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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037954
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】容器取出装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/44 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
B65B43/44 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142193
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000186566
【氏名又は名称】小林クリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】新山 圭
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA01
3E030BA03
3E030BA09
3E030BB05
3E030BC01
3E030CA06
3E030CB01
3E030DA07
3E030EA01
3E030GA04
(57)【要約】
【課題】使用回数が増加した場合にあっても、容器を一個毎排出する作動を安定して行うことができる容器取出装置を提案する。
【解決手段】ベース体2に設けられた周回路16と、複数の容器を重ね合わせた容器積重群が収容され、前記周回路16に沿って周回移動される容器群収容部45と、前記周回路16に形成された排出口21と、少なくとも該排出口21の直上に設けられ、容器積重群の最下の容器と該最下から二番目の容器とを上下方向に離間し且つ該二番目の容器を前記排出口21から排出不能に支持する一対の案内支持部材31,36とを備え、該容器群収容部45を周回移動させることによって、容器積重群の最下の容器を前記排出口21から一個ずつ排出させる構成である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口の口縁に周成された鍔部を有する有底円筒状の容器が複数重ね合わされた容器積重群から、該容器を一個毎取り出す容器取出装置であって、
前記容器積重群が周回移動可能に乗載される周回路を備えたベース体と、
前記周回路に沿って回動可能に設けられ、該周回路に乗載される前記容器積重群を収容する一又は複数の容器群収容部と、
前記容器群収容部を前記周回路に沿って一方向へ回動させることにより、該容器群収容部に収容された容器積重群を該周回路上で周回移動させる駆動制御手段と
を備え、
前記ベース体は、
前記周回路の一部に形成され、前記容器群収容部に収容された容器積重群の容器を下方へ排出させる排出口と、
少なくとも前記排出口の直上に、前記周回路の内外方向に所定間隔をおいて夫々形成され、前記容器群収容部に収容された前記容器積重群の最下の容器と該最下から二番目の容器との鍔部間に差し入れられて、該排出口の直上に位置した該容器積重群を、最下の容器と該最下から二番目の容器とが上下方向に離間された状態とし、且つ該二番目の容器を該排出口に排出不能に支持する内外一対の案内支持部材と
を備えたものであることを特徴とする容器取出装置。
【請求項2】
案内支持部材は、
排出口の直上に配設され、容器積重群の最下から二番目の容器の鍔部を支持して、該二番目の容器を該排出口に排出不能に支持する第一ガイド部と、
前記排出口の、前記容器群収容部の周回方向逆側に形成され、駆動制御手段により周回路を周回移動する容器積重群の最下の容器と該最下から二番目の容器との鍔部間に差し入れられて、該最下の容器と該二番目の容器とを上下方向に離間させる第二ガイド部と
を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の容器取出装置。
【請求項3】
案内支持部材の第二ガイド部は、
最下の容器と該最下から二番目の容器との鍔部間に差し入れた容器積重群の、該最下の容器を、前記周回路に乗載された状態で保持させる下縁部と、該二番目の容器を、該最下の容器から上方へ離間させる上縁部とを備えたものであることを特徴とする請求項2に記載の容器取出装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、医療機関や健診機関などで使用される尿検査用の容器を複数重ね合わせた状態から、該容器を一個毎取り出すことができる容器取出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関や健診機関などでは、尿検査に用いられる紙製やプラスチック製の容器が複数重ね合わされて保管され、検査時に該容器を取り出して使用される。