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特開2022-38700経費精算システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038700
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】経費精算システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220303BHJP
   G06Q 40/00 20120101ALI20220303BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q40/00 400
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143322
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】594103301
【氏名又は名称】三井住友カード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 健太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】不正使用を未然に防止する経費精算システムを提供する。
【解決手段】経費精算は、第1のユーザに関連付けられる照会電文を加盟店端末から受信し、照会電文に含まれるカード番号に基づいてカード番号に対応する利用制御情報を読み出し、利用制御情報は、第1のユーザに関連付けられる経費利用申請であって、第2のユーザによって承認された経費利用申請に基づいて設定されており、照会電文に含まれる期間情報、場所情報、金額情報、加盟店業種コード、および対面/非対面情報の1または複数と、利用制御情報に格納されている対応するそれぞれの情報を比較し、比較の結果、照会電文に基づくカード決済を承認することを判定するという条件で、承認されたカード決済に関連付けられる売上データを加盟店端末から受信して、カード利用明細情報として格納し、カード利用明細情報を精算処理のために会計システムに送信する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不正使用を未然に防止する経費精算システムであって、
第1のユーザに関連付けられる照会電文を加盟店端末から受信し、
前記照会電文に含まれるカード番号に基づいて前記カード番号に対応する利用制御情報を読み出し、前記利用制御情報は、前記第1のユーザに関連付けられる経費利用申請であって、第2のユーザによって承認された経費利用申請に基づいて設定されており、
前記照会電文に含まれる期間情報、場所情報、金額情報、加盟店業種コード、および対面/非対面情報の1つまたは複数と、前記利用制御情報に格納されている対応するそれぞれの情報を比較し、
前記比較の結果、前記照会電文に基づくカード決済を承認することを判定するという条件で、承認された前記カード決済に関連付けられる売上データを前記加盟店端末から受信して、カード利用明細情報として格納し、
前記カード利用明細情報を精算処理のために会計システムに送信する
ように構成された経費精算システム。
【請求項2】
前記比較の結果、前記照会電文に基づくカード決済を承認しないことを判定するという条件で、
前記加盟店端末に対して決済否認を示す通知を行い、前記第1のユーザおよび前記第2のユーザに第1のアラートを通知する
ようにさらに構成される請求項1の経費精算システム。
【請求項3】
前記第1のアラートは、前記カード決済が否認されたこと、および前記カード決済の内容が前記経費利用申請の内容のうちの1つまたは複数に合致していないことを示す、請求項2の経費精算システム。
【請求項4】
前記比較の結果、前記照会電文に基づくカード決済を承認しないことを判定するという条件で、
前記加盟店端末に対して決済可を示す通知を行い、前記第1のユーザおよび前記第2のユーザに第2のアラートを通知する
ようにさらに構成される請求項1の経費精算システム。
【請求項5】
前記第2のアラートは、前記カード決済の内容が前記経費利用申請の内容のうちの1つまたは複数に合致していないが、カード決済自体は行うことを示す、請求項4の経費精算システム。
【請求項6】
前記場所情報は、国コードおよび加盟店所在地のうちの少なくとも1つである、請求項1の経費精算システム。
【請求項7】
不正使用を未然に防止する経費精算システムによって実行される方法であって、
第1のユーザに関連付けられる照会電文を加盟店端末から受信することと、
前記照会電文に含まれるカード番号に基づいて前記カード番号に対応する利用制御情報を読み出すことであって、前記利用制御情報は、前記第1のユーザに関連付けられる経費利用申請であって、第2のユーザによって承認された経費利用申請に基づいて設定されている、ことと、
前記照会電文に含まれる期間情報、場所情報、金額情報、加盟店業種コード、および対面/非対面情報の1または複数と、前記利用制御情報に格納されている対応するそれぞれの情報を比較することと、
