(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038748
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】容器洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B08B 9/30 20060101AFI20220303BHJP
B08B 9/093 20060101ALI20220303BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B08B9/30
B08B9/093
B08B3/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143385
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】北村 隆人
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA28
3B116AB14
3B116AB50
3B116BB43
3B116BB47
3B116CC03
3B201AA28
3B201AB14
3B201AB50
3B201BB43
3B201BB47
3B201CC01
3B201CC11
(57)【要約】
【課題】洗浄時において、回収槽に溜まった洗浄後の排液が、洗浄ノズルから噴射された高温・高圧の洗浄液によって跳ね上がって周囲に飛散するのを防止する。
【解決手段】回収槽22Aの隣接上方側に飛散防止カバー29が配置されており、飛散防止カバー29は、容器2の開口部2Dと対向する円形の開口部29Cが形成された天板29Bと、天板29Bの外縁から下方に伸びて、天板29Bの外縁に沿って連続する側壁29Aを備えている。
洗浄時においては、洗浄ノズル11から高温・高圧の洗浄液W1が噴射されるとともに、洗浄ノズル11が三次元的な移動軌跡で旋回されるのでドラム缶2の内面2Aが洗浄される。洗浄ノズル11から噴射された洗浄液W1が回収槽22A内の排液W1′にも噴射されて排液W1′が跳ね上がっても、飛散防止カバー29があるので排液W1′が周囲に飛散することはない。′
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
倒立状態の容器内に下方側から挿入されて、容器の内面に洗浄液を噴射するとともに三次元的な移動軌跡で移動される洗浄ノズルと、容器の下方側に配置されて、洗浄ノズルから噴射された洗浄後の洗浄液を回収する回収槽とを備えた容器洗浄装置において、
上記倒立状態の容器の開口部と上記回収槽との間に、回収槽に溜まった洗浄後の排液が周囲に飛散するのを防止する飛散防止カバーを備え、
該飛散防止カバーは、上記容器の開口部と対向する位置に容器の開口部と略同形の開口部が形成された天板を備えることを特徴とする容器洗浄装置。
【請求項2】
上記飛散防止カバーは、上記天板から下方に伸びた側壁を備えることを特徴とする請求項1に記載の容器洗浄装置。
【請求項3】
上記洗浄ノズルは、上記天板の開口部を介して、上方側の容器内に挿入されるようになっており、上記洗浄ノズルから容器に噴射された洗浄液は上記天板の開口部を介して上記回収槽に回収されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器洗浄装置に関し、より詳しくは、開口部を下方に向けた倒立状態の容器を洗浄する容器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からドラム缶のような容器は、使用後にその内外部が洗浄されて再利用されており、このような容器を洗浄する容器洗浄装置は公知である(例えば特許文献1)。
