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特開2022-38417屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038417
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/15 20180101AFI20220303BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20220303BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20220303BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20220303BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220303BHJP
   F21S 43/50 20180101ALI20220303BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20220303BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220303BHJP
   B60Q 1/50 20060101ALI20220303BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220303BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220303BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20220303BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20220303BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20220303BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20220303BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20220303BHJP
【FI】
F21S43/15
H01L33/00 L
H01L33/62
H01L33/56
F21V19/00 170
F21V19/00 150
F21S43/50
F21S43/14
F21V5/00 320
B60Q1/50 Z
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:15
F21W104:00
F21W103:55
F21W103:10
F21W102:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142914
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】中林 政昭
【テーマコード(参考)】
3K013
3K339
5F142
【Fターム(参考)】
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
3K339AA25
3K339AA29
3K339AA31
3K339AA32
3K339BA02
3K339BA03
3K339BA04
3K339BA05
3K339BA30
3K339CA02
3K339CA03
3K339CA12
3K339CA13
3K339CA22
3K339CA24
3K339CA30
3K339EA05
3K339EA06
3K339GB01
3K339GB03
5F142AA22
5F142AA51
5F142AA81
5F142BA32
5F142CB22
5F142CD02
5F142CD24
5F142CD32
5F142CE02
5F142CE22
5F142CE32
5F142CG03
5F142CG32
5F142CG43
5F142DB17
5F142FA03
5F142FA21
5F142FA31
5F142GA28
(57)【要約】
【課題】屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具を提供する。
【解決手段】一方向に長く、複数の発光素子が長手方向に並置されて実装されたフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を内包して覆う、光拡散材を含む可撓性を有する透明樹脂と、前記透明樹脂の長手方向の一の面を開口面として、前記透明樹脂の前記開口面を除いた長手方向の他の面を覆う、可撓性を有する不透明樹脂とを備え、前記複数の発光素子は、第1群の発光素子と、前記第1群の発光素子よりも前記開口面に近づけて配置される第2群とを含んで構成した。各発光素子の開口面までの距離を異ならしめることで、各発光素子の光の拡散状態が異なるようになり、発光形態の異ならしめることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長く構成され、複数の発光素子が長手方向に並置されて実装されたフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板を内包して覆う、光拡散材を含む可撓性を有する透明樹脂と、
