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  • 特開-発毛促進剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038980
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】発毛促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/37 20060101AFI20220303BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20220303BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220303BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20220303BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
A61K31/37
A61P17/14
A61P43/00 107
A61P43/00 111
A61Q7/00
A61Q5/02
A61K8/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143735
(22)【出願日】2020-08-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物1:Congress Chairpersons:Shuji Akai,Yasuyuki Kita 27th ISHC Secretariat:Laboratory of Synthetic Medicinal Chemistry Graduate School of Pharmaceutical Sciences,Osaka University Book of Abstracts,27▲th▼ International Society of Heterocyclic Chemistry Congress,p.563 令和1年8月28日 刊行物2:一般社団法人 日本生薬学会、日本本生薬学会第66回年会 東京2019 講演要旨集 第183頁、令和1年8月31日 刊行物3:公益法人日本薬学会 https://confit.atlas.jp/guide/event/pharm140/subject/2Y14-24-08/advanced 令和2年3月5日
(71)【出願人】
【識別番号】592101002
【氏名又は名称】株式会社加美乃素本舗
(71)【出願人】
【識別番号】000125347
【氏名又は名称】学校法人近畿大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬瀬 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】柳田 満廣
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔
(72)【発明者】
【氏名】森川 敏生
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C083AB332
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC642
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD512
4C083AD532
4C086AA01
4C086AA02
4C086CA01
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA92
4C086ZB22
4C086ZC41
(57)【要約】
【課題】男性ホルモンの活性化に影響を与えることがなく、優れたVEGF産生促進効果およびβ―カテニン産生促進効果を有する発毛促進剤を提供する。
【解決手段】本発明の発毛促進剤は、下記の化学式1で表される化合物を有効成分とする。
【化1】
(式中のR~Rは、各々独立に、水素原子、水酸基またはメトキシ基を示す)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される化合物を有効成分とする発毛促進剤。
【化1】
(式中のR~Rは、各々独立に、水素原子、水酸基またはメトキシ基を示す)
【請求項2】
化学式1で表される化合物からなる毛乳頭細胞増殖促進剤。
【請求項3】
化学式1で表される化合物からなるVEGF産生促進剤。
【請求項4】
化学式1で表される化合物からなるβ―カテニン産生促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発毛促進剤に関する。より詳細には、男性ホルモンの活性化に影響を与えることなく、毛乳頭細胞増殖作用、VEGF産生促進作用、β―カテニン産生促進作用により、優れた脱毛予防効果、育毛・養毛効果、かゆみの抑制効果及び髪質改善効果を持つ、化粧品、医薬部外品、医薬品等の発毛促進組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の質や量には個人差があり、生まれつき、または若いときから、毛髪の本数が少ない、毛髪が細いなどの理由で外見上髪が薄い場合がある。また、加齢とともに、毛髪が細くなったり、早期に抜け易くなったりして、年齢が上がると髪が薄くなる場合がある。さらに、ストレスや薬剤の副作用などの医学的な原因により、頭髪全体又は一部の髪が抜けたり、細くなったり、発毛が低減したりすることもある。
