(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038606
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示装置、およびエレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
B66B3/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143199
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五嶋 匡
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303DB01
3F303DB11
3F303DB18
3F303DC01
3F303DC02
3F303DC03
3F303DC04
3F303DC05
3F303DC32
3F303DC35
(57)【要約】
【課題】エレベーターの動きに合わせた適切なコンテンツを、適切なタイミングで強調して表示することが可能な情報表示制御装置を提供する。
【解決手段】エレベーターの乗りかご内およびエレベーターホールの少なくとも一方に設置された表示装置の表示を制御する情報表示制御装置において、前記エレベーターの制御情報に基づいて、前記表示装置における表示領域のレイアウトを変更する表示領域レイアウト部と、前記表示領域レイアウト部によってレイアウトされた前記各表示領域に、前記エレベーターの制御状態毎に選択されたコンテンツを割り当てて表示させるコンテンツ割り当て部とを備えた。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗りかご内およびエレベーターホールの少なくとも一方に設置された表示装置の表示を制御する情報表示制御装置において、
前記エレベーターの制御情報に基づいて、前記表示装置における表示領域のレイアウトを変更する表示領域レイアウト部と、
前記表示領域レイアウト部によってレイアウトされた前記各表示領域に、前記エレベーターの制御状態毎に選択されたコンテンツを割り当てて表示させるコンテンツ割り当て部とを備えた
情報表示制御装置。
【請求項2】
エレベーターの制御装置からエレベーターの制御情報を取得する制御情報取得部を備え、
前記表示領域レイアウト部は、前記制御情報取得部で取得した前記エレベーターの制御情報に基づいて、前記表示領域のレイアウトを変更する
請求項1に記載の情報表示制御装置。
【請求項3】
前記表示領域レイアウト部は、前記エレベーターの制御情報として取得した前記エレベーターの制御状態が、ドアの開閉状態、乗りかごの加速状態、乗りかごの定速度状態、乗りかごの減速状態、管制運転制御状態、および故障状態の各状態に対して、予め個別に設定された面積比率で前記複数の表示領域をレイアウトする
請求項1に記載の情報表示制御装置。
【請求項4】
前記コンテンツ割り当て部は、前記エレベーターの制御情報として取得した前記エレベーターの制御状態がドア開閉制御状態となった場合には、前記表示領域レイアウト部によってレイアウトされた前記表示領域のうち最も広い表示領域に対して、ドア開閉の注意喚起に関するコンテンツを割り当てる
請求項1に記載の情報表示制御装置。
【請求項5】
前記コンテンツ割り当て部は、前記エレベーターの制御情報として取得した前記エレベーターの制御状態が前記乗りかごの加速制御状態となった場合には、前記表示領域レイアウト部によってレイアウトされた前記表示領域のうちの何れかに、前記乗りかごの行き先階に関するコンテンツを割り当てる
請求項1に記載の情報表示制御装置。
【請求項6】
前記コンテンツ割り当て部は、前記エレベーターの制御情報として取得した前記エレベーターの制御状態が前記乗りかごを走行させる制御状態にある場合には、前記表示領域レイアウト部によってレイアウトされた前記表示領域のうち最も広い表示領域に対して、予め設定された最も優先度の高いコンテンツを割り当てる
請求項1に記載の情報表示制御装置。
【請求項7】
前記コンテンツ割り当て部は、前記エレベーターの制御情報として取得した前記エレベーターの制御状態が管制運転制御状態となった場合には、前記表示領域レイアウト部によってレイアウトされた前記各表示領域に、管制運転を通知するコンテンツと、避難経路に関するコンテンツとを割り当てる
