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  • 特開-給電装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039050
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20220303BHJP
【FI】
H02J7/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143842
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩史
(72)【発明者】
【氏名】ゴー・テックチャン
(72)【発明者】
【氏名】戸村 修二
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA08
5G503CA11
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】構成を簡素化できる給電装置を提供する。
【解決手段】給電装置12は、系統端子20と、負荷端子22と、AC/DC変換回路25と、電源用蓄電装置26と、AC/DC変換回路を制御する制御部29と、を備え、AC/DC変換回路は、1次側回路31と、1次側巻線33と、2次側巻線34と、を含むトランス32と、第1レグ配線41と、第1上アームスイッチング素子43と、第1下アームスイッチング素子44と、第2レグ配線42と、第2上アームスイッチング素子45と、第2下アームスイッチング素子46と、を有する2次側回路40と、電源用蓄電装置と負荷端子とを接続する第1接続線51と、2次側巻線の中間タップ37と第1接続線とを接続する第2接続線52と、第2接続線上のコイル53と、2次側回路と第2接続線とに接続された第1中間コンデンサ54と、2次側回路と第2接続線とに接続された第2中間コンデンサ55と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電力を出力する系統電源との接続に用いられる系統端子と、
負荷との接続に用いられる負荷端子と、
前記系統端子に入力される前記系統電力を直流電力に変換するAC/DC変換回路と、
前記AC/DC変換回路に接続される電源用蓄電装置と、
前記AC/DC変換回路を制御する制御部と、
を備え、
前記AC/DC変換回路は、
前記系統端子に接続される1次側回路と、
前記1次側回路に接続される1次側巻線と、第1端、第2端及び中間タップを有する2次側巻線と、を含むトランスと、
前記2次側巻線の前記第1端に接続された第1レグ配線と、当該第1レグ配線によって互いに直列に接続された第1上アームスイッチング素子及び第1下アームスイッチング素子と、前記2次側巻線の前記第2端に接続された第2レグ配線と、前記第2レグ配線によって互いに直列に接続された第2上アームスイッチング素子及び第2下アームスイッチング素子と、を有する2次側回路と、
前記電源用蓄電装置と前記負荷とが直列に接続されるように、前記電源用蓄電装置と前記負荷端子とを接続する第1接続線と、
前記中間タップと前記第1接続線とを接続する第2接続線と、
前記第2接続線上に設けられるコイルと、
前記2次側回路と前記第2接続線とに接続された第1中間コンデンサと、
前記2次側回路と前記第2接続線とに接続され、前記第1中間コンデンサと直列に接続された第2中間コンデンサと、
を有する給電装置。
【請求項2】
前記給電装置は、前記負荷としての対象蓄電装置を充電する装置である請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記AC/DC変換回路と前記電源用蓄電装置との接続を切断する電源用リレーを備える請求項1又は請求項2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記AC/DC変換回路と前記負荷端子との接続を切断する負荷用リレーを備える請求項1から請求項3の何れか一項に記載の給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、系統電源に接続される給電装置の一例である電力変換設備が記載されている。この電力変換設備は、系統電源からの電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を、コンバータを介して電源用蓄電装置の一例である電力源、又は、負荷の一例であるメインバッテリに供給する。電力変換設備は、コンバータを介して電力源から負荷に電力を供給することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/127673号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される給電装置では、電源用蓄電装置を用いて負荷に給電するために、電力供給電源用蓄電装置用のコンバータと、負荷用のコンバータとが必要である。そのため、給電装置の構成が複雑であった。