特許文献1の容器洗浄装置は、開口部が下方となる倒立状態でドラム缶を保持し、下方側から洗浄ノズルをドラム缶内に挿入した後、ドラム缶を軸心周りに回転させた状態でドラム缶の内外の洗浄ノズルから洗浄液を噴射することで、ドラム缶の内面および外面を洗浄するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような従来の容器洗浄装置においては、洗浄ノズルから噴射された高温・高圧の洗浄液によって、回収槽内に溜まった汚れた排液が跳ね上がって飛散したり、あるいは、容器内から落下した洗浄液や汚れによって、回収槽内の排液が跳ね飛んで洗浄領域の周囲や容器自体を汚したりしてしまうという問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、倒立状態の容器内に下方側から挿入されて、容器の内面に洗浄液を噴射するとともに三次元的な移動軌跡で移動される洗浄ノズルと、容器の下方側に配置されて、洗浄ノズルから噴射された洗浄後の洗浄液を回収する回収槽とを備えた容器洗浄装置において、
上記倒立状態の容器の開口部と上記回収槽との間に、回収槽に溜まった洗浄後の排液が周囲に飛散するのを防止する飛散防止カバーを備え、
該飛散防止カバーは、上記容器の開口部と対向する位置に容器の開口部と略同形の開口部が形成された天板を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、洗浄ノズルから噴射された洗浄液が回収槽に溜まった排液を跳ね上げたとしても飛散防止カバーがあることで排液が周囲に飛散するのを防止できる。また、容器の内部から落下した洗浄液や汚れによって回収槽内の排液が跳ねて周囲に飛散するのを防止することができる。したがって、洗浄領域の周囲が洗浄後の排液によって汚染されることを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、
図1ないし
図2において、1は容器洗浄装置であり、この容器洗浄装置1は、洗浄対象となる容器2(ドラム缶)を倒立させた状態において、その内面2Aおよび外面2B(外周面)を洗浄液で洗浄するようになっている。
洗浄対象となる容器2は、蓋を取り外し可能なオープンタイプのドラム缶であり、カール加工された上縁部2Cから予め蓋が取り外されて円形の開口部2Dが開口した状態となっている。
容器2の底部2Eの外周部には、リブ状の下端部2Fが突設されているので、容器2を倒立状態にすると、底部2Eの外面とリブ状の下端部2Fとによって深さが浅い窪み2Gが形成されている。下述するが、本実施例では、洗浄液W1による容器2の洗浄の際には上記窪み2Gに水が溜まるのを防止するために傘状の底部用カバー31で底部2Eと下端部2Fを覆うようにしている(
図2参照)。
【0009】
図1に示すように、本実施例においては、全体として略U字状の搬送経路で容器2を搬送するようになっており、搬送経路における洗浄領域Aで倒立状態の容器2の内面2Aと外面2Bを洗浄した後に、容器2を下流側の乾燥領域Bで乾燥させてから容器2を正立状態に戻して排出するようになっている。
搬送経路の上流端は容器2が供給される供給部Cとなっており、その隣接下流側に容器2を正立状態から倒立状態に反転させる第1反転部Dが設けられている。さらに、その隣接下流側の領域に、倒立状態の容器2の内面2Aと外面2Bを洗浄する洗浄領域Aが設けられている。
この洗浄領域Aは、最上流端の箇所が容器2の受入部A1となっており、その隣接下流側に順次、容器2の内面を高温・高圧の洗浄液W1で洗浄する洗浄部A2と、容器2の内面2Aをすすぎ洗浄するとともに外面2Bを洗浄するリンス部A3が形成されている。
洗浄領域Aの隣接下流側の領域は、洗浄後の容器2を下流側へ搬送する中間搬送領域Eとなっており、この中間搬送領域Eの隣接下流側は、洗浄後の容器2を熱風で乾燥させる乾燥領域Bとなっている。また、この乾燥領域Bの隣接下流側には容器2を倒立状態から正立状態に反転させる第2反転部Fが設けられており、その隣接下流側の箇所が容器2を排出する排出部Gとなっている。
【0010】
容器2の搬送経路における供給部Cから第1反転部Dまでと、中間搬送領域E、および第2反転部Fから排出部Gまでは、それぞれ搬送手段としてローラコンベヤ3が配置されており、それらの領域では、容器2は所定方向に回転されるローラコンベヤ3に載置されて順次下流側へ搬送されるようになっている。
