(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039078
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】金銭受渡し装置
(51)【国際特許分類】
G07D 9/00 20060101AFI20220303BHJP
G07D 9/02 20060101ALN20220303BHJP
【FI】
G07D9/00 481C
G07D9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143902
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】520329302
【氏名又は名称】安藤 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【弁理士】
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 修司
【テーマコード(参考)】
3E001
3E141
【Fターム(参考)】
3E001AA06
3E001AA10
3E001AB04
3E001BA01
3E001DA05
3E001FA19
3E141AA08
3E141GA06
3E141GA10
3E141GB04
3E141JA05
3E141LA19
(57)【要約】
【課題】金銭のやり取りに手間がかからず、かつ、金銭に触れる回数を減らすことができる金銭受渡し装置を提供すること。
【解決手段】売り手が売り手側トレー20の他端24を押し下げると、売り手側トレー20が傾斜し、表面22に乗っている金銭Cが他端24に滑って移動し、押し下げる力を弱めると水平姿勢に復帰する。また、買い手が買い手側トレー10の他端14を押し下げると、買い手側トレー10が傾斜し、表面12に乗っている金銭Cが他端14に滑って移動し、押し下げる力を弱めると水平姿勢に復帰する。買い手側トレー10および売り手側トレー20は個別に独立して動作するため、一方の操作を待つ必要がなく、金銭Cのやり取りの手間を軽減することができる。また、売り手は、受け取った代金を売り手側トレー20に貯めることができるため、金銭Cに触れる回数を減らすこともできる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端同士が相互に隣接して配置された第1および第2のトレーと、
前記第1のトレーの表面に置かれた金銭が滑って移動しない第1の姿勢を維持するように前記第1のトレーを支持する第1の弾性部材と、
前記第2のトレーの表面に置かれた金銭が滑って移動しない第1の姿勢を維持するように前記第2のトレーを支持する第2の弾性部材と、
前記第1の弾性部材を取付けるための第1の取付部と、
前記第2の弾性部材を取付けるための第2の取付部と、
前記第1および第2のトレーの各一端を回動可能に軸支する軸支部と、
前記軸支部を、当該金銭受渡し装置が載置される箇所から所定の高さに支持する支持部材と、を備えており、
前記第1のトレーは、
前記第1の姿勢になっている状態において自身の他端を押し下げることにより、前記軸支部により軸支された自身の一端を回動軸にして、当該第1のトレーの表面に乗った金銭が自身の他端に向けて滑って移動する第2の姿勢になるまで、前記第2のトレーの回動とは別個に独立して回動可能であり、かつ、前記第1の弾性部材の弾性により前記第2の姿勢から前記第1の姿勢に復帰可能であり、
前記第2のトレーは、
前記第1の姿勢になっている状態において自身の他端を押し下げることにより、前記軸支部により軸支された自身の一端を回動軸にして、当該第2のトレーの表面に乗った金銭が自身の他端に向けて滑って移動する第2の姿勢になるまで、前記第1のトレーの回動とは別個に独立して回動可能であり、かつ、前記第2の弾性部材の弾性により前記第2の姿勢から前記第1の姿勢に復帰可能であることを特徴とする金銭受渡し装置。
【請求項2】
前記第1および第2のトレーは、
それぞれ自身の一端に形成された凹凸部を相互に組み合わせて配置されており、
前記軸支部は、
前記第1および第2のトレーの前記相互に組み合わせた前記凹凸部を回動可能に軸支することを特徴とする請求項1に記載の金銭受渡し装置。
【請求項3】
前記第1の取付部は、前記第1のトレーの上方に配置されており、
前記第1の弾性部材は、前記第1の取付部と前記第1のトレーとを接続しており、
前記第1の取付部には、前記第1のトレーの表面に当接することにより、当該第1のトレーの回動を規制し、当該第1のトレーが前記第1の姿勢を維持するようにする第1の規制部材が取付けられており、
前記第2の取付部は、前記第2のトレーの上方に配置されており、
前記第2の弾性部材は、前記第2の取付部と前記第2のトレーとを接続しており、
前記第2の取付部には、前記第2のトレーの表面に当接することにより、当該第2のトレーの回動を規制し、当該第2のトレーが前記第1の姿勢を維持するようにする第2の規制部材が取付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金銭受渡し装置。
【請求項4】
前記第1の規制部材は、前記第1のトレーの表面に乗った金銭が滑らないように規制し、前記第2の規制部材は、前記第2のトレーの表面に乗った金銭が滑らないように規制することを特徴とする請求項3に記載の金銭受渡し装置。
【請求項5】
前記第1のトレーには、
前記表面の周囲を囲む周壁が形成されており、かつ、前記周壁には、自身が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化したときに、前記表面に乗った金銭を自身の他端の中央に案内する傾斜部が形成されており、
前記第2のトレーには、
前記表面の周囲を囲む周壁が形成されており、かつ、前記周壁には、自身が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化したときに、前記表面に乗った金銭を自身の他端の中央に案内する傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の金銭受渡し装置。
【請求項6】
前記第1のトレーの他端には、当該第1のトレーが前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化したときに、当該第1のトレーの表面を当該第1のトレーの他端に向けて滑る金銭を当該第1のトレーの外部へ滑り落とすための切欠部が形成されており、