前記透明樹脂の長手方向の一の面を開口面として、前記透明樹脂の前記開口面を除いた長手方向の他の面を覆う、可撓性を有する不透明樹脂と、
を備え、
前記複数の発光素子は、第1群の発光素子と、前記第1群の発光素子よりも前記開口面に近づいて配置される第2群の発光素子とを含んで構成される、
ことを特徴とする屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント基板には、前記開口面に向かって切り起された切り起し部が設けられており、
前記第2群の発光素子は、前記切り起し部の表面に、発光面を前記開口面に向けて実装される、
ことを特徴とする請求項1に記載の屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント基板は透明基板、または透明フィルムLEDである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具。
【請求項4】
前記第2群の発光素子は、前記第1群の発光素子が実装された前記フレキシブルプリント基板とは別の、第2のフレキシブルプリント基板に実装される、
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具。
【請求項5】
前記第1群の発光素子の発光色は、前記第2群の発光素子の発光色とは異なるよう構成される、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具。
【請求項6】
前記第1群の発光素子または前記第2群の発光素子は、連鎖点灯方式で点灯する、
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両に搭載される車両用灯具、特に屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両前部に搭載されるアクセサリランプ等において、屈曲可能なライン状のフレキシブルプリント基板を備えた車両用灯具がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-243028号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の発光モジュール(灯具ユニット)は、屈曲可能でも、発光形態は単純であり、もっと斬新な発光を行う屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具に対するニーズある。
【0005】
本発明は、これに鑑みてなされたものであり、斬新な発光を行う、屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本発明のある態様では、一方向に長く、複数の発光素子が長手方向に並置されて実装されたフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を内包して覆う、光拡散材を含む可撓性を有する透明樹脂と、前記透明樹脂の長手方向の一の面を開口面として、前記透明樹脂の前記開口面を除いた長手方向の他の面を覆う、可撓性を有する不透明樹脂とを備え、前記複数の発光素子は、第1群の発光素子と、前記第1群の発光素子よりも前記開口面に近づいて配置される第2群の発光素子とを含んで構成されるよう構成した。
【0007】
この態様によれば、主構成部材が全て屈曲可能であるため、発光モジュール自体が屈曲可能となる。また、開口面から各発光素子までに距離が異なることは、光拡散材を含む透明樹脂内における光路距離が異なることとなるため、発光素子からの出射光は、透明樹脂内から開口面より出射するときには、第1群と第2群とでは拡散状態が異なる。発光形態が異なる二つの領域が連続する、屈曲可能な発光モジュールを提供できる。
【0008】
また、ある態様によれば、前記フレキシブルプリント基板には、前記開口面に向かって切り起された切り起し部が設けられており、前記第2群の発光素子は、前記切り起し部の表面に、発光面を前記開口面に向けて実装されるように構成した。この態様によれば、1のフレキシブルプリント基板で、2以上の異なる発光形態を備える発光モジュールを提供でき、設置と制御が容易となる。
【0009】
また、ある態様によれば、前記フレキシブルプリント基板は透明基板、または透明フィルムLEDであるように構成した。基板が視認しにくくなり、見栄えが向上する。
【0010】
また、ある態様によれば、前記第2群の発光素子は、前記第2群の発光素子が実装された前記フレキシブルプリント基板とは別の、第2のフレキシブルプリント基板に実装されるよう構成した。それぞれの基板は分かれているため、製造が容易で、構成が単純となる。
【0011】
また、ある態様では、前記第1群の発光素子の発光色は、前記第2群の発光素子の発光色とは異なるよう構成した。発光形態を複雑にして斬新な光の意匠を提供できる。また、領域ごとに発光色を異ならしめることで、1のモジュールに2以上の役割を持たせることが可能となる。
【0012】
また、ある態様では、前記第1群の発光素子または前記第2群の発光素子は、連鎖点灯方式で点灯するよう構成した。第2群の発光素子は開口面に近いため、点発光の形態となる。第1群の発光素子は開口面から離れているため、面発光の形態となる。点発光または面発光の発光素子を連鎖点灯方式で点灯させることで、光が移動しているような動的な光の斬新な意匠を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、斬新な発光を行う屈曲可能な発光モジュールを備えた車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態に係る車両用灯具を搭載した車両の正面図である。
