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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038696
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】圧電振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/02 20060101AFI20220303BHJP
   H03H 9/19 20060101ALI20220303BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
H03H9/02 A
H03H9/19 D
H01L23/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143316
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】大西 学
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC04
5J108CC10
5J108CC11
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE07
5J108GG03
5J108GG07
5J108GG18
(57)【要約】
【課題】安価な圧電振動デバイスを提供する。
【解決手段】両主面に第1,第2励振電極を有すると共に、第1,第2励振電極にそれぞれ接続された第1,第2金属膜を有する圧電振動板と、この圧電振動板の第1,第2励振電極をそれぞれ覆うように、圧電振動板の両主面にそれぞれ接合される第1,第2封止部材とを備え、第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材は、樹脂フィルム3であり、この樹脂フィルム3が接合されている外枠部の主面を、第1励振電極25に対向する位置まで延長した仮想延長面VFと、第1励振電極25との距離D1が、樹脂フィルム3の撓み量D2を上回るようにしている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両主面の一方の主面に形成された第1励振電極及び前記両主面の他方の主面に形成された第2励振電極を有すると共に、前記第1,第2励振電極にそれぞれ接続された第1,第2金属膜を有する圧電振動板と、
前記圧電振動板の前記第1,第2励振電極をそれぞれ覆うように、前記圧電振動板の前記両主面にそれぞれ接合される第1,第2封止部材とを備え、
前記第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材は、樹脂フィルムであり、
前記圧電振動板は、前記両主面に前記第1,第2励振電極がそれぞれ形成された振動部と、前記振動部を囲む外枠部とを有し、前記振動部は、前記外枠部より薄肉であり、
前記樹脂フィルムは、その周端部が前記外枠部の両主面の少なくとも一方の主面に接合されており、
前記第1励振電極又は前記第2励振電極を覆っている前記樹脂フィルムは、該樹脂フィルムの前記覆っている領域が、前記第1励振電極又は前記第2励振電極に近接するように撓んでおり、
前記樹脂フィルムが接合されている前記外枠部の主面を、前記第1励振電極又は前記第2励振電極に対向する位置まで延長した仮想延長面と、前記第1励振電極又は前記第2励振電極との距離が、前記樹脂フィルムの撓み量を上回る距離である、
ことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項2】
前記圧電振動板は、平面視略矩形であり、前記平面視略矩形の二組の対向辺の内の一方の組の対向辺に沿う方向の一方の端部の前記外枠部に、前記第1金属膜が形成され、他方の端部の前記外枠部に、前記第2金属膜が形成されている、
請求項1に記載の圧電振動デバイス。
【請求項3】
前記仮想延長面と、前記第1励振電極又は前記第2励振電極との前記距離が、前記樹脂フィルムの前記撓み量の2倍以上の距離である、
請求項1または2に記載の圧電振動デバイス。
【請求項4】
前記圧電振動板が、水晶振動板である、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の圧電振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子等の圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動デバイス、例えば、圧電振動子として、表面実装型の水晶振動子が広く用いられている。この表面実装型の水晶振動子は、例えば、特許文献1に記載されているように、セラミックからなる上面が開口した箱形のベース内の保持電極に、水晶振動片の両面の励振電極から導出された電極を、導電性接着剤によって固着することによって、水晶振動片をベース内に収納して搭載する。このようにして水晶振動片を搭載したベースの開口に、蓋体を接合して気密に封止するようにしている。また、ベースの外底面には、当該水晶振動子を表面実装するための実装端子が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-184325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような圧電振動子の多くは、セラミック製のベースに、金属製あるいはセラミック製の蓋体が接合されてパッケージが構成されているので、パッケージが高価となり、圧電振動子が高価なものとなっている。
