塵機本体(1)においてバグフィルターにて分離し、前記上部区画室(2)を介して空気は外気に分離排出するよう構成されたバグフィルター型集塵機の除塵装置において、
集塵室本体(1)は、排風機に繋がる上部区画室(2)と、該区画室(2)に開口した複数の円筒状バグフィルター(3)が垂下された下部集塵分離室(4)とに分離構成され、該下部集塵分離室(4)が、外部の吸引ダクトに接続されていて、前記バグフィルター(3)を通過したエアーが上部区画室(2)を介して外部に排気されるように構成されており、前記上部区画室(2)には、移動パルス架台(6)が水平移動自在に設けられ、該移動パルス架台(6)には、高圧のパルス噴射ノズル(7)が上下移動自在に複数設けられ、前記バグフィルター(3)の開口に対して、高圧エアーを噴射するように構成されており、前記バグフィルター(3)の目詰まり解消のための高圧エアーの噴射に際しては、前記パルス噴射ノズル(7)が降下して前記バグフィルター(3)の開口を、前記下部集塵室(4)から上記上部区画室への高圧エアーの余剰噴射圧を一部逃がすように閉鎖した状態でバグフィルター(3)の内部に高圧エアーが噴射されるように構成され、終了後は上昇して前記バグフィルター(3)の開口を開放して通常の集塵機能を再開するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法及び装置によれば、バグフィルターの清掃を、高圧エアーの噴射によるバグフィルターの内部圧を高く保持して、▲濾▼布を振動させることができ、表面に堆積した塵埃の十分な剥離を行い得る。
即ち、高圧噴射に際しては、バグフィルターの上部開口を閉鎖状態として、噴射された高圧エアーがバグフィルターの内部に充満された状態とし、ろ布を十分に振動させることができる。この際、噴射された高圧エアーが解放された上方から逃げ出すことも未然に回避できるので、十分な振動作用が期待できる。
本発明にかかるその他の利点は、以下に述べる実施例の記載から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】本発明の装置の集塵室の上部区画室の横断面図。
【
図4】本発明の装置の集塵室の上部区画室の駆動系を示す側面図。
【
図5】本発明の装置の集塵室の上部区画室の一側面図。
【
図6】本発明の装置の集塵室の上部区画室の駆動系を含めた要部の側面図。
【発明を実施するための形態】
【実施例0012】
本発明にかかる集塵機は、次にように構成されている。即ち、
図1及び
図2に示すように、集塵機のバグフィルターの除塵装置であって、集塵機本体に排風機が接続され、排風機によって吸引された塵埃を集塵室においてバグフィルターにて分離し、空気は外気に分離排出するよう構成されたバグフィルター型集塵機の除塵装置において、
集塵機本体1は、排風機5に繋がる上部区画室2と、該区画室2に開口した複数の円筒状バグフィルター3が垂下された下部集塵分離室4とに分離構成され、該下部集塵分離室4が、外部の吸引ダクトに接続されていて、前記バグフィルター3を通過したエアーが上部区画室2を介して外部に排気されるように構成されており、前記上部区画室2には、移動パルス架台6が水平移動自在に設けられ、該移動パルス架台6には、高圧のパルス噴射ノズル7が上下移動自在に複数設けられ、前記バグフィルター3の開口に対して、高圧エアーを噴射するように構成されており、前記バグフィルター3の目詰まり解消のための高圧エアーの噴射に際しては、前記パルス噴射ノズル7が降下して前記バグフィルター3の開口を、前記下部集塵室(4)から上記上部区画室への高圧エアーの余剰噴射圧を一部逃がすように閉鎖した状態でバグフィルター3の内部に高圧エアーが噴射されるように構成され、終了後は上昇して前記バグフィルター3の開口を開放して通常の集塵機能を再開するように構成されている。上記パルス噴射ノズル7の噴射は、一つのバグフィルター3の開口を、閉鎖したところで行われ、他のバグフィルター3の開口は、解放された状態で行われ、一つのバグフィルターが終われば、次のバグフィルターの開口が閉鎖され、噴射ノズルが開始されるというサイクルで実施されるのである。
図5及び
図6を参照されたい。
【0013】
次いで、上記集塵機は、ここでは、風量300リューベ毎分で、静圧-3.73kPa(380mmAq)、モーター出力は45kWとしている。全体の濾過面積は、520平方メートル、ろ布材質は、テトロン、筒状のバグフィルターは、プリーツ型としたろ過面積が大きくなる形状とされている。集塵機本体1は、長さ3100mm、横幅2400mm、高さ、10310mmといった寸法である。
図3に示すように、前記バグフィルターは、集塵機の長さ方向に、所要の間隔で、複数個配置され、且つ、幅方向にも複数列配置されている。
【0014】
