(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038150
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】圧電振動デバイス
(51)【国際特許分類】
H03H 9/02 20060101AFI20220303BHJP
H03H 9/19 20060101ALI20220303BHJP
H01L 23/10 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
H03H9/02 A
H03H9/19 A
H01L23/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142484
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】大西 学
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC04
5J108CC10
5J108CC11
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE16
5J108GG03
5J108GG18
5J108GG21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安価な圧電振動デバイスを提供する。
【解決手段】圧電振動デバイスである水晶振動子1は、水晶振動板2と、第1封止部材3と、第2封止部材と、を有する。水晶振動板2は、両主面に第1励振電極25及び第2励振電極を有すると共に、第1、第2励振電極にそれぞれ接続された第1金属膜27及び第2金属膜28を有する。第1、第2封止部材は、水晶振動板の第1、第2励振電極をそれぞれ覆うように、水晶振動板の両主面にそれぞれ接合される。第1、第2封止部材の少なくとも一方の封止部材は、樹脂フィルムであり、樹脂フィルムは、少なくとも1つの角部3C1~3C4、・・・を有する。当該角部は、R面、C面、又は、鈍角に形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両主面の一方の主面に形成された第1励振電極及び前記両主面の他方の主面に形成された第2励振電極を有すると共に、前記第1,第2励振電極にそれぞれ接続された第1,第2金属膜27,28を有する圧電振動板と、
前記圧電振動板の前記第1,第2励振電極をそれぞれ覆うように、前記圧電振動板の前記両主面にそれぞれ接合される第1,第2封止部材とを備え、
前記第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材は、樹脂フィルムであり、
前記樹脂フィルムは、少なくとも1つの角部を有し、当該角部は、R面、C面、又は、鈍角に形成されている、
ことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項2】
前記樹脂フィルムは、感光性樹脂フィルムを露光現像した樹脂フィルムである、
請求項1に記載の圧電振動デバイス。
【請求項3】
前記圧電振動板は、前記両主面に前記第1,第2励振電極がそれぞれ形成された振動部と、前記振動部を囲む外枠部とを有し、前記振動部は、前記外枠部より薄肉であり、
前記樹脂フィルムは、その周端部が前記外枠部の両主面の少なくとも一方の主面に接合されている、
請求項1または2に記載の圧電振動デバイス。
【請求項4】
前記圧電振動板は、平面視略矩形であり、前記圧電振動板に接合される前記樹脂フィルムは、平面視略矩形である、
請求項3に記載の圧電振動デバイス。
【請求項5】
前記圧電振動板は、前記平面視略矩形の二組の対向辺の内の一方の組の対向辺に沿う方向の一方の端部の前記外枠部に、前記第1金属膜が形成され、他方の端部の前記外枠部に、前記第2金属膜が形成されている、
請求項4に記載の圧電振動デバイス。
【請求項6】
前記圧電振動板が、水晶振動板であり、
前記樹脂フィルムの前記水晶振動板に接合される接合領域の一部は、前記水晶振動板の水晶の素地部分に接合している、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の圧電振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子等の圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動デバイス、例えば、圧電振動子として、表面実装型の水晶振動子が広く用いられている。この表面実装型の水晶振動子は、例えば、特許文献1に記載されているように、セラミックからなる上面が開口した箱形のベース内の保持電極に、水晶振動片の両面の励振電極から導出された電極を、導電性接着剤によって固着することによって、水晶振動片をベース内に収納して搭載する。このようにして水晶振動片を搭載したベースの開口に、蓋体を接合して気密に封止するようにしている。また、ベースの外底面には、当該水晶振動子を表面実装するための実装端子が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような圧電振動子の多くは、セラミック製のベースに、金属製あるいはセラミック製の蓋体が接合されてパッケージが構成されているので、パッケージが高価となり、圧電振動子が高価なものとなっている。