前記比較の結果、前記照会電文に基づくカード決済を承認することを判定するという条件で、承認された前記カード決済に関連付けられる売上データを前記加盟店端末から受信して、カード利用明細情報として格納することと、
前記カード利用明細情報を精算処理のために会計システムに送信することと
を備える方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経費精算システム、方法およびプログラムに関する。より詳細に言えば、本発明は、事業者向けクレジットカード等の不正使用を未然に防止する経費精算システム、方法およびプログラム
【背景技術】
【0002】
日本の人口および生産年齢人口は、今後減少していくことが予想されている。このため、国内企業は、生産性の向上や人材確保が経営課題となっている。このような状況の下、多くの企業が働き方改革に取り組んでおり、あるいは今後の取り組みに関心を示している(非特許文献1)。非特許文献1によれば、働き方改革への取り組みで重視する目的として、従業員のモチベーション向上、生産性向上、およびコンプライアンスへの対応などが挙げられている。
【0003】
働き方改革の取り組みの一つの事例として、経費精算や旅費精算のワークフローを抜本的に見直し、キャッシュレスおよびデジタル化を同時に推進することを検討する企業が増えつつある。従来の経費精算や旅費精算では、申請や承認作業における紙運用、従業員による立替払い、および領収書による事後精算が行われていて、従業員やその上長、経理部門の者にとっては非常に手間がかかる手続きであり、その手続きにおいて改ざんのリスクがあるものであった。
【0004】
一部では、従業員による立替払いを解消するために法人カードを用いた経費精算システム(特許文献1)が導入されていたものの、経費精算や旅費精算のワークフローを抜本的に変えるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-341858号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社帝国データバンク、「特別企画:働き方改革に対する企業の意識調査(2019年12月)」、2020年1月16日発行
【非特許文献2】内閣府政府広報室、『「クレジットカード取引の安心・安全に関する世論調査」の概要』、平成28年9月発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
事業者向けクレジットカード等には事業主の種類に応じた様々な種類のカード、例えば、個人事業主や中小零細企業向けのビジネスカード、大企業向けのコーポレートカードやパーチェシングカード、法人向けデビットカード、法人向けプリペイドカード等がある。事業者向けクレジットカード等は、企業にとって便利ではあるものの、導入が進んでいなかった。その原因の一つとして、非特許文献2によれば、約58%の人がクレジットカードを積極利用したくないと答えており、その理由としてクレジットカードの不正使用が挙げられている。このため、カードの不正使用に対する対策強化のニーズは非常に高い。
【0008】
経費精算や旅費精算のワークフローでは、キャッシュレスおよびデジタル化が進んでいないこともあり、私費利用を含む経費精算のごまかし、旅費規程の理解不足から生じる規定違反など不正使用が行われることもあった。このような不正使用を起こさせないことが、企業にとって重要な事項になっていた。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、不正使用を未然に防止する経費精算システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様である不正使用を未然に防止する経費精算システムは、
第1のユーザに関連付けられる照会電文を加盟店端末から受信し、
前記照会電文に含まれるカード番号に基づいて前記カード番号に対応する利用制御情報を読み出し、前記利用制御情報は、前記第1のユーザに関連付けられる経費利用申請であって、第2のユーザによって承認された経費利用申請に基づいて設定されており、
前記照会電文に含まれる期間情報、場所情報、金額情報、加盟店業種コード、および対面/非対面情報の1つまたは複数と、前記利用制御情報に格納されている対応するそれぞれの情報を比較し、
前記比較の結果、前記照会電文に基づくカード決済を承認することを判定するという条件で、承認された前記カード決済に関連付けられる売上データを前記加盟店端末から受信して、カード利用明細情報として格納し、
前記カード利用明細情報を精算処理のために会計システムに送信する