他方、第1反転部Dの下流側となる洗浄領域Aは、左右一対の無端状チェーン4A、4Bを用いたチェーンコンベヤ4によって容器2を搬送するようになっている。また、これと同様に、第2反転部Fの上流側となる乾燥領域Bも、左右一対の無端状チェーン4A、4Bを用いたチェーンコンベヤ4によって容器2を下流側へ搬送するようになっている。
チェーンコンベヤ4は、左右一対の無端状チェーン4A、4Bを、容器2の直径よりも小さな間隔で平行に配置して構成されており、左右一対の無端状チェーン4A、4Bの上方側の水平な走行領域で容器2を直接支持して下流側へ搬送するようになっている。
図示しない制御装置によって、洗浄領域Aにおいては無端状チェーン4A、4B用のモータ19を間欠的に回転させることで、無端状チェーン4A、4B上に支持された容器2を間欠的に下流側へ搬送するようになっており、乾燥領域Bにおいては図示しないモータを間欠的に回転させることで、無端状チェーン4A、4B上に支持された容器2を間欠的に下流側へ搬送するようになっている。
【0011】
次に、容器2の搬送経路に沿って各部の構成を順に説明する。
搬送経路の上流端から第1反転部Dにわたってローラコンベヤ3が水平に配置されており、このローラコンベヤ3の上流端が供給部Cとなっている。このローラコンベヤ3にはカバー等の覆いは設けられておらず、このローラコンベヤ3が回転されている状態において、洗浄対象となる容器2(ドラム缶)が正立状態で供給部Cのローラコンベヤ3上に次々と供給されるようになっている。
供給部Cに正立状態で供給された容器2は、ローラコンベヤ3によって隣接下流側の第1反転部Dへ搬送されるようになっている。
第1反転部Dには、コ字型をした反転機構6が設けられており、この反転機構6によって正立状態の容器2を反転させて隣接下流側となる受入部A1の無端状チェーン4A、4B上に載置させるようになっている。
反転機構6は、搬送方向と直交方向に支持された支持軸6Aと、支持軸6Aの両端部に対向させて連結された一対のアーム6B、6Bとを備えており、各アーム6B、6Bの先端には対向状態で進退可能なグリッパ6C、6Cが取り付けられている。
図1に示すように、両アーム6B、6Bが搬送方向上流側を向けた待機状態において、ローラコンベヤ3によって両アーム6B、6Bの間に正立状態の容器2が搬送されて来ると、両グリッパ6C、6Cが同期して前進されることで、正立状態の容器2の外面2B(外周面)が左右両側から挟持される。その後、図示しない回転機構によって支持軸6Aを回転中心として、両アーム6B、6Bが搬送方向下流側に向けて180°回転されるとともに、グリッパ6C、6Cが後退されて容器2の挟持状態が解放される。
これにより容器2が正立状態から倒立状態に反転されるとともに、隣接する受入部A1で停止中の両無端状チェーン4A、4B上に載置されるようになっている。この後、反転機構6は、上記回転機構によって支持軸6Aを回転中心として、搬送方向上流側に向けて180°逆転されるので、両アーム6B、6Bが搬送方向上流側を向けた元の待機状態に復帰するようになっている。
第1反転部Dの反転機構6は、このようにして正立状態の容器2を反転させて倒立状態として、受入部A1の無端状チェーン4A、4B上に載置するようになっている。
なお、第2反転部Fの反転機構6も、第1反転部Dの反転機構6と同様の構成を備えており、第1反転部Dの反転機構6の作動と逆の作動を行うことで、乾燥領域Bの下流端となる無端状チェーン4A、4B上の容器2を保持して倒立状態から正立状態に反転させてローラコンベヤ3上に載置するようになっている。
【0012】
第1反転部Dの下流側となる洗浄領域Aでは、倒立状態の容器2をチェーンコンベヤ4によって順次間欠的に下流側へ搬送するようになっている。チェーンコンベヤ4の両側および上方側はケーシング8で覆われており、このケーシング8内を左右へ開閉可能な3箇所の開閉扉9A~9Cによって2つの空間に区画できるようになっている。それによって、上記受入部A1、洗浄部A2およびリンス部A3が区画されるようになっている。
受入部A1は第1反転部Dの後半部を兼ねており、その隣接下流側の空間が、高温・高圧の洗浄液W1によって容器2の内面2Aを洗浄する洗浄部A2となっている。さらに、その隣接下流側となる空間は、容器2の内面2Aを温水W2ですすぐとともに、容器2の外面2Bを温水W3で洗浄するリンス部A3となっている。
