(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038186
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】電流測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 15/18 20060101AFI20220303BHJP
H02B 1/40 20060101ALN20220303BHJP
【FI】
G01R15/18 D
H02B1/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142547
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 敏成
【テーマコード(参考)】
2G025
5G211
【Fターム(参考)】
2G025AA15
2G025AB14
2G025AC01
5G211DD14
5G211DD15
5G211GG04
(57)【要約】
【課題】適切に設置されているか否かを知らせることができる電流測定装置を提供する。
【解決手段】電流測定装置CTであって、第1筐体15と第2筐体16とが組み合わされ、且つ、第1筐体15及び第2筐体16の一方に設けられる係止部17が第1筐体15及び第2筐体16の他方に設けられる被係止部18に係止される係止状態になることで、第1筐体15及び第2筐体16が互いに固定されると共に、第1筐体15が備える第1磁性体コア10と第2筐体16が備える第2磁性体コア11とが互いに組み合わされて環状になるように構成され、係止部17が被係止部18に係止される係止状態である場合と、係止部17が被係止部18に係止されない非係止状態である場合とで、オン状態とオフ状態とが切り替わるスイッチ20を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み合わされることで、導体の周囲を取り囲むことができる環状になる第1磁性体コア及び第2磁性体コアと、前記第1磁性体コアを内部に備える第1筐体と、前記第2磁性体コアを内部に備える第2筐体と、前記第1磁性体コア又は前記第2磁性体コアに複数回巻き付けられる二次側巻線と、前記二次側巻線に接続される出力線とを有し、
前記第1筐体が備える前記第1磁性体コアと前記第2筐体が備える前記第2磁性体コアとが互いに組み合わされて前記導体の周囲を取り囲んでいる場合に、前記導体に流れる一次電流に応じた二次電流が前記出力線を流れる電流測定装置であって、
前記第1筐体と前記第2筐体とが組み合わされ、且つ、前記第1筐体及び前記第2筐体の一方に設けられる係止部が前記第1筐体及び前記第2筐体の他方に設けられる被係止部に係止される係止状態になることで、前記第1筐体及び前記第2筐体が互いに固定されると共に、前記第1筐体が備える前記第1磁性体コアと前記第2筐体が備える前記第2磁性体コアとが互いに組み合わされて環状になるように構成され、
前記係止部が前記被係止部に係止される前記係止状態である場合と、前記係止部が前記被係止部に係止されない非係止状態である場合とで、オン状態とオフ状態とが切り替わるスイッチを備える電流測定装置。
【請求項2】
前記スイッチは、前記係止状態になっている場合に前記係止部と接触することで前記オン状態に切り替わり、前記非係止状態になっている場合に前記係止部と接触しないことで前記オフ状態に切り替わるように構成されている請求項1に記載の電流測定装置。
【請求項3】
互いに組み合わされることで、導体の周囲を取り囲むことができる環状になる第1磁性体コア及び第2磁性体コアと、前記第1磁性体コアを内部に備える第1筐体と、前記第2磁性体コアを内部に備える第2筐体と、前記第1磁性体コア又は前記第2磁性体コアに複数回巻き付けられる二次側巻線と、前記二次側巻線に接続される出力線とを有し、
前記第1筐体が備える前記第1磁性体コアと前記第2筐体が備える前記第2磁性体コアとが互いに組み合わされて前記導体の周囲を取り囲んでいる場合に、前記導体に流れる一次電流に応じた二次電流が前記出力線を流れる電流測定装置であって、
可動部と本体部とを有し、前記可動部が前記本体部に向けて押し込まれた押込状態の場合と、前記可動部が前記本体部に向けて押し込まれていない非押込状態の場合とで、オン状態とオフ状態とが切り替わるスイッチと、
前記第1筐体が備える前記第1磁性体コアと前記第2筐体が備える前記第2磁性体コアとが互いに組み合わされて環状になることで前記導体の周囲を取り囲み、且つ、前記スイッチの前記可動部が前記第1筐体又は前記第2筐体に接触することで前記可動部が前記本体部に向けて押し込まれた前記押込状態で、前記第1筐体及び前記第2筐体及び前記スイッチを共に結束可能な結束バンドとを備える電流測定装置。
【請求項4】
