(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038843
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】コネクタ、コネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20220303BHJP
H01R 43/24 20060101ALI20220303BHJP
H01R 13/405 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
H01R13/52 301F
H01R43/24
H01R13/405
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143529
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大輔
【テーマコード(参考)】
5E063
5E087
【Fターム(参考)】
5E063JB10
5E063XA20
5E087EE06
5E087FF03
5E087GG02
5E087JJ01
5E087LL03
5E087LL14
5E087RR04
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】小型軽量化に寄与し、防水構造を備えるコネクタを提供する。
【解決手段】筒形状であって、その周面を貫通する第1の貫通孔を含むシェルと、第1の貫通孔を通じて充填されてシェルの内周面と外周面の一部の全周を被覆する防水部材と、シェルの内側に設けられ、防水部材と接触するボディと、シェルの内側に位置してボディに保持される端子を含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状であって、その周面を貫通する第1の貫通孔を含むシェルと、
前記第1の貫通孔を通じて充填されて前記シェルの内周面と外周面の一部の全周を被覆する防水部材と、
前記シェルの内側に設けられ、前記防水部材と接触するボディと、
前記シェルの内側に位置して前記ボディに保持される端子を含む
コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記シェルの外周面の一部の全周に設けられた第1の周回溝と、
前記シェルの内周面の一部の全周に設けられた第2の周回溝を含み、
前記第1の貫通孔は、前記第1の周回溝と前記第2の周回溝とを連絡し、
前記防水部材は、前記第1の周回溝と前記第2の周回溝を充填することにより形成される
コネクタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコネクタであって、
前記シェルの周面を貫通する第2の貫通孔を含み、
前記ボディは、
前記第2の貫通孔を通じて前記シェルの内側に充填される
コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記シェルの外側に位置して前記防水部材を覆うハウジングを含む
コネクタ。
【請求項5】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記ボディは、
前記第2の貫通孔を通じて前記シェルの内側に充填される部分と、前記シェルの外側に位置して前記防水部材を覆うハウジングとして形成される部分とが一体的に形成されてなる
コネクタ。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載のコネクタであって、
前記端子の一部の周面を被覆し、前記ボディに保持される封止部材を含む
コネクタ。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載のコネクタであって、
前記防水部材はゴム系材料であり、前記ボディは熱可塑性樹脂であり、前記封止部材はゴム系材料を前記端子に一体成形することにより形成される
コネクタ。
【請求項8】
請求項7に記載のコネクタであって、
前記防水部材は、
前記第1の貫通孔に前記ゴム系材料をインサート成形することで形成され、
前記ボディは、
前記シェルの内側の所定位置に前記端子を配置した状態で、前記第2の貫通孔に前記熱可塑性樹脂をインサート成形することで形成される
コネクタ。
【請求項9】
その周面を貫通する第1、第2の貫通孔を含む筒形状のシェルを含むコネクタの製造方法であって
前記第1の貫通孔にゴム系材料をインサート成形することにより、前記シェルの内周面と外周面の一部の全周を被覆する防水部材を形成するステップと、
前記シェルの内側の所定位置に端子を配置した状態で、前記第2の貫通孔に熱可塑性樹脂をインサート成形することにより、前記シェルの内側に充填されて前記端子を保持し、前記防水部材と接触するボディを形成するステップ
を含むコネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタ、コネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防水性能を備えるコネクタの従来技術として、例えば特許文献1、2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-003779号公報
【特許文献2】特開2017-112098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の防水コネクタは、防水のためにシール層34を設けており、シール層34のスペースが、小型軽量化の妨げとなっている。また特許文献2の電気コネクタは、防水のためにグルー、液状ゴムなどで形成された防水部4を設けており、防水部4のスペースが、小型軽量化の妨げとなっている。
【0005】
そこで本発明では、小型軽量化に寄与し、防水構造を備えるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、シェルと、防水部材と、ボディと、端子を含む。シェルは、筒形状であって、その周面を貫通する第1の貫通孔を含む。防水部材は、第1の貫通孔を通じて充填されてシェルの内周面と外周面の一部の全周を被覆する。ボディは、シェルの内側に設けられ、防水部材と接触する。端子は、シェルの内側に位置してボディに保持される。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコネクタは、小型軽量化に寄与し、防水構造を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施例1のコネクタのシェルの2-2切断線における断面図。
【
図3】実施例1のコネクタのシェルと防水部材の斜視図。
【