【0005】
本発明は、上記のような点に鑑みて為されたものであって、安価な圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0007】
(1)本発明に係る圧電振動デバイスは、両主面の一方の主面に形成された第1励振電極及び前記両主面の他方の主面に形成された第2励振電極を有すると共に、前記第1,第2励振電極にそれぞれ接続された第1,第2金属膜を有する圧電振動板と、前記圧電振動板の前記第1,第2励振電極をそれぞれ覆うように、前記圧電振動板の前記両主面にそれぞれ接合される第1,第2封止部材とを備え、前記第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材は、樹脂フィルムであり、前記圧電振動板は、前記両主面に前記第1,第2励振電極がそれぞれ形成された振動部と、前記振動部を囲む外枠部とを有し、前記振動部は、前記外枠部より薄肉であり、前記樹脂フィルムは、その周端部が前記外枠部の両主面の少なくとも一方の主面に接合されており、前記第1励振電極又は前記第2励振電極を覆っている前記樹脂フィルムは、該樹脂フィルムの前記覆っている領域が、前記第1励振電極又は前記第2励振電極に近接するように撓んでおり、前記樹脂フィルムが接合されている前記外枠部の主面を、前記第1励振電極又は前記第2励振電極に対向する位置まで延長した仮想延長面と、前記第1励振電極又は前記第2励振電極との距離が、前記樹脂フィルムの撓み量を上回る距離である。
【0008】
本発明に係る圧電振動デバイスによれば、両主面に第1,第2励振電極が形成された圧電振動板の前記第1,第2励振電極を覆うように、第1,第2封止部材を接合して封止するので、従来のように、上面が開口した箱形のベース内に圧電振動片を収納搭載して封止する必要がなく、高価なベースが不要になる。
【0009】
また、第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材を、樹脂フィルムで構成しているので、両封止部材を、金属製やセラミック製の蓋体で構成するのに比べて、コストを低減することができる。
【0010】
更に、圧電振動板の第1励振電極又は第2励振電極を覆っている樹脂フィルムは、圧電振動板への加熱圧着等によって、第1励振電極又は第2励振電極を覆っている領域が、第1励振電極又は第2励振電極に近接するように撓んでいるが、樹脂フィルムが接合されている圧電振動板の外枠部の主面を、第1励振電極又は第2励振電極に対向する位置まで延長した仮想延長面と、第1励振電極又は第2励振電極との距離が、樹脂フィルムの撓み量を上回る距離であるので、樹脂フィルムが、第1励振電極又は第2励振電極に接触するのを防止することができる。
【0011】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記圧電振動板は、平面視略矩形であり、前記平面視略矩形の二組の対向辺の内の一方の組の対向辺に沿う方向の一方の端部の前記外枠部に、前記第1金属膜が形成され、他方の端部の前記外枠部に、前記第2金属膜が形成されている。
【0012】
この実施態様によれば、平面視略矩形の一方の組の対向辺に沿う方向の両端部に、第1,第2金属膜がそれぞれ形成されているので、前記対向辺に沿う方向の両端部の第1,第2金属膜を、第1,第2実装端子として使用することができ、この第1,第2実装端子を、半田や金属バンプやワイヤ等の接合材によって、回路基板等に接合して、当該圧電振動デバイスを実装することができる。
【0013】
(3)本発明の一実施態様では、前記仮想延長面と、前記第1励振電極又は前記第2励振電極との前記距離が、前記樹脂フィルムの前記撓み量の2倍以上の距離である。
【0014】
この実施態様によると、仮想延長面と、第1励振電極又は第2励振電極との距離が、樹脂フィルムの撓み量の2倍以上の距離であるので、樹脂フィルムの撓み量にばらつきがあっても、第1励振電極又は第2励振電極に接触するのを防止することができる。
【0015】
(4)本発明の他の実施態様では、前記圧電振動板が、水晶振動板である。
【0016】
この実施態様によると、水晶振動板を構成する水晶板のエッチングによって、樹脂フィルムが接合される水晶振動板の外枠部の主面と、第1励振電極又は第2励振電極が形成される振動部の主面との距離を、樹脂フィルムの撓み量を考慮した所要の距離に形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧電振動板の両主面に形成された第1,第2励振電極を覆うように、第1,第2封止部材を接合して封止するので、従来のように、上面が開口した箱形のベース内に圧電振動片を収納搭載して封止する必要がなく、高価なベースが不要になる。
【0018】
また、第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材を、樹脂フィルムで構成しているので、両封止部材を、金属製やセラミック製の蓋体で構成するのに比べて、コストを低減することができる。
【0019】
