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特開2022-38989通信ネットワーク接続サービス提供システム及びそれに用いるWiFiルータ
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  • 特開-通信ネットワーク接続サービス提供システム及びそれに用いるWiFiルータ 図1
  • 特開-通信ネットワーク接続サービス提供システム及びそれに用いるWiFiルータ 図2
  • 特開-通信ネットワーク接続サービス提供システム及びそれに用いるWiFiルータ 図3
  • 特開-通信ネットワーク接続サービス提供システム及びそれに用いるWiFiルータ 図4
  • 特開-通信ネットワーク接続サービス提供システム及びそれに用いるWiFiルータ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038989
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】通信ネットワーク接続サービス提供システム及びそれに用いるWiFiルータ
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20220303BHJP
   H04W 24/04 20090101ALI20220303BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20220303BHJP
   H04W 88/10 20090101ALI20220303BHJP
【FI】
H04M11/00 303
H04W24/04
H04W48/18
H04W88/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143752
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】506209525
【氏名又は名称】a2network株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】門田 朗人
【テーマコード(参考)】
5K067
5K201
【Fターム(参考)】
5K067AA33
5K067AA41
5K067EE02
5K067EE10
5K067KK11
5K201AA01
5K201BC05
5K201CC07
5K201EB06
5K201EC01
5K201EC08
5K201EE05
5K201EE11
(57)【要約】
【課題】 地震や雷雨等の自然災害や通信設備の故障・事故等の人的災害により予期しない通信障害が発生した場合でも、通信環境を維持することにある。
【解決手段】 通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムであって、2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが全て無線によるものであれば、利用する通信回線に優先順位をつけ、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では優先順位に従って利用する通信回線を変更し、通信環境を維持することを特徴とした。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムであって、
2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが全て無線によるものであれば、利用する通信回線に優先順位をつけ、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では優先順位に従って利用する通信回線を変更し、通信環境を維持することを特徴とした通信ネットワーク接続サービス提供システム。
【請求項2】
通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムであって、
2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが有線と無線を含むものであれば、有線でアクセスする通信回線を利用の第1優先にして、残る無線でアクセスする通信回線について利用の第2優先以降の優先順位をつけ、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では優先順位に従って利用する通信回線を変更し、通信環境を維持することを特徴とした通信ネットワーク接続サービス提供システム。
【請求項3】
サービス提供者が通信事業者(キャリア)から借り入れた2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供することを特徴とした請求項1又は2記載の通信ネットワーク接続サービス提供システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の通信ネットワーク接続サービス提供システムに用いられることを特徴とするWiFiルータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、WiFiルータは通信事業者1社のSIMカードを装備して通信を行う。
従って、その通信事業者の回線に通信障害が発生すると通信ネットワークに接続することができなくなる。
【0003】
インターネットが人々の生活や仕事等と密接に関わりあうようになり、通信ネットワークへの安定した接続環境は不可避となっている一方で、地震や雷雨等の自然災害や通信設備の故障・事故等の人的災害により予期しない通信障害が発生するリスクがある。従って、このような通信障害発生時でも通信環境を維持できる仕組みがあれば、社会の混乱(パニック)や二次被害を未然に防止できる可能性がある。
【0004】
ところで、特許文献1には、2枚のSIMカードを挿入できて(第1のSIMスロットと第2のSIMスロットを装備)、SIMカードを自動で切り替えるモバイルルータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6482078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示のモバイルルータは、2枚のSIMカードを装備できるものの、それらを自動で切り替えるのは、ユーザ端末にて使用されるアプリケーションに適したSIMカードを自動で切り替えるためである。すなわち、SNSなどあまり速度や容量を求められないアプリケーションに対しては低速通信向けのSIMカードに、動画など速度が重要なアプリケーションに対しては高速通信向けのSIMカードに自動で切り替えるのである。
【0007】
しかし、この各々のアプリケーションに最適なSIMカード(通信回線)を選択するのは、あくまでもネットワークに接続されている状態でなければならず、そもそも使用する通信回線に障害が発生し、通信回線が使用できない場合には機能しない。
【0008】
