(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038649
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】軽くて丈夫な薄型メガネフレーム
(51)【国際特許分類】
G02C 5/14 20060101AFI20220303BHJP
G02C 1/06 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
G02C5/14
G02C1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143260
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】513187117
【氏名又は名称】内藤 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】内藤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】内藤 馨
(57)【要約】
【課題】 シートを所定の形状に切断して形成したフロント部とツルから成り、両ツルはフロント部の両側に継手を介して折畳み出来るように取付けられた薄型メガネフレームの提供。
【解決手段】 フロント部1はシートを切断して形成することで平坦で、連結部3の両側にはレンズが嵌るリム部2,2を有し、連結部3の下縁は滑らかに湾曲した凹状を有し、ツル5もシートを切断して形成することで平坦で、ツルの先端は折畳まれた場合にレンズに接しないようにリム部2まで延び、上記継手6は両蝶片7a,7bと軸ネジ8を備えて各蝶片はフロント部1とツル5の内側に設けた凹溝に嵌って表面から貫通した穴に挿通したピン9の先端をカシメて固定している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料として金属製シート、又はプラスチック製シート使用し、該シートを所定の形状に切断して形成したフロント部とツル(テンプル)から成り、両ツルはフロント部の両側に継手を介して折畳み出来るように取付けられたメガネフレームにおいて、
上記フロント部はシートを切断して形成することで平坦で、連結部の両側にはレンズが嵌るリム部を有し、連結部の下縁は滑らかに湾曲した凹状を有し、ツルもシートを切断して形成することで平坦で、ツルの先端は折畳まれた場合にレンズに接しないようにリム部まで延び、上記継手は両蝶片と軸ネジを備えて各蝶片はフロント部とツルの内側に設けた凹溝に嵌って表面から貫通した穴に挿通したピンの先端をカシメて固定したことを特徴とする薄型メガネフレーム。
【請求項2】
上記フロント部、又はツルの表面には鮮明でカラフルな模様を印刷にて形成した請求項1記載の薄型メガネフレーム。
【請求項3】
上記シートの材質としてチタンやアルミなどの軽い金属製とした請求項1、又は請求項2記載の薄型メガネフレーム。
【請求項4】
上記シートの材質としてナイロンやポリカーボネートなどのプラスチック製とした請求項1、又は請求項2記載の薄型メガネフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽くて丈夫であって薄く、また、船名でカラフルな模様を有すメガネフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
メガネフレームは一般に軽くて丈夫であることが要求され、従来から材質としては金属材又はプラスチック材が用いられている。金属材としては主にチタンやアルミニュウムが使用され、プラスチック材としては主にナイロンやポリカーボネートが用いられている。
ところで、メガネフレームはプラスチック製メガネに限らず、金属製のメガネの場合も、フロント部と両ツルから成り、ツルはフロント部の両側に取付けられて継手を介して折畳むことが出来る。
【0003】
図6は従来の一般的な金属製のメガネフレームであり、同図の(イ)はフロント部、(ロ)はツルを表していて、該ツル(ロ)、(ロ)はフロント部(イ)の両側に取付けているヨロイ(ハ)、(ハ)に継手(ニ)、(ニ)を介して折畳むことが出来る。
図7は上記メガネフレームの平面図であり、(a)はツル(ロ)が開いている場合、(b)はツル(ロ)が折畳まれた場合を表している。
【0004】
