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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038556
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/64 20060101AFI20220303BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20220303BHJP
   F04D 29/52 20060101ALI20220303BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
F04D29/64 E
F04D25/08 301Z
F04D29/52 C
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143129
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
【テーマコード(参考)】
3B011
3H130
【Fターム(参考)】
3B011AC02
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC01
3H130AC08
3H130AC09
3H130AC27
3H130BA76A
3H130BA76Z
3H130BA87A
3H130BA87Z
3H130BA95A
3H130BA95Z
3H130CA24
3H130DA02Z
3H130DD05Z
3H130DJ06X
3H130EA03A
3H130EA03Z
3H130EA07A
3H130EA07Z
3H130EC08A
3H130EC08Z
3H130ED03A
3H130ED03Z
(57)【要約】
【課題】送風機と、その送風機が取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を容易に調整することができる送風機を実現する。
【解決手段】筒状部11の一端に前方ガード12が設けられており、プロペラ2を内蔵しているケース体10と、ケース体10における筒状部11の他端に配設されている後方ガード20とを備え、後方ガード20側から取り込んだ空気を前方ガード12側から送出するファン1であって、そのファン1には、ファン1とファン1が取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整する間隔調整手段が設けられているようにした。その間隔調整手段は、間隔保持部材30と、間隔保持部材30をファン1に連結している連結手段とを備えており、その連結手段としては、リンク構造を有している折り曲げ可能なアーム部材40や、テレスコピック構造を有する伸縮部材50を適用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部の一端に前方ガードが設けられており、プロペラを内蔵しているケース体と、前記ケース体における前記筒状部の他端に配設されている後方ガードとを備え、前記後方ガード側から取り込んだ空気を前記前方ガード側から送出する送風機であって、
当該送風機には、当該送風機とその送風機が取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整する間隔調整手段が設けられていることを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記間隔調整手段は、リンク構造を有している折り曲げ可能なアーム部材を具備する連結手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記間隔調整手段は、テレスコピック構造を有する伸縮部材を具備する連結手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の送風機。
【請求項4】
前記送風機は、前記連結手段に連結されて前記着用者の体表面側に配される間隔保持部材を備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の送風機。
【請求項5】
前記間隔調整手段は、前記プロペラの回転に応じて、当該送風機と前記着用者の体表面との間隔を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項6】
筒状部の一端に前方ガードが設けられており、プロペラを内蔵しているケース体と、前記ケース体における前記筒状部の他端に配設されている後方ガードとを備え、前記後方ガード側から取り込んだ空気を前記前方ガード側から送出する送風機であって、
当該送風機には、当該送風機とその送風機が取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整する間隔調整手段が設けられており、
前記間隔調整手段は、間隔保持部材と、前記間隔保持部材を当該送風機に連結している連結手段とを備えており、
前記連結手段は、
前記間隔保持部材と前記ケース体との間の距離を切り替えて、前記間隔保持部材を前記ケース体に係着させる係着部と、
前記ケース体と前記間隔保持部材との間に配設され、前記ケース体と前記間隔保持部材を離間させる方向に付勢するバネ部材と、
を有していることを特徴とする送風機。
【請求項7】