健康診断などでは、受診者に前記容器を順に配ることから、この配る作業に要する負担が大きい。そのため、複数の容器が重ね合わされた状態から、該容器を一個毎取り出すことができる容器取出装置が提案されている。例えば、特許文献1で提案された容器取出装置は、外周に螺旋状の凹部と凸部とが上下方向に交互に設けられた回転分離治具を備え、前記容器を複数重ね合わせた積層パックを、両側から二個の前記回転分離治具で支持して、各回転分離治具を同じ速度で回転させることにより、該積層パックの最下にある容器を下方へ排出させる構成である。ここで、回転分離治具は、螺旋状の凹部が、前記容器の口縁に設けられた鍔部を差し込み可能な一定幅で形成されると共に、該凹部のピッチが下方へ向かって徐々に広くなるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/150755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した回転分離治具を用いた従来構成にあっては、積層パックの両側に配した二個の回転分離治具を回動させることによって、該積層パックから容器を一個毎下方へ排出できるものであることから、両側の回転分離治具を正確に位置決めすること、および両側の回転分離治具を同じ回転速度で回動制御することが必要であった。ところが、こうした容器取出装置は、モータ等の駆動装置により動作する機械であることから、使用回数の増加に応じて、前記回転分離治具を支持する部品の損耗や該回転分離治具を回動させる機構の作動不良などが生じ、両側の回転分離治具の位置精度が低下したり、回転速度に差が生じたりすることがあり得た。そして、このような位置精度の低下や回転速度に差が生ずると、複数の容器により構成される前記積層パックの姿勢が崩れ易くなるため、容器の排出が正常に作動しなかったり、排出される容器に変形が生じたりする虞があった。
【0005】
本発明は、比較的長期間使用により使用回数が増加した場合にあっても、複数の容器を重ね合わせた姿勢が崩れてしまうことを抑制でき、正常な容器の排出を安定して行い得る容器取出装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上部開口の口縁に周成された鍔部を有する有底円筒状の容器が複数重ね合わされた容器積重群から、該容器を一個毎取り出す容器取出装置であって、前記容器積重群が周回移動可能に乗載される周回路を備えたベース体と、前記周回路に沿って回動可能に設けられ、該周回路に乗載される前記容器積重群を収容する一又は複数の容器群収容部と、前記容器群収容部を前記周回路に沿って一方向へ回動させることにより、該容器群収容部に収容された容器積重群を該周回路上で周回移動させる駆動制御手段とを備え、前記ベース体は、前記周回路の一部に形成され、前記容器群収容部に収容された容器積重群の容器を下方へ排出させる排出口と、少なくとも前記排出口の直上に、前記周回路の内外方向に所定間隔をおいて夫々形成され、前記容器群収容部に収容された前記容器積重群の最下の容器と該最下から二番目の容器との鍔部間に差し入れられて、該排出口の直上に位置した該容器積重群を、最下の容器と該最下から二番目の容器とが上下方向に離間された状態とし、且つ該二番目の容器を該排出口に排出不能に支持する内外一対の案内支持部材と
を備えたものであることを特徴とする容器取出装置である。
【0007】
かかる構成にあっては、容器積重群を収容した容器群収容部を回動させることによって、該容器積重群が周回路に沿って周回移動して排出口の直上に達する毎に、該容器積重群の最下の容器を該排出口から下方へ排出し且つ該最下から二番目にある容器(および、該二番目よりも上の全容器)を周回路上に保持することから、該容器積重群を構成する容器を一個ずつ取り出すことができるものである。すなわち、本構成は、案内支持部材によって、周回路上を周回移動して排出口の直上に到達した容器積重群を、その最下の容器と該最下から二番目の容器とが上下方向に離間され且つ該二番目の容器が支持された状態とすることができるため、該最下の容器のみを確実に該排出口から排出させることができる。そして、容器群収容部を回動させて排出口の直上に繰り返し周回移動させることによって、容器を一個毎取り出すことができる。
【0008】
本構成は、駆動制御手段によって容器群収容部を回動させることで容器を排出口から排出させる装置であることから、例え使用回数が増大することによって駆動制御手段による回動速度に変化が生じる等した場合にあっても、容器を一個毎取り出すことができる。さらに、容器群収容部は、収容された容器積重群をベース体の周道路上に移動可能に乗載するのみであることから、前記のように使用回数が増大しても該容器積重群を安定した姿勢で保持できる。こうしたことから、本発明の構成によれば、前述した従来構成で生ずる問題(使用回数の増大によって、容器の姿勢が崩れてしまうこと、および容器の排出が正常に作動しないこと)を抑制することができ、比較的長期に亘って容器を一個毎安定して取り出すことができる。
