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特開2022-38450冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋及び冷気貯留槽を用いる建屋の冷・暖房方法
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  • 特開-冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋及び冷気貯留槽を用いる建屋の冷・暖房方法 図1
  • 特開-冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋及び冷気貯留槽を用いる建屋の冷・暖房方法 図2
  • 特開-冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋及び冷気貯留槽を用いる建屋の冷・暖房方法 図3
  • 特開-冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋及び冷気貯留槽を用いる建屋の冷・暖房方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038450
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋及び冷気貯留槽を用いる建屋の冷・暖房方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20220303BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20220303BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20220303BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20220303BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
E04B1/76 200A
E04B1/70 E
F24F3/044
F24F5/00 K
F24F7/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142968
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】515193136
【氏名又は名称】株式会社から屋
(74)【代理人】
【識別番号】100082234
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145078
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 孝之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 弘美
【テーマコード(参考)】
2E001
3L053
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001DD03
2E001DD04
2E001DD17
2E001EA08
2E001FA04
2E001FA06
2E001FA07
2E001FA17
2E001FA21
2E001NA01
2E001NA03
2E001NA04
2E001NA05
2E001NA07
2E001NC02
2E001ND02
2E001ND27
3L053BB04
(57)【要約】
【課題】重力換気による冷気・暖気の自然対流に冷気貯留槽を用いることにより、建屋内の冷気と暖気の環流を無動力で行い、湿度調整型自然排気口を用いることで送風ファンと送風ダクトの設置を不要にすることで、空調費、設備費及び管理費を不要にすることを目的とする。
