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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037966
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】袴
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/00 20180101AFI20220303BHJP
【FI】
A41D1/00 101F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142212
(22)【出願日】2020-08-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年7月21日 自社ウェブサイト
(71)【出願人】
【識別番号】517048027
【氏名又は名称】株式会社RENCA
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】永本 祥代
【テーマコード(参考)】
3B030
【Fターム(参考)】
3B030BA08
3B030BB01
3B030BC07
(57)【要約】
【課題】
簡単に装着できる袴でありながらも「安物感」が助長されず、本来の袴に近い装着感を発揮でき、装着後もずれ落ちの少ない袴を提供する。
【解決手段】
袴100の正面側上部に角帯に相当する角帯部材114と、十字形の結び目を模した装飾体112を縫い付けて備えると共に、2本の前紐116は、それぞれ装飾体112から角帯部材114の左右端を介してそのまま左右に延びた構成とした上で、これら2本の前紐116には面ファスナやバックルといった部材を設けずに互いに結び合うことで締結する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
簡易に着脱できる袴であって、
正面側上部に角帯に相当する角帯部材と、十字形の結び目を模した装飾体を縫い付けて備えると共に、
2本の前紐はそれぞれ、前記装飾体から前記角帯部材の左右端を介してそのまま左右に延びた構成とした上で、
これら2本の前紐には面ファスナやバックルといった部材を設けずに互いに結び合うことで締結する
ことを特徴とする袴。
【請求項2】
請求項1において、
前記装飾体から前記角帯部材の左右端に向かってやや斜め上方を向いて配置される第1の紐様装飾体と、
当該第1の紐様装飾体よりも表面側に配置され、前記角帯部材の左右端を繋ぐように配置される第2の紐様装飾体と、を備え、
前記前紐は、前記第1及び第2の紐様装飾体よりも更に表面側に配置されている
ことを特徴とする袴。
【請求項3】
請求項1又は2において、
背面上部の内面には、リボン様の腰枕が予め装着されている
ことを特徴とする袴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袴の技術分野に関し、特に詳しくは簡易に着脱できる袴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、袴の着脱を容易にするべく様々な工夫を凝らした袴が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1においては、角帯を締めたり、後紐を十字形に結ぶ作業を簡略化するべく、角帯に相当する部材や、十字形リボンを装飾的に予め縫い付けておくと共に、前紐の一部はゴム製とした上でバックルにより着脱し、後紐同士は面ファスナによって着脱する手法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3024144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに、特許文献1のような構造の袴とすることによって、特に子供の場合など、着付師に頼らずに袴を履くことも可能となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の袴においては、前紐の一部をゴムとした上でバックルによって腰に固定するという構造を採用していることから、前面の十文字リボンから左右に伸びる紐(腰紐が巻いているように見える紐様の飾り)7(当該段落における符号は特許文献1における符号をそのまま利用している)と前紐9、9'とが分断されており、見た目の安物感が強調されてしまう。
【0007】
当該部分は、袴を履いてしまえば隠れて見えなくなる部分ではあるものの、例えば貸衣装として利用する場合など多くの袴が並べられているような場面では目に入る部分であり、「安物感」「偽物感」が助長されてしまうという問題がある。
【0008】
また、前紐の一部がゴム素材となっていてバックルにより装着するが、繰り返しの使用や経年変化によってゴム素材が伸びると、袴を十分に保持できる程度の締結力を発揮できない場面もあり、装着後時間の経過と共に袴がずれ落ち易いといった問題もあった。
【0009】
