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特開2022-38940金属サイディング用スクレーパ装置及び金属サイディングの処理方法
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  • 特開-金属サイディング用スクレーパ装置及び金属サイディングの処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038940
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】金属サイディング用スクレーパ装置及び金属サイディングの処理方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/22 20060101AFI20220303BHJP
   B02C 18/14 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B02C18/22 ZAB
B02C18/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143677
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】520328774
【氏名又は名称】株式会社山産
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲
【テーマコード(参考)】
4D065
【Fターム(参考)】
4D065CA06
4D065CB01
4D065CC01
4D065CC08
4D065DD05
4D065DD22
4D065EB02
4D065EB20
4D065ED06
4D065ED16
4D065ED50
4D065EE08
4D065EE15
4D065EE20
(57)【要約】
【課題】金属板から断熱材を人手による作業に頼ることなく剥がせるようにして、金属サイディングからリサイクル可能な金属板を容易に得られるようにする。
【解決手段】金属板X1の裏面に断熱材X2が貼り合わされた金属サイディングXから断熱材X2を削り取る金属サイディング用スクレーパ装置100であり、金属サイディングXを搬送する搬送機構30と、搬送機構30による搬送中の金属サイディングXの裏面側に配置されて、金属板X1の裏面から断熱材X2を削り取る刃状部材41が回転可能に設けられたスクレーパロール40とを備えるようにした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の裏面に断熱材が貼り合わされた金属サイディングから前記断熱材を削り取る金属サイディング用スクレーパ装置であり、
前記金属サイディングを搬送する搬送機構と、
前記搬送機構による搬送中の前記金属サイディングの裏面側に配置されて、前記金属板から前記断熱材を削り取る刃状部材が回転可能に設けられたスクレーパロールとを備えることを特徴とする金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項2】
前記スクレーパロールの手前側において、前記搬送機構による搬送中の前記金属サイディングの裏面側に配置されて、前記断熱材を傷つける前処理ロールをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項3】
前記前処理ロールが、前記スクレーパロールよりも回転数が低いことを特徴とする請求項2記載の金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項4】
前記金属サイディングを表面側から前記スクレーパロールに対して押さえつける押さえ部材をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項5】
前記刃状部材が、前記スクレーパロールの外周面に沿って等間隔に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項6】
前記搬送機構が、前記金属サイディングを湾曲させながら搬送するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項7】
前記搬送機構が、前記断熱材が削り取られた後の金属板を搬出する一対の排出ロールをさらに備え、
前記一対の排出ロールが、前記金属板を押し潰して平らにするものであることを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか一項に記載の金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項8】
金属板の裏面に断熱材が貼り合わされた金属サイディングから前記断熱材を削り取る金属サイディングの処理方法であり、
搬送機構により前記金属サイディングを搬送し、