請求項1に記載の情報表示制御装置。
【請求項8】
前記コンテンツ割り当て部は、前記エレベーターの制御情報として取得した前記エレベーターの制御状態が故障状態となった場合には、前記表示領域レイアウト部によってレイアウトされた前記各表示領域に、故障状態にあることを説明するコンテンツを割り当てる
請求項1に記載の情報表示制御装置。
【請求項9】
前記エレベーターの制御情報として取得される前記エレベーターの制御状態毎に、面積比率を指定した各表示領域の設定と、前記設定された各表示領域に対するコンテンツの割り当ての設定とを保持する設定記憶部を備え、
前記表示領域レイアウト部は、前記エレベーターの制御情報に基づいて、前記設定記憶部に保持された前記各表示領域の設定を選択し、選択した設定に基づいて表示領域のレイアウトを実施する
請求項1に記載の情報表示制御装置。
【請求項10】
前記コンテンツ割り当て部は、前記エレベーターの制御情報に基づいて、前記設定記憶部に保持されたコンテンツの割り当ての設定を選択し、選択した設定に基づいて前記表示領域レイアウト部によってレイアウトされた前記表示領域に対してコンテンツの割り当てを実施する
請求項9に記載の情報表示制御装置。
【請求項11】
エレベーターの乗りかご内およびエレベーターホールの少なくとも一方に設置された表示装置の表示を情報表示制御装置によって制御する情報表示制御方法において、
前記情報表示制御装置の表示領域レイアウト部が、前記エレベーターの制御情報に基づいて、前記表示装置における表示領域のレイアウトを変更し、
前記情報表示制御装置のコンテンツ割り当て部が、前記表示領域レイアウト部によってレイアウトされた前記各表示領域に、前記エレベーターの制御状態毎に選択されたコンテンツを割り当てて表示させる
情報表示制御方法。
【請求項12】
エレベーターの乗りかご内およびエレベーターホールの少なくとも一方に設置された表示装置と、前記表示装置の表示を制御する情報表示制御装置とを備えた情報表示装置において、
前記情報表示制御装置は、請求項1~10のうちの何れか1項に記載の情報表示制御装置である
情報表示装置。
【請求項13】
乗りかごを備えたエレベーターと、前記乗りかご内およびエレベーターホールの少なくとも一方に設置された表示装置と、前記表示装置の表示を制御する情報表示制御装置とを備えたエレベーターシステムにおいて、
前記情報表示制御装置は、請求項1~10のうちの何れか1項に記載の情報表示制御装置である
エレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示装置、およびエレベーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの乗りかご内やエレベーターホールに設けられた表示装置に関する技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、「エレベーターの乗りかご又はエレベーターホールの少なくとも一方に設置され、エレベーター利用客に情報を表示する情報表示装置において、エレベーターの乗りかごの位置表示あるいは行き先階情報の少なくとも1つを表示するエレベーター情報表示領域と、エレベーター利用者に提供するコンテンツを切り替えて表示するコンテンツ切り替え表示領域と、エレベーター利用者に提供するコンテンツを常時表示するコンテンツ常時表示領域と備え、これにより不特定多数の利用者に対して、短い時間で効率よく情報提供を行うことができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示された情報表示装置は、エレベーターの利用者に複数のコンテンツを同時に提供することができるものの、各表示領域のレイアウトは常に一定である。このため、エレベーターの動きに合わせた適切なコンテンツを、適切なタイミングで強調して表示することができず、情報の受け取りは利用者側にゆだねられていた。
【0005】