上記下部集塵分離室4が下方には、スクリュー型の移送機構10が、設けられており、そこから排出されたダストを受け入れるダストボックス11が、下方に設けられている。この集塵機の外部側方には、ダクトで吸引される粉塵エアーに対して、脱臭用等の粉体を集塵機に供給する粉体供給装置12が設けられている。そして、この集塵機の他方側部には、排風機5(ブロア)が配置されている。
【0015】
図3に示すように、複数配置されたバグフィルター3は、上面が上部区画室2において解放状態とされている。従って、常時は、この上部開放の開口から、吸引されてきた粉塵エアーが、バグフィルター3から上方に流入し、略円筒状のバグフィルター3を通過して(その周面がろ過面となる)、下部集塵分離室4から、上部区画室2を介してブロア(排風機)5を通じて外部に排出することになる。勿論、この際、粉塵は、前記バグフィルターによって濾過されて留まり、次第にろ布面に堆積して濾過効率が低下すると、高圧ジェットの噴射で間欠的に振るい落しが行われることになる。
前記パルス噴射ノズル7は、エアーシリンダー7Aによって昇降自在に設けられ、該シリンダー7Aの下端には、前記バグフィルター3の開口を、前記下部集塵室4から上記上部区画室への高圧エアーの余剰噴射圧を一部逃がすように閉鎖するための鍔状体7Bが設けられている。
【0016】
図4乃至
図6に示すように、上記上部区画室2には、集塵機の長さ方向(正面図の長さ方向)に移動可能な移動パルス架台6が設けられている。この架台は、チェーン駆動によって、集塵機の長手方向に移動され、この架台に設けられている一列分のバグフィルター3に対応するパルス噴射ノズル7が備えられており、この架台6の移動に際して、各ノズル7が一列のバグフィルターに対応する位置に移動することができる。従って、移動パルス架台6の移動が順次くりかえされると、次の列のバグフィルター3の内の一つが清掃されることになる。
【0017】
そして、前記移動パルス架台6は、集塵機の幅方向(横方向)に巻回されたチェーンによって移動できる構成とされている。この架台6には、高圧のエアータンク14が設けられており、
図5に示すように、このタンク14に接続されたパイプ15からノズル7にエアーが供給される構成とされている。
この発明においては、パルス噴射ノズル7は、ノズル自体だけを指しているのではなく、上記バグフィルター3の上部開口を閉鎖する蓋構成体を含み、これは、漏斗状(逆さい頭円錐体)で、中央が穿孔された鍔状の蓋体16を下方に備え、シリンダー77Aの上下作動で前記バグフィルター3の上部開口を蓋できる、構造体のものである。また、図面に示すように、前記漏斗状体は、上部が解放状態とされており、高圧ジェットが噴射された際の過圧分(余剰圧分)が上方に逃げることができるようにされている。つまり、桟が開口に掛け渡れていて完全密閉状態が形成されるようにはなっていない。
図5から分かるように、前記パイプ15からは、漏斗状体の側方からエアーが下方に向けて注入されてから、下方に向けた流れでバグフィルター3の周壁に圧力が伝播されることになる。
本発明では、蓋体16が閉鎖されて高圧ジェットが噴射されるので、少ないエアー量(従来の四分の一)でも、バグフィルター3のろ布の目詰まりが綺麗に除去でき、省エネで行い得ることになる。
【0018】
このような構成の下、本発明の方法は、バグフィルターの除塵方法であって、集塵機本体に排風機が接続され、排風機によって吸引された塵埃を集塵室においてバグフィルターにて分離し、空気は外気に分離排出するよう構成された集塵機において、次のように行われる。
即ち、集塵室本体1は、吸引ダクトに繋がる上部区画室2と、該区画室2に開口した複数の円筒状バグフィルター3が垂下された下部集塵分離室4とに分離構成され、該下部集塵分離室4が、外部の排風機5に接続されていて、前記バグフィルター3を通過したエアーが外部に排気されるように構成されており、前記上部区画室2には、移動パルス架台6が水平移動自在に設けられ、該移動パルス架台6には、高圧のパルス噴射ノズル7が上下移動自在に複数設けられ、前記バグフィルター3の開口に対して、高圧エアーを噴射するように構成されており、高圧エアーの噴射に際しては、前記パルス噴射ノズル7が降下して前記バグフィルター3の開口を、前記下部集塵室4から上記上部区画室への高圧エアーの余剰噴射圧を一部逃がすように閉鎖した状態でバグフィルター3の内部に噴射されるように構成され、終了後は上昇して前記バグフィルター3の開口を開放して通常の集塵機能を再開するのである。かかるバグフィルター3に対するエアー噴射は、一つの前記パルス噴射ノズル7が降下して前記バグフィルター3の開口が閉鎖されたところで行われ、この閉鎖と噴射、完了と、上昇による開口が完了して次のバグフィルター3に移行し、次いで、パルス噴射ノズル7が降下して隣の前記バグフィルター3の開口を閉鎖するように順次繰り返されることになる。
本発明は、バグフィルターへの高圧エアーの噴射に際して、バグフィルターの開口を一時的に閉鎖した状態で行うもので、格別の集塵システムを変更して行うものではないので、通常の集塵機に対して実施可能な、有益な発明である。