ように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、事業者向けクレジットカード等ごとに利用可能な金額、場所および期間などを設定することができるので、不正使用時にアラート通知やカード利用制限を行うことができるようになる。また、本発明によれば、経費利用の事前申請・承認、カードコントロール、および会計システム連動までの一連のワークフロー・機能を1つのシステムで提供することができるようになる。さらに、本発明によれば、カード利用者の利用内容や利用制限情報をリアルタイムで監視することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書において開示される実施形態の詳細な理解は、添付図面に関連して例示される以下の説明から得ることができる。
図1】本発明の実施形態に係る経費精算システム、加盟店端末、ユーザ端末および会計システムを含むシステム全体の構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る経費精算システムのシステム構成図である。
図3】本発明の実施形態に係るユーザマスタのデータ構造の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る加盟店マスタのデータ構造の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る申請内容のデータ構造の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る利用制御情報のデータ構造の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るカード利用明細のデータ構造の一例を示す図である。
図8】従業員によってなされた経費申請に対して上長が承認をした申請内容に基づいて、従業員のカード利用制御の設定を行う処理フローを示す。
図9】従業員の実際のカード利用に対して経費申請の内容に合致しているかどうかを判定し、合致している場合には精算処理まで行い、合致していない場合には利用不可処理を行う処理フローを示す。
図10】事後で経費申請を行い、その内容に基づいて精算処理を行う処理フローを示す。
図11】本発明の実施形態に係る、カード利用者の申請内容、カード利用内容、および利用制限情報を表示する管理画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る経費精算システム10、加盟店端末11、ユーザ端末12および会計システム13を含むシステム全体の構成図である。経費精算システム10は、加盟店端末11、ユーザ端末12および会計システム13と相互に通信可能に接続されている。図1では、説明の簡便化のため、加盟店端末11、ユーザ端末12および会計システム13は1つずつしか示されていないが、これらは複数存在し得る。例えば、ユーザ端末12は、限定される訳ではないが、企業の従業員が使用するユーザ端末12-1、従業員の上長が使用するユーザ端末12-2、および経理担当者が使用するユーザ端末12-3を含むことができる。
【0014】
経費精算システム10は、経費精算の申請・承認機能、承認内容に関連付けられるカード利用制御機能、カード利用データに基づく精算処理機能を提供する。
【0015】
経費精算の申請・承認機能に関して、経費精算システム10は、企業の従業員に関連付けられるユーザ端末12-1から経費利用の申請データを受信し、従業員の上長に申請データの存在を通知し、従業員の上長に関連付けられるユーザ端末12-2によって行われた申請データに対する承認結果をユーザ端末12-1に送信することができる。
【0016】
承認内容に関連付けられるカード利用制御機能に関して、経費精算システム10は、申請データに対する肯定的な承認結果に基づいてカード利用可能な金額、場所、業種、方式(対面/非対面)および期間などの利用制御情報を設定し、加盟店端末11から受信した照会電文に含まれる情報に基づいてオーソリゼーション(カード決済の可否を判定する処理)を行って、その判定結果を加盟店端末11に送信し、および利用制御情報に照らして許容されないカード利用に対してアラート通知や利用制限を行うことができる。なお、対面とは、実際の店舗等でカード決済を行うことを示し、非対面とは、インターネット上の店舗等でカード決済を行うことを示す。
【0017】
カード利用データに基づく精算処理機能に関して、経費精算システム10は、加盟店端末11から売上データを受信してカード利用明細データとして格納する。売上データは、オーソリゼーションの後、カード会員が加盟店端末11にて暗証番号を入力した後、あるいは発行された売上伝票に署名をした後、経費精算システム10に送信される。その後、経費精算システム10は、精算処理を行うためにカード利用明細データを会計システム13に送信する。
【0018】
会計システム13は、受信したカード利用明細データに基づいて仕訳データを生成し精算処理を実行する。会計システム13は、経費精算システム10の内部に存在してもよく、あるいは図1に示すように、ネットワーク経由で接続される外部システムであってもよく、限定されることはない。
【0019】
本明細書では、経費精算システム10を1つのシステムあるいは装置として説明するが、経費精算システム10によって実行される様々な処理を複数のシステムあるいは装置で分散して実行するように構成してもよい。
