(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039164
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】使用済み梱包用結束バンドから再生樹脂組成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/04 20060101AFI20220303BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B29B17/04 ZAB
C08J3/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144042
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】513001101
【氏名又は名称】グリーンプラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】泉 善一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐紺 悠一
【テーマコード(参考)】
4F070
4F401
【Fターム(参考)】
4F070AA15
4F070AB11
4F070AB26
4F070FA03
4F070FA17
4F070FB06
4F070FC05
4F401AA08
4F401AA15
4F401AB07
4F401AB10
4F401AC13
4F401AD07
4F401BA13
4F401BB05
4F401BB06
4F401BB10
4F401BB12
4F401CA13
4F401CA14
4F401CA27
4F401CA43
4F401CA45
4F401CA51
4F401CA52
4F401CB32
4F401FA01Z
4F401FA04Z
4F401FA09Y
(57)【要約】
【課題】効率的かつ安価に再生樹脂組成物を提供する。
【解決手段】色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドまたは色相が同じ複数の使用済み梱包用結束バンドを、フィード量調整装置に充填する工程1、および前記フィード量調整装置から前記バンドを混練機またはペレットミルに供給する工程2を備える、再生樹脂組成物の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドまたは色相が同じ複数の使用済み梱包用結束バンドを、フィード量調整装置に充填する工程1、および
前記フィード量調整装置から前記バンドを混練機またはペレットミルに供給する工程2を備える、
再生樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記工程1が、色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドを、光学式選別機を用いて、1以上の色群に分類して同色混合物を調製する色選別工程と、
前記同色混合物を、フィード量調整装置に充填する工程を備え、
前記工程2が、前記フィード量調整装置から前記同色混合物を混練機に供給して溶融混練する溶融混練工程、を備える、
請求項1に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記色選別工程の前に、予備的に色選別工程を実施して、一定時間T毎に調製される同色混合物の量X(重量/T時間)を決定し、Xの最大値と最小値から変動率Y(重量%)を決定する工程、および
前記混練工程の前に、式(1)で定義されるZの重量の前記同色混合物を前記フィード量調整装置に充填する工程:
Z=V×(Y/25)・・・式(1)
(ただし、Vは、前記混練機の時間当たり吐出重量である)
をさらに備える、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記色選別工程から溶融混練工程までを連続して行う、請求項2または3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記色選別工程の前に、
使用済み梱包用結束バンドを切断する工程、
前記工程を経た使用済み梱包用結束バンドを水沈処理して水より重い高比重不純物を除去する工程、および
前記工程を経た使用済み梱包用結束バンドを脱水する工程、をこの順に備える、
請求項2~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
水より軽い低比重不純物を除去する工程をさらに備える、請求項2~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記色選別工程で得た同色混合物を、フィード量調整装置に充填する前にペレットミルに供してペレット状粒子とする工程を、さらに備える、請求項2~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記工程1および2が、色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドを、光学式選別機を用いて、1以上の色群に分類して同色混合物を調製する色選別工程、および
前記同色混合物を、フィード量調整装置を備えるペレットミルに供給して、ペレット状粒子を調製する工程を備える、
請求項1に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
前記工程1および2が、色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドまたは色相が同じ複数の使用済み梱包用結束バンドを準備する工程、および
前記バンドを、フィード量調整装置を備えるペレットミルに供給してペレット状粒子とする工程を備える、
請求項1に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
前記ペレットミルに供給してペレット状粒子とする工程の後に、押出機を用いて溶融混練する工程をさらに備える、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1~7に記載の方法で得られた再生樹脂組成物を溶融押出し、次いで延伸成形する工程を備える、梱包用結束バンドの製造方法。
【請求項12】
請求項8または9で得たペレット状粒子を溶融押出し、次いで延伸成形する工程を備える、梱包用結束バンドの製造方法。
【請求項13】
請求項10に記載の再生樹脂組成物を、溶融押出し、次いで延伸成形する工程を備える、梱包用結束バンドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使用済み梱包用結束バンドから再生樹脂組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
梱包用に使用される梱包用結束バンドは、ポリプロピレン(以下「PP」ともいう)またはポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ともいう)を主成分とし、顔料等の副原料を加えて帯状に成形した後、表面に連続した菱形の凹凸模様(エンボス加工)を施して製造される幅5mm~25mmのバンドである。用途に応じて種々の色やサイズを有するものが存在し、国内使用量は4万トン程度である。しかし、容器包装リサイクル法における分別収集の対象にはならないため、ほとんどリサイクルされずに焼却等で処理されているのが実態である。