毛髪は、成長期、退行期および休止期からなる毛周期(ヘアサイクル)に従い、生えかわっている。この毛周期(ヘアサイクル)のうち、成長期において髪は成長する。しかしながら、この成長期が短くなることにより薄毛となる。薄毛を改善するためには、この短くなった成長期をもとに戻し、毛周期(ヘアサイクル)を正常な状態とすることが重要である。
【0003】
毛周期(ヘアサイクル)の成長期において毛乳頭細胞の増殖及び分化が促進されることが知られている(非特許文献1~4)。さらにこの成長を誘導/延長させる生体内因子として、毛乳頭細胞等から分泌されるサイトカインある。このサイトカインとして、線維芽細胞増殖因子(FGF-7)、血管内皮細胞(VEGF)等が知られている(非特許文献5~8)。さらに、毛乳頭細胞の増殖およびサイトカインの分泌におけるメカニズムの一つとして細胞内のβ―カテニンの量の増加がある(非特許文献9~11)。
また、近年、フェナステリドに代表されるように男性ホルモンの活性化を抑制する発毛成分が利用されているが、副作用があるとともに、その適用疾患は男性型脱毛症に限定され、その適応者も男性となっている(非特許文文献12)。
特許文献1には、アロエエキスが血管内皮細胞増殖因子の産生を促進することから、育毛効果に優れていることが開示されている。特許文献2には、アスコルビン酸リン酸Mgがβ―カテニンの産生の産生を促進することから、育毛効果に優れていることが開示されている。非特許文献13には、フェニルプロパノイド成分であるシナピン酸の毛乳頭細胞増殖促進効果およびVEGFの産生促進効果が報告されている。
また、非特許文献14には、エンメイソウの主成分のひとつであるエンメインのエンメイソウからの精製方法が報告されており、非特許文献15にはエンメイソウの化学合成法が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5703340号公報
【特許文献2】特許6563175号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Buffoli B,Rinaldi F,Labanca M,Sorbelini E,Trink A,Guranziroli E,Rezzan R,Rodella LF(2014) The human hair:from anatomy to physiology.Int J Dermatol 53:331-341
【非特許文献2】Alonso L,Fuchs E(2006) The hair cycle.J Cell Sci 119:391-393
【非特許文献3】Lin CM,Li Y,Ji YC,Keng H,Cai XN,Zhang JK(2008) Microencapsulated human hair dermal papilla cells:a substitute for dermal papilla?.Arch Dermatol Res 300:531-535
【非特許文献4】Elliott K,Stephenson TJ,Messenger AG(1999) Differences in hair follicle dermal papilla volume are due to extracellular matrix volume and cell number:implications for the control of hair follicle size and androgen responses.J Invest Dermatol 113:873-877
【非特許文献5】Thornton MJ,Hamada K,Messenger AG,Randall VA(1998) Androgen-Dependent Beard Dermal Papilla Cells Secrete Autocrine Growth Factor(s) in Response to Testosteron Unlike Scalp Cells.J Investig Dermatol 111(5):727-732
【非特許文献6】Morgan AM(2014) The Dermal Papilla:An Instructive Niche for Epothelial Stem and Progenitor Cells in Development and Regeneration of the Hair Follicle,Cold Spring. Harb Perspect Biol 4:1-14