【0005】
本発明は、上記のような点に鑑みて為されたものであって、安価な圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0007】
(1)本発明に係る圧電振動デバイスは、両主面の一方の主面に形成された第1励振電極及び前記両主面の他方の主面に形成された第2励振電極を有すると共に、前記第1,第2励振電極にそれぞれ接続された第1,第2金属膜27,28を有する圧電振動板と、前記圧電振動板の前記第1,第2励振電極をそれぞれ覆うように、前記圧電振動板の前記両主面にそれぞれ接合される第1,第2封止部材とを備え、前記第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材は、樹脂フィルムであり、前記樹脂フィルムは、少なくとも1つの角部を有し、当該角部は、R面、C面、又は、鈍角に形成されている。
【0008】
本発明に係る圧電振動デバイスによれば、両主面に第1,第2励振電極が形成された圧電振動板の前記第1,第2励振電極を覆うように、第1,第2封止部材を接合して封止するので、従来のように、上面が開口した箱形のベース内に圧電振動片を収納搭載して封止する必要がなく、高価なベースが不要になる。
【0009】
また、第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材を、樹脂フィルムで構成しているので、両封止部材を、金属製やセラミック製の蓋体で構成するのに比べて、コストを低減することができる。
【0010】
更に、樹脂フィルムは、少なくとも1つの角部を有し、当該角部は、R面、C面、又は、鈍角に形成されているので、直角や鋭角の頂点を有する角部に比べて、熱収縮等による応力集中を低減するとともに角部の接触面積が増えるから、頂点を起点とした剥離の発生を抑制することができる。
【0011】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記樹脂フィルムは、感光性樹脂フィルムを露光現像した樹脂フィルムである。
【0012】
この実施態様によれば、感光性樹脂フィルムを露光現像して不要部分を除去することによって、樹脂フィルムの角部を、R面、C面、又は、鈍角に容易に形成することができる。
【0013】
(3)本発明の一実施態様では、前記圧電振動板は、前記両主面に前記第1,第2励振電極がそれぞれ形成された振動部と、前記振動部を囲む外枠部とを有し、前記振動部は、前記外枠部より薄肉であり、前記樹脂フィルムは、その周端部が前記外枠部の両主面の少なくとも一方の主面に接合されている。
【0014】
この実施態様によれば、封止部材である樹脂フィルムは、薄肉の振動部を囲む厚肉の外枠部に、接合されるので、樹脂フィルムが、薄肉の振動部に接触することなく、該振動部の励振電極を封止することができる。
【0015】
(4)本発明の他の実施態様では、前記圧電振動板は、平面視略矩形であり、前記圧電振動板に接合される前記樹脂フィルムは、平面視略矩形である。
【0016】
平面視矩形の樹脂フィルムでは、熱収縮等による応力が集中する直角の頂点の角部を4つ備えるのに対して、この実施態様の樹脂フィルムは、平面視略矩形であって、少なくとも一つの角部が、R面、C面、又は、鈍角に形成されているので、圧電振動板の有効面積を狭めることなく応力が集中して剥離の起点となる直角の頂点の角部を減らすと共に、接触面積を増やして、剥離の発生を抑制することができる。
【0017】
(5)本発明の更に他の実施態様では、前記圧電振動板は、前記平面視略矩形の二組の対向辺の内の一方の組の対向辺に沿う方向の一方の端部の前記外枠部に、前記第1金属膜が形成され、他方の端部の前記外枠部に、前記第2金属膜が形成されている。
【0018】
この実施態様によれば、平面視略矩形の一方の組の対向辺に沿う方向の両端部に、第1,第2金属膜がそれぞれ形成されているので、前記対向辺に沿う方向の両端部の第1,第2金属膜を、第1,第2実装端子として使用することができ、この第1,第2実装端子を、半田や金属バンプやワイヤ等の接合材によって、回路基板等に接合して、当該圧電振動デバイスを実装することができる。
【0019】
(6)本発明の一実施態様では、前記圧電振動板が、水晶振動板であり、前記樹脂フィルムの前記水晶振動板に接合される接合領域の一部は、前記水晶振動板の水晶の素地部分に接合している。
【0020】
樹脂フィルムを、水晶振動板上に形成された配線パターンを構成する金属膜に接合した場合には、樹脂フィルムを透過した水分によって金属膜が劣化する虞があるが、この実施態様によれば、樹脂フィルムの一部は、水晶振動板の水晶の素地部分に接合されるので、金属膜のような水分による劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、圧電振動板の両主面に形成された第1,第2励振電極を覆うように、第1,第2封止部材を接合して封止するので、従来のように、上面が開口した箱形のベース内に圧電振動片を収納搭載して封止する必要がなく、高価なベースが不要になる。
【0022】
また、第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材を、樹脂フィルムで構成しているので、両封止部材を、金属製やセラミック製の蓋体で構成するのに比べて、コストを低減することができる。
【0023】
