(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038597
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】マーケティングシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/798 20140101AFI20220303BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20220303BHJP
A63F 13/335 20140101ALI20220303BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20220303BHJP
【FI】
A63F13/798
G06Q30/02 324
A63F13/335
A63F13/69 510
A63F13/69
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143185
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】515141687
【氏名又は名称】グランドデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】小川 和也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】特定の商品や店舗とユーザとの接点を作り、両者の距離感を埋めながら当該距離感を計測して可視化することが可能なマーケティングシステムを提供する。
【解決手段】マーケティングシステム1は、インターネットを通じてゲームを提供するサーバ装置2と、サーバ装置2からゲームの提供を受けるユーザ端末3とを備える。サーバ装置2は、ユーザ端末3を使用してゲームをプレイするユーザのゲーム内での行動ログデータを管理するユーザデータ管理部11と、ゲーム内で行われるマーケティング又は販売促進のターゲットを管理するターゲット管理部13と、行動ログデータからターゲットとユーザとの距離感をスコアリングするスコアリング部14とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットを通じてゲームを提供するサーバ装置と、
前記サーバ装置から前記ゲームの提供を受けるユーザ端末とを備え、
前記サーバ装置は、
前記ユーザ端末を使用して前記ゲームをプレイするユーザの前記ゲーム内での行動ログデータを管理するユーザデータ管理部と、
前記ゲーム内で行われるマーケティング又は販売促進のターゲットを管理するターゲット管理部と、
前記行動ログデータから前記ターゲットと前記ユーザとの距離感をスコアリングするスコアリング部とを備えることを特徴とするマーケティングシステム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、各ユーザのターゲットごとのスコア値と商品購買実績との相関を分析し、前記ターゲットの購買実績が高いユーザほど当該ターゲットのスコア値が高くなるように、当該ターゲットのスコアリングルールをチューニングするチューニング部をさらに備える、請求項1に記載のマーケティングシステム。
【請求項3】
前記チューニング部は、AIによる強化学習を行う強化学習部を有し、
前記強化学習部は、各ユーザのターゲットごとのスコア値と商品購買実績との相関を強化学習する、請求項2に記載のマーケティングシステム。
【請求項4】
前記強化学習部は、前記行動ログデータからより重み付けが大きく有効な特徴量を判別し、前記特徴量の重み付けの大きさに応じて前記スコアリングルールを最適化する、請求項3に記載のマーケティングシステム。
【請求項5】
前記行動ログデータ内の特徴量は、アンケートへの回答要求に対するリアクションデータを含む、請求項4に記載のマーケティングシステム。
【請求項6】
前記行動ログデータ内の特徴量は、クイズへの回答要求に対するリアクションデータを含む、請求項4又は5に記載のマーケティングシステム。
【請求項7】
前記行動ログデータ内の特徴量は、動画の視聴要求に対するリアクションデータを含む、請求項4乃至6のいずれか一項に記載のマーケティングシステム。
【請求項8】
前記行動ログデータ内の特徴量は、位置条件達成要求に対するリアクションデータを含む、請求項4乃至7のいずれか一項に記載のマーケティングシステム。
【請求項9】
前記チューニング部は、特定の商品の購買の有無、前記特定の商品の購買単価、及び前記特定の商品の購買頻度の少なくとも一つに基づいて、各ユーザのターゲットごとのスコア値と商品購買実績との相関を分析する、請求項2乃至8のいずれか一項に記載のマーケティングシステム。
【請求項10】
前記ゲームは、カプセルトイゲームのプレイを通じて複数種類のフィギュアの中から少なくとも一つのフィギュアを選択して提供し、前記フィギュアのコレクションが目標レベルに到達したときにリワードを付与するフィギュアコレクションゲームである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のマーケティングシステム。
【請求項11】
前記フィギュアは、前記ターゲットに関連する特定の商品又は商品ブランドの外観又は特定の企業ブランドのロゴを含む、請求項10に記載のマーケティングシステム。
【請求項12】
前記行動ログデータは、前記カプセルトイゲームの連続プレイ日数のデータを含む、請求項10又は11に記載のマーケティングシステム。
【請求項13】
前記サーバ装置は、前記行動ログデータ内の各特徴量の重み付けに応じて前記フィギュアの割り当て数を最適化する、請求項10乃至12のいずれか一項に記載のマーケティングシステム。
【請求項14】