ツル(ロ)は概略L形をしたヨロイ(ハ)の先端に継手(ニ)を介して取付けられているために、該ツル(ロ)が折畳まれた場合にはフロント部(イ)との間に大きな空間(ホ)が形成される。したがって、折畳まれたメガネフレームが床面に放置され、足で踏み付けて荷重Pが作用するならば、ヨロイ(ハ)のコーナー部Aには大きな曲げ応力が働き、該ヨロイ(ハ)が破損するといった事故が発生する。
【0005】
第3014233号に係る「眼鏡構成部材及びそれを用いたフイット性眼鏡」は、テンプルの変形やレンズの破損を来すことなく、眼鏡に柔軟なフイット性があるように構成している。
すなわち、テンプルにヨロイを接続し、このヨロイにレンズをボルト連結し、且つ一対のレンズにブリッジの両端部をボルト連結した眼鏡に於いて、前記ヨロイの一部を、そのコイル軸心が略縦向きの少なくとも一つのコイルバネで構成する。又ブリッジの両レンズ側の部分を、そのコイル軸心が略縦向きの少なくとも一つのコイルバネで構成している。
【特許文献1】第3014233号に係る「眼鏡構成部材及びそれを用いたフイット性眼鏡」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来のメガネフレームは、フロント部の両側に概略L形のヨロイが設けられ、その為にツルを折畳んだ場合にはフロント部との間に大きな空間が形成され、メガネフレームに外力が働いた際には該ヨロイは潰されてしまう。またフロント部には鼻当てパットが取付けられるなど平坦ではなく、両ツルが折畳まれた場合のメガネフレームの厚さ寸法は大きくなる。
本発明が解決しようとするこれら問題点であり、ツルが折畳まれた場合の厚さ寸法が薄く、外力に対しての耐久性に優れ、さらに外観がカラフルでデザイン性に優れたプラスチック製メガネフレームを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るメガネフレームは、プラスチック製であり、又は金属製であっても、その基本的な形態は従来と同じく、フロント部と2本のツル(テンプル)から成っている。フロント部はレンズが嵌る両リム部の間に連結部を有して一体化した構造としている。
メガネフレームを構成する材料は一定厚さのシートが用いられ、該シートは所定のフロント部形状に切断される。切断する具体的な方法は限定しないが、プログラムに基づいてコンピュータにて動作する工具を用いて切断することが出来る。
ツルも一定厚さのシートを用いて所定の形状に切断される。
【0008】
シートを切断して形成されるフロント部及びテンプルは、三次元形状に湾曲することなく、平坦な板状体として構成されている。そして、フロント部の中央に設けられ、両リム部の間に形成される連結部下縁は凹状に湾曲して鼻当て部と成っていて、しかし立体形状をして鼻の両脇に接するように対を成す鼻当てパットは有していない。
【0009】
また、ツルはフロント部の両側に継手を介して折畳み出来るように取付けられているが、ヨロイ部は有していない。
ところで、本発明のメガネフレームを構成するフロント部及びツルの材料と成るシートの具体的な材質は限定しないが、プラスチックの場合にはナイロンやポリカーボネートが用いられる。金属の場合にはチタン又はアルミ材が適している。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るメガネフレームは平坦なフロント部と平坦なツルを有し、両ツルはフロント部の両側に継手を介して取付けられている。したがって、2本のツルが折畳まれたメガネフレームは厚さが薄く、胸ポケットに収容して持ち歩くことが出来る。そして、折畳まれたツルとフロント部の間には隙間が介在せず、その為に床面に放置されたメガネフレームが足で踏み付けられても破損することはなく、丈夫なメガネフレームと成る。
【0011】
一方、フロント部及びツルはシート材を切断して構成されることで、メガネフレームの掛け心地は良い。すなわち、細いチタンの線材を用いてフロント部及びツルを構成することで、薄くて軽いメガネフレームを構成することは可能であるが、肌との接触面積が少なく掛けた状態の安定感は乏しくなるが、本発明のメガネフレームの掛け心地は良好である。
【0012】
さらに、シート材で構成されるフロント部及びツルに形成される平坦面は大きくなり、この平坦面にカラフルな模様を印刷することが出来、その為に装飾性に富んだ薄くて軽く、しかも丈夫なメガネフレームと成る。