更に、樹脂フィルムは、その角部が、R面、C面、又は、鈍角に形成されているので、直角や鋭角の頂点を有する角部に比べて、熱収縮等による応力集中を低減することができ、角部の接触面積を増やして頂点を起点とした剥離の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る水晶振動子の概略斜視図である。
【
図6】
図6は
図1の水晶振動子の製造工程を模式的に示す概略断面図である。
【
図7】
図7は
図1の水晶振動子の製造工程を模式的に示す概略断面図である。
【
図8】
図8は水晶ウェハの一例の概略平面図である。
【
図10】
図10は本発明の他の実施形態に係る水晶振動子を構成する水晶振動板の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この実施形態では、圧電振動デバイスとして水晶振動子に適用して説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る水晶振動子の概略斜視図であり、
図2は、その概略平面図であり、
図3は、
図2のA-A線に沿う概略断面図であり、
図4は、その概略底面図である。なお、
図3及び後述の
図6,
図7では、説明の便宜上、金属膜や樹脂フィルムの厚みを誇張して示している。
【0027】
この実施形態の水晶振動子1は、ATカットの水晶振動板2と、この水晶振動板2の表裏の両主面の一方の主面側を覆って封止する第1封止部材としての、第1感光性樹脂フィルムを露光現像した第1樹脂フィルム3と、水晶振動板2の他方の主面側を覆って封止する第2封止部材としての、第2感光性樹脂フィルムを露光現像した第2樹脂フィルム4とを備えている。
【0028】
この水晶振動子1は、直方体状であって、平面視矩形である。この実施形態の水晶振動子1は、平面視で、例えば、1.2mm×1.0mmで、厚みは0.2mmであり、小型化及び低背化を図っている。
【0029】
なお、水晶振動子1のサイズは、上記に限定されるものではなく、これとは異なるサイズであっても適用可能である。
【0030】
次に、水晶振動子1を構成する水晶振動板2及び第1,第2樹脂フィルム3,4の各構成について説明する。
【0031】
この実施形態の水晶振動板2は、矩形の水晶板を水晶の結晶軸であるX軸の周りに35°15´回転させて加工したATカットの水晶板であり、回転した新たな軸をY´軸及びZ´軸という。ATカットの水晶板では、その表裏の両主面が、XZ´平面である。
【0032】
このXZ´平面において、平面視矩形の水晶振動板2の短辺方向(
図2,
図4の上下方向)がX軸方向となり、水晶振動板2の長辺方向(
図2,
図4の左右方向)がZ´軸方向となる。水晶振動板2の長辺方向(Z´軸方向)は、平面視矩形の水晶振動板2の二組の対向辺の内の一方の組の対向辺に沿う方向であり、水晶振動板2の短辺方向(X軸方向)は、前記方向に直交する方向である。
【0033】
この水晶振動板2は、平面視が略矩形の振動部21と、この振動部21の周囲を、貫通部22を挟んで取り囲む外枠部23と、振動部21と外枠部23とを連結する連結部24とを備えている。振動部21、外枠部23及び連結部24は、一体的に形成されている。振動部21及び連結部24は、外枠部23に比べて薄く形成されている。すなわち、振動部21は、外枠部23に比べて薄肉である。この薄肉の振動部21を覆うように、第1,第2樹脂フィルム3,4の周端部を、外枠部23に接合することによって、内部空間が形成されて封止される。
【0034】
この実施形態では、平面視が略矩形の振動部21を、その一つの角部に設けた一箇所の連結部24によって外枠部23に連結しているので、2箇所以上で連結する構成に比べて、振動部21に作用する応力を低減することができる。
【0035】
また、この実施形態では、連結部24は、外枠部23の内周のうちX軸方向に沿う一辺から突出し、かつ、Z´軸方向に沿って形成されている。水晶振動板2のZ´軸方向の両端部に形成された第1,第2金属膜27,28は、実装端子として使用され、半田等によって回路基板等に直接接合される。このため、水晶振動子の長辺方向(Z´軸方向)に収縮応力が働き、当該応力が振動部に伝搬することにより水晶振動子の発振周波数が変化し易くなることが考えられる。
【0036】
これに対して、この実施形態では、前記収縮応力に沿う方向に連結部24が形成されているため、当該収縮応力が振動部21に伝搬するのを抑制することができる。その結果、水晶振動子1を回路基板に実装した際の発振周波数の変化を抑制することができる。
【0037】
なお、振動部21と外枠部23との間の貫通部22を省略し、薄肉の振動部21を囲むように外枠部23を、振動部21に連設してもよい。
【0038】
振動部21の表裏の両主面には、一対の第1,第2励振電極25,26がそれぞれ形成されている。平面視矩形の水晶振動板2の長辺方向の両端部の外枠部23には、第1,第2励振電極25,26にそれぞれ電気的に接続された第1,第2金属膜27,28が、水晶振動板2の短辺方向に沿ってそれぞれ形成されている。
【0039】
このように第1,第2金属膜27,28は、水晶振動板2の長辺方向の両端部に、振動部21を挟んで形成されている。この実施形態では、各金属膜27,28は、上記のように、当該水晶振動子1を回路基板等に実装するための実装端子として使用される。
【0040】
両主面の一方の主面では、
図2に示されるように、第1金属膜27は、後述の矩形環状の第1封止パターン201に連設され、他方の主面では、
