(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039103
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】物標情報表示装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220303BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20220303BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143954
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】318006365
【氏名又は名称】JRCモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】紺野 将寿
(72)【発明者】
【氏名】時枝 幸伸
【テーマコード(参考)】
5H181
5J070
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181CC04
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL08
5J070AC02
5J070AC13
5J070AE01
5J070AE09
5J070AF03
5J070AK14
5J070BB04
5J070BB16
5J070BD08
5J070BF03
5J070BF13
5J070BF21
(57)【要約】
【課題】本開示は、複数の物標の衝突危険度の情報を生成したうえで視覚的に表示することにより、自動運転での環境認知、安全監視での衝突防止及び侵入検知での高精度検知等に対処可能とすることを目的とする。
【解決手段】本開示は、複数の物標の位置、衝突危険度、速度ベクトル及び衝突予測地点の情報を取得する物標情報取得部41と、複数の物標の位置、衝突危険度、速度ベクトル及び衝突予測地点の情報を3次元表示又は2次元表示する物標情報表示部42と、を備えることを特徴とする物標情報表示装置4である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物標の位置及び衝突危険度の情報を取得する、又は、各物標の位置及び前記各物標と物標検知装置との衝突危険度の情報を取得する物標情報取得部と、
前記複数の物標の位置及び衝突危険度の情報を表示する、又は、前記各物標の位置及び前記各物標と前記物標検知装置との衝突危険度の情報を表示する物標情報表示部と、
を備えることを特徴とする物標情報表示装置。
【請求項2】
前記物標情報表示部は、前記複数の物標の間の方向表示で衝突危険度の情報を表示する、又は、前記各物標と前記物標検知装置との間の方向表示で衝突危険度の情報を表示する
ことを特徴とする、請求項1に記載の物標情報表示装置。
【請求項3】
前記物標情報表示部は、前記複数の物標の衝突危険度の高低に応じて衝突危険度の情報を表示する、又は、前記各物標と前記物標検知装置との衝突危険度の高低に応じて衝突危険度の情報を表示する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の物標情報表示装置。
【請求項4】
前記物標情報取得部は、前記複数の物標の速度ベクトルの情報を取得し、
前記物標情報表示部は、前記複数の物標の速度ベクトルの情報を表示する
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の物標情報表示装置。
【請求項5】
前記物標情報取得部は、前記複数の物標の衝突予測地点の情報を取得し、
前記物標情報表示部は、前記複数の物標の衝突予測地点の情報を表示する
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の物標情報表示装置。
【請求項6】
前記物標情報取得部は、前記複数の物標の高さの情報を取得し、
前記物標情報表示部は、前記複数の物標の高さの情報を表示する
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の物標情報表示装置。
【請求項7】
前記物標情報取得部は、前記複数の物標の輪郭の情報を取得し、
前記物標情報表示部は、前記複数の物標の輪郭の情報を表示する
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の物標情報表示装置。
【請求項8】
前記物標情報取得部は、前記複数の物標の点群の情報を取得し、
前記物標情報表示部は、前記複数の物標の点群の情報を表示する
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の物標情報表示装置。
【請求項9】