【0020】
加盟店端末11は、カードでの決済処理が可能な、加盟店の店頭に設置されているカード決済端末機であってもよいし、あるいは加盟店が運用している電子商取引のためのシステムであってもよい。加盟店端末11は、POS端末に組み込まれていてもよい。
【0021】
加盟店端末11は、オーソリゼーションのために照会電文を経費精算システム10に送信し、その判定結果(例えば、承認、非承認)を受信する。加盟店端末11は、承認された場合、売上データを経費精算システム10に送信する。
【0022】
ユーザ端末12は、企業の従業員、その上長、および経理担当者などによって使用される端末であり、パーソナルコンピュータ(PC)などの通信機能を備えたコンピュータとすることができるが、特定の装置やデバイスに限定されることはない。
【0023】
(システム構成)
図2は、本発明の実施形態に係る経費精算システム10のシステム構成図である。図2に示すように、経費精算システム10は、一般的なコンピュータと同様に、バス120などによって相互に接続された制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、インターフェース(IF)部104、および出力部105を備える。補助記憶部103は、経費精算システム10の各機能を実装するプログラム、および当該プログラムで取り扱うデータを格納する。補助記憶部103は、ファイル/データベースなどの形式で、ユーザマスタ106、加盟店マスタ107、申請内容108、利用制御情報109およびカード利用明細110を備える。補助記憶部103に格納されている各プログラムは、経費精算システム10によって実行される。
【0024】
制御部101は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、経費精算システム10の各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部103に格納されている各種プログラムを主記憶部102に読み出して実行する。主記憶部102は、メインメモリとも呼ばれ、受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶する。補助記憶部103は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。
【0025】
図2の実施形態は、制御部101、主記憶部102および補助記憶部103を同一のコンピュータの内部に設ける実施形態について説明するが、他の実施形態として、経費精算システム10は、制御部101、主記憶部102および補助記憶部103を複数個使用することにより、複数のコンピュータによる並列分散処理を実現するように構成することもできる。また、他の実施形態として、経費精算システム10のための複数のサーバを設置し、複数サーバが一つの補助記憶部103を共有する実施形態にすることも可能である。
【0026】
IF部104は、他のシステムや装置との間でデータを送受信する際のインターフェースの役割を果たし、また、システムオペレータから各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースを提供する。出力部105は、処理されたデータを表示する表示画面や当該データを印刷するための印刷手段などを提供する。
【0027】
ユーザマスタ106は、本発明に係る経費精算システム10を利用するユーザ(例えば、企業の従業員、その上長、経理担当者など)の情報を格納する。
【0028】
図3は、本発明の実施形態に係るユーザマスタ106のデータ構造の一例を示す図である。ユーザマスタ106は、ユーザID301、ユーザ情報302、会社ID303、ルート情報304、およびカード番号305を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0029】
ユーザID301は、本発明に係る経費精算システム10を利用するユーザを識別する識別子である。ユーザ情報302は、ユーザの氏名、パスワード、連絡先情報(メールアドレス含む)などのユーザに関連する情報を示す。会社ID303は、ユーザが所属する会社の識別子である。ルート情報304は、本発明に係る経費精算システム10において経費申請が回付されるルートを示す。ルート情報304には、例えば、ユーザID301が従業員であった場合、経費申請が回付される次のルートとして直属の上長が指定される。上長の指定は、会社ID303およびユーザID301に基づいて設定されてよい。カード番号305は、ユーザが利用する事業者向けクレジットカード等のカード番号を示す。
【0030】
図2に戻って説明すると、加盟店マスタ107は、加盟店の情報を格納するマスタファイルである。図4は、本発明の実施形態に係る加盟店マスタ107のデータ構造の一例を示す図である。加盟店マスタ107は、加盟店ID401、加盟店名称402、所在地403、および業種コード404を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0031】
