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特開2022-38276画像表示装置、画像表示システム、画像表示方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038276
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】画像表示装置、画像表示システム、画像表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20220303BHJP
   G09G 5/12 20060101ALI20220303BHJP
   G09G 5/14 20060101ALI20220303BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20220303BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20220303BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20220303BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20220303BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20220303BHJP
【FI】
G09G5/00 510X
G09G5/12
G09G5/00 510H
G09G5/00 555D
G09G5/00 550C
G09G5/00 530T
G09G5/14 A
G09G5/36 520L
G09G5/36 520P
G09G5/36 520F
G09G5/36 530Y
G09G5/00 550X
G09G5/00 510V
G09G5/38 A
G09G5/00 550B
G06F3/14 350A
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142689
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】318015781
【氏名又は名称】ジャパン・イーエム・ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 広嗣
(72)【発明者】
【氏名】池澤 治
【テーマコード(参考)】
5B069
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5B069CA04
5B069CA14
5B069CA15
5B069JA01
5B069JA02
5B069JA06
5B069KA02
5B069LA02
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB02
5C182AB08
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA04
5C182BA06
5C182BA37
5C182BA75
5C182BB02
5C182BB04
5C182BB12
5C182BB22
5C182BC01
5C182BC05
5C182BC11
5C182BC14
5C182BC22
5C182CA02
5C182CA22
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB26
5C182CB42
5C182CB44
5C182CB52
5C182CC02
5C182CC04
5C182CC21
5C182DA33
5C182DA34
5C182DA35
5C182DA62
5C182DA63
5C182DA64
5C182DA65
5C182DA66
5E555AA04
5E555AA05
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC08
5E555CA02
5E555CA12
5E555CA18
5E555CB58
5E555CB72
5E555CB76
5E555CC03
5E555DB03
5E555DB04
5E555DB53
5E555DC05
5E555DC19
5E555DC21
5E555DC26
5E555DC39
5E555EA03
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】複数の情報処理装置を接続したディスプレイにおいて、画像を表示する情報処理装置の選択を容易にすることを目的とする。
