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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038501
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】アジャスター
(51)【国際特許分類】
   F16B 9/02 20060101AFI20220303BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20220303BHJP
   F16M 11/24 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
F16B9/02 C
F16B7/18 A
F16M11/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143047
(22)【出願日】2020-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 志朗
【テーマコード(参考)】
3J023
3J039
【Fターム(参考)】
3J023AA01
3J023BA05
3J023BB01
3J023CA09
3J023DA02
3J039AA03
3J039AB04
3J039BB01
3J039GA01
(57)【要約】
【課題】高さ調整シャフトその他に汚物や汚水などを残留しにくくし除去しやすくする。
【解決手段】アジャスターAの高さ調整シャフトA2は、ベース本体1に軸心回りに回転可能に支持され、外周面上部側に雄ねじ部51を有するねじシャフト5と、機械器具の底面に取り付けられ、ねじシャフト5の雄ねじ部51を包囲可能に筒状に形成され、内周面に雄ねじ部51が内周面内で進退可能に螺合される雌ねじ部62を有するスリーブ6とを備え、ねじシャフト5の雄ねじ部51がスリーブ6により被覆保護されるようになっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械器具の設置面に設置されるベースと、前記ベースに機械器具に対する支持方向に延びる軸心回りに回転可能に支持されて、機械器具の底面にねじ構造により締結される高さ調整シャフトとを備え、食品機械を含む各種の機械器具の底面と機械器具の設置面との間に介設されて、前記高さ調整シャフトの回転操作により、機械器具の設置面上で機械器具の高さを調節するアジャスターにおいて、
前記高さ調整シャフトは、
前記ベースに前記軸心回りに回転可能に支持され、外周面上部側に雄ねじ部を有するねじシャフトと、
前記機械器具の底面に取り付けられ、前記ねじシャフトの雄ねじ部を包囲可能に筒状に形成され、内周面に前記雄ねじ部が前記内周面内で進退可能に螺合される雌ねじ部を有するスリーブと、
を備え、
前記ねじシャフトの前記雄ねじ部は前記スリーブにより被覆保持される、
ことを特徴とするアジャスター。
【請求項2】
ベースは、中央にボルトを遊挿可能な開口を有し、機械器具の底面に向けて凸状の球形の座部を有するベース本体と、前記球形の座部の内面に面接触可能に球形面を有し、前記座部の内部に装填可能なブロックで、前記球形面の中央にボルト挿通孔を有してなるベースブロックと、前記ベース本体の開口及び前記ベースブロックのボルト挿通孔に挿通可能なボルトとを備え、ねじシャフトは、外周面の上部側に雄ねじ部を有し、前記ベース側の端面に前記球形の座部の外面に面接触可能に凹状の球形の座面、当該座面の中央に前記ボルトを締結可能にねじ孔をそれぞれ有し、前記ねじシャフトは前記球形の座面が前記ベースの球形の座部の外面に面接触され、前記ベースの球形の座部の内部に前記ベースブロックが前記球形面を面接触して装填され、前記ボルトが前記ベースブロックの前記ボルト挿通孔、前記ベースの開口を通し、前記ねじシャフトのねじ孔に締結されて、前記ねじシャフトが前記ベースの座部上に回転可能にかつ前記座部の全周方向に傾動可能に支持される請求項1に記載のアジャスター。
【請求項3】
ベース本体は、全体がプレート状に形成されて、中央部にねじシャフトを支持するための座部を有し、外周部に機械器具の設置面に面接触可能に拡張部を有する請求項2に記載のアジャスター。
【請求項4】
ベース本体の拡張部の外周面と上面との交差部は全周に亘って断面円弧状に形成され、前記拡張部の外周面と下面との交差部に全周に亘って取付溝を形成されて、前記取付溝にシールドパッキンが嵌着され、前記シールドパッキンはリング状でかつその外周面を前記拡張部の外周面に連続して漸次拡径されるテーパ状をなす請求項3に記載のアジャスター。
【請求項5】
ベース本体の拡張部に複数のボルト挿通孔を有し、前記ベースは複数の取付ボルトにより、機械器具の設置面に固定される請求項3又は4に記載のアジャスター。
【請求項6】
取付ボルトは頭部とねじ部とからなり、前記頭部は頂面がドーム状に、外周面が10角形に、それぞれ、形成される請求項5に記載のアジャスター。
【請求項7】
取付ボルトの頭部の直下にシールドパッキンを一体的に装着され、前記シールドパッキンの外周面が前記頭部の外周面に連続して漸次拡径されるテーパ状をなす請求項6に記載のアジャスター。
【請求項8】
スリーブは、少なくとも内周面が円筒状のスリーブ本体と、前記スリーブ本体の機械器具に取り付ける側の端部に外周方向に延び、複数のボルト挿通孔を有するスリーブ取付部とを有する請求項1乃至7のいずれかに記載のアジャスター。
【請求項9】
スリーブ本体はねじシャフトの雄ねじ部よりも長く、前記スリーブ本体の内周面は、下端側で前記ねじシャフトの雄ねじ部の長さと略同じ長さの範囲に雌ねじ部がなく、当該範囲上部の上端側に雌ねじ部が形成される請求項8に記載のアジャスター。
【請求項10】
スリーブ本体の下端開口の周縁部は外周から内周に向けて漸次縮径されるテーパ状に形成され、前記スリーブ本体の下端開口の内周に全周に亘って取付溝を形成されて、当該取付溝にシールドパッキンが嵌着され、前記シールドパッキンは、リング状でかつその下端面が前記スリーブ本体の下端開口の周縁部に連続して漸次縮径されるテーパ状をなす請求項8又は9に記載のアジャスター。
【請求項11】
スリーブ取付部はスリーブ本体の端部全周に外周方向に拡張されるプレート状に形成され、その周方向に複数のボルト挿通孔を有し、前記スリーブ取付部は複数の取付ボルトにより、機械器具の底面に固定される請求項8乃至10のいずれかに記載のアジャスター。