加盟店ID401は、加盟店を識別する識別子である。加盟店名称402は、加盟店の名称を示す。所在地403は、加盟店の所在地を示す情報である。業種コード404は、加盟店の業種(例えば、航空、レストラン、など)を示す情報である。
【0032】
図2に戻って説明すると、申請内容108は、経費利用申請の内容を表すデータを格納する。経費利用申請は、実際に経費を使用する前に行うものであるが、場合によっては、事後に行ってもよい。図5は、本発明の実施形態に係る申請内容108のデータ構造の一例を示す図である。申請内容108は、申請ID501、申請内容502、期間503、場所504、金額505、承認フラグ506、および事後申請情報507を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0033】
申請ID501は、従業員が行った経費利用申請を識別する識別子である。申請内容502は、従業員が行った経費利用申請の内容を示す。例えば、申請内容502は、「2020年9月1日~10日の期間に米国出張し、〇〇州のA社とその工場を訪問する。宿泊先は△△ホテルである。利用予定の経費は50万円。」などといった内容を示す。期間503は、申請内容502から抽出された、経費を使用する期間を示す。
【0034】
場所504は、申請内容502から抽出された、経費を使用する場所を示す。金額505は、申請内容502から抽出された、使用する経費の金額を示す。承認フラグ506は、申請が承認されたのか、あるいは否認されたのかを示す。事後申請情報507は、事後申請データであることを示すフラグおよび対応する既利用のカード利用明細を特定する情報を含む。
【0035】
図2に戻って説明すると、利用制御情報109は、事業者向けクレジットカード等の利用制限に関する情報を格納する。図6は、本発明の実施形態に係る利用制御情報109のデータ構造の一例を示す図である。利用制御情報109は、カード番号305、利用可能期間601、利用可能場所602、利用可能金額603、利用可能業種604、および利用可能方式605を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0036】
カード番号305は、図3を参照しながら説明したように、従業員が利用する事業者向けクレジットカード等のカード番号を示す。利用可能期間601は、事業者向けクレジットカード等で決済可能な期間を示す。利用可能場所602は、事業者向けクレジットカード等で決済可能な場所、例えば、1または複数の特定の加盟店ID、特定のエリア(国、住所など)を示す。
【0037】
利用可能金額603は、事業者向けクレジットカード等で決済可能な金額を示す。利用可能業種604は、事業者向けクレジットカード等で決済可能な業種(例えば、航空、レストラン等)を示す。利用可能方式605は、事業者向けクレジットカード等で決済可能な方式(対面、非対面)を示す。
【0038】
図2に戻って説明すると、カード利用明細110は、カード決済の情報を格納する。図7は、本発明の実施形態に係るカード利用明細110のデータ構造の一例を示す図であり、カード利用明細110のデータ構造は、既知のフォーマットにしたがっていてよい。
【0039】
カード利用明細110は、取引ID701、カード番号305、取引年月日702、加盟店ID401、および決済金額703を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0040】
カード番号305および加盟店ID401は、上記で説明した通りであるので詳細な説明を省略する。取引ID701は、カード決済取引を識別する識別子であり、伝票Noとも呼ばれる。取引年月日702は、カード決済が行われた年月日の情報を示す。決済金額703は、カード決済取引の決済金額を示す。
【0041】
次に、図8図9を参照しながら、予め経費利用申請していた経費支払い条件に合致する時に事業者向けクレジットカード等での決済を可能にすることにより、不正使用を未然に防止する経費精算システムのスキームを説明する。図8および図9の処理フローは、本発明に係る経費精算システムが提供する一気通貫の仕組みであるが、説明の便宜上、図8および図9に分けて説明する。
【0042】
(処理フロー:事前申請およびカード利用制御設定処理)
図8は、経費精算システム10が、従業員によってなされた経費申請に対して上長が承認をした申請内容に基づいて、従業員のカード利用制御の設定を行う処理フローを示す。
【0043】
S801にて、経費精算システム10は、ユーザ端末12-1から経費利用の事前申請データを受信する。上述したように、ユーザ端末12-1は、企業の従業員に関連付けられる、すなわち使用される端末である。経費精算システム10は、受信した事前申請データを申請内容108に格納する。経費精算システム10は、ユーザ端末12-1を介してアクセスした従業員のユーザID301に基づいてユーザマスタ106に問い合わせを行い、ルート情報304から申請の回付ルートの情報(例えば、会社IDおよびユーザIDなど)を取得する。経費精算システム10は、取得した回付ルートの情報に基づいて、ユーザマスタ106から回付先である上長の連絡先情報を読み出し、読み出した連絡先情報を使用して申請があることを通知する。