【0005】
本発明の目的は、構成を簡素化できる給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する給電装置は、系統電力を出力する系統電源との接続に用いられる系統端子と、負荷との接続に用いられる負荷端子と、前記系統端子に入力される前記系統電力を直流電力に変換するAC/DC変換回路と、前記AC/DC変換回路に接続される電源用蓄電装置と、前記AC/DC変換回路を制御する制御部と、を備え、前記AC/DC変換回路は、前記系統端子に接続される1次側回路と、前記1次側回路に接続される1次側巻線と、第1端、第2端及び中間タップを有する2次側巻線と、を含むトランスと、前記2次側巻線の前記第1端に接続された第1レグ配線と、当該第1レグ配線によって互いに直列に接続された第1上アームスイッチング素子及び第1下アームスイッチング素子と、前記2次側巻線の前記第2端に接続された第2レグ配線と、前記第2レグ配線によって互いに直列に接続された第2上アームスイッチング素子及び第2下アームスイッチング素子と、を有する2次側回路と、前記電源用蓄電装置と前記負荷とが直列に接続されるように、前記電源用蓄電装置と前記負荷端子とを接続する第1接続線と、前記中間タップと前記第1接続線とを接続する第2接続線と、前記第2接続線上に設けられるコイルと、前記2次側回路と前記第2接続線とに接続された第1中間コンデンサと、前記2次側回路と前記第2接続線とに接続され、前記第1中間コンデンサと直列に接続された第2中間コンデンサと、を有する給電装置。
【0007】
負荷が、負荷端子に接続されることによって、電源用蓄電装置と直列に接続される。上記構成によれば、電源用蓄電装置用のコンバータと負荷用のコンバータとを設けることなく、各スイッチング素子を制御することによって、電源用蓄電装置を用いて負荷に給電できる。したがって、給電装置の構成を簡素化できる。
【0008】
上記給電装置は、前記負荷としての対象蓄電装置を充電する装置であってもよい。
上記構成によれば、電源用蓄電装置を用いて対象蓄電装置を充電できる。
上記給電装置は、前記AC/DC変換回路と前記電源用蓄電装置との接続を切断する電源用リレーを備えてもよい。
【0009】
上記構成によれば、AC/DC変換回路と電源用蓄電装置との接続を電源用リレーが切断した状態で各スイッチング素子を制御することによって、電源用蓄電装置への給電を行うことなく、系統電源を用いて負荷に給電できる。
【0010】
上記給電装置は、前記AC/DC変換回路と前記負荷端子との接続を切断する負荷用リレーを備えてもよい。
上記構成によれば、負荷端子に負荷が接続されている場合でも、AC/DC変換回路と負荷端子との接続を負荷用リレーが切断することによって、AC/DC変換回路と負荷との接続が切断される。そのため、各スイッチング素子を制御することによって、負荷端子に負荷が接続されている状況において、負荷への給電を行うことなく、系統電源を用いて電源用蓄電装置を充電できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、給電装置の構成を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】給電装置を備える電源システムを示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、給電装置の一実施形態について図を参照しながら説明する。本実施形態の給電装置は、電源システムを構成する装置である。
図1に示すように、電源システム10は、系統電源11と、給電装置12とを備える。電源システム10は、車両13に設けられた車両用蓄電装置14に電力を供給するためのシステムである。
【0014】
系統電源11は、例えば、3相の系統電力を出力する電源であるが、単相の系統電力を出力する電源でもよい。系統電源11が供給可能な系統電力の最大値は、電力会社との契約内容又は他の電力システムの使用状況などに応じて変動する。
【0015】
車両用蓄電装置14は、例えば、二次電池、電気二重層キャパシタなどである。本実施形態では、車両用蓄電装置14は、負荷の一例であり、対象蓄電装置の一例でもある。
車両用蓄電装置14の電圧である負荷電圧Vrは、車両用蓄電装置14の種類、SOCなどに応じて変動する。例えば、車両用蓄電装置14がリチウムイオン電池である場合と鉛蓄電池である場合とで、負荷電圧Vrは異なる。負荷電圧Vrは、車両用蓄電装置14のSOCが高くなるほど、高くなる。車両用蓄電装置14は、該車両用蓄電装置14を充電するために必要な電圧の直流電力が入力されることによって充電される。車両用蓄電装置14を充電するために必要な電圧は、例えば負荷電圧Vrよりも高い。
【0016】
給電装置12は、負荷に給電する装置である。本実施形態では、給電装置12は、負荷としての対象蓄電装置を充電する。