【請求項12】
取付ボルトは頭部とねじ部とからなり、前記頭部は頂面がドーム状に、外周面が10角形に、それぞれ、形成される請求項11に記載のアジャスター。
【請求項13】
取付ボルトの頭部の直下にシールドパッキンを一体的に装着され、前記シールドパッキンの外周面が前記頭部の外周面に連続して漸次拡径されるテーパ状をなす請求項12に記載のアジャスター。
【請求項14】
スリーブ取付部の外周面と下面との交差部は全周に亘って断面円弧状に形成され、前記スリーブ取付部の外周面と上面との交差部に全周に亘って取付溝を有し、当該取付溝にシールドパッキンが嵌着され、前記シールドパッキンはリング状でかつその外周面が前記スリーブ取付部の外周面に連続して漸次拡径されるテーパ状をなす請求項8乃至11のいずれかに記載のアジャスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品機械を含む各種の機械器具を床などの設置面に設置面から離間して支持し、機械器具の高さや平行度を調整するのに使用するアジャスターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のアジャスターは、例えば特許文献1により開示されているように、機械器具の設置面に設置される座体などのベースと、ベースに機械器具に対する支持方向に延びる軸心回りに回転可能に支持され、機械器具の底面にねじ構造により締結される軸螺杆などの高さ調整シャフトとを備えて構成される。高さ調整シャフトは一般に、特許文献1に示されているように、ねじ付きのシャフトからなる。
【0003】
このようなアジャスターを用いて、各種の機械器具を支持する場合、例えばアジャスターが4本、各々、高さ調整シャフトを機械器具の底面四隅近傍に設けられたねじ孔に螺合され、ベースが機械器具の設置面に設置されて、機械器具と機械器具の設置面との間に介設される。しかして機械器具は機械器具の設置面上に4本のアジャスターを介して、機械器具の設置面から離間して支持される。そして、各高さ調整シャフトを工具を使って回すことにより、機械器具の設置面上で機械器具がねじ送りにより上下動され、機械器具の高さや平行度が調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2561026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、食品衛生法の改正法の公布により、原材料の受け入れから最終製品までの各工程毎に、HACCP(ハサップ)方式による衛生管理が行われる一方、食品機械などの衛生的な環境を守るため、食品機械などはEHEDG(イーヘッジ)の基準に準拠することが求められる。また、食品機械などに取り付けられる部品なども、溝や隙間に汚物や汚水などが溜まりにくい構造で、汚物や汚水などが残留することのない流れ落ちる構造とする必要がある。
【0006】
このように食品機械などは、床面から機械本体を離して、衛生的な環境を保持しなければならない。そこで、機械本体の底面にアジャスターを取り付けて、機械本体の高さや平行度を調整することが求められる。この場合、当然のことながら、アジャスターにも、汚物や汚水などの残留がないような構造が必要で、たとえ残留物が付着しても、水洗洗浄で簡単に除去できるものでなければならない。
【0007】
しかしながら、従来のアジャスターでは、例えば特許文献1に示されるように、高さ調整シャフトの外周面にねじ部が露出し、また、ベースと高さ調整シャフトとの間に隙間が生じるため、ねじ部の溝やベースと高さ調整シャフトとの間の隙間に汚物や汚水などが残留しやすく、さらには、ベース(の上面)と高さ調整シャフトが直角に交差されるために、ベースの上面などに汚物や汚水が水洗洗浄しても残りやすく流れ落ちにくい、という問題がある。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種のアジャスターにおいて、高さ調整シャフトその他に汚物や汚水などが残留しにくく、残留物が付着しても水洗洗浄や布、ブラシなどで簡単に除去できるようにすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、
機械器具の設置面に設置されるベースと、前記ベースに機械器具に対する支持方向に延びる軸心回りに回転可能に支持されて、機械器具の底面にねじ構造により締結される高さ調整シャフトとを備え、食品機械を含む各種の機械器具の底面と機械器具の設置面との間に介設されて、前記高さ調整シャフトの回転操作により、機械器具の設置面上で機械器具の高さを調節するアジャスターにおいて、
前記高さ調整シャフトは、
前記ベースに前記軸心回りに回転可能に支持され、外周面上部側に雄ねじ部を有するねじシャフトと、
前記機械器具の底面に取り付けられ、前記ねじシャフトの雄ねじ部を包囲可能に筒状に形成され、内周面に前記雄ねじ部が前記内周面内で進退可能に螺合される雌ねじ部を有するスリーブと、
を備え、
前記ねじシャフトの前記雄ねじ部は前記スリーブにより被覆保持される、
ことを要旨とする。
【0010】
また、このアジャスターは各部が次のように構成されることが好ましい。
(1)ベースは、中央にボルトを遊挿可能な開口を有し、機械器具の底面に向けて凸状の球形の座部を有するベース本体と、前記球形の座部の内面に面接触可能に球形面を有し、前記座部の内部に装填可能なブロックで、前記球形面の中央にボルト挿通孔を有してなるベースブロックと、前記ベース本体の開口及び前記ベースブロックのボルト挿通孔に挿通可能なボルトとを備え、ねじシャフトは、外周面の上部側に雄ねじ部を有し、前記ベース側の端面に前記球形の座部の外面に面接触可能に凹状の球形の座面、当該座面の中央に前記ボルトを締結可能にねじ孔をそれぞれ有し、前記ねじシャフトは前記球形の座面が前記ベースの球形の座部の外面に面接触され、前記ベースの球形の座部の内部に前記ベースブロックが前記球形面を面接触して装填され、前記ボルトが前記ベースブロックの前記ボルト挿通孔、前記ベースの開口を通し、前記ねじシャフトのねじ孔に締結されて、前記ねじシャフトが前記ベースの座部上に回転可能にかつ前記座部の全周方向に傾動可能に支持される。
(2)ベース本体は、全体がプレート状に形成されて、中央部にねじシャフトを支持するための座部を有し、外周部に機械器具の設置面に面接触可能に拡張部を有する。
