(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039019
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143794
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】515287251
【氏名又は名称】株式会社アクティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 和教
(72)【発明者】
【氏名】河瀬 武仁
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 博人
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB06
4C058DD05
4C058EE22
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK28
(57)【要約】
【課題】汎用性に優れた紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】本発明の紫外線照射装置1は、対象物Aに紫外線Bを照射する光源2と、開口部10aを有し内部に対象物Aを配置可能な筐体10と、開口部10aに接続され光源2が設置された光源設置部30と、を備え、筐体10の一部には、筐体10の内外を連通する孔部と、孔部を開閉させる開閉部10cと、が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に紫外線を照射する光源と、
開口部を有し内部に前記対象物を配置可能な筐体と、
前記開口部に接続され前記光源が設置された光源設置部と、
を備え、
前記筐体の一部には、前記筐体の内外を連通する孔部と、前記孔部を開閉させる開閉部と、が設けられていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記筐体内には、前記光源と前記筐体の底部との間に設けられ、前記紫外線が通過し、前記対象物を載置可能な載置部を有し、
少なくとも前記筐体の底部における前記光源側の表面は、前記紫外線を反射する反射面であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記筐体内には、前記光源と前記筐体の底部との間に設けられ、前記対象物を載置可能な載置部を有し、
前記筐体内のうち少なくとも前記載置部には、前記筐体内に導入された第2対象物を吸着する吸着部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記筐体内に配置され、前記吸着部材に対して光線を照射する回復光源を備え、
前記吸着部材は、前記回復光源から前記光線が照射されることにより、吸着機能を回復することを特徴とする請求項3に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記筐体の底部を形成する底板と、前記底板の縁部から立ち上がる4枚の側板と、により前記開口部を有するバスタブ状に形成され、
前記光源設置部は、板状に形成されて前記開口部を閉塞し、
前記側板および前記底板の少なくとも1枚は、前記筐体の他の部分に対して着脱可能に設けられた前記開閉部であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記光源設置部は、平面視で面方向の外側から内側に向かうに従い前記筐体の底部から離れるように傾斜し、前記光源が設置される光源設置面を有することを特徴とする請求項5に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記光源は、前記光源設置部における前記筐体側の面に、平面視で面方向に等間隔で複数設けられていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記光源設置部および前記筐体の少なくとも一方は、他の紫外線照射装置と接続可能な接続部を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記光源設置部における前記筐体とは反対側には、把持部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記光源は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
時間を計測するタイマーと、
前記タイマーからの時間の情報を取得し、前記時間の情報に基づいて前記光源の点灯および消灯を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項12】
前記孔部を閉塞した状態で前記開閉部を保持するロックを備え、
前記制御部は、前記時間の情報に基づいて前記孔部の閉塞状態の保持および解除を制御することを特徴とする請求項11に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線殺菌は、薬剤による殺菌とは異なり残留物がなく、安全性が高く、殺菌の対象物にはほとんど影響を与えない。そのため、紫外線殺菌は、様々な場面で用いられる。例えば特許文献1には、箱状の筐体と、筐体内部の上面近傍に配置された深紫外線光源と、を備えた紫外線殺菌装置(紫外線照射装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の紫外線照射装置を用いて様々な大きさの対象物を殺菌する場合、対象物の大きさに応じて、大きさの異なる紫外線照射装置を複数用意する必要がある。このため、従来の紫外線照射装置にあっては、汎用性の向上という点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、汎用性に優れた紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る紫外線照射装置は、対象物に紫外線を照射する光源と、開口部を有し内部に前記対象物を配置可能な筐体と、前記開口部に接続され前記光源が設置された光源設置部と、を備え、前記筐体の一部には、前記筐体の内外を連通する孔部と、前記孔部を開閉させる開閉部と、が設けられている。