そこで本発明は、エレベーターの動きに合わせた適切なコンテンツを、適切なタイミングで強調して表示することが可能な情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示装置、およびエレベーターシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、エレベーターの乗りかご内およびエレベーターホールの少なくとも一方に設置された表示装置の表示を制御する情報表示制御装置において、前記エレベーターの制御情報に基づいて、前記表示装置における表示領域のレイアウトを変更する表示領域レイアウト部と、前記表示領域レイアウト部によってレイアウトされた前記各表示領域に、前記エレベーターの制御状態毎に選択されたコンテンツを割り当てて表示させるコンテンツ割り当て部とを備えた情報表示制御装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エレベーターの動きに合わせた適切なコンテンツを、適切なタイミングで強調して表示することが可能な情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示装置、およびエレベーターシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るエレベーターシステムの全体構成を説明するための図である。
【
図2】実施形態に係る表示装置の表示画面を説明する図(その1)である。
【
図3】実施形態に係る表示装置の表示画面を説明する図(その2)である。
【
図4】実施形態に係る情報表示制御装置の機能構成図である。
【
図5】実施形態に係る情報表示制御装置が参照する表示の設定を説明する図である。
【
図6】実施形態に係る情報表示制御方法を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る情報表示制御方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示装置、およびエレベーターシステムの実施形態を説明する。
【0010】
≪エレベーターシステム≫
図1は、実施形態に係るエレベーターシステム1の全体構成を説明するための図である。以下、
図1に基づき、必要に応じて他の図を参照しつつ、実施形態に係るエレベーターシステム1の構成を説明する。この図に示すエレベーターシステム1は、例えばエレベーター100、および遠隔監視センター200を備えている。エレベーター100および遠隔監視センター200の構成は、次のようである。
【0011】
<エレベーター100>
エレベーター100は、顧客ビルなどの建物2に設けられたもので、乗りかご101、エレベーター制御装置102、表示装置103、情報表示制御装置104、エレベーターコンテンツ記憶部105、および遠隔監視装置106を備える。
【0012】
[乗りかご101]
乗りかご101は、建物2に設けられた走行路内を走行する。また乗りかご101は、ここでの図示を省略したかごドアを備え、走行路に面して乗りかご101が到着するエレベーターホールにおいてかごドアを開くことにより乗客の乗降が自在である。1つの建物2には、複数の乗りかご101が設けられていてもよい。
【0013】
[エレベーター制御装置102]
エレベーター制御装置102は、建物2に設けられた走行路内においての乗りかご101の走行、乗りかご101に設けられたかごドアの開閉などの運行制御を行う。このようなエレベーター制御装置102は、ここでの図示を省略した乗り場呼び操作部やかご呼び操作部からの信号に基づいて、通常運転制御を実施する。また、エレベーター制御装置102は、ここでの図示を省略した地震計などの設備から異常信号に基づいて地震や火災、停電の発生を検知した場合に、乗りかご101を最寄り階で停止させてかごドアを開く管制運転制御を実施する。さらにエレベーター制御装置102は、ここでの図示を省略した検出部からの故障を知らせる信号に基づく所定の故障運転制御、および遠隔監視装置106からの信号に基づく制御を実施する。
【0014】
以上のようなエレベーター制御装置102は、以降に説明する情報表示制御装置104に接続され、上述した運転制御の情報を情報表示制御装置104に伝送する。
【0015】
[表示装置103]
表示装置103は、乗りかご101内に配置され、乗りかご101の行き先階などの様々なコンテンツを表示するものである。この表示装置103は、次に説明する情報表示制御装置104とともに情報表示装置100aを構成し、情報表示制御装置104によって、表示領域のレイアウトおよび各表示領域の表示内容が制御される。
【0016】
