(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038067
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】光無線による管内通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/112 20130101AFI20220303BHJP
【FI】
H04B10/112
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142353
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000217653
【氏名又は名称】電気興業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193389
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 智利
(72)【発明者】
【氏名】藤田 正人
(72)【発明者】
【氏名】木本 颯
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】土谷 滝
(72)【発明者】
【氏名】吉田 潤
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA21
5K102AD01
5K102AL23
5K102AL25
5K102KA13
5K102KA42
5K102PB01
5K102PC12
5K102PH31
(57)【要約】
【課題】細い閉空間でも無線通信を実現することを課題とする。特に、細い閉空間でも光無線通信により高速な無線通信を実現することを課題とする。
【解決手段】管内通信システムは、発光部、受光部、管状体を有し、前記受光部は、前記発光部と前記管状体を介して配置され、前記発光部からの通信光を受光する光無線による管内通信システムである。前記管状体は長さL、直径φであり、前記φが1cm以上であり、前記発光部は、前記受光部を見込む方向を中心に、所定の頂角の範囲内で前記通信光を発する発光方向調整部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部、受光部、管状体を有し、
前記受光部は、前記発光部と前記管状体を介して配置され、前記発光部からの通信光を受光する光無線による管内通信システムであって、
前記管状体は長さL、直径φであり、
前記φが1cm以上であり、
前記発光部は、前記受光部を見込む方向を中心に、所定の頂角の範囲内で前記通信光を発する発光方向調整部を有する、光無線による管内通信システム。
【請求項2】
前記管状体が構造物である、請求項1に記載の光無線による管内通信システム。
【請求項3】
前記管状体の内面は、前記通信光に対して反射率RがR>0.01であり、
前記発光部から前記受光部まで前記管状体が直線状に配置されない場合でも、前記通信光が前記管状体の内面を反射して前記受光部に到達することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の管内通信システム。
【請求項4】
前記直径φおよび長さLがφ/L<0.1を満たす、請求項1ないし3のいずれかに記載の光無線による管内通信システム。
【請求項5】
前記管状体の長さLが10cmであり、前記管状体の設置可能なたわみdLの範囲がdL/L<0.1の構造物である、請求項1ないし4のいずれかに記載の光無線による管内通信システム。
【請求項6】
前記受光部は、前記発光部を見込む方向を中心に、所定の頂角の範囲内で前記通信光を受ける受光方向調整部を有する、請求項1ないし5のいずれかに記載の光無線による管内通信システム。
【請求項7】
前記受光部は、前記通信光を選択的に透過するフィルタを有する、請求項1ないし6のいずれかに記載の光無線による管内通信システム。
【請求項8】
前記管状体が内面に鏡面を有する、請求項1ないし7のいずれかに記載の光無線による管内通信システム。
【請求項9】
前記管状体が内部に可動部を有する、請求項1ないし8のいずれかに記載の光無線による管内通信システム。
【請求項10】
前記管状体が移動体または歩行者が移動するトンネルである、請求項1ないし9のいずれかに記載の光無線による管内通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内の通信の無線化を光無線にて行う、光無線による管内通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル等も含む管状のような細い閉空間における通信の大容量の無線化は困難であった。このため、有線による通信を用いる、もしくは、通信自体を断念していた。
