(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038132
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】情報通信装置
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
H04L12/46 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142459
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 純
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033BA01
5K033DA05
5K033DB18
(57)【要約】
【課題】無線LANルータモードと無線LANアクセスポイントモードとを切り替えることができ、壁に少なくとも一部が埋設されて設置される情報通信装置において、モード切替スイッチの誤操作による誤動作を抑制できる情報通信装置を提供する。
【解決手段】電源スイッチ730と、情報通信装置1000を無線LANルータモードと無線LANアクセスポイントモードとの間で切り替えるモード切替スイッチ760とが備えられ、モード切替スイッチ760は、情報通信装置1000の電源がオフ状態からオン状態に切り替わる場合に読み出されて、無線LANルータモードまたは無線LANアクセスポイントモードに設定される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN回路とネットワーク回路と電源回路とを含み、壁に少なくとも一部が埋設して設置される情報通信装置であって、
電源スイッチと、前記情報通信装置を無線LANルータモードと無線LANアクセスポイントモードとの間で切り替えるモード切替スイッチとが備えられ、
前記モード切替スイッチは、前記情報通信装置の電源がオフからオンに切り替わる場合に読み出されて、前記無線LANルータモードまたは前記無線LANアクセスポイントモードに設定される、情報通信装置。
【請求項2】
前記情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、
前記フロントカバーは、天面と、前記天面から形成された第1側面と、前記第1側面に対向する第2側面と、を含み、
前記電源スイッチは前記天面に配置され、前記モード切替スイッチは前記第1側面または前記第2側面に配置される、請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項3】
前記情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、
前記モード切替スイッチは前記壁の中に埋設された前記情報通信装置の背面に配置される、請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項4】
前記情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、
前記フロントカバーは、ハット形状からなり、天面と、前記天面から形成された第1側面と、前記第1側面に対向する第2側面と、前記ハット形状のつば部からなり前記第1側面に連設された第3面と、前記ハット形状のつば部からなり前記第2側面に連設された第4面と、を有し、
前記モード切替スイッチは前記第3面または前記第4面に配置され、
前記第3面と前記第4面とは、前記情報通信装置が前記壁に設置された場合、化粧カバーに覆われる、請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項5】
前記情報通信装置の電源がオフからオンに切り替わり、かつ、前記モード切替スイッチの設定が前回前記電源がオフからオンに切り替わった時と同一である場合に、
前記電源がオンからオフに切り替わる時の情報通信装置の設定が適用されて起動する、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報通信装置、特に、電源スイッチと、ルータモードとアクセスポイントモードとのモード切替スイッチとを備え、壁に少なくとも一部が埋設されて設置される情報通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
壁に少なくとも一部が埋設される情報通信装置に関連して、例えば、以下の発明が出願されている。
【0003】