この構成よれば、筐体の一部には、筐体の内外を連通する孔部と、孔部を開閉させる開閉部と、が設けられている。このため、対象物の外形が孔部の外形よりも小さい場合、紫外線照射装置は、孔部を通じて筐体の内部に対象物を配置した後、対象物に紫外線を照射できる。対象物の外形が孔部の外形よりも大きく、対象物が筐体内に配置不可能な場合、紫外線照射装置は、開放された孔部を通じて紫外線を筐体の外部に照射できる。これにより、紫外線照射装置は、筐体の外部に配置された対象物に紫外線を照射できる。
したがって、対象物の大きさによらず対象物を殺菌できる。よって、従来技術と比較して汎用性に優れた紫外線照射装置を提供できる。
【0007】
上記構成において、前記筐体内には、前記光源と前記筐体の底部との間に設けられ、前記紫外線が通過し、前記対象物を載置可能な載置部を有し、少なくとも前記筐体の底部における前記光源側の表面は、前記紫外線を反射する反射面であってもよい。
この構成よれば、光源から照射された紫外線は、載置部を通過して底部の反射面によって反射される。これにより、紫外線照射装置は、光源から対象物に紫外線を照射するとともに、対象物を挟んで光源とは反対側の底部からも対象物に紫外線を照射できる。したがって、紫外線照射装置は、対象物をより確実に殺菌できる。
【0008】
上記構成において、前記筐体内には、前記光源と前記筐体の底部との間に設けられ、前記対象物を載置可能な載置部を有し、前記筐体内のうち少なくとも前記載置部には、前記筐体内に導入された第2対象物を吸着する吸着部材が設けられていてもよい。
この構成によれば、吸着部材は、筐体内に導入された第2対象物を吸着できる。これにより、第2対象物が例えば臭気を発する物質の場合、紫外線照射装置は、筐体内に配置された対象物または筐体内を脱臭できる。第2対象物が例えば筐体内に配置された対象物に付着した菌である場合、紫外線照射装置は、筐体内に配置された対象物に付着した菌を除菌できる。
【0009】
上記構成において、前記筐体内に配置され、前記吸着部材に対して光線を照射する回復光源を備え、前記吸着部材は、前記回復光源から前記光線が照射されることにより、吸着機能を回復してもよい。
この構成によれば、吸着部材は、回復光源から光線が照射されることにより、吸着機能を回復できる。これにより、紫外線照射装置は、1個の吸着部材を繰り返し使用できる。したがって、紫外線照射装置の使用にかかる費用を低減できる。
【0010】
上記構成において、前記筐体は、前記筐体の底部を形成する底板と、前記底板の縁部から立ち上がる4枚の側板と、により前記開口部を有するバスタブ状に形成され、前記光源設置部は、板状に形成されて前記開口部を閉塞し、前記側板および前記底板の少なくとも1枚は、前記筐体の他の部分に対して着脱可能に設けられた前記開閉部であってもよい。
この構成によれば、紫外照射装置は直方体状に形成されている。このため、例えば底板を取り外して孔部を開放し、対象物に紫外線を照射する場合、対象物と光源設置部との距離を一定に保持できる。これにより、紫外線照射装置は、対象物の被照射面における紫外線の単位面積あたりの照射量を均等にできる。したがって、紫外線照射装置は、紫外線が照射された対象物の被照射面を均一に殺菌できる。
【0011】
上記構成において、前記光源設置部は、平面視で面方向の外側から内側に向かうに従い前記筐体の底部から離れるように傾斜し、前記光源が設置される光源設置面を有してもよい。
この構成よれば、光源設置面は、筐体の内側に面することができる。このため、紫外線照射装置は、筐体の内側に向けて紫外線を照射できる。これにより、紫外線照射装置は、対象物に紫外線を集中して照射できる。したがって、紫外線照射装置は、より確実に対象物を殺菌できる。
【0012】
上記構成において、前記光源は、前記光源設置部における前記筐体側の面に、平面視で面方向に等間隔で複数設けられていてもよい。
この構成によれば、紫外線照射装置は、対象物の被照射面における単位面積あたりの紫外線の照射量を均等にできる。これにより、紫外線照射装置は、対象物が筐体内に複数配置される場合に、複数の対象物間で被照射面の単位面積あたりの紫外線の照射量を均等にできる。したがって、紫外線照射装置は、紫外線が照射された複数の対象物の被照射面を均一に殺菌できる。
【0013】
上記構成において、前記光源設置部および前記筐体の少なくとも一方は、他の紫外線照射装置と接続可能な接続部を備えてもよい。
この構成によれば、作業者は、複数の紫外線照射装置を接続できる。このため、紫外線照射装置は、複数の孔部から対象物に紫外線を照射できる。これにより、作業者は、1個の紫外線照射装置1で照射する場合と比較して、広範囲に紫外線を照射できる。したがって、対象物の殺菌に要する時間を短縮できる。
【0014】
上記構成において、前記光源設置部における前記筐体とは反対側には、把持部が設けられていてもよい。
この構成によれば、筐体の外部に配置された対象物に紫外線を照射して殺菌する場合に、作業者は、対象物の表面に沿わせて紫外線照射装置を容易に移動させることができる。これにより、対象物の配置場所を問わず、対象物に紫外線を照射できる。このため、紫外線照射装置は、作業性を向上できる。作業者は、把持部を持つことで容易に携行できる。
【0015】
上記構成において、前記光源は、発光ダイオードであってもよい。
この構成によれば、発光ダイオードは、例えば蛍光灯等の他の光源と比較して殺菌効果の高い波長の紫外線を照射できる。このため、紫外線照射装置は、対象物を効率良く殺菌できる。
発光ダイオードは、例えば蛍光灯等の他の光源等と比較して小型でかつ軽量である。このため、紫外線照射装置を小型化および軽量化できる。電源装置も簡略化できるので、紫外線照射装置は、生技性を向上できる。
発光ダイオードは、例えば蛍光灯等の他の光源等と比較して消費電力を抑制できる。このため、紫外線照射装置の消費電力を低減できる。
【0016】
上記構成において、時間を計測するタイマーと、前記タイマーからの時間の情報を取得し、前記時間の情報に基づいて前記光源の点灯および消灯を制御する制御部と、を備えてもよい。
この構成によれば、紫外線照射装置は、対象物の殺菌に必要な所望の時間紫外線を照射できる。これにより、紫外線照射装置は、紫外線が照射された対象物の被照射面を確実に殺菌できる。制御部は、所望の時間経過後に光源を消灯できる。これにより、紫外線照射装置は、光源が点灯する時間を短縮できるので、消費電力を低減できる。
【0017】