前記ゲームは、カプセルトイゲームのプレイを通じて複数種類のフィギュアの中から少なくとも一つのフィギュアを選択して提供し、前記フィギュアのコレクションが目標レベルに到達したときにリワードを付与するフィギュアコレクションゲームであり、
前記行動ログデータ内の特徴量は、前記フィギュアのコレクションの達成度に関するデータを含む、請求項4乃至9のいずれか一項に記載のマーケティングシステム。
【請求項15】
前記サーバ装置は、商品の販売履歴データを管理するPOSシステムから各ユーザの商品購買実績データを取得する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のマーケティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザへのゲームの提供を通じてマーケティングを行うマーケティングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、商品やサービスの販売促進手段として、スマートフォン等のユーザ端末に電子クーポンを発行するクーポン発行システムが広く利用されている。例えば、特許文献1には、ユーザ端末の画面上でカプセルトイゲームの動作を演出し、カプセルトイゲームのプレイを通じてユーザに電子クーポンを提供するクーポン提供システムが記載されている。このクーポン提供システムは、ユーザのニーズにマッチしたクーポンを発行することでクーポン利用率を高め、これにより商品の販売促進を図ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カプセルトイゲームを通じてクーポンを発行する従来のクーポン提供システムにおいて、特定の商品を購入する意思決定までの距離感を数値により可視化することは困難であり、ましてや特定の商品・店舗との接点がないユーザや特定の商品・店舗に対する興味・関心が高くないユーザはその商品・店舗の販売促進キャンペーンにも参加しないことが多いため、二者間の接点を作り距離感を埋めながら計測する手段がない。
【0005】
したがって、本発明の目的は、特定の商品や店舗とユーザとの接点を作り、両者の距離感を埋めながら当該距離感を計測して可視化することが可能なマーケティングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明によるマーケティングシステムは、インターネットを通じてゲームを提供するサーバ装置と、前記サーバ装置から前記ゲームの提供を受けるユーザ端末とを備え、前記サーバ装置は、前記ユーザ端末を使用して前記ゲームをプレイするユーザの前記ゲーム内での行動ログデータを管理するユーザデータ管理部と、前記ゲーム内で行われるマーケティング又は販売促進のターゲットを管理するターゲット管理部と、前記行動ログデータから前記ターゲットと前記ユーザとの距離感をスコアリングするスコアリング部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、特定の商品や店舗との接点が少ないユーザやそれらに対する好感度が必ずしも高くないユーザに対して直接的な販売促進を行うことなく、ゲームのプロセスを通じて接点を作ることができ、両者の距離感を埋めながら当該距離感を計測することができ、販売戦略に必要な様々な情報を入手して販売促進を図ることができる。
【0008】
前記サーバ装置は、各ユーザのターゲットごとのスコア値と商品購買実績との相関を分析し、前記ターゲットの購買実績が高いユーザほど当該ターゲットのスコア値が高くなるように、前記ターゲットのスコアリングルールをチューニングするチューニング部をさらに備えることが好ましい。この場合において、前記チューニング部は、AIによる強化学習を行う強化学習部を有し、前記強化学習部は、各ユーザのターゲットごとのスコア値と商品購買実績との相関を強化学習することが好ましく、前記行動ログデータからより重み付けが大きく有効な特徴量を判別し、前記特徴量の重み付けの大きさに応じて前記スコアリングルールを最適化することが好ましい。これにより、より購買に帰結しやすいスコアに到達することを促進することができる。
【0009】
前記行動ログデータ内の特徴量は、アンケートへの回答要求、クイズへの回答要求、動画の視聴要求、又は位置条件達成要求に対するリアクションデータを含むことが好ましい。これにより、ユーザの興味又は嗜好に関するデータを取得することができる。
【0010】
前記チューニング部は、特定の商品の購買の有無、前記特定の商品の購買単価、及び前記特定の商品の購買頻度の少なくとも一つに基づいて、各ユーザのターゲットごとのスコア値と商品購買実績との相関を分析することが好ましい。これにより、ターゲットとユーザとの距離感をより細かく詳細に評価することができる。
【0011】
前記ゲームは、カプセルトイゲームのプレイを通じて複数種類のフィギュアの中から少なくとも一つのフィギュアを選択して提供し、前記フィギュアのコレクションが目標レベルに到達したときにリワードを付与するフィギュアコレクションゲームであることが好ましい。これにより、ユーザはフィギュアをコレクションするプロセスを楽しみながらリワードを獲得することができ、フィギュアコレクションゲーム内でのユーザと行動ログデータからユーザとターゲットとの距離感を計測することができる。
【0012】
前記フィギュアは、前記ターゲットに関連する特定の商品又は前記商品ブランドの外観又は前記の企業ブランドのロゴを含むことが好ましい。このように、クーポンなどによる直接的な販売促進ではなくフィギュアをコレクションするプロセスを通じて特定の商品又は特定の店舗とユーザとの接点を作ることができ、さらに両者の距離感を埋めながら販売促進を図ることができる。
【0013】
前記行動ログデータは、前記カプセルトイゲームの連続プレイ日数のデータを含むことが好ましい。このようなユーザの行動ログを特徴量とすることで距離感の計測精度を高めることができる。
【0014】