またここでの図示は省略したが、乗りかご101が到着するエレベーターホールにも、表示装置103が設けられていてもよく、本エレベーターシステム1においては、乗りかご101内およびエレベーターホールの少なくとも一方に表示装置103が設けられていることとする。
【0017】
図2および
図3は、実施形態に係る表示装置103の表示画面103aを説明する図(その1)および(その2)である。これらの図に示すように、表示装置103は、表示画面103aを複数に分割した各表示領域A1、A2、…に、異なるコンテンツが表示される。
【0018】
表示装置103は、情報表示制御装置104からの制御に基づいて、エレベーターの運転状態に合わせて表示画面103aを複数に分割した各表示領域A1、A2、…のレイアウトを自在に変更し、各表示領域A1、A2、…に対して選択されたコンテンツを表示する。表示画面103aにおける各表示領域A1、A2、…のレイアウトは、表示画面103aの分割数、分割した各表示領域A1、A2、…の面積比率、形状、および配置を含む。
【0019】
例えば
図2に示す例において、表示装置103は、情報表示制御装置104からの制御に基づいて、表示画面103aを上下方向に分割した第1表示領域A1と第2表示領域A2とに、それぞれ選択されたコンテンツを表示する。また
図3に示す例において、表示装置103は、情報表示制御装置104からの制御に基づいて、表示画面103aを上下方向に分割し、さらに下部を左右に分割した第1表示領域A1と第2表示領域A2と第3表示領域A3とに、それぞれ選択されたコンテンツを表示する。このような表示領域A1、A2、…のレイアウト、および各表示領域A1、A2、…に表示するコンテンツの選択については、以降に詳細に説明する。
【0020】
なお、ここでの図示は省略したが、この表示装置103は、スピーカーなどで音声の出力する機能も備える。
【0021】
[情報表示制御装置104]
図1に戻り、情報表示制御装置104は、エレベーター制御装置102と、表示装置103と、以降に説明するエレベーターコンテンツ記憶部105および遠隔監視装置106に接続され、表示装置103の表示を制御する。この情報表示制御装置104は、先に説明した表示装置103とともに情報表示装置100aを構成し、表示装置103における表示領域のレイアウトおよび各表示領域に表示するコンテンツを制御する。
【0022】
このような情報表示制御装置104は、計算機によって構成されている。計算機は、いわゆるコンピューターとして用いられるハードウェアである。計算機は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)やHDD(hard disk drive)のような不揮発性の記憶部、さらにはネットワークインターフェースを備えていてもよい。
【0023】
図4は、実施形態に係る情報表示制御装置104の機能構成図である。この図に示すように、上述したような計算機によって構成された情報表示制御装置104は、機能的要素として、制御情報取得部104a、行き先階取得部104b、表示領域レイアウト部104c、コンテンツ割当部104d、および設定記憶部104eを備えている。これらの各機能要素によって実施される制御の手順は、ROMに保存されたプログラム、または外部装置からRAMにロードされて保存されたプログラムであることとする。以下、これらの各機能要素を、
図4および先の
図1を参照して説明する。
【0024】
-制御情報取得部104a-
制御情報取得部104aは、エレベーター制御装置102から、エレベーターの運転に関する制御情報(以降、運転制御情報と記す)を逐次に取得する。ここで取得する運転制御情報は、エレベーターの運転状態がどの状態にあるかの情報である。具体的には、現在の運転状態が、正常運転であるか異常運転であるか、さらに正常運転であれば、かごドアの開閉状態、乗りかごの加速走行、定速度走行、および減速走行など、乗りかご101を走行させる制御状態においての速度の制御状態に関する情報である。また異常運転であれば、管制運転制御状態、または故障状態に関する状態である。また制御情報取得部104aが取得する制御情報は、乗りかご101の現在位置も含む。
【0025】
-行き先階取得部104b-
行き先階取得部104bは、エレベーター制御装置102から、乗りかご101の次の到着階を逐次に取得する。