図4に示されるように、第2金属膜28は、後述の矩形環状の第2封止パターン202に連設されている。
【0041】
水晶振動板2の両主面の第1金属膜27同士、及び、第2金属膜28同士はそれぞれ電気的に接続されている。この実施形態では、両主面の第1金属膜27同士及び第2金属膜28同士は、水晶振動板2の対向する長辺側の側面を引き回された引き回し電極でそれぞれ電気的に接続されると共に、水晶振動板2の対向する短辺側の側面を引き回された引き回し電極でそれぞれ電気的に接続されている。
【0042】
このように両主面の第1金属膜27同士及び第2金属膜28同士は、電気的にそれぞれ接続されているので、当該水晶振動子1を、第1,第2金属膜27,28を実装端子として回路基板等に実装する際に、表裏の両主面のいずれの面でも実装することができる。
【0043】
なお、両主面の第1金属膜27同士及び第2金属膜28同士は、両主面を貫通する貫通電極を介して電気的に接続されるようにしてもよく、あるいは、側面の引き回し電極を介して電気的に接続されると共に、貫通電極を介して電気的に接続されるようにしてもよい。
【0044】
水晶振動板2の表面側には、
図2に示されるように、第1樹脂フィルム3が接合される第1封止パターン201が、略矩形の振動部21を取り囲むように矩形環状に形成されている。この第1封止パターン201は、第1金属膜27に連なる接続部201aと、この接続部201aの両端部から水晶振動板2の長辺方向(Z´軸方向)に沿ってそれぞれ延出する第1延出部201b,201bと、水晶振動板2の短辺方向(X軸方向)に沿って延出して前記各第1延出部201b,201bの延出端を接続する第2延出部201cとを備えている。第2延出部201cは、第1励振電極25から引出された第1引出し電極203に接続されている。したがって、第1金属膜27は、第1引出し電極203及び第1封止パターン201を介して第1励振電極25に電気的に接続されている。水晶振動板2の短辺方向に沿って延出する第2延出部201cと第2金属膜28との間には、電極が形成されていない無電極領域が設けられて、第1封止パターン201と第2金属膜28との絶縁が図られている。
【0045】
水晶振動板2の裏面側には、
図4に示されるように、第2樹脂フィルム4が接合される第2封止パターン202が、略矩形の振動部21を取り囲むように矩形環状に形成されている。この第2封止パターン202は、第2金属膜28に連なる接続部202aと、この接続部202aの両端部から水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部202b,202bと、水晶振動板2の短辺方向に沿って延出して、前記各第1延出部202b,202bの延出端を接続する第2延出部202cとを備えている。接続部202aは、第2励振電極26から引出された第2引出し電極204に接続されている。したがって、第2金属膜28は、第2引出し電極204及び第2封止パターン202の接続部202aを介して第2励振電極26に電気的に接続されている。水晶振動板2の短辺方向に沿って延出する第2延出部202cと第1金属膜27との間には、電極が形成されていない無電極領域が設けられて、第2封止パターン202と第1金属膜27との絶縁が図られている。
【0046】
図2に示されるように、第1封止パターン201の、水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部201b,201bの幅は、前記長辺方向に沿って延びる外枠部23の幅より狭く、第1延出部201b,201bの幅方向(
図2の上下方向)の両側には、電極が形成されていない無電極領域が設けられている。
【0047】
この第1延出部201b,201bの両側の無電極領域の内、外側の無電極領域は、第1金属膜27まで延びていると共に、第2金属膜28と第2延出部201cとの間の無電極領域に連なっている。これによって、第1封止パターン201の接続部201a、第1延出部201b,201b、及び、第2延出部201cの外側は、略等しい幅の無電極領域によって囲まれている。この無電極領域は、水晶振動板2の短辺方向に沿って延びる接続部201aの一端の外側から一方の第1延出部201bに沿って延出し、その延出端から第2延出部201cに沿って延出し、その延出端から他方の第1延出部201bに沿って接続部201aの他端の外側まで延出している。
【0048】
第1封止パターン201の接続部201aの幅方向の内側には、無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部201b,201bの内側の無電極領域に連なっている。第2延出部201cの幅方向の内側には、連結部24の第1引出し電極203を除いて無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部201b,201bの内側の無電極領域に連なっている。これによって、第1封止パターン201の接続部201a、第1延出部201b,201b、及び、第2延出部201cの幅方向の内側は、連結部24の第1引出し電極203を除いて平面視で矩形環状の無電極領域となっている。
【0049】
図4に示されるように、第2封止パターン202の、水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部202b,202bの幅は、前記長辺方向に沿って延びる外枠部23の幅より狭く、第1延出部202b,202bの幅方向(
