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特開2022-38987熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造
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  • 特開-熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造 図1
  • 特開-熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造 図2
  • 特開-熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造 図3
  • 特開-熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造 図4
  • 特開-熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038987
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20220303BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20220303BHJP
   F28F 1/40 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
F28F9/02 301A
F28D1/053 A
F28F1/40 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143748
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】塚原 政仁
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA17
3L103BB39
3L103CC08
3L103CC22
3L103DD08
3L103DD32
3L103DD34
3L103DD42
3L103DD44
(57)【要約】
【課題】 インナフィン4を有する偏平チューブ3の熱交換流体の流入抵抗を低下させること。
【解決手段】 ヘッダプレート1のチューブ挿通孔2の軸線方向の中間部のみに、予め幅広部2aを形成し、その幅広部2aに偏平チューブ3の端部の中間部の拡開部3aを圧着する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッダプレート(1)のチューブ挿通孔(2)に偏平チューブ(3)の端部が挿通され、その端部が拡開されて、偏平チューブ(3)とヘッダプレート(1)とが接合される熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造において、
前記チューブ挿通孔(2)は、ヘッダプレート(1)の幅方向にチューブ挿通孔(2)の軸線Lを有し、その軸線方向の中間部のみの幅が、両端部よりも予め幅広に形成された幅広部(2a)を有し、
前記偏平チューブ(3)の端部の前記中間部が拡開されて拡開部(3a)を形成し、その拡開部(3a)の外周がチューブ挿通孔(2)の幅広部(2a)に圧着されたことを特徴とする熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造において、
前記偏平チューブ(3)にインナフィン(4)が内装され、インナフィン(4)の端部の前記軸線方向の中間部のみに予め切断された切除部(4a)を有し、その切除部(4a)で偏平チューブ(3)の前記拡開部(3a)が形成された熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造において、
前記偏平チューブ(3)の拡開部(3a)は、両端から中央に向けて次第に膨らむ平面太鼓状に形成されると共に、その横断面の面積がチューブ挿通孔(2)の端部から離れる程縮小する熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器コアを構成する偏平チューブ内にインナフィンを有する熱交換器において、コアの内部通風抵抗を下げた熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2には、インナフィンを有する偏平チューブによりコアを形成し、偏平チューブ内に熱交換流体を流通させて、それを冷却する熱交換器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-263616号公報
【特許文献2】特開2006-284004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インナフィンを有する偏平チューブに熱交換流体を供給するとき、偏平チューブの入口における熱交換流体の流入抵抗が大きくなり、熱交換性能を低下させる欠点があった。
そこで本発明は、インナフィンを有する偏平チューブの熱交換流体の流入抵抗を可及的に低下させる熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、ヘッダプレート1のチューブ挿通孔2に偏平チューブ3の端部が挿通され、その端部が拡開されて、偏平チューブ3とヘッダプレート1とが接合される熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造において、
前記チューブ挿通孔2は、ヘッダプレート1の幅方向にチューブ挿通孔2の軸線Lを有し、その軸線方向の中間部のみの幅が、両端部よりも予め幅広に形成された幅広部2aを有し、
前記偏平チューブ3の端部の前記中間部が拡開されて拡開部3aを形成し、その拡開部3aの外周がチューブ挿通孔2の幅広部2aに圧着されたことを特徴とする熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造において、
前記偏平チューブ3にインナフィン4が内装され、インナフィン4の端部の前記軸線方向の中間部のみに予め切断された切除部4aを有し、その切除部4aで偏平チューブ3の前記拡開部3aが形成された熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造である。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造において、