【0009】
さらに、前述したように容器群収容部は、容器積重群を周回路上に移動可能に乗載した状態で収容するものであることから、サイズの異なる容器に対応し易く、該容器を一個毎取り出す動作を安定して行うことができる。
【0010】
前述した本発明の容器取出装置にあって、案内支持部材は、排出口の直上に配設され、容器積重群の最下から二番目の容器の鍔部を支持して、該二番目の容器を該排出口に排出不能に支持する第一ガイド部と、前記排出口の、前記容器群収容部の周回方向逆側に形成され、駆動制御手段により周回路を周回移動する容器積重群の最下の容器と該最下から二番目の容器との鍔部間に差し入れられて、該最下の容器と該二番目の容器とを上下方向に離間させる第二ガイド部とを備えたものである構成が提案される。
【0011】
かかる構成によれば、容器積重群が排出口の直上に達するまでに、案内支持部材の第二ガイド部によって、該容器積重群の最下の容器と該最下から二番目の容器(および、該二番目よりも上の全容器)とを上下方向に離間できることから、該排出口の直上に達した際に、該最下の容器のみを該排出口から安定して排出することができる。
【0012】
前述した本発明の容器取出装置にあって、案内支持部材の第二ガイド部は、最下の容器と該最下から二番目の容器との鍔部間に差し入れた容器積重群の、該最下の容器を、前記周回路に乗載された状態で保持させる下縁部と、該二番目の容器を、該最下の容器から上方へ離間させる上縁部とを備えたものである構成が提案される。
【0013】
かかる構成にあっては、第二ガイド部の上縁部と下縁部とによって、容器積重群の最下の容器を周回路上に乗載させたまま、該最下から二番目の容器(および、該二番目よりも上の全容器)を上方へ離間させることから、排出口の直上に達した際に、該最下の容器のみを該排出口から一層安定して排出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の容器取出装置によれば、容器群収容部を周回路に沿って回動させることにより、該容器群収容部に収容された容器積重群を構成する容器を、該周回路に開口された排出口から一個ずつ排出させることができる。そして、容器の排出が容器群収容部の回動のみで実行でき、かつ該容器群収容部によって容器積重群を安定した姿勢で保持できることから、容器を一個毎取り出す作動を比較的長期に亘って安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例の容器取出装置1の斜視図である。
図2】容器取出装置1の平面図である。
図3】容器取出装置1の、(A)正面図と(B)側面図である。
図4】容器取出装置1の、容器群収容部45を省略して示す斜視図である。
図5】ベース体2の平面図である。
図6】ベース体2を正面側から見た斜視図である。
図7】ベース体2を背面側から見た斜視図である。
図8】容器群収容部45に容器積重群110が収容された状態を示す斜視図である。
図9】容器群収容部45に容器積重群110が収容された状態を示す平面図である。
図10】ベース体2の周回路16上を周回移動させる容器積重群110が、該周回路16の排出口21の直上に至る態様を示す説明図である。
図11図10から続く、容器積重群110が排出口21の直上に至る態様を示す説明図である。
図12図11中のX部の拡大図である。
図13図11から続く、容器積重群110が排出口21の直上に至る態様を示す説明図である。
図14図13中のY部の拡大図である。
図15図13から続く、容器積重群110が排出口21の直上に至る態様を示す説明図である。
図16】(A)カップ101と、(B)複数のカップ101が重ね合わされた容器積重群110とを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明にかかる実施形態を、以下の実施例により説明する。
本実施例の容器取出装置1は、図1~3に示すように、ベース体2と、容器回動装置3とを備える構成であり、該容器回動装置3の容器群収容部45に、複数のカップ101を上下方向に重ね合わせた容器積重群110が収容される。ここで、本実施例のカップ101は、尿検査に用いられる紙製またはプラスチック製の有底円筒状のものであり、図16(A)に示すように、上端から下端に向かって徐々に縮径された略円筒状の側筒部102と、該側筒部102の下部に設けられた底部103(図16(B)参照)とから構成され、上方へ開口する上部開口105を備えてなる。そして、上部開口105の口縁に、側筒部102の上端から外方へ突出する鍔部104が周成されている。こうしたカップ101が上下方向に複数重ね合わされることで、図16(B)に示すように容器積重群110が形成される。
【0017】