前記第2のトレーの他端には、当該第2のトレーが前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化したときに、当該第2のトレーの表面を当該第2のトレーの他端に向けて滑る金銭を当該第2のトレーの外部へ滑り落とすための切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の金銭受渡し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、売り手と買い手との間で金銭を受渡す際に用いる金銭受渡し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の金銭受渡し装置として、金銭を乗せる1枚のトレーの中央を支持し、そのトレーの両端がシーソー式に傾くようにした構造のものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の金銭受渡し装置は、トレーが1枚であるため、買い手が購入代金をトレーに乗せると、売り手がトレーを自分の方に傾けて代金を滑らせて受取り、その後、売り手がお釣りをトレーに乗せると、買い手がトレーを自分の方に傾けてお釣りを滑らせて受け取らなければならない。
つまり、売り手がトレーに代金が乗った状態で、お釣りをトレーに乗せ、買い手側がトレーを傾けると、代金とお釣りが一緒になって買い手の方に滑ってきてしまう。
従って、従来の金銭受渡し装置は、売り手は、トレーを自分の方に傾けて代金を受け取った後でないと、お釣りをトレーに乗せることができないため、金銭のやり取りに手間がかかるという問題がある。
特に、売り手が忙しいときは、1回毎にトレーを操作して代金を受け取っていると、金銭のやり取りに非常に手間がかかる。
【0005】
また、最近流行している新型コロナウィルス(COVID-19)などの感染病の伝染を防止するためにも、金銭に触れる回数を極力減らすことが重要であるが、前述したように、従来の金銭受渡し装置は、売り手は、買い手がトレーに代金を乗せる毎に、金銭に触れることになるため、金銭に触れる回数を減らすことができない。
つまり、前述した従来の金銭受渡し装置は、金銭のやり取りに手間がかかり、かつ、金銭に触れる回数を減らすことができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した諸問題を解決するために創出されたものであって、金銭のやり取りの手間を軽減することができ、かつ、金銭に触れる回数を減らすことができる金銭受渡し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(第1の特徴)
上述した目的を達成するため、本発明に係る金銭受渡し装置(1)は、
一端(13,23)同士が相互に隣接して配置された第1および第2のトレー(10,20)と、
第1のトレー(10)の表面(12)に置かれた金銭(C)が滑って移動しない第1の姿勢を維持するように第1のトレー(10)を支持する第1の弾性部材(60,60)と、
第2のトレー(20)の表面(22)に置かれた金銭(C)が滑って移動しない第1の姿勢を維持するように第2のトレー(20)を支持する第2の弾性部材(61,61)と、
第1の弾性部材(60,60)を取付けるための第1の取付部(3g)と、
第2の弾性部材(61,61)を取付けるための第2の取付部(3h)と、
第1および第2のトレー(10,20)の各一端(13,23)を回動可能に軸支する軸支部(40,41,42)と、
軸支部(40,41,42)を、当該金銭受渡し装置(1)が載置される箇所から所定の高さに支持する支持部材(3e,3f,3i,3j,3m,3n)と、を備えており、
第1のトレー(10)は、
第1の姿勢になっている状態において自身の他端(14)を押し下げることにより、軸支部(40,41)により軸支された自身の一端(13)を回動軸にして、当該第1のトレー(10)の表面(12)に乗った金銭(C)が自身の他端(14)に向けて滑って移動する第2の姿勢になるまで、第2のトレー(20)の回動とは別個に独立して回動可能であり、かつ、第1の弾性部材(60,60)の弾性により第2の姿勢から第1の姿勢に復帰可能であり、
第2のトレー(20)は、
第1の姿勢になっている状態において自身の他端(24)を押し下げることにより、軸支部(40,42)により軸支された自身の一端(23)を回動軸にして、当該第2のトレー(20)の表面(22)に乗った金銭(C)が自身の他端(24)に向けて滑って移動する第2の姿勢になるまで、第1のトレー(10)の回動とは別個に独立して回動可能であり、かつ、第2の弾性部材(61,61)の弾性により第2の姿勢から第1の姿勢に復帰可能であることを第1の特徴とする。
なお、第1の姿勢とは、水平姿勢の他、傾斜しているが表面に乗った金銭が滑って移動しない姿勢を含む意味である。
【0008】
(第2の特徴)
また、本発明に係る金銭受渡し装置(1)は、前述した第1の特徴において、
第1および第2のトレー(10,20)は、
それぞれ自身の一端(13,23)に形成された凹凸部を相互に組み合わせて配置されており、
軸支部(40,43)は、
第1および第2のトレー(10,20)の相互に組み合わせた凹凸部を回動可能に軸支することを第2の特徴とする。
【0009】
(第3の特徴)
また、本発明に係る金銭受渡し装置(1)は、前述した第1または第2の特徴において、
第1の取付部(3g)は、第1のトレー(10)の上方に配置されており、
第1の弾性部材(60,60)は、第1の取付部(3g)と第1のトレー(10)とを接続しており、
第1の取付部(3g)には、第1のトレー(10)の表面(12)に当接することにより、当該第1のトレー(10)の回動を規制し、当該第1のトレー(10)が第1の姿勢を維持するようにする第1の規制部材(50)が取付けられており、
第2の取付部(3h)は、第2のトレー(20)の上方に配置されており、
第2の弾性部材(61,61)は、第2の取付部(3h)と第2のトレー(20)とを接続しており、
第2の取付部(3h)には、第2のトレー(20)の表面(22)に当接することにより、当該第2のトレー(20)の回動を規制し、当該第2のトレー(20)が第1の姿勢を維持するようにする第2の規制部材(51)が取付けられていることを第3の特徴とする。
【0010】
(第4の特徴)
また、本発明に係る金銭受渡し装置(1)は、前述した第3の特徴において、