無端状チェーン4A、4Bが停止状態であって各開閉扉9A~9Cが閉鎖された状態において、受入部A1の無端状チェーン4A、4B上に反転機構6によって容器2が倒立状態で供給されると、その後、無端状チェーン4A、4Bが間欠的に所定量ずつ走行され、容器2は各開閉扉9A~9Cの手前で待機する。その後、開閉扉9A~9Cが開放されるとともに、無端状チェーン4A、4Bが所定量走行されることで、倒立状態の容器2が受入部A1から洗浄部A2内に搬入され、洗浄部A2内の容器2が洗浄部A2からリンス部A3内に搬入され、リンス部A3内の容器2がリンス部A3から搬出されると、開閉扉9A~9Cが閉鎖されるようになっている。
そして、開閉扉9A~9Cが閉鎖された状態において、洗浄部A2内において、倒立状態の容器2内に下方側から挿入された洗浄ノズル11によって高温・高圧の洗浄液W1が噴射されて、容器2の内面2Aが洗浄されるようになっている。また、リンス部A3においては、まず、容器2内にすすぎノズル12が挿入されてから容器2の内面2Aに温水W2が噴射されてすすぎ洗浄されるようになっており、容器2の内面2Aのすすぎ洗浄が終わると、外面洗浄ノズル13から容器2の外面2B(外周面)に温水W3が噴射されて、容器2の外面2Bが洗浄されるようになっている。
次に、洗浄部A2、リンス部A3の構成を
図2ないし
図3を参照して説明する。
ケーシング8における上部の搬送方向の左右両側には、搬送方向と平行に一対の回転軸15A、15Bが回転自在に軸支されており、各回転軸15A、15Bの一端にモータ16A、16Bが連結されている。
開閉扉9A~9Cはチェーンコンベヤ4の走行方向と直交させて、かつ、その上方側に配置されている。各開閉扉9A~9Cは、左右一対の可動扉から構成されており、一方の可動扉は連動部材17を介して回転軸15Aに連動させてあり、他方の可動扉は連動部材17を介して回転軸15Bに連動させている。
上記モータ16A、16Bの作動は図示しない制御装置によって制御されるようになっている。制御装置は、開閉扉9A~9Cを開放させる際には、モータ16A、16Bを同期して逆方向に回転させる一方、開閉扉9A~9Cを閉鎖させる際には、開放時とは逆方向にモータ16A、16Bを同期して回転させるようになっている。それにより、開閉扉9A~9Cが同期して開閉されるようになっている。
【0013】
洗浄領域A全体の下部と両側は、ケーシング8の下部および底部によって覆われており、ケーシング8の下部における上流端と下流端の下方側に、一対の回転軸18,18が搬送方向と直交させて回転自在に軸支されている。下流側の回転軸18にモータ19が連結されており、このモータ19の作動は制御装置によって制御されるようになっている。
上記一対の回転軸18、18に設けた2対のスプロケット20にわたって上記左右の無端状チェーン4A、4Bが掛け渡されている。上述したように、チェーンコンベヤ4を構成するこれら無端状チェーン4A、4Bに倒立状態の容器2が載置されるようになっている。そして、モータ19が所要時に制御装置によって間欠的に作動されることで、容器2を受入部A1から隣接位置の洗浄部A2に搬入し、かつ、洗浄部A2で洗浄が完了した容器2をリンス部A3に搬入し、その後、洗浄後の容器2を隣接する中間搬送領域Eのローラコンベヤ3上へ搬出するようになっている。
受入部A1、洗浄部A2、リンス部A3における無端状チェーン4A、4Bに沿って、左右一対のガイド部材21A、21Bが設けられており、チェーンコンベヤ4によって搬送される容器2の左右両側がこれらガイド部材21A、21Bによって案内されることで洗浄部A2、リンス部A3の中央に容器2が搬入されるようになっている。
【0014】
洗浄部A2およびリンス部A3の下方となるケーシング8の底部に、洗浄後の排液W1′、W2′、W3′を回収する回収槽22A、22Bが形成されている。回収槽22A、22Bは、それらの周囲となるケーシング8の底部よりも窪んだ凹部となっており、そこに排液が回収されやすい形状となっている。回収槽22A、22Bの所定位置には排水ドレン23A、23Bが設けられており、所要時に排水ドレン23A、23Bのバルブを開放させることで、回収槽22A、22Bに溜まった洗浄後の排液を排出できるようになっている。