更に、樹脂フィルムが接合されている圧電振動板の外枠部の主面を、第1励振電極又は第2励振電極に対向する位置まで延長した仮想延長面と、第1励振電極又は第2励振電極との距離が、樹脂フィルムの撓み量を上回る距離であるので、樹脂フィルムが、第1励振電極又は第2励振電極に接触するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明の一実施形態に係る水晶振動子の概略斜視図である。
図2図2図1の水晶振動子を構成する水晶振動板の概略平面図である。
図3図3図2の水晶振動板のA-A線に沿う概略断面図である。
図4図4図2の水晶振動板のB-B線に沿う概略断面図である。
図5図5図1の水晶振動子を構成する水晶振動板の概略底面図である。
図6図6図1の水晶振動子の図3に対応する概略断面図である。
図7図7図1の水晶振動子の図4に対応する概略断面図である。
図8図8図6のセクションP1の拡大図である。
図9図9図1の水晶振動子の製造工程を模式的に示す概略断面図である。
図10図10図9(d)の樹脂フィルムの加熱圧着工程を模式的に示す概略断面図である。
図11図11は本発明の他の実施形態に係る水晶振動子を構成する水晶振動板の概略平面図である。
図12図12図11の水晶振動板の概略底面図である。
図13図13は本発明の更に他の実施形態の図1に対応する概略斜視図である。
図14図14図13の実施形態の図6に対応する概略断面図である
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この実施形態では、水晶振動デバイスとして水晶振動子に適用して説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る水晶振動子の概略斜視図である。
【0023】
この実施形態の水晶振動子1は、金属膜が形成されたATカットの水晶振動板2と、このATカットの水晶振動板2の表裏の両主面に、両端部の第1,第2金属膜27,28を除く矩形の領域を覆うようにそれぞれ接合された第1,第2樹脂フィルム3,4(図1では、一方の主面に接合された第1樹脂フィルム3のみが示されている)とを備えている。
【0024】
この水晶振動子1は、直方体状であって、平面視矩形である。この実施形態の水晶振動子1は、平面視で、例えば、1.2mm×1.0mmで、厚みは0.2mmであり、小型化及び低背化を図っている。
【0025】
なお、水晶振動子1のサイズは、上記に限定されるものではなく、これとは異なるサイズであっても適用可能である。
【0026】
図2は、図1の水晶振動子1を構成する水晶振動板2、すなわち、第1,第2樹脂フィルム3,4が接合されていない状態の水晶振動子1の概略平面図であり、図3は、図2の水晶振動板2のA-A線に沿う概略断面図であり、図4は、図2の水晶振動板2のB-B線に沿う概略断面図であり、図5は、水晶振動板2の概略底面図である。なお、図3図4及び後述の図9図10では、説明の便宜上、水晶振動板2に形成されている金属膜を誇張して示している。
【0027】
この実施形態の水晶振動板2は、矩形の水晶板を水晶の結晶軸であるX軸の周りに35°15´回転させて加工したATカットの水晶板であり、回転した新たな軸をY´及びZ´軸という。ATカット水晶板では、その表裏の両主面が、XZ´平面である。
【0028】
このXZ´平面において、平面視矩形の水晶振動板2の短辺方向(図2図5の上下方向)がX軸方向となり、水晶振動板2の長辺方向(図2図5の左右方向)がZ´軸方向となる。
【0029】
この水晶振動板2は、平面視が略矩形の振動部21と、この振動部21の周囲を、貫通部22を挟んで取り囲む外枠部23と、振動部21と外枠部23とを連結する連結部24とを備えている。振動部21、外枠部23及び連結部24は、一体的に形成されている。振動部21及び連結部24は、外枠部23に比べて薄く形成されている。すなわち、連結部24を含む振動部21は、外枠部23に比べて薄肉である。
【0030】
振動部21の表裏の両主面には、一対の第1,第2励振電極25,26がそれぞれ形成されている。
【0031】
両主面の一方の主面では、図2に示されるように、平面視矩形の水晶振動板2の長辺方向の両端部の外枠部23に、第1,第2樹脂フィルム3,4で覆われない第1,第2金属膜27,28が、水晶振動板2の短辺方向に沿ってそれぞれ形成されている。すなわち、第1,第2金属膜27,28は、振動部21を挟んで水晶振動板2の長辺方向(Z´軸方向)の両端部にそれぞれ形成されている。両主面に亘って形成されている第1金属膜27には、振動部21を囲むように矩形環状に形成された第1封止パターン201が連設されている。
【0032】
両主面の他方の主面では、図5に示されるように、平面視矩形の水晶振動板2の長辺方向の両端部の外枠部23に、第1,第2金属膜27,28が、水晶振動板2の短辺方向に沿ってそれぞれ形成されている。両主面に亘って形成されている第2金属膜28には、振動部21を囲むように矩形環状に形成された第2封止パターン202が連設されている。
【0033】
第1金属膜27は、上記図1に示される矩形の第1樹脂フィルム3で覆われない領域に形成されており、外部に露出する。同様に、第2金属膜28は、後述の第2樹脂フィルム4で覆われない領域に形成されており、外部に露出する。これら金属膜27,28は、当該水晶振動子1を回路基板等に実装するための実装端子として使用される。