前記物標情報取得部は、固定の構造物の位置及び形状の情報を取得し、
前記物標情報表示部は、前記固定の構造物の位置及び形状の情報を表示する
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の物標情報表示装置。
【請求項10】
前記物標情報表示部は、前記物標情報取得部が取得した情報を3次元表示する
ことを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の物標情報表示装置。
【請求項11】
前記物標情報表示部は、前記物標情報取得部が取得した情報を2次元表示する
ことを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の物標情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の物標の衝突危険度の情報を視覚的に表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ信号及びカメラ画像に基づいて、物標を検知する技術が、特許文献1等に開示されている。特許文献1では、カメラ画像上でレーダ信号をプロットし、レーダ信号の近傍でのエッジ解析を実行し、計測対象(例えば、車両等。)を縁取る四角錐台を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-211402号公報
【特許文献2】特開2019-211403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、複数の物標の衝突危険度の情報を生成していない。よって、複数の物標の衝突危険度の情報を視覚的に表示することができない。そして、自動運転での環境認知、安全監視での衝突防止及び侵入検知での高精度検知等に対処不能である。
【0005】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、複数の物標の衝突危険度の情報を生成したうえで視覚的に表示することにより、自動運転での環境認知、安全監視での衝突防止及び侵入検知での高精度検知等に対処可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、物標検知装置は、複数の物標の衝突危険度の情報を生成し、物標情報表示装置は、複数の物標の衝突危険度の情報を視覚的に表示する。
【0007】
具体的には、本開示は、複数の物標の位置及び衝突危険度の情報を取得する、又は、各物標の位置及び前記各物標と物標検知装置との衝突危険度の情報を取得する物標情報取得部と、前記複数の物標の位置及び衝突危険度の情報を表示する、又は、前記各物標の位置及び前記各物標と前記物標検知装置との衝突危険度の情報を表示する物標情報表示部と、を備えることを特徴とする物標情報表示装置である。
【0008】
この構成によれば、物標情報表示装置において、複数の物標の位置及び衝突危険度の情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、又は、各物標の位置及び各物標と物標検知装置との衝突危険度の情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、自動運転での環境認知、安全監視での衝突防止及び侵入検知での高精度検知等に対処可能とすることができる。
【0009】
また、本開示は、前記物標情報表示部は、前記複数の物標の間の方向表示で衝突危険度の情報を表示する、又は、前記各物標と前記物標検知装置との間の方向表示で衝突危険度の情報を表示することを特徴とする物標情報表示装置である。
【0010】
この構成によれば、物標情報表示装置において、複数の物標の間の方向表示(矢印又は線分等)を用いて、複数の物標の衝突危険度の情報を視覚的に表示することができ、各物標と物標検知装置との間の方向表示(矢印又は線分等)を用いて、各物標と物標検知装置との衝突危険度の情報を視覚的に表示することができる。
【0011】
また、本開示は、前記物標情報表示部は、前記複数の物標の衝突危険度の高低に応じて衝突危険度の情報を表示する、又は、前記各物標と前記物標検知装置との衝突危険度の高低に応じて衝突危険度の情報を表示することを特徴とする物標情報表示装置である。
【0012】
この構成によれば、物標情報表示装置において、複数の物標の衝突危険度の高低又は種類に応じて、複数の物標の衝突危険度の情報を視覚的に表示することができ、各物標と物標検知装置との衝突危険度の高低又は種類に応じて、各物標と物標検知装置との衝突危険度の情報を視覚的に表示することができる。
【0013】
また、本開示は、前記物標情報取得部は、前記複数の物標の速度ベクトルの情報を取得し、前記物標情報表示部は、前記複数の物標の速度ベクトルの情報を表示することを特徴とする物標情報表示装置である。