【解決手段】気密構造の建屋1の床下空間7から屋根裏空間16を連通する通気路19、20が設けてある。屋根裏空間16に冷却用機器23を備えた冷気貯留槽22を設置し、床下空間7に暖房用機器26が設置してある。屋根部5に湿度調整型自然排気口25が設けてあり、床下空間7に外気を浄化して供給する給気ファン24が建屋1内に設置してある。夏季には暖房用機器26の稼働を停止し、冷気貯留槽22に蓄えた冷気を通気路20を介して自然流下させて建屋1内を冷房し、冬季には冷却用機器23の稼働を停止し、屋内の湿度に応じて湿度調整型自然排気口25を作動させて重力換気の量を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下空間と屋根裏空間を有し、該床下空間から屋根裏空間を連通する通気路を設けてある気密構造の建屋において、前記屋根裏空間に冷却用機器を備えた冷気貯留槽を設置し、前記床下空間に暖房用機器を設置し、前記建屋内に該床下空間に外気を浄化して供給する給気ファンを設置し、夏季には前記暖房用機器の稼働を停止し、前記冷却用機器により生成して前記冷気貯留槽に蓄えた冷気を前記通気路を介して自然流下させることにより前記建屋内を冷房し、冬季には前記冷却用機器の稼働を停止し、前記暖房用機器を稼働して前記床下空間の暖気を前記通気路を介して自然上昇させることにより前記建屋内を暖房するようにしてなる冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋。
【請求項2】
前記建屋を構成する屋根部は、断熱性を有していることを特徴とする請求項1記載の冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋。
【請求項3】
前記屋根裏空間は、隔壁を設けない開放空間に形成してあることを特徴とする請求項1記載の冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋。
【請求項4】
前記建屋に屋内の湿度に応じて開口量が大小可変の湿度調整型自然排気口を設け、前記給気ファンは外気温度の低下に応じて稼働を自動停止する機能を持たせた構成とし、外気温度の低下に応じて前記給気ファンの稼働を停止して開放状態とし、屋内の湿度上昇に応じて前記湿度調整型自然排気口の開口量を拡大することで、重力換気により前記給気ファンから流入する外気を屋内に循環させて前記湿度調整型自然排気口から屋外に放出し、屋内の湿度下降に応じて該湿度調整型自然排気口の開口量が縮小されることにより重力換気による外気導入を抑制するようにしてある請求項1記載の冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋。
【請求項5】
床下空間と屋根裏空間を有する建屋を気密構造に構成し、該屋根裏空間と床下空間を通気路で連通し、前記屋根裏空間に冷却用機器を備えた冷気貯留槽を設置し、前記床下空間に暖房用機器を設置し、給気ファンにより該床下空間に外気を浄化して供給し、冬季には前記冷却用機器の稼働を停止して前記暖房用機器を稼働し、重力換気により前記床下空間の暖気を前記通気路を介して自然上昇させることにより前記建屋内を暖房し、夏季には前記暖房用機器の稼働を停止し、前記冷却用機器により生成して前記冷気貯留槽に蓄える冷気を前記通気路を介して自然流下させることにより前記建屋内を冷房するようにしてなる冷気貯留槽を用いる建屋の冷・暖房方法。
【請求項6】
前記建屋に屋内の湿度に応じて開口量が大小可変の湿度調整型自然排気口を設け、前記給気ファンは外気温度の低下に応じて稼働を自動停止する機能を持たせてあり、外気温度が低下するのに応じて前記給気ファンは稼働を停止して開放状態とし、屋内の湿度上昇に応じて前記湿度調整型自然排気口の開口量を拡大することで、重力換気により前記給気ファンから流入する外気を屋内に循環させて前記湿度調整型自然排気口から屋外に放出し、屋内の湿度下降に応じて該湿度調整型自然排気口の開口量が縮小されることにより重力換気による外気導入を抑制するようにしてある請求項5記載の冷気貯留槽を用いる建屋の冷・暖房方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷気は重く、暖気は軽いという冷気と暖気の温度差による重力換気の自然対流を活用することにより、建屋内の冷房と暖房の温調を円滑に実現し、また冷暖房費を最小限に抑制する冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋及び冷気貯留槽を用いる建屋の冷・暖房方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図3及び図4に従来技術の建屋における冷・暖房方法について説明する。先ず、両図に示す建屋について説明する。図において、51は建屋で、該建屋51は地盤Gに設置したスラブ52と、該スラブ52上に立設した基礎53と、該基礎53上に立設した4面の外壁54、54、・・と、該外壁54の上に設置した屋根部55とから大略構成してある。
【0003】