下水管の保守などにおいて、電波により通信を無線化することも考えられるが、通信プロトコルを簡素化して通信の品質は落とすなど、対応が求められていた。
他方、光通信が知られるようになっている(非特許文献1)。
また、限られたスペースにおいて部材間での赤外光などによる信号の授受(特許文献1)や、トンネル内での光通信(特許文献2)も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-3487号公報
【特許文献2】特開2017-50787号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「光ワイヤレス通信と赤外線技術」日本赤外線学会誌、第13巻2号、2004年、高野忠
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は電波による無線化が検討されていた。しかし、閉空間における通信において、電波による無線化は、フレネルゾーンとして知られるように電波の特性から難しく、通信を行う閉空間が細いほど困難であった。ここで細いとは、通信を行う閉空間の長さをL、平均的な直径φとして、φ/Lが小さいことを言う。
また、光通信などでも、発光部と受光部とが直線状に結ばれた空間での通信、あるいは、開空間に近い状態での通信が前提とされている。
そこで、本発明は、細い閉空間でも無線通信を実現することを課題とする。特に、細い閉空間でも光無線通信により高速な無線通信を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1にかかる光無線による管内通信システムは、
発光部、受光部、管状体を有し、
前記受光部は、前記発光部と前記管状体を介して配置され、前記発光部からの通信光を受光するものであって、
前記管状体は長さL、直径φであり、
前記φが1cm以上であり、
前記発光部は、前記受光部を見込む方向を中心に、所定の頂角の範囲内で前記通信光を発する発光方向調整部を有する、光無線による管内通信システムである。
本構成により、従来では通信の難しかった管状体において光無線通信が可能となる。
本発明の請求項2にかかる光無線による管内通信システムは、
前記管状体が構造物である、請求項1に記載の光無線による管内通信システムである。
本構成により、金属、コンクリート、または、セラミック製の構造物などにおいても光無線通信が可能となる。
本発明の請求項3にかかる光無線による管内通信システムは、
前記管状体の内面は、前記通信光に対して反射率RがR>0.01であり、
前記発光部から前記受光部まで前記管状体が直線状に配置されない場合でも、前記通信光が前記管状体の内面を反射して前記受光部に到達することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の管内通信システムである。
本構成では、管状体の内面が通信光に対して反射率R>0.01であり、かつ、発光部が発光方向調整部を有することから、管状体が直線状に配置されない場合でも、通信光が管状体の内面を反射して受光部に到達し、光無線通信が可能となる
本発明の請求項4にかかる光無線による管内通信システムは、
前記直径φおよび長さLがφ/L<0.1を満たす、請求項1ないし3のいずれかに記載の光無線による管内通信システムである。
本構成により、φ/L<0.1の細い管状体においても光無線通信が可能となる。
本発明の請求項5にかかる光無線による管内通信システムは、
前記管状体の長さLが10cm以上であり、前記管状体の設置可能なたわみdLの範囲がdL/L<0.1の構造物である、請求項1ないし4のいずれかに記載の光無線による管内通信システムである。
本構成により、dL/L<0.1の構造物においても光無線通信が可能となる。
本発明の請求項6にかかる光無線による管内通信システムは、
前記受光部は、前記発光部を見込む方向を中心に、所定の頂角の範囲内で前記通信光を受ける受光方向調整部を有する、請求項1ないし5のいずれかに記載の光無線による管内通信システムである。
本構成により、受光部において外乱光などの影響を抑えることができ、より長い距離での光無線通信など、効率の良い光無線通信が可能となる。
本発明の請求項7にかかる光無線による管内通信システムは、
前記受光部は、前記通信光を選択的に透過するフィルタを有する、請求項1ないし6のいずれかに記載の光無線による管内通信システムである。
本構成により、受光部において外乱光などの影響を抑えることができ、より長い距離での光無線通信など、効率の良い光無線通信が可能となる。
本発明の請求項8にかかる光無線による管内通信システムは、
前記管状体が内面に鏡面を有する、請求項1ないし7のいずれかに記載の光無線による管内通信システムである。
本構成により、管状体の内面にある鏡面において通信光のほぼすべてを反射することができ、より長い距離での光無線通信など、効率の良い光無線通信が可能となる。
本発明の請求項9にかかる光無線による管内通信システムは、