この場合、ベース本体の拡張部の外周面と上面との交差部は全周に亘って断面円弧状に形成され、前記拡張部の外周面と下面との交差部に全周に亘って取付溝を形成されて、前記取付溝にシールドパッキンが嵌着され、前記シールドパッキンはリング状でかつその外周面を前記拡張部の外周面に連続して漸次拡径されるテーパ状をなす。
この場合、ベース本体の拡張部に複数のボルト挿通孔を有し、前記ベースは複数の取付ボルトにより、機械器具の設置面に固定される。
この場合、取付ボルトは頭部とねじ部とからなり、前記頭部は頂面がドーム状に、外周面が10角形に、それぞれ、形成される。
この場合、取付ボルトの頭部の直下にシールドパッキンを一体的に装着され、前記シールドパッキンの外周面が前記頭部の外周面に連続して漸次拡径されるテーパ状をなす。
(3)スリーブは、少なくとも内周面が円筒状のスリーブ本体と、前記スリーブ本体の機械器具に取り付ける側の端部に外周方向に延び、複数のボルト挿通孔を有するスリーブ取付部とを有する。
この場合、スリーブ本体はねじシャフトの雄ねじ部よりも長く、前記スリーブ本体の内周面は、下端側で前記ねじシャフトの雄ねじ部の長さと略同じ長さの範囲に雌ねじ部がなく、当該範囲上部の上端側に雌ねじ部が形成される。
この場合、スリーブ本体の下端開口の周縁部は外周から内周に向けて漸次縮径されるテーパ状に形成され、前記スリーブ本体の下端開口の内周に全周に亘って取付溝を形成されて、当該取付溝にシールドパッキンが嵌着され、前記シールドパッキンは、リング状でかつその下端面が前記スリーブ本体の下端開口の周縁部に連続して漸次縮径されるテーパ状をなす。
この場合、スリーブ取付部はスリーブ本体の端部全周に外周方向に拡張されるプレート状に形成され、その周方向に複数のボルト挿通孔を有し、前記スリーブ取付部は複数の取付ボルトにより、機械器具の底面に固定される。
この場合、取付ボルトは頭部とねじ部とからなり、前記頭部は頂面がドーム状に、外周面が10角形に、それぞれ、形成される。
この場合、取付ボルトの頭部の直下にシールドパッキンを一体的に装着され、前記シールドパッキンの外周面が前記頭部の外周面に連続して漸次拡径されるテーパ状をなす。
この場合、スリーブ取付部の外周面と下面との交差部は全周に亘って断面円弧状に形成され、前記スリーブ取付部の外周面と上面との交差部に全周に亘って取付溝を有し、当該取付溝にシールドパッキンが嵌着され、前記シールドパッキンはリング状でかつその外周面が前記スリーブ取付部の外周面に連続して漸次拡径されるテーパ状をなす。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアジャスターによれば、上記の各構成により、高さ調整シャフトその他に汚物や汚水などが残留しにくく、残留物が付着しても水洗洗浄や布、ブラシなどで簡単に除去することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1-1】本発明の一実施の形態に係るアジャスターの全体構成を示す図((a)は正面図(b)は背面図(c)は平面図)
図1-2】本発明の一実施の形態に係るアジャスターの全体構成を示す図((d)は右側面図(e)は左側面図(f)は底面図)
図2】同アジャスターの全体構成を示す図(正面断面図)
図3】同アジャスターの特にベースのベース本体の構成を示す図((a)は平面図(b)は正面図(c)は正面断面図(d)は底面図)
図4】同アジャスターの特にベース本体に装着されるシールドパッキンの構成を示す図((a)は平面図(b)は正面断面図)
図5】同アジャスターの特に取付ボルトの構成を示す図((a1)はベース用の取付ボルトの平面図(a2)は同取付ボルトの正面図(b1)はスリーブ取付部用の取付ボルトの平面図(b2)は同取付ボルトの正面図)
図6】同アジャスターの特にベースのベースブロックの構成を示す図((a)は平面図(b)は正面図(c)は正面断面図)
図7】同アジャスターの特にベースの抑え板の構成を示す図((a)は平面図(b)は正面断面図)
図8】同アジャスターの特に高さ調整シャフトのねじシャフトの構成を示す図((a)は正面図(b)は正面断面図)
図9】同アジャスターの特にねじシャフトに装着されるシールドパッキンの構成を示す図((a)は平面図(b)は正面断面図)
図10】同アジャスターの特に高さ調整シャフトのスリーブの構成を示す図((a)は正面断面図(b)は底面図)
図11】同アジャスターの特にスリーブのスリーブ本体に装着されるシールドパッキンの構成を示す図((a)は平面図(b)は正面断面図)
図12】同アジャスターの特にスリーブのスリーブ取付部に装着されるシールドパッキンの構成を示す図((a)は平面図(b)は正面断面図)
図13】同アジャスターの使用例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1図2に本発明の一実施の形態に係るアジャスターの全体構成を示し、図3乃至図12に同アジャスターの各部の構成を示している。
【0014】
図1に示すように、アジャスターAは、機械器具の設置面に設置されるベースA1と、ベースA1において機械器具に対する支持方向に延びる軸心回りに回転可能に支持されて、機械器具の底面にねじ構造により締結される高さ調整シャフトA2とを備え、食品機械を含む各種の機械器具の底面と機械器具の設置面との間に介設されて、高さ調整シャフトA2の回転操作により、機械器具の設置面上で機械器具の高さを調節するようになっている。
【0015】
このアジャスターAでは、高さ調整シャフトA2は、ベースA1において軸心回りに回転可能に支持され、外周面上部側に雄ねじ部51(図2参照)を有するねじシャフト5と、機械器具の底面に取り付けられ、ねじシャフト5の雄ねじ部51を包囲可能に筒状に形成され、内周面に雄ねじ部51が内周面内で進退可能に螺合される雌ねじ部62(図2参照)を有するスリーブ6とを備えて構成される。
このようにしてねじシャフト5の雄ねじ部51はスリーブ6により被覆保持されるようになっている。
【0016】
図2に示すように、ベースA1は、中央にボルトを遊挿可能な開口10を有し、機械器具の底面に向けて凸状の球形(球形面)の座部11を有するベース本体1と、球形の座部11の内面に面接触可能に球形面21を有し、座部11の内部に装填可能なブロックで、球形面21の中央にボルト挿通孔20を有してなるベースブロック2と、ベース本体1の開口10及びベースブロック2のボルト挿通孔20に挿通可能なボルト3とを備えて構成される。
【0017】