特許文献1(特開2013-157738号公報)には、無線LAN接続と有線LAN接続とを同時に可能としながら、情報コンセントに取り付けた状態で嵩張らないようにする情報通信ユニットにおいて、WAN側と接続する第1接続部と、商用電源線を接続する電源接続部と、第1接続部を通す情報データを、外部の情報端末装置と送受信可能な無線送受信部と、電源接続部からの交流電気を直流電気に変換して無線送受信部に供給するコンバータと、LAN側の通信ケーブルを接続する第2接続部とを、ユニット本体に一体に設け、ユニット本体は、設置対象部に設けられている情報コンセントに埋設可能に構成してあると共に、情報コンセントに埋設した状態で、第1接続部とコンバータとが、情報コンセントの表面板の面方向に隣合うように構成された情報通信ユニットが開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2016-158350号公報)には、設置面に埋設状態で設置可能に構成されたケーシングを備えると共に、当該ケーシングの設置面よりも前方側に電源スイッチの操作部である電源操作部が設けられた情報通信ユニットにおいて、合理的な構成を採用しつつ電源操作部の誤操作を抑制するために、ケーシングの少なくとも一部が、設置面よりも前方に膨出する膨出部を有すると共に、電源操作部が当該膨出部の周側面部である膨出周側面部に配置されている情報通信ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-157738号公報
【特許文献2】特開2016-158350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、オンライン授業あるいはテレワークなどが広く行われるようになり、学生、あるいは単身者用の住居においてもインターネットに接続できる環境が必須となってきた。
このような場合、主として、ノートパソコン、タブレット、スマートフォンなどのモバイル端末が使われるため、無線LANのアクセスポイントの機能が必要であること、また、利用者がインターネットサービスプロバイダと契約することになるため、ルータの機能が必要であること、さらに、上記学生、あるいは単身者用の住居は狭いことが多いため、かさばらないことが望ましいこと、から、壁埋め込み型の無線LANルータが広く用いられる。
【0007】
一方、最近、ビジネスホテルなどでは無線LANが各部屋に装備されている。この場合には、通常、ビジネスホテルがインターネットサービスプロバイダと契約することになり、ルータはビジネスホテルでまとめて配置されるため、各部屋の無線LANはルータの機能の無い無線LANアクセスポイントでなければならない。また、ビジネスホテルの場合も同様にかさばらないことが望ましいことから、壁埋め込み型の無線LANアクセスポイントが広く用いられる。
さらに、単身者用の住居、例えばワンルームマンションにおいても、最近では、無線LAN備え付けのワンルームマンションが広まっており、この場合はビジネスホテルと同様に壁埋め込み型の無線LANアクセスポイントが望ましい。また、ワンルームマンション等では、各部屋ごとにインターネットサービスプロバイダと契約する形態からマンション全体でインターネットサービスプロバイダと契約する形態へ切換する場合、あるいは逆にマンション全体でインターネットサービスプロバイダと契約する形態から各部屋ごとにインターネットサービスプロバイダと契約する形態へ切換する場合もある。
【0008】
以上のような背景から、無線LANアクセスポイントの機能と無線LANルータの機能を切り換えて使用することのできる壁埋め込み型の情報通信装置が要望されている。
上記情報通信装置においては、例えば無線LANルータとして設定された情報通信装置を無線LANアクセスポイントに切り替えた場合、まったく機能しなくなることから、誤ってモードを切り替えることによる誤動作を抑制することが必要である。
特に、情報通信装置がビジネスホテルに設置された場合には、不特定多数の利用が想定されるため、より確実な誤動作防止の対策が必要となる。
【0009】
特許文献1に記載の情報通信ユニットでは、第1接続部が常にWANと接続しており、したがって、特許文献1に記載の情報通信ユニットは無線LANアクセスポイントの機能は備えていないと考えられる。
また、特許文献2に記載の情報通信ユニットでは、電源操作部の誤操作を抑制することは記載されているが、「WAN用モジュラーアダプタ20が装備され」と記載されており、したがって、特許文献2に記載の情報通信ユニットも無線LANアクセスポイントの機能は備えていないと考えられる。当然、モード切替スイッチの誤操作の抑制についても記載されていない。
【0010】
本発明の主な目的は、無線LANルータモードと無線LANアクセスポイントモードとを切り替えることができ、壁に少なくとも一部が埋設されて設置される情報通信装置において、モード切替スイッチの誤操作による誤動作を抑制できる情報通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)
