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特開2022-37971無人飛行体の飛行経路作成方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037971
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】無人飛行体の飛行経路作成方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20220303BHJP
   G01C 21/20 20060101ALI20220303BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20220303BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220303BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20220303BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G01C21/20
G05D1/10
B64C39/02
B64F1/36
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142219
(22)【出願日】2020-08-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】503320061
【氏名又は名称】株式会社エネルギア・コミュニケーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 靖
(72)【発明者】
【氏名】空尾 英樹
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
2F129AA11
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC16
2F129CC17
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD40
2F129DD58
2F129DD62
2F129DD69
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE66
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129EE90
2F129FF02
2F129FF12
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF36
2F129FF60
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF64
2F129FF74
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH04
2F129HH12
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC02
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF33
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC08
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG08
5H301GG09
5H301HH01
5H301HH02
5H301LL01
5H301LL06
(57)【要約】
【課題】点検対象物の形状に沿った一定の離隔を有する無人飛行体の飛行経路を、必要最小限の操作で正確かつ自動的に行うことができる飛行経路作成方法を提供すること。
【解決手段】点検対象物の位置情報を含む地図情報を取得する、地図情報取得工程と、無人飛行体の飛行経路の始点及び終点の位置座標を設定する、位置座標設定工程と、飛行経路の点検対象物に対する一定の離隔を設定する離隔設定工程と、点検対象物の図面情報を取得する図面情報取得工程と、地図情報と、図面情報とを照合する地図図面照合工程と、位置座標、一定の離隔、及び地図図面照合工程の照合結果に基づき、飛行経路を作成する飛行経路作成工程と、を有する、無人飛行体の飛行経路作成方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点検対象物の位置情報を含む地図情報を取得する、地図情報取得工程と、