上記構成において、前記孔部を閉塞した状態で前記開閉部を保持するロックを備え、前記制御部は、前記時間の情報に基づいて前記孔部の閉塞状態の保持および解除を制御してもよい。
この構成によれば、紫外線照射装置は、対象物の殺菌に必要な所望の時間孔部を閉塞状態に保持できる。これにより、作業者は、対象物の殺菌が完了するまで内部から対象物を取り出すことができない。したがって、紫外線照射装置は、紫外線が照射された対象物の被照射面をより確実に殺菌できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、汎用性に優れた紫外線照射装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係る紫外線照射装置の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る光源設置部上の光源の配置を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る紫外線照射装置の分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る紫外線照射装置が複数接続された状態を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る紫外線照射装置の使用方法の第2態様を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係る紫外線照射装置の分解斜視図である。
【
図7】第3実施形態に係る紫外線照射装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る紫外線照射装置1の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、紫外線照射装置1の斜視図である。
図2は、光源設置部30上の光源2の配置を示す図である。
紫外線照射装置1は、例えば歯ブラシやスマートフォン等の電子機器、時計、スリッパ、ベッドのシーツ、シャツ、医療機器、衛生器具、食品、食器等の対象物Aの殺菌に用いられる。
図1に示すように、紫外線照射装置1は、光源2と、筐体10と、載置部20と、光源設置部30と、を備えている。
【0021】
光源2は、対象物Aに紫外線Bを照射する。
図2に示すように、光源2は、発光ダイオード2aである。発光ダイオード2aは、例えば蛍光灯等の他の光源と比較して小電力で殺菌効果の高い波長の紫外線を照射できる。発光ダイオード2aから照射される紫外線の波長は、例えば240nm以上280nm以下である。発光ダイオード2aの指向角は、例えば120度である。
【0022】
図1に示すように、筐体10は、フレーム(不図示)と、底板11と、側板12と、を有している。フレームは直方体状に形成されている。フレームの底面には、底板11が取り付けられている。フレームの側面には、側板12が取り付けられている。これにより、筐体10は、開口部10aを有するバスタブ状に形成されている。
【0023】
底板11は、矩形板状に形成されている。底板11は、筐体10の底部を形成している。底板11は、紫外線Bが通過不可能な材料により形成されている。底板11の光源2側の表面11aは、アルミ鏡面である。これにより、表面11aは、紫外線Bを反射する反射面となっている。
【0024】
側板12は、短辺側板13と、長辺側板14と、を有している。
2枚の短辺側板13は、底板11の短辺縁部からそれぞれ立ち上がっている。2枚の短辺側板13は、同一の形状に形成されている。
2枚の長辺側板14は、底板11の長辺縁部からそれぞれ立ち上がっている。2枚の長辺側板14は、同一の形状に形成されている。側板12の光源2側の表面12aは、アルミ鏡面である。これにより、表面12aは、紫外線Bを反射する反射面となっている。
2枚の長辺側板14には、筐体10の内側の表面にレール溝(不図示)が形成されている。レール溝は、底板11の長手方向に延びている。レール溝は、底板11の長手方向から見て筐体10の内側に開口するU字状に形成されている。
【0025】
光源設置部30は、矩形板状に形成されている。光源設置部30の縁部は、開口部10aに接続されている。光源設置部30は、開口部10aを閉塞している。
図2に示すように、光源設置部30における長手方向の幅寸法W1は、例えば420mmである。光源設置部30における短手方向の幅寸法L1は、例えば300mmである。光源設置部30には、光源設置面31と、接続部32と、把持部33と、タイマー3と、検出手段4と、ロック5と、制御部6と、が設けられている。
【0026】
図1に示すように、光源設置面31は、筐体10側に面している。光源設置面31は、方形屋根状に形成されている。光源設置面31は、平面視で面方向の外側から内側に向かうに従い筐体10の底部から離れるように傾斜している。光源設置面31の傾斜角は、光源設置面31とは反対側の光源設置部30の表面に対して例えば5度以上45度以下となっている。
図2に示すように、光源設置面31には、光源2が9個設置されている。9個の光源2は、平面視で格子状にかつ面方向に等間隔で設けられている。9個の光源2は、光源設置部30の長手方向および短手方向に等間隔で設けられている。9個の光源2のうち1個の光源2は、光源設置面31の面方向中央部に配置されている。残り8個の光源2は、光源設置部30の縁部に沿って等間隔に配置されている。光源設置部30の短辺縁部と光源2との距離W2は、例えばW1/8以上W1/4以下である。光源設置部30の長辺縁部と光源2との距離L2は、例えばL1/8以上L1/4以下である。9個の光源2は、光源設置部30に設けられた切換スイッチ(不図示)によって、手動で点灯および消灯を切換可能となっている。
【0027】
図1に示すように、接続部32は、光源設置部30の4箇所の縁部の中間部に1個ずつ設けられている。接続部32は、光源設置部30と、他の紫外線照射装置1の光源設置部30と、を接続する。接続部32は、接続凹部32aと、接続凸部32bと、を有している。接続凹部32aは、光源設置部30の隣り合う縁部に1個ずつ、計2個設けられている。接続凸部32bは、光源設置部30の縁部のうち接続凹部32aが設けられていない隣り合う縁部に1個ずつ、計2個設けられている。
【0028】