給電装置12は、系統電源11との接続に用いられる系統端子20を備える。系統電源11が系統端子20に接続されることによって、系統電力が給電装置12に入力される。
【0017】
本実施形態では、給電装置12は、3相の系統電力を出力する系統電源11に対応するために、系統端子20を3つ備える。給電装置12は、単相の系統電力を出力する系統電源11に対応する場合、系統端子20を2つ備える。
【0018】
給電装置12は、車両13との接続に用いられるインレット21を備える。インレット21に車両13が接続されることによって、給電装置12と車両用蓄電装置14とが電気的に接続される。
【0019】
インレット21は、車両用蓄電装置14との接続に用いられる負荷端子22を有する。すなわち、給電装置12は、負荷端子22を備える。負荷端子22は、給電装置12と車両用蓄電装置14とを電気的に接続するための端子である。
【0020】
負荷端子22は、正極負荷端子23と負極負荷端子24とを含む。正極負荷端子23は、車両用蓄電装置14の正極端子に接続される。負極負荷端子24は、車両用蓄電装置14の負極端子に接続される。正極負荷端子23と負極負荷端子24とが車両用蓄電装置14に接続されることによって、給電装置12と車両用蓄電装置14との間で電力の授受が可能となる。
【0021】
給電装置12は、系統端子20に入力される系統電力を直流電力に変換するAC/DC変換回路25を備える。AC/DC変換回路25は、例えば、系統電力を昇圧しつつ整流することによって、系統電力を直流電力に変換する。AC/DC変換回路25については、後述する。
【0022】
給電装置12は、AC/DC変換回路25に接続される電源用蓄電装置26を備える。電源用蓄電装置26は、例えば、二次電池、電気二重層キャパシタなどである。電源用蓄電装置26の電圧である電源電圧Vpは、電源用蓄電装置26のSOCに応じて変動する。例えば、電源電圧Vpは、電源用蓄電装置26のSOCが高くなるほど、高くなる。電源用蓄電装置26は、該電源用蓄電装置26を充電するために必要な電圧の直流電力が入力されることによって充電される。電源用蓄電装置26を充電するために必要な電圧は、例えば電源電圧Vpよりも高い。
【0023】
本実施形態では、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とは、同じ種類の蓄電装置であるが、異なる種類の蓄電装置でもよい。本実施形態では、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とは、公称電圧が同じリチウムイオン電池である。このため、本実施形態では、電源電圧Vpは、車両用蓄電装置14のSOCと電源用蓄電装置26のSOCとに応じて、負荷電圧Vrよりも高くなったり低くなったりする。
【0024】
給電装置12は、電源用蓄電装置26の電圧である電源電圧Vpを検出する電源電圧センサ27を備える。電源電圧センサ27は、電源用蓄電装置26と並列に接続される。
給電装置12は、車両用蓄電装置14の電圧である負荷電圧Vrを検出する負荷電圧センサ28を備える。負荷電圧センサ28は、負荷端子22に接続される車両用蓄電装置14と並列に接続される。
【0025】
給電装置12は、AC/DC変換回路25を制御する制御部29を備える。制御部29は、AC/DC変換回路25を制御することによって、給電装置12による給電を制御する。制御部29は、電源電圧センサ27と負荷電圧センサ28とに接続され、電源電圧Vpと負荷電圧Vrとを取得する。
【0026】
制御部29は、α:コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサ、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは、γ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成される。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる媒体を含む。
【0027】
次に、AC/DC変換回路25について説明する。
AC/DC変換回路25は、系統端子20に接続される1次側回路31を有する。1次側回路31は、系統端子20から入力される系統電力を交流電力に電力変換するいわゆるAC/AC変換を行う。1次側回路31は、例えば、マトリックスコンバータであるが、これに限定されない。1次側回路31は、制御部29によって制御される。制御部29は、1次側回路31による電力変換を制御する。
【0028】
AC/DC変換回路25は、トランス32を有する。トランス32は、1次側回路31に接続される1次側巻線33と、2次側巻線34とを含む。2次側巻線34は、第1端35と、第2端36と、中間タップ37とを有する。トランス32は、例えば、1次側回路31で変換された交流電力を昇圧する。
【0029】