【解決手段】複数の情報処理装置のそれぞれとケーブル接続可能な複数の入出力ポートと、前記入出力ポートに入力された、同期信号を含む画像情報を用いて画像を表示する表示部と、前記表示部と前記入出力ポートとの関係を管理する制御部と、を備え、前記制御部は、いずれかの入出力ポートに前記画像情報に加えて、ユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す制御信号が入力された場合、表示部に、その入出力ポートに入力された画像情報を表示するディスプレイを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報処理装置のそれぞれとケーブル接続可能な複数の入出力ポートと、
前記入出力ポートに入力された、同期信号を含む画像情報を用いて画像を表示する表示部と、
前記表示部と前記入出力ポートとの関係を管理する制御部と、
を備え、
前記制御部は、いずれかの入出力ポートに前記画像情報に加えて、ユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す制御信号が入力された場合、表示部に、その入出力ポートに入力された画像情報を表示する、
ディスプレイ。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示部に画像を表示する入出力ポートを切り替える際、
新たに画像情報を表示する入出力ポートから、表示を取得したことを示す制御信号を出力し、
画像情報表示を停止する入出力ポートから、表示を停止したことを示す制御信号を出力する、
請求項1記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記表示部は、タッチパネルを更に備え、
前記制御部は、前記表示部を複数の画像領域に分割して、複数の入出力ポートから入力された画像情報を表示し、
ユーザが触れた画像領域に該当する入出力ポートから入力された画像情報を、前記表示部の全面に表示する、
請求項2記載のディスプレイ。
【請求項4】
請求項1~3記載のディスプレイの入出力ポートと接続された情報処理装置であって、
ユーザの入力を受け付ける入力部を備え、
前記入力部へのユーザの入力を監視し、
閾値を超える入力があった場合に、
前記ディスプレイの入出力ポートに対して、画像情報に加えてユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す信号を出力する、
情報処理装置。
【請求項5】
前記閾値は、マウスの複数方向への移動、またはキーボードへのキー入力である、請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
ウインドウと、ディスプレイ表示領域との関係を記憶する記憶部を備え、
前記ディスプレイから画像情報表示を停止したことを示す制御信号を受信した際に、表示中のディスプレイが他に存在する場合には、
前記ディスプレイの表示領域に表示されていたウインドウを他のディスプレイ表示領域に移動する、
請求項4または5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記記憶部に、前記ディスプレイの表示を取得している際のウインドウ配置を更に記憶し、
前記ディスプレイから表示を取得したことを示す制御信号を受信した際に、表示中のディスプレイが他に存在する場合には、
前記ディスプレイの表示を取得している際に前記ディスプレイ表示領域に表示されていたウインドウを、他のディスプレイ表示領域から前記ディスプレイの表示領域に移動する

請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
請求項1~2のいずれか記載のディスプレイと、
複数の入出力ポートに接続された、請求項4~7のうちいずれか1項記載の情報処理装置と、
を備え、前記ディスプレイは各入出力ポートから画像情報の入力を受ける画像表示システムであって、
前記情報処理装置は、入力装置に所定の閾値以上の入力があった場合に、
画像情報に加えてユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す信号を出力し、
前記ディスプレイは、ユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す信号を受信し、現在表示部に画像を表示している入出力ポートと、当該信号を受信した入出力ポートが異なる場合には、画像情報を表示する入出力ポートを、当該信号を受信した入出力ポートに切り替え、
新たに画像情報を表示する入出力ポートに対して、表示を取得したことを示す制御信号を出力し、
表示を停止する入出力ポートに対して、表示を停止したことを示す制御信号を出力し、
表示を取得したことを示す制御信号を受信した情報処理装置は、表示中のディスプレイが他に存在する場合には、表示中のウインドウを前記ディスプレイの画像領域を含む領域に再配置し、
表示を停止したことを示す制御信号を受信した情報処理装置は、表示中のディスプレイが他に存在する場合には、表示中のウインドウを当該他のディスプレイの画像配置領域に再配置する、
画像表示システム。
【請求項9】
請求項3記載のディスプレイと、
少なくとも2つの請求項4~7のうちいずれか1項記載の情報処理装置と、