前記搬送機構による搬送中の前記金属サイディングの裏面側に配置されて、刃状部材が回転可能に設けられたスクレーパロールにより、前記金属板から前記断熱材を削り取ることを特徴とする金属サイディングの処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属サイディングのリサイクル等に用いられる金属サイディング用スクレーパ装置及び金属サイディングの処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家の外壁を形成する外壁材として、サイディングと称されるものがある(特許文献1)。このサイディングの種類の一つとして、耐久性や防水性などに優れる金属系のものがあり、具体的にこのものは、外壁表面を形成する金属板と、金属板の裏面に貼り合わされた断熱材とを備えている。
【0003】
この金属サイディングを用いて外壁を形成する場合、余った金属サイディングは、断熱材が産業廃棄物であり、処分に費用がかかる。
【0004】
一方、金属板は、断熱材が取除がれていればリサイクル可能なものであり、有価で流通するものの、金属板から断熱材を手作業で剥がすのにはかなりの労力がいる。サイズにもよるが1枚の金属サイディングから断熱材を剥がし取るのに10分以上かかる。このことから、近時では産廃業者ですら金属サイディングの引き取りを断るものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-224713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本願発明は、金属板から断熱材を人手による作業に頼ることなく剥がせるようにして、金属サイディングからリサイクル可能な金属板を容易に得られるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本願発明に係る金属サイディング用スクレーパ装置は、金属板の裏面に断熱材が貼り合わされた金属サイディングから前記断熱材を削り取る金属サイディング用スクレーパ装置であり、前記金属サイディングを搬送する搬送機構と、前記搬送機構による搬送中の前記金属サイディングの裏面側に配置されて、前記金属板から前記断熱材を削り取る刃状部材が回転可能に設けられたスクレーパロールとを備えることを特徴とするものである。
【0008】
このように構成された金属サイディング用スクレーパ装置によれば、刃状部材が回転可能に設けられたスクレーパロールによって金属板から断熱材を削り取るので、人手による作業に頼ることなく、金属サイディングからリサイクル可能な金属板を容易に得ることができる。
【0009】
断熱材を効率良く削り取れるようにするためには、前記スクレーパロールの手前側において、前記搬送機構による搬送中の前記金属サイディングの裏面側に設けられて、前記断熱材を傷つける前処理ロールをさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、前処理ロールで断熱材を傷つけた後に、その金属サイディングをスクレーパロールに搬送するので、スクレーパロールによる断熱材の削り取りを効率良くすることができる。
【0010】
金属サイディングがスクレーパロールに搬送された際、仮に金属サイディングが何にも保持されていなければ、金属サイディングは刃状部材によって後方に掻き出されるに留まり、断熱材が殆ど削り取られない恐れがある。
そこで、前記前処理ロールが、前記スクレーパロールよりも回転数が低いことが好ましい。
このような構成であれば、スクレーパロールにより断熱材が削り取られている最中の金属サイディングを前処理ロールに保持させることができ、断熱材を確実に削り取ることができる。
【0011】
前記金属サイディングを表面側から前記スクレーパロールに対して押さえつける押さえ部材をさらに備えることが好ましい。
このような構成によれば、断熱材を、表層のみならず、金属板の裏面側まで削り取ることができ、断熱材の取り残しを可及的に少なくすることができる。
【0012】
より具体的な実施態様としては、前記刃状部材が、前記スクレーパロールの外周面に沿って等間隔に設けられている態様を挙げることができる。
【0013】
前記搬送機構が、前記金属サイディングを湾曲させながら搬送するように構成されていることが好ましい。
このような構成であれば、金属サイディングを例えば刃状部材の回転軌道に沿うように湾曲させた状態で金属板から断熱材を削り取ることができ、金属サイディングが平らな状態で削り取る場合に比べて、断熱材を格段に削り取りやすくすることができる。
【0014】
前記搬送機構が、前記断熱材が削り取られた後の金属板を搬出する一対の排出ロールをさらに備え、前記一対の排出ロールが、前記金属板を押し潰して平らにするものであることが好ましい。
このような構成であれば、搬出した複数枚の金属板をコンパクトにまとめておくことができる。
【0015】
また、本発明に係る金属サイディングの処理方法は、金属板の裏面に断熱材が貼り合わされた金属サイディングから前記断熱材を削り取る金属サイディングの処理方法であり、搬送機構により前記金属サイディングを搬送し、前記搬送機構による搬送中の前記金属サイディングの裏面側に配置されて、刃状部材が回転可能に設けられたスクレーパロールにより、前記金属板から前記断熱材を削り取ることを特徴とする方法である。
