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  • 特開-活性汚泥処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038889
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】活性汚泥処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/12 20060101AFI20220303BHJP
   F03B 13/10 20060101ALI20220303BHJP
   F03B 1/02 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
C02F3/12 A
F03B13/10
F03B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143598
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】520098497
【氏名又は名称】株式会社エイブルテクニカルサポート
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【弁理士】
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】橋本 覚
【テーマコード(参考)】
3H072
3H074
4D028
【Fターム(参考)】
3H072AA02
3H072BB08
3H072CC32
3H074AA12
3H074BB10
3H074CC08
3H074CC11
4D028BB03
4D028BC24
4D028BD06
4D028CA01
4D028CB01
4D028CD05
(57)【要約】
【課題】被処理水に溶存されない未溶存気体の気体流れが持つエネルギーの利用効率を改善する活性汚泥処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の活性汚泥処理装置1は、活性汚泥を用いて被処理水を処理可能な処理槽2と、酸素を含む気体を処理槽2の内部に供給可能な供給部4と、供給された気体のうち、被処理水に溶存されない未溶存気体Gを集気可能な集気部5と、未溶存気体Gに伴う流体流れから得られる運動エネルギーを回転エネルギーに変換可能なエネルギー変換部6と、回転エネルギーを電気エネルギーに変換可能な発電部7と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性汚泥を用いて被処理水を処理可能な処理槽と、
酸素を含む気体を前記処理槽の内部に供給可能な供給部と、
前記供給された前記気体のうち、前記被処理水に溶存されない未溶存気体を集気可能な集気部と、
前記未溶存気体に伴う流体流れから得られる運動エネルギーを回転エネルギーに変換可能なエネルギー変換部と、
前記回転エネルギーを電気エネルギーに変換可能な発電部と、
を備える、活性汚泥処理装置。
【請求項2】
前記供給部は、重力方向の下方から上方に向けて前記気体を供給可能であり、
前記集気部は、
前記供給部の略真上に位置し、前記下方から前記未溶存気体を取り込む第1開口と、
前記第1開口の前記上方に位置し、前記第1開口から取り込まれた前記未溶存気体を前記上方に送り出す第2開口とを有し、
前記第2開口は、前記第1開口よりも小さく、
前記エネルギー変換部は、前記第2開口の前記上方の位置であって、前記第2開口から送り出された前記流体流れから得られる前記運動エネルギーを利用可能な位置に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記集気部を前記上方から見た場合に、前記第2開口の中心位置は、前記第1開口の中心位置に対して前記処理槽外周に近い方向に偏心した位置である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記エネルギー変換部は、前記流体流れを受けることが可能な受け部を有し、
前記受け部は、回転可能であり、回転方向に対して凸状である、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記受け部の回転軸は、略水平であり、
前記受け部は、前記回転方向が前記下方から前記上方になる位置で前記流体流れを受けることが可能に構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記受け部の上端は、前記処理槽における前記被処理水の定水位より低い、請求項4又は5に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性汚泥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水及び/又は汚水等の被処理水を処理する方法の一つとして、活性汚泥処理が知られている。活性汚泥処理では、まず、酸素濃度が高い環境で活発に活動する好気性微生物を含む活性汚泥を被処理水に加える。そして、活性汚泥が加えられた被処理水に空気を加えて被処理水中の酸素濃度を好気性微生物の活動に適した高い酸素濃度にする。これにより、活性汚泥に含まれた好気性微生物を活発に活動させて被処理水を処理することが可能になる。
【0003】