を備え、前記ディスプレイは各入出力ポートから画像情報の入力を受ける画像表示システムであって、
前記情報処理装置は、入力装置に所定の閾値以上の入力があった場合に、
画像情報に加えてユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す信号を出力し、
前記ディスプレイは、ユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す信号を受信し、現在表示部に画像を表示している入出力ポートと当該信号を出力した入出力ポートとが異なる場合には、表示部を2つの画像領域に分割し、
第1の画像領域には現在表示中の入出力ポートに入力された画像情報を表示し、
第2の画像領域には当該信号を出力した入出力ポートに入力された画像情報を表示し、
ユーザが触れた画像領域に該当する入出力ポートに入力された画像情報を表示部の全面に表示し、
新たに画像情報を表示する入出力ポートに対して、表示を取得したことを示す制御信号を出力し、
表示を停止する入出力ポートに対して、表示を停止したことを示す制御信号を出力し、
表示を取得したことを示す制御信号を受信した情報処理装置は、表示中のディスプレイが他に存在する場合には、表示中のウインドウを前記ディスプレイの画像領域を含む領域に再配置し、
表示を停止したことを示す制御信号を受信した情報処理装置は、表示中のディスプレイが他に存在する場合には、表示中のウインドウを当該他のディスプレイの画像配置領域に再配置する、
画像表示システム。
【請求項10】
前記ディスプレイは、
画像領域を分割表示している際、所定時間が経過すると、
現在表示部に画像を表示している入出力ポートに入力された画像情報を表示する、
請求項9記載の画像表示システム。
【請求項11】
前記情報処理装置は、
表示中のディスプレイが他に存在する場合、
表示を停止したことを示す制御信号を受信する直前のウインドウ配置を、前記情報処理装置内の記憶部に記憶し、
再度表示を取得したことを示す制御信号を受信した場合には、記憶されたウインドウ配置を復元する、
請求項8~10のうちいずれか1項記載の画像表示システム。
【請求項12】
複数の入出力ポートから画像情報の入力を受けるディスプレイに搭載されたコンピュータに、
入力された同期信号を含む画像情報を用いて、表示部に画像を表示するステップと、
前記表示部と前記入出力ポートとの関係を管理するステップと、
いずれかの入出力ポートに前記画像情報に加えて、ユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す制御信号が入力された場合に、表示部に、その入出力ポートに入力された画像情報を表示するステップと、を実行させるための画像表示プログラム。
【請求項13】
表示部で画像を表示する入出力ポートを切り替える際、
新たに画像情報を表示する入出力ポートから、表示を取得したことを示す制御信号を出力するステップと、
画像情報表示を停止する情報処理装置に対して、表示を停止したことを示す制御信号を出力するステップと、を実行させる請求項12記載の画像表示プログラム。
【請求項14】
タッチパネルを備えるディスプレイに搭載されたコンピュータに、
前記表示部を複数の画像領域に分けて、複数の入出力ポートから入力された画像情報を表示するステップと、
ユーザが触れた画像領域に該当する入出力ポートから入力された画像情報を、前記表示部の全面に表示するステップと、を実行させる、請求項13記載の画像表示プログラム。
【請求項15】
ユーザの入力を受け付ける入力部を備え、ディスプレイの入出力ポートと接続された情報処理装置に搭載されたコンピュータに、
前記入力部へのユーザの入力を監視するステップと、
閾値を超える入力があった場合に、前記ディスプレイの入出力ポートに対してユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す信号を出力するステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項16】
前記閾値は、マウスの複数方向への移動、またはキーボードへのキー入力である、請求項15記載のプログラム。
【請求項17】
ウインドウと、ディスプレイ表示領域との関係を記憶し、
前記ディスプレイから画像情報表示を停止したことを示す制御信号を受信した際に、表示中のディスプレイが他に存在する場合には、
前記ディスプレイの表示領域に表示されていたウインドウを他のディスプレイ表示領域に移動する、請求項15または16記載のプログラム。
【請求項18】
前記ディスプレイの表示を取得している際のウインドウ配置を更に記憶し、
前記ディスプレイから表示を取得したことを示す制御信号を受信した際に、表示中のデ
ィスプレイが他に存在する場合には、
前記ディスプレイの表示を取得している際に前記ディスプレイ表示領域に表示されていたウインドウを、他のディスプレイ表示領域から前記ディスプレイの表示領域に移動する、
請求項17記載のプログラム。