図3に示すように、ベース本体1は、全体がプレート状に形成されて、中央部にねじシャフト4を支持するための座部11を有し、外周部に機械器具の設置面に面接触可能に拡張部12を有する。この場合、ベース本体1は、座部11が平面視円形で、拡張部12が座部11の外周部に平面視円形に張り出されて、全体として円盤形のプレートになっている。
【0018】
座部11は外面111、内面112が共に上方に向けて凸の球形面(ここで球形面は、球状になった球形全体の面ではなく、球形の部分的な面をいう。)で、全体が所謂ドーム形に形成され、その中央に開口10が後述するボルト3の止めねじ31の外径よりも大きく後述するねじシャフト4のベースA1側の端面(座面540)の外径よりも小さい径の円形に形成される。
【0019】
拡張部12は座部11の外周に連続して座部11の厚さよりも厚く形成され、上面121、下面122が共に平面状に形成される。
【0020】
拡張部12の外周面123と上面121との交差部、つまり上部コーナー部124は全周に亘って断面円弧状に形成されて角丸になっている。拡張部12の外周面123と下面122との交差部、つまり下部コーナー部125は全周に亘って取付溝126が形成される。この取付溝126は上部半部が少し深い溝126a、下部半部が少し浅い溝126bで段差形状になっている。この取付溝126にシールドパッキン13(図2参照)が取り付けられる。シールドパッキン13は、図4に示すように、リング状で、内周面131全周が軸方向に凹凸状に形成されて、内周面131上部に取付溝126の上部半部の溝126aに圧入可能な凸状部131a、内周面131下部に取付溝126の下部半部の溝126bに圧接可能な凹状部131bをそれぞれ有し、外周面132全体は拡張部12の外周面123に連続して下方に向けて漸次拡径されるテーパ状をなす。しかしてシールドパッキン13は内周面131の凸状部131a、凹状部131bが拡張部12の外周面123の取付溝126の各溝126a、126bに嵌着されて、拡張部12の外周面123の下部に取り付けられ、拡張部12の下部コーナー部125をなす。
【0021】
図2図3に示すように、拡張部12には複数のボルト挿通孔127が穿設され、ベースA1が複数の取付ボルト4(図5(a1)、(a2)参照)により、機械器具の設置面に固定可能になっている。ここでは、拡張部12の内周と外周との中間に、周方向に180度の間隔で2箇所にボルト挿通孔127が上面121、下面122を貫通して設けられる。取付ボルト4は頭部41とねじ部42とからなる。頭部41は頂面がドーム状に、外周面が10角形に、それぞれ、形成される。ねじ部42には頭部41側の端部全周が軸方向に段差状に形成されて、頭部41直下の上部にねじ部42の径よりも少し大きい小径段部421、その下部に小段段部421に連続して小径段部421の径よりも少し大きく頭部41の径よりも小さい中径段部422が設けられる。この取付ボルト4の頭部41の直下にシールドパッキン43を一体的に装着される。シールドパッキン43は、取付ボルト4のねじ部42を挿通可能にリング状で、内周面431全周が軸方向に凹凸状に形成されて、内周面431上部が取付ボルト4のねじ部42の小径段部421に圧接可能な小径部431aで、内周面431下部が取付ボルト4のねじ部42の中径段部422に圧接可能な中径部431bになっていて、外周面432全体が頭部41の外周面に連続して下方(ねじ部42方向)に向けて漸次拡径されるテーパ状をなす。しかしてシールドパッキン43は取付ボルト4のねじ部42の周囲で頭部41の直下に配置され、シールドパッキン43の内周面431の小径部431a、中径部431bがそれぞれ、取付ボルト4のねじ部42の小径段部421、中径段部422に嵌合圧接されて、頭部41の直下に一体的に取り付けられる。
【0022】
図6に示すように、ベースブロック2は、ベース本体1の内面に当接可能な球形面21を有し、この球形面21の反対側は平面22になっている。この平面22には、図7に示すように、合成樹脂からなる円盤形の抑え板23が配置される。この場合、球形面21はベース本体1の座部11の内面112において中央の開口10の周辺で開口10から拡張部12の上面121と略同じ高さの範囲まで当接可能で、平面22はベース本体1の座部11の内面112において拡張部12の上面121と略同じ高さになっている。ボルト挿通孔20は球形面21の中心と平面22の中心との間に貫通形成される。抑え板23の中心にも同様にボルト挿通孔230が形成され、ベースブロック2のボルト挿通孔20に連通される。
【0023】
図2に示すように、ボルト3は、六角孔付きの止めねじ31と、ナット30からなる。止めねじ31は、ベースブロック2のボルト挿通孔20と略同径で、止めねじ31の基端がベース本体1の座部11の内面112内に配置されて、ベースブロック2のボルト挿通孔20、ベース本体1の開口10を通してねじシャフト5のねじ孔50に締結可能な長さを有する。ナット30はベース本体1の座部11の内面112内でベースブロック2の下部空間に配置可能な大きさで、座部11の内面112内で止めねじ31に螺合されるようになっている。
【0024】
図8に示すように、ねじシャフト5は、外周面の上部側に雄ねじ部51を有し、ベースA1側の端面にベース本体1の球形の座部11の外面111に面接触可能に凹状の球形(球形面)の座面540、当該座面540の中央にボルト3を締結可能にねじ孔50をそれぞれ有する。この場合、ねじシャフト5は、充実軸からなり、上部側の半部近くの部分が雄ねじ部51で、外周面にねじが切られている。ねじシャフト5のスリーブ6の下端から現われる後部側の半部を超える部分が上部側から順に上部側と略同径の円筒部52、円筒部52の径よりも少し大きい工具が係合可能な工具係合部(この場合、ナット部)53、工具係合部53の径よりも少し大きい円筒形の座部54からなり、円筒部52、工具係合部53間、工具係合部53、座部54間に、それぞれ、凹状に断面円弧状の曲面(アール)521、531が付けられる。ねじシャフト5の座部54の外周面に全周に亘って取付溝541が形成されて、この取付溝541にシールドパッキン55(図2参照)が取り付けられる。図9に示すように、シールドパッキン55は、取付溝541に嵌着可能にリング状で、かつ内周面551下部が下方に向けて漸次拡径されるテーパ状に形成されて、外周面552が下方に向けて漸次拡径されるテーパ状に変形可能になっている。この座部54の端面は既述の座面540で、座面540はベース本体1の座部11の外面111で開口10周囲の球形面に面接触可能に凹状の球形面になっていて、ねじ孔50は座面540中央に座面540から工具係合部53の略中心まで延びている。