被処理水に加えられた空気の一部は、被処理水に溶解するものの、残りは、未溶存空気として残る。空気の密度は、被処理水の密度に比べてはるかに小さいため、未溶存空気は、重力方向からみて上方に向けて流れる。すなわち、加えられた気体のうち被処理水に溶存されない未溶存気体が被処理水中を上昇する気体流れが生じる。また、この気体流れに伴って被処理水が流れる液体流れが生じる。活性汚泥処理では、被処理水に空気を送り込むブロワ等が電力等のエネルギーを消費するところ、これらの流れを用いて発電する等してこれらの流れからエネルギーを取り出して利用すれば、活性汚泥処理のエネルギー効率を改善でき得る。
【0004】
例えば、排水等の被処理水に活性汚泥及び空気を加えて処理する処理槽において、仕切り壁を用いて処理槽を2つの水路を設け、水路の一方のみに空気を加えることで被処理水に旋回水流を生じさせ、この旋回水流によって水車を回転させ、この水車の回転を利用して発電するシステムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-299427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、未溶存空気が上昇する空気流れを利用せず、加えられた空気によって生じる旋回水流を利用して水車を回転させるにとどまる。そのため、未溶存気体が上昇する気体流れのエネルギーの大部分を水車の回転に用いることができず、発電効率に改善の余地がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被処理水に溶存されない未溶存気体の気体流れが持つエネルギーの利用効率を改善する活性汚泥処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、被処理水に溶存されない未溶存気体を集気可能な集気部と、この未溶存気体の気体流れ等から得られる運動エネルギーを回転エネルギーに変換可能なエネルギー変換部とを設けることによって、上記の課題を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明は、活性汚泥を用いて被処理水を処理可能な処理槽と、酸素を含む気体を前記処理槽の内部に供給可能な供給部と、前記供給された前記気体のうち、前記被処理水に溶存されない未溶存気体を集気可能な集気部と、前記未溶存気体に伴う流体流れから得られる運動エネルギーを回転エネルギーに変換可能なエネルギー変換部と、前記回転エネルギーを電気エネルギーに変換可能な発電部と、を備える、活性汚泥処理装置を提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明によれば、供給部から供給された酸素を含む気体が被処理水に供給され、被処理水に含まれる酸素濃度を、活性汚泥に含まれる好気性微生物の活動に適した酸素濃度にする。これにより、好気性微生物が活動し、被処理水を効率よく処理できる。また、被処理水に溶存されない未溶存気体による気体流れに伴う流体流れのうち、気体流れに伴って生じる液体流れによって、被処理水と活性汚泥とが撹拌されて混ざり合い、活性汚泥に含まれる好気性微生物が被処理水の全体を処理できる。さらに、液体流れは、被処理水の表面に波を作り、この波が崩れるときに大気中の酸素が被処理水中に取り込まれる。したがって、被処理水中の酸素濃度は、活性汚泥に含まれる好気性微生物の活動により一層適した酸素濃度となる。
【0011】
そして、被処理水に溶存されない未溶存気体が集気部によって集気されて未溶存気体の気体流れに伴う流体流れとなり、この流体流れから得られる運動エネルギーがエネルギー変換部によって回転エネルギーに変換される。流体流れの一部である液体流れから得られる運動エネルギーだけでなく、未溶存気体の気体流れから得られる運動エネルギーをも回転エネルギーに変換するため、加えられた空気によって生じる旋回水流を利用して水車を回転させる方法では利用されない未溶存気体の気体流れから得られる運動エネルギーをも利用できる。すなわち、第1の特徴に係る発明によれば、未溶存気体の気体流れが持つエネルギーの利用効率を改善できる。
【0012】
第1の特徴に係る発明によれば、集気部によって未溶存気体が集気されるため、流体流れの一定時間あたりの流量が増加する。これにより、流体流れの運動エネルギーが増加する。したがって、エネルギー変換部によって回転エネルギーに変換される運動エネルギーが増え、発電部は、より多くの回転エネルギーを電気エネルギーに変換できる。すなわち、未溶存気体の流体流れが持つエネルギーの利用効率をより一層改善できる。
【0013】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、被処理水に溶存されない未溶存気体に伴う流体流れが持つエネルギーの利用効率を改善する活性汚泥処理装置を提供できる。
【0014】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記供給部は、重力方向の下方から上方に向けて前記気体を供給可能であり、前記集気部は、前記供給部の略真上に位置し、前記下方から前記未溶存気体を取り込む第1開口と、前記第1開口の前記上方に位置し、前記第1開口から取り込まれた前記未溶存気体を前記上方に送り出す第2開口とを有し、前記第2開口は、前記第1開口よりも小さく、前記エネルギー変換部は、前記第2開口の前記上方の位置であって、前記第2開口から送り出された前記流体流れから得られる前記運動エネルギーを利用可能な位置に配置される、装置を提供する。
【0015】