AC/DC変換回路25は、2次側巻線34に接続される2次側回路40を有する。2次側回路40は、第1レグ配線41と、第2レグ配線42と、第1上アームスイッチング素子43と、第1下アームスイッチング素子44と、第2上アームスイッチング素子45と、第2下アームスイッチング素子46とを有する。本実施形態の2次側回路40は、さらに、上アーム配線47と、下アーム配線48とを有する。
【0030】
第1レグ配線41は、第1端35に接続される。第1レグ配線41は、第1上アームスイッチング素子43と第1下アームスイッチング素子44とを直列に接続する。
第2レグ配線42は、第2端36に接続される。第2レグ配線42は、第2上アームスイッチング素子45と第2下アームスイッチング素子46とを直列に接続する。
【0031】
各スイッチング素子43、44、45、46は、例えば、MOSFETであり、ボディダイオードを有する。各スイッチング素子43、44、45、46は、MOSFETに限らず、IGBTでもよい。各スイッチング素子43、44、45、46は、制御部29によって制御される。制御部29は、各スイッチング素子43、44、45、46のデューティ比を制御する。
【0032】
上アーム配線47は、第1上アームスイッチング素子43と、第2上アームスイッチング素子45と、電源用蓄電装置26とに接続される。詳しくは、上アーム配線47は、電源用蓄電装置26の正極端子に接続される。
【0033】
下アーム配線48は、第1下アームスイッチング素子44と、第2下アームスイッチング素子46と、負荷端子22とに接続される。詳しくは、下アーム配線48は、負荷端子22の負極負荷端子24に接続される。
【0034】
AC/DC変換回路25は、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とが直列に接続されるように、電源用蓄電装置26と負荷端子22とを接続する第1接続線51を有する。詳しくは、第1接続線51は、電源用蓄電装置26の負極端子と、負荷端子22の正極負荷端子23とに接続される。
【0035】
AC/DC変換回路25は、中間タップ37と第1接続線51とを接続する第2接続線52を有する。
AC/DC変換回路25は、第2接続線52上に設けられるコイル53を有する。
【0036】
AC/DC変換回路25は、2次側回路40と第2接続線52とに接続される第1中間コンデンサ54を有する。詳しくは、第1中間コンデンサ54は、上アーム配線47と第2接続線52とに接続される。第1中間コンデンサ54は、第2接続線52に対し、第1接続線51と第2接続線52との接続点と、コイル53との間に接続される。
【0037】
第1中間コンデンサ54には、電源用蓄電装置26を充電するために必要な電圧の直流電力が入力される。この場合、第1中間コンデンサ54によって、この直流電力に含まれるノイズが低減され、その電圧が安定化される。すなわち、第1中間コンデンサ54は、電源用蓄電装置26を充電するために必要な電圧を維持するためのコンデンサであり、AC/DC変換回路25からの出力電圧が変動することを抑制するコンデンサである。
【0038】
AC/DC変換回路25は、2次側回路40と第2接続線52とに接続される第2中間コンデンサ55を有する。詳しくは、第2中間コンデンサ55は、下アーム配線48と第2接続線52とに接続される。第2中間コンデンサ55は、第2接続線52に対し、第1接続線51と第2接続線52との接続点と、コイル53との間に接続される。第2中間コンデンサ55は、第1中間コンデンサ54と直列に接続される。
【0039】
第2中間コンデンサ55には、車両用蓄電装置14を充電するために必要な電圧の直流電力が入力される。この場合、第2中間コンデンサ55によって、この直流電力に含まれるノイズが低減され、その電圧が安定化される。すなわち、第2中間コンデンサ55は、車両用蓄電装置14を充電するために必要な電圧を維持するためのコンデンサであり、AC/DC変換回路25からの出力電圧が変動することを抑制するコンデンサである。
【0040】
電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とを1つの蓄電装置とみなし、第1中間コンデンサ54と第2中間コンデンサ55とを1つの中間コンデンサとみなすと、第1中間コンデンサ54と第2中間コンデンサ55とには、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とを同時に充電するために必要な直流電力が入力される。この場合、第1中間コンデンサ54と第2中間コンデンサ55とによって、この直流電力に含まれるノイズが低減され、その電圧が安定化される。第1中間コンデンサ54と第2中間コンデンサ55とは、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とを同時に充電するために必要な電圧を維持するためのコンデンサであり、AC/DC変換回路25からの出力電圧が変動することを抑制するためのコンデンサであるといえる。