図4の上下方向)の両側には、電極が形成されていない無電極領域が設けられている。
【0050】
この第1延出部202b,202bの両側の無電極領域の内、外側の無電極領域は、第2金属膜28まで延びていると共に、第1金属膜27と第2延出部202cとの間の無電極領域に連なっている。これによって、第2封止パターン202の接続部202a、第1延出部202b,202b、及び、第2延出部202cの外側は、略等しい幅の無電極領域によって囲まれている。この無電極領域は、水晶振動板2の短辺方向に沿って延びる接続部202aの一端の外側から一方の第1延出部202bに沿って延出し、その延出端から第2延出部202cに沿って延出し、その延出端から他方の第1延出部202bに沿って接続部202aの他端の外側まで延出している。
【0051】
第2封止パターン202の接続部202aの幅方向の内側には、連結部24の第2引出し電極204を除いて無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部202b,202bの内側の無電極領域に連なっている。第2延出部202cの幅方向の内側には、無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部202b,202bの内側の無電極領域に連なっている。これによって、第2封止パターン202の接続部202a、第1延出部202b,202b、及び、第2延出部202cの幅方向の内側は、連結部24の第2引出し電極204を除いて平面視で矩形環状の無電極領域となっている。
【0052】
上記のように第1,第2封止パターン201,202の第1延出部201b,201b;202b,202bを、外枠部23の幅よりも狭くし、第1延出部201b,201b;202b,202bの幅方向の両側には、無電極領域を設けていると共に、接続部201a,202a及び第2延出部201c,202cの幅方向の内側には、無電極領域を設けている。前記無電極領域は、スパッタリング時に外枠部23の側面に回り込んだ第1,第2封止パターン201,202を、フォトリソグラフィー技術によりパターニングし、これをメタルエッチングで除去することによって形成される。これにより、第1,第2封止パターン201,202が、外枠部23の側面に回り込むことによる短絡を防止することができる。
【0053】
水晶振動板2の表裏面にそれぞれ接合されて、水晶振動板2の振動部21を封止する第1,第2樹脂フィルム3,4は、矩形のフィルムである。この矩形の第1,第2樹脂フィルム3,4は、水晶振動板2の長手方向の両端部の第1,第2金属膜27,28を除く矩形の領域を覆うサイズであり、振動部21及びその周囲の前記矩形の領域を覆うように水晶振動板2の外枠部23に接合されている。
【0054】
この実施形態では、矩形の第1,第2樹脂フィルム3,4の剥離を防止するために、第1樹脂フィルム3の4つの第1~第4角部3C1~3C4を、
図1及び
図2に示すように、R面に形成すると共に、第2樹脂フィルム4の4つの角部4C1~4C4を、
図4に示すように、R面に形成している。
【0055】
第1,第2樹脂フィルム3,4が、4つの角部に直角の頂点をそれぞれ有する矩形であると、熱収縮等による応力が、直角の頂点に集中して、頂点を起点として剥離が生じる場合がある。
【0056】
これに対して、この実施形態では、第1,第2樹脂フィルム3,4の第1~第4角部3C1~3C4,4C1~4C4は、R面に形成されているので、応力が集中して剥離の起点となる頂点がなく、角部の接触面積を増やして剥離の発生を抑制することができる。
【0057】
第1樹脂フィルム3のR面は、
図2に示すように、第1封止パターン201の、第2金属膜28に近接する第2延出部201cを覆うことができる半径となっている。すなわち、第1樹脂フィルム3の第2,第4角部3C2,3C4のR面は、第1封止パターン201の第2延出部201cを覆っている。
【0058】
同様に、第2樹脂フィルム4のR面は、
図4に示すように、第2封止パターン202の、第1金属膜27に近接する第2延出部202cを覆うことができる半径となっている。すなわち、第2樹脂フィルム4の第1,第3角部4C1,4C3のR面は、第2封止パターン202の第2延出部202cを覆っている。
【0059】
この実施形態では、第1樹脂フィルム3の第1~第4角部3C1~3C4、及び、第2樹脂フィルム4の第1~第4角部4C1~4C4の全ての角部3C1~3C4,4C1~4C4を、R面に形成したが、少なくともいずれか一つの角部のみをR面に形成してもよい。
【0060】
また、R面に限らず、他の形状としてもよい。
図5は、第1樹脂フィルム3の第1角部3C1を代表的に示すものであり、例えば、
図5(a)に示すように、R面に代えて、C面の第1角部3C1aにしてもよく、あるいは、
図5(b)に示すように、鈍角の第1角部3C1bとしてもよい。
【0061】
図5に示される第1樹脂フィルム3の第1角部3C1に限らず、第1樹脂フィルム3の第2~第4角部3C2~3C4、及び、第2樹脂フィルム4の第1~第4角部4C1~4C4も同様に、C面、あるいは、鈍角としてもよい。また、R面、C面、あるいは、鈍角を組合せてもよい。
【0062】
この実施形態では、第1,第2樹脂フィルム3,4は、感光性樹脂フィルム、例えば、感光性ポリイミドフィルムを後述のように露光現像してパターニングにし、硬化させたものである。
