(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038118
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】バッテリーパックの搭載構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20220303BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20220303BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20220303BHJP
【FI】
B62D25/20 H
B60K1/04 Z
H01M2/10 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142440
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井口 正晴
(72)【発明者】
【氏名】岡田 雄介
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D203AA31
3D203BB07
3D203BB24
3D203BB25
3D203CA26
3D203DB05
3D235AA02
3D235BB05
3D235CC14
3D235DD26
3D235FF06
3D235FF07
3D235FF12
3D235HH25
5H040AA02
5H040AA07
5H040AA37
5H040AS04
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040CC59
5H040JJ03
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】バッテリーパックの車室内への突出量を抑制しつつ、車両が後突された場合であってもリアフロアパネルの上に搭載されたバッテリーパックを保護できるバッテリーパックの搭載構造を提供する。
【解決手段】バッテリーパックの搭載構造は、車両幅方向に沿って延在するクロスメンバの上面及び後面に重なるように固定される前側メンバと、前側メンバの車両前後方向後方において車両幅方向に沿って設けられる後側メンバと、車両幅方向中央域において車両前後方向に沿って設けられ、一端が前側メンバに支持され、他端が後側メンバに支持された中央メンバと、中央メンバの側方にて前側メンバと後側メンバとに架け渡され、バッテリーパックの搭載領域を形成するとともにバッテリーパックの車両前後方向前側が後側よりも高くなるように傾斜配置された第1支持フレームと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアフロアパネルの上方にバッテリーパックが搭載されるバッテリーパックの搭載構造であって、
車両幅方向に沿って延在するクロスメンバの上面及び後面に重なるように固定される前側メンバと、
前記前側メンバの車両前後方向後方において前記車両幅方向に沿って設けられる後側メンバと、
前記車両幅方向中央域において車両前後方向に沿って設けられ、一端が前記前側メンバに支持され、他端が前記後側メンバに支持された中央メンバと、
前記中央メンバの一方の側方において前記前側メンバと前記後側メンバとに架け渡され、バッテリーパックの搭載領域を形成するとともに前記バッテリーパックの車両前後方向前側が後側よりも高くなるように傾斜配置された第1支持フレームと、
を備える、
バッテリーパックの搭載構造。
【請求項2】
前記前側メンバは、前記クロスメンバの上面においてのみ固定される、
請求項1に記載のバッテリーパックの搭載構造。
【請求項3】
前記後側メンバは、車両幅方向両側において前記車両前後方向に沿って設けられるサイドメンバに架け渡されて固定される、
請求項1又は2に記載のバッテリーパックの搭載構造。
【請求項4】
前記中央メンバは、前記一端が前記前側メンバの上面及び後面に支持され、前記他端が後側メンバの前面及び下面に支持される、
請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリーパックの搭載構造。
【請求項5】
前記中央メンバは、前記第1支持フレームよりも高い剛性を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリーパックの搭載構造。
【請求項6】