前記管状体が内部に可動部を有する、請求項1ないし8のいずれかに記載の光無線による管内通信システムである。
本構成により、管状体の内部に回転体などの可動部があって発光部と受光部とを結ぶ直線が移動体により断続的あるいは恒常的にさえぎられる場合や、管状体自体が回転するなど管状体の一部または全てが可動部であって有線による通信が難しい場合でも、光無線通信が可能となる。
本発明の請求項10にかかる光無線による管内通信システムは、
前記管状体が移動体または歩行者が移動するトンネルである、請求項1ないし9のいずれかに記載の光無線による管内通信システムである。
従来は電波などによる通信が難しかったトンネルであっても、本構成により、高速な光無線通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施例における光無線による管内通信システムの構成例を示す。
【
図2】本発明の一実施例における管状体の断面を示す。
【
図3】本発明の一実施例における管状体の断面を示す。
【
図4】本発明の一実施例における管状体の断面を示す。
【
図5】本発明の一実施例における光無線による管内通信システムの構成例を示す。
【
図6】本発明の一実施例における発光部の説明図である。
【
図7】本発明の一実施例における発光部の構成例を示す。
【
図8】本発明の一実施例における発光部の構成例を示す。
【
図9】本発明の一実施例における、管状体の例を示す。
【
図10】本発明の一実施例における、受光部の構成例を示す。
【
図11】本発明の一実施例における、受光部の構成例を示す。
【
図13】本発明の一実施例における受光部の状態を示す。
【
図14】本発明の一実施例における、受光部の構成例を示す。
【
図15】本発明の一実施例におけるフィルタの特性の例を示す。
【
図16】本発明の一実施例におけるフィルタの特性の例を示す。
【
図17】本発明の一実施例における、光無線による管内通信システムの構成例を示す。
【
図18】本発明の一実施例における、光無線による管内通信システムの構成例を示す。
【
図19】本発明の一実施例における、光無線による管内通信システムの構成例を示す。
【
図20】本発明の一実施例における、光無線による管内通信システムの構成例を示す。
【
図21】本発明の一実施例における管状体の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施例における光無線による管内通信システム10の構成例を示す。また、
図2、
図3、および、
図4は、本発明の実施例における管状体50の断面を示す。なお、本明細書では、光無線による管内通信システム10を、単に管内通信システム10と略すことがある。
【0009】
図1に示されるように、管内通信システム10は、発光部20、受光部30、および、管状体50を有する。
受光部30は、発光部20に対して管状体50を介して配置され、発光部20からの通信光40を受光する。
管状体50は長さL、直径φである。ここで直径φは1cm以上である。管状体50は直線状でも、後述の例のように曲がっていてもよい。また、直径φは平均的あるいは典型的な値であって一部が異なってもよい。つまり、
図2に示されるような断面が円形のものでも、
図3に示されるような正方形、あるいは、
図4に示されるような正八角形や、断面が長方形などでもよい。断面が円形以外の場合、直径φは、断面を同じ面積の円に置き換えた場合の直径を示すこととする。
【0010】
一実施例において、管状体50は構造物である。一例において、構造物は、その主要部分が金属、コンクリート、セラミック製である。
構造物とは、構造物自体であってもよく、あるいは、構造物内に設置される自立可能な物体であってもよいが、光ファイバは構造物に含まれないことは言うまでもない。また、構造物内の環境に対応できないものは除かれる。自立可能とは、継ぎ足すことのできる管状体など、自重によって形状を大きく変えてしまうことがないものを示す。また、構造物には、構造物自体でなくとも、構造物の内面に貼り付けることができ、かつ、構造物内の環境に対応できるものを含む。以上の条件を満たせば、紙製でもよい。
【0011】
構造物としては、φが1cm以上であることが望ましい。所定の長さを有する構造物において、φが小さいと、構造物の形状の変化により光通信が困難となる場合があるが、通常の構造物であれば、φが1cm以上あれば、たわみなどの構造物の形状の変化があっても、光通信が可能である。
本構成により、構造物においても光無線通信が可能となる。
【0012】
図5は、本発明の一実施例における光無線による管内通信システム10の構成例を示す。
管状体50の内面51は、通信光40に対して反射率RはR>0.01を満たし、好ましくはR>0.1を満たす。ここで反射率Rとは入射する光束と反射される光束との比で示されるものであり、典型的な値、つまり、管状体50の内面51の大半における反射率を示す。管状体50が接続部や関節部などを有する場合には、一部に異なる反射率を有する素材を用いてもよい。