【0014】
この構成によれば、物標情報表示装置において、複数の物標の速度ベクトルの情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、複数の物標の衝突危険度の情報に対する根拠となる情報(複数の物標の速度ベクトルの情報)をさらに付加することができる。
【0015】
また、本開示は、前記物標情報取得部は、前記複数の物標の衝突予測地点の情報を取得し、前記物標情報表示部は、前記複数の物標の衝突予測地点の情報を表示することを特徴とする物標情報表示装置である。
【0016】
この構成によれば、物標情報表示装置において、複数の物標の衝突予測地点の情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、複数の物標の衝突危険度の情報に対する根拠となる情報(複数の物標の衝突予測地点の情報)をさらに付加することができる。
【0017】
また、本開示は、前記物標情報取得部は、前記複数の物標の高さの情報を取得し、前記物標情報表示部は、前記複数の物標の高さの情報を表示することを特徴とする物標情報表示装置である。
【0018】
この構成によれば、物標情報表示装置において、複数の物標の高さの情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、衝突危険度が判定された複数の物標に関する形状についての情報(複数の物標の高さの情報)をさらに付加することができる。
【0019】
また、本開示は、前記物標情報取得部は、前記複数の物標の輪郭の情報を取得し、前記物標情報表示部は、前記複数の物標の輪郭の情報を表示することを特徴とする物標情報表示装置である。
【0020】
この構成によれば、物標情報表示装置において、複数の物標の輪郭の情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、衝突危険度が判定された複数の物標に関する形状についての情報(複数の物標の輪郭の情報)をさらに付加することができる。
【0021】
また、本開示は、前記物標情報取得部は、前記複数の物標の点群の情報を取得し、前記物標情報表示部は、前記複数の物標の点群の情報を表示することを特徴とする物標情報表示装置である。
【0022】
この構成によれば、物標情報表示装置において、複数の物標の点群の情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、衝突危険度が判定された複数の物標に関する形状についての情報(複数の物標の点群の情報)をさらに付加することができる。
【0023】
また、本開示は、前記物標情報取得部は、固定の構造物の位置及び形状の情報を取得し、前記物標情報表示部は、前記固定の構造物の位置及び形状の情報を表示することを特徴とする物標情報表示装置である。
【0024】
この構成によれば、物標情報表示装置において、固定の構造物の位置及び形状の情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、固定されている構造物と移動している物標との間の衝突危険度の情報を視覚的にさらに表示することができる。
【0025】
また、本開示は、前記物標情報表示部は、前記物標情報取得部が取得した情報を3次元表示することを特徴とする物標情報表示装置である。
【0026】
この構成によれば、物標情報表示装置において、複数の物標の位置及び衝突危険度等の情報を取得したうえで、3次元的につまり鳥瞰図的に視覚的に表示することができる。
【0027】
また、本開示は、前記物標情報表示部は、前記物標情報取得部が取得した情報を2次元表示することを特徴とする物標情報表示装置である。
【0028】
この構成によれば、物標情報表示装置において、複数の物標の位置及び衝突危険度等の情報を取得したうえで、2次元的につまり上面図的に視覚的に表示することができる。
【発明の効果】
【0029】
このように、本開示は、複数の物標の衝突危険度の情報を生成したうえで視覚的に表示することにより、自動運転での環境認知、安全監視での衝突防止及び侵入検知での高精度検知等に対処可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示のレーダ画像物標検知システムの構成を示す図である。
【
図2】本開示の物標の位置、衝突危険度及び速度ベクトルの3次元表示である。
【
図3】本開示の物標の位置、衝突危険度及び速度ベクトルの2次元表示である。
【
図4】本開示の物標の衝突危険度の凡例を示す図である。
【
図5】本開示の物標の速度ベクトルの凡例を示す図である。
【
図6】本開示の物標の高さ、輪郭及び点群の3次元表示である。
【
図7】本開示の固定の構造物の位置及び形状の3次元表示である。
【
図8】本開示のレーダ画像物標の統合処理の具体例を示す図である。
【