一局面に従う情報通信装置は、無線LAN回路とネットワーク回路と電源回路とを含み、壁に少なくとも一部が埋設して設置される情報通信装置であって、電源スイッチと、情報通信装置を無線LANルータモードと無線LANアクセスポイントモードとの間で切り替えるモード切替スイッチとが備えられ、モード切替スイッチは、情報通信装置の電源がオフからオンに切り替わる場合に読み出されて、情報通信装置が、無線LANルータモードまたは無線LANアクセスポイントモードに設定される。
【0012】
この場合、モード切替スイッチを誤操作により切り替えても、電源スイッチを一端オフにしてからオンにしない限り、無線LANルータモードと無線LANアクセスポイントモードとの間でモードの切り替えが起きることはなく、したがって、誤操作に気が付いた時点でモード切替スイッチをもとに戻すことにより無線LANルータあるいは無線LANアクセスポイントとしての機能に障害が起きることはない。
【0013】
特に壁に埋設して設置される情報通信装置の場合、WAN側の回線が壁に埋まっているため、ネットワークの設定は無線LANの子機(PC等の端末)によって行われることが多い。したがって、無線LANのモード切替操作がブラウザ等の設定画面等で操作する場合には、モード切替の設定を誤ると、無線通信が切断されて設定画面を開くことができなくなり復旧できなくなる場合がある。一方で、一局面に従う情報通信装置は、無線LANのモード切替操作が、物理スイッチを操作して行うものであるため、仮にモード切替の設定を誤って無線通信が切断されるなどした場合でも、モード切替スイッチを元に戻すよう操作することによって無線通信を簡単に復旧させることができる。
【0014】
(2)
第2の発明にかかる情報通信装置は、一局面に従う情報通信装置において、情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、フロントカバーは、ハット形状からなり、天面と、天面から形成された第1側面と、第1側面に対向する第2側面と、ハット形状のつば部からなる、第1側面に連設された第3面および第2側面に連設された第4面を有し、電源スイッチは天面に配置され、モード切替スイッチは第1側面または第2側面に配置されてもよい。
【0015】
この場合、モード切替スイッチが身体の一部その他との接触する可能性の高いフロントカバーの天面ではなく、その可能性の低いフロントカバーの第1側面または第2側面に配置されているため、不用意な接触によるモード切替スイッチの誤操作を抑制することができる。
また電源スイッチが天面に配置され、モード切替スイッチが第1側面または第2側面に配置されていることにより、不用意な接触により電源スイッチとモード切替スイッチとが同時に誤操作されることがないため、誤操作に気が付いた時点でモード切替スイッチをもとに戻すことにより無線LANルータあるいは無線LANアクセスポイントとしての機能の障害を未然に防ぐことができる。
なお、電源スイッチの誤操作により電源がオフになった場合でも、本発明の情報通信装置では、再度電源をオンにすることによりネットワークの設定をもとに戻すことができる。
【0016】
(3)
第3の発明にかかる情報通信装置は、一局面に従う情報通信装置において、情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、電源スイッチはフロントカバーの天面に配置され、モード切替スイッチは壁の中に埋設された情報通信装置の背面に配置されてもよい。
【0017】
この場合、利用者によるモード切替スイッチの誤操作の可能性はなくなる。ただし、情報通信装置の設置後における無線LANアクセスポイントモードと無線LANルータモードとの切り替えには有資格者による工事が必要となる。
しかし、例えばビジネスホテルの各部屋の無線LANの場合は無線LANアクセスポイントモードで稼働しており、これを無線LANルータモードに切り替える可能性はほとんどないこと、また、ビジネスホテルの場合不特定多数の宿泊者が利用することから、ビジネスホテルの各部屋に設置する情報通信装置では、モード切替スイッチは壁の中に埋設された情報通信装置の背面に配置した方がよい。
【0018】
(4)
第4の発明にかかる情報通信装置は、一局面に従う情報通信装置において、情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、フロントカバーは、ハット形状からなり、天面と、天面から形成された第1側面と、第1側面に対向する第2側面と、ハット形状のつば部からなり第1側面に連設された第3面と、ハット形状のつば部からなり第2側面に連設された第4面と、を有し、モード切替スイッチは第3面または第4面に配置され、第3面と第4面とは、情報通信装置が壁に設置された場合、化粧カバーに覆われてもよい。