図2】アクセサリランプの発光形態を示す。
図3】車両用灯具の発光モジュールの構成を示す概略図である。(A)が正面図、(B)が斜視図を示す。
図4図4(A)が図3のIV(A)-IV(A)線に沿った断面図であり、図4(B)が図3のIV(B)-IV(B)線に沿った断面図である。
図5図4の光路図である。透明部材のハッチングは省略した。
図6】変形例である。
図7】変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0016】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用灯具であるアクセサリランプACLを搭載した車両Cの正面図である。
【0017】
アクセサリランプACLは、車両Cの湾曲したフロントバンパーの上部に、湾曲したフロントバンパーの形状に沿って配設されている。
【0018】
アクセサリランプACLは、正面視して左右の側方が上方に向かって湾曲した略U字のライン形状となっており、略水平な中央領域A1と、中央領域A1の右端部から連続して、右方上方へ延伸して、アクセサリランプACLの右方領域を構成する右方領域A2と、中央領域A1の左端部から連続して左方上方へ延伸して、アクセサリランプACLの左方領域を構成する左方領域A3と、から構成される。
【0019】
アクセサリランプACLは、発光モジュール1と、不図示のランプボディおよびランプカバーを備える。ランプカバーは前面が開口しており、該開口部にランプカバーが取付けられ、灯室Sを画成する。
【0020】
発光モジュール1は、屈曲可能なライン状の発光モジュールである。アクセサリランプACLの灯室Sは長細く、かつ湾曲した略U字形状であり、発光モジュール1は、略U字状に湾曲した灯室Sの形状に合わせて、略U字状に湾曲して灯室S内に配置される。
【0021】
発光モジュール1は、長尺であり、長手方向の一面が発光面となっており、発光面を車両前方に向けて配置され、所定の発光形態で車両前方を照射する。
【0022】
図2は、アクセサリランプACLの発光形態を示している。アクセサリランプACLの発光源は発光モジュール1のみであるため、図2は発光モジュール1の発光形態と同等である。
【0023】
図2に示すように、中央領域A1においては、領域全体が淡く発光する面発光であるのに対し、右方領域A2,左方領域A3においては、発光領域が非常に小さい明るい複数の光が直線状に並ぶ、点発光となっている。どちらも同じ白色光であるが、中央領域A1における光度よりも、右方領域A2,左方領域A3で点発光する1つ1つの光の光度の方が非常に強く、右方領域A2,左方領域A3の各発光点は、非常に明るいものとなっている。
【0024】
アクセサリランプACLは、全ての領域で共通の1の発光モジュール1を用いているため、異なる発光形態を持つ領域同士の連続性が高く、異なる光の形態が自然と連続して見える斬新な光の意匠を提供している。
【0025】
(発光モジュール)
上記のような発光形態を有する発光モジュール1について、図3図5を用いて詳細に説明する。図3は発光モジュール1の概略図である。発光モジュール1は長尺であるため、その一部であるB部(図1参照)を抜粋している。図3(A)が正面図、図3(B)が斜視図である。図4(A)は図3のIV(A)-IV(A)線に沿った端面図である。図4(B)は図3のIV(B)-IV(B)線に沿った端面図である。
【0026】
発光モジュール1は、断面形状が矩形の、長尺なライン状の発光体であり、屈曲可能に構成される。
【0027】
図3に示す一部抜粋の発光モジュール1は、中央を境に、右方が第1領域11、左方が第2領域12となっている。第1領域11と第2領域12では、発光に係る一部の構成が異なり、これにより第1領域11と第2領域12とでは発光形態が異なっている。第1領域11および第2領域12は隣接し、連続して構成され、隙や段差なく一体化している。このように、発光モジュール1は、発光形態の異なる領域が連続して成る。
【0028】
発光モジュール1は、フレキシブルプリント基板30、透明部材20、遮光部材50を備える。
【0029】
フレキシブルプリント基板30は、フレキシブルプリント基板(Flexible Printed circuit)であり、例えば断面において矩形のポリイミド薄幕基板からなり、一方向に長く構成され、長尺な発光モジュール1の底面に長手方向を合わせて配置される。第1領域11と第2領域12では、共通の1のフレキシブルプリント基板30が用いられているが、各領域でフレキシブルプリント基板30の形態が異なる。
【0030】
発光モジュール1の第1領域11では、フレキシブルプリント基板30の表面には、複数の発光素子41が、長手方向に等間隔に、短手方向には略中央に、一列に並んで実装されている。また、第2領域12では、フレキシブルプリント基板30には、同方向に向かって90度立ち上がる切り欠き部31が、長手方向に等間隔で複数個設けられており、それぞれの切り欠き部31の表面には、発光素子42が実装されている。
【0031】