図9】本開示のレーダ画像物標の高さの出力処理の具体例を示す図である。
【
図10】本開示のレーダ画像物標の追尾処理の具体例を示す図である。
【
図11】本開示の物標同士の衝突危険度の判定処理の具体例を示す図である。
【
図12】本開示の物標同士の衝突危険度の判定処理の具体例を示す図である。
【
図13】本開示の構造物との衝突危険度の判定処理の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0032】
(本開示のレーダ画像物標検知システム)
本開示のレーダ画像物標検知システムの構成を
図1に示す。レーダ画像物標検知システムSは、レーダ送受信装置1、カメラ撮像装置2、レーダ画像物標検知装置3及び物標情報表示装置4を備える。レーダ画像物標検知装置3は、レーダ物標検知部31、画像物標検知部32、レーダ画像物標統合部33、画像物標輪郭抽出部34、レーダ画像物標追尾部35及び衝突危険度判定部36を備える。物標情報表示装置4は、物標情報取得部41及び物標情報表示部42を備える。まず、物標情報表示装置4の処理内容について説明する。次に、レーダ画像物標検知装置3の処理内容について説明する。
【0033】
(本開示の物標情報の表示処理)
本開示の物標の位置、衝突危険度及び速度ベクトルの3次元表示を
図2に示す。物標情報取得部41は、複数の物標の位置、衝突危険度、速度ベクトル、衝突予測地点及び輪郭の情報を取得する。物標情報表示部42は、複数の物標の位置、衝突危険度、速度ベクトル、衝突予測地点及び輪郭の情報を、3次元座標G3上に3次元表示する。
【0034】
図2では、複数の物標T1、T2、T3の位置は、3次元座標G3上に表示される。複数の物標T1、T2、T3の輪郭E1、E2、E3も、3次元座標G3上に表示される。
【0035】
複数の物標T1、T2、T3の速度ベクトルV1、V2、V3は、複数の物標T1、T2、T3の速度の絶対値及び方向を示す矢印並びに複数の物標T1、T2、T3の速度の絶対値を示す明るさで表示される(
図5を参照)。複数の物標T1、T2の速度ベクトルV1、V2は、複数の物標T1、T2の高い衝突危険度D12を予測する。複数の物標T1、T3の速度ベクトルV1、V3は、複数の物標T1、T3の低い衝突危険度D13を予測する。複数の物標T2、T3の速度ベクトルV2、V3は、複数の物標T2、T3の低い衝突危険度D23を予測する。複数の物標T1、T2の衝突予測地点C12は、複数の物標T1、T2の位置及び速度ベクトルV1、V2に基づいて、算出されたものである。
【0036】
複数の物標T1、T2の衝突危険度D12は、複数の物標T1、T2の間の方向表示(
図2では矢印であるが、変形例では線分等でもよい。)で表示され、高い衝突危険度に応じて明るい色で表示される。複数の物標T1、T3の衝突危険度D13は、複数の物標T1、T3の間の方向表示(
図2では矢印であるが、変形例では線分等でもよい。)で表示され、低い衝突危険度に応じて暗い色で表示される。複数の物標T2、T3の衝突危険度D23は、複数の物標T2、T3の間の方向表示(
図2では矢印であるが、変形例では線分等でもよい。)で表示され、低い衝突危険度に応じて暗い色で表示される(
図4を参照)。
【0037】
本開示の物標の位置、衝突危険度及び速度ベクトルの2次元表示を
図3に示す。物標情報取得部41は、複数の物標の位置、衝突危険度、速度ベクトル、衝突予測地点及びその他の情報を取得する。物標情報表示部42は、複数の物標の位置、衝突危険度、速度ベクトル、衝突予測地点及びその他の情報を、2次元座標G2上に2次元表示する。
【0038】
図3では、複数の物標T1、T2の位置は、2次元座標G2上に8角形のリングで表示される。複数の物標T1、T2の物標情報I1、I2として、ID、判別種類(人間等)、判別精度(100%等)、X座標位置、Y座標位置及び高さ(身長等)が表示される。
【0039】
複数の物標T1、T2の速度ベクトルV1、V2は、複数の物標T1、T2の速度の絶対値及び方向を示す矢印並びに複数の物標T1、T2の速度の絶対値を示す明るさで表示される(
図5を参照)。複数の物標T1、T2の速度ベクトルV1、V2は、複数の物標T1、T2の高い衝突危険度D12を予測する。複数の物標T1、T2の衝突予測地点C12は、複数の物標T1、T2の位置及び速度ベクトルV1、V2に基づいて、算出されたものである。複数の物標T1、T2の衝突危険度D12は、複数の物標T1、T2の間の方向表示(
図3では矢印であるが、変形例では線分等でもよい。)で表示され、高い衝突危険度に応じて明るい色で表示される(
図4を参照)。
【0040】
本開示の物標の衝突危険度の凡例を
図4に示す。物標T1、T2、T3、T4、T5の位置は、8角形のリングで表示される。物標T1、T2、T3、T4、T5の衝突危険度D1、D2、D3、D4、D5は、この順で高い方から低い方へと並んでおり、自物標と他物標との間の矢印で表示され、高い/低い衝突危険度に応じて明るい/暗い色(色彩の明暗を変えるのみならず、3角形等の形状を変えてもよい。)で表示される。