【0019】
この場合、第3面および第4面は化粧カバーに覆われており、モード切替スイッチを操作するためには化粧カバーを外す必要があるため、モード切替スイッチの誤操作を抑制することができる。
【0020】
(5)
第5の発明にかかる情報通信装置は、一局面から第4の発明にかかる情報通信装置において、情報通信装置の電源がオフからオンに切り替わり、かつ、モード切替スイッチの設定が前回電源がオフからオンに切り替わった時と同一である場合に、電源がオンからオフに切り替わる時の情報通信装置の設定が適用されて起動してもよい。
【0021】
情報通信装置は、電源がオフにされた場合に、(不揮発メモリ等により)その時点での設定情報を保存した状態で、終了する。その後、情報通信装置の電源がオフからオンに切り替えられると、情報通信装置は、モード切替スイッチの設定が前回に電源がオフからオンに切り替わった時と同一であるか否かを判定して、同一である場合(モード切替スイッチが特段操作されていない場合)に、直前の電源オフ時に保存された設定情報を読み込んで起動するものである。
これにより、モード切替スイッチが操作されず、電源スイッチのみが誤操作された場合に、通信可能な状態の設定情報が維持されたまま情報通信装置が起動することができる。したがって、電源スイッチの誤操作に伴う無線通信の障害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態の情報通信装置の外部形状を示す模式的斜視図である。
【
図2】第1の実施形態の情報通信装置を壁に埋設した一例を示す模式図である。
【
図3】第1の実施形態の情報通信装置の模式的ブロック図である。
【
図4】(a)は情報通信装置を無線LANルータモードで使用する場合の情報通信装置とその周辺のネットワークを示す図であり、(b)は情報通信装置を無線LANアクセスポイントモードで使用する場合の情報通信装置とその周辺のネットワークを示す図である。
【
図5】第1の実施形態の情報通信装置の模式的フローチャートである。
【
図6】第2の実施形態の情報通信装置を裏側から見たときの外部形状を示す模式的斜視図である。
【
図7】第3の実施形態の情報通信装置の外部形状を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0024】
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態の、情報通信装置1000の外部形状を示す模式的斜視図であり、
図2は情報通信装置1000を壁に埋設した一例を示す模式図であり、
図3は情報通信装置1000の模式的ブロック図であり、
図4は情報通信装置1000を無線LANルータモードで使用する場合と無線LANアクセスポイントモードで使用する場合とにおける情報通信装置1000とその周辺のネットワークを示す図であり、
図5は情報通信装置1000の模式的フローチャートである。
【0025】
(情報通信装置1000のブロック構成)
情報通信装置1000は、
図3に記載されているように、無線LAN回路500、ネットワーク回路510、電源回路520、制御回路530、および記憶装置540を備える。無線LAN回路500には無線LAN用アンテナ400が接続され、ネットワーク回路510にはLAN接続端子720およびWAN接続端子740が接続されている。電源回路520にはPOE対応のWAN接続端子740が接続されている。すなわち、
図3の電源回路520は、WAN接続端子740から供給された電源を無線LAN回路500、ネットワーク回路510、制御回路530、記憶装置540に必要な電源電圧に変換して供給するPOE対応の電源回路520である。
もし、WAN接続端子740が接続するWANまたはLANがPOE対応でない場合には、AC電源配線(図示せず)を接続し、情報通信装置1000の電源回路520をAC電源に対応する電源回路520とすることにより、同様に情報通信装置1000を稼働することができる。
なお、
図3には図示されていないが、情報通信装置1000は、電話回線接続端子710を含んでもよい。
また、記憶装置540の少なくとも一部は情報通信装置1000の電源がオフの状態でも記憶が保持される、いわゆる不揮発性メモリである。
【0026】
情報通信装置1000には、電源スイッチ730、および情報通信装置1000を無線LANルータモードと無線LANアクセスポイントモードとの間で切り替えるモード切替スイッチ760とが備えられている。情報通信装置1000が無線LANルータモードに設定された場合は、情報通信装置1000は、転送経路の設定、パケットの送信などのルータの機能を備える無線LANルータとなり、WAN接続端子740はインターネットサービスプロバイダからのWAN(Wide Area Network)に接続される。