第1領域11に配置される発光素子41と、第2領域12に配置される発光素子42は、ともに通電することで光を出射する発光体である。本実施形態では、発光素子41,42には白色光を出射する同じ白色LED(Light Emitting Diode)が用いられており、発光素子41,42はその配置位置のみが異なる。
【0032】
透明部材20は、光拡散材が添加された、光透過性を備えた樹脂部材であり、エラストマー等、比較的軟性の高い可撓性のある樹脂が用いられている。光拡散材には、従来周知の材料を用いており、その種類は問わない。
【0033】
フレキシブルプリント基板30は、その表面に発光素子41,42が実装され、発光モジュール1の底面に沿って配置された状態で、透明部材20に内包されて、四方を透明部材20で覆われている。フレキシブルプリント基板30を封止した透明部材20は、長手方向に直交する断面が、長手方向のどの位置でも矩形となるよう構成されている。
【0034】
遮光部材50は、光不透過性の樹脂部材であり、エラストマー等、比較的軟性の高い可撓性のある樹脂が用いられている。
【0035】
遮光部材50は、透明部材20の長手方向の一面である面2を除いて、長方向に伸びる透明部材20の他の3面を、均一の厚さで薄く覆っている。
【0036】
遮光部材50に覆われていない、遮光部材50の開口面である面2は、封止された発光素子41,42から出射した光の出射面であり、発光モジュール1の発光面となる。本実施形態においては、面2は前面となっており、発光モジュール1は、アクセサリランプACLの灯室S内に、面2を車両前方に向けて配置されて、通電時に車両C前方を照射する。
【0037】
フレキシブルプリント基板30に実装された発光素子41,42から出射した光は、透明部材20内で、反射、拡散を繰り返して、遮光部材50に覆われていない面2から出射し、車両前面を照射する。遮光部材50は、発光素子41,42からの出射光が、面2以外から出射されるのを防ぐための部材である。発光モジュール1の発光効率を高めるため、遮光部材50には、表面反射性能をもった遮光部材を使用すると好ましい。また、遮光部材50と透明部材20の間に反射性能を持つ反射部材を挟んだ構成を用いても好ましい。
【0038】
発光モジュール1の主構成であるフレキシブルプリント基板30、透明部材20、遮光部材50のすべてが屈曲可能な部材、または可撓性のある部材であるため、発光モジュール1は、全体が屈曲可能に構成される。このため、発光モジュール1は、図1に示すように、略U字型の形状に湾曲して灯室S内に配置されるなど、所望の形状に屈曲/湾曲して配置されることが可能となっている。
【0039】
(発光形態)
図5図4の光路図である。図5を用いて、第1領域11と第2領域12の構成と発光形態を説明する。なお、図5においては、光路の見やすさを優先して、透明部材のハッチングを省略した。
【0040】
図5(A)に示すように、第1領域11では、光を出射する発光素子41は、透明部材20の底面に配置されたフレキシブルプリント基板30の表面に実装されている。発光素子41の発光面は上にむけられており、光の出射面である面2には向けられていない。発光素子41から出射した光L1は、拡散材の含まれた透明樹脂である透明部材20内で、反射、拡散を繰り返して、最終的に面2から出射する。
【0041】
第1領域11に配置される発光素子41は、その発光面が直接面2に向けられていないため、発光素子41から出射した光L1が面2から出射するまでの光路R1の長さが比較的長く、その間、光L1は透明部材20内で上下方向、左右方向、前後方向の全ての方向に拡散を繰り返して、面2全体から出射する。このため、面2全体が均一に発光し、発光モジュール1の外側からは、光源である発光素子41がどこにあるかを視認できない。このように、第1領域においては、発光面である面2の全体が均一に光る面発光の形態となる。
【0042】
次に、第2領域について説明する。図5(B)に示すように、第2領域12では、光を出射する発光素子42は、切り欠き部31の表面に実装されている。切り欠き部31は面2に向かって立ち上がっているため、切り欠き部31は面2に対向し、切り欠き部31と面2との距離は非常に短いものとなっている。
【0043】
第2領域12に配置される発光素子42は、その発光面を面2に向けているため、発光素子42から出射した光L2は、まっすぐ面2に向かい、ほとんど拡散せず、そのまま面2から出射する。このため、発光素子41から出射した光L2が面2から出射するまでの光路R2の長さが、第1領域11における光路R1の同長さに比べて、非常に短くなっている。光L2は、発光素子42から出射してから、ほとんど拡散せず、発光素子42前方の面2の狭い領域から、直進性の強い明るい光として出射する。発光モジュール1の外側からは、各発光素子42は点状の発光体として視認される。このように、第1領域においては、それぞれの発光素子42が面2の一点で光る、点発光の形態となる。
【0044】
(作用効果)
上述したように、第1領域11と第2領域12では、発光形態が異なる。これは、第1領域11に配置される複数の発光素子41からなる発光素子群と、第2領域12に配置される複数の発光素子42からなる発光素子群とでは、配置位置から発光面となる面2までの距離が異なるため、光の拡散状態が異なった状態で出射されるためである。各発光素子の配置位置から発光面の面2までの光路は、光拡散材を含む透明部材20内であるため、この距離が長いほど光は拡散されて、より広い面積で均一の光度で出射する。逆に、この距離が短いほど光は拡散されず、より狭い面積で強い光のまま直線的に出射する。発光素子の配置位置から面2までの距離を異ならしめることで、発光モジュール1の中で発光形態の異なる領域を作ることができる。各領域は連続するため、1の発光モジュール1で、連続性が高く光の形態が異なる斬新な光の意匠を提供できる。