【請求項19】
複数の入出力ポートから画像情報の入力を受けるディスプレイに搭載されたコンピュータが、
入力された同期信号を含む画像情報を用いて、表示部に画像を表示するステップと、
前記表示部と前記入出力ポートとの関係を管理するステップと、
いずれかの入出力ポートに前記画像情報に加えて、ユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す制御信号が入力された場合に、表示部に、その入出力ポートに入力された画像情報を表示するステップと、を実行する画像表示方法。
【請求項20】
表示部で画像を表示する入出力ポートを切り替える際、
新たに画像情報を表示する入出力ポートから、表示を取得したことを示す制御信号を出力するステップと、
画像情報表示を停止する情報処理装置に対して、表示を停止したことを示す制御信号を出力するステップと、を実行する請求項19記載の画像表示方法。
【請求項21】
タッチパネルを備えるディスプレイに搭載されたコンピュータが、
前記表示部を複数の画像領域に分けて、複数の入出力ポートから入力された画像情報を表示するステップと、
ユーザが触れた画像領域に該当する入出力ポートから入力された画像情報を、前記表示部の全面に表示するステップと、を実行する、請求項20記載の画像表示方法。
【請求項22】
ユーザの入力を受け付ける入力部を備え、ディスプレイの入出力ポートと接続された情報処理装置に搭載されたコンピュータが、
前記入力部へのユーザの入力を監視するステップと、
閾値を超える入力があった場合に、前記ディスプレイの入出力ポートに対してユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す信号を出力するステップと、
を実行する方法。
【請求項23】
前記閾値は、マウスの複数方向への移動、またはキーボードへのキー入力である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
ウインドウと、ディスプレイ表示領域との関係を記憶し、
前記ディスプレイから画像情報表示を停止したことを示す制御信号を受信した際に、表示中のディスプレイが他に存在する場合には、
前記ディスプレイの表示領域に表示されていたウインドウを他のディスプレイ表示領域に移動する、請求項22または23記載の方法。
【請求項25】
前記ディスプレイの表示を取得している際のウインドウ配置を更に記憶し、
前記ディスプレイから表示を取得したことを示す制御信号を受信した際に、表示中のディスプレイが他に存在する場合には、
前記ディスプレイの表示を取得している際に前記ディスプレイ表示領域に表示されていたウインドウを、他のディスプレイ表示領域から前記ディスプレイの表示領域に移動する、
請求項24記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、画像表示システム、画像表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一台の端末出力を複数のディスプレイに表示する、マルチディスプレイ装置が知られている(特許文献1)。また、複数の入力ポートを備え、複数の情報処理装置から同時に画像入力を受けることができるディスプレイが知られている。
【0003】
また、情報処理装置に対するマウス操作などによって、描画のための水平・垂直同期信号を送出し、それを受信して、節電モードから通電モードへの復帰を行うディスプレイも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-157856号公報
【特許文献2】国際公開第2004/001716号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の入力ポートを備え、複数の情報処理装置から画像入力を受けるディスプレイにおいて、ディスプレイが画像を表示するポートは、ユーザがディスプレイフレームに付された物理スイッチを複数回操作して決定するのが一般的である。ディスプレイにコンピュータを複数台接続して切り替えて使用する場合、ユーザはこの操作を都度行う必要がある。
【0006】
そこで、本発明では、複数の情報処理装置を接続したディスプレイにおいて、画像を表示する情報処理装置の選択を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態では、複数の情報処理装置のそれぞれとケーブル接続可能な複数の入出力ポートと、前記入出力ポートに入力された、同期信号を含む画像情報を用いて画像を表示する表示部と、前記表示部と前記入出力ポートとの関係を管理する制御部と、を備え、前記制御部は、いずれかの入出力ポートに前記画像情報に加えて、ユーザが情報処理装置を閾値以上操作したことを示す制御信号が入力された場合、表示部に、その入出力ポートに入力された画像情報を表示するディスプレイを提供する。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面では、本発明は、複数の情報処理装置を接続したディスプレイにおいて、画像を表示する情報処理装置の選択を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る表示システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る機能構成の一例を示す図である。