【0044】
S802にて、経費精算システム10は、ユーザ端末12-2からのアクセスに応答して申請内容108から事前申請データを読み出し、ユーザ端末12-2に提供する。ユーザ端末12-2は、従業員の上長に関連付けられる、すなわち使用される端末である。経費精算システム10は、ユーザ端末12-2から事前申請データに対する判断結果を受信し、当該判断結果が承認を示すのか、または否認を示すのかを判定する。承認を示す場合には、経費精算システム10は、当該申請データの承認フラグ506に承認を示すフラグを設定し、S803に処理が進む。一方、否認を示す場合には、経費精算システム10は、当該申請データの承認フラグ506に否認を示すフラグを設定し、事前申請を行った従業員に対して否認されたことを示す通知を送信する。否認された場合、従業員はS801にて再度申請をやり直す。
【0045】
S803にて、経費精算システム10は、承認された事前申請データを申請内容108から読み出し、利用制御情報109の利用可能期間601、利用可能場所602、利用可能金額603、利用可能業種604、および利用可能方式605にそれぞれ対応する情報を設定する。
【0046】
上述した処理により、経費精算システム10は、予め経費利用申請していた経費支払い条件に合致する時に事業者向けクレジットカード等での決済を可能にし、事業者向けクレジットカード等の不正使用を未然に防止することができるようになる。
【0047】
(処理フロー:カード利用可否判定および精算処理)
図9は、経費精算システム10が、従業員の実際のカード利用に対して経費申請の内容に合致しているかどうかを判定し、合致している場合には精算処理まで行い、合致していない場合には利用不可処理を行う処理フローを示す。
【0048】
S901にて、経費精算システム10は、照会電文を加盟店端末11から受信する。照会電文は、カード利用者(本実施形態では、従業員)が国内または海外の加盟店にてカード決済する際、カード決済の可否を判定するために送信される電文である。照会電文には、カード番号、金額情報、期間情報(決済年月日を含む)、国コード、加盟店ID、加盟店名、加盟店所在地、加盟店業種コード、対面/非対面情報などが含まれるが、これらに限定されるわけではなく、他の情報が含まれていてもよい。
【0049】
カード決済の可否を判定する処理は、オーソリゼーションと呼ばれる。オーソリゼーションでは、一般的に、加盟店端末機は正当か、加盟店は正常か、カードは有効か(すなわち、解約されていないか、など)、利用枠内に収まるか、会員信用状況は良好か(すなわち、延滞発生していないか、など)、偽造悪用懸念はないか、などセキュリティ面および途上与信面に関して判定がなされる。本発明の経費精算システム10は、これらに加えて、カード決済の内容が事前申請通りの利用であるかどうか、あるいは管理者の事前設定に抵触しているかどうかを判定することができる。管理者の事前設定とは、経費申請および承認を経ることなく設定された利用制御情報を示す。例えば、管理者の事前設定として、ある従業員の事業者向けクレジットカード等の利用限度額を常時0円に設定すること、あるいは1ヶ月間の利用限度額を5万円とすること、などが可能である。経費精算システム10は、管理者の事前設定を行うための画面をユーザ端末12に提供することができる。
【0050】
S902にて、経費精算システム10は、照会電文に含まれるカード番号に基づいて利用制御情報109に問い合わせを行い、カード番号に対応する利用制御情報を読み出す。経費精算システム10は、照会電文に含まれる期間情報、場所情報(国コード、加盟店所在地)、金額情報、加盟店業種コード、および対面/非対面情報の1または複数と、利用制御情報109に格納されている対応する情報を比較する。経費精算システム10は、比較の結果、照会電文に基づくカード決済を承認する(利用制御しない)か、あるいは否認する(利用制御する)かを判定する。利用制御する場合には、S903に処理が進み、利用制御しない場合には、S904に処理が進む。
【0051】
S903にて、経費精算システム10は、加盟店端末11に対して決済否認を示す通知を行うとともに、ユーザマスタ106に問い合わせを行い、カード利用者(従業員)とその上長の連絡先情報を取得し、取得した連絡先情報に基づいてカード利用者(従業員)とその上長に対してアラートを通知する。通知されるアラートは、カード決済が否認されたこと、およびカード決済の内容が経費利用申請の内容のうちの1つまたは複数に合致していないことを示すことができる。
【0052】