前記スイッチは、前記可動部が前記本体部に向けて押し込まれた前記押込状態の場合に前記オン状態に切り替わり、前記可動部が前記本体部に向けて押し込まれていない前記非押込状態の場合に前記オフ状態に切り替わるように構成されている請求項3に記載の電流測定装置。
【請求項5】
前記スイッチは、前記出力線の途中に設けられている請求項1~4の何れか一項に記載の電流測定装置。
【請求項6】
前記スイッチは、当該スイッチの前記オン状態及び前記オフ状態を検出する状態検出部に接続されている請求項1~4の何れか一項に記載の電流測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋等の施設では、電力系統に接続される主幹ブレーカが分電盤に設けられ、その主幹ブレーカを経由して電力の供給を受けることができる。また、施設内では、主幹ブレーカの二次側に、複数の分岐ブレーカが主幹ブレーカから見て並列に接続され、それら分岐ブレーカの二次側に、各種の電力負荷装置などが接続されるような電気設備が構築されている。
【0003】
太陽電池などの電源装置を施設に設置する場合、特許文献1に記載のように、電源装置用の専用ブレーカ(自家発電用主幹開閉器11)を分岐ブレーカ(分岐開閉器12)と並列に主幹ブレーカ(商用電源用主幹開閉器6)の二次側に増設し、その専用ブレーカに電源装置(太陽電池E2)を接続することが行われている。この場合、電源装置には二つの電圧線と中性線とが接続されており、電源装置は交流200V電源として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、交流200V電源として機能する電源装置を設置しているが、交流100V電源として機能する電源装置を設置する場合も有り得る。その場合、電源装置が、電力系統に接続される主幹ブレーカの二次側の、R相の電圧線及びT相の電圧線及び中性線を有する単相3線式の交流線のうち、R相の電圧線又はT相の電圧線と、中性線とに接続される場合を想定できる。
【0006】
この場合、電源装置が接続される一つの電圧線及び中性線の間の電位差は100Vとなる。例えば、
図1に示す分散型電源システムでは、電源装置6が、R相の電圧線2r及び中性線2nという2線に接続された100V用の分岐ブレーカ4cの二次側に交流100V電源として接続されている場合を示している。このような分散型電源システムにおいて、電力系統1へ逆潮流する電力を計測するため、或いは、そのような逆潮流を防止するために、R相の電圧線2r及びT相の電圧線2tの両方に電流測定装置CTを設けることが行われる。
【0007】
尚、電流測定装置CTを設置しても、その後、別の工事業者などによって誤って取り外される可能性がある。その場合、電流測定装置CTは適切な出力を行わない状態になるが、そのような状態に至ったことを知る術はない。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、適切に設置されているか否かを知らせることができる電流測定装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る電流測定装置の特徴構成は、互いに組み合わされることで、導体の周囲を取り囲むことができる環状になる第1磁性体コア及び第2磁性体コアと、前記第1磁性体コアを内部に備える第1筐体と、前記第2磁性体コアを内部に備える第2筐体と、前記第1磁性体コア又は前記第2磁性体コアに複数回巻き付けられる二次側巻線と、前記二次側巻線に接続される出力線とを有し、
前記第1筐体が備える前記第1磁性体コアと前記第2筐体が備える前記第2磁性体コアとが互いに組み合わされて前記導体の周囲を取り囲んでいる場合に、前記導体に流れる一次電流に応じた二次電流が前記出力線を流れる電流測定装置であって、
前記第1筐体と前記第2筐体とが組み合わされ、且つ、前記第1筐体及び前記第2筐体の一方に設けられる係止部が前記第1筐体及び前記第2筐体の他方に設けられる被係止部に係止される係止状態になることで、前記第1筐体及び前記第2筐体が互いに固定されると共に、前記第1筐体が備える前記第1磁性体コアと前記第2筐体が備える前記第2磁性体コアとが互いに組み合わされて環状になるように構成され、
前記係止部が前記被係止部に係止される前記係止状態である場合と、前記係止部が前記被係止部に係止されない非係止状態である場合とで、オン状態とオフ状態とが切り替わるスイッチを備える点にある。
ここで、前記スイッチは、前記係止状態になっている場合に前記係止部と接触することで前記オン状態に切り替わり、前記非係止状態になっている場合に前記係止部と接触しないことで前記オフ状態に切り替わるように構成してもよい。
【0010】