前記中央メンバの他方の側方において前記前側メンバと前記後側メンバとに架け渡され、電気機器の搭載領域を形成するとともに前記電気機器が車両前後方向に沿って水平に設置されるように配置される第2支持フレームを備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーパックの搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリーパックの搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリーパックの搭載構造が開示されている。かかるバッテリーパックの搭載構造では、リアフロアパネルの上方にバッテリーパックが搭載される。そして、バッテリーパックの前部がバッテリーパックの車両前後方向前方に設けられたフロントクロスメンバの上方に位置し、バッテリーパックの後部がバッテリーパックの車両前後方向後方に設けられたリアクロスメンバの前方側に位置するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示するバッテリーパックの搭載構造では、バッテリーの前部がフロントクロスメンバの上方に位置するので、バッテリーパックが車室内に大きく突出することになり、車室内の空間を有効に活用できない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、バッテリーパックの車室内への突出量を抑制しつつ、車両が後突された場合であってもリアフロアパネルの上に搭載されたバッテリーパックを保護できるバッテリーパックの搭載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るバッテリーパックの搭載構造は、リアフロアパネルの上方にバッテリーパックが搭載されるバッテリーパックの搭載構造であって、車両幅方向に沿って延在するクロスメンバの上面及び後面に重なるように固定される前側メンバと、前記前側メンバの車両前後方向後方において前記車両幅方向に沿って設けられる後側メンバと、前記車両幅方向中央域において車両前後方向に沿って設けられ、一端が前記前側メンバに支持され、他端が前記後側メンバに支持された中央メンバと、前記中央メンバの一方の側方において前記前側メンバと前記後側メンバとに架け渡され、バッテリーパックの搭載領域を形成するとともに前記バッテリーパックの車両前後方向前側が後側よりも高くなるように傾斜配置された第1支持フレームと、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、前側メンバと後側メンバとの間にバッテリーパックの搭載領域を有するので、バッテリーパックの車室内への突出量を抑制できる。また、中央メンバの一端が前側メンバに支持され、他端が後側メンバに支持されるので、車両が後突された場合であっても中央メンバによって前側メンバと後側メンバとの間隔が確保され、バッテリーパックの搭載領域に搭載されたバッテリーパックが保護される。また、第1支持フレームがバッテリーパックの搭載領域に搭載されるバッテリーパックの車両前後方向前側が後側よりも高くなるように傾斜配置されるので、車両が後突された場合にバッテリーパックがクロスメンバを乗り越える。これにより、バッテリーパックがクロスメンバとボデーとの間に挟まれ難くなるので、バッテリーパックを保護できる。
【0008】
一実施形態では、上記の構成において、前記前側メンバは、前記クロスメンバの上面においてのみ固定される。
【0009】
上記の構成によれば、前側メンバはクロスメンバの上面においてのみ固定されているので、車両が後突された場合に前側メンバがめくれ上がり、バッテリーパックがクロスメンバを乗り越え易くなる。これにより、バッテリーパックがクロスメンバとボデーとの間により挟まれ難くなるので、バッテリーパックをより確実に保護できる。
【0010】
一実施形態では、上記の構成において、前記後側メンバは、車両幅方向両側において前記車両前後方向に沿って設けられるサイドメンバに架け渡されて固定される。
【0011】
上記の構成によれば、後側メンバは、車両幅方向両側において車両前後方向に沿って設けられるサイドメンバに架け渡されて固定されるので、車両が後突された場合に後側メンバが衝撃を受け止めてサイドメンバに伝達する。これにより、車両の後突による衝撃が緩和され、後側メンバの変形が緩和される。この結果、バッテリーパックがクロスメンバとボデーとの間に挟まれ難くなるので、バッテリーパックをより確実に保護できる。
【0012】
一実施形態では、上記の構成において、前記中央メンバは、前記一端が前記前側メンバの上面及び後面に支持され、前記他端が後側メンバの前面及び下面に支持される。
【0013】