本発明の他の実施形態では、経費精算システム10は、否認すると判定した場合であっても、カード決済自体は承認して加盟店端末11に対して決済可であることを通知した上で、カード利用者(従業員)とその上長に対してアラートを通知することもできる。通知されるアラートは、カード決済の内容が経費利用申請の内容のうちの1つまたは複数に合致していないが、カード決済自体は行うことを示すことができる。かかる場合は、カード決済自体が行えるので、S905にて後述するように会計システム13に対してカード利用明細情報を送信することができる。
【0053】
S904にて、経費精算システム10は、加盟店端末11に対して決済承認を示す通知を行い、その後、承認されたカード決済に関連付けられる売上データを加盟店端末11から受信し、カード利用明細110に格納する。
【0054】
S905にて、経費精算システム10は、カード利用明細情報をカード利用明細110から読み出し、会計システム13に送信する。会計システム13は、受信したカード利用明細情報に基づいて仕訳データを生成し精算処理を実行する。
【0055】
上述した処理により、経費精算システム10は、事業者向けクレジットカード等ごとに利用可能な金額、場所および期間などを設定しているため、申請内容に違反するカード決済発生時にアラート通知や利用制限を行うことができるようになる。また、図8および図9の処理により、経費精算システム10は、経費利用の事前申請・承認、カードコントロール、および会計システム連動までの一連のワークフロー・機能を1つのシステムで提供することができるようになる。
【0056】
(処理フロー:事後申請および精算処理)
図10は、経費精算システム10が、事前の経費利用申請をしていなかった従業員の実際のカード利用に対して事後で経費申請を行い、その内容に基づいて精算処理を行う処理フローを示す。
【0057】
S1001にて、ユーザ端末12-1は、経費精算システム10にアクセスして、カード利用明細110から従業員のカード番号305に関連付けられるカード利用明細情報を取得する。ユーザ端末12-1は、取得したカード利用明細情報のうち事後申請する対象データを識別し、識別された対象データに関連付けられる経費利用の事後申請データを経費精算システム10に送信する。事後申請は、図8および図9を参照しながら説明した事前申請の際には予期できなかった経費利用が発生した際に行われる。
【0058】
経費精算システム10は、受信した事後申請データを申請内容108に格納する。事後申請情報507には、事後申請データであることを示すフラグに所定の値が設定され、および識別されたカード利用明細情報を特定する情報(例えば、取引ID701)が設定される。
【0059】
経費精算システム10は、ユーザ端末12-1を介してアクセスしてきた従業員のユーザID301に基づいてユーザマスタ106に問い合わせを行い、ルート情報304を読み出して申請の回付ルートの情報を取得する。経費精算システム10は、取得した回付ルートの情報に基づいて、ユーザマスタ106から回付先である上長の連絡先情報を読み出し、読み出した連絡先情報を使用して申請があることを通知する。
【0060】
S1002にて、経費精算システム10は、ユーザ端末12-2からのアクセスに応答して申請内容108から事後申請データを読み出し、ユーザ端末12-2に提供する。ユーザ端末12-2は、従業員の上長に関連付けられる、すなわち使用される端末である。経費精算システム10は、ユーザ端末12-2から事後申請データに対する判断結果を受信し、当該判断結果が承認を示すのか、または否認を示すのかを判定する。承認を示す場合には、経費精算システム10は、当該申請データの承認フラグ506に承認を示すフラグを設定し、S1003に処理が進む。一方、否認を示す場合には、経費精算システム10は、当該申請データの承認フラグ506に否認を示すフラグを設定し、事前申請を行った従業員に対して否認されたことを示す通知を送信する。否認された場合、従業員はS1001にて再度申請をやり直す。
【0061】
S1003にて、経費精算システム10は、承認された申請データの事後申請情報507に基づいて対象となるカード利用明細情報をカード利用明細110から読み出し、会計システム13に送信する。会計システム13は、受信したカード利用明細情報に基づいて仕訳データを生成し精算処理を実行する。
【0062】
本発明の経費精算システム10は、ユーザ端末12からの要求に応答して、図11に示すような、カード利用者(従業員)の申請内容、カード利用内容、および利用制限情報を表示する管理画面1100を提供することができる。管理画面1100を通じて、カード利用者の利用内容や利用制限情報をリアルタイムで監視することができるようになる。管理画面1100は、申請内容1101、カード利用内容1102、および利用制限情報1103を含んでいるが、これ以外の情報を表示するように構成されてもよい。
【0063】
申請内容1101は、申請内容502の情報を表示する。カード利用内容1102は、S901にて受信した照会電文に含まれる内容、例えば、カード番号、金額情報、期間情報(決済年月日を含む)、国コード、加盟店ID、加盟店名、加盟店所在地、加盟店業種コード、対面/非対面情報などを表示する。利用制限情報1103は、利用可能期間601、利用可能場所602、利用可能金額603、利用可能業種604、および利用可能方式605を表示する。