【0063】
露光現像されて硬化された感光性ポリイミドフィルムは、300℃以上の耐熱性を有するので、当該水晶振動子1を実装するための半田リフロー処理の際に第1,第2樹脂フィルム3,4が変形等することがない。
【0064】
この実施形態の第1,第2樹脂フィルム3,4は、透明であるが、半透明あるいは不透明であってもよい。
【0065】
水晶振動板2の第1,第2励振電極25,26、第1,第2金属膜27,28,第1,第2封止パターン201,202、及び、第1,第2引出し電極203,204は、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層され、更に、例えば、Ti、CrまたはNiが積層形成されて構成されている。
【0066】
この実施形態では、下地層はTiであり、その上に、Au、Tiが積層形成されている。このように最上層がTiであることによって、Auが最上層である場合に比べて、感光性ポリイミドフィルムとの接合強度が向上する。
【0067】
矩形の第1,第2樹脂フィルム3,4が接合される矩形環状の第1,第2封止パターン201,202の上層は、上記のように、Ti、CrまたはNi(またはこれらの酸化物)から構成されるので、Au等に比べて、第1,第2樹脂フィルム3,4との接合強度を高めることができる。
【0068】
次に、この実施形態の水晶振動子1の製造方法について説明する。
【0069】
図6及び
図7は、水晶振動子1を製造する工程を模式的に示す概略断面図である。
【0070】
先ず、
図6(a)に示される加工前のATカットの水晶ウェハ(ATカット水晶板)5に対して、フォトリソグラフィー技術を用いたウェットエッチングによって、
図6(b)に示すように、複数の水晶振動板部分2a及びそれらを支持するフレーム部分(図示せず)等の外形を形成し、更に、水晶振動板部分2aに、外枠部分23aや、外枠部分23aよりも薄肉の振動部分21a等の各部の外形を形成する。すなわち、外形及び振動部の加工工程を実施する。
【0071】
次に、
図6(c)に示すように、スパッタリング技術または蒸着技術、及び、フォトリソグラフィー技術によって、水晶振動板部分2aの所定の位置に、第1,第2励振電極25a,26a及び第1,第2金属膜27a,28a等を形成する、電極形成工程を実施する。
【0072】
このようにして両主面に第1,第2励振電極25a,26aが形成されると共に、第1,第2金属膜27a,28aが形成された水晶振動板部分2aの複数がマトリックス状に配列支持された水晶ウェハ5aが得られる。
【0073】
図8は、
図6(c)の水晶ウェハ5aの一例を示す概略平面図であり、
図9は、その一部を拡大して示す概略平面図である。
【0074】
水晶ウェハ5aは、第1,第2励振電極25a,26aが形成された振動部分21a及び第1,第2金属膜27a,28a等が形成された複数の水晶振動板部分2aが、マトリックス状に配列されて連結部8を介してフレーム部9に支持されて構成されている。各水晶振動板部分2aの周囲は、前記連結部8を除いて貫通部15となっている。
【0075】
次に、水晶ウェハ5aの両主面の全面に、
図6(d)に示すように、感光性ポリイミドフィルム3a,4aを貼り付ける、すなわち、ラミネートする。この水晶ウェハに対する感光性ポリイミドフィルム3a,4aのラミネートは、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で行われる。このラミネートは、不活性ガス雰囲気中に限らず、大気中や減圧雰囲気中で行ってもよい。
【0076】
この実施形態では、ラミネートは、例えば、ロール状にそれぞれ巻回されている感光性ポリイミドフィルム3a,4aをそれぞれ引出し、引出された各感光性ポリイミドフィルム3a,4a間に、上記
図8に示される水晶ウェハ5aを挟むようにして加熱ローラで加圧し、水晶ウェハ5aの両主面の全面に感光性ポリイミド樹脂フィルム3a,4aをそれぞれ貼り付ける。このように感光性ポリイミド樹脂フィルム3a,4aは、水晶ウェハ5aの全面に貼り付ければよいので、位置合わせをする必要がなく、効率的にラミネートすることができる。なお、ラミネートは、ロール式に限らず、枚葉式であってもよい。
【0077】
次に、
図7(e)に示すように、フォトマスク11を介して水晶ウェハ5aの両主面に貼り付けられた感光性ポリイミドフィルム3a,4aをそれぞれ露光する。
【0078】
この露光では、第1,第2励振電極25a,26aが形成された振動部分21a及びその周囲の矩形の領域が露光部分となり、前記矩形の領域以外の、第1,第2金属膜27a,28aを含む領域が、未露光部分となるように露光する。
【0079】
その後、現像を行って未露光部分を現像液に溶解除去し、
図7(f)に示すように、各水晶振動板部分2aの第1,第2励振電極25a,26aが形成されている振動部分21a及びその周囲の矩形の領域を覆う露光部分のみを残すように樹脂フィルム3,4をパターニングする。このパターニングによって、第1,第2樹脂フィルム3,4の第1~第4角部3C1~3C4,4C1~4C4が、上記のようにR面に形成される。
【0080】
その後、300℃程度で加熱して樹脂フィルム3,4を熱硬化させ、
図7(g)に示すように、水晶ウェハ5から各水晶振動板部分2aを折り取って個片化する。
【0081】
これによって、