第1の規制部材(50)は、第1のトレー(10)の表面(12)に乗った金銭が滑らないように規制し、第2の規制部材(51)は、第2のトレー(20)の表面(22)に乗った金銭が滑らないように規制することを第4の特徴とする。
【0011】
(第5の特徴)
また、本発明に係る金銭受渡し装置(1)は、前述した第1ないし第4の特徴のいずれかにおいて、
第1のトレー(10)には、
表面(12)の周囲を囲む周壁(11)が形成されており、かつ、周壁(11)には、自身が第1の姿勢から第2の姿勢に変化したときに、表面(12)に乗った金銭(C)を自身の他端(14)の中央に案内する傾斜部(11a)が形成されており、
第2のトレー(20)には、
表面(22)の周囲を囲む周壁(21)が形成されており、かつ、周壁(21)には、自身が第1の姿勢から第2の姿勢に変化したときに、表面(22)に乗った金銭(C)を自身の他端(24)の中央に案内する傾斜部(21a)が形成されていることを第5の特徴とする。
【0012】
(第6の特徴)
また、本発明に係る金銭受渡し装置(1)は、前述した第1ないし第5の特徴のいずれかにおいて、
第1のトレー(10)の他端(14)には、当該第1のトレー(10)が第1の姿勢から第2の姿勢に変化したときに、当該第1のトレー(10)の表面(12)を当該第1のトレー(10)の他端(14)に向けて滑る金銭(C)を当該第1のトレー(10)の外部へ滑り落とすための切欠部(11b)が形成されており、
第2のトレー(20)の他端(24)には、当該第2のトレー(20)が第1の姿勢から第2の姿勢に変化したときに、当該第2のトレー(20)の表面(22)を当該第2のトレー(20)の他端(24)に向けて滑る金銭(C)を当該第2のトレー(20)の外部へ滑り落とすための切欠部(21b)が形成されていることを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(第1の特徴による効果)
第1および第2のトレーは、自身の他端を押し下げることにより、それぞれ独立して回動するため、金銭のやり取りを第1および第2のトレーを用いて個別に行うことができる。
従って、第1のトレーを買い手が使用し、第2のトレーを売り手が使用する場合、買い手が第1のトレーに代金を乗せ、売り手が第2のトレーにお釣りを乗せた状態において、買い手が第1のトレーの他端を押し下げて第1のトレーを回動させても第2のトレーは回動しない。また、売り手が第2のトレーの他端を押し下げて第2のトレーを回動させても第1のトレーは回動しない。
つまり、売り手は、第2のトレーを任意のタイミングで回動させて代金を受け取ることができるし、買い手は、第1のトレーを任意のタイミングで回動させてお釣りを受け取ることができるため、金銭のやり取りの手間を省くことができる。
【0014】
しかも、売り手は、買い手が代金を第2のトレーに置く毎に第2のトレーを操作する必要がなく、ある程度代金が第2のトレーに貯まってから第2のトレーを操作して代金を取るようにすることができるため、金銭に触れる回数を減らすことができる。
上述したように、本願発明の第1の特徴によれば、金銭のやり取りの手間を軽減することができ、かつ、金銭に触れる回数を減らすことができる金銭受渡し装置を提供することができる。
【0015】
(第2の特徴による効果)
第1および第2のトレーは、それぞれ自身の一端に形成された凹凸を相互に組み合わせて配置されているため、第1および第2のトレーの相対向する一端間に隙間が形成されないようにすることができるので、金銭が隙間から落ちないようにすることができる。
しかも、第1および第2のトレーに対して軸支部を共通化することができるため、軸支部を共通化する分、金銭受渡し装置の製造コストを削減することができる。
【0016】
(第3の特徴による効果)
第1の規制部材により、第1のトレーの回動を規制し、当該第1のトレーが第1の姿勢を維持するようにすることができる。
従って、第1のトレーの他端を押し下げた状態を解除したときに、第1のトレーが第1の弾性部材の弾性によって第1の姿勢を超える位置まで回動しないようにすることができる。
また、第2の規制部材により、第2のトレーの回動を規制し、当該第2のトレーが第1の姿勢を維持するようにすることができる。
従って、第2のトレーの他端を押し下げた状態を解除したときに、第2のトレーが第2の弾性部材の弾性によって第1の姿勢を超える位置まで回動しないようにすることができる。
【0017】
(第4の特徴による効果)
第1のトレーの表面に乗った金銭を受け取る前に、第1のトレーの他端を押し下げた状態を解除してしまった場合であっても、第1のトレーの他端に集合していた金銭が、第1のトレーが第1の姿勢に復帰するときの勢いで、金銭が他端から一端の方へ移動してしまわないように規制することができる。
また、第2のトレーの表面に乗った金銭を受け取る前に、第2のトレーの他端を押し下げた状態を解除してしまった場合であっても、第2のトレーの他端に集合していた金銭が、第2のトレーが第1の姿勢に復帰するときの勢いで、金銭が他端から一端の方へ移動してしまわないように規制することができる。
【0018】
(第5の特徴による効果)
第1のトレーには、表面の周囲を囲む周壁が形成されているため、表面を滑る金銭が第1のトレーから落ちるおそれがない。しかも、周壁には、第1の姿勢から第2の姿勢に変化したときに、表面に乗った金銭を自身の他端の中央に案内する傾斜部が形成されているため、他端の中央に集まった金銭をまとめて取り出し易い。
また、第2のトレーには、表面の周囲を囲む周壁が形成されているため、表面を滑る金銭が第2のトレーから落ちるおそれがない。しかも、周壁には、第1の姿勢から第2の姿勢に変化したときに、表面に乗った金銭を自身の他端の中央に案内する傾斜部が形成されているため、他端の中央に集まった金銭をまとめて取り出し易い。
【0019】
(第6の特徴による効果)
第1のトレーの他端には、当該第1のトレーが第1の姿勢から第2の姿勢に変化したときに、当該第1のトレーの表面を当該第1のトレーの他端に向けて滑る金銭を当該第1のトレーの外部へ滑り落とすための切欠部が形成されているため、第1のトレーに乗っている金銭を摘まんで取り出す必要が無く、切欠部の下方に掌を差し出せば、金銭を一度にまとめて受け取ることができる。