また、情報通信装置1000が無線LANアクセスポイントモードに設定された場合は、情報通信装置1000は無線LANアクセスポイントとなり、WAN接続端子740は別途存在するルータからのLAN(Local Area Network)に接続される。
【0027】
(情報通信装置1000の構造)
情報通信装置1000は
図1に示すように、一面が開放された直方体の箱形状の金属の筐体300の開放された一面に対向する面の上に、合成樹脂の成形品で形成されたフロントカバー200が係合されている。また、筐体300の開放された面は、裏面カバー350(
図6参照)で覆われている。すなわち、筐体300とフロントカバー200と裏面カバー350とが情報通信装置1000のケースを構成している。
筐体300は、伝熱性に優れたアルミニウム等のダイキャストからなることが好ましい。また、
図1に示すように、筐体300の側面には、複数の溝が形成されている。これは、複数の溝を形成することにより、筐体300の側面の外表面積を増加させて、放熱効果を最大限に発揮させるためである。筐体300にはWAN接続端子740を固定するための開口部741が設けられている。
【0028】
フロントカバー200の断面形状は、ハット形状からなり、天面210と、天面210から形成された第1側面220と、第1側面220に対向する第2側面230と、ハット形状のつば部からなり第1側面220に連設された第3面260と、ハット形状のつば部からなり第2側面230に連設された第4面270とを有し、第1側面220および第2側面230の両外側にそれぞれ、間隙を有した状態で無線LAN用アンテナ400を配置した第1アンテナユニット410および第2アンテナユニット420が、第3面260および第4面270に立設している。
また、フロントカバー200の天面210には、LAN接続端子720を固定するための開口部721、電話回線接続端子710を接続するための開口部711、電源スイッチ730、電源および動作モードを示すLED750が設けられている。なお、情報通信装置1000において、電話回線接続端子710が不要である場合はその開口部711も不要である。また、フロントカバー200の第1側面220または第2側面230にモード切替スイッチ760が設けられている。電源スイッチ730およびモード切替スイッチ760は、利用者の不用意な接触による誤操作を抑制するために、スライド式のスイッチにすることが好ましい。
第1の実施形態においては、筐体300が建物の壁内に埋設して設置され、かつフロントカバー200および無線LAN用アンテナ400が建物の室内側に突出するように設置される。そして、
図2に示すように、壁の埋設穴およびフロントカバー200の第3面260と第4面との全体を覆うように化粧カバー900が設けられる。また、モード切替スイッチ760は、フロントカバー200の第1側面220の化粧カバー900から室内側に露出している部分に配置されている。
【0029】
図4(a)に情報通信装置1000を無線LANルータモードで使用する場合の情報通信装置1000とその周辺のネットワークを示し、
図4(b)には情報通信装置1000を無線LANアクセスポイントモードで使用する場合の情報通信装置1000とその周辺のネットワークを示した。
図4(a)および
図4(b)において、600はインターネット、610はISP(Internet Service Provider)ルータ、620はWAN(Wide Area Network)、630はノートパソコン、タブレット、スマートフォンなどのモバイル端末である。また、
図4(b)の640はCE(Customer Edge)ルータ、650はCEルータに接続されたLAN(Local Area Network)である。
【0030】
情報通信装置1000を無線LANルータモードで使用する場合には、それぞれの情報通信装置1000のWAN接続端子740はそれぞれ別々のWAN620に接続され、WAN620がそれぞれISPルータ610に接続される。したがって、各情報通信装置1000毎にISPと契約し、WAN IPアドレス(ワイドエリア ネットワーク IP アドレス)を取得する必要がある。
一方、情報通信装置1000を無線LANアクセスポイントモードで使用する場合には、それぞれの情報通信装置1000のWAN接続端子740はCEルータ640に接続されたLAN650に接続され、CEルータ640のWAN側がWAN620に接続され、WAN620がISPルータ610に接続される。したがって、複数の情報通信装置1000は1つのCEルータ640を経由してISPルータ610に接続されるので、各情報通信装置1000はそれぞれLAN IPアドレス(ローカルエリア ネットワーク IP アドレス)をCEルータ640から付与され、各情報通信装置1000毎にISPと契約し、WAN IPアドレスを取得する必要はない。