【0026】
-表示領域レイアウト部104c-
表示領域レイアウト部104cは、制御情報取得部104aで取得したエレベーターの運転制御情報に基づき、設定記憶部104eに保持された設定を参照して、表示装置103に対して表示領域をレイアウトする。このような表示領域レイアウト部104cは、制御情報取得部104aで取得したエレベーターの運転制御情報が変更された場合、変更されたエレベーターの運転制御情報に合わせて、表示領域のレイアウトを変更する。なお、表示領域レイアウト部104cによるレイアウトの手順は、以降の情報表示制御方法において詳細に説明する。
【0027】
-コンテンツ割当部104d-
コンテンツ割当部104dは、表示領域レイアウト部104cによってレイアウトされた各表示領域に、エレベーター100の制御状態毎に選択されたコンテンツを割り当てて表示させる。コンテンツ割当部104dは、制御情報取得部104aで取得したエレベーター100の運転制御情報と、行き先階取得部104bで取得した乗りかご101の次の行き先階とに基づいて、コンテンツの割り当てを実施する。
【0028】
このようなコンテンツ割当部104dは、制御情報取得部104aで取得したエレベーターの運転制御情報が変更された場合、変更されたエレベーターの運転制御情報にあわせて、各表示領域に表示するコンテンツを切り替える。
【0029】
なお、コンテンツ割当部104dによるコンテンツの割り当ての手順は、以降の情報表示制御方法において詳細に説明する。また、コンテンツ割当部104dが割り当てるコンテンツは、以降に説明するエレベーターコンテンツ記憶部105に保持されたコンテンツと、コンテンツ配信サービス3から配信されたコンテンツである。これらのコンテンツについては、以降に詳細に説明する。
【0030】
-設定記憶部104e-
設定記憶部104eは、エレベーターの制御状態毎に、表示領域A1,A1,A2,…の設定を保持し、設定された各表示領域に対するコンテンツの割り当ての設定を保持する。これらの設定は、外部装置4の操作によって入力され、公衆回線網5を介して以降に説明する遠隔監視装置106および情報表示制御装置104から設定記憶部104eに保持された設定であることとする。
【0031】
図5は、実施形態に係る情報表示制御装置が参照する表示の設定を説明する図であり、設定記憶部104eが保持する表示領域の設定とコンテンツの割り当ての一例を示す図である。この図は、エレベーターの制御状態を横軸、コンテンツを縦軸に示している。
図5に示すように、設定記憶部104eは、エレベーターの制御状態毎に、面積比率を指定した各表示領域A1,A2,…の設定を保持し、設定された各表示領域A1,A2,…に対するコンテンツの割り当ての設定とを保持する。
【0032】
ここで、エレベーターの制御状態は、通常運転の状態と異常イベントが発生した異常運転の状態とに分類される。通常運転の状態については例えば、乗りかご101のかごドア開[S1]の状態、かごドア閉[S1]の状態、乗りかご101が上昇または下降する加速[S3]の状態、乗りかご103が定速走行[S4]の状態、乗りかご103の走行速度が減速[S5]の状態に分類される。また異常運転の状態であれば、管制運転[S6]の状態および故障[S7]の状態に分類される。
【0033】
またエレベーターの制御状態毎に選択されるコンテンツは、
図1および
図5を参照し、例えば次に説明するエレベーターコンテンツ記憶部105に保持された(1)エレベーターコンテンツと、コンテンツ配信サービス3から配信された各カテゴリーの配信コンテンツである。各配信コンテンツは、例えば(2)建屋コンテンツ、(3)スポンサーコンテンツ、および(4)その他のコンテンツの各カテゴリーのコンテンツである。
図5には、これらの各カテゴリーの配信コンテンツの詳細コンテンツの一部を抜粋して記載した。
【0034】
このうち(1)エレベーターコンテンツは、(1)-1:ドア開/閉注意喚起、(1)-2:行先階・到着階、(1)-3:管制運転(火災、地震、停電)のお知らせ、(1)-4:故障発生のお知らせの各コンテンツである。(1)-1:ドア開/閉注意喚起は、ドア開[S1]の状態に対応する注意喚起と、ドア閉[S2]の状態に対応する注意喚起とに分かれるが、ここでの図示は省略した。また、(1)-4:故障発生のお知らせは、遠隔監視センター200の連絡先または遠隔監視センター200の対応者の顔などを含む。