前記した容器取出装置1を構成するベース体2は、図4~7に示すように、平板状の主盤部11と、前記容器回動装置3の回動軸41を回動可能に支持する軸受部12と、該軸受部12に支持された回動軸41を中心として同心状に設けられた半円環状の内周壁14および外周壁15とを備える。ここで、前記軸受部12は、主盤部11を上下方向に貫通する貫通孔(図示せず)に挿通された前記回動軸41の下部を、回動可能に支持するものである。また、前記内周壁14は、軸受部12の約半分を囲むように形成され、前記外周壁15は、該内周壁14の外側に所定間隔をおいて設けられている。この内周壁14と外周壁15との間隔が、前記カップ101の上端外径よりも僅かに大きい寸法で形成されており、該内周壁14と外周壁15との間を該カップ101(容器積重群110)が移動可能である。そして、これら内周壁14と外周壁15との間の半円弧帯を含む円環状の周回路16が、ベース体2上に設けられている。尚、本実施例の周回路16は、内外に円環状の側周縁部(図示せず)を有し且つ中央に円環状の浅溝部(図示せず)を有する構成であり、該内外の側周縁部に前記カップ101の鍔部104が乗載される。
【0018】
前記容器回動装置3は、図1~4に示すように、前記主盤部11の貫通孔に挿通されて軸受部12に回動可能に支持される前記回動軸41と、前記ベース体2に配設されて前記回動軸41を回動させる駆動装置42と、前記軸受部12の直上で前記回動軸41の上端を回動可能に支持する上部受部43と、前記回動軸41に周方向に一定間隔をおいて配設された四個の容器群収容部45とを備える。ここで、上部受部43は、伏U形の支持部材44によって、前記ベース体2の主盤部11に固定されている。また、駆動装置42は、モータ42aと、該モータを駆動制御する制御装置(図示せず)と、該モータ42aの駆動により前記回動軸41を回動させる機構42bとを備えるものであり、従前から公知のものを適用可能であるから、詳細を省略する。
【0019】
前記した容器群収容部45は、図示しない連結部材を介して前記回動軸41に連結された平面視く字形状の内側板部51と、該内側板部51の後端から外方へ延成された後側板部52と、該後側板部52の外端下部から前方へ突成された外側片部53と、前記内側板部51の前端下部から外方へ突成された前側片部54とから構成され、外側片部53の前端部と前側片部54の外端部とが連結されてなる。かかる容器群収容部45は、内側板部51、後側板部52、外側片部53、および前側片部54に囲繞された空域(以下、収容空域)55に、前記した容器積重群110を収容でき、収容した状態で該容器積重群110が前記ベース体2の周回路16上に乗載される。そして、容器群収容部45は、収容空域55の上方から容器積重群110を入出できる。
ここで、容器群収容部45の収容空域55には、図8,9に示すように、複数のカップ101が積み重ねられた前記容器積重群110(図16(B)参照)が、該カップ101の上部開口105を下向き(上下逆向き)として収容され、収容された状態で、最下のカップ101の鍔部104(上部開口105の口縁)が前記ベース体2の周回路16に乗載される。そして、このように容器積重群110が収容空域55に収容された状態で、該容器積重群110の平面方向への遊動が規制される。これにより、後述するように容器群収容部45を前記周回路16に沿って周回する際に、収容空域55に収容された容器積重群110を、前記カップ101が積み重ねられた状態で安定して保つことができる。特に、本実施例にあっては、容器群収容部45は、内側板部51と外側片部53との間隔と、後側板部52と前側片部54との間隔とが、前記カップ101の上端外径よりも僅かに大きい寸法に設定されていることから、容器積重群110の内側部、後側部、外側下部、および前側下部が、前記内側板部51、後側板部52、前記外側片部53、および前記前側片部54に夫々当接されて支持される。そのため、前述した容器積重群110を安定して保つ効果に一層優れる。
【0020】
こうした容器群収容部45は、前記駆動装置42の駆動により回動軸41が回動されることによって、該回動軸41を回動中心として、周回路16に沿って周回される。そして、本実施例では、平面視で反時計周りの方向を、容器群収容部45を周回させる正方向(以下、周回順方向という)として、前記駆動装置42を駆動制御する。この周回順方向に容器群収容部45を周回させることにより、該容器群収容部45に収容された容器積重群110が、周回路16上を反時計回りで周回される。このような周回中にあっても、前記容器積重群110が容器群収容部45の前記内側板部51、後側板部52、外側片部53、および前側片部54により支持されることから、前述したように、該容器群収容部45に収容された容器積重群110が、前記カップ101を重ね合わせた状態で安定して保つことができる。
尚、本実施例にあっては、駆動装置42のモータ42aを逆回転させることによって、容器群収容部45を、前記周回順方向と反対の時計回り方向(以下、周回逆方向という)に周回させることも可能である。
【0021】