例えば、単身者住宅の各部屋に情報通信装置1000を設置する場合には、通常各部屋の利用者がそれぞれISPと契約するため、情報通信装置1000を無線LANルータモードで使用することが多い。一方、ビジネスホテルの各部屋に情報通信装置1000を設置する場合には、ビジネスホテルとしてISPと契約し、別途CEルータ640を設置するので、通常、情報通信装置1000は無線LANアクセスポイントモードで使用される。
本発明の情報通信装置1000は無線LANルータモードと無線LANアクセスポイントモードの2つのモードを切り替えて使用することができる。
【0031】
図5の模式的フローチャートを参照して、無線LANルータモードと無線LANアクセスポイントモードとの切り替えを含む、情報通信装置1000のネットワーク設定方法について説明する。
まず、情報通信装置1000の電源が投入される、または(リセットボタンがある場合)リセットボタンが押されると情報通信装置1000のネットワーク設定の工程が開始される(ステップS1)。
制御回路530はモード切替スイッチ760がルータモードになっているかアクセスポイントモードになっているかを確認する(ステップS2-S3)。
モード切替スイッチ760がルータモードになっている場合、制御回路530はルータモードでのネットワーク設定を記憶装置540から読み出し、ネットワーク回路510をルータモードに設定するとともに、無線LAN回路500に必要な設定を行う(ステップS4)。
モード切替スイッチ760がアクセスポイントモードになっている場合、制御回路530はアクセスポイントモードでのネットワーク設定を記憶装置540から読み出し、ネットワーク回路510をアクセスポイントモードに設定するとともに、無線LAN回路500に必要な設定を行う(ステップS5)。
【0032】
上記初期設定が完了した後、情報通信装置1000は無線LANルータ、あるいは無線LANアクセスポイントとしての動作を開始する。
無線LANの子機(端末)などを使用してネットワークを経由して情報通信装置1000のネットワーク設定の変更指示があれば、制御回路530はネットワークの設定を変更する(ステップS6-S7)。
WAN接続端子740側から無線LAN側またはLAN接続端子720側へのデータ通信、または、無線LAN側またはLAN接続端子720側からWAN接続端子740側へのデータ通信の要求があれば、ネットワーク回路510および無線LAN回路500はデータ通信を行う(ステップS8-S9)。
電源スイッチ730のオフが検知されれば、制御回路530はその時点でのネットワークの設定内容を記憶装置540に保存した後、電源のオフ操作を行う。電源スイッチ730がオフになっていない場合は、ネットワーク設定の変更あるいはデータ通信を継続する(ステップS10-S12)。
【0033】
(モード切替スイッチ誤操作による誤動作防止効果)
第1の実施形態の情報通信装置1000では、モード切替スイッチ誤操作による誤動作を以下のようにして防止している。
まず第1に、情報通信装置1000では、
図5のフローチャートからもわかるように、モード切替スイッチ760の状態は電源オンの時にのみ参照される(ステップS2)。したがって、モード切替スイッチ760が利用者の不用意な接触等により切り替わっても、次回電源をオンするまではモード切替スイッチ760の誤操作による誤動作は起きない。また、電源をオンするときにモード切替スイッチ760の状態を確認し、モード切替スイッチ760の状態が間違っていれば訂正することにより、誤動作を防止することができる。
【0034】
次に、モード切替スイッチ760はハット形状のフロントカバー200の第1側面220または第2側面230に配置されており、利用者が不用意に情報通信装置1000に接触した場合でも、モード切替スイッチ760に接触し、モード切替スイッチ760のモードを切り替える可能性は低い。したがって、モード切替スイッチ760の誤操作を抑制することができる。
第3に、モード切替スイッチ760はハット形状のフロントカバー200の第1側面220または第2側面230に配置されているのに対して、電源スイッチ730はフロントカバー200の天面210に配置されている。すなわちスイッチの配置されている面が異なっている。したがって、電源スイッチ730、またはモード切替スイッチ760が誤操作される場合にも、電源スイッチ730とモード切替スイッチ760とが、同時に、あるいは連続して誤操作される可能性はほとんどなく、モード切替スイッチ760が誤操作された場合にも次回電源をオンする時までにモード切替スイッチ760の設定を訂正すれば誤動作は発生しない。