洗浄部A2における回収槽22Aの中央に貫通孔22Aaが穿設されており、そこに液密を保持して軸受24が取り付けられている。この軸受24によって内面洗浄装置26における3次元洗浄ユニット27の回転筒27Aが回転自在、かつ昇降自在に軸支されている。回転筒27Aの上端の位置には、水平な旋回回転軸27Bが回転自在に取り付けられており、この旋回回転軸27Bに洗浄ノズル11が取り付けられている。3次元洗浄ユニット27の内部に洗浄液通路27Cが形成されており、洗浄時には洗浄液通路27Cを介して洗浄ノズル11から高温・高圧の洗浄液W1が噴射されるようになっている。また、その際には、洗浄ノズル11が回転筒27Aの軸周りに公転されるとともに、旋回回転軸27Bを回転中心として洗浄ノズル11が自転されるので、洗浄ノズル11から噴射される洗浄液W1は三次元の移動軌跡を描いて容器2の内面2Aに噴射されるようになっている。
なお、内面洗浄装置26の構成としては、2台のサーボモータにより洗浄ノズルを公転および旋回させるようにした洗浄装置が、例えば特開2018-171609号公報や特開2018-187586号等で公知であり、1台のサーボモータにより洗浄ノズルを公転および旋回させるようにした洗浄装置が、例えば特許第4636956号等で公知であり、ここでの詳細な説明は省略する。
洗浄部A2に設けられた内面洗浄装置26の3次元洗浄ユニット27は、図示しない昇降機構によって昇降可能となっており、容器2が洗浄部A2に搬入される前の状態では、昇降機構によって3次元洗浄ユニット27が無端状チェーン4A、4Bよりも下方側となる下降端に退没している。他方、チェーンコンベヤ4によって倒立状態の容器2が洗浄部A2の中央部に搬入されて停止されると、昇降機構によって3次元洗浄ユニット27が上昇されて、容器2の開口部2Dを介して容器2内の中央部に洗浄ノズル11が挿入されるようになっている(
図2の状態)。
なお、図面上は省略しているが、洗浄部A2の内部には図示しない複数の保持機構が配置されており、倒立状態の容器2が洗浄部A2の中央部に搬入されると、図示しない保持機構によって容器2の外面2Bが保持されて停止され、容器2が洗浄部A2の中央に位置決めされるようになっている。また、この複数の保持機構によって洗浄時に高圧の洗浄液W1が容器2に噴射されても容器2が動いてしまうことを防ぐことができるようになっている。
この状態において、洗浄時においては、容器2内に挿入された洗浄ノズル11から高温・高圧の洗浄液W1が噴射されるとともに、洗浄ノズル11が三次元の移動軌跡を描いて旋回されるので、容器2の内面2Aが洗浄液W1によって洗浄されるようになっている。この容器2内の洗浄時には、洗浄ノズル11から噴射される洗浄液W1は、旋回回転軸27Bが自転されることに伴って、容器2の開口部2Dを介して下方側の回収槽22A内の排液W1′に向けても直接噴射されることになる。
その際に、既に回収槽22A内に貯溜された洗浄後の排液W1′が、洗浄ノズル11から下方へ向けて直接噴射された洗浄液W1で周囲に飛散するのを防止するために、本実施例においては、回収槽22Aの隣接上方側の位置に飛散防止カバー29を設けている。
【0015】
飛散防止カバー29は、底部が全開した箱形の形状となっており、この飛散防止カバー29は、容器2の開口部2Dと対向する開口部29Cが形成された長方形の天板29Bと、この天板29Bの外縁から下方に伸びて、天板29Bの輪郭に沿って連続する鉛直方向の側壁29Aとを備えている。
飛散防止カバー29は図示しないブラケットによって、回収槽22Aの近接上方位置とチェーンコンベヤ4の隣接下方位置との間に固定して配置されている。飛散防止カバー29の開口部29Cは、洗浄部A2に搬入されて停止される容器2の開口部2Dと対向する位置に形成されている。
長方形となった天板29Bの搬送方向における寸法は、容器2の外径よりも少し大きな寸法となっており、天板29Bの搬送方向と直交方向の寸法は、容器2の外径よりも大きく実質的にケーシング8の左右の幅と同じ寸法となっている。本実施例において開口部29Cの形状は、容器2の開口部2Dと略同形の円形であり、容器2の開口部2Dの内径(上縁部2Cの内径)と略同じ寸法となっている。