また、第2のトレーの他端には、当該第2のトレーが第1の姿勢から第2の姿勢に変化したときに、当該第2のトレーの表面を当該第2のトレーの他端に向けて滑る金銭を当該第2のトレーの外部へ滑り落とすための切欠部が形成されているため、第2のトレーに乗っている金銭を摘まんで取り出す必要が無く、切欠部の下方に掌を差し出せば、金銭を一度にまとめて受け取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(A)および(B)は本発明の第1実施形態に係る金銭受渡し装置を正面から見た説明図であり、一部透視して表した部分を含む説明図である。
【
図2】(A)は本発明の第1実施形態に係る金銭受渡し装置の右側面図であり、(B)は本発明の第1実施形態に係る金銭受渡し装置を構成するハウジングの模式図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る金銭受渡し装置を平面から見た説明図であり、一部透視して表した部分を含む説明図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る金銭受渡し装置を正面から見た説明図であり、一部透視して表した部分を含む説明図であり、(A)は売り手側トレーが傾斜した状態を示し、(B)は買い手側トレーが傾斜した状態を示す。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る金銭受渡し装置を平面から見た説明図であり、一部透視して表した部分を含む説明図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る金銭受渡し装置を平面から見た説明図であり、一部透視して表した部分を含む説明図である。
【
図7】(A)および(B)は本発明の第4実施形態に係る金銭受渡し装置を正面から見た説明図であり、一部透視して表した部分を含む説明図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に係る金銭受渡し装置を正面から見た説明図であり、一部透視して表した部分を含む説明図である。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る金銭受渡し装置の右側面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係る金銭受渡し装置を正面から見た説明図であり、一部透視して表した部分を含む説明図であり、(A)は売り手側トレーが傾斜した状態を示し、(B)は買い手側トレーが傾斜した状態を示す。
【
図11】本発明の第5実施形態に係る金銭受渡し装置を正面から見た説明図であり、一部透視して表した部分を含む説明図であり、(A)は第1および第2のトレーが水平姿勢になっている状態を示し、(B)は第2のトレーが傾斜した状態を示す。
【
図12】(A)は本発明の第5実施形態に係る金銭受渡し装置の平面図であり、(B)は右側面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〈第1実施形態〉
本発明の第1実施形態に係る金銭受渡し装置について図を参照しつつ説明する。
[主な構成]
図1から
図4に示すように、本実施形態の金銭受渡し装置1は、買い手側トレー10と、売り手側トレー20と、ハウジング3と、軸受け40と、シャフト41,42と、ストッパー50,51(
図3)と、ゴム管60,60と、ゴム管61,61とを備えている。
【0022】
金銭受渡し装置1は、例えば、移動販売車の商品受渡し窓口などに載置され、買い手側トレー10が買い手の方に存在し、売り手側トレー20が売り手の方に存在するように載置される。買い手側トレー10は、左右方向に長い矩形の板状に形成されている。
図3に示すように、買い手側トレー10の上面には、金銭Cを乗せるための表面12が形成されており、その表面12には、その周囲を囲む周壁11が形成されている。周壁11は、買い手側トレー10が傾斜したときに表面12に乗った金銭Cが滑って周壁11を乗り越えることができない高さに形成されている。例えば、周壁11は、金銭Cが硬貨である場合に、硬貨の厚さ程度の高さに形成することができる。また、表面12には、金銭Cと表面12との接触面積を小さくするための凸状の筋12aが複数形成されており、これら複数の筋12aにより、金銭Cが表面12上を滑って移動し易くなっている。各筋12aの配置間隔は、買い手側トレー10の一端13から他端14の中央にかけて次第に狭くなるように形成されており、一端13の方に置かれた金銭Cが他端14の中央に集まり易くなっている。
【0023】
また、買い手側トレー10の表面12には、売り手側がお釣りを置く領域E1が設定されており、その領域E1には、「ありがとうございました」というメッセージが表示されている。メッセージは、領域E1に印刷することもできるし、メッセージが表示されたシールを領域E1に貼ることもできる。メッセージの内容は売り手が任意に決めることができる。このような領域E1を設定することにより、売り手は、お釣りを置く領域を迷わないで済むため、お釣りを渡す効率を高めることができる。また、上記のようなメッセージを表示することにより、売り手の感謝の気持ちを買い手に伝えることができる。
また、買い手側トレー10の他端14の表面には、「PUSH」というメッセージが表示されており、買い手が、そのメッセージが表示された部分を押し下げることにより、買い手側トレー10が回動して傾斜し、領域E1に置かれていたお釣りが他端14に滑って移動することを示唆することができる。
【0024】
売り手側トレー20は、左右方向に長い矩形の板状に形成されている。
図3に示すように、売り手側トレー20の表面には、金銭Cを乗せるための表面22が形成されており、その表面22には、その周囲を囲む周壁21が形成されている。周壁21は、売り手側トレー20が傾斜したときに表面22に乗った金銭Cが滑って周壁21を乗り越えることができない高さに形成されている。例えば、周壁21は、金銭Cが硬貨である場合に、硬貨の厚さ程度の高さに形成することができる。また、表面22には、金銭Cと表面22との接触面積を小さくするための凸状の筋22aが複数形成されており、これら複数の筋22aにより、金銭Cが表面22上を滑って移動し易くなっている。各筋22aの配置間隔は、売り手側トレー20の一端23から他端24の中央にかけて次第に狭くなるように形成されており、一端23の方に置かれた金銭Cが他端24の中央に集まり易くなっている。
【0025】