そこで本発明は、こういった問題点を解決するべくなされたものであって、簡単に装着できる袴でありながらも「安物感」が助長されず、本来の袴に近い装着感を発揮でき、装着後もずれ落ちの少ない袴を提供する事をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するべく、本願発明は、簡易に着脱できる袴であって、正面側上部に角帯に相当する角帯部材と、十字形の結び目を模した装飾体を縫い付けて備えると共に、2本の前紐は、それぞれ前記装飾体から前記角帯部材の左右端を介してそのまま左右に延びた構成とした上で、これら2本の前紐には面ファスナやバックルといった部材を設けずに互いに結び合うことで締結することを特徴とする。
【0011】
このように構成したことによって、前紐が十字形の結び目を模した装飾体から「連続した一本の紐」として視覚的に把握されるため、見た目の高級感が増し安物感が助長され難い。更に、敢えてこの前紐同士はそのまま結んで互いに締結する手法を採用している。即ち、前紐同士の固定を面ファスナやバックルといった部材に頼っていない。これは袴の前紐と後紐の両方を面ファスナのような取付手段にしてしまうと腰にしっかりと装着できず、使用している間に袴がずれ落ちることを回避するためである。特に、装着時(袴を履くとき)に最初に結ぶ前紐側に敢えて面ファスナ等の代替手段を用いないことによって、腰回りにしっかりと装着でき、更に背面側の腰板部分をヘラを介して引っ掛ける際の基礎とすることができるため、後紐側を面ファスナ等の固定手段に頼ったとしても、袴全体をしっかりと腰に固定することが可能となっている。
【0012】
また、前記装飾体から前記角帯部材の左右端に向かってやや斜め上方を向いて配置される第1の紐様装飾体と、当該第1の紐様装飾体よりも表面側に配置され、前記角帯部材の左右端を繋ぐように配置される第2の紐様装飾体と、を備え、前記前紐は、前記第1及び第2の紐様装飾体よりも更に表面側に配置されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成したことによって、装着時、腰紐が本当に腰に巻回しているように見せることができる。
【0014】
また、背面上部の内面には、リボン様の腰枕が予め装着されていることを特徴とする袴。
【0015】
これも、袴を装着してしまうと見えなくなってしまう部分ではあるものの、袴を選択する場面等においては視覚的に把握される部分であり、安物感を助長しない工夫の1つである。もちろん、本来の角帯を結んだ形状に近いので、袴を装着した際の背面腰部の膨らみ方もより本来に近いものとなっている。
【発明の効果】
【0016】
本発明を適用することで、簡単に装着できる袴でありながらも「安物感」が助長されず、本来の袴に近い装着感を発揮でき、装着後もずれ落ちの少ない袴を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態の一例である袴の斜視図である。
図2】同袴の、正面図である。
図3】同袴の、正面側上部拡大図である。
図4】同袴の、正面側上部の内面拡大図である。
図5】同袴の、背面図である。
図6】同袴の、背面側上部の内面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例である袴100について説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0019】
〈袴の構成〉
図1に示している通り、本発明の実施形態の一例として示した袴100は、簡易に着脱できる袴であって、正面110側上部に角帯に相当する角帯部材114と、十字形の結び目を模した装飾体112を縫い付けて備えると共に、2本の前紐116は、それぞれこの装飾体112から角帯部材114の左右端を介してそのまま左右に延びて構成されている。更にこれら2本の前紐116には面ファスナやバックルといった部材(別途の固定手段)を設けず敢えて紐のままの構成とされている。
【0020】
角帯部材114の表面側には、十字形の結び目を模した装飾体112から角帯部材114の左右端に向かってやや斜め上方を向いて配置される第1の紐様装飾体115と、当該第1の紐様装飾体115よりも表面側に配置され、角帯部材114の左右端を繋ぐように配置される第2の紐様装飾体113と、を備える。前紐116は、これら第1及び第2の紐様装飾体115、113よりも更に表面側に配置されている(図3参照)。なお、第2の紐様装飾体113の表面には、面ファスナ130bが備わっている。
【0021】
また、背面120側の上部には、腰板122が備わっている。当該腰板122の内側には、リボン形状の腰枕124が縫い付けて取り付けられている。また、当該腰枕124の上方にはヘラ126が備わっている。
【0022】
腰板122の左右には相対的に短く構成された第1の後紐127と、長く構成された第2の後紐128が備わっている。第1の後紐127の表面側には面ファスナ132bが備わっている(図5参照)。同様に、第2の後紐128の内面側には2つの面ファスナ130a、132aが備わっている(図1図6参照)。
【0023】
〈袴の装着手順〉