なお、電源スイッチ730を誤操作によりオフした場合には情報通信装置1000はオフされる。しかし、
図5のフローチャートに記載されているように、電源オフ時にはその時点のネットワークの設定情報が記憶装置540に記憶され(ステップS11)、次に電源をオンした際に記憶装置540に記憶されたネットワーク設定情報が読み出されて設定されるため(ステップS4またはS5)、電源スイッチ730を誤操作によりオフしても、通常は大きな問題にはならない。
【0035】
[第2の実施形態]
図6は第2の実施形態の情報通信装置1000を裏側から見たときの外部形状を示す模式的斜視図である。
第2の実施形態の情報通信装置1000の外部形状は、
図1および
図2の第1側面220に配置されているモード切替スイッチ760が、
図6に示すように壁の中に埋設された情報通信装置1000の背面に配置されている点を除いて、第1の実施形態の情報通信装置1000と同一である。また、
図3の模式的ブロック図、
図5の模式的フローチャートについても第1の実施形態と同一である。
この場合、モード切替スイッチ760は情報通信装置1000の設置工事の時にのみ設定を変更することができるため、利用者が不用意にモード切替スイッチ760を誤操作する可能性はない。
逆に、第2の実施形態の情報通信装置1000では、設置した情報通信装置1000をいったん取り外さない限りモード切替スイッチ760の設定を変更することができない。すなわち、例えば、ビジネスホテルの各部屋に情報通信装置1000を設置する場合には、各部屋の情報通信装置1000は無線LANアクセスポイントモードで使用されることが確定しており、無線LANルータモードに切り替えられることはないため、第2の実施形態の情報通信装置1000を用いることが好ましい。
【0036】
[第3の実施の形態]
図7は第3の実施形態の情報通信装置1000の外部形状を示す模式的斜視図である。
第3の実施形態の情報通信装置1000の外部形状は、
図1および
図2の第1側面220に配置されているモード切替スイッチ760が、
図7に示すように第3面260に配置されている点を除いて、第1の実施形態の情報通信装置1000と同一である。また、
図3の模式的ブロック図、
図5の模式的フローチャートについても第1の実施形態と同一である。なお、第3面260にモード切替スイッチ760を配置させているが、これに限定されず、第4面270にモード切替スイッチ760を配置させてもよい。
この場合、情報通信装置1000を壁に設置している状態では、モード切替スイッチ760の配置されているフロントカバー200の第3面260および第4面270は化粧カバー900に覆われているため、利用者が不用意にモード切替スイッチ760を誤操作する可能性はない。
【0037】
本発明において、無線LAN回路500が『無線LAN回路』に相当し、ネットワーク回路510が『ネットワーク回路』に相当し、電源回路520が『電源回路』に相当し、情報通信装置1000が『情報通信装置』に相当し、電源スイッチ730が『電源スイッチ』に相当し、モード切替スイッチ760が『モード切替スイッチ』に相当し、フロントカバー200が『フロントカバー』に相当し、筐体300が『筐体』に相当し、天面210が『天面』に相当し、第1側面220が『第1側面』に相当し、第2側面230が『第2側面』に相当し、第3面260が『第3面』に相当し、第4面270が『第4面』に相当し、化粧カバー900が『化粧カバー』に相当する。
【0038】
本発明の好ましい一実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0039】
200 フロントカバー
210 天面
220 第1側面
230 第2側面
260 第3面
270 第4面
300 筐体
500 無線LAN回路
510 ネットワーク回路
520 電源回路
730 電源スイッチ
760 モード切替スイッチ
900 化粧カバー
1000 情報通信装置
【手続補正書】
【提出日】2021-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN回路とネットワーク回路と電源回路とを含み、壁に少なくとも一部が埋設して設置される情報通信装置であって、
電源スイッチと、前記情報通信装置を無線LANルータモードと無線LANアクセスポイントモードとの間で切り替えるモード切替スイッチとが備えられ、
前記情報通信装置の電源がオフからオンに切り替わる場合に前記モード切替スイッチの状態が読み出されて、前記無線LANルータモードまたは前記無線LANアクセスポイントモードに設定され、
電源を一旦オフにしてからオンにしない限り、モードの切り替えが起きることはない、情報通信装置。
【請求項2】