前記サーバ装置は、前記行動ログデータ内の各特徴量の重み付けに応じて前記フィギュアの割り当て数を最適化することが好ましい。これにより、商品等のターゲットの購買意欲が高いユーザほどゲームの進行を促進させてターゲットの販売促進効果を高めることができる。
【0015】
前記ゲームは、カプセルトイゲームのプレイを通じて複数種類のフィギュアの中から少なくとも一つのフィギュアを選択して提供し、前記フィギュアのコレクションが目標レベルに到達したときにリワードを付与するフィギュアコレクションゲームであり、前記行動ログデータ内の特徴量は、前記フィギュアのコレクションの達成度に関するデータを含むことが好ましい。これにより、ユーザはフィギュアをコレクションするプロセスを楽しみながらリワードを獲得することができ、フィギュアをコレクションするプロセスを解析及び評価することでユーザとターゲットとの距離感の計測精度を高めることができる。
【0016】
前記サーバ装置は、商品の販売履歴データを管理するPOSシステムから各ユーザの商品購買実績データを取得することが好ましい。これにより、ユーザの購買実績データを容易に取得することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、特定の商品や店舗とユーザとの接点を作り、両者の距離感を埋めながら当該距離感を計測して可視化することが可能なマーケティングシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態によるマーケティングシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、サーバ装置2及びユーザ端末3の機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、フィギュアコレクションゲームを説明するための模式図である。
【
図4】
図4は、ユーザがカプセルトイゲームを1回プレイしたときのフィギュアコレクションゲーム内の処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、フィギュアスコアリングゲームに紐づいたターゲットのスコアリング方法の説明図である。
【
図6】
図6は、スコアリングに連動したコレクションボード上のアイテムの配置を示す模式図である。
【
図7】
図7は、ターゲット商品Gに対するスコアリングの一例を示す表である。
【
図8】
図8は、
図7に示したターゲット商品Gに対するスコアリングの変化を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態によるマーケティングシステムの概略図である。
【0021】
図1に示すように、このマーケティングシステム1は、フィギュアコレクションゲームを提供するサーバ装置2と、インターネット4を介してサーバ装置2にアクセス可能なユーザ端末3とを備えている。ユーザ端末3は携帯電話回線網や公衆無線LAN等の無線ネットワークを通じてインターネット4に接続することができ、インターネット4を介してサーバ装置2と通信可能となっている。
【0022】
本発明において、「フィギュアコレクションゲーム」とは、カプセルトイゲームのプレイを通じて提供されるフィギュアをコレクションしていくゲームのことを言い、「カプセルトイゲーム」とは、「ガチャガチャ」や「ガチャポン」とも呼ばれる、コインを投入してレバーを回すことで玩具等のアイテムが入ったカプセルをランダムに払い出すカプセルトイマシン(カプセル自動販売機)の一連の動作を画面上で電子的に再現し、電子的なアイテムを提供するゲームのことを言う。「フィギュア」とは、カプセルトイマシンから払い出されたカプセルの中に入っている小さな玩具を画面上で電子的に表現したものを言う。フィギュアの種類は特に限定されないが、リワードをイメージさせるコインのフィギュア、動物などのキャラクターのフィギュア、さらに特定の商品や店舗のフィギュアなどを挙げることができる。
【0023】
本実施形態によるマーケティングシステム1は、商品等の販売促進を希望する企業側ユーザと一般ユーザ(消費者)との間に介在して商品等のマーケティング及び販売促進を実施するシステムである。そのため、マーケティングシステム1は一般ユーザ(以下、単に「ユーザ」という)に対してユーザ端末3上で遊べるフィギュアコレクションゲームを提供し、フィギュアコレクションゲームのプレイに対するインセンティブとして共通ポイント等のリワードを付与する。また、企業側ユーザ6に対しては、フィギュアコレクションゲームをプレイする過程で各ユーザから提供される様々な情報を分析・評価して提供する。
【0024】
サーバ装置2は、フィギュアコレクションゲームと共にマーケティング及び販売促進サービスを提供するシステム管理者が運営・管理する情報処理装置である。このサーバ装置2は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータであって、サーバとしての一般的なハードウェア構成を有している。すなわち、サーバ装置2は、CPU(Central Processing Unit)等の制御部、ハードディスク、メモリ等のデータ記憶部、キーボード、マウス等の入力部、ディスプレイ等の表示部、NIC(Network Interface Card)等の通信部を有している。サーバ装置2のハードウェア構成はその機能を実現できる限りにおいて特に限定されず、単一のマシンで構成されていてもよく、複数台のマシンを組み合わせて構成されたものであってもよい。
【0025】
本実施形態によるサーバ装置2は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)の機能を有することが好ましい。詳細は後述するが、AIによる強化学習により、フィギュアコレクションゲームを通じて得られるユーザのゲーム内での行動ログデータ及び商品等の購買実績データの効率的な解析及び評価が可能となる。
【0026】