【0035】
また(2)建屋コンテンツは、例えば(2)-1:運用情報、(2)-2:到着階情報、および(2)-3:避難ルート情報である。(2)-1:運用情報は、建物の休館日やエレベーターの点検日などに関する情報である。(2)-2:到着階情報は、フロアごとのテナント情報などである。(2)-3:避難ルート情報は、各階のエレベーターホールから建屋の非常口までの経路に関する情報である。
【0036】
また(3)スポンサーコンテンツは、例えば、(3)-1:スポンサーCM1、(3)-2:スポンサーCM2、および(3)-3:スポンサーCM3などであり、ビルオーナー含むスポンサーのCMなどのコンテンツである。
【0037】
さらに(4)その他のコンテンツは、例えば、(4)-1:天気、および(4)-2:ニュース、雑学などである。
【0038】
また選択したコンテンツが割り当てられる表示領域A1,A2,…は、面積比率の指定とともに、エレベーターの制御状態毎に設定されることとする。
【0039】
以上のようなエレベーターの制御状態に対するコンテンツの選択、選択したコンテンツが割り当てられる表示領域A1,A2,…の設定は、表示領域A1,A2,…の面積比率と共に、例えば建物2のオーナーを含むエレベーターの管理者が設定者となり、エレベーターの運転状態毎に設定すればよい。例えば、各エレベーターの制御状態において、エレベーターの利用者に最も強調したいコンテンツに対して、最も広い表示領域を割り当てるようにする。以下に、このような設定の具体例を説明する。
【0040】
先ず、エレベーターの制御状態が、ドア開[S1]およびドア閉[S2]の状態については、(1)-1:ドア開/閉注意喚起のコンテンツに対して、最も広い第1表示領域A1(面積比率60%)を割り当てる。これは、ドア開閉時は、利用者がドアにぶつかるリスクがあり、表示コンテンツの中で、エレベーターに関するコンテンツを最も強調させることで利用者の安全確保を促すものである。また(3)-1:スポンサーCM1に対して、残りの第2表示領域A2(面積比率40%)を割り当てる。
【0041】
またエレベーターの制御状態が、ドア閉制御が完了し、乗りかご101が上昇または下降する加速[S3]の制御状態については、配信コンテンツ(2)~(4)の中で、最も利用客に見せたい、すなわち最も優先度の高いコンテンツに対して、最も大きい表示領域を割り当てる。これは、利用客が乗り込んだ直後は、利用者が乗りかご101内のコンテンツに目を向ける可能性が高い考えによるもので、例えば建屋コンテンツ(2)の中の(2)-1:運用情報に、最も大きい第1表示領域A1を割り当てる。またこの制御状態については、表示領域の何れかに対して(1)エレベーターコンテンツの中の(1)-2:行先階・到着階、行き先階を割り当てる。
【0042】
さらにエレベーターまたは建屋の異常イベント発生し、エレベーターの制御状態が異常運転となった地震検知時の管制運転[S6]の状態については、(1)-3:管制運転(火災、地震、停電)のお知らせと、(2)-3:避難ルート情報とを選択し、第1表示領域A1(面積比率50%)と、第2表示領域A2(面積比率50%)とを割り当てる。
【0043】
また、エレベーター制御装置102が異常を検出して、走行中のエレベーターが停止した故障[S7]の状態については、(1)-4:故障発生のお知らせのコンテンツに対して、第1表示領域A1(面積比率100%)を割り当てる。
【0044】
なお、以上の設定を保持する設定記憶部104eは、情報表示制御装置104を構成する機能要素であることに限定されることはない。例えば、この設定記憶部104eは、遠隔監視装置106の構成要素であってもよく、また以降に説明する遠隔監視センター200や外部装置4の構成要素であってもよい。
【0045】
[エレベーターコンテンツ記憶部105]
図1に戻り、エレベーターコンテンツ記憶部105は、表示装置に表示させるコンテンツの一つとして、エレベーターコンテンツ(1)を保持する。エレベーターコンテンツ(1)は、先に説明した通り、ドア開閉時の注意喚起情報、行先階などエレベーターの階床情報、地震・火災・停電時など異常イベント時の管制運転情報を含む各種コンテンツである。
【0046】