前記情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、
前記フロントカバーは、天面と、前記天面から形成された第1側面と、前記第1側面に対向する第2側面と、を含み、
前記電源スイッチは前記天面に配置され、前記モード切替スイッチは前記第1側面または前記第2側面に配置される、請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項3】
前記情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、
前記モード切替スイッチは前記壁の中に埋設された前記情報通信装置の背面に配置される、請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項4】
前記情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、
前記フロントカバーは、ハット形状からなり、天面と、前記天面から形成された第1側面と、前記第1側面に対向する第2側面と、前記ハット形状のつば部からなり前記第1側面に連設された第3面と、前記ハット形状のつば部からなり前記第2側面に連設された第4面と、を有し、
前記モード切替スイッチは前記第3面または前記第4面に配置され、
前記第3面と前記第4面とは、前記情報通信装置が前記壁に設置された場合、化粧カバーに覆われる、請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項5】
前記情報通信装置の電源がオフからオンに切り替わり、かつ、前記モード切替スイッチの設定が前回前記電源がオフからオンに切り替わった時と同一である場合に、
前記電源がオンからオフに切り替わる時の情報通信装置の設定が適用されて起動する、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報通信装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN回路とネットワーク回路と電源回路とを含み、壁に少なくとも一部が埋設して設置される情報通信装置であって、
電源スイッチと、前記情報通信装置を無線LANルータモードと無線LANアクセスポイントモードとの間で切り替えるモード切替スイッチとが備えられ、
前記無線LANルータモードと前記無線LANアクセスポイントモードとのモードの切り替えは、前記モード切替スイッチを切り替えただけでは実行されず、まず、前記モード切替スイッチを切り替え、次に、前記電源スイッチを一旦オフにし、その後オンにすることによって実行される、情報通信装置。
【請求項2】
前記情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、
前記フロントカバーは、天面と、前記天面から形成された第1側面と、前記第1側面に対向する第2側面と、を含み、
前記電源スイッチは前記天面に配置され、前記モード切替スイッチは前記第1側面または前記第2側面に配置される、請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項3】
前記情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、
前記モード切替スイッチは前記壁の中に埋設された前記情報通信装置の背面に配置される、請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項4】
前記情報通信装置はフロントカバーと金属の筐体とを有し、
前記フロントカバーは、ハット形状からなり、天面と、前記天面から形成された第1側面と、前記第1側面に対向する第2側面と、前記ハット形状のつば部からなり前記第1側面に連設された第3面と、前記ハット形状のつば部からなり前記第2側面に連設された第4面と、を有し、
前記モード切替スイッチは前記第3面または前記第4面に配置され、
前記第3面と前記第4面とは、前記情報通信装置が前記壁に設置された場合、化粧カバーに覆われる、請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項5】
前記情報通信装置の電源がオフからオンに切り替わり、かつ、前記モード切替スイッチの設定が前回前記電源がオフからオンに切り替わった時と同一である場合に、
前記電源がオンからオフに切り替わる時の前記情報通信装置の設定が適用されて起動する、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報通信装置。
【請求項6】
前記モード切替スイッチはスライドスイッチである、請求項1から5のいずれか1項に記載の情報通信装置。