このような方法によれば、上述した金属サイディング用スクレーパ装置と同様、刃状部材が回転可能に設けられたスクレーパロールによって金属板から断熱材を削り取るので、人手による作業に頼ることなく、金属サイディングからリサイクル可能な金属板を容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、金属サイディングの金属板から断熱材を人手による作業に頼ることなく削り取ることができ、金属サイディングからリサイクル可能な金属板を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】金属サイディングの構成を示す模式図。
図2】一実施形態における金属サイディング用スクレーパ装置の構成を示す模式図。
図3】同実施形態におけるスクレーパ装置の筐体内の構成を示す模式図。
図4】その他の実施形態におけるスクレーパ装置の筐体内の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係る金属サイディング用スクレーパ装置の一実施形態について説明する。
【0019】
<<金属サイディングX>>
まず、金属サイディングXについて簡単に説明する。
【0020】
金属サイディングXは、家の外壁を形成する外壁材であり、耐久性や防水性などに優れる金属系金属サイディングである。具体的にこのものは、図1に示すように、外壁表面を形成する金属板X1と、この金属板X1の裏面に貼り合わされた断熱材X2とを有している。金属板X1は、例えば鉄などからなる平板状のものである。断熱材X2は、例えばウレタンなどからなり、所定の厚みを有するものである。ここでは、断熱材X2の裏面にアルミニウムシートなどの保護シートX3が貼り付けられている。
【0021】
<<金属サイディング用スクレーパ装置100の装置構成>>
次に、金属サイディング用スクレーパ装置100(以下、単にスクレーパ装置100という)について説明する。
【0022】
本実施形態のスクレーパ装置100は、金属サイディングXをリサイクルするためなどに用いられるものであり、具体的には金属サイディングXの金属板X1から断熱材X2を削り取るものである。
【0023】
このスクレーパ装置100は、図2に示すように、筺体10と、筺体10内に設けられて金属サイディングXが載置される載置台20と、載置台20に載置された金属サイディングXを搬送する搬送機構30と、搬送中の金属サイディングXから断熱材X2を削り取るスクレーパロール40とを備えている。
【0024】
筺体10は、載置台20、搬送機構30、及びスクレーパロール40などを収容するものであり、ここでは底面に設けられた移動ローラにより移動可能な可搬型のものである。
【0025】
載置台20は、金属板X1に断熱材X2が貼り合わされた状態の金属サイディングX、すなわち処理前の金属サイディングXが載置されるものであり、この載置台20に載置された金属サイディングXが搬送機構30に送り込まれる。
【0026】
搬送機構30は、送り込まれた処理前の金属サイディングXをスクレーパロール40に搬送し、スクレーパロール40にて金属板X1から断熱材X2が削り取られた処理後の金属サイディングX、すなわち金属板X1を筺体10の外に搬出するものである。より具体的には、図1及び図2に示すように、処理前の金属サイディングXを下方からスクレーパロール40に向かわせるとともに、処理後の金属サイディングXをスクレーパロール40から下方に向かわせるように構成されている。
【0027】
本実施形態の搬送機構30は、金属サイディングXを挟み込みながら搬送する複数の搬送ロール31~33を備えている。これらの搬送ロール31~33の一部又は全部は、筺体10内において異なる高さ位置に設けられており、金属サイディングXを筺体10内で蛇行させながら搬送するように配置されている。これにより、金属サイディングXは湾曲した状態で搬送される。
【0028】
これらの搬送ロール31~33のうち、後述するスクレーパロール40よりも手前側に配置されたものが、スクレーパロール40に搬送される前の金属サイディングXを前処理する前処理ロール31として設けられている。
【0029】
より具体的に説明すると、前処理ロール31は、図2及び図3に示すように、搬送機構30による搬送中の金属サイディングXの裏面側に配置されて、断熱材X2に傷をつけるものであり、所定軸周りに回転する回転体である。
【0030】
この前処理ロール31は、断熱材X2を傷つける鋭利部材311が回転可能に設けられたものであり、ここでは複数の鋭利部材311が前処理ロール31の外周面に沿って等間隔に設けられている。
【0031】
鋭利部材311は、前処理ロール31の径方向に延びており、その先端部が鋭利な形状をなす例えば刃状或いはヘラ状のものである。
【0032】
より具体的な形状を説明すると、この鋭利部材311は、図3に示すように、径方向に延びるとともに回転方向を向く面31aと、径方向に延びるとともに反回転方向を向く面31bと、これらの間に形成された先端面31cとを有している。ここでは、回転方向を向く面31aの径方向に沿った長さを、反回転方向を向く面31bの径方向に沿った長さよりも長くしてあり、先端面31cを径方向に対して傾斜させることで先端部を鋭利にしている。
【0033】