一方、前記ベース体2には、図5~7に示すように、前記カップ101を落下させる円形の排出口21が、周回路16に開口形成されている。排出口21は、周回路16の、前記内周壁14と外周壁15との周方向略中央に、前記主盤部11を上下方向に貫通するように設けられている。この排出口21から落下されたカップ101が、ベース体2の下方へ排出させる。
【0022】
さらに、ベース体2には、前記内周壁14から外方へ突成された内側案内支持部31と、前記外周壁15から内方へ突成された外側案内支持部36とが内外一対に設けられている。 内側案内支持部31は、前記排出口21の内側直上に設けられた第一内ガイド部32と、該第一内ガイド部32から前記周回順方向逆側へ連成された第二内ガイド部33と、該第一内ガイド部32から該周回順方向側へ連成された第三内ガイド部34とから構成される。一方、外側案内支持部36は、前記排出口21の外側直上に設けられた第一外ガイド部37と、該第一外ガイド部37から前記周回順方向逆側へ連成された第二外ガイド部38と、該第一外ガイド部37から該周回順方向側へ連成された第三外ガイド部39とから構成される。こうした内側案内支持部31と外側案内支持部36とは、第一内ガイド部32と第一外ガイド部37とが内外方向に対向状に設けられ、第二内ガイド部33と第二外ガイド部38とが内外方向に対向状に設けられ、第三内ガイド部34と第三外ガイド部39とが内外方向に対向状に設けられている。
【0023】
そして、内側案内支持部31と外側案内支持部36とは、夫々を構成する第一内ガイド部32と第一外ガイド部37との内外方向(周回路の径方向)の間隔および第二内ガイド部33と第二外ガイド部38との内外方向の間隔が、前記カップ101の側筒部102の最大外径寸法と略同じとなるように設けられている。これにより、第一内ガイド部32と第一外ガイド部37との間、および第二内ガイド部33と第二外ガイド部38との間を、前記カップ101の側筒部102が通過可能かつ鍔部104が通過不能であると共に、第一内ガイド部32と第一外ガイド部37とに鍔部104の内外両端部が乗載された状態、および第二内ガイド部33と第二外ガイド部38とに鍔部104の内外両端部が乗載された状態で、カップ101を支持することができる。一方、第三内ガイド部34と第三外ガイド部39との内外方向の間隔は、前記した第一内ガイド部32と第一外ガイド部37との間隔よりも狭くなっている。そのため、第三内ガイド部34と第三外ガイド部39との間をカップ101が通過不能であると共に、該第三内ガイド部34と第三外ガイド部39とに鍔部104の内外両側部が乗載されて、カップ101を一層安定して支持できる。
【0024】
前記第二内ガイド部33と第二外ガイド部38とは、夫々の周回順方向逆側の先端部から上方傾斜する上縁部33a,38aと、周回路16の上面と略平行な下縁部33b、38bとを備えた構成である。そして、第二内ガイド部33と第二外ガイド部38との各先端部が、周回路16上に乗載された容器積重群110を構成する最下のカップ101の鍔部104と該最下から二番目のカップ101の鍔部104との間に、差入れ可能に設けられている。すなわち、第二内ガイド部33と第二外ガイド部38との各先端部は、周回路16の上面からカップ101の鍔部104の高さ寸法をおいた高さ位置に設けられ、且つ上下に重なり合うカップ101,101の鍔部104,104間の間隔よりも薄厚に形成されている(図11,12参照)。
ここで、第二内ガイド部33の上縁部33aと第二外ガイド部38の上縁部38aとは、夫々の先端と末端との周方向位置が対向する位置にあり且つ相対する周方向位置における高さが等しくなるように形成されており、互いの勾配と弧長(周方向長さ)とが異なる。すなわち、第二内ガイド部33の上縁部33aは、第二外ガイド部38の上縁部38aに比して、勾配が急であり且つ弧長が短い。こうした形態とすることによって、夫々の上縁部33a,38aとに乗載されたカップ101が、内外方向(周回路16の径方向)で略同じ高さ位置に保たれる。尚、本実施例にあっては、第二内ガイド部33の下縁部33bと第二外ガイド部38の下縁部38bとの高さ位置が同じである。
【0025】
前記第一内ガイド部32は、前記第二内ガイド部33の上縁部33aから連成されて、周回路16の上面と略平行な上縁部32aと、該第二内ガイド部33の下縁部33bから連成されて、周回路16の上面と略平行な下縁部32bとから構成されている。同様に、第一外ガイド部37は、前記第二外ガイド部38の上遠部38aから連成されて、周回路16の上面と略平行な上縁部37aと、該第二外ガイド部38の下縁部38bから連成されて、周回路16の上面と略平行な下縁部37bとから構成されている。
ここで、第一内ガイド部32と第一外ガイド部37とは、夫々の両端位置が周方向で対向するように設けられると共に、夫々の上縁部32a,37aの高さ位置が等しく且つ夫々の下縁部32b,37bの高さ位置が等しくなるように形成されている。すなわち、第一内ガイド部32は、その弧長(周方向長さ)が第一外ガイド部37に比して短い。こうした形態により、夫々の上縁部32a,37aに乗載されたカップ101が、水平方向で保たれる。