また、飛散防止カバー29の開口部29Cの輪郭(縁部)に沿って環状のリフレクター30を設けている。リフレクター30は、内周縁よりも外周縁が高くなる、上方側が順次拡開するテーパ状に形成されている。外周縁の外径は、洗浄部A2に搬入される容器2の開口部2D(上縁部2C)の外径と略同じ寸法に設定されている。
洗浄部A2に容器2が搬入された際には、その上縁部2Cの近接下方側にリフレクター30が位置し、かつ、飛散防止カバー29の開口部29Cが容器2の開口部2Dと対向するようになっている(
図2の状態)。
そして、上記内面洗浄装置26の3次元洗浄ユニット27は、リフレクター30の内方および飛散防止カバー29の開口部29Cの内方を介して昇降可能となっている。
以上のように、洗浄部A2には、そこに搬入される容器2の隣接下方側となる位置に飛散防止カバー29とリフレクター30が配置されている。
そのため、
図2に示した洗浄時において、洗浄ノズル11から容器2の内面2Aに洗浄液W1が噴射される際には、容器2の内面2Aに噴射された洗浄後の排液W1′は、容器2の開口部2Dおよび飛散防止カバー29の開口部29Cを介して回収槽22A内に落下して、そこに貯溜される。
また、洗浄時においては、洗浄ノズル11が旋回回転軸27Bを中心として自転されるので、噴射された洗浄液W1が下方側に向けても噴射されるが、リフレクター30に向けて噴射された洗浄液W1は、該リフレクター30によって反射されて容器2の上縁部2Cに向けて噴射される。これにより、容器2の内面2Aだけでなく上縁部2Cも同時に洗浄することができる。また、洗浄ノズル11から回収槽22A内の排液W1′に向けても洗浄液W1が噴射されて排液W1′が跳ね上がっても、この跳ね上げられた排液W1′は飛散防止カバー29の側壁29Aや天板29Bの下面によって周囲に飛散されずに回収槽22A内に落下して回収される。また、容器2の内面2Aに付着していた内容物も洗浄液W1によって剥離して、回収槽22A内に回収される。このようにして剥離した内容物が回収槽22A内の排液W1′内に落下して、それが飛び跳ねたとしても、飛散防止カバー29によって周囲に飛散することが防止されるようになっている。
このように、本実施例においては、回収槽22Aの上方側に飛散防止カバー29が配置されているので、洗浄時に回収槽22Aに溜まった排液W1′が、洗浄ノズル11から噴射された洗浄液W1によって跳ね上がったとしても、回収槽22A内の排液W1′が洗浄部A2の周囲に飛散しないようになっている。
上述したように、洗浄部A2において高温・高圧の洗浄液W1を用いて容器2を洗浄しているで、洗浄部A2内では洗浄液W1による蒸気が発生し、その蒸気がケーシング8の天井に付着したものが液滴となって落下する。この液滴や洗浄液W1の蒸気が容器2の窪み2Gに溜まってしまうと洗浄後の乾燥に時間がかかったり、乾燥が不十分になったりする。そこで、本実施例では、洗浄部A2のケーシング8の天井から落下する液滴等が容器2の窪み2Gに溜まるのを防止するために、底部用カバー31が配置されている。
洗浄部A2のケーシング8の天井には、軸受33によって昇降軸34が昇降自在に支持されており、洗浄部A2内に位置する昇降軸34の下端部に底部用カバー31が取り付けられている。底部用カバー31は、容器2の外径に合わせた円形の傘状となっており、底部用カバー31の中央部に昇降軸34の下端部が連結されている。
昇降軸34は、ケーシング8の外部に配置された昇降シリンダ35によって昇降されるようになっており、昇降シリンダ35の作動は制御装置によって制御されるようになっている。
容器2が洗浄部A2に搬入される前の時点では、昇降シリンダ35によって底部用カバー31は上昇端に位置しており、その状態では底部用カバー31は、倒立状態の容器2の底部2Eに接触しない上方側に位置している。