このように構成された前処理ロール31は、この前処理ロール31に対向配置された別の搬送ロール32との間で金属サイディングXを挟み込み、回転する鋭利部材311の先端部が次々と断熱材X2に擦れたり突き刺されたりすることにより、断熱材X2に擦り傷や切り傷を残す。
【0034】
スクレーパロール40は、図2及び図3に示すように、搬送機構30による搬送中の金属サイディングXの裏面側に配置されて、金属板X1の裏面から断熱材X2を削り取るものであり、所定軸周りに回転する回転体である。なお、ここでのスクレーパロール40は、上述した前処理ロール31よりも上方に配置されている。
【0035】
このスクレーパロール40は、断熱材X2を削り取る刃状部材41が回転可能に設けられたものであり、ここでは複数の刃状部材41がスクレーパロール40外周面に沿って等間隔に設けられている。
【0036】
刃状部材41は、スクレーパロール40の径方向に延びており、その先端部が鋭利な形状をなす例えば刃状或いはヘラ状のものであって、上述した鋭利部材311と同様の形状をなす。
【0037】
より具体的な形状を説明すると、この刃状部材41は、図3に示すように、径方向に延びるとともに回転方向を向く面41aと、径方向に延びるとともに反回転方向を向く面41bと、これらの間に形成された先端面41cとを有している。ここでは、回転方向を向く面41aの径方向に沿った長さを、反回転方向を向く面41bの径方向に沿った長さよりも長くしてあり、先端面41cを径方向に対して傾斜させることで先端部を鋭利にしている。
【0038】
なお、この実施形態では、スクレーパロール40の径寸法は、前処理ロール31の径寸法と等しく、鋭利部材311の数や配置は、刃状部材41の数や配置と同じにしてある。ただし、スクレーパロール40や前処理ロール31の径寸法は適宜変更して構わないし、鋭利部材311や刃状部材41の数や配置に関しても適宜変更して構わない。
【0039】
本実施形態のスクレーパ装置100は、図2及び図3に示すように、金属サイディングXを表面側からスクレーパロール40に対して押さえつける押さえ部材50をさらに備えている。
【0040】
この押さえ部材50は、スクレーパロール40に対向配置された例えば平板状のものであり、上述した刃状部材41の先端部との隙間が、金属サイディングXの金属板X1の厚み程度となるように配置されている。
【0041】
上述した構成において、前処理ロール31の回転数をスクレーパロール40の回転数よりも低く設定してあり、スクレーパロール40により断熱材X2が削り取られている最中の金属サイディングXが、前処理ロール31とこれに対向配置された搬送ロール32との間で保持されるようにしてある。すなわち、本実施形態の前処理ロール31は、金属サイディングXをスクレーパロール40に対して支持しながらスクレーパロール40に搬送し、しかも断熱材X2を傷つけるといった種々の機能を兼ね備えている。
【0042】
これにより、スクレーパロール40は、押さえ部材50との間で金属サイディングXを挟み込み、回転する複数の刃状部材41が次々と断熱材X2に押し当てられることにより、金属板X1の裏面から保護シートX3とともに断熱材X2が削り取られる。なお、この際、金属サイディングXは、例えば刃状部材41の回転軌道に沿うように湾曲した状態となっている。
【0043】
このようにして断熱材X2が削り取られた金属板X1は、上述した搬送機構30を構成する一対の排出ロール33に導かれ、これらの排出ロール33によって外部に搬出される。なお、これらの排出ロール33は、金属板X1を上下から挟み込むように配置されており、少なくとも下側の排出ロール33は、スクレーパロール40よりも下方に配置されている。
【0044】
これらの排出ロール33は、図1に示すように、凹凸のある金属板X1を押し潰して平らにするものであり、例えば3mm程度の隙間を空けて配置されている。
【0045】
<<金属サイディング用スクレーパ装置100による作用効果>>
このように構成されたスクレーパ装置100によれば、刃状部材41が回転可能に設けられたスクレーパロール40によって金属板X1から断熱材X2を削り取るので、人手による作業に頼ることなく、金属サイディングXからリサイクル可能な金属板X1を容易に得ることができる。具体的には、本実施形態のスクレーパ装置100によれば、複数枚の金属サイディングXから次々と断熱材X2を削り取ることで、1分間に8枚の金属板X1を得ることができる。なお、手作業の場合は、1枚の金属サイディングXから断熱材X2を削り取るのに10分以上もかかる。
【0046】
さらに、スクレーパロール40の手前側に断熱材X2を傷つける前処理ロール31を設けてあり、前処理ロール31で断熱材X2を傷つけた後に、その金属サイディングXがスクレーパロール40に搬送されるので、スクレーパロール40による断熱材X2の削り取りを効率良くすることができる。
【0047】
そのうえ、前処理ロール31の回転数がスクレーパロール40の回転数よりも低いので、スクレーパロール40により断熱材X2が削り取られている最中の金属サイディングXを前処理ロール31に保持させることができ、断熱材X2を確実に削り取ることができ、具体的には断熱材X2の9割以上を削り取ることができる。
【0048】