第2の特徴に係る発明によれば、集気部は、供給部から上方に向けて供給される気体のうち被処理水に溶存しない未溶存気体を供給部の略真上に位置する第1開口によって取りこぼすことなく取り込み、第1開口より小さい第2開口から送り出せる。第2開口は第1開口より小さいため、第1開口によって取り込まれた未溶存気体が集められ、流体流れから得られる運動エネルギーが増加する。これにより、第2開口から送り出された気体流れ等の運動エネルギーを利用可能な位置に配置されたエネルギー変換部は、より大きな運動エネルギーを回転エネルギーに変換できる。したがって、発電部は、より多くの電気エネルギーを生成できる。
【0016】
したがって、第2の特徴に係る発明によれば、未溶存気体に伴う流体流れが持つエネルギーの利用効率をよりいっそう改善できる。
【0017】
第3の特徴に係る発明は、第2の特徴に係る発明であって、前記集気部を前記上方から見た場合に、前記第2開口の中心位置は、前記第1開口の中心位置に対して前記処理槽外周に近い方向に偏心した位置である、装置を提供する。
【0018】
活性汚泥を用いた被処理水の処理では、好気性微生物が付着した処理槽外周に接する被処理水中の酸素濃度を高く保つことにより、被処理水の処理効率を改善できる。第3の特徴に係る発明によれば、第1開口の中心位置に対して処理槽外周に近い方向に偏心した位置に第2開口から送り出される未溶存気体に伴う流体流れがあるため、処理槽外周に接する被処理水に含まれる酸素濃度をより高く保つことができ、被処理水の処理効率をよりいっそう改善できる。
【0019】
第3の特徴に係る発明によれば、処理槽外周に近い方向に第2開口の中心位置があっても、第1開口の中心位置が第2開口の中心位置から処理槽外周から遠い方向に偏心した位置にあるため、第1開口は、処理槽外周と干渉しない。これにより、第2開口に対して第1開口を大きくできる。したがって、第2開口より大きな第1開口を有する集気部によって未溶存気体が集められ、第2開口の大きさが第1開口の大きさと略同じ場合に比べて流体流れの運動エネルギーが増加する。そして、エネルギー変換部によって回転エネルギーに変換される運動エネルギーが増え、発電部は、より多くの電気エネルギーを生成できる。したがって、第3の特徴に係る発明によれば、未溶存気体の気体流れが持つエネルギーの利用効率を改善することと、被処理水の処理効率を改善することとを同時に達成できる。
【0020】
第4の特徴に係る発明は、第1から第3のいずれかの特徴に係る発明であって、前記エネルギー変換部は、前記流体流れを受けることが可能な受け部を有し、前記受け部は、回転可能であり、回転方向に対して凸状である、装置を提供する。
【0021】
第4の特徴に係る発明によれば、受け部の回転方向に対する形状が被処理水と受け部との摩擦抵抗が小さい凸状であるため、受け部が回転方向に回転するときに生じる摩擦抵抗によるエネルギー損失を軽減できる。また、回転方向に対して凸状である受け部は、回転方向の反対側、すなわち、未溶存気体に伴う流体流れを受ける側が凹状となり、当該流体流れを逃すことなく受けられる。これにより、エネルギー変換部は、受け部によって逃すことなく受けられた未溶存気体に伴う流体流れから得られる運動エネルギーを回転エネルギーに変換できる。したがって、第4の特徴に係る発明によれば、被処理水に溶存されない未溶存気体に伴う流体流れが持つエネルギーの利用効率をよりいっそう改善可能な活性汚泥処理装置を提供できる。
【0022】
第5の特徴に係る発明は、第4の特徴に係る発明であって、前記受け部の回転軸は、略水平であり、前記受け部は、前記回転方向が前記下方から前記上方になる位置で前記流体流れを受け止め可能に構成される、装置を提供する。
【0023】
第5の特徴に係る発明によれば、回転方向が下方から上方になる位置で、受け部が流体流れを受け止めるため、受け部により受け止められた未溶存気体は、下方に対して凹状の受け部の中に一時的に蓄えられる。凹状の受け部の中に蓄えられた未溶存気体の密度が被処理水の密度に比べて著しく小さいため、蓄えられた未溶存気体は、下方から上方に、すなわち、受け部の回転方向に浮力を生じさせる。したがって、エネルギー変換部は、未溶存気体の流体流れから得られる運動エネルギーだけでなく、凹状の受け部の中に蓄えられた未溶存気体の浮力をも回転エネルギーに変換できる。したがって、被処理水に溶存されない未溶存気体の気体流れが持つエネルギーの利用効率をよりいっそう改善可能な活性汚泥処理装置を提供できる。
【0024】
第6の特徴に係る発明は、第4又は第5の特徴に係る発明であって、前記受け部の上端は、前記処理槽における前記被処理水の定水位より低い、装置を提供する。
【0025】
受け部が外気と被処理水との境界面で回転する場合、受け部が境界面に波を作ることによってエネルギーを失う造波抵抗が生じ、回転エネルギーの一部が失われる。第6の特徴に係る発明によれば、処理槽において被処理水が定水位まで満たされている場合、受け部の上端を含む受け部全体が被処理水の中にあるため、受け部が外気と被処理水との境界面で回転することがない。したがって、エネルギー変換部は、造波抵抗によって回転エネルギーを失うことなく、未溶存気体に伴う流体流れから得られる運動エネルギーを効率よく回転エネルギーに変換できる。したがって、被処理水に溶存されない未溶存気体に伴う流体流れが持つエネルギーの利用効率をよりいっそう改善可能な活性汚泥処理装置を提供できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、被処理水に溶存されない未溶存気体に伴う流体流れが持つエネルギーの利用効率を改善可能な活性汚泥処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本実施形態の活性汚泥処理装置1に関し、回転軸62方向からみたときの状態を示す概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための好適な形態の一例について図1を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0029】