図3】第1実施形態に係る情報処理装置の動作の流れ図である。
図4】第1実施形態に係るディスプレイ装置の動作の流れ図である。
図5】第2実施形態に係る表示システムの全体構成の一例を示す図である。
図6】第2実施形態に係るウインドウ位置復元動作の流れ図である。
図7】第3実施形態に係る表示システムの全体構成の一例を示す図である。
図8】第3実施形態に係るPiP・PoP表示の一例を示す図である。
図9】第3実施形態に係るPiP・PoP表示による表示切替動作の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省く。なお、以下の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、一実施形態に係る表示システム1の全体構成の一例を示す図である。表示システム1は、ディスプレイ10と、ケーブル20で接続された複数の情報処理装置30から構成される。ディスプレイ10は複数の入出力端子を備え、任意の入出力端子に入力された画像を表示する表示装置である。
【0012】
ケーブル20は、情報処理装置30からディスプレイ10に対して同期信号を含む画像信号を伝達し、それに加えてディスプレイ10と情報処理装置30との間で、任意の制御信号を送受信可能なケーブルである。このようなケーブルには、例えば、HDMI(登録商標)やDisplayPort、USBなどが挙げられる。図1のようにケーブル20が複数存在する場合、ケーブル20の規格は統一されている必要はない。規格の相違は情報処理装置30に搭載されたプログラムと、ディスプレイ10に搭載されたファームウエア60が吸収する。
【0013】
情報処理装置30は、ディスプレイ10の入出力端子が対応している規格と同じケーブルを接続可能な電子計算機であり、一例としてはパーソナルコンピュータである。なお、情報処理装置30は、ディスプレイ10とケーブルを介して双方向通信が可能な情報処理装置であって、必ずしもパーソナルコンピュータに限定されるものではなく、映像再生機器や携帯情報端末等様々な形態を取ることができる。
【0014】
図2は、一実施形態に係る機能構成の一例を示す図である。ディスプレイ10は、複数の入出力端子11(以下、単にポートと呼ぶことがある)と、制御部12と、記憶部13と、表示部14とを備える。入出力端子11は、画像情報を受信可能で、他に任意の信号を送受信可能ないずれかの規格の端子である。制御部12は例えばマイクロコンピュータであって、入出力端子11と表示中の画像情報との関係性を制御するほか、必要に応じて入出力端子11を通じて制御信号の入出力処理を行う。記憶部13はEEPROM等の不揮発性メモリであり、画質設定や、表示部14に表示中の入出力端子21を記憶する。表示部14は、LCD、OLED、電子ペーパー、CRT、PDPなどの表示画面であり、制御部12が指定した画像を表示する。ディスプレイ10には、情報処理装置との信号送受信を行って画面表示を制御するファームウエア(FW)60が組み込まれている。
【0015】
なお、ディスプレイ10は別途フレームにハードウエアスイッチ15を備えていてよい。ユーザは、ハードウエアスイッチを操作することで、コントラストや色温度等の表示画質や、どの入出力端子11(ポート)に入力されている画像情報を優先して表示するかを決定できる。このような手段を備えていれば、制御信号のやりとりに対応していない情報処理装置が接続された場合でも、ディスプレイ10を通常のディスプレイとして運用可能である。別途赤外線受信部とリモートコントローラーとを備えることによりスイッチ操作を代用してもよい。
【0016】
情報処理装置30は、入出力端子31と、制御部32と、記憶部33と、入力部34と
を備える。入出力端子31は、ディスプレイ10の入出力端子11と対応する規格の入出力端子であり、ディスプレイ10に対して画像信号を送出し、ディスプレイ10と共通するプロトコルで制御信号の送受信を行うことができる。制御部32は、例えばCPUであって、入力部34に与えられた入力と、記憶部33に記憶されたプログラムに従い計算を行い、入出力端子31から送出する画像信号を生成する。また、制御部32は、入出力端子31を介して送受信する制御信号を処理する。
【0017】
記憶部33は、フラッシュメモリやハードディスクなどの補助記憶装置と、揮発性メモリからなる主記憶装置からなる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム・アプリケーションプログラムとそれに関連するデータが記録され、必要に応じて主記憶装置に展開されて制御部32の処理に供される。情報処理装置30は、入力部34への入力を監視し、ディスプレイ10に対して制御信号を送るプログラム50を補助記憶装置上に保持している。プログラム50は、情報処理装置30が起動して操作を受け付ける際に起動され、以後主記憶装置に展開される。