図5に示されるように、発光部20から受光部30まで管状体50が直線状に配置されない場合でも、通信光40が管状体50の内面51を反射して受光部30に到達する。
【0013】
図6は本発明の一実施例における発光部20の説明図を示し、
図7、
図8は、本発明の一実施例における発光部20の構成例を示す。
発光部20は、受光部30を見込む方向を中心に、所定の頂角の範囲内で、具体的には、頂角が略θ1の範囲内で通信光40を発する発光方向調整部21を有する。
θ1は180度以下であれば効果を奏することができるが、構造物では通常、後述のdL/Lが0.1以下であることから、θ1は24度以下であることが望ましく、本実施例の適用が想定される多くの構造物ではdL/Lが0.05以下であることから、θ1は12度以下であることがさらに望ましい。
発光方向調整部21は、
図7に示されるようにレンズでもよく、あるいは、
図8に示されるように発光部20の発光方向に配置され、パラボリックなど外側に凸形状として発光方向を絞り込む部材や、その他の機構でもよい。
【0014】
ここで頂角は、
図6に示されるように発光部20の中心および通信光40を通る断面において、発光部20の中心に対して、発光できる通信光40の角度、または、発光部20において有効な通信光40を発光できる角度を示す。後述の受光部30における頂角θ2についても同様に、受光部30の中心および通信光40を通る断面において、受光部30の中心に対して、受光できる通信光40の角度、または、受光部30において有効な通信光40を受光できる角度を示す。
また、「受光部を見込む方向」とは、管状体50の設置時に、通信光40が最も受光部30に届く方向に略一致する方向をいい、厳密に一致するものでなくともよい。なぜなら、設置時の管状体50の曲がり方は予想できないことが多いためである。本発明では通信光40に対して反射率R>0.01の管状体50の内面51により通信が可能となる。
【0015】
通信光40における反射率の、他の波長の光における反射率に対する比が、より高くなるよう、内面を加工してもよい。
本構成により、管状体50において光無線通信が可能となる。また、管状体50の内面51が通信光40に対して反射率R>0.01であり、かつ、発光部20が発光方向調整部21を有することから、管状体50が直線状に配置されない場合でも、通信光40が管状体50の内面51を反射して受光部30に到達し、光無線通信が可能となる。
【0016】
一実施例において、管状体50は、直径φおよび長さLがφ/L<0.1を満たす。一例において、φ=0.3m、L=30mである。
本構成により、φ/L<0.1の細い管状体50においても光無線通信が可能となる。
【0017】
図9は、本発明の一実施例における、管状体50の例を示す。
管状体50の長さLが10cm以上であり、管状体50の設置可能なたわみdLの範囲がdL/L<0.1である。管状体としては、Lが10cmであれば、電波による無線通信に比べて光通信による有利な効果が見られるが、Lが1m以上のものであれば、光通信による有利な効果がさらに顕著となる。
本構成により、dL/L<0.1の構造物などたわみを生じるものにおいても光無線通信が可能となる。
【0018】
図10、
図11は、本発明の一実施例における、受光部30の構成例を示し、
図12は比較例を、
図13は、本実施例における受光部30の状態を示す。
受光部30は、発光部20を見込む方向を中心に、所定の頂角の範囲内で、具体的には、頂角が略θ2の範囲内で通信光40を受ける受光方向調整部31を有する。
【0019】
受光方向調整部31は、
図10に示されるようにレンズでもよく、あるいは、
図11に示されるように受光部30の受光方向に配置され、パラボリックなど外側に凸形状として受光方向を絞り込む部材や、その他の機構でもよい。
図12に示されるように受光部30が受光方向調整部31を有しない比較例の場合、外乱光が受光部30に入射してしまうが、本実施例では
図13に示されるように受光部30が受光方向調整部31を有するため、外乱光が受光部30に入射するのを防止し、主に通信光40を受光することができる。
【0020】
θ2は120度以下程度で十分効果を奏するが、前述のように、好ましくは24度以下が望ましく、さらに好ましくは12度以下が望ましい。
本構成により、受光部30において外乱光などの影響を抑えることができ、より長い距離での光無線通信など、効率の良い光無線通信が可能となる。
【0021】
図14は、本発明の一実施例における、受光部30の構成例を示し、
図15、
図16は本実施例におけるフィルタ32の特性の例を示す。ここで通信光40の波長をλ0、主な外乱光の波長をλ1とする。
本実施例において、受光部30は、通信光40が入射する方向に、つまり、通信光40を受光するセンサ33の前面に、通信光を選択的に透過するフィルタ32を有する。ここで「通信光を選択的に透過する」とは、フィルタ32に入る光より、フィルタ32を通過する光の方が、通信光40の割合が多くなることを意味する。