【0034】
水晶振動板2の両主面の第1金属膜27同士、及び、第2金属膜28同士はそれぞれ電気的に接続されている。この実施形態では、両主面の第1金属膜27同士及び第2金属膜28同士は、水晶振動板2の対向する長辺側の側面を引き回された引き回し電極でそれぞれ電気的に接続されると共に、水晶振動板2の対向する短辺側の側面を引き回された引き回し電極でそれぞれ電気的に接続されている。
【0035】
このように両主面の第1金属膜27同士及び第2金属膜28同士は、電気的にそれぞれ接続されているので、当該水晶振動子1を、第1,第2金属膜27,28を実装端子として回路基板等に実装する際に、表裏の両主面のいずれの面でも実装することができる。
【0036】
なお、両主面の第1金属膜27同士及び第2金属膜28同士は、両主面を貫通する貫通電極を介して電気的に接続されるようにしてもよく、あるいは、側面の引き回し電極を介して電気的に接続されると共に、貫通電極を介して電気的に接続されるようにしてもよい。
【0037】
水晶振動板2の一方の主面側の矩形環状の第1封止パターン201は、図2に示されるように、水晶振動板2の長辺方向(Z´軸方向)の一方の端部の第1金属膜27に連なる接続部201aと、この接続部201aの両端部から前記長辺方向(Z´軸方向)に沿ってそれぞれ延出する第1延出部201b,201bと、水晶振動板2の短辺方向(X軸方向)に沿って延出して前記各第1延出部201b,201bの延出端を接続する第2延出部201cとを備えている。第2延出部201cは、第1励振電極25から引出された第1引出し電極203に接続されている。したがって、第1金属膜27は、第1引出し電極203及び第1封止パターン201を介して第1励振電極25に電気的に接続されている。水晶振動板2の短辺方向に沿って延出する第2延出部201cと第2金属膜28との間には、電極が形成されていない無電極領域が設けられて、第1封止パターン201と第2金属膜28との絶縁が図られている。
【0038】
水晶振動板2の他方の主面側の矩形環状の第2封止パターン202は、図5に示されるように、水晶振動板2の長辺方向(Z´軸方向)の他方の端部の第2金属膜28に連なる接続部202aと、この接続部202aの両端部から前記長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部202b,202bと、水晶振動板2の短辺方向に沿って延出して、前記各第1延出部202b,202bの延出端を接続する第2延出部202cとを備えている。接続部202aは、第2励振電極26から引出された第2引出し電極204に接続されている。したがって、第2金属膜28は、第2引出し電極204及び第2封止パターン202の接続部202aを介して第2励振電極26に電気的に接続されている。水晶振動板2の短辺方向に沿って延出する第2延出部202cと第1金属膜27との間には、電極が形成されていない無電極領域が設けられて、第2封止パターン202と第1金属膜27との絶縁が図られている。
【0039】
図2に示されるように、第1封止パターン201の、水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部201b,201bの幅は、前記長辺方向に沿って延びる外枠部23の幅より狭く、第1延出部201b,201bの幅方向(図2の上下方向)の両側には、電極が形成されていない無電極領域が設けられている。
【0040】
この第1延出部201b,201bの両側の無電極領域の内、外側の無電極領域は、第1金属膜27まで延びていると共に、第2金属膜28と第2延出部201cとの間の無電極領域に連なっている。これによって、第1封止パターン201の接続部201a、第1延出部201b,201b、及び、第2延出部201cの外側は、略等しい幅の無電極領域によって囲まれている。この無電極領域は、水晶振動板2の短辺方向に沿って延びる接続部201aの一端の外側から一方の第1延出部201bに沿って延出し、その延出端から第2延出部201cに沿って延出し、その延出端から他方の第1延出部201bに沿って接続部201aの他端の外側まで延出している。
【0041】
第1封止パターン201の接続部201aの幅方向の内側には、無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部201b,201bの内側の無電極領域に連なっている。第2延出部201cの幅方向の内側には、連結部24の第1引出し電極203を除いて無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部201b,201bの内側の無電極領域に連なっている。これによって、第1封止パターン201の接続部201a、第1延出部201b,201b、及び、第2延出部201cの幅方向の内側は、連結部24の第1引出し電極203を除いて平面視で矩形環状の無電極領域によって囲まれている。
【0042】
図5に示されるように、第2封止パターン202の、水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部202b,202bの幅は、前記長辺方向に沿って延びる外枠部23の幅より狭く、第1延出部202b,202bの幅方向(図5の上下方向)の両側には、電極が形成されていない無電極領域が設けられている。
【0043】