<活性汚泥処理装置1>
活性汚泥処理装置1は、被処理水を貯留可能な処理槽2と、処理槽2の外部にある気体を処理槽2の底部に送る送気部3と、送気部3から送られた気体を処理槽2の内部に供給可能な供給部4と、供給部4によって供給された気体のうち、被処理水に溶存されない未溶存気体Gを集気可能な集気部5と、未溶存気体Gに伴う流体流れから得られる運動エネルギーを回転エネルギーに変換可能なエネルギー変換部6と、回転エネルギーを電気エネルギーに変換可能な発電部7と、を含んで構成される。
【0030】
〔処理槽2〕
処理槽2は、外部から供給される排水、汚水等の被処理水を、活性汚泥を用いて被処理水を処理可能に構成される。処理槽2として、水面の上方が密閉された態様と、水面の上方が開放された態様とが知られている。
【0031】
図1では、水面の上方に設けられた開口部に蓋をした処理槽2を例示しているが、これに限られるものでない。処理槽2は、水面の上方に開口部を有する槽又は容器であれば、特に限定されない。開口部を有することにより、開口部を介して処理槽2の外部へ未溶存気体Gを逃がすことができる。したがって、未溶存気体Gが処理槽2内部に充満することを防げる。処理槽2は、水面の上方に蓋又は構造物がない槽又は容器でもよく、水面の上方に蓋をした槽又は容器でもよく、水面の上方に梁又は床等の構造物を有する槽又は容器でもよい。水面の上方に蓋又は構造物がない槽又は容器であることにより、処理槽2の外部へ未溶存気体Gをより効率よく逃がせる。処理槽2が水面の上方に蓋をした槽又は容器であることにより、被処理水及び/又は活性汚泥が悪臭を放つものであっても、外部への悪臭の漏出が軽減される。また、処理槽2が水面の上方に蓋をした槽又は容器であることにより、寒冷地での被処理水の温度低下を軽減し得る。蓋は、処理槽2に蓋をした場合に未溶存気体Gを外部へ逃がすことが可能であるよう構成されていれば特に限定されないが、容易に開放可能な構造を有する蓋であることが好ましい。容易に開放可能な構造を有する蓋であることにより、処理槽2のメンテナンスが容易になる。水面の上方に梁を有することにより、処理槽2の構造上の強度が増す。水面の上方に床を有することにより、床の上の空間を各種の用途に利用できる。
【0032】
活性汚泥は、酸素濃度が高い環境で活発に活動する好気性微生物群を含有する。該好気性微生物群は、酸素濃度が高い環境で活発に活動し、被処理水中の有機物等の汚濁物質を分解し、繁殖及び増殖する。したがって、処理槽2に被処理水と活性汚泥とを含む液体を貯留し、酸素濃度が高い環境にすることにより、被処理水中の有機物等の汚濁物質を分解する処理を行える。好気性微生物群によって汚濁物質を分解された被処理水は、処理槽2の外部に送出される。
【0033】
処理槽2における被処理水の水位が図1に示す処理槽2の定水位W未満となった場合に外部から被処理水が供給されるよう処理槽2を構成することが好ましい。また、処理槽2における被処理水の水位が処理槽2の定水位Wを越えた場合に被処理水が処理槽2の外部へ送出されるよう処理槽2を構成することが好ましい。処理槽2をこれらのように構成することにより、被処理水の水位が定水位Wから離れても、水位が定水位Wに近づくように被処理水が供給及び/又は送出され得る。
【0034】
〔送気部3〕
送気部3は、処理槽2の外部にある気体を処理槽2の底部に送る機能を有する。
【0035】
図1に示す例では、送気部3は、気体に圧力を与えて送り出すブロワ31と、ブロワ31から送り出された気体を処理槽2の底部に移送する送気管32とを含んで構成されている。処理槽2の底部に移送された気体は、後述する供給部4に供給される。
【0036】
[ブロワ31]
ブロワ31は、気体に圧力を与えて送気管32に向けて送り出す。ブロワ31の種類は、特に限定されず、エアーブロワ、空気ポンプ等の従来技術の各種の気体送出手段を利用できる。また、気体は、酸素を含有していれば、特に限定されず、例えば、空気等が挙げられる。
【0037】
[送気管32]
送気管32は、ブロワ31から送出された酸素を含有する気体を処理槽2の底部に移送する。送気管32の種類は、特に限定されず、従来技術の各種の気体を移送可能な管を利用できる。
【0038】
〔供給部4〕
供給部4は、送気部3から送出された酸素を含有する気体を処理槽2に貯留された被処理水中に供給する機能を有する。図1に示す例では、処理槽2の内部に配置された供給部4が送気部3から送出された酸素を含有する気体を処理槽2に貯留された被処理水中に供給している。供給部4は、該気体を被処理水中に供給可能であれば、特に限定されず、従来技術の気体を液体中に供給する手段を利用できる。供給部4は、例えば、気体を送出する孔、隙間等の開口部から気体を送出する散気装置(ディフューザーとも称される。)を含む。
【0039】
該気体を被処理水中に供給する供給部4を有することにより、供給部4から供給された酸素を含む気体が被処理水に供給され、被処理水に含まれる酸素濃度を、活性汚泥に含まれる好気性微生物の活動に適した酸素濃度にできる。これにより、好気性微生物が活動し、被処理水を効率よく処理できる。
【0040】