上記の構成によれば、中央メンバは、一端が前側メンバの上面及び後面に支持され、他端が後側メンバの前面及び下面に支持されるので、車両が後突された場合に前側メンバがめくれ上がり易くなり、バッテリーパックがクロスメンバを乗り越え易くなる。これにより、バッテリーパックがクロスメンバとボデーとの間に挟まれ難くなるので、バッテリーパックをより確実に保護できる。
【0014】
一実施形態では、上記の構成において、前記中央メンバは、前記第1支持フレームよりも高い剛性を有する。
【0015】
上記の構成によれば、車両が後突された場合でも中央メンバによりバッテリーパックの搭載領域が確保されるので、バッテリーパックをより確実に保護できる。
【0016】
一実施形態では、上記の構成において、前記中央メンバの他方の側方において前記前側メンバと前記後側メンバとに架け渡され、電気機器の搭載領域を形成するとともに前記電気機器が車両前後方向に沿って水平に設置されるように配置される第2支持フレームを備える。
【0017】
上記の構成によれば、第2支持フレームが電気機器の搭載領域に搭載される電気機器が水平に設置されるように配置されるので、電気機器の設置高さを抑えることができ、省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、バッテリーパックの車室内への突出量を抑制しつつ、車両が後突された場合であってもリアフロアパネルの上に搭載されたバッテリーパックを保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】バッテリーパックを搭載したバッテリーパックの搭載構造を概略的に示す側面図である。
【
図2】
図1に示したバッテリーパックを搭載したバッテリーパックの搭載構造を概略的に示す平面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示したバッテリーパックの搭載構造を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図3に示したバッテリーパックの搭載構造を概略的に示す平面図である。
【
図5】
図4に示したバッテリーパックの搭載構造のV-V線断面図である。
【
図6】
図5に示した中央メンバを概略的に示す斜視図である。
【
図7-1】バッテリーパックが搭載されたバッテリーパックの搭載構造を概略的に示す模式図であって、車両が後突される前の状態を示す図である。
【
図7-2】バッテリーパックが搭載されたバッテリーパックの搭載構造を概略的に示す模式図であって、車両が後突された時の状態を示す図である。
【
図7-3】バッテリーパックが搭載されたバッテリーパックの搭載構造を概略的に示す模式図であって、車両が後突された時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
図1は、バッテリーパック2を搭載したバッテリーパック2の搭載構造4を概略的に示す側面図であり、
図2は、
図1に示したバッテリーパック2を搭載したバッテリーパック2の搭載構造4を概略的に示す平面図である。
【0022】
本発明の実施形態に係るバッテリーパック2の搭載構造4が採用される車両1は、例えば、マイルドハイブリッドと称される車両であって、車両の減速エネルギによって得られる電気を充電する一方、車両の加速時にエンジンの負担を軽減すべくモータ(オルタネータ)に電気を供給するものである。
【0023】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリーパック2の搭載構造4が採用される車両1は、一対のサイドメンバ11と、少なくとも一つのクロスメンバ12と、を備える。一対のサイドメンバ11と、少なくとも一つのクロスメンバ12は、車両1の骨格を構成する部材である。一対のサイドメンバ11は、車両幅方向両側において車両前後方向に沿って設けられ、少なくとも一つのクロスメンバ12は、車両幅方向に沿って設けられ、一対のサイドメンバ11に架け渡されて固定される。また、一対のサイドメンバ11にはフロアパネルが架け渡され、フロアパネルの上方に車室及び荷室が設けられる。フロアパネルは、一般に複数のフロアパネルによって構成され、車両前後方向の分割位置によってフロントフロアパネル(図示せず)、センターフロアパネル(図示せず)及びリアフロアパネル13に分類される。例えば、スポーツ用多目的車両(以下「SUV車両」という)では、リアフロアパネル13の上方に車室を兼用する荷室が設けられ、三列目シート(以下「三列シート」という)(図示せず)が設置される。
【0024】
少なくとも一つのクロスメンバ12は、複数であって、リアフロアパネル13の前端部に設けられるクロスメンバ12は、上面が開口した溝形の部材121と下面が開口した溝形の部材122をそれぞれリアフロアパネル13に接合することによって構成される。
