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  • 特開-キャッチャーミット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038388
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】キャッチャーミット
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/14 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
A63B71/14 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142877
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】397011982
【氏名又は名称】畠山 佳久
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】畠山 佳久
(57)【要約】
【課題】湾曲形状を一定の曲率にして製造することが可能となるため、使い始める段階から適度な湾曲形状にすることができ、かつ、湾曲形状が崩れにくい、キャッチャーミットを提供する。
【解決手段】キャッチャーミット1は、芯材3と、芯材3を被覆する複数の革材2と、芯材3と複数の革材2とを縫い合わせる紐体4と、を備え、芯材3は、土台芯3Bと、土台芯3Bに固定される親指芯3T及び小指芯3Lと、で構成され、親指芯3Tは、第一~第四フェルト材31~34が土台芯3Bと平行に積層して形成され、親指芯3Tは、第一~第四フェルト材31~34が土台芯3Bから離れるに従って長手方向の寸法が小さくなるように形成されるとともに長手方向の両端面を揃えて結合されることにより、長手方向の中央部が両端部よりも凹むように湾曲して形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、前記芯材を被覆する複数の革材と、前記芯材と複数の前記革材とを縫い合わせる紐体と、を備えるキャッチャーミットであって、
前記芯材は、土台芯と、前記土台芯に固定される親指芯及び小指芯と、で構成され、
前記親指芯、及び、前記小指芯は、複数の軟質板材が前記土台芯と平行に積層して形成され、
前記親指芯と前記小指芯とのうち少なくとも一方は、前記複数の軟質板材が前記土台芯から離れるに従って長手方向の寸法が小さくなるように形成されるとともに長手方向の両端面を揃えて結合されることにより、長手方向の中央部が両端部よりも凹むように湾曲して形成される、キャッチャーミット。
【請求項2】
前記親指芯と前記小指芯とのうち少なくとも一方は、前記複数の軟質板材の一部又は全部において、内側端部が長手方向に沿って薄く形成されることにより、内側に向かうに従って厚さが小さくなるように形成される、請求項1に記載のキャッチャーミット。
【請求項3】
前記複数の軟質板材の一部は、他の軟質板材と比較して、柔軟性が高く、かつ、厚さが大きい素材が用いられる、請求項1又は請求項2に記載のキャッチャーミット。
【請求項4】
前記土台芯から最も遠い位置に設けられる前記軟質板材には、他の軟質板材と比較して、柔軟性が高く、かつ、厚さが大きい素材が用いられる、請求項1又は請求項2に記載のキャッチャーミット。
【請求項5】
前記親指芯と前記小指芯とのうち少なくとも一方には、前記土台芯の反対側の面に、前記複数の軟質板材の長手方向の中途部までの長さに形成された短軟質板材が設けられる、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のキャッチャーミット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は野球又はソフトボールにおけるキャッチャーが使用するキャッチャーミットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の革材の内側に芯材を入れ、紐体で芯材と複数の革材とを縫い合わせて構成するキャッチャーミットが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、革材の内部に収容する芯材を、土台芯に親指芯及び小指芯を固定することにより構成したキャッチャーミットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-226169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャッチャーミットにおいて、親指芯又は小指芯が長手方向の中央部分が外側に膨出するように湾曲することにより捕球しやすい形状となる。このため、従来技術においては芯材を形成する際に職人が手作業で親指芯又は小指芯を湾曲させていた。しかし、この方法ではキャッチャーミットによって湾曲形状にばらつきが生じるため、使用者が改めて湾曲形状を付ける必要があるという問題があった。また、キャッチャーミットを使用していくうちに湾曲形状が崩れてくるという問題があった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、湾曲形状を一定の曲率にして製造することが可能となるため、使い始める段階から適度な湾曲形状にすることができ、かつ、湾曲形状が崩れにくい、キャッチャーミットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