【0041】
本開示の物標の速度ベクトルの凡例を
図5に示す。物標T1、T2、T3、T4、T5の位置は、8角形のリングで表示される。物標T1、T2、T3、T4、T5の速度ベクトルV1、V2、V3、V4、V5(速度ベクトルV5は、長さを有さない。)は、この順で高い方から低い方へと並んでおり、自物標の速度の絶対値(直後のT秒間の移動距離でもよい。)及び方向を示す矢印並びに自物標の速度の絶対値を示す明るさで表示される。
【0042】
本開示の物標の高さ、輪郭及び点群の3次元表示を
図6に示す。物標情報取得部41は、複数の物標の位置、衝突危険度、速度ベクトル、高さ、輪郭、点群及びその他の情報を取得する。物標情報表示部42は、複数の物標の位置、衝突危険度、速度ベクトル、高さ、輪郭、点群及びその他の情報を、3次元座標G3上に3次元表示する。物標Tの衝突危険度D及び速度ベクトルVについては、
図2から
図5までとほぼ同様である。
【0043】
図6では、物標Tの位置は、3次元座標G3上に表示される。物標Tの高さは、物標Tの高い/低い位置を明るい/暗い色で表示することにより表現される。物標Tの輪郭Eは、カメラを用いて検知された物標の3次元の輪郭であり、3次元座標G3上に表示される。物標Tの点群PGは、レーダを用いて検知された物標の2次元の点群であり、3次元座標G3上に表示される。物標Tの点群PGは、強度の強い/弱い位置を明るい/暗い色で表示することにより表現される。物標Tの物標情報Iとして、ID、判別種類(人間等)、判別精度(100%等)、X座標位置、Y座標位置及び高さ(身長等)が表示される。
【0044】
本開示の固定の構造物の位置及び形状の3次元表示を
図7に示す。物標情報取得部41は、複数の物標の位置、衝突危険度、速度ベクトル、衝突予測地点、輪郭及びその他の情報を取得し、固定の構造物の位置及び形状の情報を取得する。物標情報表示部42は、複数の物標の位置、衝突危険度、速度ベクトル、衝突予測地点、輪郭及びその他の情報を、3次元座標G3上に3次元表示し、固定の構造物の位置及び形状の情報を、3次元座標G3上に3次元表示する。物標T1、T2の衝突危険度D12、速度ベクトルV1、V2及び衝突予測地点C12については、
図2から
図5までとほぼ同様である。
【0045】
図7では、物標T1、T2の位置は、3次元座標G3上に表示される。物標T1、T2の輪郭E1、E2も、3次元座標G3上に表示される。物標T1、T2の物標情報I1、I2として、ID、判別種類(人間等)、判別精度(100%等)、X座標位置、Y座標位置及び高さ(身長等)が表示される。固定の構造物F1、F2の位置及び形状は、高さを計測可能なLiDAR又は2次元MIMOレーダを用いて検知された構造物の3次元の点群でもよく、高さを計測不能な通常のレーダを用いて検知された構造物の2次元の点群でもよく、システム外部の3次元マップを用いて取得された構造物の3次元の点群でもよい。固定の構造物F1、F2の位置及び形状は、点群の距離、高さ及び強度等に応じて、表示の色彩及び大きさ等を変えて、3次元座標G3上に表示されるようにしてもよい。
【0046】
このように、複数の物標Tの位置及び衝突危険度Dの情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、自動運転での環境認知、安全監視での衝突防止及び侵入検知での高精度検知等に対処可能とすることができる。複数の物標Tの間の方向表示(
図2から
図4まで及び
図6及び
図7では矢印であるが、変形例では線分等でもよい。)を用いて、複数の物標Tの衝突危険度Dの情報を視覚的に表示することができる。衝突危険度Dの高低又は種類に応じて、複数の物標Tの衝突危険度Dの情報を視覚的に表示することができる。
【0047】
変形例として、各物標Tの位置及び各物標Tとレーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2との衝突危険度Dの情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、自動運転での環境認知、安全監視での衝突防止及び侵入検知での高精度検知等に対処してもよい。各物標Tとレーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2との間の方向表示(矢印又は線分等)を用いて、各物標Tとレーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2との衝突危険度Dの情報を視覚的に表示してもよい。衝突危険度Dの高低又は種類に応じて、各物標Tとレーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2との衝突危険度Dの情報を視覚的に表示してもよい。