供給部4が配置される位置は、図1に示すように、被処理水が処理槽2の定水位Wまで満たされているときに被処理水の内部となる処理槽2の下方であることが好ましい。供給部4によって供給される酸素を含有する気体の密度が被処理水の密度に比べて著しく小さいため、該気体は、下方から上方に向かう。供給部4が配置される位置が被処理水の内部となる処理槽2の下方であることにより、供給部4によって供給される酸素を含有する気体は、処理槽2の下方から上方に向けて流れる。これにより、処理槽2の下方にある被処理水のみならず上方にある被処理水をも含めた被処理水全体に含まれる酸素濃度を高め得る。
【0041】
供給部4の数は、特に限定されないが、複数の供給部4を備えることがより好ましい。複数の供給部4を備えることにより、供給部4に近い被処理水に含まれる酸素濃度が高くなり、供給部4から遠い被処理水に含まれる酸素濃度が低くなることを軽減できる。これにより、より多くの被処理水について、被処理水に含まれる酸素濃度を活性汚泥に含まれる好気性微生物の活動に適した酸素濃度にし得る。
【0042】
[未溶存気体G]
供給部4から供給された酸素を含有する気体のうち被処理水に溶存されない未溶存気体Gは、図1に示すように、気泡となって上昇する。供給部4により被処理水中に供給された酸素を含有する気体は、その一部が被処理水に溶存され、残りが被処理水に溶存されない未溶存気体Gとなる。未溶存気体Gの密度が被処理水の密度に比べて著しく小さいため、未溶存気体Gは、下方から上方に向かう気体流れを生じる。また、被処理水に溶存されない未溶存気体Gによる気体流れに伴う流体流れのうち、気体流れに伴って生じる液体流れによって、被処理水と活性汚泥とが撹拌されて混ざり合い、活性汚泥に含まれる好気性微生物が被処理水の全体を処理できる。
【0043】
処理槽2が水面の上方に開口部を有する槽又は容器であるため、液体流れは、被処理水の表面に波を作り、この波が崩れるときに大気中の酸素が被処理水中に取り込まれ得る。したがって、被処理水に含まれる酸素濃度は、活性汚泥に含まれる好気性微生物の活動により一層適した酸素濃度となり得る。
【0044】
〔集気部5〕
集気部5は、供給部4の略上方に配置され、供給部4によって供給された気体のうち、被処理水に溶存されない未溶存気体Gを集気可能に構成される。集気部5は、供給部4の略真上に位置し、下方から未溶存気体Gを取り込み可能な第1開口5Aと、第1開口5Aの上方に位置し、第1開口5Aから取り込まれた未溶存気体Gを上方に送り出す第2開口5Bとを有する。
【0045】
集気部5を備えることにより、集気部5によって未溶存気体Gが集気されるため、流体流れの一定時間あたりの流量が増加する。これにより、流体流れの運動エネルギーが増加する。したがって、後述するエネルギー変換部6によって回転エネルギーに変換される流体流れの運動エネルギーが増え、発電部7は、より多くの回転エネルギーを電気エネルギーに変換できる。すなわち、未溶存気体Gの流体流れが持つエネルギーの利用効率をより一層改善できる。
【0046】
集気部5の数は、特に限定されないが、複数の集気部5を備えることがより好ましい。複数の集気部5を備えることにより、複数ある集気部5の間に空間を設けられる。流体流れは、設けられた空間を通行できる。したがって、集気部5が下方から上方に流れる流体流れを止めることがなくなり、集気部5の上方においても被処理水と活性汚泥とが撹拌されて混ざり合い得る。したがって、活性汚泥に含まれる好気性微生物が集気部5の上方にある被処理水をも処理し得る。
【0047】
集気部5の形状は、第1開口5Aから取り込まれた未溶存気体Gを集気可能であれば、特に限定されないが、重力方向に対して略上方から略下方に向けて広がる略錐台状であることが好ましい。これにより、下方から上方に向かう未溶存気体Gの気体流れを開放された底面(第1開口5A)によって取り込み、第1開口5Aの略上方に位置し、大きさが第1開口5Aよりも小さい第2開口5Bから送出できる。なお、錐台とは、錐体から、頂点を共有し相似に縮小した錐体を取り除いた立体図形をいう。
【0048】
集気部5が略錐台状であるときの形状は、略円錐台状でもよく、略四角錐台状等の略角錐台状でもよいが、略四角錐台状等の略角錐台状であることがより好ましい。略四角錐台状等の略角錐台状であることにより、曲げ加工等によって曲面を形成する手順よりも容易な、平板状の材料を組み合わせる手順を用いて集気部5を構成できる。
【0049】
[第1開口5A]
集気部5は、図1に示すように、未溶存気体Gを取り込む第1開口5Aを有する。第1開口5Aを有することにより、集気部5は、未溶存気体Gを取り込める。
【0050】
第1開口5Aの位置は、特に限定されないが、供給部4の略真上であり、下方から未溶存気体Gを取り込み可能な位置であることが好ましい。これにより、集気部5は、供給部4から上方に向けて供給される気体のうち被処理水に溶存しない未溶存気体Gを供給部4の略真上に位置する第1開口5Aによって取りこぼすことなく取り込める。
【0051】
[第2開口5B]
図1に示すように、集気部5は、第1開口5Aから取り込まれた未溶存気体Gを上方に送り出す第2開口5Bを有する。第2開口5Bを有することにより、第1開口5Aによって取り込まれた未溶存気体Gを、第2開口5Bから上方に送り出せる。
【0052】
第2開口5Bの大きさは、特に限定されないが、図1に示すように、第1開口5Aよりも小さいことが好ましい。第2開口5Bの面積の上限は、第1開口5Aの面積に対して1/4以下であることが好ましく、1/9以下であることがさらに好ましく、1/16以下であることが最も好ましい。第2開口5Bの面積が第1開口5Aの面積に対して所定の割合以下であることにより、集気部5は、第1開口5Aによって取り込まれた未溶存気体Gを集気し、流体流れから得られる運動エネルギーを増加させることができる。