これに対して、本願発明者は、特許文献1とは全く異なる「通信障害発生時でも通信環境を維持する」という目的で本願発明を着想し、完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の第1の発明は、通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムであって、2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが全て無線によるものであれば、利用する通信回線に優先順位をつけ、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では優先順位に従って利用する通信回線を変更し、通信環境を維持することを特徴としたものである。
第2の発明は、通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムであって、2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが有線と無線を含むものであれば、有線でアクセスする通信回線を利用の第1優先にして、残る無線でアクセスする通信回線について利用の第2優先以降の優先順位をつけ、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では優先順位に従って利用する通信回線を変更し、通信環境を維持することを特徴としたものである。
第3の発明は、サービス提供者が通信事業者(キャリア)から借り入れた2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供することを特徴とした同通信ネットワーク接続サービス提供システムである。
第4の発明は、上記した第1から第3の発明に係る通信ネットワーク接続サービス提供システムに用いられることを特徴とするWiFiルータである。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして、利用する通信回線に優先順位をつけ、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では優先順位に従って利用する通信回線を変更することで、通信障害の発生した通信回線を回避して通信環境を維持することができる。
(2)サービス提供者が通信事業者(キャリア)から借り入れた2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供することで、サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできて、最小限の負担(契約や維持費用)で通信環境の維持を可能にする。
(3)WiFiルータを用いることで極めて簡易且つ確実にサービス利用者へ通信環境の維持を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本願発明の実施形態を説明する説明図(1)。
図2】本願発明の実施形態を説明する説明図(2)。
図3】本願発明の実施形態を説明する説明図(3)。
図4】本願発明の実施形態を説明する説明図(4)。
図5】本願発明の実施形態を説明する説明図(5)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態では、本願発明に係る通信ネットワーク接続サービス提供システムについて、それに用いるWiFiルータを使用して説明する。
【0013】
図1に図示するように、これまでのWiFiルータは、特定の固定回線や携帯回線のみを使用してインターネット接続をしている(図1左図)。そうした場合、天災やその特定の通信事業者の障害などにより、提供する通信サービスに通信障害が発生すると、インターネット接続環境を維持できず、ネットワークが使えなくなってしまう(図1右図)。
【0014】
これに対して、本願発明に係るWiFiルータ(通信ネットワーク接続サービス提供システム)は、図2に図示するように、通信事業者(キャリア)の異なる2以上のSIMカード(ここでは国内3携帯電話事業者のSIMカード)を標準装備するものである。そして、通常は、プライマリ事業者(ここでは仮に「D社」とする)に接続し通信を行う(図2左図)。しかし、プライマリサービスに通信障害が発生した場合には、セカンダリ事業者(ここでは仮に「S社」とする)に接続することで、インターネット接続環境を維持し、セカンダリーサービスにも通信障害が発生した場合には、ターシャリ事業者(ここでは仮に「A社」とする)を利用する(図2右図)。
【0015】
図3は、本実施形態を図2とは異なる図示で説明したものであるが、本実施形態で使用するSIMカード、すなわち接続する通信事業者に優先順位をつけて、通常問題無く接続できる限りプライマリ事業者に接続して通信するが、一定時間接続できない場合には自動的にセカンダリー事業者、ターシャリ事業者へ順次接続することで、堅牢な通信環境を構築することができる。なお、一定時間接続できない場合の事業者の変更は「自動」であるに限らず、「手動」であってもよい。また、通信事業者の優先順位も設定により適宜変更するようにしてもよい(例えば、直近の通信事業者の通信状況によって、通信障害の発生の少ない通信事業者順に優先順位を設定するなど)。
【0016】
ここで、本実施形態では「SIMカード」を使用して通信回線への接続を説明しているが、「eSIM」や「バーチャルSIM」などSIMカードをソフトウェア化したものであってもよい。
【0017】
図4に図示するように、WiFiルータの据置型と携帯型を併用することで、堅牢な通信環境を構築できる。すなわち、据置型は、多くのユーザに安定したインターネット接続環境を提供することができるので、例えば、災害時における避難所などで多人数がインターネット接続を必要とする場合に非常に有効的である。一方、携帯型は、停電時でも通信環境を維持でき、また、施設の外でも使用することができるので、機動的な災害対応の支援となる。
【0018】
なお、据置型のルータについては、家庭用などで通信回線と「無線」ではなく「有線」でアクセスする場合もある。この場合は、「有線」でアクセスする通信回線を第1優先にして、残りの「無線」でアクセスする通信回線を第2優先、第3優先、…とする。これによって、有線を使った通信環境であっても、堅牢な通信環境を構築できる。
【0019】
図5に図示するように、通信事業者(キャリア)の異なる2以上のSIMカード(ここでは国内3携帯電話事業者のSIMカード)を使用することになれば、通常通信事業者3社と契約し、3社分の通信費用が発生する(図5左図)。
しかし、本実施形態では、サービス提供者(例えば、MVNO)が通信事業者から借り入れた通信回線に係るSIMカードを装備して通信ネットワークへの接続を提供することで、サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできる。従って、必要最小限の契約(手続)と通信費用で通信環境の維持が可能になる。但し、本願発明に係る通信ネットワーク接続サービス提供システムが、MVNOに限らず、通信事業者(キャリア)によって実施されてもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本願発明は、SIMカードを装備して通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムとして幅広く利用できるものである。
図1
図2
図3
図4
図5