他方、洗浄部A2に容器2が搬入されて停止されると、底部用カバー31の下方側に容器2の底部2Eが位置する。すると、昇降シリンダ35によって底部用カバー31が下降されるので、該底部用カバー31が下降されて容器2の窪み2Gおよび下端部2Fを全て覆うようになっている。また、この時には、下降端に位置していた上記3次元洗浄ユニット27も昇降機構によって上昇されて容器2内に挿入されるようになっている。
この状態となれば、上述したように、洗浄ノズル11から高温・高圧の洗浄液W1が噴射されることで、容器2の内面2Aが洗浄されるようになっている。そして、その際に生じる蒸気が洗浄部A2の天井に付着して、液滴となって落下したとしても容器2の窪み2G、下端部2Fは底部用カバー31で覆われているので、容器2の窪み2Gに液滴が溜まるのを防止できるようになっている。本実施例の洗浄部A2は以上のように構成されている。
【0016】
次に、リンス部A3のすすぎ洗浄装置37と外部洗浄装置38について説明する。すすぎ洗浄装置37は、上端部にすすぎノズル12が設けられた円筒状の給水ユニット37Aと、この給水ユニット37Aを昇降させる図示しない昇降機構を備えている。給水ユニット37Aの上端部に複数の噴射口を有するすすぎノズル12が配置されており、このすすぎノズル12から温水W2が噴射されると、このすすぎノズル12が給水ユニット37Aの軸心を回転中心として回転されるようになっている。
この給水ユニット37Aは、昇降機構によってすすぎノズル12がチェーンコンベヤ4よりも下方側に退没した下降端位置と、すすぎノズル12がチェーンコンベヤ4よりも上方となって容器2内に挿入される上昇端位置とに昇降されるようになっている。また、すすぎ洗浄時に、ノズル12から温水W2が容器2の内面2Aに向けて噴射される際には、すすぎノズル12が給水ユニット37Aの軸心を回転中心として回転されるようになっている。それにより、容器2の内面2A全域に万遍なく温水W2が噴射されてすすぎ洗浄が行われるようになっている。
次に、外部洗浄装置38は、多数の洗浄ノズル13が設けられた逆L字形の洗浄パイプ43と、この洗浄パイプ43を容器2の外周面に沿って周回させる回転機構44とを備えている。洗浄パイプ43における鉛直下方に伸びる箇所に、容器2の外面2B(外周面)に向けて複数の洗浄ノズル13が設けられている。
洗浄パイプ43の上端となる基部は、回転機構44によって保持されており、かつ、回転機構44が有するロータリージョインおよび図示しない導管を介して図示しない洗浄液供給源に連通している。
洗浄時に回転機構44のモータ44Aが回転されると、洗浄パイプ43は、その上端の基部を回転中心として容器2の周囲を周回するようになっており、その際には、洗浄液供給源から洗浄パイプ43へ温水W3(洗浄液)が供給されるようになっている。そのため、洗浄パイプ43の洗浄ノズル13から容器2の外面2Bに向けて洗浄液W3が噴射されて、容器2の外面2B(外周面)が洗浄されるようになっている。
このリンス部A3においては、上記すすぎ洗浄装置37による容器2の内面2Aのすすぎ洗浄の後に、外部洗浄装置38による容器2の外面2Bの洗浄が行われるようになっている。
さらに、リンス部A3における回収槽22Bの上方にも、上記洗浄部A2に配置したものと同様の飛散防止カバー29が設けられている。このリンス部A3の飛散防止カバー29は、上記洗浄部A2に配置された飛散防止カバー29からリフレクター30を取り除いた構成となっている。飛散防止カバー29自体の構成は、上記洗浄部A2の飛散防止カバー29と同じ構成となっている。つまり、飛散防止カバー29は、側壁29A、天板29Bおよび開口部29Cを備えている。この飛散防止カバー29の開口部29Cを介して、上記すすぎノズル12が昇降可能となっている。
このように、リンス部A3においても飛散防止カバー29が配置されているので、すすぎノズル12から温水W2が噴射されるすすぎ洗浄時においては、落下した洗浄後の温水W2が、回収槽22B内に溜まった排液W2′内に落下してそれが飛び跳ねたとしても、飛散防止カバー29によって周囲に飛散するのが防止されるようになっている。なお、外面洗浄ノズル13から噴射された洗浄後の温水W3の排液W3′はケーシング8の底部に落下して回収槽22Bに回収されるようになっている。リンス部A3は以上のように構成されている。