【0053】
第2開口5Bの面積の下限は、第1開口5Aの面積に対して1/400以上であることが好ましく、1/100以上であることがさらに好ましく、1/25以上であることが最も好ましい。第2開口5Bの面積が第1開口5Aの面積に対して所定の割合以上であることにより、未溶存気体Gの流体流れが第2開口5Bを通過するときに未溶存気体Gの流体流れが未溶存気体Gと集気部5との摩擦抵抗によって失う運動エネルギーを軽減できる。
【0054】
第2開口5Bの中心位置は、図1に示すように、第1開口5Aの中心位置に対して処理槽2外周に近い方向に偏心した位置であることが好ましい。活性汚泥を用いた被処理水の処理では、好気性微生物が付着した処理槽2の外周に接する被処理水中の酸素濃度を高く保つことにより、被処理水の処理効率を改善できる。第2開口5Bの中心位置を偏心した位置にすることで、第1開口5Aの中心位置に対して処理槽2外周に近い位置に、未溶存気体Gに伴う流体流れを配することができるため、処理槽2の外周付近の被処理水に含まれる酸素濃度を、処理槽2の中心付近にある被処理水に含まれる酸素濃度に比べて高く保つことができ、被処理水の処理効率をよりいっそう改善できる。
【0055】
第1開口5Aの中心位置に対する第2開口5Bの中心位置の偏心率の下限は、50%以上であることが好ましく、66%以上であることがさらに好ましく、75%以上であることが最も好ましい。第1開口5Aの中心位置に対する第2開口5Bの中心位置の偏心率が所定の割合以上であることにより、第2開口5Bより大きな第1開口5Aを有する集気部5によって未溶存気体Gが集められ、第2開口5Bの大きさが第1開口5Aの大きさと略同じ場合に比べて流体流れの運動エネルギーが増加する。これにより、後述するエネルギー変換部6によって回転エネルギーに変換される運動エネルギーが増え、発電部7は、より多くの電気エネルギーを生成できる。したがって、未溶存気体Gの気体流れが持つエネルギーの利用効率を改善することと、被処理水の処理効率を改善することとを両立できる。
【0056】
また、第2開口5Bの中心位置の第1開口5Aに対する偏心率の上限は、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがさらに好ましく、80%以下であることが最も好ましい。偏心率が高い場合には、第2開口5Bと処理槽2外周とが干渉し得る。第1開口5Aの中心位置に対する第2開口5Bの中心位置の偏心率が所定の割合以下であることにより、第2開口5Bと処理槽2外周との干渉を防ぎ得る。これにより、第2開口5Bに対して第1開口5Aを大きくできる。
【0057】
なお、本実施形態において、第1開口5Aの中心位置に対する第2開口5Bの中心位置の偏心率は、第1開口5Aの中心位置を通る鉛直軸と第2開口5Bの中心位置を通る鉛直軸との距離をXとし、第1開口5Aの中心位置と処理槽2外周のうち第1開口5Aの中心位置からみて最も近い位置の方向にある第1開口5Aの外周との距離をYとしたときの、(X/Y)を百分率で表した値をいうものとする。
【0058】
〔エネルギー変換部6〕
エネルギー変換部6は、未溶存気体Gに伴う流体流れから得られる運動エネルギーを回転エネルギーに変換する機能を有する。
【0059】
エネルギー変換部6は、未溶存気体Gに伴う流体流れから得られる運動エネルギーを回転エネルギーに変換可能であれば、特に限定されないが、図1に示すように、第2開口5Bの略上方に設けられ、流体流れを受けることが可能な受け部61と、受け部61を回転可能に支持する回転軸62と、受け部61の回転に伴って回転し、未溶存気体Gに伴う流体流れの運動エネルギーから変換された回転エネルギーを後述する発電部7に伝達可能な第1伝達部63とを有することが好ましい。
【0060】
未溶存気体Gに伴う流体流れから得られる運動エネルギーを回転エネルギーに変換可能なエネルギー変換部6が設けられていることにより、集気部5から出る未溶存気体Gの気体流れ及び気体流れに伴って生じる液体流れを含む流体流れから得られる運動エネルギーがエネルギー変換部6によって回転エネルギーに変換される。エネルギー変換部6は、流体流れの一部である液体流れから得られる運動エネルギーだけでなく、未溶存気体Gの気体流れから得られる運動エネルギーをも回転エネルギーに変換するため、エネルギー変換部6は、加えられた空気によって生じる旋回水流を利用して水車を回転させる方法では利用されない未溶存気体Gの気体流れから得られる運動エネルギーをも利用できる。
【0061】
エネルギー変換部6が配置される位置は、特に限定されないが、第2開口5Bの上方の位置であり、第2開口5Bから送り出された流体流れから得られる運動エネルギーを利用可能な位置に配置されることが好ましい。第2開口5Bの上方の位置であることにより、下方から上方に向かう未溶存気体Gの気体流れ及び気体流れに伴って生じる液体流れは、エネルギー変換部6に向かう。そして、第2開口5Bから送り出された流体流れから得られる運動エネルギーを利用可能な位置に配置されることにより、エネルギー変換部6は、集気部5によって集気される前の流体流れの運動エネルギーより大きな運動エネルギーを回転エネルギーに変換できる。したがって、発電部7は、より多くの電気エネルギーを生成できる。
【0062】