【0041】
電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とを同時に充電するために必要な電圧は、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とが直列に接続された直列接続体を充電するために必要な電圧である。直列接続体を充電するために必要な電圧は、直列接続体の電圧よりも高い電圧である。直列接続体の電圧は、電源電圧Vpと負荷電圧Vrとを合算した電圧である。そのため、本実施形態では、直列接続体の電圧を、合算電圧Vmという。合算電圧Vmは、電源電圧Vpよりも高い電圧であり、負荷電圧Vrよりも高い電圧である。
【0042】
AC/DC変換回路25は、各スイッチング素子43、44、45、46を制御することにより、電源用蓄電装置26の充電に必要な電圧の直流電力を出力したり、車両用蓄電装置14の充電に必要な電圧の直流電力を出力したり、直列接続体の充電に必要な電圧の直流電力を出力したりする。
【0043】
次に、給電装置12の動作について、2次側回路40に注目しながら説明する。
制御部29は、各スイッチング素子43、44、45、46を制御することによって、電源用蓄電装置26に給電、又は、車両用蓄電装置14に給電、又は、その双方に給電する。制御部29は、各スイッチング素子43、44、45、46のデューティ比を制御することによって、電力変換を行う。
【0044】
まず、車両用蓄電装置14が負荷端子22に接続されていない場合について考える。
制御部29は、各スイッチング素子43、44、45、46を制御することによって、系統電源11を用いて電源用蓄電装置26を充電できる。例えば、制御部29は、第1下アームスイッチング素子44と第2下アームスイッチング素子46とをOFFさせた状態で、第1上アームスイッチング素子43と第2上アームスイッチング素子45とを交互にON/OFFさせることによって、系統電力を電源用蓄電装置26の充電に必要な電圧の直流電力に変換し、その直流電力を電源用蓄電装置26に出力する。これにより、電源用蓄電装置26が充電される。この場合では、制御部29は、2次側回路40のうち上アームを駆動させる。
【0045】
次に、車両用蓄電装置14が負荷端子22に接続されている場合について考える。
制御部29は、各スイッチング素子43、44、45、46を制御することによって、電源用蓄電装置26を用いて車両用蓄電装置14を充電できる。例えば、制御部29は、両下アームスイッチング素子44、46をOFFさせた状態で、両上アームスイッチング素子43、45を交互にON/OFFさせることによって、電源電圧Vpの直流電力を車両用蓄電装置14の充電に必要な電圧の直流電力に変換し、その直流電力を車両用蓄電装置14に出力する。これにより、車両用蓄電装置14が充電される。この場合では、2次側巻線34において第1端35と中間タップ37との間となる部分と、2次側巻線34において第2端36と中間タップ37との間となる部分とは、コイル53に直列に接続されたコイルとして機能する。制御部29は、2次側回路40のうち上アームを駆動させる。
【0046】
制御部29は、各スイッチング素子43、44、45、46を制御することによって、系統電源11を用いて電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14との双方を同時に充電できる。制御部29は、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とを1つの蓄電装置、すなわち電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14との直列接続体とみなして充電を行う。例えば、制御部29は、第1上アームスイッチング素子43及び第2下アームスイッチング素子46と、第1下アームスイッチング素子44及び第2上アームスイッチング素子45とを交互にON/OFFさせることによって、系統電力を電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14との直列接続体の充電に必要な電圧の直流電力に変換し、その直流電力を直列接続体に出力する。これにより、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とが同時に充電される。この場合では、制御部29は、2次側回路40のうち上アームと下アームとを駆動させる。
【0047】
本実施形態では、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とが、公称電圧が同じである同種の電池である。そのため、電源用蓄電装置26の電圧である電源電圧Vpと車両用蓄電装置14の電圧である負荷電圧Vrとを一致させた後に、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14との双方を同時に充電すると、給電装置12の変換効率がよい。本実施形態では、電源電圧Vpと負荷電圧Vrとが一致する場合、合算電圧Vmは、電源電圧Vpのおよそ倍となる電圧であり、負荷電圧Vrのおよそ倍となる電圧である。