無人飛行体の飛行経路の始点及び終点の位置座標を設定する、位置座標設定工程と、
前記飛行経路の前記点検対象物に対する一定の離隔を設定する離隔設定工程と、
前記点検対象物の図面情報を取得する図面情報取得工程と、
前記地図情報と、前記図面情報とを照合する地図図面照合工程と、
前記位置座標、前記一定の離隔、及び前記地図図面照合工程の照合結果に基づき、前記飛行経路を作成する飛行経路作成工程と、を有する、無人飛行体の飛行経路作成方法。
【請求項2】
前記飛行経路作成工程は、
前記始点と前記終点とを結ぶ線を生成する工程と、
前記線上に複数のウェイポイントを配置する工程と、
前記始点、前記終点、及び前記複数のウェイポイントの位置座標を、前記一定の離隔及び前記照合結果に基づき修正する工程と、を有する、請求項1に記載の飛行経路作成方法。
【請求項3】
前記飛行経路作成工程は、前記始点、及び前記終点を含むウェイポイントの少なくともいずれかと緯度及び経度が同一であり高度が異なる複数のウェイポイントを生成する工程と、
前記複数のウェイポイントの高度に応じて前記ウェイポイントを前記無人飛行体が通過する順序を決定する工程と、を有する、請求項1又は2に記載の飛行経路作成方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の飛行経路作成方法に用いられるシステムであって、
前記地図情報を表示可能な画像表示部と、
前記位置座標の入力に用いられる入力部と、
前記図面情報が保存された図面情報データベースと、
前記地図情報が保存された地図情報データベースと、
前記図面情報及び前記地図情報を照合する照合部と、
前記飛行経路を作成する飛行経路作成部と、を有する、飛行経路作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体の飛行経路作成方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人飛行体の飛行経路を作成する飛行経路作成方法が知られている。従来の飛行経路作成方法は、地図上において無人飛行体が経由する地点を示すウェイポイントを手作業で設定することにより行われていた。ウェイポイントには緯度経度情報に加え、高度情報も含めて設定する必要がある。従って、例えば2次元の地図上でウェイポイントを設定した後に、高度情報を追加で設定する必要があり、非常に手間を要していた。また、手作業によるウェイポイントの設定は設定ミスの可能性があり、無人飛行体の衝突等のリスクが生じていた。
【0003】
そこで、無人飛行体の飛行計画経路の水平面のデータと、経路上の複数の位置の標高を示す高さ基準値と、経路上の建物の高度を取得し、無人飛行体の飛行経路を作成するシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-075075号公報
【0005】
特許文献1に開示された技術は、高層ビルなどの無人航空機の飛行の障害となり得る建造物に対して、迂回するように自動的に飛行経路を修正することができる。しかし、特定の形状を有する建造物や電線等の対象を点検するために、対象の形状に沿って一定の離隔を保ちながら、無人飛行体を飛行させる飛行経路の作成を自動的に行うことができる方法は存在していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、点検対象物の形状に沿った一定の離隔を有する無人飛行体の飛行経路を、必要最小限の操作で正確かつ自動的に行うことができる飛行経路作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、点検対象物の位置情報を含む地図情報を取得する、地図情報取得工程と、無人飛行体の飛行経路の始点及び終点の位置座標を設定する、位置座標設定工程と、前記飛行経路の前記点検対象物に対する一定の離隔を設定する離隔設定工程と、前記点検対象物の図面情報を取得する図面情報取得工程と、前記地図情報と、前記図面情報とを照合する地図図面照合工程と、前記位置座標、前記一定の離隔、及び前記地図図面照合工程の照合結果に基づき、前記飛行経路を作成する飛行経路作成工程と、を有する、無人飛行体の飛行経路作成方法に関する。
【0008】
(1)の発明によれば、点検対象物の形状に沿った一定の離隔を有する無人飛行体の飛行経路を、必要最小限の操作で正確かつ自動的に行う飛行経路作成方法を提供することができる。