【0026】
前記第三内ガイド部34は、前記第一内ガイド部32の上縁部32aから周回路16(内側の側周縁部)に向かって下方傾斜されて、該上縁部32aと周回路16とに連成される形態により構成されたものである。一方、前記第三外ガイド部39は、前記第一外ガイド部37の上縁部37aから周回路16(外側の側周縁部)に向かって下方傾斜されて、該上縁部37aと周回路16とに連成される形態により構成されたものである。
ここで、第三内ガイド部34と第三外ガイド部39とは、夫々の両端の周方向位置が対向する位置にあり且つ相対する周方向位置における高さが等しくなるように形成されており、互いの勾配と弧長(周方向長さ)とが異なる。すなわち、第三内ガイド部34は、第三外ガイド部39に比して、勾配が急であり且つ弧長が短い。こうした形態とすることによって、夫々に乗載されたカップ101が、内外方向(周回路16の径方向)で略同じ高さ位置に保たれる。
【0027】
尚、本実施例の容器取出装置1は、ベース体2の下方に、該ベース体2の排出口21から落下させたカップ101を受ける受部(図示せず)が設けられている。
【0028】
次に、本実施例の容器取出装置1が、カップ101を一個ずつ取り出す動作について説明する。
容器取出装置1には、図8,9に示すように、複数のカップ101を重ね合わせた容器積重群110を、該カップ101の上部開口105を下向きとして、各容器群収容部45にそれぞれ収容する。こうして容器群収容部45に収容された容器積重群110は、最下のカップ101の鍔部104がベース体2の周回路16に乗載される。ここで、各容器群収容部45には、その上方から容器積重群110を収容することから、前記内側案内支持部31と外側案内支持部36との上方に位置する容器群収容部45に収容された容器積重群110が、該内側案内支持部31と外側案内支持部36とに乗載される。尚、容器群収容部45が排出口21の直上に位置している場合にあっても、当該容器群収容部45に収容されたカップ101が前記第一内ガイド部32と第一外ガイド部37とに乗載されるため、該カップ101が該排出口21から落下せずに周回路16上で保持される。
【0029】
各容器群収容部45に容器積重群110を夫々収納した後に、前記駆動装置42を駆動させて回動軸41を回動させる。これにより、四個の容器群収容部45が回動軸41を中心として回動し、各容器群収容部45に収容された容器積重群110がベース体2の周回路16上を周回する。ここで、駆動装置42は、回動軸41を平面視で反時計回り(周回順方向)に回動させることから、図10,11,13,15に示すように、容器群収容部45の容器積重群110が周回路16を反時計回りに周回する。
【0030】
このように容器群収容部45を反時計回りに回動させることによって、該容器群収容部45が前記内側案内支持部31および外側案内支持部36の先端に達すると、図11,12に示すように、当該容器群収容部45の容器積重群110の最下のカップ101と最下から二番目のカップ101との鍔部104,104間に、前記第二内ガイド部33と第二外ガイド部38との先端が差し込まれる。そして、さらに容器群収容部45が回動することにより、図13,14に示すように、最下から二番目のカップ101の鍔部104が該第二内ガイド部33の上縁部33aと第二外ガイド部38の上縁部38aとに乗載されて上方へ押し上げられる一方、最下のカップ101の鍔部104が該該第二内ガイド部33の下縁部33bと第二外ガイド部38の下縁部38bとにより上方への移動が妨げられる。これによって、最下から二番目のカップ101と当該カップ101に重ね合わされたカップ101とが、最下のカップ101から離間されると共に、該最下のカップ101が周回路16に乗載された状態で保たれる。
【0031】
この後に容器群収容部45が前記排出口21の直上位置に達すると、図15に示すように、最下のカップ101が該排出口21から落下する一方、最下から二番目のカップ101と当該カップ101に重なるカップ101とが、第一内ガイド部32の上縁部32aと第一外ガイド部37の上縁部37aに支持されて、該排出口21から落下しない。
ここで、容器取出装置1は、第二内ガイド部33と第二外ガイド部38とによって、最下のカップ101を、最下から二番目以上のカップ101と上下方向に離間させていることから、最下のカップ101を自重により排出口21から確実に落下させることができる。尚仮に、最下のカップ101と二番目のカップ101とが離間されていない状態(重なり合った状態)であると、該最下のカップ101と二番目のカップ101とが比較的しっかりと積重されていることから、該カップ101の自重よりも該積重の摩擦力が高ければ、該最下のカップ101が落下できない。すなわち、最下のカップ101と二番目のカップ101とを離間させることが、最下のカップ101のみを排出口21から安定して落下させることに必須である。