前記連結手段は、前記プロペラの回転に応じて、前記間隔保持部材と前記ケース体との間の距離を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調衣服に取り付けて衣服内に空気を流通させるために使用する送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身体又は下着の表面と略平行に大量の外気を流通させることにより身体から出た汗を蒸発させて、身体を冷却する空調衣服が実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。
この空調衣服では、空調衣服に設けられているファン取付孔にファン(送風機)が取り付けられる態様になっている。
空調衣服用のファンは、例えば、モーターと、モーターの回転軸と、モーターの回転軸によって回転されるプロペラ等を内蔵するケース体と、ケース体の開口を塞ぐように取り付けられているフィンガーガードを備えており、ケース体を衣服の内側に配し、フィンガーガードを衣服の外側に配するように取り付けて使用される。
そして、プロペラを回転させてフィンガーガード側から取り込んだ空気をケース体側に送り込み、空調衣服内に空気を流通させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-206764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空調衣服に取り付けられたファンのプロペラを回転させて空調衣服内に空気を取り込むのに、空調衣服の着用者の体表面とプロペラとの距離が近すぎると十分に空気を取り込めないことがある。つまり、空調衣服内に空気を取り込み易くするためには、空調衣服の着用者の体表面とプロペラとの距離をある程度取る必要がある。
一方、空調衣服の着用者の体表面とプロペラとの距離を取るようにファンを設計すると、ファンの厚みが増してフィンガーガードが空調衣服の着用者の体表面から離れるようになるので、その空調衣服を着用して狭隘な場所に立ち入り難くなることがある。
このようなことから、空調衣服内に空気を取り込み易くする場合でも、空調衣服の着用者が狭隘な場所に立ち入り易くする場合でも、好適に使用できるファンが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、送風機(ファン)と、その送風機が取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を容易に調整することができる送風機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
筒状部の一端に前方ガードが設けられており、プロペラを内蔵しているケース体と、前記ケース体における前記筒状部の他端に配設されている後方ガードとを備え、前記後方ガード側から取り込んだ空気を前記前方ガード側から送出する送風機であって、
当該送風機には、当該送風機とその送風機が取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整する間隔調整手段が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の送風機において、
前記間隔調整手段は、リンク構造を有している折り曲げ可能なアーム部材を具備する連結手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の送風機において、
前記間隔調整手段は、テレスコピック構造を有する伸縮部材を具備する連結手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の送風機において、
前記送風機は、前記連結手段に連結されて前記着用者の体表面側に配される間隔保持部材を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の送風機において、
前記間隔調整手段は、前記プロペラの回転に応じて、前記送風機と前記着用者の体表面との間隔を調整可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、
筒状部の一端に前方ガードが設けられており、プロペラを内蔵しているケース体と、前記ケース体における前記筒状部の他端に配設されている後方ガードとを備え、前記後方ガード側から取り込んだ空気を前記前方ガード側から送出する送風機であって、
当該送風機には、当該送風機とその送風機が取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整する間隔調整手段が設けられており、
前記間隔調整手段は、間隔保持部材と、前記間隔保持部材を当該送風機に連結している連結手段とを備えており、
前記連結手段は、
前記間隔保持部材と前記ケース体との間の距離を切り替えて、前記間隔保持部材を前記ケース体に係着させる係着部と、
前記ケース体と前記間隔保持部材との間に配設され、前記ケース体と前記間隔保持部材を離間させる方向に付勢するバネ部材と、
を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の送風機において、