上記特徴構成によれば、電流測定装置を適切に設置した場合、係止部が被係止部に係止される係止状態にされるため、スイッチはオン状態又はオフ状態になる。但し、その後に電流測定装置が他の工事業者などによって取り外された場合、即ち、係止部が被係止部に係止されない非係止状態にされた場合、スイッチはそれまでとは逆のオフ状態又はオン状態になる。つまり、スイッチの出力(オン状態又はオフ状態)を監視することで、電流測定装置が適切に設置されているか否かを知ることができる。
【0011】
本発明に係る電流測定装置の別の特徴構成は、互いに組み合わされることで、導体の周囲を取り囲むことができる環状になる第1磁性体コア及び第2磁性体コアと、前記第1磁性体コアを内部に備える第1筐体と、前記第2磁性体コアを内部に備える第2筐体と、前記第1磁性体コア又は前記第2磁性体コアに複数回巻き付けられる二次側巻線と、前記二次側巻線に接続される出力線とを有し、
前記第1筐体が備える前記第1磁性体コアと前記第2筐体が備える前記第2磁性体コアとが互いに組み合わされて前記導体の周囲を取り囲んでいる場合に、前記導体に流れる一次電流に応じた二次電流が前記出力線を流れる電流測定装置であって、
可動部と本体部とを有し、前記可動部が前記本体部に向けて押し込まれた押込状態の場合と、前記可動部が前記本体部に向けて押し込まれていない非押込状態の場合とで、オン状態とオフ状態とが切り替わるスイッチと、
前記第1筐体が備える前記第1磁性体コアと前記第2筐体が備える前記第2磁性体コアとが互いに組み合わされて環状になることで前記導体の周囲を取り囲み、且つ、前記スイッチの前記可動部が前記第1筐体又は前記第2筐体に接触することで前記可動部が前記本体部に向けて押し込まれた前記押込状態で、前記第1筐体及び前記第2筐体及び前記スイッチを共に結束可能な結束バンドとを備える点にある。
ここで、前記スイッチは、前記可動部が前記本体部に向けて押し込まれた前記押込状態の場合に前記オン状態に切り替わり、前記可動部が前記本体部に向けて押し込まれていない前記非押込状態の場合に前記オフ状態に切り替わるように構成してもよい。
【0012】
上記特徴構成によれば、電流測定装置を適切に設置して、結束バンドで第1筐体及び第2筐体及びスイッチを共に結束した場合、スイッチの可動部が第1筐体又は第2筐体に接触することで可動部が本体部に向けて押し込まれた押込状態にされるため、スイッチはオン状態又はオフ状態になる。但し、その後に電流測定装置が他の工事業者などによって取り外される際に結束バンドが切断されるなどした場合、即ち、スイッチが第1筐体及び第2筐体から分離して可動部が本体部に向けて押し込まれていない非押込状態にされた場合、スイッチはそれまでとは逆のオフ状態又はオン状態になる。つまり、スイッチの出力(オン状態又はオフ状態)を監視することで、電流測定装置が適切に設置されているか否かを知ることができる。
【0013】
本発明に係る電流測定装置の更に別の特徴構成は、前記スイッチは、前記出力線の途中に設けられている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、電流測定装置を適切に設置した場合、係止部が被係止部に係止される係止状態にされるため、スイッチはオン状態になる。そのため、導体に流れる一次電流に応じた二次電流が、途中に設けられているオン状態のスイッチを通って出力線を流れ、その出力線に接続されている計測部などで計測される。それに対して、電流測定装置が他の工事業者などによって取り外された場合、即ち、係止部が被係止部に係止されない非係止状態にされた場合、スイッチはオフ状態になる。そのため、導体に流れる一次電流に応じた二次電流は、出力線を流れず、その出力線に接続されている計測部などで計測できない。このように、スイッチが出力線の途中に設けられていることで、スイッチがオン状態であるか又はオフ状態であるか、即ち、係止状態であるか又は非係止状態であるかを、出力線を介して出力できる。
【0015】
本発明に係る電流測定装置の更に別の特徴構成は、前記スイッチは、当該スイッチの前記オン状態及び前記オフ状態を検出する状態検出部に接続されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、電流測定装置を適切に設置した場合、係止部が被係止部に係止される係止状態にされるため、スイッチはオン状態になる。そのため、スイッチがオン状態であることが状態検出部で検出される。それに対して、電流測定装置が他の工事業者などによって取り外された場合、即ち、係止部が被係止部に係止されない非係止状態にされた場合、スイッチはオフ状態になる。そのため、スイッチがオフ状態であることが状態検出部で検出される。このように、スイッチが状態検出部に接続されていることで、スイッチがオン状態であるか又はオフ状態であるか、即ち、係止状態であるか又は非係止状態であるかを、状態検出部に出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】電流測定装置が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。