【0018】
入力部34は、ユーザの入力操作を受け付ける装置であり、例えばマウスとキーボードが該当する。マウスは、任意のポインティングデバイスであってよい。実際の入力装置は、情報処理装置30と一体となっていてもよいし、図2で示すように情報処理装置30本体から更に有線または無線で接続されていてもよい。
【0019】
図3は、一実施形態に係る表示システムの情報処理装置側の動作の流れ図である。情報処理装置30で動作するプログラム50は、入力部34の操作状態を監視し(ステップS101)、接続されているディスプレイの状態を確認する(ステップS102)。操作状態には閾値が設けられている。閾値は、例えばキー入力の検出またはマウスの単位時間における複数方向への移動検出である。ある程度複雑な操作によってのみ操作状態とすることにより、デスクの振動やマウスに物がぶつかった等の意図しない入力によって、他の情報処理装置の画面を表示中のディスプレイが意図せず切り替わることを防ぐことができる。
【0020】
プログラム50は、入力部34に対する閾値を超える操作を検出した場合(ステップS103でYES)であって、現在ディスプレイの表示を取得していない場合には(ステップS104でNO)、情報処理装置30の入出力端子31から表示を要求する制御信号を送信させる(ステップ105)。閾値を超える操作が検出できなかった場合(ステップS103でNO)、または既にディスプレイ表示を取得している場合には(ステップS104でYES)、引き続き状態監視に戻る(ステップS101)。
【0021】
図4は、第1実施形態に係るディスプレイ装置の動作の流れ図である。ディスプレイに搭載されたファームウエア60は、現在画面を表示している入出力端子11(ポート)以外の入出力端子11からの制御信号入力についても監視を行っている(ステップS201)。当該制御信号は、画像ケーブルで画像データと共に伝達される水平・垂直同期信号ではなく、例えばHDMIにおけるHDMI-CECなどの制御信号伝達インターフェースで伝達される。また、これらのケーブルに併設される信号送受信用外部チャンネルラインを使用した独自プロトコルにより伝達されてもよい。
【0022】
ファームウエア60は、任意のポートから表示リクエストがあり(ステップS202でYES)、そのポートからの画像を現在パネルに表示していない場合には(ステップS203でYES)、画面を表示する入出力端子11をリクエスト元のポートに切り替える(ステップS204)。ファームウエア60は、画面を切り替えた後、表示リクエストを受信したポートから、表示取得信号を送信し(ステップS205)、表示を停止するポートから、表示停止信号を送信する(ステップS206)。当該信号を受信した情報処理装置
は、自分の送信している画像情報がディスプレイ30に表示されているかどうかを知ることができる。
【0023】
このような構成にすることで、ディスプレイが現在他の情報処理装置から出力された画像を表示している場合でも、ユーザが情報処理装置を閾値以上操作するだけで、ディスプレイ表示を取得することができ、ユーザは情報処理装置を切り替える際にディスプレイ本体のハードウエアスイッチ15を都度操作する必要がない。
【0024】
本実施形態では、ポートの切り替えは、垂直・水平同期信号の受信によっては発生せず、実際に閾値を超えた操作が行われるまでは行われない。このため、ユーザがディスプレイ10に画面を表示させて特定の情報処理装置30を使用している際に、他の情報処理装置がスケジュールにより起動して垂直・水平同期信号を送信したような場合でも、ユーザの意図しないポート切替が発生することはない。
【0025】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る表示システムの全体構成の一例を示す図である。第2実施形態では、情報処理装置30は、第1実施形態と同様ディスプレイ10を共有するが、それぞれ別のディスプレイ40を接続されている。ディスプレイ40の構成は、実施形態に係るディスプレイ10と同一とすることもできるし、ディスプレイ10と異なり、接続された情報処理装置から受信する画像情報に含まれる同期信号によって表示制御を行う、公知技術によるものとすることもできる。なお、ディスプレイ10に内蔵されるファームウエア60の挙動は第1実施形態と同様である。
【0026】
情報処理装置30の構成は第1実施形態と同様であるが、プログラム50は、ディスプレイ10を含む複数のディスプレイに表示中のウインドウ配置を記録し、復元する機能を更に備えている。ホットプラグ信号を使用してディスプレイの死活監視を行うオペレーティングシステムも存在するが、ディスプレイ10は、表示リクエスト信号を受け付ける必要があるため、表示するポートを切り替える際に接続を遮断しない。このため、情報処理装置30に搭載されたオペレーティングシステムは、送信している画像情報が実際にディスプレイ10に表示されているか否かを判断できない。