ユーザ端末3は、フィギュアコレクションゲームをプレイするユーザ5が利用する情報処理装置である。このユーザ端末3は、スマートフォン、タブレット端末等の携帯無線端末であることが好ましく、CPU等の制御部、メモリ等のデータ記憶部、携帯電話回線網や公衆無線LANを介してデータ通信を行う無線通信部、カーソルキー等の入力部、タッチパネルディスプレイ等の入力部兼表示部、カメラ部、GPS受信部等を有している。ただし、ユーザ端末3は携帯無線端末に限定されず、デスクトップPC、ラップトップPC、ノートPC等のパーソナルコンピュータであってもよく、ゲーム専用端末であってもよい。
【0027】
本実施形態において、サーバ装置2はインターネット4を介して企業側ユーザ6のPOSシステム7にアクセス可能に構成されている。POSシステム7は、商品の販売履歴データを顧客データと紐づけて管理しており、サーバ装置2はフィギュアコレクションゲームのユーザの購買実績データをPOSシステム7から取得することができる。詳細は後述するが、各ユーザの購買実績データは、フィギュアコレクションゲームにおけるフィギュアの払い出し条件や後述する各ターゲットのスコアリングルールのチューニング等に用いられる。ユーザ5による商品の購買実績データの入手ルートは、POSシステム7経由に限定されず、ユーザ5から直接入手するなど、様々な入手ルートが考えられる。
【0028】
ユーザがフィギュアコレクションゲームをプレイする場所は特に限定されず、自宅や外出先でプレイ可能である。すなわち、ユーザ端末3は、インターネット4に接続可能であればどこからでもフィギュアコレクションゲームをプレイすることができる。またフィギュアコレクションゲームをプレイ可能なユーザ端末3は特定の1台に限定されず、複数の異なるユーザ端末3を使い分けることもできる。したがって、例えば、ユーザが所有するスマートフォンとタブレット端末の両方でカプセルトイをプレイすることが可能である。あるいは、自宅ではデスクトップPCを使用し、外出先ではスマートフォンを使用してもよい。
【0029】
サーバ装置2にはオペレーションシステム(OS)等の基本プログラムの他、フィギュアコレクションゲームサービスの提供に必要な各種ソフトウェアがインストールされている。サーバ装置2にインストールされるソフトウェアは、例えばデータベースサーバ、Webサーバ、FTPサーバ、AIプログラム等である。そしてサーバ装置2のデータ処理部10がプログラム又はデータを処理し、ハードウェア全体がプログラムに従って動作することにより、以下の機能ブロックが実現される。
【0030】
図2は、サーバ装置2及びユーザ端末3の機能ブロック図である。
【0031】
図2に示すように、サーバ装置2は、ユーザデータを管理するユーザデータ管理部11と、ゲームデータを処理するゲームデータ処理部12と、ゲーム内で行うマーケティング又は販売促進のターゲットとなる特定の商品、商品ブランド、企業ブランド(店舗)を管理するターゲット管理部13と、フィギュアコレクションゲームをプレイするユーザのゲーム内での行動ログデータ(プレイログデータ)に基づいて、ターゲットとユーザとの距離感をスコアリングするスコアリング部14と、全ユーザのフィギュアコレクションゲームのプレイログ及びの購買実績データを分析して各ターゲットのスコアリングルールをチューニングするチューニング部15と、各ユーザに付与するクーポンの発行及び使用状況を管理するクーポン管理部16とを備えている。チューニング部15はAIであることが好ましく、ユーザのプレイログと実際の商品購買実績との相関を強化学習する強化学習部15aを含む。
【0032】
サーバ装置2のデータベース20には各種データが記録されている。データとしては、ユーザの属性データやプレイログデータを含むユーザデータ21、ゲームデータ22、アイテムデータ23、ターゲットデータ24、スコアリングデータ25、購買実績データ26、クーポンデータ27等を挙げることができる。
【0033】
以上の構成を有するサーバ装置2は、ユーザデータやフィギュアコレクションゲームのプレイログデータを一元管理するDMP(Data Management Platform)であり、DMPを利用してフィギュアやリワードの払い出し条件及びターゲットのスコアリング条件の最適化を実現するデータマーケティングのプラットフォームである。
【0034】
一方、ユーザ端末3にはOS等の基本プログラムの他、フィギュアコレクションゲームサービスの提供を受けるために必要なクライアント側アプリケーションプログラム(フィギュアコレクションゲームプログラム3a)がインストールされている。フィギュアコレクションゲームプログラム3aは、カプセルトイゲームプログラム3bを含む。ユーザ端末3がパーソナルコンピュータである場合には、Webブラウザの組み込みプログラム又は追加プログラムを利用することができ、アプリケーションプログラムをインストールすることなくWebブラウザ上でサービスを利用することを可能である。
【0035】
図3は、フィギュアコレクションゲームを説明するための模式図である。
【0036】
図3に示すように、フィギュアコレクションゲームを利用するユーザは、ユーザ端末3の画面に表示されるカプセルトイマシン31のプレイを通じてフィギュア32を獲得し、フィギュア32のコレクションが目標レベルに達成したときにリワード33を獲得することができる。リワード33の種類は特に限定されないが、汎用性が高い共通ポイントであることが好ましい。具体的には、SNS(Social Networking Service)が発行する共通ポイント、携帯電話会社が発行する共通ポイント、コンビニエンスストアやスーパーマーケットが発行する共通ポイントなどである。これらは現金性の高いポイントであり、様々な商品の購入に利用することができる。したがって、フィギュアコレクションゲームのプレイに対するインセンティブを幅広いユーザに与えることができる。
【0037】