【
図4】電流測定装置が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る電流測定装置CT1(CT)について説明する。
図1は、電流測定装置CT1が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。
図1に示すように、電力系統1に接続される単相3線式の電力線2が分電盤3に引き込まれている。電力線2は、R相の電圧線2rとT相の電圧線2tとN相の中性線2nとで構成される。
【0019】
分電盤3では、主幹ブレーカ7及び複数の分岐ブレーカ4を経由して複数の線路が電力線2から分岐して、電力負荷装置5(5a,5b)や電源装置6が接続される。
図1に示す例では、分岐ブレーカ4aを経由して分岐したR相の電圧線2r及びN相の中性線2nの2線に電力負荷装置5aが接続され、分岐ブレーカ4bを経由して分岐したT相の電圧線2t及びN相の中性線2nの2線に電力負荷装置5bが接続される。また、分岐ブレーカ4cを経由して分岐したR相の電圧線2r及びN相の中性線2nの2線に電源装置6が接続される。つまり、電源装置6は、分電盤3を介してR相の電圧線2rとN相の中性線2nとに接続され、T相の電圧線2tには接続されていない交流100V電源である。
【0020】
電源装置6は、発電装置や充放電装置などを用いて構成される。例えば、発電装置としては、燃料電池を備える装置や、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備える装置や、太陽光発電装置などの様々な装置を用いることができる。充放電装置としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛電池などの蓄電池(化学電池)や、キャパシタ、フライホイールなどの様々な装置を用いることができる。尚、図示は省略するが、電源装置6は、系統連系用の電力変換器などを備えている。
【0021】
図1に示すように、分電盤3では、R相の電圧線2r及びT相の電圧線2tのそれぞれに、電流測定装置CT1が設けられている。電流測定装置CT1は、電力系統1から分電盤3側に供給される電力や、分電盤3側から電力系統1へ供給される電力を監視するために設けられる。R相の電圧線2rに設けられている電流測定装置CT1からの信号は計測部8rに伝達され、T相の電圧線2tに設けられている電流測定装置CT1からの信号は計測部8tに伝達される。例えば、電力系統1への逆潮流を防止するために電流測定装置CT1が設けられている場合、電源装置6は、計測部8r,8tの計測結果を取得し、その計測結果に基づいて、それ自身の出力電力を調節する。
【0022】
図2及び
図3は、電流測定装置CT1の構成を説明する図である。尚、
図2及び
図3には、導体としてのR相の電圧線2rに設けられる電流測定装置CT1を例示するが、導体としてのT相の電圧線2tに設けられる電流測定装置CT1も同様の構成である。
【0023】
図示するように、電流測定装置CT1は、互いに組み合わされることで、導体(電圧線2r)の周囲を取り囲むことができる環状になる第1磁性体コア10及び第2磁性体コア11と、第1磁性体コア10を内部に備える第1筐体15と、第2磁性体コア11を内部に備える第2筐体16と、第1磁性体コア10又は第2磁性体コア11に複数回巻き付けられる二次側巻線12と、二次側巻線12の両端に接続される出力線13とを有する。そして、第1筐体15が備える第1磁性体コア10と第2筐体16が備える第2磁性体コア11とが互いに組み合わされて導体(電圧線2r)の周囲を取り囲んでいる場合に、導体(電圧線2r)に流れる一次電流に応じた二次電流が出力線13を流れる。第1筐体15と第2筐体16とは蝶番14で連結されている。
【0024】
出力線13は計測部8に接続される。計測部8は、例えば、出力線13に接続される抵抗器(図示せず)の両端電圧を測定し、その抵抗器の抵抗値と測定した電圧値とに基づいて出力線13での電流値を決定でき、その結果、導体(電圧線2r)での電流値を決定できる。
【0025】
図2は、第1筐体15に設けられる係止部17が第2筐体16に設けられる被係止部18に係止される係止状態である場合を示す。
図2では、結束バンド24を用いて係止状態が解除されないような対処も行われている。それに対して、
図3は、第1筐体15に設けられる係止部17が第2筐体16に設けられる被係止部18に係止されない非係止状態である場合を示す。例えば、
図3は、結束バンド24が切断されて電流測定装置CT1が他の工事業者などによって取り外されつつある場合を示す。