図1に示される水晶振動子1が複数得られる。
【0082】
このように本実施形態によれば、矩形の第1,第2樹脂フィルム3,4の第1~第4角部3C1~3C4,4C1~4C4を、R面に形成しているので、熱収縮等による応力が集中して剥離の起点となる直角や鋭角な頂点を有する構成に比べて、応力集中が低減され、角部の接触面積を増やして剥離の発生を抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態では、第1,第2樹脂フィルム3,4は、感光性樹脂フィルムを露光現像した樹脂フィルムであるので、感光性樹脂フィルムを露光現像して、樹脂フィルムの角部がR面となるようにパターニングすることができ、角部の形状を容易に形成することができる。
【0084】
このようにフォトリソグラフィー技術によって、水晶振動板2に貼り付けられた感光性樹脂フィルムの不要部分を除去できるので、例えば、レーザー光によって、樹脂フィルムの不要部分を切断除去する場合のように、樹脂フィルムと共に、水晶振動板2の配線パターンを切断して、導通不良が生じるといったことがない。
【0085】
更に、本実施形態によれば、水晶振動板2の表裏の両主面に、第1,第2樹脂フィルム3,4を接合して水晶振動子1を構成するので、セラミック等の絶縁材料からなる上面が開口した箱形のベースに、圧電振動片を収納搭載し、前記開口に蓋体を接合して、気密に封止する従来例のように、高価なベースや蓋体が不要となり、圧電振動片をベースに搭載する必要もない。
【0086】
これによって、水晶振動子1のコストを低減することができ、水晶振動子1を、安価に提供することができる。
【0087】
また、上面が開口した箱形のベースに、圧電振動片を収納搭載して蓋体で封止する従来例に比べて、薄型化(低背化)を図ることができる。
【0088】
本実施形態の水晶振動子1では、第1,第2樹脂フィルム3,4によって振動部21を封止しているので、ベースに金属製やセラミック製の蓋体を接合して気密に封止する従来例に比べて気密性が劣り、水晶振動子1の共振周波数の経年変化が生じ易い。
【0089】
しかし、例えば、近距離無線通信用途のうちBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等では、周波数偏差等の規格が比較的緩やかであるので、かかる用途では、樹脂フィルムで封止した安価な水晶振動子1を使用することが可能である。
【0090】
上記実施形態では、水晶振動板2の両主面の一方の主面には、
図2に示すように、第1封止パターン201が、略矩形の振動部21を取り囲むように矩形環状に形成され、水晶振動板2の両主面の他方の主面には、
図4に示すように、第2封止パターン202が、略矩形の振動部21を取り囲むように矩形環状に形成されたが、矩形環状の第1,第2封止パターン201,202を省略してもよい。
【0091】
図10及び
図11は、第1,第2封止パターン201,202を省略した水晶振動板2
1の概略平面図及び概略底面図である。
【0092】
この水晶振動板2
1では、第1金属膜27は、
図10に示されるように、引き回し電極209及び第1引出し電極203を介して第1励振電極25に電気的に接続されている。
【0093】
第2金属膜28は、
図11に示されるように、第2引出し電極204が延長されて第2励振電極26に電気的に接続されている。
【0094】
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
【0095】
この実施形態では、矩形環状の第1,第2封止パターン201,202を省略しているので、感光性ポリイミドフィルム3a,4aは、その大部分が水晶振動板21の水晶の素地部分14に貼り付けられて、露光現像、及び、硬化されことになる。
【0096】
感光性ポリイミドフィルム3a,4aの大部分を、金属膜からなる第1,第2封止パターン201,202に貼り付けて、露光現像、及び、硬化する上記実施形態では、第1,第2樹脂フィルム3,4を透過した水分が、金属膜からなる第1,第2封止パターン201,202を劣化させて第1,第2樹脂フィルム3,4との密着力が低下する虞がある。
【0097】
これに対して、感光性ポリイミドフィルム3a,4aを、水晶振動板21の水晶の素地部分14に貼り付けて、露光現像、及び、硬化させる本実施形態によれば、金属膜のような水分による劣化を抑制することができる。また、感光性ポリイミドフィルム3a,4aは、水晶の素地部分14に貼り付けて露光現像した方が、金属膜からなる第1,第2封止パターン201,202に貼り付けて露光現像した場合に比べて、接合強度が向上する。
【0098】
上記各実施形態では、水晶振動板2,21の第1,第2金属膜27,28は、上記のように当該水晶振動子1を、回路基板等に実装するための実装端子としての機能を有している。本発明の他の実施形態として、第1,第2実装端子を、第1,第2金属膜27,28とは別に形成し、第1,第2金属膜27,28を、第1,第2実装端子と第1,第2励振電極25,26とを電気的に接続する接続電極として機能させてもよい。
【0099】
このように第1,第2金属膜27,28を、第1,第2実装端子と第1,第2励振電極25,26とを電気的に接続する接続電極として機能させた実施形態を
図12及び
図13に示す。
【0100】
この
図12及び
図13は、上記
図1及び
図3にそれぞれ対応する水晶振動子1