本発明に係るキャッチャーミットは、芯材と、前記芯材を被覆する複数の革材と、前記芯材と複数の前記革材とを縫い合わせる紐体と、を備えるキャッチャーミットであって、前記芯材は、土台芯と、前記土台芯に固定される親指芯及び小指芯と、で構成され、前記親指芯、及び、前記小指芯は、複数の軟質板材が前記土台芯と平行に積層して形成され、前記親指芯と前記小指芯とのうち少なくとも一方は、前記複数の軟質板材が前記土台芯から離れるに従って長手方向の寸法が小さくなるように形成されるとともに長手方向の両端面を揃えて結合されることにより、長手方向の中央部が両端部よりも凹むように湾曲して形成される。
【0008】
また、本発明に係るキャッチャーミットにおいて、前記親指芯と前記小指芯とのうち少なくとも一方は、前記複数の軟質板材の一部又は全部において、内側端部が長手方向に沿って薄く形成されることにより、内側に向かうに従って厚さが小さくなるように形成されることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るキャッチャーミットにおいて、前記複数の軟質板材の一部は、他の軟質板材と比較して、柔軟性が高く、かつ、厚さが大きい素材が用いられることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るキャッチャーミットにおいて、前記土台芯から最も遠い位置に設けられる前記軟質板材には、他の軟質板材と比較して、柔軟性が高く、かつ、厚さが大きい素材が用いられることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るキャッチャーミットにおいて、前記親指芯と前記小指芯とのうち少なくとも一方には、前記土台芯の反対側の面に、前記複数の軟質板材の長手方向の中途部までの長さに形成された短軟質板材が設けられるように形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るキャッチャーミットによれば、湾曲形状を一定の曲率にして製造することが可能となるため、使い始める段階から適度な湾曲形状にすることができ、かつ、湾曲形状を崩れにくくすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係るキャッチャーミットの使用状態を示す正面図。
図2】(a)及び(b)は芯材を示す斜視図及び底面図。
図3】親指芯の分解状態を示す斜視図。
図4】(a)から(c)は親指芯の製造手順を示した断面図。
図5】(a)は親指芯を示す斜視図、(b)は図5(a)中のX-X線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係るキャッチャーミット(以下、単に「ミット」と記載する)1について、図1から図5を用いて説明する。ミット1は野球又はソフトボールにおいてキャッチャーが捕球のために使用する革製の道具である。
【0015】
ミット1は図1に示す如く、芯材3と、芯材3を被覆する複数の革材2と、芯材3と複数の革材2とを縫い合わせる紐体4と、を備える。複数の革材2は、主に天然皮革が採用され、5本の指が納まるように型抜きして所要部を膨らませて縫製される。それぞれの革材2には、紐体4を挿通するための紐孔が穿孔される。
【0016】
図2(a)に示す如く、芯材3は、土台芯3Bと、土台芯3Bに固定される親指芯3T及び小指芯3Lと、で構成される。本実施形態において土台芯3Bは、合成繊維のフェルトで形成される。親指芯3Tは、土台芯3Bにおいて、ミット1を使用する際に使用者の親指側端部(図1に示す如く投手側から見てミット1の下端部)に縫い合わされる。同様に、小指芯3Lは、土台芯3Bにおいて、ミット1を使用する際に使用者の小指側端部(図1に示す如く投手側から見てミット1の上端部)に縫い合わされる。芯材3には、紐体4を挿通するための紐孔が穿孔される。
【0017】
上記の如く親指芯3Tおよび小指芯3Lが縫い合わされた土台芯3Bを複数の革材2で被覆し、革材2と芯材3とに穿孔された紐孔に紐体4を挿通することにより、ミット1が形成される。この際、ミット1は芯材3の形状、具体的には親指芯3T及び小指芯3Lの形状に沿った形状に形成される。即ち、ミット1は図1に示す如く、使用時において下端部が親指芯3Tにより、上端部が小指芯3Lにより投手側に膨出して形成される。