【0064】
経費精算システム10は、利用制御をおこなった場合には、図11に示すように、利用制御の原因となったデータ項目を利用制限情報1103のデータ項目上で視覚的に明示してもよい。
【0065】
本発明の一実施形態では、経費精算システム10は、カード利用者の利用可能枠を普段0円に設定しておくことも可能である。経費精算システム10は、ユーザ端末12-2あるいはユーザ端末12-3から、利用可能枠の増額要求を受信した場合には、対応するカードの利用可能枠を要求額にしたがって更新することができ、一方、利用可能枠の減額要求を受信した場合には、対応するカードの利用可能枠を要求額にしたがって更新することができる。これらの操作は、管理者の事前設定を行うための画面を介して実行されてよい。これにより、企業は、普段は事業者向けクレジットカード等を従業員に自由に使用させず、企業側が認めた場合のみ使用可能になるように制御することができる。なお、ユーザ端末12-3は、企業の経理担当者に関連付けられる、すなわち使用される端末である。
【0066】
以上、例示的な実施形態を参照しながら本発明の原理を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、構成および細部において変更する様々な実施形態を実現可能であることを当業者は理解するだろう。すなわち、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 経費精算システム
11 加盟店端末
12 ユーザ端末
13 会計システム
101 制御部
102 主記憶部
103 補助記憶部
104 インターフェース(IF)部
105 出力部
106 ユーザマスタ
107 加盟店マスタ
108 申請内容
109 利用制御情報
110 カード利用明細
1100 管理画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不正使用を未然に防止する経費精算システムであって、
第1のユーザに関連付けられる照会電文を加盟店端末から受信し、
前記照会電文に含まれるカード番号に基づいて前記カード番号に対応する利用制御情報を読み出し、前記利用制御情報は、前記第1のユーザに関連付けられる経費利用申請であって、第2のユーザによって承認された前記経費利用申請に基づいて前記経費利用申請の前記承認の度に設定され、前記経費利用申請は、経費を実際に使用する前に行われており、
前記照会電文に含まれる期間情報、場所情報、金額情報、加盟店業種コード、および対面/非対面情報の1つまたは複数と、前記利用制御情報に格納されている対応するそれぞれの情報を比較し、
前記比較の結果、前記照会電文に基づくカード決済を承認することを判定するという条件で、承認された前記カード決済に関連付けられる売上データを前記加盟店端末から受信して、カード利用明細情報として格納し、
前記カード利用明細情報を精算処理のために会計システムに送信する
ように構成された経費精算システム。
【請求項2】
前記比較の結果、前記照会電文に基づくカード決済を承認しないことを判定するという条件で、
前記加盟店端末に対して決済否認を示す通知を行い、前記第1のユーザおよび前記第2のユーザに第1のアラートを通知する
ようにさらに構成される請求項1の経費精算システム。
【請求項3】
前記第1のアラートは、前記カード決済が否認されたこと、および前記カード決済の内容が前記経費利用申請の内容のうちの1つまたは複数に合致していないことを示す、請求項2の経費精算システム。
【請求項4】
前記場所情報は、国コードおよび加盟店所在地のうちの少なくとも1つである、請求項1の経費精算システム。
【請求項5】
不正使用を未然に防止する経費精算システムによって実行される方法であって、
第1のユーザに関連付けられる照会電文を加盟店端末から受信することと、
前記照会電文に含まれるカード番号に基づいて前記カード番号に対応する利用制御情報を読み出すことであって、前記利用制御情報は、前記第1のユーザに関連付けられる経費利用申請であって、第2のユーザによって承認された前記経費利用申請に基づいて前記経費利用申請の前記承認の度に設定され、前記経費利用申請は、経費を実際に使用する前に行われている、ことと、
前記照会電文に含まれる期間情報、場所情報、金額情報、加盟店業種コード、および対面/非対面情報の1または複数と、前記利用制御情報に格納されている対応するそれぞれの情報を比較することと、
前記比較の結果、前記照会電文に基づくカード決済を承認することを判定するという条件で、承認された前記カード決済に関連付けられる売上データを前記加盟店端末から受信して、カード利用明細情報として格納することと、
前記カード利用明細情報を精算処理のために会計システムに送信することと
を備える方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。