把持部33は、光源設置部30における光源設置面31とは反対側の表面に設けられている。把持部33は、U字状に形成されている。把持部33は、開口を光源設置部30側に向けた状態で光源設置部30に2個接続されている。2個の把持部33は、それぞれ光源設置部30における2箇所の短辺縁部に沿っている。把持部33は、光源設置部30における短辺縁部の中間部に配置されている。
【0029】
タイマー3は、光源設置部30の内部に設けられている。タイマー3の操作面および時間表示面は、光源設置面31とは反対側の光源設置部30の表面から露出している。タイマー3は、時間を計測する。作業者は、タイマー3に対して所望の時間を設定できる。
検出手段4は、光源設置部30の内部に設けられている。検出手段4の一部は、光源設置面31から露出している。検出手段4は、例えば対象物Aの表面における単位面積あたりの菌量を検出するセンサである。
ロック5は、光源設置部30の内部に設けられている。ロック5の機能については、後述する。
【0030】
制御部6は、光源設置部30の内部に設けられている。制御部6は、例えば光源2、光源2の切り替えスイッチ、タイマー3、検出手段4およびロック5に電気的に接続されている。制御部6は、タイマー3が計測した時間の情報、または検出手段4で取得した対象物Aの表面における単位面積あたりの菌量の情報に基づいて、光源2の点灯および消灯を制御する。制御部6の他の機能については、後述する。
【0031】
図3は、紫外線照射装置1の分解斜視図である。
載置部20は、筐体10内に設けられている。載置部20は、矩形板状に形成されている。載置部20の縁部のうち長辺縁部は、長辺側板14の内側の表面に形成されたレール溝内に配置される。これにより、
図3に示すように、載置部20は、光源2と筐体10の底部との間に、レール溝に沿ってスライド移動可能に支持される。載置部20と光源設置部30との離間距離は、例えば200mm以上250mm以下である。載置部20には、筐体10内に配置された殺菌対象の対象物Aが載置される。載置部20は、金属材料により網目状に形成されている。このため、紫外線Bは、載置部20を通過可能となる。
【0032】
紫外線照射装置1は、開口部10aを有するバスタブ状の筐体10と、開口部10aを閉塞する矩形板状の光源設置部30と、を備えている。このため、紫外線照射装置1は、直方体状に形成されている。
底板11および側板12は、筐体10の他の部分に対して着脱可能に設けられた開閉部10cである。開閉部10cが取り外されることにより、筐体10に孔部10bが形成される。孔部10bは、筐体10の内外を連通させる。
開閉部10cである側板12は、ロック5によって孔部10bを閉塞した状態で保持される。ロック5は、制御部6によって制御される。制御部6は、タイマー3が計測した時間の情報、または検出手段4で取得した対象物Aの表面における単位面積あたりの菌量の情報に基づいて、ロック5を制御する。このようにして、制御部6は、孔部10bの閉塞状態の保持および解除を制御する。
【0033】
図4は、紫外線照射装置1が複数接続された状態を示す斜視図である。
図4に示すように、接続凸部32bは、他の紫外線照射装置1の光源設置部30に設けられた接続凹部32aに係合して固定される。これにより、光源設置部30は、他の紫外線照射装置1と接続可能とされる。複数の紫外線照射装置1を接続する場合、各紫外線照射装置1の載置部20および底板11は、取り外される。これにより、各紫外線照射装置1の底部には、孔部10bが形成される。
【0034】
(紫外線照射装置の使用方法の第1態様)
以下、紫外線照射装置1の使用方法の第1態様について説明する。
本態様の使用方法は、筐体10の内部に配置可能な歯ブラシやスマートフォン等の電子機器、時計、スリッパ等を殺菌する場合に実施される。本態様では、紫外線照射装置1は、例えば床面(不図示)上に配置されて使用される。
紫外線照射装置1の使用方法は、配置工程と、紫外線照射工程と、を備えている。
(配置工程)
配置工程は、対象物Aを筐体10の内部に配置する工程である。
配置工程では、4枚の側板12のうち1枚の短辺側板13を筐体10から取り外し、載置部20をスライド移動させて一部を筐体10の外部に配置させる。載置部20の上に対象物Aを載置した後、載置部20を筐体10の内部に戻し、取り外された短辺側板13を再度取り付ける。これにより、
図5に示すように、対象物Aが筐体10の内部に配置される。
【0035】
(紫外線照射工程)
紫外線照射工程は、対象物Aに紫外線Bを照射する工程である。
紫外線照射工程では、タイマー3により対象物Aの殺菌に必要な所望の時間を設定した後、光源2を点灯させる。光源2による紫外線Bの照射が開始されると、ロック5によって底板11および側板12が筐体10から取り外し不可能とされる。これにより、孔部10bは、閉塞した状態で保持される。光源2から照射された紫外線Bは、対象物Aに直接照射される。紫外線Bは、載置部20を通過して底板11の表面11aで反射される。底板11の表面11aで反射された紫外線Bは、対象物Aに光源2とは反対側から照射される。タイマー3に設定した所望の時間が経過すると、光源2による紫外線Bの照射が停止される。光源2による紫外線Bの照射が停止されると、孔部10bの閉塞状態が解除される。作業者は、筐体10から短辺側板13を取り外し、筐体10の内部から対象物Aを取り出す。
対象物Aの殺菌が完了する。
【0036】
(紫外線照射装置の使用方法の第2態様)
以下、紫外線照射装置1の使用方法の第2態様について説明する。
図5は、紫外線照射装置1の使用方法の第2態様を示す図である。
本態様の使用方法は、筐体10の内部に配置不可能なシャツやベッドシーツ等を殺菌する場合に実施される。
紫外線照射装置1の使用方法は、取り外し工程と、紫外線照射工程と、を備えている。
(取り外し工程)
取り外し工程は、紫外線照射装置1から底板11および載置部20を取り外す工程である。取り外し工程により、
図5に示すように、筐体10の底部に孔部10bが開放される。
【0037】
(紫外線照射工程)
紫外線照射工程は、対象物Aに紫外線Bを照射する工程である。
紫外線照射工程では、光源2を点灯させる。光源2を点灯させた後、2個の把持部33を両手で把持し、対象物Aの一部に孔部10bを向けた状態で紫外線照射装置1を配置する。対象物Aの殺菌に必要な所望の時間対象物Aに紫外線Bを照射させた後、対象物Aに沿わせて紫外線照射装置1を移動させる。そして、対象物Aのうち紫外線Bが未照射の部位に紫外線Bを照射する。紫外線照射装置1の移動を繰り返し対象物Aの全体に紫外線Bを照射させた後、光源2を消灯して紫外線Bの照射を停止する。