【0025】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリーパック2の搭載構造4は、リアフロアパネル13の上方にバッテリーパック2を搭載するためのものである。バッテリーパック2の搭載構造4に搭載されたバッテリーパック2は、例えば、SUV車両の三列シートの下方域、又は荷室の下方域に車両幅方向に沿って設置される。
【0026】
図3は、
図1及び
図2に示したバッテリーパック2の搭載構造4を概略的に示す斜視図であり、
図4は、
図3に示したバッテリーパック2の搭載構造4を概略的に示す平面図である。
図5は、
図4に示したバッテリーパック2の搭載構造4のV-V線断面図であり、
図6は、
図5に示した中央メンバ43を概略的に示す斜視図である。
【0027】
図3に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリーパック2の搭載構造4は、前側メンバ41、後側メンバ42、中央メンバ43、及び第1支持フレーム44を備え、
図4に示すように、これらは車両上方から視た場合にH状の骨格を構成する。
【0028】
前側メンバ41は、車両幅方向に沿って延在するクロスメンバ12の上面及び後面に重なるように固定される。前側メンバ41の車両前後方向に横断する横断面は、クロスメンバ12の車両前後方向に横断する横断面に沿って階段状に形成される(
図2参照)。そして、前側メンバ41の上段部41aがクロスメンバ12の上面に固定され、前側メンバ41の上段部41aと下段部41bとを繋ぐ段差部41cがクロスメンバ12の後面に沿って配置される。
【0029】
前側メンバ41は、クロスメンバ12の上面においてのみ固定される。例えば、前側メンバ41は、その上段部41aの車両前後方向前側において車両幅方向に略三等分する位置にそれぞれ貫通穴(図示せず)が設けられ、これらの貫通穴を貫通するボルト411がクロスメンバ12に設けられたネジ穴(図示せず)に嵌合することで前側メンバ41がクロスメンバ12に固定される。
【0030】
後側メンバ42は、前側メンバ41の車両前後方向後方において車両幅方向に沿って設けられ、前側メンバ41との間にバッテリーパック2の搭載領域を有する。後側メンバ42は、上述した一対のサイドメンバ11に架け渡され、後側メンバ42の一端部と他端部はそれぞれサイドメンバ11に固定される。後側メンバ42は、上面が開口した溝形であって、車両幅方向両端部よりも内側において一対のサイドメンバ11よりも高くなり、車両幅方向両端部において車両前後方向に幅広となる。そして、後側メンバ42は、車両幅方向両端部に設けられた穴(図示せず)を貫通するボルト421によって一対のサイドメンバ11に固定される。
【0031】
後側メンバ42には補強メンバ422が取付けられる。補強メンバ422は、後側メンバ42においてバッテリーパック2の搭載領域と対応する車両幅方向の領域を補強するものである。補強メンバ422は、車両幅方向に沿って設けられ、バッテリーパック2の搭載領域と対応する車両左側約3分の2となる部分に渡って設けられる。例えば、補強メンバ422は、下面が開口した溝形であって、後側メンバ42の上面開口に嵌め込まれ、ボルト423によって後側メンバ42に取り付けられる。
【0032】
中央メンバ43は、車両幅方向中央域において車両前後方向に沿って設けられ、一端が前側メンバ41に支持され、他端が後側メンバ42に支持される。中央メンバ43は、車両上下方向が車両幅方向よりも大きな断面が矩形の角筒状である。
【0033】
図5に示すように、中央メンバ43は、一端(前端)が前側メンバ41の上面及び後面に支持され、他端(後端)が後側メンバ42の前面及び下面に支持される。
図6に示すように、中央メンバ43は、中央メンバ本体431、前側ブラケット432及び後側ブラケット433により構成される。中央メンバ本体431は、車両上下方向が車両幅方向よりも大きな断面が矩形の角筒で構成され、車両1が後突された場合の衝撃力に対抗する。前側ブラケット432は、中央メンバ本体431が嵌まる下面が開口した溝型の断面を有するブラケットであって、中央メンバ本体431の一端部(前端部)に溶接等によって接合されている。前側ブラケット432は、中央メンバ43の一端が前側メンバ41の上面及び後面に支持されるように、車両側面から視た場合に下側が矩形に切り欠かれている。後側ブラケット433は、中央メンバ本体431が嵌まる上面が開口した溝型の断面を有するブラケットであって、中央メンバ本体431の他端部(後端部)に溶接等によって接合されている。後側ブラケット433は、中央メンバ43の他端が後側メンバ42の前面及び下面に支持されるように、車両側面から視た場合に上側が矩形に切り欠かれている。
【0034】