【0017】
以上のように、本実施例においては、洗浄部A2において倒立状態の容器2の内面2Aが洗浄ノズル11から噴射される高温・高圧の洗浄液W1によって洗浄されるようになっている。その後、倒立状態の容器2は、リンス部A3に搬入されてからすすぎノズル12から噴射される温水W2によって内面2Aがすすぎ洗浄された後に、洗浄ノズル13から噴射される温水W3によって外面2Bが洗浄されるようになっている。
このようにして、内面2Aと外面2Bの洗浄が完了した容器2は、チェーンコンベヤ4の間欠搬送に伴って、リンス部A3の下流側となる中間搬送領域Eのローラコンベヤ3上に搬出されて、該ローラコンベヤ3によって乾燥領域Bに搬入されてから乾燥処理が施される。
乾燥領域Bには、上記洗浄領域Aのものと同様のチェーンコンベヤ4が設けられており、このチェーンコンベヤ4によって容器2が搬送されるようになっている。
乾燥領域Bは洗浄部A2と同様のケーシング8で覆われており、ケーシング8における上流端と下流端に入口用と出口用の2箇所の開閉扉9A、9Bが設けられている。
開閉扉9A、9Bが開放された状態でチェーンコンベヤ4によって洗浄後の容器2が搬入され、乾燥された1つの容器2が搬出されるとチェーンコンベヤ4は停止される。
このようにして、乾燥領域B内に容器2が搬入されて2つの容器2が所定の乾燥位置に停止されると、開閉扉9A、9Bが閉鎖される。すると、ケーシング8内に所定時間、熱風が供給されるので、ケーシング8内の容器2の内面2Aおよび外面2Bが熱風によって迅速に乾燥されるようになっている。熱風が供給されて所定時間が経過すると、熱風の供給が停止される。すると、開閉扉9A、9Bが開放されるとともに、チェーンコンベヤ4が作動されるので、乾燥工程が完了した1つの容器2が第2反転部Fに移送され、1つの洗浄後の容器2が搬入される。
第2反転部Fに移送された倒立状態の容器2は、反転機構6によって保持されてから反転されて正立状態となって隣接下流側のローラコンベヤ3上に載置されるようになっている。なお、第2反転部Fの反転機構6の構成は、第1反転部Dの反転機構6と同様の構成となっている。また、容器2の反転中に水平位置で所定時間だけ一時停止させることによって、洗浄時に容器2の上縁部2Cのカール内に溜まった水を排出させることができる。その場合には、排出させた水を受けるトレイ等が設置されるのが好ましい。
この後、正立状態に戻された容器2は、ローラコンベヤ3によって排出部Gへ移送された後、作業者によって排出されるようになっている。
【0018】
以上のように、本実施例の容器洗浄装置1は、洗浄部A2の回収槽22Aの隣接上方側に飛散防止カバー29が設けられているので、洗浄時において、洗浄ノズル11から噴射された高温・高圧の洗浄液W1が、回収槽22A内に溜まった汚れを含んだ排液W1′を跳ね上げたとしても、該跳ね上がった排液W1′は飛散防止カバー29があることで洗浄部A2の周囲に飛散するのが防止される。また、容器2の内面から剥離した内容物が落下することで、回収槽22A内の排液W1′が跳ねたとしても、該跳ねあがった排液W1′は飛散防止カバー29によって周囲に飛散するのが防止される。
また、リンス部A3にも飛散防止カバー29が配置されているので、リンス部A3においても回収槽22Bに溜まった洗浄後の排液W2′によって周囲が汚染されることを防止することができる。
したがって、本実施例によれば、洗浄領域Aの周囲が洗浄後の排液W1′(W2′)によって汚染されることを確実に防止することができる。
【0019】
なお、上記実施例においては、洗浄対象の容器2として予め蓋が取り外されたオープンタイプのドラム缶を想定しているが、洗浄対象となる容器としてはドラム缶に限らず、大型の寸胴鍋や上面が開口したケース等であっても良い。その場合には、天板に形成される開口部については円形に限らず、容器の開口部に合わせて四角等に形成することができる。
【符号の説明】
【0020】
1…容器洗浄装置 2…ドラム缶(容器)
2A…内面 2D…開口部
11…洗浄ノズル 22A…回収槽
26…内面洗浄装置 29…飛散防止カバー
29A‥側壁 29B‥天板
29C‥開口部 A…洗浄領域
W1…洗浄液 W1′‥排液