この第1延出部202b,202bの両側の無電極領域の内、外側の無電極領域は、第2金属膜28まで延びていると共に、第1金属膜27と第2延出部202cとの間の無電極領域に連なっている。これによって、第2封止パターン202の接続部202a、第1延出部202b,202b、及び、第2延出部202cの外側は、略等しい幅の無電極領域によって囲まれている。この無電極領域は、水晶振動板2の短辺方向に沿って延びる接続部202aの一端の外側から一方の第1延出部202bに沿って延出し、その延出端から第2延出部202cに沿って延出し、その延出端から他方の第1延出部202bに沿って接続部201aの他端の外側まで延出している。
【0044】
第2封止パターン202の接続部202aの幅方向の内側には、連結部24の第2引出し電極204を除いて無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部202b,202bの内側の無電極領域に連なっている。第2延出部202cの幅方向の内側には、無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部202b,202bの内側の無電極領域に連なっている。これによって、第2封止パターン202の接続部202a、第1延出部202b,202b、及び、第2延出部202cの幅方向の内側は、連結部24の第2引出し電極204を除いて平面視で矩形環状の無電極領域によって囲まれている。
【0045】
上記のように第1,第2封止パターン201,202の第1延出部201b,201b;202b,202bを、外枠部23の幅よりも狭くし、第1延出部201b,201b;202b,202bの幅方向の両側には、無電極領域を設けていると共に、接続部201a,202a及び第2延出部201c,202cの幅方向の内側には、無電極領域を設けている。前記無電極領域は、スパッタリング時に外枠部23の側面に回り込んだ第1,第2封止パターン201,202を、フォトリソグラフィー技術によりパターニングし、これをメタルエッチングで除去することによって形成される。これにより、第1,第2封止パターン201,202が外枠部23の側面に回り込むことによる短絡を防止することができる。
【0046】
水晶振動板2の第1,第2励振電極25,26、第1,第2金属膜27,28,第1,第2封止パターン201,202、及び、第1,第2引出し電極203,204は、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層され、更に、例えば、Ti、CrまたはNiが積層形成されて構成されている。
【0047】
この実施形態では、下地層はTiであり、その上に、Au、Tiが積層形成されている。このように最上層がTiであることによって、Auが最上層である場合に比べて、後述のポリイミド樹脂フィルムとの接合強度が向上する。
【0048】
矩形の第1,第2樹脂フィルム3,4が接合される矩形環状の第1,第2封止パターン201,202の上層は、上記のように、Ti、CrまたはNi(またはこれらの酸化物)から構成されるので、Au等に比べて、第1,第2樹脂フィルム3,4との接合強度を高めることができる。
【0049】
この実施形態では、上記構成を有する水晶振動板2の両主面に、水晶振動板2の第1,第2励振電極25,26を覆うように、第1,第2封止部材としての第1,第2樹脂フィルム3,4が接合される。
【0050】
図6及び図7は、図1の水晶振動子1の概略断面図であって、図2の水晶振動板2に、第1,第2樹脂フィルム3,4が接合された状態の図2のA-A線及びB-B線に沿う概略断面図である。図8は、図6のセクションP1の拡大図である。水晶振動板2や第1,第2樹脂フィルム3,4に比べて、上記励振電極25,26及び金属膜27,28等は、無視できる程度に薄いので、図6及び図7では、省略している。また、第1,第2樹脂フィルム3,4の撓みを誇張して示している。
【0051】
この第1,第2樹脂フィルム3,4は、矩形のフィルムである。この矩形の第1,第2樹脂フィルム3,4は、水晶振動板2の長手方向の両端部の第1,第2金属膜27,28を除いて、第1,第2封止パターン201,202を含む矩形の領域を覆うサイズであり、前記矩形の領域に接合される。
【0052】
この実施形態では、第1,第2樹脂フィルム3,4は、耐熱性の樹脂フィルム、例えば、ポリイミド樹脂フィルムである。
【0053】
この第1,第2樹脂フィルム3,4は、表裏両面の全面に熱可塑性の接着層が形成されている。この第1,第2樹脂フィルム3,4は、その矩形の周端部が、水晶振動板2の両主面の外枠部23に、振動部21を封止するように、例えば、加熱プレスによってそれぞれ加熱圧着される。
【0054】
このように加熱圧着される第1,第2樹脂フィルム3,4は、図6及び図7に示されるように、第1,第2励振電極25,26が形成されている振動部21を覆っている領域が、振動部21の第1,第2励振電極25,26に近接するように撓んでいる。
【0055】
この実施形態では、このように振動部21の第1,第2励振電極25,26に近接するように撓んでいる第1,第2樹脂フィルム3,4が、振動部21の第1,第2励振電極25,26に接触しないように次のように構成している。
【0056】