【非特許文献7】Lachgar S,Moukadiri H,Jonca F,Charveron M,Bouhaddioui N,Gall Y,Bonafe JL, Plouet J(1996) Vascular Endothelial Growth Factor Is an Autocrine Growth Factor for Hair Dermal Papilla Cells.J Invest Dermatol 106:17-23
【非特許文献8】Guo L,Degenstein L,Fuchs E(1996) Keratinocyte growth factor is required for hair development but not for wound healing.Genes Dev 10:165-175
【非特許文献9】Zhou L,Yang K,Xu M,Andl T,Millar SE,Boyce S,Zhang Y(2016) Activating β-catenin signaling in CD133-positive dermal papilla cells increases hair inductivity. The FEBS Journal 208:2823-2835
【非特許文献10】Herman A,Herman AP(2016) Mechanism of action of herbs and their active constituents used in hair loss treatment.Fitoterapia 114:18-25
【非特許文献11】Clifford RL,Deacon K,Knox AJ(1995) Novel Regulation of Vascular Endothelial Growth Factor-A(VEGF-A) by Transforming Growth Factor β1.J Biol Chem 283(51):785-789
【非特許文献12】Kaufman KD,Olsen EA,Whiting D,Savin R,DeVillez R,Bergfeld W,Price V H,van Neste D,Roberts J L,Hordinsky M,Shapire J,Binkowits B,Gomley G J(1998) The Finasteride Male Pattern Hair Loss Study Group, Finasteride in the treatment of men with androgenetic alopecia.J Am Acad Dermatol 39:578-589
【非特許文献13】Woo H,Lee S,Kim S,Park D,Jung E(2017) Effect of sinapic acid on hair growth promoting in human hair follicle dermal papilla cells via Akt activation.Arch Dermatol Res 309:381-388
【非特許文献14】Ikeda T,Kanatomo S(1985) Study of Bitter principles od isodon trichocarpus.I.YKUGAKUZASSI 78:1128-1132
【非特許文献15】Pan S,Chen S,Dong G(2018) Divergent Total Syntheses of Enmein-Type Natural Products: (-)-Enmein, (-)-Isodocarpin, and (-)-SculponinR.Angew Chem int Ed Engl 57 (21):6333-6336
【非特許文献16】Woo H,Lee S,Kim S,Park D,Jung E(2017) Effect of sinapic acid on hair growth promoting in human hair follicle dermal papilla cells via Akt activation. Arch Dermatol Res 309:381-388
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、フェナステリドに代表されるように男性ホルモンの活性化を抑制する発毛成分が利用されているが、副作用のおそれがあるとともに、非特許文文献12に示されるように、その適用疾患は男性型脱毛症に限定され、その適応者も男性となっている。
そこで、男性ホルモンの活性化に作用しないことにより副作用の懸念も少なく、男女問わず使用でき、より優れた育毛効果を示す発毛促進剤を得るために、毛乳頭細胞増殖促進効果、血管内皮増殖因子(VEGF)産生促進効果、β―カテニン産生促進効果の高い成分が求められている。
【0007】
本発明は、男性ホルモンの活性化に影響を与えることなく、優れた毛乳頭細胞増殖促進効果、血管内皮増殖因子(VEGF)産生促進効果、β―カテニン産生促進効果を有する発毛促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、以下の本発明を完成させた。
1.下記の化学式1で表される化合物を有効成分とする発毛促進剤。
【化1】
(式中のR~Rは、各々独立に、水素原子、水酸基またはメトキシ基を示す)