56は前記スラブ52に対面して設けた一階床部で、該一階床部56とスラブ52との間は床下空間57になっている。58は一階天井部で、該一階天井部58と一階床部56との間は一階空間59になり、仕切り壁60によって一階空間59は複数の部屋59Aに画成してある。61は前記一階天井部58から離間して設けた二階床部、62は該二階床部61から離間して設けた二階天井部で、該二階天井部62と二階床部61との間に形成される二階空間63は仕切り壁64によって複数の部屋63Aに画成してあり、二階天井部63と屋根部55との間は屋根裏空間65になっている。そして、該屋根裏空間65には一対の隔壁66、66によって空調室67が画成してある。
【0004】
68は前記一階空間59から二階空間63に掛けて設けた階段である。69、69、・・・は一階床部56、一階天井部58、二階床部61、二階天井部62、隔壁66に夫々形成した通気孔である。70は前記空調室67に設置した送風ファン、71は二階天井部62に設置した冷房用機器、72は床下空間57に設置した暖房用機器である。
【0005】
上述の構成からなる建屋51では、送風ファン70を設置する空調室67という閉鎖的な空間を設け、夏季に冷房する場合は、暖房用機器72の運転を停止し、図3に示すように、冷房用機器71と送風ファン70を運転して冷気を各通気口69から二階空間63に流下させている。この時、暖気より重い冷気は、階段68から一階空間59へと流下することで建屋51内全体を冷房するようになっている。
また、冬季に暖房する場合は、図4に示すように、冷房用機器71の運転を停止し、暖房用機器72及び送風ファン70を稼働して暖気を還流させることで建屋51内全体を暖房するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】見出せず。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来技術においては、屋根裏空間65に閉鎖的な空調室67を設けているので、建屋51内の暖かい空気の回収効率が悪く冷房効率が良いとは言えない。また、冬は屋根裏空間65に暖かい空気が溜ることから、暖房用機器72の暖房効率が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みなされたもので、気密性建屋内における下降空気量=上昇空気量の関係を踏まえ、冷気と暖気の重力換気による自然対流に冷気貯留槽を活用することにより、建屋内の冷気と暖気の環流を無動力で行うことで空調費を節減し、また外気温度に応じて自動停止する給気ファンと湿度調整型自然排気口を併用することで冷暖房費を最小限に抑制することができるし、送風ファンと送風ダクトの設置を不要にできる冷気貯留槽を用いる冷・暖房建屋及び冷気貯留槽を用いる建屋の冷・暖房方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上述した課題を解決するために構成した請求項1に係る本発明の手段は、床下空間と屋根裏空間を有し、該床下空間から屋根裏空間を連通する通気路を設けてある気密構造の建屋において、前記屋根裏空間に冷却用機器を備えた冷気貯留槽を設置し、前記床下空間に暖房用機器を設置し、前記建屋内に該床下空間に外気を浄化して供給する給気ファンを設置し、夏季には前記暖房用機器の稼働を停止し、前記冷却用機器により生成して前記冷気貯留槽に蓄えた冷気を前記通気路を介して自然流下させることにより前記建屋内を冷房し、冬季には前記冷却用機器の稼働を停止し、前記暖房用機器を稼働して前記床下空間の暖気を前記通気路を介して自然上昇させることにより前記建屋内を暖房するようにしてなる。
(2)そして、前記建屋を構成する屋根部は、断熱性を有しているとよい。
(3)また、前記屋根裏空間は、隔壁を設けない開放空間に形成してあるとよい。
(4)また、前記建屋に屋内の湿度に応じて開口量が大小可変の湿度調整型自然排気口を設け、前記給気ファンは外気温度の低下に応じて稼働を自動停止する機能を持たせた構成とし、外気温度の低下に応じて前記給気ファンの稼働を停止して開放状態とし、屋内の湿度上昇に応じて前記湿度調整型自然排気口の開口量を拡大することで、重力換気により前記給気ファンから流入する外気を屋内に循環させて前記湿度調整型自然排気口から屋外に放出し、屋内の湿度下降に応じて該湿度調整型自然排気口の開口量が縮小されることにより重力換気による外気導入を抑制するようにするとよい。