先ず、第1,第2樹脂フィルム3,4、例えば、第1樹脂フィルム3が接合されている振動部21の外枠部23の一方の主面F1を、第1励振電極25に対向する位置まで延長した図6及び図8に示される仮想延長面VF1を想定する。この実施形態では、図8に示すように、仮想延長面VF1と第1励振電極25との距離、すなわち、垂直距離D1は、第1樹脂フィルム3の撓み量D2を上回る距離としている。
【0057】
第1樹脂フィルム3は、その周端部が振動部21の周囲の外枠部23の一方の主面F1に接合されているので、第1樹脂フィルム3の中央部で第1励振電極25側へ最も撓み、この撓み量D2は、第1樹脂フィルム3が接合されている外枠部23の一方の主面F1を、第1励振電極25に対向する位置まで延長した上記仮想延長面VF1と、第1樹脂フィルム3の最も撓んだ部分までの垂直距離となる。
【0058】
このように、振動部21の外枠部23の一方の主面F1を、第1励振電極25に対向する位置まで延長した仮想延長面VF1と、第1励振電極25との垂直距離D1が、第1樹脂フィルム3の撓み量D2を上回る距離であるので、第1励振電極25に近接するように撓んでいる第1樹脂フィルム3が、振動部21の第1励振電極25に接触するのを防止することができる。
【0059】
なお、図8では、第1樹脂フィルム3について説明したが、第1,第2励振電極25,26が形成されている振動部21は、外枠部23の厚み方向(図6の上下方向、図7の左右方向)の中央に位置しているので、第2樹脂フィルム4が接合されている振動部21の外枠部23の他方の主面F2を、第2励振電極26に対向する位置まで延長した仮想延長面VF2と、第2励振電極26との垂直距離は、上記D1となる。また、第2樹脂フィルム4も第1樹脂フィルム3と同様に外枠部23に加熱圧着されるので、第2樹脂フィルム4の第2励振電極26側への撓み量も上記D2となる。
【0060】
この実施形態では、第1,第2樹脂フィルム3,4の撓み量D2は、例えば、10μm程度であり、これに対して、振動部21の外枠部23の主面を、第1励振電極25に対向する位置まで延長した仮想延長面VF1,VF2と、第1励振電極25又は第2励振電極26との垂直距離D1は、撓み量D2の2倍以上、例えば、20μm程度としている。
【0061】
この実施形態の第1,第2樹脂フィルム3,4は、300℃程度の耐熱性を有するポリイミド樹脂フィルムであるので、当該水晶振動子1を、回路基板等に半田実装する場合の半田リフロー処理の高温に耐えることができ、第1,第2樹脂フィルム3,4が変形等することがない。
【0062】
このポリイミド樹脂フィルム3,4は、透明であるが、後述の加熱圧着の条件によっては、不透明となる場合がある。なお、この第1,第2樹脂フィルム3,4は、透明、不透明、あるいは、半透明であってもよい。
【0063】
第1,第2樹脂フィルム3,4は、ポリイミド樹脂に限らず、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類されるような樹脂、例えば、ポリアミド樹脂やポリエーテルエーテルケトン樹脂等を用いてもよい。
【0064】
この実施形態では、図2に示すように、平面視が略矩形の振動部21を、その一つの角部に設けた一箇所の連結部24によって外枠部23に連結しているので、2箇所以上で連結する構成に比べて、振動部21に作用する応力を低減することができる。
【0065】
また、この実施形態では、連結部24は、外枠部23の内周のうちX軸方向に沿う一辺から突出し、かつ、Z´軸方向に沿って形成されている。水晶振動板2のZ´軸方向の両端部に形成された第1,第2金属膜27,28は、実装端子として使用され、半田等によって回路基板等に直接接合される。このため、水晶振動子の長辺方向(Z´軸方向)に収縮応力が働き、当該応力が振動部に伝搬することにより水晶振動子の発振周波数が変化し易くなることが考えられる。これに対して、この実施形態では、前記収縮応力に沿う方向に連結部24が形成されているため、当該収縮応力が振動部21に伝搬するのを抑制することができる。その結果、水晶振動子1を回路基板に実装した際の発振周波数の変化を抑制することができる。
【0066】
なお、振動部21と外枠部23との間の貫通部22を省略し、薄肉の振動部21を囲むように外枠部23を、振動部21に連設してもよい。
【0067】
次に、この実施形態の水晶振動子1の製造方法について説明する。
【0068】
図9は、水晶振動子1を製造する工程を模式的に示す概略断面図である。
【0069】
先ず、図9(a)に示される加工前のATカットの水晶ウェハ(ATカット水晶板)5を準備する。この水晶ウェハ5に対して、フォトリソグラフィー技術を用いたウェットエッチングによって、図9(b)に示すように、複数の水晶振動板部分2a及びそれらを支持するフレーム部分(図示せず)等の外形を形成し、更に、水晶振動板部分2aに、外枠部分23aや、外枠部分23aよりも薄肉の振動部分21a等の各部の外形を形成する。すなわち、外形及び振動部の加工工程を実施する。この外形及び振動部の加工工程において、上記第1,第2樹脂フィルム3,4の撓み量を考慮し、外枠部分23aに対する振動部分21aの厚みが所要の厚みとなるようにエッチングされる。
【0070】
次に、図9(c)に示すように、スパッタリング技術または蒸着技術、及び、フォトリソグラフィー技術によって、水晶振動板部分2aの所定の位置に、第1,第2励振電極25a,26a及び第1,第2金属膜27a,28a等を形成する、電極形成工程を実施する。
【0071】