リワードは特定の商品又は特定の店舗で使用可能なクーポンであってもよい。「クーポン」とは、割引クーポン、サービスクーポン、引換クーポンなど、ユーザに何らかの特典を与える電子媒体であって、より広義には、ユーザの意思決定や行動を変化させる要因(インセンティブ)のことを言う。ターゲットのクーポンを提供することにより、ターゲットの販売促進を図ることができる。
【0038】
サーバ装置2は、ユーザの属性データやプレイログの解析結果に基づいて各ユーザのニーズにマッチしたクーポンを発行することが好ましい。例えば、クーポン管理部16は、クーポンの提供を受けるユーザによる利用率が相対的に高いクーポンの当選確率及び価値の少なくとも一方が高くなるように、クーポン発行条件を最適化する。これによれば、ユーザのニーズにマッチしたクーポンを高い確率で提供することができる。
【0039】
本実施形態において、フィギュアコレクションゲームは企業ブランドごとに用意されている。企業の業種は特に限定されないが、例えば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ファミリーレストラン、ファーストフード、ドラッグストア、飲料ブランド、製菓ブランド、食品ブランドなどである。これらの企業はフィギュアコレクションゲームサービスの利用を通じてより多くのユーザと接点を持つことができる。ユーザは、数ある企業ブランドの中から一つの企業ブランドのフィギュアコレクションゲームを選択してプレイする必要があるが、毎回同じ企業ブランドのフィギュアコレクションゲームをプレイする必要はなく、その時々で企業ブランドを自由に変えることができる。
【0040】
ユーザには1~数回/日のゲームプレイ権利が付与され、ユーザはカプセルトイゲーム31を通じてアイテムを入手することができる。カプセルトイゲーム31は、複数種類のフィギュアの中から一つ以上のフィギュアを選択して払い出す。上記のように、フィギュアの種類には、メダルのフィギュア、キャラクターのフィギュア、商品/ブランドのフィギュアなどであり、1プレイにつき1個又は2個以上のフィギュアが提供される。商品のフィギュアは例えば実際の商品のパッケージを模したフィギュアであり、またブランドのフィギュアはブランドロゴを表したフィギュアである。企業がマスコットキャラクターを持っている場合には、当該マスコットキャラクターをフィギュアにすることができる。このようなフィギュアをユーザにコレクションしてもらうことにより、ユーザが商品やブランドに親しむ機会を与えることができ、ユーザと商品等との距離感を埋めることができる。
【0041】
アイテムの選択は完全なランダムではなく、ユーザの属性データやプレイログデータを考慮しながら一定の払い出しルールに従ってアイテムを払い出す。このようにフィギュアの払い出しを制御することでユーザはゲームを継続して楽しむことができ、これにより商品等の販売促進効果を高めることができる。
【0042】
ユーザが獲得したフィギュア32はユーザのコレクションボード35上に登録される。したがって、ユーザはフィギュア32の獲得状況をコレクションボード35上で確認することができる。コレクションボード35は例えば5×5のマス目を有しており、獲得したフィギュア32はコレクションボード35の一マスを埋めるように登録される。コレクションボード35の一列には同種のフィギュアが配列され、コレクションボード35の一列が埋まると、同種のフィギュアに関して一列コンプリートが達成する。さらに、コレクションボード35の5列すべてが埋まると全列コンプリートとなり、所定のリワード33が付与される。
【0043】
リワード33は全列コンプリートを達成したときだけでなく、一列コンプリートを達成したときに付与されてもよい。この場合、全列コンプリートのときには一列コンプリートのときよりも価値の高いリワードが付与される。例えば、一列コンプリートを達成したときには少額の共通ポイント、全列コンプリートを達成したときには一列コンプリートのときよりも高額の共通ポイントが付与される。あるいは、一列コンプリートのときにはクーポンが付与され、全列コンプリートのときには共通ポイントが付与されてもよい。このように一列コンプリートのときにもリワードを付与することにより、フィギュアコレクションゲームのプレイに対するユーザのインセンティブをさらに高めることができる。
【0044】
現実世界でカプセルトイゲームを楽しんでいる人の多くは、カプセルトイマシン31からフィギュア32が払い出される瞬間だけでなく、払い出されたフィギュア32をコレクションするところまでを楽しんでおり、全種類のフィギュアをコレクションしたときの達成感も楽しみの一つである。本発明においては、カプセルトイマシンを単なるクーポン発行ツールとして使用するのではなく、より現実に即したカプセルトイゲームの楽しみ方を通じてリワードを与えることにより、ゲームを長く楽しんでもらうことができ、さらにフィギュアの提供を通じてユーザが特定の商品/ブランドと接する機会を増やすことができる。
【0045】
カプセルトイマシンからのアイテムの払い出し時には様々なアクションアイテム(タスク)が発生し、アクションアイテムの終了後にフィギュア32を獲得できる場合がある。アクションアイテムの種類は特に限定されないが、例えば、「アンケート」、「クイズ」、「動画視聴」、「圏内イン」(位置条件達成)などである。アクションアイテムが例えばアンケートである場合、カプセルトイマシンのプレイ動作の演出後にアンケート画面が表示され、アンケートに答えた後にフィギュアを獲得できる。なおアンケートに答えなかった場合にはフィギュアを付与しないようにしてもよく、あるいはアンケートへの回答の有無によらずフィギュアを付与してもよい。
【0046】
このようなアクションアイテムは関連商品/ブランドのマーケティング及び販売促進としての役割を果たし、アクションアイテムに対する応答(リアクションデータ)を含むユーザのゲーム内行動ログ(フィギュアコレクションプロセス)は、特定の商品又は店舗とユーザとの距離感を可視化するためのスコアリングの基礎となる。スコアリングの対象は、特定の商品、商品ブランド、又は企業ブランドであり、商品/ブランドごとに行われる。例えば、コンビニエンスストアの場合、当該コンビニエンスストア自身のブランドのほか、取り扱っている特定の食品や飲料などがスコアリングの対象(ターゲット)となる。