【0032】
前記容器群収容部45が排出口21の直上を通過すると、当該容器群収容部45の容器積重群110が前記第三内ガイド部34と第三外ガイド部39とに従って下り、該第三内ガイド部34と第三外ガイド部39との末端を過ぎると、当該容器積重群110が周回路16に乗載される。
【0033】
このように容器群収容部45を周回順方向に回動させることにより、各容器群収容部45が内側案内支持部31と外側案内支持部36とを通過する毎に、該容器群収容部45の最下のカップ101が排出口21から落下させて、カップ101を一個毎に取り出すことができる。
【0034】
また、本実施例の容器取出装置1は、駆動装置42により回動軸41を逆回転させることにより、容器群収容部45を周回路16に沿って時計回りに周回させることが可能である。これにより、例えば、容器取出装置1のメンテナンスを行う場合などで、各容器群収容部45から容器積重群110を退出させる際に、該容器群収容部45が前記第二内ガイド部33および第二外ガイド部38の上方に位置すると、当該容器群収容部45に収容された容器積重群110の最下のカップ101を上方へ取り出すことができないため、容器群収容部45を逆回転させて、内側案内支持部31および外側案内支持部36よりも周回順法逆側まで戻す。こうすることで、容器群収容部45から全てのカップ101(容器積重群110)を容易に退出させることができる。
尚、このように時計回り(逆回転)させた場合に、容器群収容部45が前記第三内ガイド部34と第三外ガイド部39との末端に到達すると、該容器群収容部45の容器積重群110が該第三内ガイド部34と第三外ガイド部39とに支持されることから、この支持された状態で、当該容器群収容部45から容器積重群110を取り出すことができる。
【0035】
前述したように本実施例の容器取出装置1によれば、駆動装置42の駆動により複数の容器群収容部45を周回路16に沿って周回順方向へ回動させることによって、該容器群収容部45に収容された容器積重群110のカップ101を、該周回路16に開口形成された排出口21から一個ずつ取り出すことができる。ここで、本実施例は、内外一対の内側案内支持部31と外側案内支持部36とが、排出口21の直上で、前記容器積重群110の最下のカップ101と最下から二番目のカップ101とを上下方向に離間させ、且つ該二番目のカップ101を該排出口21に排出不能に支持するようにしたものである。こうした内側案内支持部31と外側案内支持部36とを備えることから、容器積重群110を収容した前記容器群収容部45を周回路16に沿って周回させることで、該容器積重群110の最下のカップ101のみを確実に排出口21から排出させることができる。
【0036】
さらに、容器取出装置1の容器群収容部45は、内側板部51と後側板部52と外側片部53と前側片部54とにより囲まれた収容空域55に、容器積重群110を収容するものであり、該容器群収容部45の回動中に、該容器積重群110を安定した姿勢で保持できる。これにより、前述した内側案内支持部31と外側案内支持部36とによって容器積重群110の最下のカップ101のみを排出口21から排出させる動作を、一層安定して実行することができる。
【0037】
本実施例の容器取出装置1は、駆動装置42の駆動によりカップ101を排出するものであることから、使用回数の増大や使用期間の長期化などにより駆動機構や駆動部品の耐久性に影響が生ずる虞があり、該耐久性に影響が生じた場合に、容器群収容部45を回動させる速度が低下したり、該回動速度が不安定になったりする等の不具合の発生が懸念される。しかし、本実施例の構成は、駆動装置42の駆動による容器群収容部45の回動のみによってカップ101を排出させる作動を行い得るものであることから、前記した不具合が生じても、該容器群収容部45を回動させることができれば、該容器群収容部45の容器積重群110からカップ101を一個ずつ排出できる。さらに、前記不具合の発生如何に関わらず、容器群収容部45は、前述したように容器群収容部45が容器積重群110の姿勢を安定して保つことができる。こうしたことから、本実施例の構成によれば、比較的長期に亘って安定してカップ101を取り出す動作を実行でき、前述した従来構成のように正常な排出ができなかったりカップに変形が生じたりする等の不具合の発生を抑制できるという優れた利点を有する。
【0038】
さらに、本実施例の構成は、複数のカップ101を重ね合わせた容器積重群110が収容される容器群収容部45を複数備えたものであることから、多数のカップ101をセットすることができる。すなわち、前述した従来構成では、一対の回転分離治具に一の容器積重群をセットできるのみであることに対して、本実施例の構成では、複数(四個)の容器群収容部45に夫々容器積重群をセットできることから、相対的に多くのカップをセットすることができる。これにより、本実施例の構成は、容器積重群をセットする作業の実施回数を低減できることから、作業効率を向上できるという優れた利点を有する。