前記連結手段は、前記プロペラの回転に応じて、前記間隔保持部材と前記ケース体との間の距離を調整可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、送風機と、その送風機が取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を容易に調整することができる送風機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態のファンを後方ガード側から見た上面図(a)と、そのファンの側面図(b)である。
図2】本実施形態のファンとそのファンが取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を小さくした態様(a)と、間隔を大きくした態様(b)を示す側面図である。
図3】ファンの変形例を示す側面図であり、ファンとそのファンが取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を小さくした態様(a)と、間隔を大きくした態様(b)である。
図4】ファンの変形例を示す側面図であり、ファンとそのファンが取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を大きくした態様(a)と、間隔を小さくした態様(b)である。
図5】ファンの変形例を示す側面図であり、ファンとそのファンが取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を大きくした態様(a)と、間隔を小さくした態様(b)である。
図6】ファンの変形例を示す側面図であり、ファンとそのファンが取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を小さくした態様(a)と、間隔を大きくした態様(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る送風機の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本実施形態では、空調衣服に取り付けて衣服内に空気を流通させるために使用する空調衣服用送風機を例に説明する。
【0016】
本実施形態の送風機であるファン1は、例えば、図1(a)(b)に示すように、筒状部11の一端に前方ガードの12が設けられているケース体10と、ケース体10における筒状部11の他端に配設されている後方ガード20とを備えており、さらに、このファン1には、ファン1とそのファン1が取り付けられている空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整する間隔調整手段が設けられている。
本実施形態の間隔調整手段は、間隔保持部材30と、間隔保持部材30をファン1に連結している連結手段とを備えており、連結手段によって間隔保持部材30の配置が切り替えられ、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔が調整される。
つまり、連結手段は、ファン1と着用者の体表面との間隔を調整する機能を有している。
間隔保持部材30は、空調衣服の着用者の体表面に直接、又は肌着等を介して体表面に間接的に接触する。
なお、本実施形態において、間隔保持部材30は、必ずしも必要ではなく、後述する連結手段(例えば、ヒンジ部41を有するアーム部材40や、伸縮部材50)のみでも、間隔調整することができる。
なお、ここでは、ケース体10の筒状部11と、後方ガード20のフランジ部22とで空調衣服の生地Cを挟むようにして、空調衣服のファン取付孔にファン1を装着しているが、所定の取付用部材を用いて空調衣服にファン1を装着するようにしてもよい。
【0017】
このファン1のケース体10にプロペラ2が内蔵されており、ファン1は、後方ガード20側から取り込んだ空気を前方ガード12側から送出し、空調衣服内に空気を流通させるようになっている。
具体的には、前方ガード12の内側に設けられているモーター固定部12aにモーター2aが固定されており、そのモーター2aによってプロペラ2が回転されて後方ガード20側から空気を取り込むようになっている。
このモーター2aにはブラシレスモーターを採用している。なお、モーター2aの電源(例えば充電池)の図示は省略している。なお、モーター2aは、ブラシ付きモーターであってもよく、モーターの種類は限定されるものではない。
【0018】
そして、このファン1の前方ガード12には、連結手段を介して間隔保持部材30が取り付けられている。
前述したように、連結手段によってファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔が調整される。つまり、連結手段のみでも、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整することができる。
ここでの間隔保持部材30は、例えば円盤状の板状部材であり、連結手段によってファン1における空気の送出方向(送風方向)に沿う配置が切り替え可能に配設されている。
【0019】
また、ここでの連結手段は、リンク構造を有している折り曲げ可能なアーム部材40であり、3つのアーム部材40によって前方ガード12に間隔保持部材30が連結されている。
このアーム部材40は、中央側のヒンジ部41によって2枚の板部が接続され、各板部の端部にもヒンジ部41が設けられた構造を有している。
そして、アーム部材40の一端がヒンジ部41を介して前方ガード12に接続され、アーム部材40の他端がヒンジ部41を介して間隔保持部材30に接続されている。