そして、シート材は切断されて所定形状のフロント部及びツルと成るが、コンピュータにて制御される工具を用いて加工され、高価な金型にて射出成形する場合に比較して簡単で安く製作出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のメガネフレームを構成するフロント部で、(a)は正面図、(b)は斜視図。
【
図2】フロント部に取付けたツルで、(a)はツルが開いた場合、(b)はツルが折畳まれた場合。
【
図3】フロント部の側端に取付けたツルの取付け構造を示す詳細図。
【
図5】フロント部の表面にカラフルな模様を印刷した場合。
【
図6】従来の一般的な金属製のメガネフレームを示す具体例。
【
図7】フロント部の側端に取付けたツルで、(a)はツルが開いている場合、(b)はツルが折畳まれている場合。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明に係るメガネフレームを構成するフロント部1を表している実施例であり、(a)は正面図、(b)は斜視図を示している。フロント部1はプラスチック製であり、材料は薄くて一定厚さのシート材を使用し、該シート材を切断することで上記フロント部1が形成される。フロント部1は両リム部2,2と、中央には連結部3を有し、両リム部2,2は連結部3にて左右対称に繋がれて一体化している。
【0015】
該フロント部1は一定厚さのプラスチック製シートが材料として用いられ、又は金属製シート材が材料として使用されている。該シート材を用い、連結部3の両側にリム部2,2を形成したフロント部1が切断加工されるが、コンピュータは作成されたプログラムに基づいて切断工具が動作し、所定の形状に切断することが出来る。例えば切断工具の具体例としては、ワイヤー、エンドミル、レーザーなど色々存在している。
シート材は三次元に湾曲することなく、ほぼ平坦な板状のフロント部1として構成され、連結部3の下側には滑らかな凹状に湾曲した鼻当て部4が形成される。
【0016】
ところで、シート材としては、金属製の場合にはチタン材又はアルミ材などの軽い材質が使用される。またプラスチック製の場合には透明系のナイロン又はポリカーボネートなどが用いられる。
これらチタン材、アルミ材、そしてナイロン、ポリカーボネートは硬くて復元力があり、壊れにくい材質である。
フロント部1は平坦な板状体として構成されるが、プラスチック製フロント部の場合には、特に復元力に優れている為に多少湾曲させることも可能である。
【0017】
図2はフロント部1に取付けられたツル5を表し、(a)はツル5が開いている場合、(b)はツル5が折畳まれている場合である。
本発明のメガネフレームは、ツル5を取付ける手段として折畳み出来るように継手6を用いているが、加熱が必要なロウ付けは採用しない。すなわち、ロウ付けなどで部分的に加熱処理するならば、局部的に軟化して強度が低下してしまう。
継手6は両蝶片7a,7bと軸ネジ8から成り、各蝶片7a、7bはツル5とフロント部1にピン9,9にて固定している。
【0018】
図3はツル5に固定している蝶片7aの拡大図を表している。該蝶片7a、7bは長方形の板材であり、板状の蝶片7aは2本のピン9,9を介してツル5に固定されている。ツル5の内側は切欠かれて凹溝が形成され、この凹溝に蝶片7aが嵌り、表面から貫通した穴に挿入したピン9,9の先端は蝶片7aをカシメることでツル5に固定される。蝶片7aは凹溝に嵌ることでツル5の内面から突出しないで固定される。
【0019】
図2(b)はツル5が折畳まれた状態を表している。蝶片7aはツル5の内側に形成した凹溝に嵌り、蝶片7bはフロント部1の内側に形成した凹溝に嵌っていることで、ツル5はフロント部1との間に隙間を殆ど残すことなく折畳まれる。
図4は2本のツル5,5が折畳まれ場合の背面図を表しているが、該ツル5,5の先端10,10はリム部2まで延びていて、レンズ11,11に当接しない構造と成っている。すなわち、ツル5,5が撓み変形した際にも先端10,10はレンズ11,11に当接せず、レンズ面にキズが付いたり、レンズ11,11が破損することはない。
【0020】
図5はフロント部1の正面に形成した模様を表している具体例である。シート材を切断して構成しているフロント部1は細い線材を曲げ成形した場合に比較して表面積は大きく、その為に鮮明でカラフルな模様が印刷にて形成される。
ツル5も細長い板状として構成される為に、その表面積は大きくなり、フロント部1と同じようにカラフルな模様が印刷される。
【符号の説明】
【0021】
1 フロント部
2 リム部
3 連結部
4 鼻当て部
5 ツル
6 継手
7 蝶片
8 軸ネジ
9 ピン
10 先端
11 レンズ