【0039】
また、本実施例の構成は、回動軸41を逆回転させることにより、容器群収容部45を周回逆方向へ回動させることができる。これにより、前記内側案内支持部31および外側案内支持部36の上方に位置する容器群収容部45から、当該容器群収容部45に収容された容器積重群110の最下のカップ101を容易に上方へ取り出すことができる。すなわち、メンテナンス時などで容器群収容部45から容器積重群110を取り出す際に、該容器群収容部45が前記内側案内支持部31および外側案内支持部36の上方に位置すると、当該容器群収容部45の容器積重群110の最下のカップ101を上方へ取り出すことができないが、前記周回逆方向へ回動させて、当該容器群収容部45を前記内側案内支持部31および外側案内支持部36より周回逆側へ位置させることで、容器積重群110を構成する全てのカップ101を容易に上方へ取り出すことができる。
【0040】
前述した本実施例の構成にあって、カップ101が、本発明にかかる容器に相当し、駆動装置42が、本発明にかかる駆動制御手段に相当する。また、内側案内支持部31と外側案内支持部36とが、本発明にかかる案内支持部材に相当する。第一内ガイド部32と第一外ガイド部37とが、本発明にかかる第一ガイド部に相当し、第二内ガイド部33と第二外ガイド部38とが、本発明にかかる第二ガイド部に相当する。第二内ガイド部33の上縁部33aと第二外ガイド部38の上縁部38aとが、本発明にかかる第二ガイド部の上縁部に相当し、該第二内ガイド部33の下縁部33bと第二外ガイド部38の下縁部38bとが、本発明にかかる第二ガイド部の下縁部に相当する。
【0041】
本発明にあっては、前述した実施例に限定されるものではなく、該実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。
例えば、実施例は、ベース体2に円環状の周回路16を設けた構成であるが、これに限らず、楕円環状の周回路を設けた構成や、半円を直線で連成した環状(陸上競技のトラック形状)の周回路を設けた構成など、周回路の形態は適宜変更して設定することが可能である。
【0042】
また、実施例は、容器群収容部45に容器積重群110を上下逆向きに収容する構成としたが、これに限らず、容器積重群110を上下順向きのまま収容する構成とすることも可能である。この構成の場合には、内側案内支持部と外側案内支持部との高さ位置を、上下順向きの容器積重群110に合わせて設定することを要する。
【0043】
また、実施例は、内側案内支持部31と外側案内支持部36とが、排出口21の周回順方向逆側に第一内ガイド部32と第一外ガイド部37とを備えた構成であるが、これに限らず、内側案内支持部と外側案内支持部とが排出口21の直上のみに設けられた構成とすることもできる。この構成では、内外案内支持部と外側案内支持部とが、容器積重群110の最下のカップ101と最下から二番目のカップ101とを上下に離間させ且つ該二番目のカップ101を排出口21に排出不能に支持する構造とする。具体的には、排出口21の直上に設けられた内外案内支持部と外側案内支持部とが、最下のカップ101と最下から二番目のカップ101との鍔部104,104間に差し込まれて、該二番目のカップ101を上方へ押し上げる傾斜上縁を備えた構成とする。
【0044】
また、実施例は、内側案内支持部31と外側案内支持部36とが第三内ガイド部34と第三外ガイド部39とを備えた構成であるが、これに限らず、該第三内ガイド部と第三外ガイド部とを備えない構成とすることも可能である。
【0045】
また、実施例は、周回路16上を周回される容器群収容部45を四個設けた構成であるが、該容器群収容部45の配設数は適宜変更して設定することが可能である。例えば、二個の容器群収容部45を設けた構成や、八個の容器群収容部45を設けた構成とすることも可能である。さらには、配設可能な最大数が定められており、使用状況に応じて、容器群収容部45の配設数を変更可能な構成としても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 容器取出装置
2 ベース体
16 周回路
21 排出口
31 内側案内支持部(案内支持部材)
32 第一内ガイド部(第一ガイド部)
33 第二内ガイド部(第二ガイド部)
34 第三内ガイド部
36 外側案内支持部(案内支持部材)
37 第一外ガイド部(第一ガイド部)
38 第二外ガイド部(第二ガイド部)
39 第三外ガイド部
42 駆動装置(駆動制御手段)
45 容器群収容部
101 カップ(容器)
104 鍔部
110 容器積重群

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16