【0026】
具体的に説明すると、
図2は、第1筐体15と第2筐体16とが組み合わされ、且つ、第1筐体15及び第2筐体16の一方に設けられる係止部17が第1筐体15及び第2筐体16の他方に設けられる被係止部18に係止される係止状態になる場合を示している。この場合、第1筐体15及び第2筐体16が互いに固定されると共に、第1筐体15が備える第1磁性体コア10と第2筐体16が備える第2磁性体コア11とが互いに組み合わされて環状になる。この場合、導体(電圧線2r)に流れる一次電流に応じた二次電流が二次側巻線12に誘導される。
【0027】
図3は、蝶番14を支点として第1筐体15が揺動し、第1筐体15と第2筐体16とが部分的に分離されることで、第1筐体15が備える第1磁性体コア10と第2筐体16が備える第2磁性体コア11とが環状にはなっていない。このように、第1磁性体コア10と第2磁性体コア11とのギャップが大きくなると、二次側巻線12には、導体(電圧線2r)に流れる一次電流に応じた二次電流は誘導されない。
【0028】
加えて、電流測定装置CT1は、係止部17が被係止部18に係止される係止状態である場合と、係止部17が被係止部18に係止されない非係止状態である場合とで、オン状態とオフ状態とが切り替わるスイッチ20を備える。スイッチ20は、係止状態になっている場合に係止部17と接触することでオン状態に切り替わり、非係止状態になっている場合に係止部17と接触しないことでオフ状態に切り替わるように構成されている。本実施形態では、スイッチ20は可動部21と本体部22とを備える。可動部21が本体部22に向けて押し込まれた押込状態の場合に電気接点(図示せず)が互いに接触してオン状態になり、可動部21が本体部22に向けて押し込まれていない非押込状態(可動部21が突出した状態)の場合に電気接点が互いに非接触になってオフ状態になる。尚、スイッチ20の構成はそのようなものに限定されず、例えば、押込状態の場合にオフ状態になり、非押込状態の場合にオン状態になるものでもよい。
【0029】
つまり、係止状態である場合(
図2の状態)、係止部17が可動部21に接触するため、スイッチ20がオン状態(導通状態)になる。それに対して、非係止状態である場合(
図3の状態)、係止部17が可動部21に接触しないため、スイッチ20がオフ状態(非導通状態)になる。
【0030】
スイッチ20は出力線13の途中に設けられる。本実施形態では、出力線13は計測部8に接続されているので、スイッチ20は計測部8に接続されていることになる。そして、スイッチ20がオン状態の場合、出力線13はスイッチ20の部分で導通されるため、出力線13を流れる電流(二次電流)が計測部8にも流れることになる。それに対して、スイッチ20がオフ状態の場合、出力線13はスイッチ20の部分で断絶されるため、出力線13には電流(二次電流)が流れなくなり。計測部8でも電流(二次電流)を計測できなくなる。
【0031】
電源装置6は、計測部8r,8tの計測結果を取得しているため、計測部8で電流(二次電流)を計測できなくなると、電流測定装置CT1に異常が発生した等の判定結果を下すことができる。そして、電源装置6は、電流測定装置CT1に異常が発生した等の場合、運転を停止する(例えば電圧線2rへの電力の出力を停止する)などの対処を行うことができる。
【0032】
以上のように、電流測定装置CT1を適切に設置した場合(
図2の場合)、係止部17が被係止部18に係止される係止状態にされるため、スイッチ20はオン状態になる。但し、その後に電流測定装置CT1が他の工事業者などによって取り外された場合(
図3の場合)、即ち、係止部17が被係止部18に係止されない非係止状態にされた場合、スイッチ20はオフ状態になる。つまり、スイッチ20の出力(オン状態又はオフ状態)を監視することで、電流測定装置CT1が適切に設置されているか否かを知ることができる。
【0033】
<第2実施形態>
第2実施形態の電流測定装置CT2(CT)は、スイッチ20の接続先が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の電流測定装置CT2について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0034】
図4は、電流測定装置CT1,CT2が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。
図4に示す例において、R相の電圧線2rには上記実施形態で説明した電流測定装置CT1が設置され、T相の電圧線2tには以下に説明する電流測定装置CT2が設置されている。
図5及び
図6は、電流測定装置CT2の構成を説明する図である。図示するように、スイッチ20は、当該スイッチ20のオン状態及びオフ状態を検出する状態検出部9に接続されている。