【0025】
しかしてねじシャフト5は、図2に示すように、球形の座面540がベース本体1の球形の座部11の外面111に面接触され、ベース本体1の球形の座部11の内部にベースブロック2が球形面21を面接触して装填され、併せてベースブロック2の平面22に抑え板23が配置されて、ボルト3が抑え板23、ベースブロック2の各ボルト挿通孔230、20、ベース本体1の開口10を通して、ねじシャフト5のねじ孔50に締結される。この場合、ねじシャフト5は、座部54端面の球形面の座面540がベース本体1の球形面の座部11の外面111に面接触されて、ねじシャフト5の軸方向(上下方向)を上下方向に向けて、ベース本体1の座部11上に配置される。ベースブロック2はベース本体1の座部11の内部にベースブロック2の球形面21が座部11の球形面の内面112に面接触されて装填される。ボルト3をなす止めねじ31がベース本体1の座部11の内部から抑え板23、ベースブロック2の各ボルト挿通孔230、20、ベース本体1の開口10を通して、ねじシャフト5のねじ孔50に締め付けられる。ボルト3をなすナット30はベース本体1の座部11の内部で止めねじ31に締め込まれる。これにより、ベースブロック2の球形面21がベース本体1の座部11の球形面の内面112に圧接されるとともに、ねじシャフト5の球形面の座面540がベース本体1の座部11の球形面の外面111に引き寄せられて圧接され、ねじシャフト5とベース本体1が結合される。かくして、ねじシャフト5がベース本体1の座部11上に取り付けられ、座部11上でねじシャフト5の軸心を回転中心として回転可能にかつ座部11の全周方向に傾動可能に支持される。
【0026】
図2に示すように、スリーブ6は、少なくとも内周面が円筒状のスリーブ本体61と、スリーブ本体61の機械器具に取り付ける側の端部に外周方向に延び、複数のボルト挿通孔67を有するスリーブ取付部65とを有する。
【0027】
図10に示すように、スリーブ本体61は全体が略円筒形をなし、外周面、内周面共に円筒状になっている。なお、スリーブ本体61の外周面は角筒形でもよく、この場合は、角丸の角筒形が好ましい。
【0028】
スリーブ本体61はねじシャフト5の雄ねじ部51よりも長く、スリーブ本体61の内周面は、下端側のねじシャフト5の雄ねじ部51の長さと略同じ長さの範囲に雌ねじ部のない平滑面63で、当該範囲(平滑面63)上部の上端側に雌ねじ部62が形成される。
【0029】
スリーブ本体61は下端開口60の周縁部が外周から内周に向けて漸次縮径されるテーパ状に形成される。この場合、下端開口60の周縁部にリング状に平面部601が形成され、この平面部601の周囲がテーパ面602になっている。
【0030】
スリーブ本体61は下端開口60の内周に全周に亘って取付溝603が形成される。この場合、取付溝603は下端開口60の内周面が軸方向に凹凸状に形成されて、この内周面上部の大径の溝603aとこの内周面下部の小径の溝603bとからなる。この取付溝603にシールドパッキン64(図2参照)が嵌着される。図11に示すように、シールドパッキン64は、リング状でかつその下端面がスリーブ本体64の下端開口60の周縁部に連続して漸次縮径されるテーパ状をなす。この場合、シールドパッキン64は、リング状で、内周面641がねじシャフト5の円筒部52に圧接可能に所定の径を有し、外周面642は全周が軸方向に凹凸状に形成されて、外周面642上部に取付溝603の大径の溝603aに圧入可能な凸状部642a、外周面642上下方向中間部に取付溝603の小径の溝603bに圧接可能な凹状部642b、外周面642下部にスリーフ本体61の下端開口60周縁部のテープ面602に連続するテーパ部642cをそれぞれ有する。しかしてシールドパッキン64は外周面642の凸状部642a、凹状部642bがそれぞれ、スリーブ本体61の取付溝603の各溝603a、603bに嵌着されて、スリーブ本体61の下端開口60の内周に取り付けられ、外周面642のテーパ部642cがスリーブ本体61の下端開口60の内周から外部に突出されて、下端開口60の周縁部のテーパ面602に連続して、全体として下方に向けて漸次縮径されるテーパ状をなす。
【0031】
図10に示すように、スリーブ取付部65はスリーブ本体61の端部全周に外周方向に拡張されるプレート状に形成され、その周方向に複数のボルト挿通孔67を有し、スリーブ取付部65は複数の取付ボルト7(図5(b1)、(b2)参照)により、機械器具の底面に固定される。
【0032】
スリーブ取付部65はスリーブ本体61の上端部の端面から外周方向に平面視円形に張り出されて、円盤形のプレートになっている。スリーブ取付部65はスリーブ本体61の上端部の端面に連続してスリーブ本体61の厚さよりも厚く形成され、上面651、下面652が共に平面状に形成される。スリーブ取付部65の下面652とスリーブ本体61の外周面上端との間は断面円弧状の曲面(アール)68が付けられる。
【0033】
スリーブ取付部65の外周面653と下面652との交差部、つまり下部コーナー部は全周に亘って断面円弧状に形成されて所謂角丸になっている。
【0034】
スリーブ取付部65の外周面653と上面651との交差部、つまり上部コーナー部に全周に亘って取付溝654が形成される。この取付溝654は上部半部が少し浅い溝654a、下部半部が少し深い溝654bで段差形状になっている。この取付溝654にシールドパッキン66(図2参照)が取り付けられる。図12に示すように、シールドパッキン66は、リング状で、内周面661全周が軸方向に凹凸状に形成されて、内周面661上部に取付溝654の上部半部の溝654aに圧入可能な凸状部661a、内周面661下部に取付溝654の下部半部の溝654bに圧接可能な凹状部661bをそれぞれ有し、外周面662全体はスリーブ取付部65の外周面653に連続して上方に向けて漸次拡径されるテーパ状をなす。しかしてシールドパッキン66は内周面661の凸状部661a、凹状部661bがスリーブ取付部65の外周面653の取付溝654の各溝654a、654bに嵌着されて、スリーブ取付部65の外周面653の上部に取り付けられ、スリーブ取付部65の上部コーナー部をなす。
【0035】