また、売り手側トレー20の表面22には、買い手が代金を置く領域E2が設定されており、その領域E2には、「ここに代金を置いてください」というメッセージが表示されている。メッセージは、領域E2に印刷することもできるし、メッセージが表示されたシールを領域E2に貼ることもできる。メッセージの内容は売り手が任意に決めることができる。このようなメッセージを表示することにより、買い手は、代金を置く領域を迷わないで済むため、代金を渡す効率を高めることができる。
買い手側トレー10および売り手側トレー20は、それぞれ合成樹脂、木材、金属などにより形成することができる。買い手側トレー10は本発明の第1のトレーの一例であり、売り手側トレーは本発明の第2のトレーの一例である。
【0026】
図1から
図4に示すように、ハウジング3は、細長い直方体形状に形成された部材3a~3nによって構成されており、略直方体を呈している。ハウジング3の各六面は、相対向する面がそれぞれ平行になっており、各面はそれぞれ矩形の枠形状を呈している。
図2(B)の模式図に示すように、ハウジング3の下面は、部材3a,3b,3c,3dにより矩形の枠状を呈している。部材3a,3b,3c,3dの各下面は、金銭受渡し装置1を載置する面と接触する。ハウジング3の上面は、部材3e,3f,3g,3hにより矩形の枠状を呈している。ハウジング3の前面は、部材3a,3e,3i,3mにより矩形の枠状を呈しており、ハウジング3の後面は、部材3b,3f,3j,3nにより矩形の枠状を呈している。ハウジング3の左側面は、部材3c,3g,3i,3jにより矩形の枠状を呈しており、ハウジング3の右側面は、部材3d,3h,3m,3nにより矩形の枠状を呈している。
【0027】
図1に示すように、ハウジング3の前面上部に設けられた部材3eの下面には、軸受け40が取付けられている。また、
図2(B)に示すように、ハウジング3の後面上部に設けられた部材3fの下面にも軸受け40が取付けられている。各軸受け40は、前後方向にて互いに平行になっている。各軸受け40には、シャフト41,42が前後方向に貫通しており、各シャフト41,42は、左右方向に互いに平行に、かつ、距離を隔てて配置されている。
図1に示すように、買い手側トレー10の一端13の下部には、下方に突出した突出部15が形成されており、その突出部15にシャフト41が通されている。買い手側トレー10は、シャフト41を回動軸にして回動可能になっている。また、売り手側トレー20の一端23の下部には、下方に突出した突出部25が形成されており、その突出部25にシャフト42が通されている。売り手側トレー20は、シャフト42を回動軸にして回動可能になっている。
一対の軸受け40,40およびシャフト41,42は、金銭受渡し装置1が載置される箇所から所定の高さに支持されている。その所定の高さは、部材3i,3j,3m,3nの各高さにより決定される。一対の軸受け40,40およびシャフト41,42は、本発明の軸支部の一例である。また、部材3e,3f,3i,3j,3m,3nは、本発明の支持部材の一例である。
【0028】
また、左側面上部に設けられた部材3gと買い手側トレー10とは、一対のゴム管60,60により接続されている。
図3に示すように、一方のゴム管60は、前後方向に延びる部材3gの前端寄りに配置されており、他方のゴム管60は、後端寄りに配置されている。各ゴム管60の各一端は、それぞれ部材3gの下面に取付けられており、各他端は、それぞれ買い手側トレー10の周壁11の表面に取付けられている。
また、右側面上部に設けられた部材3hと売り手側トレー20とは、一対のゴム管61,61により接続されている。
図3に示すように、一方のゴム管61は、前後方向に延びる部材3hの前端寄りに配置されており、他方のゴム管61は、後端寄りに配置されている。各ゴム管61の各一端は、それぞれ部材3hの下面に取付けられており、各他端は、それぞれ売り手側トレー20の周壁21の表面に取付けられている。
【0029】
図1に示すように、買い手側トレー10は、その一端13がシャフト41により回動可能に軸支されており、部材3g(
図3)と自身とを接続する各ゴム管60により水平姿勢を維持している。各ゴム管60は、回動させる力が買い手側トレー10に加わっていないときに、金銭Cを表面12に置いた状態でも買い手側トレー10が水平姿勢を維持することができる弾性を有する。また、各ゴム管60は、他端14を押し下げることにより、傾斜姿勢になっている買い手側トレー10に対して、他端14を押し下げている状態を解除した際に、買い手側トレー10が水平姿勢に自然に復帰することができる弾性を有する。
【0030】
また、売り手側トレー20は、その一端23がシャフト42により回動可能に軸支されており、部材3h(
図3)と自身とを接続する各ゴム管61により水平姿勢を維持している。各ゴム管61は、回動させる力が売り手側トレー20に加わっていないときに、金銭Cを表面12に置いた状態でも売り手側トレー20が水平姿勢を維持することができる弾性を有する。また、各ゴム管61は、他端24を押し下げることにより、傾斜姿勢になっている売り手側トレー20に対して、他端24を押し下げている状態を解除した際に、売り手側トレー20が水平姿勢に自然に復帰することができる弾性を有する。各ゴム管60は、本発明の第1の弾性部材の一例であり、各ゴム管61は、本発明の第2の弾性部材の一例である。また、部材3gは、本発明の第1の取付部の一例であり、部材3hは、本発明の第2の部材の一例である。
【0031】
また、買い手側トレー10は、自身の他端14が押し下げられたときに、表面12に乗っている金銭Cが表面12を滑って他端14の方へ移動することができる傾斜角度を確保できる高さに配置されている(
図4(B))。つまり、ハウジング3の下面からシャフト41までの高さは、上記の傾斜角度を確保できるように決定する。
また、売り手側トレー20は、自身の他端24が押し下げられたときに、表面22に乗っている金銭Cが表面22を滑って他端24の方へ移動することができる傾斜角度を確保できる高さに配置されている(
図4(A))。つまり、ハウジング3の下面からシャフト42までの高さは、上記の傾斜角度を確保できるように決定する。
【0032】
また、買い手側トレー10の上方に配置された部材3gには、ストッパー50が取付けられている。ストッパー50の上端は部材3gの下面に取付けられており、下端は、水平姿勢になっている買い手側トレー10の表面12に当接している。ストッパー50は板状に形成されており、その下端は、買い手側トレー10の一端13と平行になっている。ストッパー50は、買い手側トレー10が傾斜姿勢から水平姿勢に復帰するときに、買い手側トレー10の表面12に当接することにより、買い手側トレー10の過回動を阻止し、買い手側トレー10の水平姿勢を維持する。また、ストッパー50は、ゴム管60の弾性が大きく、買い手側トレー10が水平姿勢を維持できない場合でも、買い手側トレー10に当接することにより、買い手側トレー10の過回動を阻止し、買い手側トレー10の水平姿勢を維持する。