【0009】
(2) 前記飛行経路作成工程は、前記始点と前記終点とを結ぶ線を生成する工程と、前記線上に複数のウェイポイントを配置する工程と、前記始点、前記終点、及び前記複数のウェイポイントの位置座標を、前記一定の離隔及び前記照合結果に基づき修正する工程と、を有する、(1)の飛行経路作成方法。
【0010】
(2)の発明によれば、無人飛行体の飛行経路を正確に作成できる。
【0011】
(3) 前記飛行経路作成工程は、前記始点、及び前記終点を含むウェイポイントの少なくともいずれかと緯度及び経度が同一であり高度が異なる複数のウェイポイントを生成する工程と、前記複数のウェイポイントの高度に応じて前記ウェイポイントを前記無人飛行体が通過する順序を決定する工程と、を有する、(1)又は(2)の飛行経路作成方法。
【0012】
(3)の発明によれば、高度が異なる複数のウェイポイントを有する飛行経路を必要最小限の操作で自動的に作成できる。
【0013】
(4) (1)~(3)のいずれかに記載の飛行経路作成方法に用いられるシステムであって、前記地図情報を表示可能な画像表示部と、前記位置座標の入力に用いられる入力部と、前記図面情報が保存された図面情報データベースと、前記地図情報が保存された地図情報データベースと、前記図面情報及び前記地図情報を照合する照合部と、前記飛行経路を作成する飛行経路作成部と、を有する、飛行経路作成システム。
【0014】
(4)の発明によれば、ユーザが保有する正確な図面情報と、外部から入手可能な地図情報とを組み合わせることで、容易に正確な飛行経路を作成する飛行経路作成システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る無人飛行体の飛行経路を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る飛行経路の設定及び作成状況を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る無人飛行体の飛行経路を示す模式図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る飛行経路の設定及び作成状況を示す図である。
図5】本発明の各実施形態に係る飛行経路作成方法を示すフローチャートである。
図6】本発明の各実施形態に係る飛行経路作成システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0017】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る無人飛行体の飛行経路作成方法は、図1に示すように、特定の形状を有する点検対象物である建造物Iを、無人飛行体Dを用いて点検するための飛行経路W1を作成する方法である。
【0018】
飛行経路W1は、建造物Iの例えば上方に一定の離隔Lを有して作成される。飛行経路W1は、飛行経路の始点WP1及び終点WP2を含む複数のウェイポイントを結ぶ経路である。上記複数のウェイポイントには、位置座標(緯度、経度、及び高度)に関する情報、及び、無人飛行体Dが各ウェイポイントを通過する順序に関する情報が含まれる。
【0019】
点検対象物としての建造物Iは、特に制限されないが、例えば、ビルディング、工場、道路建造物、橋、堤防、ダム、塔等である。本実施形態において、建造物Iは、屋根部分が水平位置によって高度が異なる複雑な形状を有している。
【0020】
無人飛行体Dは、特に限定されないが、例えば、ドローンや、ラジコン飛行機、ラジコンヘリ等の無人の飛行体である。無人飛行体Dは、ユーザによる操作により飛行可能であること以外に、無人飛行体Dの位置座標を取得できるGPS装置を有し、例えば外部の制御装置から飛行経路W1に関する情報を受信することで、予め設定された飛行経路W1を自動的に飛行することができる。
【0021】
無人飛行体Dには、例えば、可視光画像、赤外光画像等を撮影可能なカメラ装置が搭載され、手動又は自動で建造物Iを撮影することができる。無人飛行体Dは、例えば各ウェイポイントで建造物Iを自動的に撮影することができる。ユーザは、撮影された画像を例えば以前に同じウェイポイントで撮影された画像と比較することで、容易に建造物Iを点検することができる。
【0022】