図5に示すように、第1支持フレーム44は、中央メンバ43の一方の側方(例えば、車両左方)において前側メンバ41と後側メンバ42とに架け渡され、バッテリーパック2の搭載領域を形成するとともに、バッテリーパック2の車両前後方向前側が後側よりも高くなるように傾斜配置される(
図1参照)。
【0035】
図5に示すように、第1支持フレーム44は、車両幅方向に二つ設けられ、バッテリーパック2の搭載構造4の下方域に設けられたバッテリートレー(図示せず)の内壁面に沿って設けられる。二つの第1支持フレーム44は、それぞれバッテリー搭載部441、前側メンバ接続部442、及び後側メンバ接続部443を有する。バッテリー搭載部441は、第1支持フレーム44において車両前後方向に沿って延びる部分であり、バッテリーパック2の搭載領域を含む。バッテリー搭載部441は、バッテリーパック2の搭載領域のほか、後側メンバ42が折れ曲がるための領域を含む。これにより、バッテリー搭載部441に搭載されたバッテリーパック2と後側メンバ接続部443との間には所定の間隔が設けられ、バッテリー搭載部441に搭載されたバッテリーパック2と後側メンバ42とは所定の間隔で離隔する。前側メンバ接続部442は、前側メンバ41の段差部41cに接続される部分であり、バッテリー搭載部441から延びて前側メンバ41に接続される。後側メンバ接続部443は、後側メンバ42に向けて延びる部分であり、バッテリー搭載部441から延びて後側メンバ42に接続される。そして、後側メンバ接続部443の端部は、後側メンバ42の下面に接続される。尚、上述した中央メンバ43の剛性は、これら二つの第1支持フレーム44の剛性よりも高い剛性を有し、車両2が後突された場合でも中央メンバ43によりバッテリーパック2の搭載領域が確保されるので、バッテリーパック2をより確実に保護できる。
【0036】
図7は、バッテリーパック2が搭載されたバッテリーパック2の搭載構造4を示す概略的に示す模式図であって、
図7-1は車両1が後突される前の状態を示す図、
図7-2及び
図7-3は車両1が後突された時の状態を示す図である。
【0037】
図7-1に示すように、車両1が後突される前は、前側メンバ41は、クロスメンバ12の上面及び後面に重なるように固定され、後側メンバ42は、前側メンバ41との間にバッテリーパック2の搭載領域を確保する。また、中央メンバ43は、一端(前端)が前側メンバ41に支持され、他端(後端)が後側メンバ42に支持される。また、第1支持フレーム44は、バッテリーバックの車両前後方向前側が後側よりも高くなるように傾斜配置されて前側メンバ41と後側メンバ42とに架け渡され、バッテリーパック2は、車両前後方向前側が後側よりも高くなるように搭載されている。
【0038】
図7-2に示すように、車両1が後突されると、後側メンバ42が車両前後方向前側に変形し、後側メンバ42に加えられた力が中央メンバ43を介して前側メンバ41及びクロスメンバ12に伝達される。これにより、前側メンバ41とクロスメンバ12の断面が崩壊し、第1支持フレーム44に搭載されたバッテリーパック2は前方に移動する。
【0039】
図7-3に示すように、後側メンバ42が車両前後方向前側に更に変形すると、中央メンバ43を介して前側メンバ41に伝達された力によって前側メンバ41がクロスメンバ12からめくれ上がり、第1支持フレーム44が更に前方に移動する。これにより、第1支持フレーム44に搭載されたバッテリーパック2はクロスメンバ12を乗り越えて車両前方に移動する。
【0040】
上述した本発明の実施形態に係るバッテリーパック2の搭載構造4によれば、後側メンバ42と前側メンバ41との間にバッテリーパック2の搭載領域を有するので、バッテリーパック2の車室内への突出量を抑制できる。また、中央メンバ43の一端が前側メンバ41に支持され、他端が後側メンバ42に支持されるので、車両1が後突された場合であっても中央メンバ43によって前側メンバ41と後側メンバ42との間隔が確保され、バッテリーパック2の搭載領域に搭載されたバッテリーパック2が保護される。また、第1支持フレーム44がバッテリーパック2の搭載領域に搭載されるバッテリーパック2の車両前後方向前側が後側よりも高くなるように傾斜配置されるので、車両1が後突された場合にバッテリーパック2がクロスメンバ12を乗り越える。これにより、バッテリーパック2がクロスメンバ12とボデーとの間に挟まれ難くなるので、バッテリーパック2を保護できる。
【0041】
また、前側メンバ41はクロスメンバ12の上面においてのみ固定されているので、車両1が後突された場合に前側メンバ41がめくれ上がり、バッテリーパック2がクロスメンバ12を乗り越え易くなる。これにより、バッテリーパック2がクロスメンバ12とボデーとの間により挟まれ難くなるので、バッテリーパック2をより確実に保護できる。