【0020】
このファン1のアーム部材40を折り畳むように曲げると、図2(a)に示すように、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を小さくするように容易に調整することができる。換言すれば、ファン1のアーム部材40を折り畳むように曲げると、図2(a)に示すように、間隔保持部材30を前方ガード12に近付けるように、間隔保持部材30の配置を切り替えることができ、間隔保持部材30やアーム部材40を含んだ構成のファン1の厚みを薄くすることができる。
また、このファン1のアーム部材40を伸ばすように広げると、図2(b)に示すように、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を大きくするように容易に調整することができる。換言すれば、ファン1のアーム部材40を伸ばすように広げると、図2(b)に示すように、間隔保持部材30を前方ガード12から離すように、間隔保持部材30の配置を切り替えることができ、間隔保持部材30やアーム部材40を含んだ構成のファン1の厚みを厚くすることができる。
特に、このアーム部材40のヒンジ部41には摩擦ヒンジ(フリーストップヒンジ)を用いているので、アーム部材40を任意の角度で折り曲げた状態で維持することができ、間隔保持部材30を任意の配置に位置決めすることができる。
【0021】
このように、本実施形態のファン1は、間隔保持部材30の配置を調整するようにしてファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を容易に調整することができる。
換言すれば、このファン1は、間隔保持部材30の配置を切り替えるようにしてファン1の厚みを切り替えることができ、ファン1における送風方向の厚みを容易に切り替えることができる。
そして、空調衣服内に空気を取り込み易くする場合には、ファン1のアーム部材40を伸ばすように広げて、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を大きくするようにすればよい。
一方、空調衣服の着用者が狭隘な場所に立ち入るような場合には、ファン1のアーム部材40を折り畳むように曲げて、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を小さくするようにすればよい。
このようなファン1であれば、様々な使用状況に対応させてファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整するようにして、空調衣服における空気の流通量を調整したり、空調衣服の着心地を調整したりすることができる。
なお、アーム部材40のヒンジ部41に、自由に回動する蝶番を用いるようにすれば、ファン1の風量や風力に応じてアーム部材40の角度を切り替えて、間隔調整する動作を連動させることが可能になる。
【0022】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図3(a)(b)に示すように、連結手段はテレスコピック構造を有する伸縮部材50であり、その伸縮部材50によって前方ガード12に間隔保持部材30が連結されていてもよい。
ここでの伸縮部材50は、大きさの違う筒が4つ組み付けられてなり、小さな筒側が前方ガード12に固定され、大きな筒側が間隔保持部材30に固定されている。
特に、この伸縮部材50は、互いのスライド移動を拘束する4つの筒が組み付けられおり、アンテナポールのように任意の長さに伸縮した状態で維持することができ、間隔保持部材30を任意の配置に位置決めすることができる。
【0023】
このファン1の伸縮部材50を縮めると、図3(a)に示すように、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を小さくすることができる。換言すれば、ファン1の伸縮部材50を縮めると、図3(a)に示すように、間隔保持部材30を前方ガード12に近付けるように、間隔保持部材30の配置を切り替えることができ、間隔保持部材30や伸縮部材50を含んだ構成のファン1の厚みを薄くすることができる。
また、このファン1の伸縮部材50を伸ばすと、図3(b)に示すように、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を大きくすることができる。換言すれば、ファン1の伸縮部材50を伸ばすと、図3(b)に示すように、間隔保持部材30を前方ガード12から離すように、間隔保持部材30の配置を切り替えることができ、間隔保持部材30や伸縮部材50を含んだ構成のファン1の厚みを厚くすることができる。
なお、間隔保持部材30は必ずしも必要ではなく、伸縮部材50のみでもファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整することができる。
【0024】
このように、本実施形態のファン1は、伸縮部材50の伸縮動作によって、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整することができる。
そして、空調衣服内に空気を取り込み易くする場合には、ファン1の伸縮部材50を伸ばして、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を大きくするようにすればよい。