【0048】
そして、複数の物標Tの速度ベクトルV及び衝突予測地点C12の情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、複数の物標Tの衝突危険度Dの情報に対する根拠となる情報をさらに付加することができる。さらに、複数の物標Tの高さ、輪郭E及び点群PGの情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、衝突危険度Dが判定された複数の物標Tに関する形状についての情報をさらに付加することができる。
【0049】
そして、固定の構造物Fの位置及び形状の情報を取得したうえで視覚的に表示することにより、固定されている構造物Fと移動している物標Tとの間の衝突危険度Dの情報を視覚的にさらに表示することができる(
図13を参照)。さらに、複数の物標Tの位置及び衝突危険度D等の情報を取得したうえで、3次元的につまり鳥瞰図的に視覚的に表示することができ、2次元的につまり上面図的に視覚的に表示することもできる。
【0050】
(本開示の物標情報の生成処理)
次に、物標情報の前半の生成処理を説明する。本開示のレーダ画像物標の統合処理の具体例を
図8に示す。本開示のレーダ画像物標の高さの出力処理の具体例を
図9に示す。
【0051】
図8の左欄では、レーダ物標検知部31は、レーダ送受信装置1からレーダ信号を取得し、レーダ信号に基づいて、レーダ物標R1、R2を検知し、レーダ物標R1、R2の距離d
R1、d
R2及び方位a
R1、a
R2を測定する。そして、画像物標検知部32は、カメラ撮像装置2からカメラ画像を取得し、カメラ画像に基づいて、画像物標P1、P3を検知し、画像物標P1、P3の方位a
P1、a
P3及び距離d
P1、d
P3を測定する。
【0052】
ここで、レーダ物標の距離は、高精度であるが、レーダ物標の方位は、低精度である。そして、レーダ物標では、マルチパス及び偽像の影響を受けやすく、形状及び色彩を判定することができない。一方で、画像物標の方位は、高精度であるが、画像物標の距離は、低精度である。そして、画像物標では、暗所及び悪天候の影響を受けやすく、画像の重なりを分離することができない。そこで、本開示では、レーダ物標及び画像物標のそれぞれの長所を生かして、画像物標及びレーダ物標のそれぞれの短所を補完する。
【0053】
まず、レーダ物標R1及び画像物標P1について説明する。レーダ物標R1の距離d
R1と画像物標P1の距離d
P1との間の差分は、所定差分以下であるとともに、画像物標P1の方位a
P1とレーダ物標R1の方位a
R1との間の差分も、所定差分以下である。ここで、レーダ物標R1と画像物標P1との間の距離差分に対する所定差分として、レーダ物標R1と画像物標P1との間の距離精度差分に設定すればよく、画像物標P1とレーダ物標R1との間の方位差分に対する所定差分として、画像物標P1とレーダ物標R1との間の方位精度差分に設定すればよい。そこで、
図8の右欄では、レーダ画像物標統合部33は、レーダ物標R1と画像物標P1とをレーダ画像統合物標T1に統合する。
【0054】
図8の右欄では、レーダ画像物標統合部33は、レーダ画像統合物標T1の距離として、画像物標P1の低精度な距離d
P1ではなく、レーダ物標R1の高精度な距離d
R1を出力する。同じく右欄では、レーダ画像物標統合部33は、レーダ画像統合物標T1の方位として、レーダ物標R1の低精度な方位a
R1ではなく、画像物標P1の高精度な方位a
P1を出力する。
図9では、レーダ画像物標統合部33は、レーダ画像統合物標T1の高さとして、レーダ物標R1の高精度な距離d
R1及び画像物標P1の高精度な縦方向画素数p
Hに基づく高さh
Pを出力する。ここで、レーダ画像統合物標T1の高さh
Pは、h
P=p
H*d
R*カメラ撮像装置2のセンササイズ/カメラ撮像装置2の焦点距離/カメラ撮像装置2の画像ピクセル数として算出することができる。
【0055】
次に、レーダ物標R2について説明する。レーダ物標R2の距離d
R2と画像物標P1、P3の距離d
P1、d
P3との間の差分は、所定差分より大きいとともに、画像物標P1、P3の方位a
P1、a
P3とレーダ物標R2の方位a
R2との間の差分も、所定差分より大きい。つまり、レーダ画像物標統合部33は、レーダ物標R2と統合可能な画像物標が検知されないことを認識する。そして、
図8の右欄では、レーダ画像物標統合部33は、レーダ物標R2を画像物標P1、P3と統合せず、レーダ非統合物標T2として出力する。
【0056】
図8の右欄では、レーダ画像物標統合部33は、レーダ非統合物標T2の距離として、レーダ物標R2の高精度な距離d
R2を出力する。同じく右欄では、レーダ画像物標統合部33は、レーダ非統合物標T2の方位として、レーダ物標R2の低精度な方位a
R2を出力する。