【0048】
本実施形態では、電源用蓄電装置26の電圧である電源電圧Vpが車両用蓄電装置14の電圧である負荷電圧Vrよりも高い場合、制御部29は、まず、電源用蓄電装置26を用いて車両用蓄電装置14を充電する。この場合、両上アームスイッチング素子43、45とコイル53と第2中間コンデンサ55とによって降圧回路が構成されているといえる。その後、電源電圧Vpと負荷電圧Vrとが一致した段階で、制御部29は、系統電源11を用いて電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とを同時に充電する。この場合では、制御部29は、2次側回路40のうち上アームを駆動させた後に、上アームと下アームとを駆動させる。
【0049】
本実施形態では、電源用蓄電装置26の電圧である電源電圧Vpが車両用蓄電装置14の電圧である負荷電圧Vrよりも低い場合、制御部29は、系統電源11を用いて電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とを同時に充電する。この場合では、制御部29は、2次側回路40のうち上アームと下アームとを駆動させる。
【0050】
次に、上述した実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)本実施形態の給電装置12によれば、負荷である車両用蓄電装置14が、負荷端子22に接続されることによって、電源用蓄電装置26と直列に接続される。給電装置12は、電源用蓄電装置用のコンバータと負荷用のコンバータとを設けることなく、各スイッチング素子43、44、45、46を制御することによって、電源用蓄電装置26を用いて車両用蓄電装置14に給電できる。具体的には、例えば、制御部29は、第1下アームスイッチング素子44と第2下アームスイッチング素子46とをOFFさせた状態で、第1上アームスイッチング素子43と第2上アームスイッチング素子45とを交互にON/OFFさせることによって、電源用蓄電装置26を用いて車両用蓄電装置14に給電できる。したがって、給電装置12の構成を簡素化できる。また、コンバータを介することなく電源用蓄電装置26を用いて車両用蓄電装置14に給電できるため、コンバータの電力変換に伴う損失が発生しない。したがって、変換効率が向上する。
【0051】
(2)給電装置12は、負荷としての対象蓄電装置の一例である車両用蓄電装置14を充電する装置である。これによれば、電源用蓄電装置26を用いて車両用蓄電装置14を充電できる。すなわち、本実施形態の給電装置12は、車両用の給電装置として好適に採用できる。
【0052】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図1に示すように、給電装置12は、AC/DC変換回路25と電源用蓄電装置26との接続を切断する電源用リレー61を備えてもよい。電源用リレー61は、例えば、第1接続線51上に設けられるが、これに限らない。この変更例では、電源用リレー61は、第1接続線51上において、第1接続線51と第2接続線52との接続点と、電源用蓄電装置26の負極端子との間に設けられる。電源用リレー61は、制御部29に制御されることによってON/OFFされる。
【0053】
制御部29は、電源用リレー61によってAC/DC変換回路25と電源用蓄電装置26との接続を切断することによって、電源用蓄電装置26を充電することなく、系統電源11を用いて車両用蓄電装置14を充電できる。例えば、制御部29は、第1上アームスイッチング素子43と第2上アームスイッチング素子45とをOFFさせた状態で、第1下アームスイッチング素子44及び第2下アームスイッチング素子46とを交互にON/OFFさせることによって、系統電力を車両用蓄電装置14の充電に必要な電圧の直流電力に変換し、その直流電力を車両用蓄電装置14に出力する。この場合では、制御部29は、2次側回路40のうち下アームを駆動させる。これにより、車両用蓄電装置14が充電される。
【0054】
例えば、制御部29は、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とを同時に充電する場合と同様に各スイッチング素子43、44、45、46をON/OFFさせることによって、系統電力を車両用蓄電装置14の充電に必要な電圧の直流電力に変換し、その直流電力を車両用蓄電装置14に出力する。この場合では、第1端35と第2端36との間の電圧が直列接続体の充電に必要な電圧となり、第1端35と中間タップ37との間の電圧、及び、第2端36と中間タップ37との間の電圧が直列接続体の充電に必要な電圧の半分の電圧となる。これにより、車両用蓄電装置14が充電される。
【0055】