【0022】
そのため、フィルタ32は、
図15に示されるように主に通信光40を透過させるものでもよく、あるいは、
図16に示されるように主な外乱光を遮断するものでもよい。つまり、管状体50が車両の通過するトンネルである場合、車両のヘッドランプを透過させないようにするなど、典型的なノイズ光を遮断することにより、受信した光に対する通信光40の割合を向上させるものでもよい。特に、トンネルなど、通信光40の到来方向と外乱光の到来方向が同じである場合、受光方向調整部31だけでは外乱光の影響を排除することは十分でないが、外乱光と異なる波長の通信光40を用い、主な外乱光を遮断するフィルタ32を用いることにより、外乱光の影響を抑えることができる。
本構成により、受光部30において外乱光などの影響を抑えることができ、より長い距離での光無線通信など、効率の良い光無線通信が可能となる。
【0023】
図17は、本発明の一実施例における、光無線による管内通信システム10の構成例を示す。
本実施例において、管状体50は内面に鏡面52を有する。
本構成により、管状体50の内面51にある鏡面52において通信光40のほぼすべてを反射することができ、より長い距離での光無線通信など、効率の良い光無線通信が可能となる。
【0024】
図18、
図19、および、
図20は、本発明の一実施例における、光無線による管内通信システム10の構成例を示す。
図18に示される実施例において、管状体50は内部に可動部53としての回転体54を有する。
発光部20から受光部30へ直線的に向かう通信光40は、回転体54により、断続的に遮断される。しかし、管状体50の内面51を通信光40が反射することにより、通信光40は発光部20から受光部30に届き、光無線通信が可能となる。
【0025】
図19に示される実施例において、管状体50は可動部53である回転部55を有する。
光ファイバなどで有線により通信を行おうとすると、回転部55に光ファイバなどが巻き込まれて断線し、通信は困難である。しかし、本実施例では、通信光40を用いるため、通信光40は回転部55を通過し発光部20から受光部30に到達できる。これにより、通信光40は発光部20から受光部30に届き、光無線通信が可能となる。
【0026】
図20に示される実施例において、管状体50は内部に可動部53としての回転体54、および、可動部53としての回転部55を有する。
発光部20から受光部30へ直線的に向かう通信光40は、回転体54により、断続的に遮断される。しかし、管状体50の内面51を通信光40が反射することにより、通信光40は発光部20から受光部30に届き、光無線通信が可能となる。しかも、管状体50の内面51が回転している場合でも、本実施例において通信光40は問題なく反射するため、通信光40は発光部20から受光部30に届き、光無線通信が可能となる。
【0027】
本構成により、管状体50の内部に回転体54などの可動部53があって発光部20と受光部30とを結ぶ直線が移動体61により断続的あるいは恒常的にさえぎられる場合や、管状体50が回転部55を有する、つまり、管状体50自体が回転するなど管状体50の一部または全てが可動部53であって有線による通信が難しい場合でも、光無線通信が可能となる。
【0028】
図21は、本発明の一実施例における管状体50の構成例を示す。
本実施例において、管状体50は移動体61または歩行者62が移動するトンネルである。
従来は電波などによる通信が難しかったトンネルであっても、本構成により、高速な光無線通信が可能となる。
【0029】
本発明は以上の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な実施例を含むことは言うまでもない。
例えば、実施例では通信光として可視光を用いているが、赤外光なども用いてもよい。
【0030】
単一の波長の光だけでなく、複数の波長の光を併用してもよい。状況に応じて、より通信に有利な波長の光を選択して通信を行う、あるいは、併用することにより、通信の安定性を向上させることができる。
発光部や受光部は、それぞれ複数でもよい。
管状体は複数でもよい。この場合、それぞれの管状体を通過する通信光に応じて通信を行う。
管状体50は必ずしも完全に閉じたものである必要はなく、下水道管など、一部に開口部を有するものでもよい。つまり、全体としてみた場合に管状体であればよく、その太さも場所により異なるものでもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 管内通信システム
20 発光部
21 発光方向調整部
30 受光部
31 受光方向調整部
32 フィルタ
33 センサ
40 通信光
50 管状体
51 管状体の内面
52 鏡面
53 可動部
54 回転体
55 回転部
61 移動体
62 歩行者