【0047】
サーバ装置2は、フィギュア32と共に、或いはフィギュア32に代えてクーポン等のリワードを付与してもよい。この場合において、例えば、アンケート等に正しく回答したユーザにクーポンが付与される確率を高くし、アンケート等への回答を拒否したユーザにクーポンが付与される確率を低くすることにより、ユーザがアンケート等に対して積極的に回答するインセンティブを高めることができる。
【0048】
図4は、ユーザがカプセルトイゲームを1回プレイしたときのフィギュアコレクションゲーム内の処理を示すフローチャートである。
【0049】
図4に示すように、ユーザがカプセルトイゲームのプレイを開始すると、アイテムの選択が行われ(S1)、アクションアイテムが選択された場合にはアクションアイテムが実行される(ステップS2Y,S3)。上記のように、ユーザには、「アンケート」、「クイズ」、「動画視聴」、「圏内イン」などのタスクが課され、タスク実行結果(リアクション)に応じたスコア値がターゲットごとに付与される(ステップS4)。その後、タスク実行結果に応じたフィギュアが付与される(ステップS5)。なおアイテム払い出し時にアクションアイテムが選択されなかった場合には、標準アイテムに対応するフィギュアが付与される(ステップS2N,S5)。
【0050】
上記のように、フィギュアコレクションゲームには、特定の商品、商品ブランド、企業ブランドなどがマーケティング及び販売促進のターゲットとして登録されており、これらのターゲットはフィギュアコレクションプロセスに基づいてターゲットごとにスコアリングされる。すなわち、ユーザのスコア値はターゲットごとに管理され、フィギュアをコレクションする一連の動作は、ユーザのスコアリングに必要なエピソードとなる。
【0051】
図5は、フィギュアスコアリングゲームに紐づいたターゲットのスコアリング方法の説明図である。
【0052】
図5に示すように、ターゲットのスコア値は、スコアボード51に示す0~100の値であり、スコア値は独自のアルゴリズムにより増減する。スコアの最低値は0であり、計算の結果、スコア値がマイナスになる場合でも下限値はゼロである。またスコアの最大値は100であり、計算の結果、スコア値が100を超える場合でも上限値は100である。スコアリングが継続される中でマイナスのスコアリングがなされた場合にはスコア値が減算される可能性があるため、スコアが上限値に到達したとしてもそれが永久に維持されることはない。
【0053】
ユーザのターゲットごとのスコア値は、ユーザがカプセルトイゲームをプレイしたときに加減算される。ユーザに付与されるポイントはアクションアイテムの種類やその後のユーザのリアクションによって異なる。例えば、「標準アイテム」を入手したときにはそれに対応するポイントが付与され、「アンケートサンクスアイテム」を入手したときには、標準アイテムを入手したときとは異なるポイントが付与される。
【0054】
「標準アイテム」は、アクションタスクを伴わないアイテムであり、ユーザには標準フィギュアが付与されるだけである。この場合、ユーザのすべてのターゲットに例えば初期設定値で「+1」ポイントが加算される。ここで、初期設定値としたのは、スコアリングの強化学習によって標準アイテムに対する重み付けが変化し、「+1」よりも小さい値又は大きい値になることもあるからである。
【0055】
「アンケートサンクスアイテム」は、アンケートへの回答要求を伴うアイテムであり、リアクションに応じたポイントが加算される。例えば、「ポジ回答」の場合には「+5」、「+10」、「+15」ポイントのいずれか、「ニュートラル回答」の場合には「±0」ポイント、「ネガ回答」の場合には「-15」、「-10」、「-5」ポイントのいずれか、「回答拒否」の場合には「-5」ポイントが加算される。これらの値も初期設定値であり、個々のアンケートサンクスアイテムに対する重み付けが変化することによって加算ポイントも変化する。アンケートタスク完了後には標準フィギュアとは異なるフィギュアが付与される。
【0056】
「クイズサンクスアイテム」は、クイズへの回答要求を伴うアイテムであり、リアクションに応じたポイントが加算される。例えば、クイズに「正解」の場合には「+3」ポイント、「不正解」の場合には「-3」ポイントが加算される。これらの値も初期設定値であり、個々のクイズサンクスアイテムに対する重み付けが変化するによって加算ポイントも変化する。クイズタスク完了後には標準フィギュアとは異なるフィギュアが付与される。
【0057】
「視聴サンクスアイテム」は、動画の視聴要求を伴うアイテムであり、リアクションに応じたポイントが加算される。例えば、動画を「視聴」した場合には「+10」ポイント、「視聴拒否」の場合には「-10」ポイントが加算される。これらの値も初期設定値であり、個々の視聴サンクスアイテムに対する重み付けが変化することによって加算ポイントも変化する。視聴タスク完了後には標準フィギュアとは異なるフィギュアが付与される。
【0058】
「圏内インサンクスアイテム」は、位置条件達成要求を伴うアイテムであり、リアクションに応じたポイントが加算される。例えば、GPS計測値が指定期間内に指定圏内に到達した場合には「+20」ポイントが加算される。これらの値も初期設定値であり、個々の圏内インサンクスアイテムに対する重み付けが変化することによって加算ポイントも変化する。圏内インタスク完了後には標準フィギュアとは異なるフィギュアが付与される。
【0059】
「3日間連続プレイアイテム」は、3日間連続でカプセルトイゲームをプレイした場合に付与されるアイテムであり、すべてのターゲットに例えば初期設定値で「+10」ポイントが加算される。なお連続プレイ日数は3日に限定されるものではなく、2日であってもよく、4日以上であってもよい。