【0027】
図6は、第2実施形態に係るウインドウ位置復元動作の流れ図である。ディスプレイ10に画面表示中の情報処理装置30で動作するプログラム50は、アプリケーションウインドウの配置を随時記録する(ステップS110)。この状態は、ディスプレイ10から送信された表示停止信号を受信するまで継続する(ステップS111でNO)。停止信号を受信した場合(ステップS111でYES)、情報処理装置30のデスクトップ上には、少なくとも画面に表示されていない領域が発生している。
【0028】
この状態で表示中の他のディスプレイがない場合(ステップS112でNO)、情報処理装置30が画像を表示できるディスプレイが存在しないので、プログラム50は、再度取得信号を受信するまで、図3に記載したコンピュータ状態監視ルーチンで、状態監視を継続する(ステップS117)。
【0029】
表示中の他のディスプレイ40が存在する場合には(ステップS112でYES)、オペレーティングシステムが表示しているデスクトップ領域のうちの一部分である、ディスプレイ10が表示を担当していた部分が欠損していることになる。この状態では、ユーザは当該欠損領域に配置されていたウインドウを見ることができない。そこで、プログラム50は、ディスプレイ10が表示を停止した領域に表示を行っていたウインドウを、なお表示中のディスプレイ40の表示領域に移動する(ステップS113)。このようにすることで、ユーザは引き続き、残されたディスプレイ40を用いてすべてのウインドウ表示
を見ることができる。
【0030】
プログラム50は、一旦ディスプレイ10に表示されていたウインドウを他のディスプレイ40の領域に移動した後も、図3に記載したコンピュータ状態監視ルーチンで、状態監視を継続し(ステップS114)、再度ディスプレイ10からの表示取得を待ち受ける。
【0031】
ディスプレイ10が、再度情報処理装置30が送信する画像を表示し、情報処理装置30が表示取得信号を受信した場合(ステップS115でYES)、プログラム50は、ステップ110で記憶していたウインドウ位置の情報を用いてウインドウを移動し、ウインドウ配置を、表示停止信号を受信する前の状態に再現する(ステップS116)。このような構成にすることで、ユーザはディスプレイ10の画面表示が停止している間も、画面表示が再開した後も、全てのウインドウを見ることができ、ディスプレイ10の表示を取得している間はより広いデスクトップ領域で操作を継続することができる。
【0032】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る表示システムの全体構成の一例を示す図である。各装置の構成は、第1実施形態とほぼ同様であるが、ディスプレイ10はタッチパネル16を備えている。タッチパネル16は、ディスプレイパネルへのユーザの接触と、接触位置を検出するデバイスであり、表示部14に組み込まれている。タッチパネルの方式には、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等々があるが、本実施形態のタッチパネル16はいずれの方式であってもよい。
【0033】
図8は、第3実施形態に係るPiP・PoP表示の一例を示す図である。PiP(ピクチャー・イン・ピクチャー)・PoP(ピクチャー・アウト・ピクチャー)は、複数の画面を1つの表示装置に表示させる技術である。制御部12は、複数の入出力端子11に入力された画像情報を合成処理し、表示部14の一部の領域に表示する。
【0034】
図8(a)は、PiP表示の一例を示した図である。PiP表示では、現在表示中の入出力端子11(ポート)から入力されているメイン画像1の中に、例えば新たにディスプレイ10に表示リクエストを送信した別の入出力端子11から入力されるサブ画像2が表示される。
【0035】
図8(b)は、PoP表示の一例を示した図である。PoP表示では、画面を分割し、画像1と、画像2が並行して表示される。なお、これらはPiP、PoP表示の一例であり、PiP表示において表示されるサブ画像の位置や大きさは必ずしも図示したものに限られない。また、PoPにおいても入出力端子11毎の表示領域を変更し、メイン画像1を大きく、サブ画像2を画面の隅に表示することもできる。
【0036】
入出力端子11からの画像を表示しているディスプレイ10は、その他の入出力端子11から表示リクエスト信号を受信すると、PiP・PoP表示に切り替わり、各入出力端子11で受信した画像を表示する。ユーザは、表示された画像領域のうちから全面表示したい領域に触れる。接触を検出したディスプレイ10は、触れられた領域に表示されている画像を全画面表示する。
【0037】