前記偏平チューブ3の拡開部3aは、両端から中央に向けて次第に膨らむ平面太鼓状に形成されると共に、その横断面の面積がチューブ挿通孔2の端部から離れる程縮小する熱交換器のヘッダプレートと偏平チューブの接合構造である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、ヘッダプレート1のチューブ挿通孔2の中間部のみに予め幅広部2aが形成され、その幅広部2aに偏平チューブ3の端部の中間部に形成された拡開部3aが圧着されたものである。
このように、チューブ挿通孔2の端部の中間部の幅広部2aに、偏平チューブ3の拡開部3aの外周が圧接されると、偏平チューブ3の入口の熱交換流体の流入抵抗を大幅に低減する。それと共に、偏平チューブ3の拡開部3aがチューブ挿通孔2の幅広部2aに圧接し、ヘッダプレート1と偏平チューブ3の接合部の強度を向上できる。さらには、偏平チューブ3の端部に加わる応力を拡開部3aおよび幅広部2aに分散して、熱交換器の耐久性を向上できる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、偏平チューブ3にインナフィン4が内装され、その端部の中間部のみに予め切断された切除部4aを有し、その切除部4aで偏平チューブ3が拡開されたものである。
この切除部4aでの拡開により、インナフィン4に邪魔されることなく偏平チューブ3を無理なく拡開して熱交換流体の流通を円滑にすることができる。また、中間部のみに切除部4aを有し、両端部には、インナフィン4が残存しているから、偏平チューブ3全体の剛性を確保できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、偏平チューブ3の拡開部3aは、両端から中央に向けて次第に膨らむ平面太鼓状に形成されると共に、その横断面の面積がチューブ挿通孔の端部から離れる程縮小するものである。
このようにすることにより、偏平チューブ3の拡開部3aの剛性を高めることができる。さらには、偏平チューブ3を無理なく拡開して熱交換流体の流通を円滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の熱交換器の要部を示し、(A)はその平面図、(B)は(A)のB-B矢視断面図、(C)は(B)のC-C矢視断面図。
図2】同熱交換器の偏平チューブ3とそれに挿入されるインナフィン4との説明図。
図3】同熱交換器のコアの組付け手順を示す説明図。
図4】同熱交換器のヘッダプレート1と偏平チューブ3との組付け説明図であって、(A)(B)はその組付け前の状態を示し、(C)(D)は組付け後の状態を示す。
図5】同熱交換器の組付け状態を示す要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の熱交換器のコアの要部を示し、(A)はその平面図、(B)は(A)のB-B矢視断面図、(C)は(B)のC-C矢視断面図である。また、図2は同熱交換器に用いる偏平チューブ3とインナフィン4との関係を示す説明図、図3は同熱交換器のヘッダプレート1と偏平チューブ3との組付け手順を示す説明図、図4はその組付け説明図、図5はその組付け後の要部斜視図である。
本発明は、EGRクーラや凝縮器の如く、並列された偏平チューブ3の内部にインナフィン4を有する熱交換器において、その偏平チューブ3の少なくとも熱交換流体の入口側の流通抵抗を低下させることを目的とする。
図5は本発明の熱交換器の要部斜視図であり、多数の並列された偏平チューブ3と、その両端が挿通されるヘッダプレート1とを有し、各偏平チューブ3にアウタフィン7が配置されたものである。
【0013】
〔発明の特徴〕
図3において、ヘッダプレート1に予め穿設された多数のチューブ挿通孔2の軸線方向中間部に幅広部2aが形成され、そこにインナフィン4を有する偏平チューブ3の両端部が挿通される(下側を省略)。次いで、図4(B)(C)に示す如く、偏平チューブ3の開口端に拡開具8が挿入されて、図4(C)(D)の如く、偏平チューブ3の端部が拡開されて拡開部3aを形成する。そして、その拡開部3aがヘッダプレート1の幅広部2aに圧接される。この拡開工程において、各偏平チューブ3の断面における軸線方向両端部の外周は保持される。
なお、偏平チューブ3又はヘッダプレート1の何れか一方にはろう材が被覆又は塗布される。次いで、各偏平チューブ3間にはアウタフィン7が配置され、全体が組み立てられた状態で炉内に挿入されて各部品間が一体にろう付される。
【0014】
なお、この例では、インナフィン4は予め図2に示す如く、その両端部が側面V字状に切断されて切除部4aを形成する。このようなインナフィン4を偏平チューブ3に挿入後、偏平チューブ3は切除部4aにおいて拡開される。その拡開具8の形状は、偏平チューブ3の拡開後に、その外周面が幅広部2aに整合するように形成される。
このとき、拡開部3aは図1において両端から中央に向けて次第に膨らむ平面太鼓状に形成される。それと共に、偏平チューブ3の端部の各横断面は、その面積がチューブ挿通孔2の端部から離れるほど縮小する。そして、拡開部3aの外周がヘッダプレート1のチューブ挿通孔2の幅広部2aに圧接する。そのための拡開具8の横断面は、拡開部3aの外周に整合または、それより僅かに大きく形成されたものが用いられる。
次いで、この例ではヘッダプレート1の外周の爪部1b(図3)が図1(A)の如くカシメられてカシメ部1aが形成される。このとき、タンク本体5とヘッダプレート1の環状溝との間には、シールリング6が図1(B)の如く介装される。
【0015】
なお、図面の実施例では上側のヘッダプレート1のみの拡開部3a,幅広部2aを表示したが、下側のヘッダプレート1においてもそれを行うことができる。
さらには、上側のヘッダプレート1のみにそれらを形成してもよい。
この例では、上側のヘッダプレート1とタンク本体5とで熱交換流体の流入タンクを構成する。
【0016】
〔変形例〕
インナフィン4の切断部の形状は、上記実施に限らず、側面視でU字状とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、EGRクーラや凝縮器の他、オイルクーラの如く、インナフィン4を有する多数の偏平チューブ3によりコアを形成し、偏平チューブ3内に熱交換流体が流通する熱交換器に利用できる。
【符号の説明】
【0018】
1 ヘッダプレート
1a カシメ部
1b 爪部
2 チューブ挿通孔
2a 幅広部
3 偏平チューブ
3a 拡開部
【0019】
4 インナフィン
4a 切除部
5 タンク本体
6 シールリング
7 アウタフィン
8 拡開具
図1
図2
図3
図4
図5