【0060】
「一列コンプリートアイテム」は、列コンプリートした場合に付与されるアイテムであり、すべてのターゲットに例えば初期設定値で「+2」ポイントが加算される。「パーフェクトコンプリートアイテム」は、全列コンプリートした場合には付与されるアイテムであり、すべてのターゲットに例えば初期設定値で「+5」ポイントが加算される。
【0061】
アクションアイテム入手時に付与されるスコア値は、アクションアイテムの種類によって異なるだけでなく、ターゲットごとに異なる。例えば、「標準アイテム」を入手した場合、ターゲットである商品G1、商品G2、商品G3のいずれにも「+1」ポイントが加算されるが、商品G1に関連する「アンケートサンクスアイテム」の場合、商品G1には+5ポイント(ポジ回答)、0ポイント(ニュートラル回答)、-5ポイント(ネガ回答、回答拒否)が付与されるが、商品G2、商品G3には回答種別によらず常に0ポイントが加算される。また、企業ブランドに関するアンケートアイテムの場合、当該企業ブランドに属する商品G1、商品G2、商品G3はいずれも+5ポイント~-5ポイントが付与される。
【0062】
ターゲットごとに付与されるユーザのスコア値は、当該ターゲットとユーザとの距離感を示す指標であるため、例えばある商品に関してスコア値が高いということは、ユーザの商品の購入意欲が高く、実際に商品を購入する確率が高いことを意味する。そのため、スコア値が高いユーザほど購買に帰結するようにスコアリングアルゴリズムが適宜チューニングされる。
【0063】
ターゲットのスコアリングルールは、各ユーザの実際の商品購買実績データに基づいて自動的に分析評価され、特にスコアリングルールのチューニングはAIによる強化学習によって行われる。スコアリングアルゴリズムのチューニングによってアイテムに対する重み付けが変化した場合には、アイテムの加算ポイントが変化するので、最終的なスコア値も変化する。
図5には、スコアリングルールのチューニングが進んで重み付けが変化した状態が示されている。例えば初期設定時にはすべての特徴量の重み付けが中間値(5)に設定される。以下、スコアリングアルゴリズムのチューニング方法について説明する。
【0064】
例えば、ある商品G1と紐づいたターゲットのスコア値と全ユーザの商品G1の購買実績データとの相関関係を強化学習により分析した結果、商品G1に関するアンケートAで「ポジ回答」したユーザが商品G1を購入する割合が非常に高いことが分かった場合、アンケートAのサンクスアイテムの重み付けを大きくする。すなわち、ポジ回答したユーザにこれまで「+5」ポイントを加算していた場合に、当該スコア加算ポイントを「+5」→「+6」に変更する。逆に、アンケートAでポジ回答したユーザが商品G1を購入する割合が予想以上に低いことが分かった場合、アンケートAのサンクスアイテムの重み付けを小さくする。すなわち、ポジ回答したユーザにこれまで「+5」ポイントを加算していた場合、当該スコア加算ポイントを「+5」→「+4」に変更する。このような重み付けのチューニングを繰り返すことにより、スコア加算ポイントが「+5」→「+6」→「+7」・・・とさらに増加していくこともあれば、「+5」→「+4」→「+3」・・・とさらに減少していくこともある。
【0065】
一方、商品G1に関するアンケートAで「ネガ回答」したユーザが商品G1を購入する割合が予想以上に高いことが分かった場合、アンケートAのサンクスアイテムの重み付けを小さくする。すなわち、ネガ回答したユーザにこれまで「-5」ポイントを加算していた場合に、当該スコア加算ポイントを「-5」→「-4」に変更する。逆に、アンケートAでネガ回答したユーザが商品G1を購入する割合が極めて低いことが分かった場合、アンケートAのサンクスアイテムの重み付けを大きくする。すなわち、ネガ回答したユーザにこれまで「-5」のスコア加算ポイントを付与していた場合、当該スコア加算値を「-5」→「-6」に変更する。このような重み付けのチューニングを繰り返すことにより、スコア加算ポイントが「-5」→「-6」→「-7」・・・とさらに減少していくこともあれば、「-5」→「+4」→「+3」・・・とさらに増加していくこともある。
【0066】
このように、サーバ装置2は、スコアリングとユーザの商品購買実績との相関を分析し、各特徴量の重み付けに応じてスコアの加減算ルールとアイテムの割り当て数の最適化を行うため、より重み付けが大きい特徴量の傾向をAIにより分析し、効果的な特徴量を企画する(より有効な特徴量への入れ替えを行う)チューニング機能を有する。このチューニング機能は、より重み付けが大きく有効な特徴量を判別する機能、重み付けの大きい特徴量と小さい特徴量を分類する機能で構成され、特徴量の検出にはA/Bテストやバンディットアルゴリズムが用いられる。
【0067】
商品購買実績とスコアとの相関は、スコアとターゲットに紐づく商品の購買の有無、当該商品の購買単価、当該商品の購買頻度の3つの観点で示すことができる。具体的には、商品を購入したユーザの当該ターゲットのスコア値は、商品を購入していないユーザのスコア値よりも高くなる。また、同じ商品を購入しているユーザであっても、より高い購買単価で購入しているユーザのほうがスコア値のほうが高くなる。
【0068】
ユーザがターゲットに紐づいた商品を購入したかどうかは様々な方法で確認することができる。例えばフィギュアコレクションゲームのスポンサーがコンビニエンスストアの場合、コンビニエンスストアのPOSシステムの購買履歴データを利用して、ユーザが商品をいつどこの店舗で何個購入したかを確認することができる。また、ユーザが商品を購入したかどうかは、ユーザ自身の自己申告により確認してもよい。
【0069】