一方、空調衣服の着用者が狭隘な場所に立ち入るような場合には、ファン1の伸縮部材50を縮めて、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を小さくするようにすればよい。
このようなファン1であれば、様々な使用状況に対応させてファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整するようにして、空調衣服における空気の流通量を調整したり、空調衣服の着心地を調整したりすることができる。
なお、伸縮部材50の各筒が、互いのスライド移動を拘束しないものであれば、ファン1の風量や風力に応じて伸縮部材50の長さを切り替えて、間隔調整する動作を連動させることが可能になる。
【0025】
また、例えば、図4(a)(b)に示すように、連結手段は、間隔保持部材30とケース体10との間の距離を切り替えて、間隔保持部材30をケース体10に係着させる係着部60と、ケース体10と間隔保持部材30との間に配設され、ケース体10と間隔保持部材30を離間させる方向に付勢するバネ部材70と、を有しているものであってもよい。
ここでのバネ部材70はコイルバネであり、前方ガード12と間隔保持部材30の間に配設されている。
【0026】
係着部60は、間隔保持部材30の外縁部分に略垂直に立設されており、その先端側の内側面には複数の爪61が設けられている。
本実施形態の間隔保持部材30には、円周方向等間隔に4本の係着部60が設けられており、各係着部60にはその長手方向に沿って爪61が5段に設けられている。
また、ケース体10の外側面には、係着部60の爪61が掛けられる被係着部62が設けられている。
【0027】
このファン1の係着部60の上段側の爪61を被係着部62に係止させると、図4(a)に示すように、間隔保持部材30を前方ガード12から離すように、間隔保持部材30の配置を調整することができ、ファン1と空調衣服の着用者の体表面と間隔を大きくことができる。換言すれば、ファン1の係着部60の上段側の爪61を被係着部62に係止させると、図4(a)に示すように、間隔保持部材30を前方ガード12から離すように、間隔保持部材30の配置を切り替えることができ、間隔保持部材30や係着部60を含んだ構成のファン1の厚みを厚くすることができる。
また、このファン1の係着部60の下段側の爪61を被係着部62に係止させると、図4(b)に示すように、間隔保持部材30を前方ガード12に近付けるように、間隔保持部材30の配置を調整することができ、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を小さくすることができる。換言すれば、ファン1の係着部60の下段側の爪61を被係着部62に係止させると、図4(b)に示すように、間隔保持部材30を前方ガード12に近付けるように、間隔保持部材30の配置を切り替えることができ、間隔保持部材30や係着部60を含んだ構成のファン1の厚みを薄くすることができる。
特に、バネ部材70がケース体10と間隔保持部材30を離間させる方向に付勢させていることで、係着部60の爪61と被係着部62とが密接するようになって、間隔保持部材30がガタつかないようになっている。
【0028】
このように、本実施形態のファン1は、間隔保持部材30の配置に応じてファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整することができる。
そして、空調衣服内に空気を取り込み易くする場合には、ファン1の係着部60の上段側の爪61を被係着部62に係止させて、間隔保持部材30を前方ガード12から離す配置に調整し、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を大きくするようにすればよい。
一方、空調衣服の着用者が狭隘な場所に立ち入るような場合には、ファン1の係着部60の下段側の爪61を被係着部62に係止させて、間隔保持部材30を前方ガード12に近付ける配置に調整し、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を小さくするようにすればよい。
このようなファン1であれば、様々な使用状況に対応させてファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整するようにして、空調衣服における空気の流通量を調整したり、空調衣服の着心地を調整したりすることができる。
【0029】
なお、ケース体10と間隔保持部材30との間に配設されて、ケース体10と間隔保持部材30を離間させる方向に付勢するバネ部材70はコイルバネに限られず、例えば、図5(a)(b)に示すように、板バネであってもよい。
本実施形態では、バネ部材70として3つの板バネを用いている。3つの板バネは円周方向等間隔に配設されており、各板バネの一端が前方ガード12に繋がれ、他端が間隔保持部材30に繋がれている。
このようなファン1であっても、様々な使用状況に対応させてファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整するようにして、空調衣服における空気の流通量を調整したり、空調衣服の着心地を調整したりすることができる。
【0030】