1の概略斜視図及び概略断面図である。この実施形態の水晶振動子1
1の外形サイズは、上記各実施形態の水晶振動子1の外形サイズと同じである。
【0101】
この実施形態の水晶振動子11の水晶振動板22は、上記各実施形態と同様に、第1,第2励振電極251,261が形成された振動部211と、この振動部211の周囲を、貫通部221を挟んで取り囲む外枠部231と、振動部211と外枠部231とを連結する連結部241とを備えている。
【0102】
この実施形態では、第1,第2樹脂フィルム31,41は、水晶振動板22の第1,第2励振電極251,261が形成された振動部211及びその周囲の矩形の領域だけではなく、水晶振動板22の両主面の全面をそれぞれ覆うように接合されている。すなわち、第1,第2樹脂フィルム31,41のサイズは、上記各実施形態の第1,第2樹脂フィルム3,4のサイズに比べて大きく、水晶振動板22と同じサイズである。
【0103】
したがって、
図13に示すように、水晶振動板2
2に形成されている第1,第2金属膜27
1,28
1の内、両主面に形成されている部分は、第1,第2樹脂フィルム3
1,4
1で覆われている。
【0104】
この実施形態では、両主面の全面に第1,第2樹脂フィルム31,41がそれぞれ接合された水晶振動板22の長辺方向の両端部に、第1,第2樹脂フィルム31,41及び水晶振動板22の外表面の略全面を覆うように導電性ペーストを塗布して熱硬化させて第1,第2実装端子17,18を形成している。
【0105】
第1金属膜271は、上記各実施形態と同様に、水晶振動板22の長辺方向の両端部の一方の端部の、対向する長辺側の各側面及び対向する短辺側の一方の側面に亘って形成されている。第1実装端子17は、この第1金属膜271上に形成されているので、第1実装端子17は、第1金属膜271に電気的に接続される。第1金属膜271は、上記各実施形態と同様に、第1励振電極251に電気的に接続されているので、この第1金属膜271は、第1励振電極251と第1実装端子17とを電気的に接続する接続電極として機能する。
【0106】
同様に、第2金属膜281は、水晶振動板22の長辺方向の両端部の他方の端部の、対向する長辺側の各側面及び対向する短辺側の他方の側面に亘って形成されている。第2実装端子18は、この第2金属膜281上に形成されているので、第2実装端子18は、第2金属膜281に電気的に接続される。第2金属膜281は、第2励振電極261に電気的に接続されているので、この第2金属膜281は、第2励振電極261と第2実装端子18とを電気的に接続する接続電極として機能する。
【0107】
この実施形態では、第1,第2実装端子17,18を、水晶振動板2
2に接合された第1,第2樹脂フィルム3
1,4
1の外表面に形成するので、上記各実施形態のような、水晶振動板2,2
1に形成された第1,第2金属膜27,28を第1,第2実装端子とする構成に比べて、
図3及び
図13に示されるように、水晶振動板2
2に形成する第1,第2金属膜27
1,28
1のサイズを小さくすることができ、その分、第1,第2金属膜27
1,28
1に挟まれた振動部21
1のサイズを大きくすることができる。
【0108】
これによって、水晶振動子11自体のサイズを大きくすることなく、振動部211を、水晶振動板22の長辺方向に沿って長くして振動特性を向上させることができると共に、当該水晶振動子11の実装に必要な第1,第2実装端子17,18の接合領域を確保することができる。
【0109】
上記第1,第2樹脂フィルム3,31;4,41は、感光性樹脂フィルムであったが、非感光性の樹脂フィルムであってもよい。
【0110】
また、第1,第2樹脂フィルム3,31;4,41は、矩形に限らず、他の四角形や五角以上の多角形であってもよい。
【0111】
上記各実施形態では、連結部24,241は平面視が略矩形の振動部21,211の一つの角部に一箇所、設けられていたが、連結部24,241の形成位置や形成数はこの限りではない。さらに連結部24,241の幅は一定でなくてもよい。
【0112】
また、貫通部を有することなく、振動部を薄く、その周辺部を厚くした逆メサ型の水晶振動板に適用してもよい。
【0113】
上記各実施形態では、水晶振動板2,21,22の両主面に、第1,第2樹脂フィルム3,4;31,41をそれぞれ接合して、振動部21,211を封止したが、水晶振動板2,21,22の一方の主面のみに樹脂フィルムを接合し、他方の主面には、従来の蓋体を接合して振動部21,211を封止してもよい。
【0114】
水晶振動板は、平面視略矩形であればよく、上記のような平面視矩形に限らず、例えば、水晶振動板の角部を面取りした形状、あるいは、水晶振動板の周縁部を厚み方向に切欠き、切欠き部に電極が被着されてなるキャスタレーション等が形成された形状であってもよい。
【0115】
本発明は、水晶振動子等の圧電振動子に限らず、圧電発振器等の他の圧電振動デバイスに適用してもよい。
【符号の説明】
【0116】
1,11 水晶振動子
2,21,22 水晶振動板
3,31 第1樹脂フィルム
4,41 第2樹脂フィルム
5 水晶板
5a 水晶ウェハ
17 第1実装端子
18 第2実装端子
21,211 振動部
22,221 貫通部
23,231 外枠部
24,241 連結部
25,251 第1励振電極
26,261 第2励振電極
27,271 第1金属膜
28,281 第2金属膜
201 第1封止パターン
202 第2封止パターン