図10に示すように、スリーブ取付部65には複数のボルト挿通孔67が穿設され、スリーブ6が複数の取付ボルト7(図5(b1)、(b2)参照)により、機械器具の底面に固定可能になっている。ここでは、スリーブ取付部65の内周と外周との中間に、周方向に90度の間隔で4箇所にボルト挿通孔67が上面651、下面652を貫通して設けられる。図5(b1)、(b2)に示すように、取付ボルト7は頭部71とねじ部72とからなる。頭部71は頂面がドーム状に、外周面が10角形に、それぞれ、形成される。ねじ部72には頭部71側の端部全周が軸方向に段差状に形成されて、頭部71直下の上部にねじ部72の径よりも少し大きい小径段部721、その下部に小径段部721に連続して小径段部721の径よりも少し大きく頭部71の径よりも小さい中径段部722が設けられる。この取付ボルト7の頭部71の下部にシールドパッキン73が一体的に装着される。シールドパッキン73は、取付ボルト7のねじ部72を挿通可能にリング状で、内周面731全周が軸方向に凹凸状に形成されて、内周面731上部が取付ボルト7のねじ部72の小径段部721に圧接可能な小径部731aで、内周面731下部が取付ボルト7のねじ部72の中径段部722に圧接可能な中径部731bになっていて、外周面732全体は頭部71の外周面に連続して下方(取付ボルト7のねじ部72方向)に向けて漸次拡径されるテーパ状をなす。しかしてシールドパッキン73は取付ボルト7のねじ部72の周囲で頭部71の直下に配置され、シールドパッキン73の内周面731の小径部731a、中径部731bがそれぞれ、取付ボルト7のねじ部72の小径段部721、中径段部722に嵌合圧接されて、頭部71の直下に一体的に取り付けられる。
【0036】
このようにしてアジャスターAの各部が汚物や汚水が残留しないように流れ落ちる構造になっている。
【0037】
図13にこのアジャスターAを食品機械に使用した場合を例示している。図13において、Mは食品機械である。M1は食品機械の底面、M10は底面M1の隅近傍に設けられたねじ孔である。このねじ孔M10は底面M1の隅近傍ごとにアジャスターAのスリーブ取付部65の4個所のボルト挿通孔67に対応して4個所設けられている。P1は食品機械の設置面であり、食品工場などの床である。P10は食品機械の設置面P1に設けられ、アジャスターAを固定するためのねじ孔である。このねじ孔P10はアジャスターAのベースA1の2箇所のボルト挿通孔127に対応して2箇所設けられている。Aはアジャスターである。食品機械Mは底面M1の四隅近傍に4本のアジャスターAが取り付けられて、これら4本のアジャスターAを介して食品機械の設置面P1に設置固定される。
【0038】
図13に示すように、アジャスターAはベースA1と高さ調整シャフトA2が組み立てられて使用状態になる。すなわち、ねじシャフト5がベース本体1にベースブロック2、ボルト3を介して取り付けられてベース本体1に支持される。これにより、ベースA1の組み立てとともにねじシャフト5がベースA1上に支持される。そして、ねじシャフト5がスリーブ本体61内に挿入され、ねじシャフト5外周面の雄ねじ部51とスリーブ6内周面の雌ねじ部62が螺接されて、ねじシャフト5とスリーブ6が結合される。これにより、高さ調整シャフトA2が組み立てられる。
【0039】
このアジャスターAは食品機械Mの底面M1に取り付けられる。この場合、アジャスターAのスリーブ取付部65が食品機械Mの底面M1に相互の各ボルト挿通孔67と各ねじ孔M10とを合わせて当接され、スリーブ取付部65の各ボルト挿通孔67から取付ボルト7が挿通され、食品機械底面M1の各ねじ孔M10に締結されて取り付けられる。
【0040】
このアジャスターAは食品機械の設置面P1に設置固定される。この場合、アジャスターAのベース本体1が食品機械の設置面P1に相互の各ボルト挿通孔127と各ねじ孔P10とを合わせて当接され、ベース本体1の各ボルト挿通孔127から取付ボルト4が挿通され、食品機械の設置面P1の各ねじ孔P10に締結されて設置面P1に設置固定される。
【0041】
このようにして食品機械Mの底面M1の四隅近傍に4本のアジャスターAが取り付けられて、食品機械Mはこれら4本のアジャスターAを介して食品機械の設置面P1に設置固定される。各アジャスターAは基本的にスリーブ6が食品機械Mの底面M1に対して直角に取り付けられ、ベース本体1が食品機械の設置面P1に水平に設置され、このベース本体1上でねじシャフト5が直角に支持されて、食品機械Mの底面M1と食品機械の設置面Pとの間に鉛直に向けて介装される。
【0042】
そして、これら4本のアジャスターAの調整により、食品機械の設置面P1上での食品機械Mの高さ、平行度が調節される。この場合、食品機械の設置面P1に凹凸や傾斜など不均衡があって、ベース本体1が水平方向に設置されていないために、アジャスターAが鉛直方向に対して斜めに傾く場合は、ベースA1と高さ調整シャフトA2との球面形状の接合により、ベースA1上で高さ調整シャフトA2が360度方向に傾動可能なので、ベース本体1上でねじシャフト5をその傾いた方向から鉛直方向に傾動させて(戻して)、高さ調整シャフトA2を鉛直方向に向ける。このようにした後、高さ調整シャフトA2の高さを調節する。すなわち、ねじシャフト5の工具係合部53に工具を係合固定させてねじシャフト5をベース本体1上で回転させる。この場合、ねじシャフト5を平面視右方向に回転させると、図13(b)に示すように、ねじシャフト5上部の雄ねじ部51はスリーブ6内でスリーブ6内周面の雌ねじ部62上を上方向に向けて進み、この雄ねじ部51が進んだ分だけ高さ調整シャフトA2の全長が短くなって、食品機械Mの高さが低くなる。この状態から、反対に、ねじシャフト5を平面視左方向に回転させると、図13(a)に示すように、ねじシャフト5上部の雄ねじ部51がスリーブ6内でスリーブ6内周面の雌ねじ部62上を下方向に向けて退き、この雄ねじ部51が退いた分だけ高さ調整シャフトA2の全長が長くなって、食品機械Mの高さが高くなる。このようにして食品機械Mが適宜の高さに調節される。また、同様のアジャスターAの調整操作により、食品機械Mの平行度も調整される。なお、食品機械Mの設置完了後、高さ調整シャフトA2を伸長方向に回転させることで、ダブルナット的な緩み防止作用がある。
【0043】
このアジャスターAは、ベースA1、高さ調整シャフトA2が溝や隙間に汚物や汚水などが浸入しにくい残留しにくい構造、汚物や汚水が水洗浄などで流れ落ちやすい構造になっている。
【0044】
高さ調整シャフトA2は、常態としてねじシャフト5の雄ねじ部51がスリーブ6により被覆保持されるので、雄ねじ部51の溝が外部に露出することがなく、雄ねじ部51の溝に汚物の付着が防止される。