次に、図2を参照して、飛行経路作成方法を使用するユーザ(以下、単に「ユーザ」と記載する場合がある)が飛行経路W1を作成する際の手順について説明する。従来の飛行経路W1の設定方法では、例えば2次元の地図M上において飛行経路W1の始点WP1と終点WP2の間に複数のウェイポイントを手動で設定し、その後、各ウェイポイントの高度情報を追加で設定することで、飛行経路W1を作成していた。このため、飛行経路を作成するユーザは、各ウェイポイントの緯度及び経度情報を地図上で入力するだけでなく、各ウェイポイントの高度情報も追加で入力しなければならず、入力の手間を要する上に設定ミスの可能性もあった。
【0023】
本実施形態に係る飛行経路W1作成方法では、例えば緯度、経度及び高度情報を含む2次元の地図M上で始点WP1と終点WP2の位置座標(緯度、経度及び高度情報)を入力し、次に飛行経路W1と建造物Iとの間の離隔Lを入力するという必要最小限の操作で、後は自動的に飛行経路W1を作成することができる。
【0024】
本実施形態に係る飛行経路W1作成方法は、図5に示すように、地図情報取得工程S1と、位置座標設定工程S2と、離隔設定工程S3と、図面情報取得工程S4と、地図図面照合工程S5と、飛行経路生成工程S6と、を有する。上記各工程において、位置座標設定工程S2及び離隔設定工程S3はユーザがデータを入力することで実行する必要があるが、他の工程はコンピュータ等の情報処理装置を用いて自動的に実行することができる。
【0025】
地図情報取得工程S1は、地図情報を取得する工程である。地図情報には、例えば2次元の地図M上における建造物Iの各地点の位置情報である、緯度、経度、及び高度情報が含まれる。本実施形態において、地図M上における各地点の高度情報は、点検対象物である建造物Iの高さ情報を含まない、地表面の高度情報であるものとする。上記以外に、地図情報には、建造物Iの形状に関する情報が含まれる。例えば、建造物Iを平面視した場合における長辺方向の長さである長さI11の情報が含まれる。更に、地図情報には、縮尺に関する情報も含まれる。
【0026】
位置座標設定工程S2は、飛行経路W1の始点WP1及び終点WP2の位置座標をユーザが設定する工程である。上記位置座標は、緯度情報及び経度情報を含む。位置座標設定工程S2は、例えば地図情報取得工程S1で取得した2次元の地図上の任意の点をユーザがプロットすることで行われる。位置座標設定工程S2において、始点WP1及び終点WP2以外の任意の点を更にユーザが設定してもよい。
【0027】
離隔設定工程S3は、飛行経路W1の建造物Iに対する一定の離隔Lをユーザが設定する工程である。上記離隔Lは、例えば建造物Iの上方を無人飛行体Dが飛行する場合、垂直上方の離隔として設定される。
【0028】
図面情報取得工程S4は、建造物Iの詳細な図面情報を取得する工程である。図面情報は、建造物Iの外形の形状データであり、例えばCADデータ等の電子データである。図面情報は、例えば3次元の形状データであってもよい。又は、建造物Iの断面形状が位置に依らず同一である場合、建造物Iの断面図等の2次元の形状データであってもよいし、建造物Iの断面形状が位置に依って異なる場合、複数の2次元の形状データであってもよい。図面情報は、建造物Iの実際のサイズに関する情報を含む。図面情報は、例えば建造物Iを図2における始点WP1と終点WP2とを結ぶ直線で切断した場合における断面図を図1であるとすると、建造物Iの端部の実際の高さI20と、建造物Iの幅方向の実際の長さI10に関する情報を含む。上記以外に、図面情報は、建造物Iの特定の位置に対応する実際のサイズに関する情報を含む。例えば、始点WP1と終点WP2とを結ぶ直線上に存在する点である、WP0の位置に対応する建造物Iの実際の高さI21に関する情報を含む。
【0029】
図面地図照合工程S5は、地図情報取得工程S1で取得した地図情報と、図面取得工程S4で取得した図面情報とを照合する工程である。図面地図照合工程S5は、図2における地図M上の各位置座標(緯度、経度、及び高度)に対して、例えば、建造物Iの高さ情報を追加する。例えば、始点WP1に対応する地表面上の座標が(X1、Y1、Z1)である場合、建造物Iの高さ情報を追加した位置座標は、(X1、Y1、Z1+I20)と示される。同様に、地表面上の座標(X2、Y2、Z2)であるWP0に対応する建造物Iの高さ情報を追加した位置座標は、(X2、Y2、Z2+I21)と示される。図面地図照合工程S5において、地図M上の建造物Iの所定の各位置に対して同様の追加処理が行われる。
【0030】