対象物Aの殺菌が完了する。
【0038】
上述の本実施形態によれば、以下の作用および効果が得られる。
筐体10の一部には、筐体10の内外を連通する孔部10bと、孔部10bを開閉させる開閉部10cと、が設けられている。このため、対象物Aの外形が孔部10bの外形よりも小さい場合、紫外線照射装置1は、孔部10bを通じて筐体10の内部に対象物Aを配置した後、対象物Aに紫外線Bを照射できる。対象物Aの外形が孔部10bの外形よりも大きく、対象物Aが筐体10内に配置不可能な場合、紫外線照射装置1は、開放された孔部10bを通じて紫外線Bを筐体10の外部に照射できる。これにより、紫外線照射装置1は、筐体10の外部に配置された対象物Aに紫外線Bを照射できる。対象物Aが他の物体に着脱不可能に取り付けられている場合でも、紫外線照射装置1を使用できる。例えば対象物Aがドアノブの場合、紫外線照射装置1における開放された孔部10bから筐体10の内部にドアノブのみを配置できる。これにより、紫外線照射装置1は、紫外線Bを照射してドアノブを殺菌できる。
したがって、対象物Aの大きさや対象物Aの設置状態によらず対象物Bを殺菌できる。よって、従来技術と比較して汎用性に優れた紫外線照射装置1を提供できる。
【0039】
筐体10内には、光源2と筐体10の底部との間に設けられ、紫外線Bが通過し、対象物Aを載置可能な載置部20が設けられている。筐体10の底部における光源2側の表面11aは、紫外線Bを反射する反射面である。光源2から照射された紫外線Bは、載置部20を通過して底部の反射面によって反射される。これにより、紫外線照射装置1は、光源2から対象物Aに紫外線Bを照射するとともに、対象物Aを挟んで光源2とは反対側の底部からも対象物Aに紫外線Bを照射できる。したがって、紫外線照射装置1は、対象物Aをより確実に殺菌できる。紫外線照射装置1は、対象物Aの両面に紫外線Bを照射できる。このため、紫外線照射装置1は、対象物Aの片面に紫外線Bを照射する場合と比較して、対象物Aの全体を殺菌するために要する時間を短縮できる。
載置部20に対象物Aを載置できるので、底板11に対象物Aを配置する場合と比較して、光源2に近付けて対象物Aを配置できる。これにより、紫外線照射装置1は、対象物Aに照射される紫外線Bの照射強度を高めることができる。このため、紫外線照射装置1は、底板11に対象物Aを載置する場合と比較して、対象物Aの全体を殺菌するために要する時間を短縮できる。
【0040】
筐体10は、開口部10aを有するバスタブ状に形成されている。光源設置部30は、板状に形成されて開口部10aを閉塞している。側板12および底板11は、筐体10の他の部分に対して着脱可能に設けられた開閉部10cである。この構成によれば、紫外線照射装置1は直方体状に形成されている。このため、例えば底板11を取り外して孔部10bを開放し、対象物Aに紫外線を照射する場合、対象物Aと光源設置部30との距離を一定に保持できる。これにより、紫外線照射装置1は、対象物Aの被照射面における紫外線Bの単位面積あたりの照射量を均等にできる。したがって、紫外線照射装置1は、紫外線Bが照射された対象物Aの被照射面を均一に殺菌できる。紫外線照射装置1は、対象物Aと光源設置部30との距離を一定に保持できるので、対象物Aの被照射面における紫外線Bの単位面積あたりの照射量を容易に定量化できる。
筐体10は、開口部10aを有するバスタブ状に形成されている。開口部10aは、光源設置部30に閉塞されている。このため、紫外線照射装置1は、筐体10の内部を閉塞できる。これにより、紫外線照射装置1は、紫外線Bの照射時に紫外線Bが外部に漏れ出るのを抑制できる。したがって、紫外線照射装置1は、小電力で効率良く対象物Aを殺菌できる。
【0041】
光源設置面31は、平面視で面方向の外側から内側に向かうに従い筐体10の底部から離れるように傾斜している。この構成よれば、光源設置面31は、筐体10の内側に面することができる。このため、紫外線照射装置1は、筐体10の内側に向けて紫外線Bを照射できる。これにより、紫外線照射装置1は、対象物Aに紫外線Bを集中して照射できる。したがって、紫外線照射装置1は、より確実に対象物Aを殺菌できる。
また、紫外線Bは、底板11の光源2側の表面11aまたは側板12の光源2側の表面12aで反射されると、光源設置面31で乱反射される。光源設置面31で反射された紫外線Bは、表面11a,12aでさらに反射される。紫外線Bは、表面11a,12aおよび光源設置面31によって反射を繰り返す。このため、紫外線照射装置1は、筐体10内に配置される対象物Aの全体にわたって紫外線Bを照射できる。したがって、紫外線照射装置1は、対象物Aの全体を確実に殺菌できる。
【0042】
光源2は、光源設置面31に、平面視で面方向に等間隔で複数設けられている。この構成によれば、紫外線照射装置1は、対象物Aの被照射面における単位面積あたりの紫外線Bの照射量を均等にできる。これにより、紫外線照射装置1は、対象物Aが筐体10内に複数配置される場合に、複数の対象物A間で被照射面の単位面積あたりの紫外線Bの照射量を均等にできる。したがって、紫外線照射装置1は、紫外線Bが照射された複数の対象物Aの被照射面を均一に殺菌できる。
【0043】
光源設置部30は、他の紫外線照射装置1と接続可能な接続部32を備えている。この構成によれば、作業者は、複数の紫外線照射装置1を接続できる。このため、紫外線照射装置1は、複数の孔部10bから対象物Aに紫外線Bを照射できる。これにより、紫外線照射装置1は、1個の紫外線照射装置1で照射する場合と比較して、広範囲に紫外線Bを照射できる。したがって、紫外線照射装置1は、対象物Aの殺菌に要する時間を短縮できる。
【0044】
光源設置部30における筐体10とは反対側には、把持部33が設けられている。この構成によれば、筐体10の外部に配置された対象物Aに紫外線Bを照射して殺菌する場合に、作業者は、対象物Aの表面に沿わせて紫外線照射装置1を容易に移動させることができる。これにより、対象物Aの配置場所を問わず、対象物Aに紫外線Bを照射できる。このため、紫外線照射装置1は、作業性を向上できる。作業者は、把持部33を持つことで容易に携行できる。
【0045】