しかも、金属サイディングXを表面側からスクレーパロール40に対して押さえつける押さえ部材50を備えているので、断熱材X2を、表層のみならず、金属板X1の裏面側まで削り取ることができ、断熱材X2の取り残しを可及的に少なくすることができる。
【0049】
加えて、金属サイディングXを湾曲させた状態でスクレーパロール40が金属板X1から断熱材X2を削り取るように構成されているので、金属サイディングXが平らな状態で削り取る構成に比べて、断熱材X2を格段に削り取りやすくすることができる。
【0050】
<<その他の実施形態>>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0051】
例えば、前記実施形態では、スクレーパロールの手前側に1つの前処理ロールを設けた態様を説明したが、スクレーパロールの手前側に複数の前処理ロールを設けても良いし、スクレーパロールが複数設けられていても良い。
【0052】
また、前記実施形態では前処理ロールの鋭利部材を刃状或いはヘラ状のものとして説明したが、例えばピン状のものであっても良い。
【0053】
さらに、スクレーパロールに搬送される前に断熱材を傷つけるためには、必ずしも前処理ロールのような回転体を用いる必要はなく、例えば断熱材に押し付けられたり擦り付けられたりして断熱材を荒らすような前処理部材、すなわち回転することなく断熱材を傷つける前処理部材を用いても良い。
【0054】
そのうえ、搬送機構30としては、図4に示すように、金属サイディングXを湾曲させることなく、例えば水平方向や鉛直方向に沿って搬送するように構成されていても良い。
【0055】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
100・・・スクレーパ装置
X ・・・金属サイディング
X1 ・・・金属板
X2 ・・・断熱材
X3 ・・・保護シート
10 ・・・筺体
20 ・・・載置台
30 ・・・搬送機構
31 ・・・前処理ロール
32 ・・・搬送ロール
33 ・・・排出ロール
40 ・・・スクレーパロール
41 ・・・刃状部材
50 ・・・押さえ部材
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の裏面に断熱材が貼り合わされた金属サイディングから前記断熱材を削り取る金属サイディング用スクレーパ装置であり、
前記金属サイディングを搬送する搬送機構を備え、
前記搬送機構による搬送中の前記金属サイディングの裏面側に配置されて、前記金属板から前記断熱材を削り取る刃状部材が回転可能に設けられたスクレーパロールと、を備え、
前記搬送機構が、前記スクレーパロールの手前側において、前記搬送機構による搬送中の前記金属サイディングの裏面側に配置されて、前記断熱材を傷つける前処理ロールを具備し、
前記搬送機構が、前記前処理ロールにより前記断熱材を傷つけた後に前記金属サイディングを前記スクレーパロールの刃状部材の回転軌道に沿って湾曲させながら搬送するように構成されていることを特徴とする金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項2】
前記前処理ロールが、前記スクレーパロールよりも回転数が低いことを特徴とする請求項1記載の金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項3】
前記金属サイディングを表面側から前記スクレーパロールに対して押さえつける押さえ部材をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2のうち何れか一項に記載の金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項4】
前記刃状部材が、前記スクレーパロールの外周面に沿って等間隔に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項5】
前記搬送機構が、前記金属サイディングを湾曲させながら搬送するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項6】
前記搬送機構が、前記断熱材が削り取られた後の金属板を搬出する一対の排出ロールをさらに備え、
前記一対の排出ロールが、前記金属板を押し潰して平らにするものであることを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の金属サイディング用スクレーパ装置。
【請求項7】
金属板の裏面に断熱材が貼り合わされた金属サイディングから前記断熱材を削り取る金属サイディングの処理方法であり、
搬送機構により前記金属サイディングを搬送し、
前記搬送機構による搬送中の前記金属サイディングの裏面側に配置されて、刃状部材が回転可能に設けられたスクレーパロールにより、前記金属板から前記断熱材を削り取ること、
前記スクレーパロールの手前側において、前記搬送機構による搬送中の前記金属サイディングの裏面側に配置された前処理ロールにより、前記断熱材を傷つける前処理を行うことと、
前記搬送機構が、前記前処理ロールにより前記断熱材を傷つけた後に前記金属サイディングを前記スクレーパロールの刃状部材の回転軌道に沿って湾曲させながら搬送することを特徴とする金属サイディングの処理方法。