【0045】
ベース本体1の座部11は上方に向けて凸の球形面で、全体が所謂ドーム形になっているので、汚物や汚水などが残留しにくく、水洗浄などで流れ落ちやすい。
【0046】
ベース本体1の拡張部12の上部コーナー部は角丸で、下部コーナー部はシールドパッキン13が取り付けられ、その外周面132全体がベース本体1の外周面123に連続して下方に向けて漸次拡径されるテーパ状になっているので、汚物や汚水などが残留しにくく、水洗浄などで流れ落ちやすい。
【0047】
ベース本体1の拡張部12が2本の取付ボルト4により機械器具の設置面P1に固定されるが、各取付ボルト4の頭部41の下部にはシールドパッキン43が一体的に装着されており、各取付ボルト4がベース本体1の各ボルト挿通孔127に通されて食品機械の設置面P1の各ねじ孔P10に締結され、各取付ボルト4の締め込みにより、各シールドパッキン43が各取付ボルト4の頭部41とベース本体1の拡張部12との間に圧縮されて、頭部41と拡張部12との間の隙間が密閉されるので、頭部41と拡張部12との間から汚物の浸入が防止される。そして、各取付ボルト4は頭部41頂面がドーム状に、外周面が10角形で円形に近く、各シールドパッキン43の外周面432全体が取付ボルト4の頭部41の外周面に連続して下方に向けて漸次拡径されるテーパ状になっていることにより、汚物や汚水などが残留しにくく、水洗浄などで流れ落ちやすい。
【0048】
ねじシャフト5は、スリーブ本体61の下端から現われる下部側が上部側から順に上部側と略同径の円筒部52、円筒部52の径よりも少し大きい工具係合部53、工具係合部53の径よりも少し大きい円筒形の座部54からなり、円筒部52、工具係合部53間、工具係合部53、座部54間に、それぞれ、凹状に断面円弧状の曲面(アール)521、531が付けられることで、汚物や汚水などが残留しにくく、水洗浄などで流れ落ちやすい。ねじシャフト5の座部54の外周面にシールドパッキン55が取り付けられて、ねじシャフト5は球形の座面540がベース本体1の球形の座部11の外面111に面接触され、ベース本体1にベースブロック2、ボルト3を介して締め付けて取り付けられるので、シールドパッキン55がねじシャフト5とベース本体1との間に圧縮されて、ねじシャフト5とベース本体1との間の隙間が密閉されるので、ねじシャフト5とベース本体1との間から汚物の浸入が防止される。そして、このシールドパッキン55の外周面552が下方に向けて漸次拡径されるテーパ状に変形されるので、ねじシャフト5の外周面552に付着した汚物や汚水などが残留しにくく、水洗浄などで流れ落ちやすく、ベース本体1の球形面の座部11、拡張部12の上面121を通って外部へ流れ出やすい。
【0049】
スリーブ本体61は全体が略円筒形をなし、下端開口60の周縁部が外周から内周に向けて漸次縮径されるテーパ状になっている。スリーブ本体61の下端開口60の内周にシールドパッキン64が嵌着され、シールドパッキン64の外周面642下部のテーパ部642cがスリーブ本体61の下端開口60の内周から外部に突出されて、下端開口60の周縁部のテーパ面602に連続して、全体として下方に向けて漸次縮径されるテーパ状になっている。これにより、スリーブ本体61の外周面に付着した汚物や汚水などが残留しにくく、水洗浄などで流れ落ちやすく、既述のとおり、ねじシャフト5の円筒部52、工具係合部53、座部54、ベース本体1の球形面の座部11、拡張部12の上面121を通って外部へ流れ出やすい。
【0050】
スリーブ取付部65の外周面653の上部コーナー部にシールドパッキン66が嵌着され、シールドパッキン66の外周面662が下方に向けて漸次縮径するテーパ状で、スリーブ取付部65の外周面653に連続し、スリーブ取付部65の外周面653の下部コーナー部が角丸になっているので、スリーブ取付部65の外周面653に付着した汚物や汚水などが残留しにくく、水洗浄などで流れ落ちやすい。
【0051】
スリーブ取付部65は4本の取付ボルト7により、機械器具Mの底面M1に固定される。各取付ボルト7の頭部71の下部(取付状態では上部)にはシールドパッキン73が一体的に装着されており、各取付ボルト7がスリーブ取付部65の各ボルト挿通孔67に通されて食品機械Mの底面M1の各ねじ孔M10に締結され、各取付ボルト7の締め込みにより、各シールドパッキン73が各取付ボルト7の頭部71とスリーブ取付部65との間に圧縮されて、頭部71とスリーブ取付部65との間の隙間が密閉されるので、頭部71とスリーブ取付部65との間から汚物の浸入が防止される。そして、各取付ボルト7は頭部71頂面がドーム状に、外周面が10角形で円形に近く、各シールドパッキン73の外周面732全体が下方に向けて漸次拡径されるテーパ状で各取付ボルト7の頭部71の外周面に連続していることにより、汚物や汚水などが残留しにくく、水洗浄などで流れ落ちやすい。そして、スリーブ取付部65の上面651とスリーブ本体61の外周面上端との間が断面円弧状の曲面(アール)68が付けられるので、スリーブ取付部65に付着された汚物や汚水などが残留しにくく、水洗浄などで流れ落ちやすく、既述のとおり、スリーブ本体61の円筒形の外周面、下端のテーパ形状、ねじシャフト5の円筒部52、工具係合部53、座部54、ベース本体1の球形面の座部11、拡張部12の上面121を通って外部へ流れ出やすい。
【0052】
以上説明したように、このアジャスターAでは、高さ調整シャフトA2は、ベースA1に軸心回りに回転可能に支持され、外周面上部側に雄ねじ部51を有するねじシャフト5と、機械器具の底面に取り付けられ、ねじシャフト5の雄ねじ部51を包囲可能に筒状に形成され、内周面に雄ねじ部51が内周面内で進退可能に螺合される雌ねじ部62を有するスリーブ6とを備え、ねじシャフト5の雄ねじ部51はスリーブ6により被覆保持されるので、高さ調整シャフトA2に汚物や汚水などが残留しにくくなり、残留物が付着しても水洗洗浄や布、ブラシなどで簡単に除去することができる。
【0053】