(5)更に、請求項5に係る本発明を構成する手段は、床下空間と屋根裏空間を有する建屋を気密構造に構成し、該床下空間と屋根裏空間を通気路で連通し、前記屋根裏空間に冷却用機器を備えた冷気貯留槽を設置し、前記床下空間に暖房用機器を設置し、給気ファンにより該床下空間に外気を浄化して供給し、冬季には前記冷却用機器の稼働を停止し、前記暖房用機器を稼働して前記床下空間の暖気を前記通気路を介して自然上昇させることにより前記建屋内を暖房し、夏季には前記暖房用機器の稼働を停止し、前記冷却用機器により生成して前記冷気貯留槽に蓄える冷気を前記通気路を介して自然流下させることにより前記建屋内を冷房するようにしたことにある。
(6)そして、前記建屋に屋内の湿度に応じて開口量が大小可変の湿度調整型自然排気口を設け、前記給気ファンは外気温度の低下に応じて稼働を自動停止する機能を持たせてあり、外気温度が低下するのに応じて前記給気ファンは稼働を停止して開放状態とし、屋内の湿度上昇に応じて前記湿度調整型自然排気口の開口量を拡大することで、重力換気により前記給気ファンから流入する外気を屋内に循環させて前記湿度調整型自然排気口から屋外に放出し、屋内の湿度下降に応じて該湿度調整型自然排気口の開口量が縮小されることにより重力換気による外気導入を抑制するようにするとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述の如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)気密性建屋における下降空気量=上昇空気量の関係を踏まえ、冷気は重く、暖気は軽いことに基づく重力換気により生じる自然対流に着目し、屋根裏空間に冷気貯留槽を設置することで、夏季には冷気環流用の動力を用いることなく建屋内の冷房を行うことができる。
(2)空調のために夏季に用いるのは冷却用機器、冬季に用いるのは暖房用機器だけであり、送風ファンや送風ダクトの設置は不要であるので、設備費、維持管理費を不要にできる。
(3)屋根部は断熱性を有する構成にしたから、冷気貯留槽に蓄える冷気の温度上昇を抑制できる。
(4)冷気貯留槽を設置した屋根裏空間は、隔壁を設けない開放空間に形成したから、上昇して屋根裏空間に流入する暖気は冷気と制約なく混合するので、建屋内の温度ムラを抑制できる。
(5)外気温度に応じて自動停止する給気ファンと湿度調整型自然排気口を併用することで、外気温度が低い状態での屋内の湿度の高低に応じて外気の導入を制御することで冷暖房費を最小限に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1及び図2は本発明の実施の形態に係り、図1は夏季における冷気の環流状態を示す二階建て建屋の断面図である。
図2】冬季における暖気の環流状態を示す二階建て建屋の断面図である。
図3図3及び図4は従来技術を示し、図3は夏季における冷気の環流状態を示すててやの断面図である。
図4】冬季における暖気の環流状態を示す建屋の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図1及び図2を参照しつつ説明する。図1において、1は気密構造からなる建屋、2は該建屋1を構成して地盤Gに設置したスラブ、3は該スラブ2に起立した基礎、4,4、・・は該基礎に立設した4面の外壁である。5は該外壁4の上お設置した屋根部で、該屋根部5は断熱材5Aを被覆することにより断熱性を持たせてある。6は前記スラブ2に対面して設けた一階床部で、該一階床部6とスラブ2との間は床下空間7に画成してある。そして、該床下空間7には後述する浄化空気放出管24Cを支持する管支持材8が設けてある。
【0013】
9は一階天井部で、該一階天井部9と一階床部6との間の一階空間10は仕切り壁11によって複数の部屋10Aに画成してある。12は前記一階天井部9から離間して設けた二階床部、13は該二階床部12から離間して設けた二階天井部で、該二階天井部13と二階床部12との間の二階空間14は仕切り壁15によって複数の部屋14Aに画成してあり、二階天井部13と屋根部5との間は天井裏空間16になっている。
【0014】
17は前記一階空間10と二階空間14を連通する階段で、該階段17下の一階床部6には床下空間7に連通する床ガラリ18が設けてある。19は床下空間7と二階空間14に連通して設けた一側上昇通気筒、20は階段17の他側に設けた他側上昇通気筒で、該両上昇通気筒19、20は床下空間7の暖気(冷気)を二階空間14側に流動させるためのものである。また、21、21、・・・は、一階床部6、二階天井部13に夫々設けた通気孔で、該各通気孔21を介して冷気が下降し、暖気が上昇するようになっている。
【0015】