上着(長襦袢、着物など)を着た後で、袴100に足を入れ、高さを調整する。その後、2本の前紐116を後に回して腰部分で結んで固定する。通常は、これに先立って角帯を締めるが、本発明の実施形態の一例として示す袴100には、角帯部材114が備わっているため、角帯を締める作業は省略される。
【0024】
そして、前紐116の結び目(背面腰部に位置している)の上部に、背面120の腰板122内側に備わるヘラ126を差し込むようにして引っ掛けて固定した上で、第2の後紐128を前側に回すように面ファスナで固定する。この時、第2の後紐128に備わる面ファスナ130aは、正面側角帯部材114上にある第2の紐様装飾体113の更に上に配置される面ファスナ130bと面接触して固定される。もう一つの面ファスナ132aは、第1の後紐127の表面側に備わる面ファスナ132bと面接触して固定される。
【0025】
このように、本発明にかかる袴100の装着は非常に簡易である。特に、角帯を別途結ぶ必要もないし、後紐を十字形に結ぶ作業も必要ないため、袴を履き慣れない者であっても十分に且つ迅速に着付けが可能である。
【0026】
上記説明した通り、本願発明は、簡易に着脱できる袴100であって、正面110側上部に角帯に相当する角帯部材114と、十字形の結び目を模した装飾体112を縫い付けて備えると共に、2本の前紐116は、それぞれ装飾体112から角帯部材114の左右端を介してそのまま左右に延びた構成とした上で、これら2本の前紐116には面ファスナやバックルといった部材を設けずに互いに結び合うことで締結する構成となっている。
【0027】
このように構成したことによって、前紐116が十字形の結び目を模した装飾体112から「連続した一本の紐」として視覚的に把握されるため、見た目の高級感が増し安物感が助長され難い。更に、敢えてこの前紐116同士はそのまま結んで互いに締結する手法を採用している。即ち、前紐116同士の固定を面ファスナやバックルといった部材に頼っていない。これは前紐と後紐の両方を面ファスナのような取付手段にしてしまうと腰にしっかりと装着できず、使用している間に袴がずれ落ちることを回避するためである。特に、装着時に最初に結ぶ前紐116側に敢えて面ファスナ等の代替手段を用いないことによって、腰回りにしっかりと装着でき、更に背面側の腰板122部分をヘラ126を介して引っ掛ける際の基礎とすることができるため、後紐127、128側を面ファスナ等の固定手段に頼ったとしても、袴100全体をしっかりと腰に固定することが可能となっている。
【0028】
また、装飾体112から角帯部材114の左右端に向かってやや斜め上方を向いて配置される第1の紐様装飾体115と、当該第1の紐様装飾体115よりも表面側に配置され、角帯部材114の左右端を繋ぐように配置される第2の紐様装飾体113と、を備え、前紐116は、これら第1及び第2の紐様装飾体113、115よりも更に表面側に配置されているので、装着時、腰紐が本当に腰に巻回しているように見せることが可能となっている。
【0029】
また、背面120上部の内面には、リボン様の腰枕124が予め装着されている。当該部分は袴100を装着してしまうと見えなくなってしまう部分ではあるものの、袴100を選択する場面等においては視覚的に把握される部分であり、安物感を助長しない役割を発揮する。もちろん、本来の角帯を結んだ形状に近いので、袴100を装着した際の背面腰部の膨らみ方もより本来に近いものとなっている。
【符号の説明】
【0030】
100・・・袴
110・・・正面
112・・・(十字形)装飾体
113・・・第2の紐様装飾体
114・・・角帯部材
115・・・第1の紐様装飾体
116・・・前紐
120・・・背面
122・・・腰板
124・・・腰枕
126・・・ヘラ
127・・・第1の後紐
128・・・第2の後紐
130a、130b・・・第1の面ファスナ
132a、132b・・・第2の面ファスナ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-02-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
簡易に着脱できる袴であって、
前記袴を腰部に固定する手段として2本の前紐と2本の後紐のみを備え、
正面側上部に角帯に相当する角帯部材と、十字形の結び目を模した装飾体を縫い付けて備えると共に、
前記2本の前紐はそれぞれ、前記装飾体から前記角帯部材の左右端を介してそのまま左右に延びた構成とした上で、これら2本の前紐には面ファスナやバックルといった部材を設けずに互いに結び合うことによって背面腰部で締結する構成とし、
更に、前記2本の後紐は、一方が他方に比べて2倍以上の長さとなるように左右非対称に構成した上で互いに面ファスナによって固定される
ことを特徴とする袴。
【請求項2】
請求項1において、
前記装飾体から前記角帯部材の左右端に向かってやや斜め上方を向いて配置される第1の紐様装飾体と、
当該第1の紐様装飾体よりも表面側に配置され、前記角帯部材の左右端を繋ぐように配置される第2の紐様装飾体と、を備え、
前記前紐は、前記第1及び第2の紐様装飾体よりも更に表面側に配置されている
ことを特徴とする袴。
【請求項3】
請求項1又は2において、
背面上部の内面には、リボン様の腰枕が予め装着されている
ことを特徴とする袴。