更に、図9(d)に示されるように、各水晶振動板部分2aの表裏の両主面の全面を、連続した樹脂フィルム3a,4aでそれぞれ覆うように、樹脂フィルム3a,4aを加熱圧着し、各水晶振動板部分2aの各振動部分21aを封止する。
【0072】
図10は、樹脂フィルム3a,4aを、各水晶振動板部分2aに加熱圧着する工程を模式的に示す概略断面図である。
【0073】
先ず、図10(a)に示すように、上側の加圧加熱ブロック7と、下側の加圧加熱ブロック8との間に、両主面が樹脂フィルム3a,4aでそれぞれ覆われた各水晶振動板部分2aを、上下に保護フィルム6を介在させた状態でセットする。
【0074】
次に、図10(b)に示すように、上下の加圧加熱ブロック7,8によって、各水晶振動板部分2aに、第1,第2樹脂フィルム3a,4aを加圧加熱して圧着する。
【0075】
次に、図10(c)に示すように、第1,第2樹脂フィルム3a,4aが接合された各水晶振動板部分2aを取り出す。そして、保護フィルム除去工程において保護フィルム6を除去する。
【0076】
この樹脂フィルム3a,4aを、各水晶振動板部分2aに加熱圧着する工程は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で行われる。なお、この加熱圧着する工程は、不活性ガス雰囲気中に限らず、大気中や減圧雰囲気中で行ってもよい。
【0077】
次に、図9(e)に示すように、各水晶振動板2にそれぞれ対応するように、連続した各樹脂フィルム3a,4aを、第1,第2金属膜27,28が露出するように切断して不要部分を除去し、各水晶振動板2を分離して個片化する。
【0078】
これによって、図1に示される水晶振動子1が複数得られる。
【0079】
本実施形態によれば、第1,第2樹脂フィルム3,4が接合されている振動部21の外枠部23の各主面F1,F2を、第1,第2励振電極25,26に対向する位置まで延長した仮想延長面VF1,VF2と第1,第2励振電極25,26との垂直距離D1は、第1,第2樹脂フィルム3,4の撓み量D2を上回る距離としているので、第1,第2励振電極25,26に近接するように撓んでいる第1,第2樹脂フィルム3,4が、振動部21の第1,第2励振電極25,26に接触するのを防止することができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、水晶振動板2の表裏の両主面に、第1,第2樹脂フィルム3,4を接合して水晶振動子1を構成するので、セラミック等の絶縁材料からなる凹部を有するベースに、水晶振動片を収納し、蓋体をベースに接合して、気密に封止する従来例のように、高価なベースや蓋体が不要となる。
【0081】
これによって、水晶振動子1のコストを低減することができ、水晶振動子1を、安価に提供することができる。
【0082】
また、ベースの凹部に、水晶振動片を収納して蓋体で封止する従来例に比べて、薄型化(低背化)を図ることができる。
【0083】
本実施形態の水晶振動子1では、第1,第2樹脂フィルム3,4によって振動部21を封止しているので、ベースに金属製やセラミック製の蓋体を接合して気密に封止する従来例に比べて気密性が劣り、水晶振動子1の共振周波数の経年変化が生じ易い。
【0084】
しかし、例えば、近距離無線通信用途のうちBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等では、周波数偏差等の規格が比較的緩やかであるので、かかる用途では、樹脂フィルムで封止した安価な水晶振動子1を使用することが可能である。
【0085】
上記実施形態では、水晶振動板2の両主面の一方の主面には、図2に示すように、第1樹脂フィルム3が接合される第1封止パターン201が、略矩形の振動部21を取り囲むように矩形環状に形成され、水晶振動板2の両主面の他方の主面には、図5に示すように、第2樹脂フィルム4が接合される第2封止パターン202が、略矩形の振動部21を取り囲むように矩形環状に形成されたが、矩形環状の第1,第2封止パターン201,202を省略してもよい。
【0086】
図11及び図12は、第1,第2封止パターン201,202を省略した水晶振動板2の概略平面図及び概略底面図である。
【0087】
この水晶振動板2では、第1金属膜27は、図11に示されるように、引き回し電極209及び第1引出し電極203を介して第1励振電極25に電気的に接続されている。
【0088】
第2金属膜28は、図12に示されるように、第2引出し電極204が延長されて第2励振電極26に電気的に接続されている。
【0089】
その他の構成は、上記実施形態と同様である。
【0090】
上記各実施形態では、水晶振動板2,2の第1,第2金属膜27,28は、上記のように当該水晶振動子1を、回路基板等に実装するための実装端子としての機能を有している。本発明の他の実施形態として、第1,第2実装端子を、第1,第2金属膜27,28とは別に形成し、第1,第2金属膜27,28を、第1,第2実装端子と第1,第2励振電極25,26とを電気的に接続する接続電極として機能させてもよい。
【0091】
このように第1,第2金属膜27,28を、第1,第2実装端子と第1,第2励振電極25,26とを電気的に接続する接続電極として機能させた実施形態を図13及び図14に示す。
【0092】