2.化学式1で表される化合物からなる毛乳頭細胞増殖促進剤。
3.化学式1で表される化合物からなるVEGF産生促進剤。
4.化学式1で表される化合物からなるβ―カテニン産生促進剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、副作用の懸念も少なく、男女問わず使用でき、男性ホルモンの活性化に影響を与えることなく、優れた毛乳頭細胞増殖促進効果、血管内皮増殖因子(VEGF)産生促進効果、β―カテニン産生促進効果を有する発毛促進剤の提供ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、異なる濃度でのエンメインの存在下または非存在下で、ヒト頭髪毛乳頭細胞を培養し、β―カテニンの産生量を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
化学式1で示される化合物には、エンメイソウ(延命草)等から抽出される成分である、エンメイン、イソドカルピン、ノドシン、シェリンCなどが挙げられる。
本明細書において「発毛」の用語は、毛包内で毛の新たな発生を促す、あるいは毛の発育・成長を促すように有利にはたらく効果を包含する。なお、ここで毛とは、ヒトを含む動物における身体に生える任意の毛を意味し、例えば、毛髪(頭髪)、眉毛、睫毛、口髭、顎鬚、胸毛、背部毛などあらゆる体毛を意味し、主には、毛髪、眉毛、又は睫毛を意味する。
【0012】
エンメイソウ(延命草)としては、シソ科のヒキオコシ Isodon japonicus(Plectranthus japonicus,Rabdosia japonica)、クロバナヒキオコシIsodon trichocarpus(Plectranthus trichocarpus,Rabdosia,trichocarpa)およびカメバヒキオコシ Isodon umbrosus(leucanthus
kameba,Isodon kameba,Plectranthus kameba)が挙げられ、これらの地上部(葉、茎等)を主に利用する。これらのなかでもクロバナヒキオコシが好ましく、使用する部位としては葉部が好ましい。また、本発明で用いるエンメイソウ抽出物とは、かかる地上部等を乾燥し又は乾燥することなく粉砕あるいは裁断した後、常温又は加温下に、溶剤により抽出するか又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得られる各種溶媒抽出液、その希釈液、その濃縮液、あるいはその乾燥粉末である。
ここで、エンメイソウの抽出に使用される溶媒は特に限定されず、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の液状多価アルコール、酢酸エチル等の低級アルキルエステル、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素、ジエチルエーテル、アセトン等の公知の溶媒が挙げられ、これらの溶媒は、1種ないし2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも水およびエタノール水溶液が好ましく、70%エタノール溶液が特に好ましい。
なお、エンメイソウの抽出は常法で行い、得られたエンメイソウ抽出液はそのまま用いてもよいが、さらに必要により精製、濃縮、濾過等の処理したものを用いることができる。
【0013】
本発明の発毛促進剤は、化学式1で示される化合物を有効成分とするものであり、優れた発毛促進効果を有し、かつ安全性も高いので、剤型としては錠剤、カプセル剤、散剤、内服液、細粒剤、顆粒剤等の経口投与剤の形態となすことができ、また、適当な基材、薬剤などと混合した皮膚外用剤や頭髪化粧料等の外用形態とすることができる。具体的には、ローション、乳液、軟膏、クリーム、ジェル、オイル、パック、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアートニック、ヘアーリキッド等の形態をとることができる。さらに上記のような外用剤の他にも、例えば、石けん、入浴剤といったものに配合してもよい。また、本発明においてエンメイソウ抽出物を処理したものとしては、例えば、エンメイソウの地上部からの抽出物を酢酸エチルと水にて液―液分配し、得られた酢酸エチル可溶部を活性炭に吸着させ、その後、活性炭を適当な溶媒にて再度抽出した活性炭吸着エキス等が挙げられる。
【0014】
さらに本発明の発毛促進剤は、下記一般式(1)、
【化2】
(式中のR~Rは、各々独立に、水素原子、水酸基またはメトキシ基を示す)で表される骨格を有する化合物を有効成分とするものである。
【0015】
上記一般式(1)の化合物には、エンメイン、イソドカルピン、ノドシン、シェリンCなどが挙げられ、植物からの抽出、単離、または既知の方法による合成により得ることができる。特に、前記の方法によりエンメイソウの地上部からエンメイソウ抽出物を得た後、精製処理をすることにより、好適に得ることができる。