さらに、ストッパー50は、買い手側トレー10の表面12のうち、一端13と他端14との間に配置されており、表面12における金銭Cの滑走を遮る位置に設けられている。このため、買い手が、押し下げていた買い手側トレー10の他端14から指を離してしまい、買い手側トレー10がゴム管60の弾性によって勢いよく水平姿勢に復帰した場合であっても、他端14に集まっていたお釣りが一端13の方に移動することを阻止することができる。
【0033】
また、売り手側トレー20の上面に配置された部材3hには、ストッパー51が取付けられている。ストッパー51の上端は部材3hの下面に取付けられており、下端は、水平姿勢になっている売り手側トレー20の表面22に当接している。ストッパー51は板状に形成されており、その下端は、売り手側トレー20の一端23と平行になっている。ストッパー51は、売り手側トレー20が傾斜姿勢から水平姿勢に復帰するときに、売り手側トレー20の表面22に当接することにより、売り手側トレー20の過回動を阻止し、売り手側トレー20の水平姿勢を維持する。また、ストッパー51は、ゴム管61の弾性が大きく、売り手側トレー20が水平姿勢を維持できない場合でも、売り手側トレー20に当接することにより、売り手側トレー20の過回動を阻止し、売り手側トレー20の水平姿勢を維持する。
さらに、ストッパー51は、売り手側トレー20の表面22のうち、一端23と他端24との間に配置されており、表面22における金銭Cの滑走を遮る位置に設けられている。このため、売り手が、押し下げていた売り手側トレー20の他端24から指を離してしまい、売り手側トレー20がゴム管61の弾性によって勢いよく水平姿勢に復帰した場合であっても、他端24に集まっていた代金が一端23の方に移動することを阻止することができる。
ストッパー50は、本発明の第1の規制部材の一例であり、ストッパー51は、本発明の第2の規制部材の一例である。また、水平姿勢は、本発明の第1の姿勢の一例であり、傾斜姿勢は、本発明の第2の姿勢の一例である。
【0034】
また、
図2(A)に示すように、売り手側トレー20の外周面と、ハウジング3の右側面において前後方向に相対向して配置された部材3m,3nとの間には隙間Sが形成されており、売り手側トレー20が回動するときに部材3m,3nと接触しないようになっている。また、買い手側トレー10の外周面と、ハウジング3の右側面において前後方向に相対向して配置された部材3i,3jとの間にも同様の隙間(図示せず)が形成されており、買い手側トレー10が回動するときに部材3i,3jと接触しないようになっている。
【0035】
[動作]
次に、金銭受渡し装置1の動作について図を参照しつつ説明する。
買い手は、商品の購入代金を売り手側トレー20の領域E2に置く。そして、売り手は、買い手が購入した商品を買い手に渡し、お釣りを買い手側トレー10の領域E1に置く。そして、買い手が、買い手側トレー10の他端14を押し下げると、買い手側トレー10は一端13に挿通されたシャフト41を回動軸にして、他端14が下降する方向に回動する。これにより、
図4(B)に示すように、買い手側トレー10は傾斜し、領域E1に乗っているお釣り(金銭C)が他端14に向けて滑走し、他端14の周壁11に当接して停止する。そして、買い手は、他端14に停止しているお釣りを取り出す。そして、買い手が他端14を押し下げている力を弱めると、買い手側トレー10は、各ゴム管60の弾性によって水平姿勢に復帰する。
【0036】
一方、売り手が、売り手側トレー20の他端24を押し下げると、売り手側トレー20は一端23に挿通されたシャフト42を回動軸にして、他端24が下降する方向に回動する。これにより、
図4(A)に示すように、売り手側トレー20は傾斜し、領域E2に乗っている代金(金銭C)が他端24に向けて滑走し、他端24の周壁21に当接して停止する。そして、売り手は、他端24に停止している代金を取り出す。そして、売り手が他端24を押し下げている力を弱めると、売り手側トレー20は、各ゴム管61の弾性によって水平姿勢に復帰する。
【0037】
[第1実施形態の効果]
(1)上述した第1実施形態に係る金銭受渡し装置1によれば、買い手側トレー10および売り手側トレー20は、それぞれ個別に回動することができるため、買い手は、売り手による売り手側トレー20の操作終了を待たなくても買い手側トレー10を操作してお釣りを受け取ることができる。また、売り手は、買い手による買い手側トレー10の操作終了を待たなくても売り手側トレー20を操作して代金を受け取ることができる。
さらに、買い手が買い手側トレー10を操作してお釣りを受け取るのと同時に、売り手が売り手側トレー20を操作して代金を受け取ることもできる。
さらに、売り手は、買い手が代金を領域E2に置く度に売り手側トレー20を操作しないで、複数人の買い手が支払った代金が領域E2に貯まってから売り手側トレー20を操作することもできる。
従って、上述した第1実施形態に係る金銭受渡し装置1によれば、金銭のやり取りの手間を軽減することができる。
【0038】
(2)また、上述した第1実施形態に係る金銭受渡し装置1によれば、売り手は、買い手が代金を領域E2に置く度に売り手側トレー20を操作しないで、複数人の買い手が支払った代金が領域E2に貯まってから売り手側トレー20を操作することもできる。
さらに、売り手は、代金を受け取る度に売り手側トレー20を傾斜させて代金を他端24に集めるようにして、ある程度代金が貯まってから代金を取り出すようにすることもできる。
従って、上述した第1実施形態に係る金銭受渡し装置1によれば、金銭に触れる回数を減らすことができる。
つまり、前述した第1実施形態に係る金銭受渡し装置1によれば、金銭のやり取りの手間を軽減することができ、かつ、金銭に触れる回数を減らすことができる金銭受渡し装置を提供することができる。
さらに、金銭に触れる回数を減らすことができるため、新型コロナウィルス(COVID-19)などの感染病の伝染を防止する効果を高めることができる。
【0039】
〈第2実施形態〉
次に、本発明の第2実施形態に係る金銭受渡し装置について
図5を参照しつつ説明する。