また、例えば、図6(a)(b)に示すように、連結手段は、プロペラ2の回転によって発生する風力に応じて、間隔保持部材30とケース体10(前方ガード12)との間の距離を調整可能に構成されているものであってもよい。
例えば、このような連結手段としては、間隔保持部材30とケース体10(前方ガード12)とを連結しているテレスコピック部材80と、間隔保持部材30とケース体10(前方ガード12)とを引き寄せ合うように連結しているスプリング部材90と、で構成することができる。
なお、ここでのテレスコピック部材80は、大きさの違う筒であって互いのスライド移動を拘束しない4つの筒が組み付けられてなり、小さな筒側が前方ガード12に固定され、大きな筒側が間隔保持部材30に固定されている。
また、ここでのスプリング部材90は、間隔保持部材30をケース体10(前方ガード12)側に引き寄せることができる程度の弱いバネ(ばね定数が小さなバネ)であり、後述するように、ファン1の送風が間隔保持部材30に当たると、その間隔保持部材30に引かれて伸びるようになっている。
【0031】
このファン1のプロペラ2を停止した状態では、図6(a)に示すように、スプリング部材90が間隔保持部材30を前方ガード12側に引き寄せるようにして、間隔保持部材30の配置を調整することができ、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を小さくすることができる。
一方、このファン1のプロペラ2を回転させて送風を行うようにすると、図6(b)に示すように、送風によって押された間隔保持部材30を前方ガード12から離すように、間隔保持部材30の配置を調整することができ、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を大きくすることができる。特に、ファン1における風量が多いほど(風力が大きいほど)、間隔保持部材30を前方ガード12から離すことができる。
【0032】
このように、ファン1を作動させてプロペラ2を回転させることで、間隔保持部材30の配置を切り替えるようにして、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を容易に調整することができる。
つまり、プロペラ2を回転させてファン1を作動させた状態で、間隔保持部材30を前方ガード12から離す配置に切り替えて、空調衣服内に空気を取り込み易くすることができる。
そして、プロペラ2の回転を停止してファン1を止めた状態では、間隔保持部材30が前方ガード12に近付く配置に切り替わり、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔が小さくなるので、空調衣服の着用者が狭隘な場所に立ち入り易くなる。
このようなファン1であれば、様々な使用状況に対応させてファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整するようにして、空調衣服における空気の流通量を調整したり、空調衣服の着心地を調整したりすることができる。
【0033】
なお、プロペラ2の回転によって発生する風力に応じて、間隔保持部材30とケース体10(前方ガード12)との間の距離を調整可能に構成されている連結手段としては、間隔保持部材30とケース体10(前方ガード12)とを連結しているアーム部材と、間隔保持部材30とケース体10(前方ガード12)とを引き寄せ合うように連結しているスプリング部材90と、で構成することもできる。
ここでのアーム部材は、前述した折り曲げ可能なアーム部材40と同様の形態のものであるが、そのヒンジ部は摩擦ヒンジではなく、自由に揺動可能なヒンジ部を用いるようにする。
【0034】
また、本実施形態では、ファン1の風量、風力に応じてスプリング部材90を伸ばすようにして、間隔保持部材30を前方ガード12から離すようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ファン1のオン/オフスイッチや風量切替スイッチの操作に連動して間隔保持部材30を所定の位置に移動させる移動機構や、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整するためのスイッチの操作に応じて間隔保持部材30を所定の位置に移動させる移動機構などを備えて、間隔保持部材30を前方ガード12に対して進退させるようにしてもよい。
【0035】
なお、本発明は、ファン1と空調衣服の着用者の体表面との間隔を調整するための間隔調整手段を設けた構成に特徴を有するものであり、その間隔を調整する間隔調整手段の切り替えは手動で行っても良いし、モーターの回転数やファン1の風量等に応じて自動的に行うようにしても良い。
【0036】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ファン(送風機)
2 プロペラ
2a モーター
10 ケース体
11 筒状部
12 前方ガード
12a モーター固定部
20 後方ガード
22 フランジ部
30 間隔保持部材(間隔調整手段)
40 アーム部材 (連結手段、間隔調整手段)
41 ヒンジ部
50 伸縮部材(連結手段、間隔調整手段)
60 係着部(連結手段、間隔調整手段)
61 爪
62 被係着部
70 バネ部材(連結手段、間隔調整手段)
80 テレスコピック部材(連結手段、間隔調整手段)
90 スプリング部材(連結手段、間隔調整手段)
C 生地(空調衣服)
図1
図2
図3
図4
図5
図6