精製処理は、例えば、クロマトグラフ法、イオン交換樹脂、活性炭を使用する溶離法、溶媒による分配抽出、再結晶法等を単独、又は組み合わせて採用することができる。クロマトグラフ法としては、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、遠心液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を挙げることができ、これらのいずれか、又はそれらを組み合わせで行う方法が挙げられる。この際の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宣選択することができる。
【0016】
また、本発明においては、上記一般式中のRが水酸基、Rが水素、Rが水素、Rが水酸基である下記式で表されるエンメイン(enmein)であることが好ましい。
【化3】
【0017】
エンメインは、エンメイソウ抽出物から定法により単離することも可能である。また、非特許文献13の方法等により精製することもできるし、非特許文献14の方法等により合成することもできる。
【0018】
本発明において、エンメイソウ抽出液の配合量は、添加形態および投与形態によっても異なるが、外用剤の場合には、全組成物中0.0001~90質量%配合することが好ましく、0.001~50質量%配合することがより好ましく、0.0001~10質量%配合することがさらにより好ましい。また、経口投与剤の場合には、成人一日あたり、0.001から100gになるようにするのが好ましい。
【0019】
また、本発明の発毛促進剤は、男性ホルモンの活性化に影響を与えることなく毛乳頭細胞増殖促進効果、VEGF遺伝子発現促進効果、VEGFタンパク産生促進効果およびβ―カテニンタンパク発現促進効果を併せ持つ。
【0020】
また、本発明の発毛促進剤には、さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品や医薬品等に一般的に用いられている保湿剤、油性成分、界面活性剤、ビタミン類、タンパク分解酵素、増粘剤、防腐剤、紛体、酸化防止剤、紫外線吸収剤、乳化剤、アルコール類、色素、水溶性成分、脂肪酸類、香料、キレート剤、pH調整剤、精製水等の添加成分を配合することができる。
【0021】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール、ソルビット、マンニット等の糖アルコール、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、冬虫夏草エキス、延命草エキス、オオムギエキス、ブドウエキス、チューベロースポリサッカライド、桔梗エキス、ヨクイニンエキス、オトギリソウエキス、オーツ麦エキス等が挙げられる。
【0022】
油性成分としては、例えばユーカリ油、サフラワー油、月見草油、ホホバ油等の植物油、不飽和脂肪酸アルキルエステル(オレイン酸エチル、リノール酸イソプロピル等)、リノレイン酸エステル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油、多価アルコール脂肪酸エステル(トリ-2エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン酸等の多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル類、精油類、シリコーン油類などが挙げられる。
【0023】
界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノ又はイソステアレート、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル(モノミリスチン酸デカグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン等の非イオン性界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン酸、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等のN-アシルグルタミン酸塩、
硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、POE-アルキルエーテルカルボン酸、POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等のアニオン界面活性剤、第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム)、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POE-アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルベンジルジメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム)、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POE-アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルベンジルジメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム等のイミダゾリン系両性界面活性剤、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤が挙げられる。