図面地図照合工程S5における上記照合は、例えば、建造物Iの図面情報を、建造物Iを平面視して2次元で示した場合の所定の各位置における高さ情報を示す集合データに変換する工程と、上記集合データを、例えば地図情報に含まれる縮尺に関する情報を用いて、地図M上に示された建造物Iのサイズに合わせて変換する工程と、上記変換されたデータを地図M上に2次元で示された建造物Iと重ね合わせ、所定の各位置の高さ情報と地図情報の位置座標とを組み合わせた照合データを作成する工程と、を実行することで行われる。ここで、上記照合データは十分な数を有するため、地図M上に2次元で示された建造物Iの各地点に対し、十分な精度で上記照合データを対応させ、建造物Iの高さ情報を追加することができる。
【0031】
飛行経路作成工程S6は、無人飛行体Dが飛行する複数のウェイポイントを作成することで、飛行経路W1を作成する工程である。飛行経路作成工程S6は、例えば、始点WP1と終点WP2とを結ぶ線を生成する工程と、上記生成された線上に複数のウェイポイントを配置する工程と、上記複数のウェイポイントの高度情報を、図面地図照合工程S5における照合結果に基づいて修正する工程と、を含む。
【0032】
始点WP1と終点WP2とを結ぶ線は、直線であってもよいし、ユーザが他に任意に指定した点を経由する曲線や折れ線であってもよい。始点WP1と終点WP2とを結ぶ線は、自動的に生成されてもよいし、ユーザにより作成されてもよい。上記以外に、自動的に作成された線をユーザが修正したものであってもよい。
【0033】
始点WP1と終点WP2とを結ぶ線上に複数のウェイポイントを配置する工程は、上記生成された線上に予め定められた所定の間隔で均等にウェイポイントを配置するものであってもよいし、ユーザが線上に任意に複数のウェイポイントを配置するものであってもよいし、ウェイポイント数やウェイポイント同士の間隔のみをユーザが設定するものであってもよい。複数のウェイポイントは自動的に配置されてもよいし、自動的に配置されたものをユーザが修正したものであってもよい。複数のウェイポイントは、地図M上における地表面の位置座標(緯度、経度、及び高度)と、無人飛行体Dが複数のウェイポイントを通過する順序に関する情報が含まれる。
【0034】
複数のウェイポイントの高度情報を修正する工程は、始点WP1及び終点WP2を含む、上記配置された複数のウェイポイントの高度情報を修正する。複数のウェイポイントに含まれる高度情報は、ウェイポイントが配置された段階では地図情報に基づく地表面上の高度情報である。これに対し、図面地図照合工程S5における照合データを対応させる。例えば、地表面上の座標が(X1、Y1、Z1)である始点WP1に対して照合データを対応させ、建造物Iの高さ情報を追加して位置座標を、(X1、Y1、Z1+I20)と修正する。更に、離隔設定工程S3においてユーザが設定した離隔Lを加味して、始点WP1の位置座標を、(X1、Y1、Z1+I20+L)と修正する。複数のウェイポイント全てに対し、上記修正が行われる。
【0035】
上記実施形態に係る飛行経路作成方法には、上記工程S1~S6以外の工程が含まれていてもよい。例えば、各ウェイポイントでホバリングするか否か等、飛行方法を決定する工程、機首方向を360°任意の方向に決定する機首方向決定工程、機首方向に応じたカメラ方向(例えば、チルト+40°~-90°)決定工程、カメラ装置の撮影方法を、常に動画で撮影する、各ウェイポイントで撮影する(動画又は静止画)、一定時間毎に静止画を撮影する、等の選択肢の中から選択する、撮影方法決定工程等が含まれていてもよい。これらの各工程における命令等は、各種飛行ソフトウェアの任意の命令フォーマットに自動的に変換される。
【0036】
上記実施形態に係る飛行経路作成方法によれば、点検対象物である建造物Iに対し一定の離隔Lを有する飛行経路W1を、必要最小限のユーザのデータ入力のみで、正確かつ自動的に作成することができる。上記作成された飛行経路W1をユーザが参照し、無人飛行体Dの自動飛行が行われる。
【0037】
《飛行経路作成システム》
次に、上記実施形態の飛行経路作成方法に用いられる飛行経路作成システムについて説明する。図6は、本実施形態に係る飛行経路作成システム1が主に備える機能を示す図である。
【0038】
飛行経路作成システム1は、情報処理装置100と、地図情報データベース200と、を含む。情報処理装置100は、パソコン、スマートフォン、又はタブレット端末等の種々の情報処理装置である。地図情報データベース200は、地図情報が保存された例えば外部のサーバ装置である。地図情報データベース200は、有線又は無線の通信回線302を通じてインターネット300と通信可能に構成される。情報処理装置100と地図情報データベース200とは、インターネット300を介して互いに通信可能である。
【0039】