光源2は、発光ダイオード2aである。この構成によれば、発光ダイオード2aは、例えば蛍光灯等の他の光源と比較して殺菌効果の高い波長の紫外線Bを照射できる。このため、紫外線照射装置1は、対象物Aを効率良く殺菌できる。
発光ダイオード2aは、例えば蛍光灯等の他の光源等と比較して小型でかつ軽量である。このため、紫外線照射装置1を小型化および軽量化できる。電源装置も簡略化できるので、紫外線照射装置1は、生技性を向上できる。
発光ダイオード2aは、例えば蛍光灯等の他の光源等と比較して消費電力を抑制できる。このため、紫外線照射装置1の消費電力を低減できる。
【0046】
紫外線照射装置1は、時間を計測するタイマー3と、タイマー3からの時間の情報を取得し、時間の情報に基づいて光源2の点灯および消灯を制御する制御部6と、を備えている。この構成によれば、紫外線照射装置1は、対象物Aの殺菌に必要な所望の時間紫外線Bを照射できる。これにより、紫外線照射装置1は、紫外線Bが照射された対象物Aの被照射面を確実に殺菌できる。制御部6は、所望の時間経過後に光源2を消灯できる。これにより、紫外線照射装置1は、光源2が点灯する時間を短縮できるので、消費電力を低減できる。
【0047】
紫外線照射装置1は、孔部10bを閉塞した状態で開閉部10cを保持するロック5を備えている。制御部6は、時間の情報に基づいて孔部10bの閉塞状態の保持および解除を制御する。この構成によれば、紫外線照射装置1は、対象物Aの殺菌に必要な所望の時間孔部10bを閉塞状態に保持できる。これにより、作業者は、対象物Aの殺菌が完了するまで内部から対象物Aを取り出すことができない。したがって、紫外線照射装置1は、紫外線Bが照射された対象物Aの被照射面をより確実に殺菌できる。
【0048】
上述した第1実施形態では、接続部32は、光源設置部30に設けられている場合について説明したが、これに限られない。接続部32は、筐体10に設けられていてもよい。
【0049】
上述した第1実施形態では、検出手段4が、対象物Aの表面における単位面積当たりの菌量を検出するセンサである場合について説明したが、これに限られない。検出手段4は、外部から対象物Aの表面を観察可能とされた光学顕微鏡であってもよい。この場合、作業者は、光学顕微鏡により対象物Aの表面における菌の繁殖状態を目視で確認する。作業者は、対象物Aの表面が十分に殺菌されたと判断すると、光源2による紫外線Bの照射を停止する。
【0050】
上述した第1実施形態では、側板12の光源2側の表面12aが反射面であるが、これに限られない。底板11の光源2側の表面11aが反射面であれば、側板12の表面12aが反射面でなくてもよい。
【0051】
上述した第1実施形態では、光源設置面31は、方形屋根状に形成されているが、これに限られない。光源設置面31は、平面視で面方向の外側から内側に向かうに従い筐体10の底部から離れるように傾斜していればよい。光源設置面31は、例えば寄棟屋根状に形成されてもよい。
【0052】
上述した第1実施形態では、光源設置面31には、発光ダイオード2aが9個設置されているが、これに限られない。発光ダイオード2aの個数は、適宜変更可能である。発光ダイオード2aは、例えば光源設置面31の中央部に1個設置されてもよい。この場合、光源設置面31に発光ダイオード2aが複数設置される場合と比較して、1個あたり光出力が大きい発光ダイオード2aが用いられる。発光ダイオード2aが1個設置される場合は、発光ダイオード2aが9個設置される場合と比較して、発光ダイオード2aの実装費を削減できる。したがって、紫外線照射装置1の製造費を削減できる。
【0053】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る紫外線照射装置1Aの第2実施形態について図面を参照して説明する。
図6は、紫外線照射装置1Aの分解斜視図である。
第1実施形態では、底板11の光源2側の表面11aが紫外線Bを照射する反射面であるとしていた。これに対して第2実施形態では、底板11の表面11aは、反射面ではなく、吸着部材7の機能を回復させる回復光源8を有している。加えて、第2実施形態では、載置部20には、対象物A(
図1参照)の付着物を吸着する吸着部材7が設けられている点と、光源設置部30に排気孔34が設けられ、底板11に脚部15および空気導入孔35が設けられている点と、で第1実施形態と異なる。第2実施形態において、上述した第1実施形態と同様の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0054】
吸着部材7は、シート状に形成されている。吸着部材7は、光源2に面する載置部20の表面上に着脱可能に張り付けられている。吸着部材7は、多孔質材である。このため、吸着部材7は、空気を通過可能とするとともに、筐体10内に導入された臭気を発する物質や菌等(請求項の「第2対象物」に相当)を吸着可能となっている。吸着部材7は、吸着した臭気を発する物質や菌等を分解するとともに、臭気を発する物質や菌等の分解を促進する光触媒である。
【0055】
回復光源8は、底板11の光源側の表面11aに9個設けられている。9個の回復光源8は、平面視で格子状にかつ面方向に等間隔で設けられている。9個の回復光源8は、底板11の長手方向および短手方向に等間隔で設けられている。9個の回復光源8のうち1個の回復光源8は、底板11の面方向中央部に配置されている。残り8個の回復光源8は、底板11の縁部に沿って等間隔に配置されている。回復光源8は、吸着部材7に対して吸着部材7の触媒作用を発揮させる光線を照射する。回復光源8から照射される光線は、例えば深紫外線である。吸着部材7は、深紫外線領域において酸化反応が促進する。このため、回復光源8から照射される光が深紫外線の場合、吸着部材7は、吸着した臭気を発する物質や菌等をより短時間で分解できる。回復光源8から照射される光線の波長は、例えば220nm以上400nm以下である。回復光源8から照射される光線の波長は、例えば365nm以上380nm以下が好ましい。
【0056】
排気孔34は、光源設置部30を貫通している。排気孔34内には、ファン34aが設けられている。ファン34aは、例えば軸流ファンである。ファン34aは、制御部6に電気的に接続されている。ファン34aは、筐体10内の空気を排気して筐体10内を負圧にするために使用される。