図9に図示しないが、レーダ画像物標統合部33は、レーダ物標R2の高さを算出することができないため、レーダ非統合物標T2の高さを出力することができない。
【0057】
次に、画像物標P3について説明する。画像物標P3の方位a
P3とレーダ物標R1、R2の方位a
R1、a
R2との間の差分は、所定差分より大きいとともに、画像物標P3の距離d
P3とレーダ物標R1、R2の距離d
R1、d
R2との間の差分も、所定差分より大きい。つまり、レーダ画像物標統合部33は、画像物標P3と統合可能なレーダ物標が検知されないことを認識する。そして、
図8の右欄では、レーダ画像物標統合部33は、画像物標P3をレーダ物標R1、R2と統合せず、画像非統合物標T3として出力する。
【0058】
図8の右欄では、レーダ画像物標統合部33は、画像非統合物標T3の方位として、画像物標P3の高精度な方位a
P3を出力する。同じく右欄では、レーダ画像物標統合部33は、画像非統合物標T3の距離として、画像物標P3の低精度な距離d
P3を出力する。
図9に図示しないが、レーダ画像物標統合部33は、画像非統合物標T3の高さとして、画像物標P3の低精度な距離d
P3(レーダ物標の高精度な距離を出力不能。)及び画像物標P3の高精度な縦方向画素数p
Hに基づく高さh
Pを出力する。
【0059】
このように、レーダ物標R1と画像物標P1とをレーダ画像統合物標T1に統合することができる。そして、レーダ画像統合物標T1の距離及び方位として、レーダ物標R1の高精度な距離dR1及び画像物標P1の高精度な方位aP1を出力することができる。そして、レーダ画像統合物標T1の高さとして、レーダ物標R1の高精度な距離dR1及び画像物標P1の高精度な縦方向画素数pHに基づいて出力することができる。
【0060】
次に、物標情報の後半の生成処理を説明する。本開示のレーダ画像物標の追尾処理の具体例を
図10に示す。本開示の物標同士の衝突危険度の判定処理の具体例を
図11及び
図12に示す。本開示の構造物との衝突危険度の判定処理の具体例を
図13に示す。
【0061】
図10から
図13までに図示しないが、画像物標輪郭抽出部34は、レーダ画像統合物標Tについて(画像非統合物標も含む。)、画像物標Pの輪郭Eを抽出し(レーダ物標Rは高さを有さない。)、画像物標Pの輪郭Eの3次元位置を3次元座標G3に出力する。
【0062】
ここで、画像物標輪郭抽出部34は、
図8及び
図9で出力した距離d及び方位aに基づいて、画像物標Pの輪郭Eの3次元位置を3次元座標G3に出力することができる。このように、レーダ画像統合物標Tについて(画像非統合物標も含む。)、レーダ画像物標統合部33は、レーダ信号点分布又は画像矩形形状情報に基づいて、大きさを判定し、画像物標輪郭抽出部34は、判定された大きさに基づいて、3次元輪郭を抽出することができる。
【0063】
図10では、レーダ画像物標追尾部35は、レーダ画像統合物標Tについて(レーダ非統合物標及び画像非統合物標も含む。)、追尾を実行し、速度ベクトルv(t
1→t
2)、v(t
2→t
3)を算出する。
【0064】
ここで、レーダ画像物標追尾部35は、
図8及び
図9で出力した距離d(t
1)、d(t
2)、d(t
3)及び方位a(t
1)、a(t
2)、a(t
3)に基づいて、αβγ(位置、速度、加速度)フィルタ、カルマンフィルタ又はパーティクルフィルタ等を用いて、速度ベクトルv(t
1→t
2)、v(t
2→t
3)を算出することができる。
【0065】
図11では、衝突危険度判定部36は、複数のレーダ画像統合物標T1、T2について(レーダ非統合物標及び画像非統合物標も含む。)、又は、これらの各々の物標とレーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2とについて、速度ベクトルv
1、v
2に基づいて(時間的に一定であると仮定した。)、衝突の危険度を判定する。
【0066】
ここで、衝突危険度判定部36は、
図10で算出した速度ベクトルv
1、v
2に基づいて、位置ベクトルr
1(t)、r
2(t)を算出し、所定期間T内のClosest Point of Approachとして、CPA
1、2=min(|r
1(t)-r
2(t)|
2)を算出する。そして、CPA
1、2が閾値より小さければ、衝突の危険度が大きいと判定し、CPA
1、2が閾値以上であれば、衝突の危険度が小さいと判定する。このように、複数のレーダ画像統合物標T1、T2について(レーダ非統合物標及び画像非統合物標も含む。)、又は、これらの各々の物標とレーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2とについて、所定期間T内の接近程度に基づいて、衝突の危険度を判定することができる。
【0067】