情報処理装置100は、図6に示すように、記憶部101、入力部102、画像表示部103、図面情報データベース104、照合部105、飛行経路作成部106、及び通信部107を備える。これらの機能は機能的に区別されるものであり、各機能がそれぞれ独立したものであってもよいし、一部又は全ての機能が共通のプログラム等であってもよい。
【0040】
記憶部101には、入力部102を介してユーザにより設定された始点WP1及び終点WP2の位置座標や、飛行経路作成部106により作成された飛行経路に関する情報が記憶される。また、記憶部101には、後述する照合部105及び飛行経路作成部106の機能を実現するためのプログラムが記憶される。
【0041】
入力部102は、ユーザが始点WP1及び終点WP2の位置座標、及び一定の離隔Lを入力可能な機器である。入力部102は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル等のハードウェアにより構成される。
【0042】
画像表示部103は、地図情報データベース200から取得される地図情報や、ユーザが始点WP1及び終点WP2の位置座標を入力するための画面を表示する。上記地図情報と位置座標とは、重ね合わせて表示可能であってもよい。画像表示部103は、例えば液晶ディスプレイ等の公知の表示装置である。
【0043】
図面情報データベース104は、点検対象物である建造物のCADデータ等の図面情報が保存されたデータベースである。
【0044】
照合部105は、図面情報データベース104に保存された図面情報と、地図情報データベース200に保存された地図情報とを照合し、照合データを作成する機能を有する。
【0045】
飛行経路作成部106は、入力部102を介してユーザにより設定された始点WP1及び終点WP2の位置座標から複数のウェイポイントを作成し、かつ、始点WP1及び終点WP2を含む複数のウェイポイントを、照合部105により作成された照合データにより修正して飛行経路を作成する機能を有する。
【0046】
通信部107は、通信回線301等の通信手段を通じて外部と通信可能に構成される。通信回線301は有線又は無線の通信手段であり、インターネット300と通信可能に構成される。
【0047】
上記本実施形態に係る飛行経路作成システムによれば、ユーザが保有する点検対象物の正確な図面データを、外部から取得可能な地図データと組み合わせることで、正確な飛行経路を容易に作成することができる。
【0048】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。上記実施形態で説明した箇所については、説明を省略する場合がある。
【0049】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る無人飛行体の飛行経路作成方法は、図3に示すように、特定の形状を有する点検対象物である建造物Iaを、無人飛行体Dを用いて点検するための飛行経路W2を作成する方法である。
【0050】
飛行経路W2は、緯度及び経度が同一であり、高度が異なる複数のウェイポイントを含む。このような飛行経路W2は、例えば建造物Iaの各階層を点検するための経路である。上記複数のウェイポイントは、建造物Iaとの間に一定の離隔Lを有する。本実施形態において、一定の離隔Lは、建造物Iaに対する水平方向の離隔として設定される。
【0051】
図4を参照して、ユーザが本実施形態に係る飛行経路W2を作成する際の入力手順について説明する。位置座標設定工程S2において、ユーザは、飛行経路W2の始点WP10、経由点WP20、及び終点WP30を2次元の地図M上で入力する。次に、ユーザは、離隔設定工程S3において、建造物Iaとの離隔Lを設定して入力する。更に、ユーザは、始点WP10、経由点WP20、及び終点WP30と緯度及び経度が同一であり、高度が異なるウェイポイントを生成する数又は間隔を設定してもよい。
【0052】
図面情報取得工程S4において、建造物Iaの詳細な図面情報を取得する。図面情報は、建造物Iaの外形の3次元形状データであり、例えばCADデータ等の電子データである。図面情報は、図3に示す建造物Iの幅方向の実際の長さIa10や、実際の高さIa20に関する情報を含む。
【0053】
図面地図照合工程S5において、図4における地図M上の各位置座標(緯度、経度、及び高度)に対して、例えば、建造物Iaの高さ情報を追加する。例えば、建造物Ia上のある地点に対応する地表面上の座標が(X1、Y1、Z1)である場合、建造物Iaの高さ情報を追加した位置座標は、(X1、Y1、Z1+I20a)と示される。上記照合は、第1実施形態と同様、地図M上で幅Ia11を有する建造物Iaのサイズに合わせて、建造物Iaの図面情報と地図情報を照合した照合データを作成することにより行われる。