脚部15は、底板11の4つの角部に1本ずつ設けられている。脚部15は、底板11の表面11aとは反対側の表面から光源2とは反対側に突出している。紫外線照射装置1Aを床面上に配置した場合、脚部15は、底板11と床面との間に隙間を形成できる。
空気導入孔35は、底板11の縁に沿って4本設けられたスリットである。4本の空気導入孔35は、平面視でそれぞれ直線状に形成されている。空気導入孔35は、底板11を貫通している。ファン34aを稼働すると、紫外線照射装置1Aの外気が、底板11下方の隙間と空気導入孔35とを通じて、筐体10内に導入される。空気導入孔35は、ファン34aを稼働した場合に、筐体10内の負圧を保てる程度の大きさに形成されている。
【0057】
(紫外線照射装置の使用方法の第1態様)
以下、紫外線照射装置1Aの使用方法の第1態様について説明する。
紫外線照射装置1Aの使用方法の第1態様は、筐体10内に配置された対象物Aを脱臭および除菌する場合に実施される。本態様では、紫外線照射装置1Aは、例えば床面上に配置されて使用される。
紫外線照射装置1Aの使用方法の第1態様は、配置工程と、紫外線照射工程と、吸着工程と、回復工程と、を備えている。配置工程および紫外線照射工程は、第1実施形態の紫外線照射装置1の使用方法の第1態様における配置工程および紫外線照射工程と同様である。このため、配置工程および紫外線照射工程の説明は、省略する。以下、吸着工程および回復工程について説明する。
【0058】
(吸着工程)
吸着工程は、対象物Aに付着した臭気を発する物質や菌等を吸着する工程である。
吸着工程は、対象物Aを筐体10内に配置することにより行われる。吸着部材7は、対象物Aに付着した臭気を発する物質や菌等を吸着する。このようにして、対象物Aは、脱臭および除菌される。
【0059】
(回復工程)
回復工程は、吸着部材7の吸着機能を回復させる工程である。
回復工程は、吸着工程の後に、対象物Aを筐体10内から取り出した状態で行われる。回復工程では、回復光源8を点灯させる。回復光源8から吸着部材7に向かって光線が照射される。載置部20は、網目状に形成されている。このため、回復光源8からの光線は、載置部20を通過して吸着部材7に照射される。これにより、吸着部材7は、吸着した臭気を発する物質や菌等の分解を開始する。回復光源8の点灯にあわせて、ファン34aを稼働させる。これにより、筐体10内は、筐体10外と比較して負圧となる。このため、筐体10外の空気が、主に空気導入孔35を通じて筐体10内に導入される。筐体10内に導入された空気は、吸着部材7を通過して排気孔34から排気される。このようにして、筐体10の内外を流通する空気の流れが生じる。これにより、臭気を発する物質や菌等の分解によって生じた物質は、筐体10の内外を流通する空気によって筐体10外に順次排出される。このようにして、吸着部材7に吸着された臭気を発する物質や菌等が除去され、吸着部材7は、吸着機能を回復する。
【0060】
(紫外線照射装置の使用方法の第2態様)
以下、紫外線照射装置1Aの使用方法の第2態様について説明する。
紫外線照射装置1Aの使用方法の第1態様は、筐体10内に配置された対象物Aを脱臭および除菌する場合に実施されていた。これに対して紫外線照射装置1Aの使用方法の第2態様は、紫外線照射装置1Aの外気を脱臭および除菌する場合に実施される。本態様では、紫外線照射装置1は、例えば床面上に配置されて使用される。
紫外線照射装置1Aの使用方法の第2態様は、吸着工程と、回復工程と、を備えている。以下、吸着工程および回復工程について説明する。
(吸着工程)
吸着工程は、紫外線照射装置1Aの外気中を漂う臭気を発する物質や菌等を吸着する工程である。
吸着工程では、第1態様の回復工程と同様に筐体10内で空気を流通させる。これにより、紫外線照射装置1Aの外気は、吸着部材7を通過する。吸着部材7は、紫外線照射装置1Aの外気を漂う臭気を発する物質や菌等を吸着する。これにより、紫外線照射装置1Aの外気は、脱臭および除菌される。
(回復工程)
回復工程は、ファン34aを稼働した状態で、回復光源8から吸着部材7に光線を照射することにより、吸着工程と同時に行われる。
【0061】
上述した載置部20には、筐体10内に導入された臭気を発する物質や菌等を吸着する吸着部材7が設けられている。この構成によれば、吸着部材7は、筐体10内に導入された臭気を発する物質や菌等を吸着できる。これにより、紫外線照射装置1Aは、筐体10内に配置された対象物Aまたは筐体10内を脱臭し、筐体10内に配置された対象物Aに付着した菌を除菌できる。
【0062】
上述した紫外線照射装置1Aは、筐体10内に配置され、吸着部材7に対して光線を照射する回復光源8を備えている。吸着部材7は、回復光源8から光線が照射されることにより、吸着機能を回復する。この構成によれば、吸着部材7は、回復光源8から光線が照射されることにより、吸着機能を回復できる。これにより、紫外線照射装置1Aは、1個の吸着部材7を繰り返し使用できる。したがって、紫外線照射装置1Aの使用にかかる費用を低減できる。
【0063】
上述した紫外線照射装置1Aは、光源設置部30を貫通する排気孔34と、筐体10を貫通し、底板11に設けられた空気導入孔35と、を備えている。排気孔34内には、ファン34aが設けられている。この構成によれば、紫外線照射装置1Aは、ファン34aを稼働させることにより、排気孔34を通じて筐体10内の空気を筐体10外に排気できる。筐体10内は、筐体10外と比較して負圧となる。このため、筐体10外の空気が、主に空気導入孔35を通じて筐体10内に導入される。筐体10内に導入された空気は、吸着部材7を通過して排気孔34から排気される。このようにして、紫外線照射装置1Aは、筐体10の内外を流通するとともに、吸着部材7を通過する空気の流れを生じさせることができる。これにより、紫外線照射装置1Aは、吸着部材7で紫外線照射装置1Aの外気中を漂う臭気を発する物質や菌等を吸着できる。したがって、紫外線照射装置1Aは、紫外線照射装置1Aの外気を脱臭および除菌できる。
紫外線照射装置1Aの外気は、ファン34aの稼働によって吸着部材7を通過できる。吸着部材7中で分解された臭気を発する物質や菌等は、吸着部材7を通過する空気の流れによって、紫外線照射装置1Aの外部に排出される。これにより、紫外線照射装置1Aは、吸着部材7の吸着機能をより良好に回復できる。
【0064】
上述した第2実施形態では、吸着部材7が載置部20に設けられているが、これに限られない。吸着部材7は、例えば側板12の光源2側の表面12aに設けられてもよい。