この変更例によれば、以下の効果が得られる。
(3)AC/DC変換回路25と電源用蓄電装置26との接続を電源用リレー61が切断した状態で、各スイッチング素子43、44、45、46を制御することによって、電源用蓄電装置26を充電することなく、系統電源11を用いて車両用蓄電装置14に給電できる。
【0056】
図1に示すように、給電装置12は、AC/DC変換回路25と負荷端子22との接続を切断する負荷用リレー62を備えてもよい。負荷用リレー62は、例えば、第1接続線51上に設けられるが、これに限らない。この変更例では、負荷用リレー62は、第1接続線51上において、第1接続線51と第2接続線52との接続点と、負荷端子22の正極負荷端子23との間に設けられる。負荷用リレー62は、制御部29に制御されることによって、ON/OFFする。
【0057】
制御部29は、負荷用リレー62によってAC/DC変換回路25と負荷端子22との間を切断することによって、負荷端子22に車両用蓄電装置14が接続されている場合でも、系統電源11を用いて電源用蓄電装置26を充電できる。給電装置12において、負荷用リレー62がAC/DC変換回路25と負荷端子22との接続を切断している状態は、負荷端子22に負荷が接続されていない状態と同じである。そのため、制御部29は、負荷端子22に車両用蓄電装置14が接続されていない場合と同様に各スイッチング素子43、44、45、46を制御することによって、系統電源11を用いて電源用蓄電装置26を充電できる。
【0058】
この変更例では、電源電圧Vpが負荷電圧Vrよりも低い場合でも、系統電源11を用いて電源用蓄電装置26を充電することによって、電源電圧Vpと負荷電圧Vrとを一致させることができる。そのため、電源電圧Vpが負荷電圧Vrよりも低い場合でも、電源電圧Vpと負荷電圧Vrとを一致させた後に、電源用蓄電装置26と車両用蓄電装置14とを同時に充電できる。
【0059】
この変更例によれば、以下の効果が得られる。
(4)負荷端子22に負荷である車両用蓄電装置14が接続されている場合でも、AC/DC変換回路25と負荷端子22との接続を負荷用リレー62が切断することによって、AC/DC変換回路25と車両用蓄電装置14との接続が切断される。そのため、各スイッチング素子43、44、45、46を制御することによって、車両用蓄電装置14への給電を行うことなく、系統電源11を用いて選択的に電源用蓄電装置26に充電できる。
【0060】
〇対象蓄電装置は、車両用蓄電装置14に限らない。負荷端子22には、車両13に搭載される車両用蓄電装置14に限らず、その他の蓄電装置が接続されてよい。
〇負荷は、蓄電装置に限らない。負荷端子22には、蓄電装置に限らず、負荷として電力を要求する要素が接続されてよい。
【0061】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)制御部は、負荷端子に負荷が接続されていない場合に、第1下アームスイッチング素子と第2下アームスイッチング素子とをOFFさせた状態で、第1上アームスイッチング素子と第2上アームスイッチング素子とを交互にON/OFFさせる。これによれば、系統電源を用いて電源用蓄電装置に給電できる。
【0062】
(B)制御部は、負荷端子に負荷が接続されている場合に、第1上アームスイッチング素子及び第2下アームスイッチング素子と、第1下アームスイッチング素子及び前記第2上アームスイッチング素子とを交互にON/OFFさせる。これによれば、系統電源を用いて電源用蓄電装置と負荷とに同時に給電できる。
【0063】
(C)制御部は、負荷端子に負荷が接続されている場合に、第1下アームスイッチング素子と第2下アームスイッチング素子とをOFFさせた状態で、第1上アームスイッチング素子と第2上アームスイッチング素子とを交互にON/OFFさせる。これによれば、電源用蓄電装置を用いて負荷に給電できる。
【符号の説明】
【0064】
10…電源システム、11…系統電源、12…給電装置、13…車両、14…負荷の一例及び対象蓄電装置の一例である車両用蓄電装置、20…系統端子、21…インレット、22…負荷端子、23…正極負荷端子、24…負極負荷端子、25…AC/DC変換回路、26…電源用蓄電装置、27…電源電圧センサ、28…負荷電圧センサ、29…制御部、31…1次側回路、32…トランス、33…1次側巻線、34…2次側巻線、35…第1端、36…第2端、37…中間タップ、40…2次側回路、41…第1レグ配線、42…第2レグ配線、43…スイッチング素子、43…第1上アームスイッチング素子、44…スイッチング素子、44…第1下アームスイッチング素子、45…スイッチング素子、45…第2上アームスイッチング素子、46…スイッチング素子、46…第2下アームスイッチング素子、47…上アーム配線、48…下アーム配線、51…第1接続線、52…第2接続線、53…コイル、54…第1中間コンデンサ、55…第2中間コンデンサ、61…電源用リレー、62…負荷用リレー。
図1