【実施例0024】
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0025】
(実施例1)
実施例1は、エンメイソウから抽出物を抽出した実施例である。
1)エンメイソウの地上部の刻み3kg(日本産、三国(株)社製)を70%エタノール溶液による抽出を3回繰り返し行い、70%エタノール溶液抽出液を得た。得られたメタノール抽出液を減圧下溶媒留去して70%エタノール溶液抽出エキスを得た。
2)70%エタノール溶液抽出エキスについて、酢酸エチル/水にて分液を行い、酢酸エチル層を得た。
3)酢酸エチル層について、溶媒を留去し、さらに順相および逆相カラムクロマトグラフィー、次いでHPLCにて精製を行い、化合物1~20(不図示)を得た。
【0026】
(実施例2)
実施例2は、実施例1で得た70%エタノール溶液抽出エキス、酢酸エチル層および単離した4種類のエントカウラン型ジテルペノイド(化合物1~4)について、毛乳頭細胞増殖促進作用試験を行った実施例である。
まず、正常ヒト毛乳頭細胞(タカラバイオ(株)社製)をウシ胎児結成(FBS)(10%)、ペニシリンG(100units/mL)およびストレプトマイシン(100μg/mL)を含むDulbecco’s modified Eagle’s Medium(DMEM)培地を用い、37℃、5%CO下で培養した。
このように培養された細胞を、トリプシン/EDTA溶液(0.05%濃度)によりトリプシン処理した。処理後の細胞を、ウシ胎児血清(FBS)不含DMEM培地を用いて
、1.0×10細胞/mLの濃度に希釈した。希釈された細胞を、96ウエルのマイクロプレートに、100μL/ウエルで播種し、1日間培養した。
【0027】
被験試料としての化合物1~4を、所定の濃度でFBS不含DMEMに溶解した。濃度は、5μmol/L、10μmol/L、20μmol/L、40μmol/Lのそれぞれとした。
溶解された各被験試料を、上記の細胞を播種した96ウエルマイクロプレートの各ウエルに100μL/ウエルの量で添加し、さらに4日間培養した。毛乳頭細胞増殖効果は、WST-8アッセイを用いて測定した。即ち、培養後、各ウエルにWST-8溶液(株式会社同仁化学研究所社製)を加え、37℃、5%CO下で1時間培養を行い、細胞増殖の指標としてO.D.値(450-655nm)の測定を行った。毛乳頭細胞増殖促進率(%)は、以下の式(1)により算出した。
毛乳頭細胞増殖率(%) = A1 / B1 × 100 ・・・式(1)
A1:被験試料添加時のO.D.450-650
B1:被験試料無添加時(コントロール)のO.D.450-650
【0028】
メタノール抽出エキス、酢酸エチル層および化合物1~4のそれぞれについて算出された毛乳頭細胞増殖促進率を、以下の表1に示す。毛乳頭細胞増殖率は、化合物1~4の各濃度についてそれぞれ、3回測定した。その3回の測定値の平均値および標準誤差を、「平均値±標準誤差」として示す。なお、各測定値は、コントロールを100%とした相対値である。陽性対照として、現在、育毛成分として使用されている硫酸ミノキシジルおよび毛乳頭細胞増殖促進効果が明らかとなっているシナピン酸(非特許文献15)を用いた。
【表1】
【0029】
上記表1に示されるように、70%エタノール溶液、酢酸エチル層、メタノール層、エンメイン(化合物1)、ノドシン(化合物3)のそれぞれにおける10μmol/Lにおいて、また、イソドカルピン(化合物2)の5μmol/Lおいて、さらに、シェリンC(化合物4)の1μmol/Lおいて、陽性対照である硫酸ミノキシジルおよびシナピン酸を上回る活性強度を有していた。
実施例2の結果から、エンメイン(化合物1)、イソドカルピン(化合物2)、ノドシン(化合物3)、セリシンC(化合物4)は、毛乳頭細胞増殖促進剤の有効成分となり得ることが確認された。これらの化合物1~4は、低濃度で硫酸ミノキシジルおよびシナピン酸を超える毛乳頭細胞増殖促進効果を示している。したがって、エンメイン(化合物1)、イソドカルピン(化合物2)、ノドシン(化合物3)、セリシンC(化合物(化合物4)は、硫酸ミノキシジルおよびシナピン酸より毛乳頭細胞増殖促進効果が優れていることがわかる。
【0030】
(実施例3)
実施例3は、実施例1で単離したエンメイン(化合物1)について、ヘアサイクルに関与する増殖因子VEGF遺伝子に対するmRNA産生促進試験を行ったものである。産生促進試験は、mRNAの発現を評価するmRNA発現促進作用試験(リアルタイムPCR法)により行った。
実施例2で用いたものと同様に、37℃、5%CO下で培養したで培養されたヒト正常毛乳頭細胞を、トリプシン/EDTA溶液(0.05%濃度)によりトリプシン処理した。
処理後の細胞を、ウシ胎児血清(FBS)含有DMEM培地を用いて、4.0×10細胞/mLの濃度に希釈した。希釈された細胞を、6ウエルのマイクロプレートに、1mL/ウエルで播種し、4日間培養した。培養後、培地を吸引除去し、PBS(-)を用いて洗浄後、ウシ胎児血清(FBS)不含DMEM培地(1mL)を加え、1日間培養した。