この図13及び図14は、水晶振動子1の概略斜視図及び概略断面図である。この実施形態の水晶振動子1の外形サイズは、上記各実施形態の水晶振動子1の外形サイズと同じである。
【0093】
この実施形態の水晶振動子1の水晶振動板2は、上記各実施形態と同様に、第1,第2励振電極25,26が形成された振動部21と、この振動部21の周囲を、貫通部22を挟んで取り囲む外枠部23と、振動部21と外枠部23とを連結する連結部24とを備えている。
【0094】
この実施形態では、第1,第2樹脂フィルム3,4は、水晶振動板2の第1,第2励振電極25,26が形成された振動部21及びその周囲の矩形の領域だけではなく、水晶振動板2の両主面の全面をそれぞれ覆うように接合されている。すなわち、第1,第2樹脂フィルム3,4のサイズは、上記各実施形態の第1,第2樹脂フィルム3,4のサイズに比べて大きく、水晶振動板2と同じサイズである。
【0095】
したがって、図14に示すように、水晶振動板2に形成されている第1,第2金属膜27,28の内、両主面に形成されている部分は、第1,第2樹脂フィルム3,4で覆われている。
【0096】
この実施形態では、両主面の全面に第1,第2樹脂フィルム3,4がそれぞれ接合された水晶振動板2の長辺方向の両端部に、第1,第2樹脂フィルム3,4及び水晶振動板2の外表面の略全面を覆うように導電性ペーストを塗布して熱硬化させて第1,第2実装端子17,18を形成している。
【0097】
第1金属膜27は、上記各実施形態と同様に、水晶振動板2の長辺方向の両端部の一方の端部の、対向する長辺側の各側面及び対向する短辺側の一方の側面に亘って形成されている。第1実装端子17は、この第1金属膜27上に形成されているので、第1実装端子17は、第1金属膜27に電気的に接続される。第1金属膜27は、上記各実施形態と同様に、第1励振電極25に電気的に接続されているので、この第1金属膜27は、第1励振電極25と第1実装端子17とを電気的に接続する接続電極として機能する。
【0098】
同様に、第2金属膜28は、水晶振動板2の長辺方向の両端部の他方の端部の、対向する長辺側の各側面及び対向する短辺側の他方の側面に亘って形成されている。第2実装端子18は、この第2金属膜28上に形成されているので、第2実装端子18は、第2金属膜28に電気的に接続される。第2金属膜28は、第2励振電極26に電気的に接続されているので、この第2金属膜28は、第2励振電極26と第2実装端子18とを電気的に接続する接続電極として機能する。
【0099】
この実施形態では、第1,第2実装端子17,18を、水晶振動板2に接合された第1,第2樹脂フィルム3,4の外表面に形成するので、上記各実施形態のような、水晶振動板2,2に形成された第1,第2金属膜27,28を第1,第2実装端子とする構成に比べて、図6及び図14に示されるように、水晶振動板2に形成する第1,第2金属膜27,28のサイズを小さくすることができ、その分、第1,第2金属膜27,28に挟まれた振動部21のサイズを大きくすることができる。
【0100】
これによって、水晶振動子1自体のサイズを大きくすることなく、振動部21を、水晶振動板2の長辺方向に沿って長くして振動特性を向上させることができると共に、当該水晶振動子1の実装に必要な第1,第2実装端子17,18の接合領域を確保することができる。
【0101】
上記各実施形態では、連結部24,24は平面視が略矩形の振動部21,21の一つの角部に一箇所、設けられていたが、連結部24,24の形成位置や形成数はこの限りではない。さらに連結部24,24の幅は一定でなくてもよい。
【0102】
また、貫通部を有することなく、振動部を薄く、その周辺部を厚くした逆メサ型の水晶振動板に適用してもよい。
【0103】
上記各実施形態では、熱可塑性の接着層を有する第1,第2樹脂フィルム3,3;4,4を、水晶振動板2,2,2に加熱圧着したが、本発明の他の実施形態として、第1,第2樹脂フィルムとして、感光性樹脂フィルム、例えば、感光性ポリイミドフィルムを使用し、この感光性樹脂フィルムを、水晶振動板にラミネートし、フォトマスクを介して露光、現像して、感光性樹脂フィルムの不要部分を除去して硬化させるようにしてもよい。
【0104】
上記各実施形態では、水晶振動板2,2,2の両主面に、第1,第2樹脂フィルム3,4;3,4を接合して、振動部21を封止したが、少なくとも一方の主面の樹脂フィルムに代えて、従来の蓋体を接合して振動部21を封止してもよい。
【0105】
水晶振動板は、平面視略矩形であればよく、上記のような平面視矩形に限らず、例えば、水晶振動板の角部を面取りした形状、あるいは、水晶振動板の周縁部を厚み方向に切欠き、切欠き部に電極が被着されてなるキャスタレーション等が形成された形状であってもよい。
【0106】
本発明は、水晶振動子に限らず、水晶発振器等の他の水晶振動デバイスに適用してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1,1 水晶振動子
2,2,2 水晶振動板
3,3 第1樹脂フィルム
4,4 第2樹脂フィルム
5 水晶ウェハ
21,21 振動部
23,23 外枠部
24,24 連結部
25,25 第1励振電極
26,26 第2励振電極
27,27 第1金属膜
28,28 第2金属膜
201 第1封止パターン
202 第2封止パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14