エネルギー変換部6の数は、特に限定されないが、第2開口5Bの数と同数のエネルギー変換部6を備えることがより好ましい。第2開口5Bの数と同数のエネルギー変換部6を備えることにより、第2開口5Bから送り出される流体流れを利用可能な位置にエネルギー変換部6を過不足なく配置できる。したがって、流体流れの運動エネルギーを効率よく回転エネルギーに変換できる。
【0063】
[受け部61]
図1に示すように、エネルギー変換部6は、流体流れを受けることが可能であり、回転軸62に対して回転可能であり、回転方向に対して凸状である受け部61を有することが好ましい。
【0064】
受け部61の回転方向に対する形状が被処理水と受け部61との摩擦抵抗が小さい凸状であるため、受け部61が回転方向に回転するときに生じる摩擦抵抗によるエネルギー損失を軽減できる。また、回転方向に対して凸状である受け部61は、回転方向の反対側、すなわち、未溶存気体Gに伴う流体流れを受ける側が凹状となり、当該流体流れを逃すことなく受けられる。これにより、エネルギー変換部6は、受け部61によって逃すことなく受けられた未溶存気体Gに伴う流体流れから得られる運動エネルギーを回転エネルギーに変換できる。したがって、被処理水に溶存されない未溶存気体Gに伴う流体流れが持つエネルギーの利用効率をよりいっそう改善可能な活性汚泥処理装置1を提供できる。
【0065】
エネルギー変換部6は、連動して回転する3以上の受け部61を含むことが好ましい。エネルギー変換部6が連動して回転する3以上の受け部61を含むことにより、ある受け部61が回転して流体流れを受けることが可能な位置から移動した場合でも、連動して回転する他の受け部61のいずれかが流体流れを受けることが可能な位置に移動できる。
【0066】
図1に示すように、受け部61は、略水平な回転軸62を有し、回転方向が下方から上方になる位置で未溶存気体Gの気体流れ及び気体流れに伴って生じる液体流れを含む流体流れを受け止め可能に構成されることが好ましい。
【0067】
回転方向が下方から上方になる位置で、受け部61が流体流れを受け止めるため、受け部61により受け止められた未溶存気体Gは、下方に対して凹状の受け部61の中に一時的に蓄えられる。凹状の受け部61の中に蓄えられた未溶存気体Gの密度が被処理水の密度に比べて著しく小さいため、蓄えられた未溶存気体Gは、下方から上方に、すなわち、受け部61の回転方向に浮力を生じさせる。したがって、エネルギー変換部6は、未溶存気体Gの流体流れから得られる運動エネルギーだけでなく、凹状の受け部61の中に蓄えられた未溶存気体Gの浮力をも回転エネルギーに変換できる。したがって、被処理水に溶存されない未溶存気体Gの気体流れが持つエネルギーの利用効率をよりいっそう改善可能な活性汚泥処理装置1を提供できる。
【0068】
受け部61の上端は、図1に示すように、処理槽2における被処理水の定水位Wより低いことが好ましい。
【0069】
受け部61が外気と被処理水との境界面で回転する場合、受け部61が境界面に波を作ることによってエネルギーを失う造波抵抗が生じ、回転エネルギーの一部が失われる。受け部61の上端が処理槽2における被処理水の定水位Wより低いことにより、処理槽2において被処理水が定水位Wまで満たされている場合、受け部61の上端を含む受け部61全体が被処理水の中にあるため、受け部61が外気と被処理水との境界面で回転することがない。したがって、エネルギー変換部6は、造波抵抗によって回転エネルギーを失うことなく、未溶存気体Gに伴う流体流れから得られる運動エネルギーを効率よく回転エネルギーに変換できる。したがって、被処理水に溶存されない未溶存気体Gに伴う流体流れが持つエネルギーの利用効率をよりいっそう改善可能な活性汚泥処理装置1を提供できる。
【0070】
受け部61の形状は、回転方向に対して凸状であれば特に限定されず、椀状、湾曲板状等の回転方向に対して凸状である各種の形状でよい。回転方向が下方から上方になる位置で未溶存気体Gの気体流れ及び気体流れに伴って生じる液体流れを含む流体流れを受け止め可能に構成される場合、受け部61の形状は、回転方向に対して凸状である椀状であることが好ましい。椀状であることにより、湾曲板状等の形状を有する受け部61よりも多くの未溶存気体Gを下方に対して凹状の受け部61の中に一時的に蓄えられる。したがって、より多くの浮力を回転エネルギーに変換できる。
【0071】
[回転軸62]
エネルギー変換部6が受け部61を有する場合、エネルギー変換部6は、図1に示すように、受け部61を回転可能に支持する回転軸62を有することが好ましい。受け部61を回転可能に支持する回転軸62を有することにより、受け部61は、流体流れから得られる運動エネルギーを、回転軸62を回転させる回転エネルギーに変換できる。
【0072】
エネルギー変換部6が連動して回転する3以上の受け部61を含み、回転方向が下方から上方になる位置で未溶存気体Gの気体流れ及び気体流れに伴って生じる液体流れを含む流体流れを受け止め可能に受け部61が構成されている場合、回転軸62は、略水平に構成されていることが好ましい。回転軸62が略水平に構成されていることにより、連動して回転する受け部61のいずれかについて回転方向が下方から上方になるよう受け部61を構成できる。したがって、受け部61のいずれかは、回転方向が下方から上方になる位置で未溶存気体Gの気体流れ及び気体流れに伴って生じる液体流れを含む流体流れを受け止められる。
【0073】
[伝達部63]