その後、被験試料としてのエンメイン(化合物1)を、2.5μmol/L、5μmol/L、10μmol/L、20μmol/Lのそれぞれの濃度でFBS不含DMEMに溶解させた試験液を1mL/ウエルで加え、さらに1日間培養した。
【0031】
培養後、一般的な方法によりtotalRNAを調製した。被験試料無添加で培養した細胞についても、同様にtotalRNAを調製した。それぞれのRNA量を分光光度計で測定し、0.2μg/μLになるようにtotalRNAを調製した。このtotalRNAを鋳型とし、市販のキットにて、cDNAを調製した。このcDNAを鋳型とし、ヘアサイクルに関与する各種増殖因子であるVEGF及び内部標準であるRPLP0のmRNA発現量を測定した。検出は、リアルタイムPCR装置(CFX Connect Real-Time PCR Detection System(Bio-Rad Laboratories,Inc社製))を用いて、SsoAdvancedtm Universal SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio-Rad
Laboratories,Inc社製)によるリアルタイムPCR反応により行った。
増殖因子VEGFのmRNA発現量は、RPLP0のmRNAの発現量で補正した。
なお、増殖因子VEGFのmRNAの発現値は以下の式(2)により算出した。
増殖因子VEGFのmRNAの発現値=A2/B2 式(2)
A2:被験試料添加時の補正値
B2:被験試料無添加時(コントロール)の補正値
【0032】
エンメイン(化合物1)についての増殖因子VEGFのmRNA発現値を、以下の表2に示す。表2に示すmRNA発現値は、それぞれ1点について、コントロールを1とした相対値である。
【表2】
【0033】
上記の表2に示されるように、エンメイン(化合物1)には、被験試料無添加の2倍程度の増殖因子VEGFのmRNA産生促進効果が認められた。
このように、実施例3の結果から、エンメイン(化合物1)は、増殖因子VEGFのmRNA産生促進剤の有効成分となり得ることが確認された。
【0034】
(実施例4)
実施例4は、実施例2で単離したエンメイン(化合物1)について、ヘアサイクルに関与する増殖因子VEGFタンパクに対する産生促進試験を行ったものである。産生促進試験は、ヒト毛乳頭細胞から培地へ分泌されたVEGFタンパク量をエライザ法にて定量し、評価する方法により行った。
実施例2で用いたものと同様に、37℃、5%CO下で培養されたヒト正常毛乳頭細胞を、トリプシン/EDTA溶液(0.05%濃度)によりトリプシン処理した。処理後
の細胞を、ウシ胎児血清(FBS)含有DMEM培地を用いて、4.0×10細胞/mLの濃度に希釈した。希釈された細胞を、6ウエルのマイクロプレートに、500μL/ウエルで播種し、4日間培養した。培養後、培地を吸引除去し、PBS(-)を用いて洗浄後、ウシ胎児血清(FBS)不含DMEM培地(200μL)を加え、1日間培養した。
その後、被験試料としてのエンメイン(化合物1)を、5μmol/L、10μmol/L、20μmol/Lのそれぞれの濃度でFBS不含DMEMに溶解させた試験液を200μL/ウエルで加え、さらに1日間培養した。
【0035】
培養後、培地上精200μLをマイクロチューブにとり、遠心分離(5000rpm/5min)を行った後、その上精を市販のエライザキットにて培地中の増殖因子VEGFタンパク量を測定した。
なお、増殖因子VEGFタンパク量産生促進率(%)は、以下の式(3)により算出した
増殖因子VEGFタンパク量産生促進率(%)=A3/B3×100 式(3)
A3:被験試料添加時の増殖因子VEGFタンパク量
B3:被験試料無添加時(コントロール)の増殖因子VEGFタンパク量
【0036】
エンメイン(化合物1)についての増殖因子VEGFタンパク量産生促進率(%)を、以下の表3に示す。表3に示す増殖因子VEGFタンパク量産生促進率(%)は、それぞれ1点について、コントロールを100%とした相対値である
【表3】
【0037】
上記の表3に示されるように、エンメイン(化合物1)には、被験試料無添加の1.2倍程度の増殖因子VEGFタンパク量産生促進効果が認められた。
このように、実施例4の結果から、エンメイン(化合物1)は、VEGFタンパク量産生促進剤の有効成分となり得ることが確認された。
【0038】
(実施例5)
実施例5は、実施例2で単離したエンメイン(化合物1)について、細胞の分化・増殖に関与するシグナル伝達分子であるβ―カテニンに対する産生促進試験を行った実施例である。産生促進試験は、ヒト毛乳頭細胞内のβ―カテニン量をウェスタンブロット法にて評価する方法により行った。
実施例2で用いたものと同様に、37℃、5%CO下で培養されたヒト正常毛乳頭細胞を、トリプシン/EDTA溶液(0.05%濃度)によりトリプシン処理した。処理後の細胞を、ウシ胎児血清(FBS)含有DMEM培地を用いて、5.0×10細胞/mLの濃度に希釈した。希釈された細胞を、75cm培養フラスコに1.0mL播種し、サブコンフルエントになるまで培養した。培養後、培地を吸引除去、PBS(-)を用いて洗浄後、ウシ胎児血清(FBS)不含DMEM培地(10mL)加え、1日間培養した。