【0042】
また、後側メンバ42は、車両幅方向両側において車両前後方向に沿って設けられるサイドメンバ11に架け渡されて固定されるので、車両1が後突された場合に後側メンバ42が衝撃を受け止めてサイドメンバ11に伝達する。これにより、車両1の後突による衝撃が緩和されて、後側メンバ42の変形が緩和される。この結果、バッテリーパック2がクロスメンバ12とボデーとの間に挟まれ難くなるので、バッテリーパック2をより確実に保護できる。
【0043】
また、中央メンバ43は、一端が前側メンバ41の上面及び後面に支持され、他端が後側メンバ42の前面及び下面に支持されるので、車両1が後突された場合に前側メンバ41がめくれ上がり易くなり、バッテリーパック2がクロスメンバ12を乗り越え易くなる。これにより、バッテリーパック2がクロスメンバ12とボデーとの間に挟まれ難くなるので、バッテリーパック2を確実に保護できる。
【0044】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る車両1は、上記のバッテリーパック2の搭載構造4と、中央メンバ43を境にして車両幅方向一方側に設置されたバッテリーパック2と、他方側に設置されたDCDCコンバータ3と、を備える。
図2に示す車両1では、バッテリーパック2は中央メンバ43を境に車両左側に設置され、DCDCコンバータ3は車両左側に設置される。
【0045】
DCDCコンバータ3は、例えば、バッテリーパック2から電装品に電気を供給する際に電圧を変換する電気機器であり、バッテリーパック2と同様、第2支持フレーム45に支持される。第2支持フレーム45は、後側メンバ42と前側メンバ41とに架け渡され、DCDCコンバータ3の搭載領域を形成するとともに、DCDCコンバータ3が車両前後方向に沿って水平に設置されるように配置される。
【0046】
図5に示すように、第2支持フレーム45は、車両幅方向に二つ設けられ、バッテリーパック2の搭載構造4の下方域に設けられたバッテリートレーの内壁面に沿って設けられる。二つの第2支持フレーム45は、それぞれDCDCコンバータ搭載部451、前側メンバ接続部452、及び後側メンバ接続部453を有する。DCDCコンバータ搭載部451は、第2支持フレーム45において車両前後方向に沿って延びる部分であり、DCDCコンバータ3の搭載領域を含む。DCDCコンバータ搭載部451は、DCDCコンバータ3の搭載領域のほか、後側メンバ42が折れ曲がるための領域を含む。これにより、DCDCコンバータ搭載部451に搭載されたDCDCコンバータ3と後側メンバ接続部453との間には所定の間隔が設けられ、DCDCコンバータ搭載部451に搭載されたDCDCコンバータ3と後側メンバ42とは所定の間隔で離隔する。前側メンバ接続部452は、前側メンバ41の下段部41bに接続される部分であり、DCDCコンバータ搭載部451から延びて前側メンバ41に接続される。後側メンバ接続部453は、後側メンバ42に向けて延びる部分であり、DCDCコンバータ搭載部451から延びて後側メンバ42に接続される。そして、後側メンバ接続部453は、後側メンバ42の下面に接続される。
【0047】
上述した本発明の実施形態に係るバッテリーパック2の搭載構造4によれば、第2支持フレーム45がDCDCコンバータ3の搭載領域に搭載されるDCDCコンバータ3が水平に設置されるように配置されるので、DCDCコンバータ3の設置高さを抑えることができ、省スペース化を図ることができる。
【0048】
また、上述した本発明の実施形態に係る車両1によれば、バッテリーパック2が中央メンバ43を境にして一方側に配置され、DCDCコンバータ3が他方側に設置されるので、車両1が後突された場合であってもリアフロアパネル13の上に搭載されたバッテリーパック2を保護できる。
【0049】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0050】
1 車両
11 サイトメンバ
12 クロスメンバ
121 溝形の部材
122 溝形の部材
13 リアフロアパネル
2 バッテリーパック
3 DCDCコンバータ(電気機器)
4 バッテリーパックの搭載構造
41 前側メンバ
41a 上段部
41b 下段部
41c 段差部
411 ボルト
42 後側メンバ
421 ボルト
422 補強メンバ
423 ボルト
43 中央メンバ
431 中央メンバ本体
432 前側ブラケット
433 後側ブラケット
44 第1支持フレーム
441 バッテリー搭載部
442 前側メンバ接続部
443 後側メンバ接続部
45 第2支持フレーム
451 DCDCコンバータ搭載部
452 前側メンバ接続部
453 後側メンバ接続部