【0045】
さらに、共有するフレキシブルプリント基板30を用いて、一部に切り欠き部31を形成することにより両領域を実施しており、二つの異なる発光形態の発光モジュールを設置する必要がなく、組付けや制御が容易である。
【0046】
発光モジュール1は、射出成形などにより、一方向に長く形成される。第1領域11および第2領域12は、内包されるフレキシブルプリント基板30の形態を調整するとこにより、それぞれを所望の長さに形成することができる。アクセサリランプACLに配置される発光モジュール1は、湾曲する灯室S内に、湾曲して配置されたときに、中央領域A1には面発光する第1領域11が、左方領域A3および右方領域A2には、点発光する第2領域12が配置されるように、構成されている。
【0047】
第1領域11、第2領域12は自由に配置も形成可能であり、例えば、左方領域A3および右方領域A2に連続して、さらに面発光する第1領域11を追加することや、第1領域11と第2領域12の配置構成を逆として、中央領域A1を点発光させ、左方領域A3と右方領域A2を面発光させるように、発光モジュール1を構成することも可能である。
【0048】
発光モジュール1は、封止されるフレキシブルプリント基板30の構成、詳しくは発光素子41,42の配置により、発光形態を調整することができる。即ち、実装される発光素子41,42の出射光が面2から出射するまでの光路距離を決定する発光素子41,42の配置と配置方向により発光形態を異ならしめている。このため、発光素子41の第1領域11と第2領域12の中間的な発光形態をもつ第3領域を形成することも可能である。
【0049】
本実施形態では、発光素子41,42には同種のLEDが用いられたが、点発光する発光素子42には、輝度の高い発光素子を用いると、点発光がより明確となるため、好ましい。
【0050】
フレキシブルプリント基板30には、透明なフレキシブルプリント基板や、例えば特開2015-201301号で公開されているような透明フィルムLEDを用いても好ましい。透明フィルムLEDは、透明なフィルム上にLEDを配置し、ITOなどの透明電極を接続している形態となっている。このような基板を用いることで、基板部分が外側から視認しづらくなり、見栄えが向上する。
【0051】
上記実施形態では、アクセサリランプについて述べたが、本発明はこれに限定されず、デイタイムランニングランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプ、ストップランプ、カウルランプ、コーナリングランプ、フォグランプ等、各種車両用灯具に幅広く適用することができる。発光素子には、LEDに限らず、レーザーダイオード、有機EL(エレクトロルミネセンス)等の他の半導体発光素子なども用いることができる。
【0052】
(変形例)
図6および図7に変形例を示す。
【0053】
発光モジュール1は、前述の形態に限られない。発光素子41、42に異なる色の光を出射する発光素子を用いることや、ライン状に並ぶ発光素子を連鎖点灯(シーケンシャル)により順に点灯させることや、領域ごとに点灯のタイミングを異ならしめて構成することもできる。
【0054】
例えば、図6に示す車両C´の前面には、左右の車幅いっぱいに伸びるアクセサリランプACL´が配置されている。アクセサリランプACL´の灯室S´内に配置される発光モジュール1´においては、ヘッドランプHL下方の右方領域A2´および左方領域A3´に対応する領域は、点発光する第2領域12で構成されている。ここで、発光モジュール1´の第2領域12の発光素子42にはアンバー色の光を出射するLEDを用いて、通常は消灯しておき、ウインカーのスイッチが入ったときのみ、ウインカーの指示方向に対応する左方領域A3´または右方領域A2´の発光素子42を外側に向かって連鎖点灯させることで、両領域にターンシグナルランプの役割を与えることができる。このとき中央領域A1´に対応する発光モジュール1´の領域には、面発光する第1領域11で構成して、常時白色に面発光させることで、中央領域A1´にはデイタイムランニングランプの役割を与えることができる。
【0055】
また、第1領域11と第2領域12には、別々のフレキシブルプリント基板を用いても良い。例えば、図7に示す発光モジュール1´のように、フレキシブルプリント基板30´には発光素子41のみ実装させる。発光素子42を実装する第2のフレキシブルプリント基板130は、発光素子42の発光面を面2に向けて、発光面が面2に近づいて配置された状態で、フレキシブルプリント基板30´とともに透明部材20に封止されている。発光モジュール1´の発光素子41、42の配置は、発光モジュール1のそれと同等であるため、発光モジュール1´の発光形態は発光モジュール1と同等となる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 :発光モジュール
2 :面
10 :遮光部材
11 :第1領域
12 :第2領域
20 :透明部材
21 :切り欠き部
30 :フレキシブルプリント基板
31 :切り欠き部
41 :発光素子
42 :発光素子
50 :遮光部材
130 :第2のフレキシブルプリント基板
ACL :アクセサリランプ
C :車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7