この場合、ベースA1は、中央にボルトを遊挿可能な開口10を有し、機械器具の底面に向けて凸状の球形の座部11を有するベース本体1と、球形の座部11の内面112に面接触可能に球形面21を有し、座部11の内部に装填可能なブロックで、球形面21の中央にボルト挿通孔20を有してなるベースブロック2と、ベース本体1の開口10及びベースブロック2のボルト挿通孔20に挿通可能なボルト3とを備えてなる。ねじシャフト5は、外周面の上部側に雄ねじ部51を有し、ベースA1側の端面に球形の座部11の外面111に面接触可能に凹状の球形の座面540、当該座面540の中央にボルト3を締結可能にねじ孔50をそれぞれ有する。かくして、ねじシャフト5は球形の座面540がベース本体1の球形の座部11の外面111に面接触され、ベース本体1の球形の座部11の内部にベースブロック2が球形面21を面接触して装填され、ボルト3がベースブロック2のボルト挿通孔20、ベース本体1の開口10を通し、ねじシャフト5のねじ孔50に締結されて、ねじシャフト5がベース本体1の座部11上に回転可能にかつ座部11の全周方向に傾動可能に支持されるようになっている。このようにすることで、食品機械その他の各種の機械器具の高さ、平行度を調節するベースA1、高さ調整シャフトA2からなるアジャスターAを簡単な装置構成で実現することができる。
【0054】
また、このアジャスターAはさらに次のような構成を有している。
(1)ベース本体1は、全体がプレート状に形成されて、中央部にねじシャフト5を支持するための座部11を有し、その外周部に機械器具の設置面に面接触可能に拡張部12を有する。そして、ベース本体1の拡張部12の外周面123と上面121との交差部は全周に亘って断面円弧状に形成され、拡張部12の外周面123と下面122との交差部に全周に亘って取付溝126を形成されて、取付溝126にシールドパッキン13が嵌着され、シールドパッキン13はリング状でかつその外周面132を拡張部12の外周面123に連続して漸次拡径されるテーパ状をなす。
(2)ベース本体1の拡張部12に2つのボルト挿通孔127を有し、ベースA1は2本の取付ボルト4により、機械器具の設置面に固定される。そして、各取付ボルト4は頭部41とねじ部42とからなり、頭部41は頂面がドーム状に、外周面が10角形に、それぞれ、形成される。さらに、各取付ボルト4の頭部41の直下にシールドパッキン43を一体的に装着され、シールドパッキン43の外周面432が頭部41の外周面に連続して漸次拡径されるテーパ状をなす。
(3)スリーブ6は、少なくとも内周面が円筒状のスリーブ本体61と、スリーブ本体61の機械器具に取り付ける側の端部に外周方向に延び、4つのボルト挿通孔67を有するスリーブ取付部65とを有する。この場合、スリーブ本体61はねじシャフト5の雄ねじ部51よりも長く、スリーブ本体61の内周面は、下端側のねじシャフト5の雄ねじ部51の長さと略同じ長さの範囲に雌ねじ部がなく、当該範囲上部の上端側に雌ねじ部62が形成される。そして、スリーブ本体61の下端開口60の周縁部は外周から内周に向けて漸次縮径されるテーパ状に形成され、スリーブ本体61の下端開口60の内周に全周に亘って取付溝603を形成されて、当該取付溝603にシールドパッキン64が嵌着され、シールドパッキン64は、リング状でかつその下端面がスリーブ本体61の下端開口60の周縁部に連続して漸次縮径されるテーパ状をなす。
(4)スリーブ取付部65はスリーブ本体61の端部全周に外周方向に拡張されるプレート状に形成され、その周方向に4つのボルト挿通孔67を有し、スリーブ取付部65は4本の取付ボルト7により、機械器具の底面に固定される。そして、各取付ボルト7は頭部71とねじ部72とからなり、頭部71は頂面がドーム状に、外周面が10角形に、それぞれ、形成される。さらに、各取付ボルト7の頭部71の直下にシールドパッキン73を一体的に装着され、シールドパッキン73の外周面732が下方に向けて漸次縮径されるテーパ状をなし、頭部71の外周面に連続される。
(5)スリーブ取付部65の外周面653と下面652との交差部は全周に亘って断面円弧状に形成され、スリーブ取付部65の外周面653と上面651との交差部に全周に亘って取付溝654を有し、当該取付溝654にシールドパッキン66が嵌着され、シールドパッキン66はリング状でかつ外周面662が下方に向けて漸次縮径されるテーパ状をなし、スリーブ取付部65の外周面653に連続される。
以上(1)-(5)により、アジャスターAのベースA1及び高さ調整シャフトA2の外部構造上、外部から汚水や粉塵などが浸入しやすい部分にテーパ状のシールドパッキンを配置したことで、ベースA1及び高さ調整シャフトA2の当該部分において汚水や粉塵などの浸入を確実に防止することができ、全体として直角に交わる部分を徹底的に排除したことで、汚物や汚水などを残留しにくくし、残留物が付着しても水洗洗浄や布、ブラシなどで簡単に除去することができる。
【符号の説明】
【0055】
A アジャスター
A1 ベース
A2 高さ調整シャフト
1 ベース本体
10 開口
11 座部
111 外面
112 内面
12 拡張部
121 上面
122 下面
123 外周面
124 上部コーナー部
125 下部コーナー部
126 取付溝
126a 溝
126b 溝
127 ボルト挿通孔
13 シールドパッキン
131 内周面
131a 凸状部
131b 凹状部
132 外周面
2 ベースブロック
20 ボルト挿通孔
21 球形面
22 平面
23 抑え板
230 ボルト挿通孔
3 ボルト
30 ナット
31 止めねじ
4 取付ボルト
41 頭部
42 ねじ部
421 小径段部
422 中径段部
43 シールドパッキン
431 内周面
431a 小径部
431b 中径部
432 外周面
5 ねじシャフト
50 ねじ孔
51 雄ねじ部
52 円筒部
521 曲面(アール)
53 工具係合部
531 曲面(アール)
54 座部
540 座面
541 取付溝
55 シールドパッキン
551 内周面
552 外周面
6 スリーブ
60 開口
601 平面部
602 テーパ面
603 取付溝
603a 溝
603b 溝
61 スリーブ本体
62 雌ねじ部
63 平滑面
64 シールドパッキン
641 内周面
642 外周面
642a 凸状部
642b 凹状部
642c テーパ部
65 スリーブ取付部
651 上面
652 下面
653 外周面
654 取付溝
654a 溝
654b 溝
66 シールドパッキン
661 内周面
661a 凸状部
661b 凹状部
662 外周面
67 ボルト挿通孔
68 曲面(アール)
7 取付ボルト
71 頭部
72 ねじ部
721 小径段部
722 中径段部
73 シールドパッキン
731 内周面
731a 小径部
731b 中径部
732 外周面
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13