図5に示すように、買い手側トレー10の周壁11には、自身が水平姿勢から傾斜姿勢に変化したときに、表面12に乗った金銭Cを自身の他端14の中央に案内する傾斜部11aが形成されている。傾斜部11aは外方に膨らんだ円弧状に形成されているため、表面12のうち、周壁11の近くに置かれたお釣りを傾斜部11aに沿って他端14の中央に案内することができる。
従って、買い手は、他端14の中央に集まったお釣りをまとめて取り出すことができるため、お釣りを受け取る手間を軽減することができる。
【0040】
また、売り手側トレー20の周壁21には、自身が水平姿勢から傾斜姿勢に変化したときに、表面22に乗った金銭Cを自身の他端24の中央に案内する傾斜部21aが形成されている。傾斜部21aは外方に膨らんだ円弧状に形成されているため、表面22のうち、周壁21の近くに置かれた代金を傾斜部21aに沿って他端24の中央に案内することができる。
従って、売り手は、他端24の中央に集まった代金をまとめて取り出すことができるため、代金を受け取る手間を軽減することができる。
【0041】
〈第3実施形態〉
次に、本発明の第3実施形態に係る金銭受渡し装置について
図6を参照しつつ説明する。
図6に示すように、買い手側トレー10の他端14には、買い手側トレー10が水平姿勢から傾斜姿勢に変化したときに、買い手側トレー10の表面12を他端14に向けて滑って移動する金銭Cを買い手側トレー10の外部へ滑り落とすための切欠部11bが形成されている。
従って、買い手は、買い手側トレー10に乗っているお釣りを摘まんで取り出す必要が無く、切欠部11bの下方に掌を差し出せば、お釣りを一度にまとめて受け取ることができる。
【0042】
また、売り手側トレー20の他端24には、売り手側トレー20が水平姿勢から傾斜姿勢に変化したときに、売り手側トレー20の表面22を他端24に向けて滑って移動する金銭Cを売り手側トレー20の外部へ滑り落とすための切欠部21bが形成されている。
従って、売り手は、売り手側トレー20に乗っている代金を摘まんで取り出す必要が無く、切欠部21bの下方に掌を差し出せば、代金を一度にまとめて受け取ることができる。
【0043】
〈第4実施形態〉
次に、本発明の第4実施形態に係る金銭受渡し装置について
図7から
図10を参照しつつ説明する。
図8に示すように、買い手側トレー10の一端13には、右方に突出した凸部と、左方に凹んだ凹部とが繰返し形成されている。また、売り手側トレー20の一端24には、左方に突出した凸部と、右方に凹んだ凹部とが繰返し形成されている。そして、買い手側トレー10の凸部は、自身と対向する売り手側トレー20の凹部に収容されており、売り手側トレー20の凸部は、自身と対向する買い手側トレー10の凹部に収容されている。
つまり、買い手側トレー10および売り手側トレー20は、それぞれ自身の一端に形成された凹凸部を相互に組み合わせて配置されている。換言すると、買い手側トレー10および売り手側トレー20は、それぞれの後端を共有した構造になっている。
【0044】
また、相互に隣接する凸部および凹部間には隙間が形成されており、買い手側トレー10および売り手側トレー20の一方が回動したときに、それにつられて他方が回動しないようになっている。
また、相互に組み合わされた凹凸部の各凸部には、シャフト43が挿通されており、そのシャフト43は、軸受け40(
図7)に軸支されている。シャフト43は軸受け40に固定されており、シャフト43自身が回転しないようになっている。これにより、買い手側トレー10および売り手側トレー20の一方が回動したときに、それにつられて他方が回動することがない。
本実施形態に係る金銭受渡し装置1は、前述した第1実施形態と同じ効果を奏することができるが、シャフトを1本に減らすことができるため、その分、製造コストを低減できるという効果をも奏することができる。
【0045】
〈第5実施形態〉
次に、本発明の第5実施形態に係る金銭受渡し装置について
図11および
図12を参照しつつ説明する。
図11に示すように、本実施形態に係る金銭受渡し装置1は、買い手側トレー10と、売り手側トレー20と、基台80と、一対のコイルスプリング70,70と、一対のコイルスプリング71,71と、軸受け90と、シャフト91,92とを備えている。基台80は、ベース81と、支持部82と、取付部83,84とを備えている。ベース81は任意の形状に形成することができるが、本実施形態では、平面視、矩形の板状に形成されている。ベース81の下面は、金銭受渡し装置1を載置する面と接触する。ベース81の上に形成された支持部82は任意の形状に形成することができるが、本実施形態では、平面視、四角錐に形成されている。
【0046】
買い手側トレー10と支持部82との間には、一対のコイルスプリング70,70が介在されており、買い手側トレー10は、各コイルスプリング70によって水平姿勢に支持されている。各コイルスプリング70は前後方向に配置されている。
図11では、一対のコイルスプリング70,70のうち、前方に配置されたコイルスプリング70のみが図示されており、後方に配置されたコイルスプリング70は前方に配置されたコイルスプリング70によって隠れているため、図示されていない。各コイルスプリング70の一端は買い手側トレー10の下面に取付けられており、他端は、支持部82の左側面に設けられた取付部83に取付けられている。なお、各コイルスプリング70の一端は、買い手側トレー10に取付けないで自由端にすることもできる。
【0047】
また、売り手側トレー20と支持部82との間には、一対のコイルスプリング71,71が介在されており、売り手側トレー20は、各コイルスプリング71によって水平姿勢に支持されている。
図12(B)に示すように、各コイルスプリング71は前後方向に配置されている。各コイルスプリング71の一端は売り手側トレー20の下面に取付けられており、他端は、支持部82の右側面に設けられた取付部84に取付けられている。なお、各コイルスプリング71の一端は、売り手側トレー20に取付けないで自由端にすることもできる。
【0048】
支持部82の上部には、軸受け90が設けられている。買い手側トレー10の一端13には、軸受け90に挿通されたシャフト91が挿通されており、買い手側トレー10は、自身の一端13を回動軸にして回動可能になっている。また、売り手側トレー20の一端23には、軸受け90に挿通されたシャフト92が挿通されており、売り手側トレー20は、自身の一端23を回動軸にして回動可能になっている。