上述した第2実施形態では、回復光源8が底板11の光源2側の表面11aに設けられているが、これに限られない。回復光源8は、吸着部材7に対して光線を照射できる位置に設けられていればよく、例えば側板12の光源2側の表面12aに設けられてもよい。
【0065】
上述した第2実施形態では、排気孔34が光源設置部30に設けられ、空気導入孔35が底板11に設けられているが、これに限られない。排気孔34および空気導入孔35の位置は、実施形態に限定されない。ファン34aの稼働によって空気導入孔35から導入された空気が、吸着部材7を通過すればよい。排気孔34および空気導入孔35は、例えば筐体10の底板11や側板12等に設けられてもよい。底板11や側板12等の開閉部10cを取り外して形成される孔部10bを空気導入孔35としてもよい。空気導入孔35は、設けられていなくてもよい。この場合、紫外線照射装置1Aの外気は、底板11と側板12との隙間や、側板12同士の隙間等から筐体10内に導入される。
上述した第2実施形態における紫外線照射装置1Aの使用方法の第2態様では、回復工程は、吸着工程と同時に行われるが、これに限られない。紫外線照射装置1Aの使用方法の第2態様では、回復工程は、吸着工程とは別に行われてもよい。
【0066】
(第3実施形態)
以下、本発明に係る紫外線照射装置100の第3実施形態について図面を参照して説明する。
図7は、紫外線照射装置100の斜視図である。
第1実施形態では、紫外線照射装置1は、内部に小物を配置可能な大きさに形成されていた。これに対して第3実施形態では、紫外線照射装置100は、内部に人が入ることができる大きさに形成されている点で、第1実施形態と異なる。第3実施形態において、上述した第1実施形態と同様の構成については、説明を省略または簡略化する。
紫外線照射装置100は、対象物Aが人や人が身に着けている衣服である場合に使用される。
図7に示すように、紫外線照射装置100は、床面F上に起立して上下方向に延びる直方体状に形成されている。
【0067】
紫外線照射装置100は、開口部110aを有するバスタブ状の筐体110と、開口部110aを閉塞する矩形板状の光源設置部30と、光源設置部30に設置された光源2と、を備えている。
筐体110は、底板111と、側板112と、を有している。底板111における光源2側の表面111aと、側板112における筐体110内側の表面112aとは、紫外線Bを反射する反射面となっている。4枚の側板112のうち1枚の側板112は、ヒンジ(不図示)により開閉可能に設けられた開閉部110cである。開閉部110cには、開閉時に把持される掴み部113が設けられている。開閉部110cを開くことにより、筐体110に孔部110bが開放される。孔部110bは、筐体110の内外を連通させる。人は、孔部110bを通じて筐体10の内部に入ることができる。
光源設置部30には、タイマー3および制御部6、センサ120が設けられている。
センサ120は、筐体内に入った人と光源設置面31との距離を計測する。センサ120は、制御部6に電気的に接続されている。制御部6は、センサ120が計測した距離の情報に基づいて、光源2の点灯および消灯を制御する。制御部6は、センサ120によって計測した人と光源設置面31との距離が所定の距離以内の場合、光源2の点灯を禁止するか光源2を消灯する。
【0068】
(紫外線照射装置の使用方法)
以下、紫外線照射装置100の使用方法について説明する。
紫外線照射装置100の使用方法は、収容工程と、紫外線照射工程と、を備えている。
(収容工程)
収容工程は、対象物Aである人が筐体110の内部に入る工程である。
収容工程では、開閉部110cである側板112を開いて孔部110bを開放した後、人が筐体110の内部に入る。筐体110の内部に人が入った後、
図7に示すように、孔部110bを閉塞する。
【0069】
(紫外線照射工程)
紫外線照射工程は、対象物Aである人や人が身に着けている衣服に紫外線Bを照射する工程である。
紫外線照射工程では、タイマー3により対象物Aの殺菌に必要な所望の時間を設定した後、光源2を点灯させる。光源2による紫外線Bの照射が開始される。光源2から照射された紫外線Bは、人に直接照射される。紫外線Bは、底板111の表面111aおよび側板112の表面112aで反射される。底板111の表面111aで反射された紫外線Bは、対象物Aに光源2とは反対側から照射される。側板112の表面112aで反射された紫外線Bは、上下方向に交差する方向から人に照射される。タイマー3に設定した所望の時間が経過すると、光源2による紫外線Bの照射が停止される。筐体110内に収容されていた人は、開閉部110cを開いて筐体110の外側に出される。
人や人が身に着けていた衣服の殺菌が完了する。
【0070】
上述した紫外線照射装置100は、内部に人を収容可能な大きさに形成されている。これにより、筐体110の内部に収容された人と人が身に着けている衣服に紫外線Bを照射できる。したがって、洗剤等を用いることなく人と人が身に着けている衣服を一度に殺菌できる。
【0071】
上述した紫外線照射装置100において、制御部6は、タイマー3に設定した所望の時間が経過すると、光源2による紫外線Bの照射を停止する。これにより、紫外線照射装置100は、人に光源2からの紫外線Bが過剰に照射されることを抑制できる。したがって、紫外線照射装置1の安全性を向上できる。
【0072】
上述した紫外線照射装置100において、制御部6は、センサ120によって計測した距離が所定の距離以内の場合、光源2の点灯を禁止するか光源2を消灯する。これにより、紫外線照射装置100は、人に光源2からの紫外線Bが過剰に照射されることを抑制できる。したがって、紫外線照射装置1の安全性を向上できる。
【0073】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…紫外線照射装置
1A…紫外線照射装置
2…光源
2a…発光ダイオード
3…タイマー
5…ロック
6…制御部
7…吸着部材
8…回復光源
10…筐体
10a…開口部
10b…孔部
10c…開閉部
11…底板
12…側板
20…載置部
30…光源設置部
31…光源設置面
32…接続部
33…把持部
100…紫外線照射装置
110…筐体
110a…開口部
110b…孔部
110c…開閉部
111…底板
112…側板
A…対象物
B…紫外線