【0054】
飛行経路作成工程S6は、例えば、各ウェイポイントである始点WP10、経由点WP20、及び終点WP30を一定の離隔Lに基づいて修正する工程と、上記各ウェイポイントを結ぶ線を生成する工程と、上記各ウェイポイントと緯度及び経度が同一であり、高度が異なるウェイポイントを複数作成する工程と、生成された複数のウェイポイントの高度情報に基づき、各ウェイポイントを無人飛行体Dが通過する順序を決定する工程と、を含む。
【0055】
各ウェイポイントを一定の離隔Lに基づいて修正する工程では、各ウェイポイントの位置座標における緯度及び経度情報を、建造物Iaから一定の離隔Lを有するように修正する。
【0056】
各ウェイポイントを結ぶ線を生成する工程では、例えば図4における2次元の地図M上で、建造物Iaと一定の離隔Lを有する、各ウェイポイントを結ぶ線を生成する。この際に、例えば無人飛行体Dの方向を変える地点にウェイポイントを追加して作成してもよい。
【0057】
各ウェイポイントと緯度及び経度が同一であり、高度が異なるウェイポイントを複数作成する工程では、例えば建造物Iaの実際の高さIaに対して、高度が異なるウェイポイントが複数作成される。上記複数のウェイポイントは、所定の間隔又は数で作成されるものであってもよいし、建造物Iaの図面情報に含まれるオブジェクト情報(例えば、建造物の窓の位置情報)に対応して作成されるものであってもよい。上記複数のウェイポイントは、所定の間隔又は数をユーザが設定することで、又は図面情報に基づき自動的に作成される。作成された各ウェイポイントは、ユーザが編集可能であってもよい。
【0058】
作成された複数のウェイポイントの高度情報に基づき、各ウェイポイントを無人飛行体Dが通過する順序を決定する工程では、2次元の地図M上で作成された各ウェイポイントを結ぶ線を、3次元上の線として変換する。具体的には、作成された複数のウェイポイントの高度情報に基づき、例えば図3において高度が低い順であるWP11、WP21、WP31の順で各ウェイポイントを無人飛行体Dが通過する順序を決定する。上記順序の決定は高度情報に基づき自動的に行われ、決定後にユーザが編集可能であってもよい。
【0059】
上記第2実施形態に係る飛行経路作成方法によれば、高度のみを変更した複数のウェイポイントを最低限の操作で自動的に作成することができ、かつ、各ウェイポイントを無人飛行体Dが通過する順序を自動的に決定して飛行経路W2を作成することができる。
【0060】
以上、本実施形態の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。
【0061】
上記実施形態において、地図情報は高度情報を含む2次元の地図上に表される情報として説明したが、上記に限定されない。地図情報は緯度、経度及び高度情報を含むものであれば特に限定されず、3次元の地図上に表される情報であってもよい。
【0062】
第1実施形態において、離隔Lを、点検対象物としての建造物Iに対する垂直上方の離隔として設定されるものとして説明したが、上記に限定されない。離隔Lは、点検対象物に対する水平方向の離隔として設定されてもよい。この場合、例えば建造物Iの断面を示す図面上に配置されたウェイポイントの緯度情報又は経度情報を、図面情報と地図情報との照合データに基づき修正することで飛行経路を作成することができる。
【0063】
第2実施形態において、地図情報データベース200は、情報処理装置100とインターネットを介して接続可能な外部のサーバ装置として説明したが、上記に限定されない。地図情報データベース200は、外部から取得可能な情報であればよく、外部から取得されたデータが情報処理装置100に保存されたものであってもよい。従って、地図情報データベース200は、情報処理装置100と、インターネットを介して随時通信可能である必要はない。
【符号の説明】
【0064】
1 飛行経路作成システム
102 入力部
103 画像表示部
104 図面情報データベース
105 照合部
106 飛行経路作成部
200 地図情報データベース
D 無人飛行体
I、Ia 建造物(点検対象物)
L 離隔
W1,W2 飛行経路
WP1、WP10 始点