その後、培地を除去し、被験試料としてのエンメイン(化合物1)を、5μmol/L
、10μmol/L、20μmol/Lのそれぞれの濃度でFBS不含DMEMに溶解させた試験液を10mL/ウエルで加え、さらに1日間培養した。
【0039】
培養後、一般的な方法により細胞溶解液を調製した。被験試料無添加で培養した細胞についても、同様に細胞溶解液を調製した。それぞれの細胞溶解液を市販のBCAタンパク定量キットにて総タンパク量で測定し、総タンパク量を1μg/μLになるように細胞溶解液を調製した。この細胞溶解液25μLをポリアクリドゲルに充填し、電気泳動を行った。
電気泳動後、ニトロセルロース膜にブロティングした後、抗β―カテニン抗体および抗β―アクチン抗体をそれぞれ反応させHRPが結合された2次抗体を反応させた。その後ケミルミシステムにてタンパクを蛍光検出し、その蛍光強度を数値化し、β―カテニン量を求めた。
β―カテニン量は、β―アクチン量で補正し算出した。β―カテニン産生促進量は以下の式(4)により算出した。
β―カテニン産生促進量(%)=A4/B4×100 式(4)
A4:被験試料添加時の補正値
B4:被験試料無添加時(コントロール)の補正時値
【0040】
エンメイン(化合物1)についてのβ―カテニン産生促進量を、以下の表4に示す。表4に示す産生促進量は、それぞれ1点について、コントロールを1とした相対値である。
【表4】
【0041】
上記の表4に示されるように、エンメイン(化合物1)には、被験試料無添加時と比較してβ―カテニン産生促進効果が認められた。
このように、実施例5の結果から、エンメイン(化合物1)は、β―カテニン産生促進剤の有効成分となり得ることが確認された。
【0042】
(実施例6)
実施例6は、実施例2で単離したエンメイン(化合物1)について、男性ホルモンの活性化酵素である5α―リダクターゼに対する酵素阻害活性試験を行ったものである。酵素阻害活性試験は、下記の方法による評価を行った。
ここで、48穴マイクロプレートを使用し、緩衝液には40mMのKHPO-KHPO buffer pH6.5(富士フイルム和光純薬(株)社製)を用いて実験を行った。
0.35nmolのtestosterone(東京化成(株)社製)と10nmolのNADPH(富士フイルム和光純薬(株)社製)との混合溶液を各ウエルに490μLずつ添加し、被験物質(DMSOで希釈)を5μLずつ添加した。室温で20分間インキュベートした後、10倍希釈したS9 Rat Liver Fractions(オリエンタル酵母工業(株)社製)を10μLずつ添加し、37℃で30分間加温して反応させた。反応後、沸騰水浴で2分間加熱し、酵素を失活させた。酵素失活後の溶液500μL/wellを抜き取り、酢酸エチル500μLと混ぜ、遠心分離(10000rpm、5min)した。酢酸エチル層300μLを取りだし、酢酸エチルを除去してテストステロンを得た。得られたテストステロンを内部標準物質(fludrocortisone
acetate 20μg/mL、Sigma-Aldrich)含有のアセトニトリル30μLで溶かし、HPLCにてテストステロン濃度を定量した。
【0043】
テストステロンのピーク面積と内部標準物質のピーク面積との比を縦軸に、テストステロンの濃度を横軸にして、検量線を作成した。検量線より求めたテストステロン定量値から、以下の式(5)より阻害率(%)を算出した。
阻害率(%)=(A5-B5)/(C5-B5)×100 式(5)
A5:被験物質添加
B5:被験物質未添加(コントロール)
C5:酵素未添加
【0044】
【表5】
【0045】
上記の表5に示されるように、エンメイン(化合物1)は、有意な5α―リダクターゼ酵素阻害活性を有さなかった。すなわち、エンメイン(化合物1)は、男性ホルモンの活性化に影響を与えないことが確認された。
【0046】
(実施例7)
実施例7として、実施例2で単離したエンメインを用いた育毛剤を表6に示す。
【表6】
【0047】
実施例7に示すように、エンメインを有効成分とする毛乳頭細胞増殖促進効果、VEGF産生促進効果、β―カテニン産生促進効果を有する育毛剤が調製できる。
【0048】
(実施例8)
実施例8として、実施例2で単離したエンメインを用いた育毛剤を以下の表7に示す。
【表7】
【0049】
実施例8に示すように、エンメインを有効成分とする毛乳頭細胞増殖促進効果、VEGF産生促進効果、β―カテニン産生促進効果を有する育毛剤が調製できる。
【0050】
(実施例9)
実施例9として、実施例2で単離したエンメインを用いた毛髪洗浄剤を以下の表8に示す。
【表8】
【0051】
実施例9に示すように、エンメインを有効成分とする毛乳頭細胞増殖促進効果、VEGF産生促進効果、β―カテニン産生促進効果を有する毛髪洗浄剤が調製できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、副作用の懸念も少なく、男女問わず使用でき、男性ホルモンの活性化に影響を与えることなく、優れた毛乳頭細胞増殖促進効果、血管内皮増殖因子(VEGF)産生促進効果、β―カテニン産生促進効果を有する発毛促進剤の提供ができる。
図1