なお、エレベーターコンテンツ記憶部105は、情報表示制御装置104の一部であってもよく、またコンテンツ配信サービス3であってもよい。エレベーターコンテンツ記憶部105が、コンテンツ配信サービス3である場合、コンテンツ配信サービス3が、エレベーターコンテンツ(1)を配信する。
【0047】
[遠隔監視装置106]
遠隔監視装置106は、エレベーター制御装置102および情報表示制御装置104と接続され、さらに公衆回線網5を介して以降に説明する遠隔監視センター200と接続されている。この遠隔監視装置106は、建物2に複数の乗りかご101が配置されている場合には、複数の乗りかご101に共通の装置として設けられていてよい。この遠隔監視装置106は、コンテンツ配信サービス3から配信された各種コンテンツを、遠隔監視センター200をよび公衆回線網5を介して受信し、情報表示制御装置104に伝送する。
【0048】
<遠隔監視センター200>
遠隔監視センター200は、公衆回線網5を介して各建物2の遠隔監視装置106と接続され、また各種コンテンツ配信サービス3と接続されている。この遠隔監視センター200は、コンテンツ配信サービス3から配信された各配信コンテンツを、各遠隔監視装置106を介して情報表示制御装置104に送信する。
【0049】
このような遠隔監視センター200は、受信処理装置201、データ格納装置202、配信処理装置203、および通信装置204を備えている。これらは次のようである。
【0050】
受信処理装置201は、コンテンツ配信サービス3から配信された各種コンテンツを受信する。データ格納装置202は、受信処理装置201で受信した各種コンテンツを格納する。
【0051】
配信処理装置203は、データ格納装置202に格納した各種コンテンツの配信先を選定する。コンテンツの配信先は、各建物2に設けられた遠隔監視装置106であり、配信処理装置203は、遠隔監視装置106毎に配信するコンテンツを選択する。通信装置204は、公衆回線網5を介して各建物2の遠隔監視装置106に対して、配信処理装置203で選定した各種コンテンツを伝送する。
【0052】
なお、以上においては、エレベーター100と遠隔監視センター200とでエレベーターシステム1が構成されることとしたが、遠隔監視センター200はエレベーターシステム1の必須の構成要素ではなくエレベーター100のみでエレベーターシステム1としてもよい。
【0053】
≪情報表示制御方法≫
図6は、実施形態は係る情報表示制御方法を示すフローチャートであって、情報表示制御装置104が有する情報表示制御プログラムによって実施される情報表示制御の手順を示す。このフローは高速で周期的に繰り返されることとする。以下、
図6のフローチャートに沿って、先の
図1~
図5を参照しつつ、情報表示制御装置104の各機能部による情報表示制御方法を説明する。
【0054】
[ステップS101]
ステップS101において、制御情報取得部104aは、エレベーター制御装置102から、運転制御情報を取得する。ここで取得する運転制御情報は、先に述べたように、現在のエレベーターの運転状態が、正常運転であるか異常運転であるか、さらに正常運転であれば、かごドアの開閉状態、乗りかごの加速走行、定速度走行、および減速走行などの速度の制御状態に関する情報である。
【0055】
[ステップS102]
ステップS102において、行き先階取得部104bは、エレベーター制御装置102から、乗りかご101の次の到着階に関する情報を取得する。なお、本ステップS102と先のステップS101とは、逆の順に実施されてもよく同時であってもよい。
【0056】
[ステップS103]
ステップS103において、表示領域レイアウト部104cは、ステップS101において制御情報取得部104aが取得したエレベーターの運転制御情報に基づき、設定記憶部104eに保持された表示領域の設定を選択し、選択した設定に基づいて表示領域のレイアウトを実施する。
【0057】
例えば乗りかご101が着床してかごドアを開く状態にある場合、表示領域レイアウト部104cは、設定記憶部104eに保持された設定(
図5)を参照し、ドア開[S1]に関連付けて保持された第1表示領域A1および第2表示領域A2の設定を面積比率と共に選択する。そして選択した設定に基づいて、第1表示領域A1および第2表示領域A2をレイアウトする。この際、第1表示領域A1および第2表示領域A2の予め設定された配置状態でレイアウトされればよく、面積比率に合わせたレイアウトを実施すればよい。