【0018】
本実施形態に係るミット1において、親指芯3T、及び、小指芯3Lは、複数の軟質板材が土台芯3Bと平行に積層して形成されている。具体的には図2(b)、図3、及び、図4に示す如く、親指芯3Tは、それぞれ合成繊維のフェルト材で形成された、第一フェルト材31、第二フェルト材32、第三フェルト材33、及び、第四フェルト材34の四枚の軟質板材が土台芯3Bの側から順に積層された状態で縫い合わされる。
【0019】
本実施形態における親指芯3Tは、第一~第四フェルト材31~34が、土台芯3Bから離れるに従って長手方向の寸法が小さくなるように形成されている。具体的には図4(a)に示す如く、第一~第四フェルト材31~34は、土台芯3Bに最も近接する第一フェルト材31の長手方向寸法が最も大きく、土台芯3Bから最も遠い第四フェルト材34の長手方向寸法が最も小さくなるように、段階的に寸法を変えて形成されている。
【0020】
そして、親指芯3Tを形成する際には、図4(b)及び(c)に示す如く、第一~第四フェルト材31~34における長手方向の両端面を揃えた状態で結合する。具体的には図4(b)に示す如く、第一~第四フェルト材31~34の長手方向における一端面(図4(b)における右側端面)を揃えた状態で、他端側(同じく左側)に向かって縫い合わせていく。そして、第一~第四フェルト材31~34の左端面まで縫い合わせることにより、図4(c)に示す如く長手方向の両端面(左右両端面)が揃えた状態で結合される。これにより、親指芯3Tは長手方向の中央部が両端部よりも凹むように湾曲して形成される。
【0021】
上記の如く、本実施形態に係るミット1によれば、親指芯3Tを形成した段階で、親指芯3Tの長手方向の中央部分が外側に膨出するように湾曲している。これにより、ミット1の外形形状を捕球しやすい形状とすることができる。
【0022】
このように、本実施形態に係るミット1においては、第一~第四フェルト材31~34における長手方向の両端面を揃えた状態で結合するだけで親指芯3Tを湾曲させることができる。また、第一~第四フェルト材31~34の寸法差を一定にすることにより、親指芯3Tを同じ形状に湾曲して形成することができるため、湾曲形状を一定の曲率にして製造することが可能となる。このため、ミット1を使い始める段階から適度な湾曲形状にすることができる。また、親指芯3Tの形成時から湾曲させているため、形成後に湾曲形状とする方法と比較して、ミット1における湾曲形状を崩れにくくすることができる。
【0023】
本実施形態における親指芯3Tは、第一~第四フェルト材31~34のうち一部の内側端部が長手方向に沿って薄く形成されている。具体的には図3及び図5(b)に示す如く、第四フェルト材34の内側端部は一部が切り取られることによりテーパ面34aが形成されている。また、図5(b)に示す如く、第三フェルト材33の内側端部は一部が切り取られることによりテーパ面33aが形成されている。このように、親指芯3Tは図5(b)に示す如く、内側に向かうに従って厚さが小さくなるように形成される。これにより、親指芯3Tを土台芯3Bに固定した際に、土台芯3Bから緩やかな斜面で親指芯3Tを立ち上げることができる。
【0024】
本実施形態における親指芯3Tにおいて、第四フェルト材34は、他の軟質板材である第一フェルト材31~第三フェルト材33と比較して、柔軟性が高く、かつ、厚さが大きい素材が用いられる(図4を参照)。これにより、ミット1が捕球する際に手に伝わる衝撃を緩和することが可能となる。また、柔軟性が高く、かつ、厚さが大きい第四フェルト材34は、土台芯3Bから最も遠い位置に設けられることが好ましい。これにより、ミット1が捕球する際に手に伝わる衝撃をより効果的に緩和することが可能となる。
【0025】
なお、ミット1においては、小指芯3Lについても親指芯3Tと同様に、構成するフェルト材の長さ寸法を段階的に変えて積層することにより、長手方向の中央部分が外側に膨出するように湾曲させて形成することができる。このように、小指芯3Lを湾曲させることによっても、ミット1の外形形状を捕球しやすい形状とすることができる。また、本実施形態に記載した親指芯3Tの他の構成は、小指芯3Lについても同様に採用することが可能である。また、この場合は図2(a)に示す小指芯3Lの如く、土台芯3Bの反対側の面(図2(a)に示す上面)に、複数の軟質板材の長手方向の中途部までの長さに形成された短軟質板材35を設ける構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 ミット(キャッチャーミット)
2 革材 3 芯材
3B 土台芯 3T 親指芯
3L 小指芯 4 紐体
31 第一フェルト材(軟質板材)
32 第二フェルト材(軟質板材)
33 第三フェルト材(軟質板材)
33a テーパ面
34 第四フェルト材(軟質板材)
34a テーパ面 35 短軟質板材

図1
図2
図3
図4
図5