エネルギー変換部6が回転軸62を有する場合、エネルギー変換部6は、図1に示すように、受け部61の回転に伴って回転し、後述する伝達部材71に回転エネルギーを伝達可能な伝達部63を有することが好ましい。受け部61の回転に伴って回転し、後述する伝達部材71に回転エネルギーを伝達可能な伝達部63を有することにより、後に詳しく説明する発電部7が有する伝達部材71を介して発電機72に回転エネルギーを伝達できる。伝達部63の構成は、特に限定されず、プーリー、歯車等の伝達部材71に回転エネルギーを伝達可能な各種の構成でよい。
【0074】
〔発電部7〕
発電部7は、エネルギー変換部6によって変換された回転エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。図1に示す例では、発電部7は、伝達部63から回転エネルギーを伝達される伝達部材71と、伝達部材71に伝達された回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機72とを有する。
【0075】
発電部7の数は、特に限定されないが、エネルギー変換部6の数と同数であることが好ましい。発電部7の数がエネルギー変換部6の数と同数であることにより、発電部7とエネルギー変換部6とを1対1に対応させることができるため、エネルギー変換部6それぞれの回転エネルギーに関する回転数の違い等を考慮することなく、回転エネルギーを電気エネルギーに変換できる。また、設備の設置費用を抑えることができる。
【0076】
発電部7は、図1に示す例のように、エネルギー変換部6と別体に構成されていてもよく、エネルギー変換部6の回転軸62に発電機72を接続する等してエネルギー変換部6と一体に構成されていてもよい。発電部7をエネルギー変換部6と別体に構成し、被処理水から離れた位置に設置することにより、発電部7が被処理水によって濡れることを軽減できる。発電部7をエネルギー変換部6と一体に構成することにより、エネルギー変換部6から発電部7へ回転エネルギーを伝達するときに生じる回転エネルギーの伝達ロスを軽減できる。
【0077】
[伝達部材71]
エネルギー変換部6が伝達部63を有する場合、発電部7は、図1に示すように、伝達部63から回転エネルギーを伝達され、伝達された回転エネルギーを後述する発電機72に伝達する伝達部材71を有することが好ましい。これにより、伝達部63及び伝達部材71を介して、エネルギー変換部6から発電機72へ回転エネルギーを伝達できる。
【0078】
伝達部材71の構成は、特に限定されない。伝達部63がプーリーである場合、伝達部材71は、伝達部63との摩擦によって伝達部63から回転エネルギーを伝達されることが可能なベルトであることが好ましい。伝達部63が歯車である場合、伝達部材71は、歯型を噛み合わせることで伝達部63から回転エネルギーを伝達されることが可能な歯付きベルト、又は、歯型を噛み合わせることで伝達部63から回転エネルギーを伝達される歯車と回転エネルギーを伝達する軸と歯型を噛み合わせることで発電機72に回転エネルギーを伝達する歯車とを組み合わせた伝達部材のいずれかであることが好ましい。
【0079】
[発電機72]
発電部7は、回転エネルギーを電気エネルギーに変換可能な発電機72を有する。回転エネルギーを電気エネルギーに変換可能な発電機72を有することにより、回転エネルギーを電気エネルギーに変換できる。そして、活性汚泥処理装置1が行う活性汚泥処理に関するエネルギー効率が改善される。発電機72の構成は、特に限定されず、従来技術の回転エネルギーを電気エネルギーに変換可能な各種の発電機を用いて構成できる。
【0080】
<活性汚泥処理装置1の使用方法>
以下、活性汚泥処理装置1の使用方法の一例について説明する。
【0081】
活性汚泥処理装置1の利用者は、ブロワ31のスイッチを入れる等してブロワ31を動作させる。ブロワ31が酸素を含有する気体を送出し、送出された気体は、送気管32を介して処理槽2の底部に設けられた供給部4へ移送される。供給部4に移送された気体は、供給部4から処理槽2に貯留された被処理水中へ供給され、一部が被処理水中に溶存し、溶存されない未溶存気体Gは、被処理水中を下方から上方へ流れる気体流れとなる。
【0082】
この未溶存気体Gの気体流れは、被処理水の液体流れを伴う流体流れとなって、供給部4の略上方に設置された集気部5へ向かう。未溶存気体Gは、第1開口5Aによって集気部5に取り込まれ、集気されて、第2開口5Bからエネルギー変換部6へ送り出される。エネルギー変換部6は、未溶存気体Gの流体流れから得られる運動エネルギーを回転エネルギーに変換する。
【0083】
この回転エネルギーは、発電部7によって、電気エネルギーに変換される。したがって、被処理水に溶存されない未溶存気体Gの気体流れが持つエネルギーの利用効率を改善する活性汚泥処理装置1を提供できる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限るものではない。また、上述の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したものに過ぎず、本発明による効果は、上述の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0085】
また、上述の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0086】
1 活性汚泥処理装置
2 処理槽
3 送気部
31 ブロワ
32 送気管
4 供給部
5 集気部
5A 第1開口
5B 第2開口
6 エネルギー変換部
61 受け部
62 回転軸
63 伝達部
7 発電部
71 伝達部材
72 発電機
G 未溶存気体
W 定水位
図1