PiP・PoP表示は時間を区切って行われてもよい。ディスプレイ10は、PiP・PoP表示が行われている時間を計測し、例えば、時間が閾値を超えた場合に、画面表示を元に戻す。勿論、その際、新たにリクエスト信号を受信した入出力端子11から入力される画像を優先表示する実装としてもよい。また、ユーザはPiP・PoP表示中にディスプレイ10が備えるハードウエアスイッチ15を操作して、表示を行うポートを選択す
ることもできる。なお、PiP・PoP表示をする時間は、予めディスプレイ10側の設定により可変としてもよい。
【0038】
図9は、第3実施形態に係るPiP・PoP表示による表示切替動作の流れ図である。ディスプレイ10に搭載されたファームウエア60は、各入出力端子11(ポート)が受信する表示リクエストを確認している(ステップS210)。ファームウエア60は、特定のポートから表示リクエストを受信し、そのポートが、現在表示部14に画像を表示しているものでない場合(ステップS211でNO)、表示部14をPiP・PoP表示に切り替えて、表示中のポートに入力された画像と、新たに表示リクエスト信号を受けたポートから入力された画像とを同時表示する(S212)。
【0039】
この状態で、ファームウエア60はタッチパネル16へのユーザのタッチ入力を受け付ける(ステップS213)。いすれかの画像領域にタッチ入力があった場合(ステップS213でYES)、ファームウエア60は、PiP・PoP表示を終了し、タッチ入力を受けたポートに入力される画像を全画面表示する(ステップS214)。
【0040】
この後、ファームウエア60は、他の実施形態と同様に、タッチ選択されたポートに表示取得信号を送信し(ステップS215)、選択されなかったポートに対しては表示停止信号を送信する(ステップS216)。
【0041】
なお、タッチ入力がなかった場合(ステップS213でNO)には、ファームウエア60は一定時間PiP・PoP表示を続ける(ステップS217)。待機時間の間にディスプレイスイッチ15が操作されるなどしてポート選択された場合(ステップS218でYES)、タッチパネル入力により画面が選択された場合の処理と同一の処理が行われる(ステップS124~ステップS126)。選択入力がなく(ステップS218でNO)、待機時間が終了した場合、ファームウエア60はPiP・PoP画面を終了し、当初表示されていたポートから入力されている画像を全画面表示する(ステップS219)。勿論、リクエスト信号を受信したポートを優先表示とする実装としてもよい。
【0042】
このように、PiP・PoP表示とタッチパネル入力を利用することで、ユーザは直感的にディスプレイ10に表示する情報処理装置を選択することができる。また、表示切替にPiP・PoP表示を介することで、誤ってディスプレイ10に画像を表示する予定のない情報処理装置30に対して閾値を超える入力操作をしてしまっても、即座にディスプレイ10の表示が切り替わることがなくなり、ユーザはマルチディスプレイ環境を快適に使用することができる。
【0043】
<変形例>
以上のように、複数の実施形態を挙げて本願発明について説明をしたが、本願発明は上記の内容に限られるものではない。各実施形態は、例えば下記のように応用することができる。
【0044】
第3実施形態でディスプレイ10がPiP・PoP機能を持つ例を説明したが、PiP・PoP機能は、必ずしもタッチパネルと同時に使用される必要はない。例えば、現在画面表示している情報処理装置以外の情報処理装置から表示リクエスト信号を受けた場合、PiP・PoP表示を行い、時間経過監視を行うこととしてよい。経過時間を予め設定できるようにしてよい点は第3実施形態と同様である。
【0045】
この場合、ユーザは、PiP・PoP所定時間内にディスプレイに画像を表示したい情報処理装置に対して閾値以上の操作を行って表示リクエスト信号を送信し、当該信号を受信したディスプレイは、PiP・PoP表示を終了し、リクエスト信号を受信したポート
に入力されている画像情報を全面表示してよい。なお、いずれのポートからもリクエスト信号を再度受信せずに時間経過でPiP・PoP表示が終了した場合には、最後にリクエスト信号を受信したポートを優先させる実装としてもよいし、その前に全画面表示していたポートを優先させる実装としてもよい。
【0046】
画像信号に加えて制御信号を送信する機能を備える通信ケーブルは画像に加えて音声信号を送信可能であり、現在はディスプレイがスピーカーを備えている例も多い。上記各実施形態で例示した技術は、画像入力の切り替えと同様に、音声入力の切り替えについても適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 画像表示システム
10 ディスプレイ
11 入出力端子
12 制御部
13 記憶部
14 表示部
15 スイッチ
16 タッチパネル
20 ケーブル
30 情報処理装置
31 入出力端子
32 制御部
33 記憶部
34 入力部
40 他のディスプレイ
50 プログラム
60 ファームウエア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9