WP2、WP30 終点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2020-12-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点検対象物の位置情報を含む地図情報を取得する、地図情報取得工程と、
無人飛行体の飛行経路の始点及び終点の位置座標を設定する、位置座標設定工程と、
前記飛行経路の前記点検対象物に対する一定の離隔を設定する離隔設定工程と、
前記点検対象物の図面情報を取得する図面情報取得工程と、
前記地図情報と、前記図面情報とを照合する地図図面照合工程と、
前記位置座標、前記一定の離隔、及び前記地図図面照合工程の照合結果に基づき、前記飛行経路を作成する飛行経路作成工程と、を有し、
前記地図情報は、縮尺に関する情報を含み、
前記地図図面照合工程は、
前記図面情報を、前記点検対象物の所定の各位置における高さ情報を示すデータに変換する工程と、
前記高さ情報を示すデータを、前記縮尺に関する情報を用いて前記地図情報上のサイズに変換する工程と、を含む、無人飛行体の飛行経路作成方法。
【請求項2】
前記飛行経路作成工程は、
前記始点と前記終点とを結ぶ線を生成する工程と、
前記線上に複数のウェイポイントを配置する工程と、
前記始点、前記終点、及び前記複数のウェイポイントの位置座標を、前記一定の離隔及び前記照合結果に基づき修正する工程と、を有する、請求項1に記載の飛行経路作成方法。
【請求項3】
前記飛行経路作成工程は、前記始点、及び前記終点を含むウェイポイントの少なくともいずれかと緯度及び経度が同一であり高度が異なる複数のウェイポイントを生成する工程と、
前記複数のウェイポイントの高度に応じて前記ウェイポイントを前記無人飛行体が通過する順序を決定する工程と、を有する、請求項1又は2に記載の飛行経路作成方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の飛行経路作成方法に用いられるシステムであって、
前記地図情報を表示可能な画像表示部と、
前記位置座標の入力に用いられる入力部と、
前記図面情報が保存された図面情報データベースと、
前記地図情報が保存された地図情報データベースと、
前記図面情報及び前記地図情報を照合する照合部と、
前記飛行経路を作成する飛行経路作成部と、を有する、飛行経路作成システム。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点検対象物の位置情報を含む地図情報を取得する、地図情報取得工程と、
無人飛行体の飛行経路の始点及び終点の位置座標を設定する、位置座標設定工程と、
前記飛行経路の前記点検対象物に対する一定の離隔を設定する離隔設定工程と、
前記点検対象物の図面情報を取得する図面情報取得工程と、
前記地図情報と、前記図面情報とを照合する地図図面照合工程と、
前記位置座標、前記一定の離隔、及び前記地図図面照合工程の照合結果に基づき、前記飛行経路を作成する飛行経路作成工程と、を有し、
前記地図情報は、縮尺に関する情報を含み、
前記図面情報は、前記点検対象物の外形の形状データであり、前記点検対象物の複数の位置に対応する実際のサイズに関する情報を含み、
前記地図図面照合工程は、
前記図面情報を、前記点検対象物の所定の各位置における高さ情報を示すデータに変換する工程と、
前記高さ情報を示すデータを、前記縮尺に関する情報を用いて前記地図情報上のサイズに変換する工程と、を含み、
前記飛行経路作成工程は、
前記始点と前記終点とを結ぶ線を生成する工程と、
前記線上に複数のウェイポイントを配置する工程と、
前記始点、前記終点、及び前記複数のウェイポイントの位置座標を、前記一定の離隔及び前記照合結果に基づき修正する工程と、を有する、無人飛行体の飛行経路作成方法。
【請求項2】
前記飛行経路作成工程は、前記始点、及び前記終点を含むウェイポイントの少なくともいずれかと緯度及び経度が同一であり高度が異なる複数のウェイポイントを生成する工程と、
前記複数のウェイポイントの高度に応じて前記ウェイポイントを前記無人飛行体が通過する順序を決定する工程と、を有する、請求項に記載の飛行経路作成方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の飛行経路作成方法に用いられるシステムであって、
前記地図情報を表示可能な画像表示部と、
前記位置座標の入力に用いられる入力部と、
前記図面情報が保存された図面情報データベースと、
前記地図情報が保存された地図情報データベースと、
前記図面情報及び前記地図情報を照合する照合部と、
前記飛行経路を作成する飛行経路作成部と、を有する、飛行経路作成システム。