図11(B)に示すように、水平姿勢の売り手側トレー20の他端24を押し下げると、売り手側トレー20は、各コイルスプリング71の弾性に抗して回動し、傾斜姿勢に変化する。そして、他端24を押し下げている力を弱めると、売り手側トレー20は、各コイルスプリング71の弾性によって回動し、水平姿勢に復帰する。
また、水平姿勢の買い手側トレー10の他端14を押し下げると、買い手側トレー10は、各コイルスプリング70の弾性に抗して回動し、傾斜姿勢に変化する。そして、他端14を押し下げている力を弱めると、買い手側トレー10は、各コイルスプリング70の弾性によって回動し、水平姿勢に復帰する。
本実施形態に係る金銭受渡し装置1によれば、買い手側トレー10および売り手側トレー20は、それぞれ個別に独立して回動するため、買い手および売り手の金銭のやり取りの手間を軽減することができ、かつ、金銭に触れる回数を減らすことができる。
【0049】
[他の実施形態]
(1)金銭受渡し装置1を折り畳みまたは分解可能に構成することもできる。例えば、ハウジング3を構成する各部材3a~3nを折り畳みまたは分解可能に構成する。この構成によれば、金銭受渡し装置1を折り畳んだ状態または分解した状態で持ち運ぶことができるため、嵩張らなくて可搬性に優れたものとなる。また、不使用時の収納スペースを小さくすることもできる。
【0050】
(2)ハウジング3の前面および後面を形成する各枠に板を取付け、ハウジングの強度を高めることもできる。この場合、透明の合成樹脂により形成された板を用いることにより、前後方向から装置内部を視認できるようにしても良い。
また、ハウジング3の下面に吸着プレートまたは吸着盤を設け、金銭受渡し装置1を載置箇所に固定することもできる。この構成によれば、買い手側トレー10または売り手側トレー20を操作したときに、金銭受渡し装置1が動かないようにすることができるため、買い手および売り手は安定した操作を行うことができる。
【0051】
(3)前述した第1実施形態では、買い手側トレー10の一端13には周壁11を形成しなかったが(
図3)、一端13にも周壁11を形成し、一端13に形成された周壁11により、表面12に乗った金銭が売り手側トレー20の方へ移動しないように規制することもできる。また、売り手側トレー30の一端23にも周壁21を形成し、一端23に形成された周壁21により、表面22に乗った金銭が買い手側トレー10の方へ移動しないように規制することもできる。
【0052】
(4)また、ゴム管60,61に代えて他の弾性部材を用いることもできる。例えば、中実の紐状のゴム、ゴム製の繊維を編むことにより形成されたゴム紐、あるいは、コイルスプリングを用いることもできる。また、第5実施形態のコイルスプリング70,71に代えてスポンジなどの弾性部材を用いることもできる。ゴム管やコイルスプリングなどの弾性部材の本数および太さなどは、買い手側トレー10または売り手側トレー20の重量および操作性などに応じて変更することができる。
【0053】
(5)前述した第5実施形態において、買い手側トレー10または売り手側トレー20を操作したときに装置全体が動かないようにするために、基台80(
図11)に対して、ある程度重量を持たせることもできる。例えば、ベース81を金属製の板にしても良いし、ベース81を中空に形成し、その内部に水や砂などを収容しても良い。あるいは、基台80を中空に形成し、その内部に水や砂などを収容しても良い。
【0054】
(6)前述した第3実施形態において、売り手側トレー20の切欠部21bの下方に、切欠部21bから滑り落ちる金銭Cを受け取る箱状または皿状の受取り部材を配置することもできる。この構成によれば、売り手は、売り手側トレー20を押し下げるだけで、受け取った代金を切欠部21bから上記の受取り部材に収容することができるため、売り手側トレー20に乗っている代金を毎回手で掴んで取り出すという手間を省くことができる。しかも、金銭に触れる回数を少なくすることもできるため、衛生的である。
また、切欠部21bをもっと大きくし、切欠部21bから一度に滑り落ちる金銭Cの量が多くなるようにして、代金の回収効率を高めることもできる。また、他端24には周壁21が形成されていない形状にして、売り手側トレー20から滑り落ちる金銭Cの量を最大限にして、代金の回収効率を最大限にすることもできる。
また、買い手側トレー10についても、上記の売り手側トレー20と同様の構成にして、お釣りを受け取る際の効率を高めることもできる。
【0055】
(7)買い手側トレー10の一端13に形成した突出部15は、シャフト41を挿通するために形成したものであり、これにより、買い手側トレー10の厚さを薄くすることができるが、買い手側トレー10がシャフト42を挿通するために十分な厚さを有する場合は、突出部15を形成する必要は無く、一端13に直接シャフト41を挿通すれば良い。また、売り手側トレー20についても同様である。
【0056】
(8)買い手側トレー10が傾斜姿勢になったときに音声が出力されるように構成することもできる。例えば、買い手側トレー10が傾斜姿勢になったことを検出する検出部(例えば、スイッチまたはセンサー)と、音声出力部(例えば、音源IC、アンプおよびスピーカ)とを設け、買い手側トレー10が所定の角度まで回動して傾斜姿勢になったことを上記の検出部が検出し、その検出結果に基づいて上記の音声出力部が音声を出力するように構成する。例えば、音声出力部は、「お買い上げありがとうございました。」などの合成音声または録音した人の音声、あるいは、音楽や効果音を出力する。
【0057】
(9)買い手側トレー10が傾斜姿勢になったときに表示部(例えば、LED、有機EL、LCDなど)が所定の表示を行うように構成することもできる。例えば、上記の検出部と、表示部とを設け、買い手側トレー10が所定の角度まで回動して傾斜姿勢になったときに、表示部が「お買い上げありがとうございました。」などのメッセージを表示する。表示部は、ハウジング3の前面、例えば、部材3gの左側面など、買い手から見易い箇所に設けることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 金銭受渡し装置
3 ハウジング
3a~3n 部材
10 買い手側トレー
11 周壁
11a 傾斜部
11b 切欠部
12 表面
13 一端
14 他端
20 売り手側トレー
21 周壁
21a 傾斜部
21b 切欠部
22 表面
23 一端
24 他端
40 軸受け
41,42 シャフト
50,51 ストッパー
60,61 ゴム管
C 金銭