図4】実施例1のコネクタのシェルと防水部材の4-4切断線における断面図。
【
図5】
図5Aは実施例1のコネクタの端子の斜視図、
図5Bは実施例1のコネクタの端子と封止部材の斜視図。
【
図6】実施例1のコネクタのハウジング以外の部品の6-6切断線における断面図。
【
図8】実施例1のコネクタの8-8切断線における断面図。
【
図9】変形例1のコネクタの9-9切断線における断面図。
【
図10】実施例1、変形例1のコネクタの製造方法の各処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例0010】
以下、
図1、
図2を参照して本実施例のコネクタのシェル11の構造について説明する。
図1、
図2に示すように、本実施例のコネクタのシェル11は、略円筒形状の基部111と、基部111から延伸され、基部111よりも径が細く、相手方コネクタと嵌合する円筒形状の先端部112と、シェル11の基部111の外周面の一部の全周に設けられた第1の周回溝113と、シェル11の、基部111の周面を貫通する第1の貫通孔114と、シェル11の、基部111の周面を貫通する第2の貫通孔115と、シェル11の内周面の一部の全周に設けられた第2の周回溝116を含む。第1の貫通孔114は、第1の周回溝113と第2の周回溝116とを連絡する位置に設けられる。
【0011】
以下、
図3、
図4を参照して本実施例のコネクタの防水部材12の構造について説明する。
図3、
図4に示すように、本実施例のコネクタの防水部材12は、第1の貫通孔114を通じて充填されてシェル11の内周面と外周面の一部の全周を被覆する。
図4に示すように、防水部材12は、第1の周回溝113と第2の周回溝116を充填することにより形成されれば好適である。防水部材12はゴム系材料とし、第1の貫通孔114にゴム系材料をインサート成形することで形成すれば好適である。
【0012】
以下、
図5を参照して本実施例のコネクタの端子13の構造について説明する。
図5Aに示すように、本実施例のコネクタの端子13は、断面円形のスティック形状であって長手方向の中ほどに凹部131を含み、
図5Bに示すように、凹部131の周面を被覆する封止部材14を含む。封止部材14はゴム系材料を端子13に一体成形することにより形成すれば好適である。端子13および封止部材14はシェル11の内側に位置して、後述するボディ16に保持される。
【0013】
以下、
図6を参照して本実施例のコネクタのボディ16の構造について説明する。同図に示すように、本実施例のコネクタのボディ16は、第2の貫通孔115を通じてシェル11の内側に設けられ、防水部材12と接触する。例えばボディ16を熱可塑性樹脂とし、シェル11の内側の所定位置に端子13(および封止部材14)を配置した状態で、第2の貫通孔115に熱可塑性樹脂をインサート成形することにより、ボディ16を形成すれば好適である。
【0014】
以下、
図7、
図8を参照して本実施例のコネクタのハウジング17の構造について説明する。
図7、
図8に示すように、本実施例のコネクタのハウジング17は、シェル11の外側に位置して、防水部材12を含むシェル11のほぼ全体をすっぽりと覆う形状である。
【0015】
[変形例1]
以下、
図9を参照して実施例1を変形した変形例1のコネクタのボディ16Aの構造を説明する。同図に示すように、ボディ16Aは、第2の貫通孔115を通じてシェル11の内側に充填される部分と、シェル11の外側に位置して防水部材12を覆うハウジングとして形成される部分とが一体的に形成されている。
【0016】
[コネクタの製造方法]
以下、
図10を参照して上述のコネクタの製造方法を開示する。まず、第1の貫通孔114にゴム系材料をインサート成形することにより、シェル11の内周面と外周面の一部の全周を被覆する防水部材12を形成する(S1)。次に、シェル11の内側の所定位置に端子13を配置した状態で、第2の貫通孔115に熱可塑性樹脂をインサート成形することにより、シェル11の内側に充填されて端子13を保持し、防水部材12と接触するボディ16を形成する(S2)。
【0017】
[効果]
本実施例のコネクタによれば、シェル11の周面を貫通する第1の貫通孔114を通じて、防水部材12を充填してシェル11の内周面と外周面の一部の全周を被覆したため、シェル11-ボディ16間の防水性能を高めることができる。
【0018】
また、従来技術(例えば特許文献1、2)で行っているような防水のための層(シール層、防水部)を設けることなく防水性能を確保できたため、コネクタの小型軽量化に寄与する。
【0019】
また、シェル11の基部111の外周面の一部の全周に第1の周回溝113、シェル11の基部111の内周面の一部の全周に第2の周回溝116を設けることにより、充填材料を第1の周回溝113、第2の周回溝116に誘い込むことができ、予め定めた位置に防水部材12を形成することができるため、防水性能が向上する。
【0020】
また、第1の貫通孔114は、第1の周回溝113と第2の周回溝116とを連絡する位置に設けられているため、防水部材12の形状は、第1の貫通孔114に充填された部分を接続部とし、第1の周回溝113に充填されたリング形状の部分と、第2の周回溝116に充填されたリング形状の部分とが一体となった構造を取るため、防水部材12がシェル11に嵌め込まれて抜けや位置ずれが発生しにくくなる。
【0021】
また、ハウジング17が、シェル11の外側に位置して、少なくとも防水部材12を覆う形状としたことにより、ハウジング17-シェル11間の防水性能を高めることができる。
【0022】
また、シェル11の基部111の周面を貫通する第2の貫通孔115を設けたことにより、第2の貫通孔115から樹脂をインサート成形することにより、ボディ16を形成することができる。また、変形例に記載のように、第2の貫通孔115を通じてシェル11の内側に充填される部分と、シェル11の外側に位置して防水部材12を覆うハウジングとして形成される部分とを一体的に成形することも可能となる。
【0023】
また、端子13の周面を被覆する封止部材14を設けたことにより、端子13-ボディ16間の防水性能を高めることができる。
【0024】
また、[コネクタの製造方法]に記載したように、第1の貫通孔114にインサート成形して防水部材12を形成し、シェル11の内側の所定位置に端子13を配置した状態で、第2の貫通孔115にインサート成形してボディ16を形成することにより、組み立て工程を簡素化できるとともに、防水性を確保することができる。
【0025】
また、インサート成形する際の熱によって防水部材12の表面が溶融し、親和性の高い樹脂材料との密着度が高くなり、防水性能が向上する。これは、防水部材12(ゴム系材料)の融点よりもボディ16(熱可塑性樹脂)の融点のほうが高いためである。