22は二階天井部13上に設置して屋根裏空間16に設けた断熱性を有する合成樹脂製の冷気貯留槽を示す。該冷気貯留槽22は四角形の底板22Aと、該底板22Aの四辺に立設した枠板22B、22B、・・とから上方が開放した箱側に構成してあり、底板22Aには二階天井部13の通気孔21に連通する放出孔(図示せず。)が形成してある。そして、冷気貯留槽22内には冷却用機器23が設置してあり、該冷却用機器23により生成した冷気は一旦蓄えられて前記放出孔から通気孔21を介して二階空間14側に流下するようになっている。
【0016】
24は建屋1内に外気を浄化して24時間供給する給気ファンを示す。該給気ファン24は一階の部屋10Aに設置してあり、外気浄化フィルタを有するファン本体24Aと、該ファン本体24Aに接続し、吸引口が屋外に開口する外気導入管24Bと、ファン本体24Aに接続し、床下空間7に伸長して管支持材8にされて先端が開口する浄化空気放出管24Cとから構成してある。
【0017】
25は屋根部5に設け、屋根裏空間16を屋外に連通する湿度調整型自然排気口である。該湿度調整型自然排気口25は屋内の相対湿度に応じて開口量が自動的に拡大、縮小するもので、部屋10A(14A)に人がいて湿度が高い場合は開口量が大きくなり、人の不在により湿度が低い場合は開口量が絞られる機能を有する。
上述した湿度調整型自然排気口25の作用について、外気温度が例えば0℃で、暖房機器を働かせた屋内温度が22℃を例として、以下に場合を分けて説明する。人等の存在で屋内の湿度が高い場合、湿度調整型自然排気口25は開口量が大となり、また外気温度の低下に応じて給気ファン24は温度センサにより自動停止して開放状態になる。外気温度と屋内温度の温度差から重力換気により給気ファン24から無動力で外気が導入され、屋内を流動して湿度調整型自然排気口25から屋外に放出される。
他方、屋内が無人で湿度が低い場合は湿度調整型自然排気口25の開口量が絞られた状態になり、重力換気による自然対流が抑制されて外気の導入が絞られる結果、暖房費を節約することができる。
このように、屋内の湿度高低に応じて湿度調整型自然排気口25と、外気温度に応じた給気ファン24の稼働を制御することで、屋内の換気量を調整して暖房費と稼働費を節減することができる。
なお、給気ファン24が稼働を停止する温度は厳寒地等の地域差を考慮して種々設定できるものである。
【0018】
本実施の形態に係る冷・暖房建屋は上述の構成からなるもので、以下にその作用について詳述する。先ず、給気ファン24を24時間稼働して床下空間7に浄化した外気を供給することで、建屋1は外気を押込む第二種換気を行っている。そして、図1に示すように、夏季には、暖房用機器26の稼働を停止し、冷却用機器23を稼働して冷気を生成して冷気貯留槽22に蓄える。冷気貯留槽22内の冷気はその重量により底板22Aの放出孔から通気孔21を介して二階空間14に流下し、階段17から一階空間10に流入して冷却する。
【0019】
他方、二階空間14内の暖気は降下する冷気に押し下げられて階段17から一階空間10に流入し、床ガラリ18から床下空間7に流入する。そして、冷気より軽量の暖気は上昇通気筒19、20内を上昇して二階空間14に放出される。このように重力換気により建屋1内では冷気と暖気の無動力による自然対流が行われることで、冷房用の送風ファンや送風ダクトを設置しないで夏季においても建屋1内の空調を快適に維持することができる。
【0020】
また、図2に示すように、冬季には、冷却用機器23の運転を停止し、暖房用機器26を稼働して床下空間7に暖気を供給する。暖気は階段17、上昇通気筒19、20、通気孔21を夫々流通して一階空間10、二階空間14に流入して加温することで、建屋1内の全体を暖房する。
そして、外気温度が例えば0℃まで低下した場合には、給気ファン24が自動停止し、屋内の湿度に応じて湿度調整型自然排気口25の開口量が変動することで外気の流入を抑制し、暖房費を節減する。
【0021】
また、屋根裏空間16に設けた湿度調整型自然排気口25は、人の存否による湿度の変化に応じて開口量が可変であるので、第二種換気の強制給気による加圧機能を維持しながら建屋1内の湿度を適切に保つことができる。
【0022】
なお、実施の形態では二階建て建屋を例に挙げて説明したが、本願発明は平屋建て建屋にも実施できるものである。
【符号の説明】
【0023】
1 建屋
5 屋根部
5A 断熱材
7 床下空間
16 屋根裏空間
19、20 上昇通気筒
21 通気孔
22 冷気貯留槽
23 冷却用機器
24 給気ファン
25 湿度調整型自然排気口
26 暖房用機器
図1
図2
図3
図4