図12の左欄では、衝突危険度判定部36は、複数のレーダ画像統合物標T1、T2について(レーダ非統合物標及び画像非統合物標も含む。)、又は、これらの各々の物標とレーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2とについて、種別(例えば、人間又は車両等。加えて、人間の年代等。)に基づいて、衝突の危険度を判定する。
【0068】
ここで、衝突危険度判定部36は、レーダ画像物標統合部33で判定されたレーダ画像統合物標T1、T2の種別に基づいて、レーダ画像統合物標T1、T2が人間及び人間であれば、衝突の危険度が小さいと判定し、レーダ画像統合物標T1、T2が人間及び車両であれば、衝突の危険度が大きいと判定する。なお、レーダ画像物標統合部33は、レーダ物標検知部31の種別判定結果又は画像物標検知部32の種別判定結果に基づいて、レーダ画像統合物標T1、T2の種別を最終判定する。
【0069】
図12の右欄では、衝突危険度判定部36は、複数のレーダ画像統合物標T1、T2について(レーダ非統合物標及び画像非統合物標も含む。)、又は、これらの各々の物標とレーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2とについて、大きさ(例えば、人間は小さく、車両は大きい。)に基づいて、衝突の危険度を判定する。
【0070】
ここで、衝突危険度判定部36は、レーダ画像物標統合部33で判定されたレーダ画像統合物標T1、T2の大きさに基づいて、レーダ画像統合物標T1、T2がいずれも小さな物標であれば、衝突の危険度が小さいと判定し、レーダ画像統合物標T1、T2がいずれも大きな物標であれば、衝突の危険度が大きいと判定する。なお、レーダ画像物標統合部33は、レーダ物標検知部31のレーダ信号点分布又は画像物標検知部32の画像矩形形状情報に基づいて、レーダ画像統合物標T1、T2の大きさを判定する。
【0071】
このように、複数のレーダ画像統合物標T1、T2について(レーダ非統合物標及び画像非統合物標も含む。)、又は、これらの各々の物標とレーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2とについて、所定期間T内の接近程度以外のパラメータ(種別及び/又は大きさ)に基づいて、衝突の危険度を高精度に判定することができる。
【0072】
図13では、衝突危険度判定部36は、レーダ画像統合物標Tについて(レーダ非統合物標及び画像非統合物標も含む。)、レーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2が検知した固定の構造物Fの距離及び方位又は衝突危険度判定部36が予め有する固定の構造物Fの3次元マップ情報に基づいて(固定の構造物Fの位置及び形状を含む。)、固定の構造物Fとの衝突の危険度を判定する。
【0073】
ここで、衝突危険度判定部36は、上記で出力した輪郭Eの3次元位置及び3次元形状に対して(レーダ物標Rに基づく点群PGの2次元位置及び2次元形状を含む。)、検知された固定の構造物Fの距離及び方位又は予め有する固定の構造物Fの3次元マップ情報に基づく固定の構造物Fの3次元位置及び3次元形状を、3次元座標G3に重畳する。そして、
図10で算出した速度ベクトルvが固定の構造物Fへと近づいていれば、固定の構造物Fとの衝突の危険度が大きいと判定し、
図10で算出した速度ベクトルvが固定の構造物Fから遠ざかっていれば、固定の構造物Fとの衝突の危険度が小さいと判定する。このように、レーダ画像統合物標Tについて(レーダ非統合物標及び画像非統合物標も含む。)、レーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2で固定の構造物Fを検知したうえで、又は、レーダ送受信装置1及びカメラ撮像装置2で固定の構造物Fを検知しなくても、固定の構造物Fとの衝突の危険度を判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本開示の物標情報表示装置は、本開示の物標検知装置と合わせて、自動運転での環境認知、安全監視での衝突防止及び侵入検知での高精度検知等に対処可能である。
【符号の説明】
【0075】
S:レーダ画像物標検知システム
T1、T2、T3、T4、T5、T:物標
G3、G2:座標
D12、D13、D23、D1、D2、D3、D4、D5、D:衝突危険度
V1、V2、V3、V4、V:速度ベクトル
C12:衝突予測地点
E1、E2、E3、E:輪郭
I1、I2、I:物標情報
PG:点群
F1、F2、F:固定の構造物
R1、R2、R:レーダ物標
P1、P3、P:画像物標
1:レーダ送受信装置
2:カメラ撮像装置
3:レーダ画像物標検知装置
4:物標情報表示装置
31:レーダ物標検知部
32:画像物標検知部
33:レーダ画像物標統合部
34:画像物標輪郭抽出部
35:レーダ画像物標追尾部
36:衝突危険度判定部
41:物標情報取得部
42:物標情報表示部