【0035】
スイッチ20は、可動部21と本体部22とを有し、可動部21が本体部22に向けて押し込まれた押込状態(
図5)の場合と、可動部21が本体部22に向けて押し込まれていない非押込状態(
図6)の場合とで、オン状態とオフ状態とが切り替わる。本実施形態では、スイッチ20は、可動部21が本体部22に向けて押し込まれた押込状態の場合に電気接点(図示せず)が互いに接触してオン状態に切り替わり、可動部21が本体部22に向けて押し込まれていない非押込状態の場合に電気接点が互いに非接触になってオフ状態に切り替わる。
【0036】
結束バンド24は、第1筐体15が備える第1磁性体コア10と第2筐体16が備える第2磁性体コア11とが互いに組み合わされて環状になることで導体としての電圧線2rの周囲を取り囲み、且つ、スイッチ20の可動部21が第1筐体15又は第2筐体16に接触することで可動部21が本体部22に向けて押し込まれた押込状態で、第1筐体15及び第2筐体16及びスイッチ20を共に結束可能である。
【0037】
図5は、電流測定装置CT2を電圧線2rに対して適切に設置して、結束バンド24で第1筐体15及び第2筐体16及びスイッチ20を共に結束することで、スイッチ20の可動部21が第2筐体16に接触して可動部21が本体部22に向けて押し込まれた押込状態になっている状態を示す図である。
図6は、電流測定装置CT2が他の工事業者などによって取り外される際に結束バンド24が切断されることで、スイッチ20が第1筐体15及び第2筐体16から分離して可動部21が本体部22に向けて押し込まれていない非押込状態にされた状態を示す図である。
【0038】
スイッチ20と状態検出部9とは接続線23で接続されている。そして、スイッチ20がオン状態の場合、状態検出部9は、スイッチ20がオン状態であることを接続線23を経由して知ることができる。例えば、状態検出部9は、スイッチ20が導通状態(オン状態)であることを、接続線23を経由して知ることができる。それに対して、スイッチ20がオフ状態の場合、状態検出部9は、スイッチ20がオフ状態であることを接続線23を経由して知ることができる。例えば、状態検出部9は、スイッチ20が絶縁状態(オフ状態)であることを、接続線23を経由して知ることができる。
【0039】
電源装置6は、状態検出部9の検出結果を取得しているため、スイッチ20が絶縁状態(オフ状態)であるという検出結果を取得した場合、電流測定装置CT2に異常が発生した等の判定結果を下すことができる。そして、電源装置6は、電流測定装置CT2に異常が発生した等の場合、運転を停止する(例えば電圧線2rへの電力の出力を停止する)などの対処を行うことができる。
【0040】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の電流測定装置の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
また、
図4では、R相の電圧線2rに電流測定装置CT1を設置し、T相の電圧線2tに電流測定装置CT2を設置した例を示したが、R相の電圧線2r及びT相の電圧線2tの両方に電流測定装置CT2を設置してもよい。その場合、R相の電圧線2rに設置される電流測定装置CT2が有するスイッチ20に接続される接続線23を一つの状態検出部9に接続し、T相の電圧線2tに設置される電流測定装置CT2が有するスイッチ20に接続される接続線23を別の1つの状態検出部9に接続することができる。或いは、R相の電圧線2rに設置される電流測定装置CT2が有するスイッチ20及びその接続線23と、T相の電圧線2tに設置される電流測定装置CT2が有するスイッチ20及びその接続線23とが、1つの状態検出部9に対して直列に接続されていてもよい。後者の場合、何れか一方のスイッチ20がオフ状態になると、共用の状態検出部9がそのオフ状態を検出できる。
或いは、本発明の電流測定装置CT1,CT2を、電源装置6が接続されていない相の電圧線のみに設置し、電源装置6が接続されている相の電圧線には汎用の電流測定装置を設置してもよい。
【0041】
上記実施形態において、電流測定装置CT2のスイッチ20を出力線13の途中に設けてもよい。また、電流測定装置CT1のスイッチ20を状態検出部9に接続してもよい。
【0042】
<2>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、適切に設置されているか否かを知らせることができる電流測定装置に利用できる。
【符号の説明】
【0044】
9 状態検出部
10 第1磁性体コア
11 第2磁性体コア
12 二次側巻線
13 出力線
15 第1筐体
16 第2筐体
17 係止部
18 被係止部
20 スイッチ
CT(CT1,CT2) 電流測定装置