【0058】
例えば、第1表示領域A1と第2表示領域A2の2つであれば、
図2を参照し、表示装置103における表示画面103aの上方から順に、第1表示領域A1と第2表示領域A2とが配置される。また、第1表示領域A1と第2表示領域A2と第3表示領域A3の3つの領域であれば、
図3を参照し、表示画面103aを上下方向に分割し、さらに下部を左右に分割した第1表示領域A1と第2表示領域A2と第3表示領域A3とが配置される。以上は一例であり、面積比率の指定を満たすように自動的に設定されたレイアウトであってもよく、例えば第1表示領域A1と第2表示領域A2と第3表示領域A3とであれば、上下にこれらの3つの領域を配置したれアウトであってもよい。
【0059】
[ステップS104]
ステップS104において、コンテンツ割当部104dは、ステップS103において表示領域レイアウト部104cがレイアウトした各表示領域に対し、表示させるコンテンツを割り当てる。また表示装置103に対して、割り当てたコンテンツの表示を指示する。
【0060】
この際、コンテンツ割当部104dは、ステップS101において制御情報取得部104aが取得したエレベーターの運転制御情報に基づいて、設定記憶部104eの設定を参照してコンテンツの割当を行う。
【0061】
この場合、一例として乗りかご101が着床してかごドアを開く状態にある場合コンテンツ割当部104dは、設定記憶部104eに保持された設定(
図5)を参照し、ドア開[S1]に関連付けされたコンテンツ(1)-1を、第1表示領域A1に割り当てる。またコンテンツ(3)-1を第2表示領域A2に割り当てる。
【0062】
これにより、表示装置103には、ステップS103において表示領域レイアウト部104cが選択したレイアウトの各表示領域に対し、ステップS104で割り当てられた各コンテンツが表示される。なお、表示装置103が、スピーカーなどで音声の出力する機能も備え、ステップS104で割り当てられた各コンテンツが音声情報を有する場合であれば、表示装置103は割り当てられたコンテンツが有する音声情報を出力してもよい。
【0063】
図7は、実施形態に係る情報表示制御方法の一例を示す図であって、以上のステップS101~ステップS104の実施によって表示装置103に表示される画像を示す図である。この図に示すように、表示装置103の表示画面には、設定記憶部104eに保持された設定(
図5参照)に基づいて、制御情報取得部104aが取得した各制御状態に対して選択されたコンテンツが、各表示領域A1,A2、…に割り当てて表示される。
【0064】
このような表示は、以上のステップS101~ステップS104の繰り返しにおいて、制御情報取得部104aが取得した各制御状態の変更にともない、各表示領域A1,A2、…のレイアウトが切り替わり、切り替わった各表示領域A1,A2、…に表示されるコンテンツが切り替わる。
【0065】
<実施形態の効果>
以上説明した実施形態によれば、エレベーターの制御状態毎に、各コンテンツを表示する表示領域A1,A2,…のレイアウトが設定される。このため、エレベーターの制御状態に合わせて選択された重要なコンテンツを、エレベーターの制御状態に合わせた適切なタイミングで、例えば面積比率が大きな表示領域に表示することができ、より効果的に需要なコンテンツを強調した表示が可能となる。
【0066】
この結果、エレベーターの乗りかご101内、およびエレベーターホールのいずれであっても、不特定多数の利用客が短い時間を過ごす空間において、効率よく情報提供を行うことが可能となる。これにより、例えば顧客(建屋オーナー、広告主含むコンテンツ提供元)が強調したいコンテンツなど、利用者に対して強調したいコンテンツをエレベーターの動きの中で適切なタイミングで切り替えて強調して表示することが可能となる。
【0067】
なお、本発明は上記した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…エレベーターシステム、100…エレベーター、100a…情報表示装置、101…乗りかご、103…表示装置、104…情報表示制御装置、104a…制御情報取得部、104c…表示領域レイアウト部、104d…コンテンツ割り当て部、104e…設定記憶部、A1…第1表示領域、A2…第2表示領域、A3…第3表示領域