ターゲットに紐づいた商品をユーザが購入したかどうかはクーポンの使用実績から確認することもできる。サーバ装置2がユーザ端末3に提供する電子クーポン(クーポンコード)はユーザIDと紐づいており、店頭でバーコードリーダー等を用いてクーポンコードが読み取られると、POSシステム7からサーバ装置2にクーポン使用フラグが転送される。あるいは、クーポンが使用されたことをユーザ端末3上で判断し、ユーザ端末3からサーバ装置2にクーポン使用フラグが転送されてもよい。サーバ装置2は、ユーザがある店舗で特定のターゲット商品を購入したこと、或いはターゲット店舗で特定又は任意の商品を購入したことをクーポンの使用実績から判断することができる。
【0070】
ユーザのあるターゲットのスコア値Zは、特徴量と説明変数により構成され、以下の計算式で表すことができる。
Z=A・x1+B・x2+C・x3+・・・・
【0071】
ここで、A、B、C、・・・は相関係数であり、例えば標準アイテム、アンケートサンクスアイテム、クイズサンクスアイテムなど各アイテムのスコア値(>0)である。また、x1,x2,x3,・・・は、アイテム獲得回数(≧0)である。上記のように、スコア値Zは0以上100以下の値(0≦Z≦100)である。
【0072】
相関係数A、B、・・・は、例えば以下の式で表される。
A=Sx1Y/Sx1・SY、B=Sx2Y/Sx2・SY、・・・
【0073】
ここで、Sx1Yは、アイテム獲得回数x1とターゲット購入フラグYの共分散である。ターゲット購入フラグYはターゲット未購入の場合に「Y=0」、ターゲット購入済みの場合に「Y=1」となる。また、Sx1はアイテム獲得回数x1の標準偏差であり、SYはターゲット購入フラグYの標準偏差である。アイテムAを獲得しているユーザがターゲット商品を購入している場合、アイテムAの獲得個数x1が多いほどアイテムAとターゲット商品との間の相関係数は高くなる。また、ユーザがターゲット商品を未購入の場合、アイテムAの獲得個数x1によらずアイテムAとターゲット商品との間の相関係数は低くなる。上記のように、ターゲット商品の購買スコアは、購買の有無のみならず、当該商品の購買単価、当該商品の購買頻度等に基づいて計算することができ、変数Yを多値化してより相関係数を細かく計算することも可能である。
【0074】
スコアリングでは値が大きい相関係数の処理を優先的に行い、値が小さい相関係数の処理は行わないようにする処理を自動で行う。
【0075】
このように、特定の商品/ブランドに紐づいたターゲットのスコア値が高いユーザほど、特定の商品の購買意欲又は前記特定の店舗での購買意欲が高い結果に帰結するように、各ユーザの購買実績データに基づいてスコアZの計算式における特徴量の重み付けがチューニングされる。
【0076】
従来の販売促進システムは、カプセルトイマシンからクーポンを直接払い出すものであり、カプセルトイゲームから払い出されるアイテムが最終的なリワードそのものであるため、特定の商品や店舗とユーザとの接点を作り、両者の距離感を埋めながら計測する機会がなかった。しかし、本発明において、カプセルトイマシンから払い出されるアイテムはクーポンではなくフィギュアであり、フィギュアのコレクションの達成度に応じてユーザにリワードを付与するので、ゲームをプレイする過程で特定の商品や店舗に関連したフィギュアを提供する機会を作ることができ、そのようなフィギュアのコレクションを通じてユーザと商品等との接点を作ることができる。すなわち、これまでそのような特定の商品や店舗との接点がなく、或いは特定の商品等に対する好感度が低かったユーザとの接点を作り、両者の距離感を計測しながら販売促進を図ることができる。
【0077】
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能であり、それらも本願発明の範囲に包含されるものであることは言うまでもない。
【0078】
例えば、上記実施形態においては、フィギュアコレクションゲームにおいてカプセルトイマシンを用いているが、本発明はカプセルトイマシンを用いたアイテムの払い出し演出に限定されるものではなく、種々の演出方法を採用することができる。
【実施例0079】
ユーザがカプセルトイゲームを継続的にプレイしたことにより、全23回のゲームプレイ回数でフィギュアコレクションのパーフェクトコンプリートを達成した。
【0080】
図6は、スコアリングに連動したコレクションボード上のアイテムの配置を示す模式図である。ゲームプレイ回数が12回目と16回目のときには1プレイにつき2個のフィギュアが付与されたが、それ以外は1プレイにつき1個のフィギュアが付与された。列コンプリートはゲームプレイ回数が14回目のときにL2列、17回目のときL5列、20回目のときL1列、22回目のときL4列、23回目のときL3列で達成した。
【0081】
図7は、ターゲット商品Gに対するスコアリングの一例を示す表である。図示のように、各アイテムのスコア加算値は、標準アイテムのときに「+1」が付与された。最初の3日間は毎日プレイしたことにより、ゲームプレイ回数が3回目のときには3日連続プレイアイテムのスコア加算値「+10」が付与された。アンケートA(ポジ回答)、アンケートB(ネガ回答)、クイズC(正解)、クイズD(正解)、動画視聴E(視聴)、圏内インFのスコア加算値はそれぞれ「+5」、「-5」、「+3」、「+3」、「+10」、「+20」であった。
【0082】
こうして、最終的に得られたパーフェクトコンプリート時のスコア累積値は「80」ポイントとなった。
【0083】
その後、全ユーザのターゲット商品Gの購買実績データとの相関をAIにより解析した結果からアンケートAで「ポジ回答」したユーザとターゲット商品Gの購買実績との相関が非常に強いことが分かったため、スコアリングルールがチューニングされ、アンケートAの「ポジ回答」のときのスコア加算値が「+5」→「+10」ポイントまで増加し、逆に「ネガ回答」のときのスコア加算値が「-10」ポイントまで減少した。その結果、
図8に示すように、スコアリングルールをチューニングした後のスコア累積値は「80」→「85」ポイントに変更となった。