【0003】
市販の梱包用結束バンドの約8割を占めるPPバンドには、黄、青、白、透明、赤、緑、黒などの色が存在するため、使用後に回収される場合は、様々な色を持つPPバンドにPETバンドも混入した混合物として回収される。現在、回収された様々な色のPPバンド混合物を原料とした再生PPバンドがわずかながら上市されているが、混色により雑色となってしまい、グレーや黒のような無彩色か、着色しても彩度が著しく低い。梱包用結束バンドの色は美観のみならず機能上重要な役割を果たす。例えば、梱包用結束バンドの色は梱包された商品の製品区分や在庫管理のために使用される。したがって、一目でそれらの情報が判別できるように種々の色相において彩度の高い色付けが極めて重要であるが、従来の再生PPバンドは上述の通り無彩色もしくは著しく低彩度であるために識別性に乏しく、用途が著しく限定されていた。
【0004】
特許文献1(特開2020-90656号公報)には、再生樹脂組成物の彩度を特定の範囲とすることで、黄、青、白、透明、赤、緑、黒として識別可能な再生PPバンドを得る方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法によって、色による識別性の高い再生樹脂組成物を提供できるが、より効率的かつ安価な製造方法が求められている。かかる事情に鑑み、本発明は効率的かつ安価に再生樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、特定の工程を備える製造方法が前記課題を解決することを見出した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
態様1
色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドまたは色相が同じ複数の使用済み梱包用結束バンドを、フィード量調整装置に充填する工程1、および
前記フィード量調整装置から前記バンドを混練機またはペレットミルに供給する工程2を備える、
再生樹脂組成物の製造方法。
態様2
前記工程1が、色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドを、光学式選別機を用いて、1以上の色群に分類して同色混合物を調製する色選別工程と、
前記同色混合物を、フィード量調整装置に充填する工程を備え、
前記工程2が、前記フィード量調整装置から前記同色混合物を混練機に供給して溶融混練する溶融混練工程、を備える、
態様1に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
態様3
前記色選別工程の前に、予備的に色選別工程を実施して、一定時間T毎に調製される同色混合物の量X(重量/T時間)を決定し、Xの最大値と最小値から変動率Y(重量%)を決定する工程、および
前記混練工程の前に、式(1)で定義されるZの重量の前記同色混合物を前記フィード量調整装置に充填する工程:
Z=V×(Y/25)・・・式(1)
(ただし、Vは、前記混練機の時間当たり吐出重量である)
をさらに備える、態様2に記載の製造方法。
態様4
前記色選別工程から溶融混練工程までを連続して行う、態様2または3に記載の製造方法。
態様5
前記色選別工程の前に、
使用済み梱包用結束バンドを切断する工程、
前記工程を経た使用済み梱包用結束バンドを水沈処理して水より重い高比重不純物を除去する工程、および
前記工程を経た使用済み梱包用結束バンドを脱水する工程、をこの順に備える、
態様2~4のいずれかに記載の製造方法。
態様6
水より軽い低比重不純物を除去する工程をさらに備える、態様2~5のいずれかに記載の製造方法。
態様7
前記色選別工程で得た同色混合物を、フィード量調整装置に充填する前にペレットミルに供してペレット状粒子とする工程を、さらに備える、態様2~6のいずれかに記載の製造方法。
態様8
色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドを、光学式選別機を用いて、1以上の色群に分類して同色混合物を調製する色選別工程を備え、
前記同色混合物を、フィード量調整装置を備えるペレットミルに供給して、ペレット状粒子を調製する工程を備える、
態様1に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
態様9
色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドまたは色相が同じ複数の使用済み梱包用結束バンドを準備する工程を備え、
前記バンドを、フィード量調整装置を備えるペレットミルに供給してペレット状粒子とする工程を備える、
態様1に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
態様10
前記ペレットミルに供給してペレット状粒子とする工程の後に、押出機を用いて溶融混練する工程をさらに備える、態様9に記載の製造方法。
態様11
態様1~7に記載の方法で得られた再生樹脂組成物を溶融押出し、次いで延伸成形する工程を備える、梱包用結束バンドの製造方法。
態様12
態様8または9で得たペレット状粒子を溶融押出し、次いで延伸成形する工程を備える、梱包用結束バンドの製造方法。
態様13
態様10に記載の再生樹脂組成物を、溶融押出し、次いで延伸成形する工程を備える、梱包用結束バンドの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって効率的かつ安価に再生樹脂組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X~Y」はその端値であるXおよびYを含む。
【0010】
本発明は、色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドまたは色相が同じ複数の使用済み梱包用結束バンド(原料)を、フィード量調整装置に充填する工程1、および前記フィード量調整装置から前記バンドを混練機またはペレットミルに供給する工程2を備える、再生樹脂組成物の製造方法である。本発明は、光学式選別機を用いて色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドを1以上の色群に分類して同色混合物を調製する色選別工程を備えてもよい。本発明の好ましい態様を以下に示す。
第1の態様
原料→色選別工程→フィード量調整装置→混練機(
図1(1)参照)
第2の態様
原料→色選別工程→フィード量調整機能付きペレットミル(
図1(2)参照)
第3の態様
原料→フィード量調整機能付きペレットミル(
図1(3)参照)
【0011】
1.第1の製造方法(第1の態様)
本発明の第1の製造方法は、工程1として色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドを、光学式選別機を用いて、1以上の色群に分類して同色混合物を調製する色選別工程と、前記同色混合物を、フィード量調整装置に充填する工程を、工程2として前記フィード量調整装置から前記同色混合物を混練機に供給して溶融混練する工程と、を備える。
図1(1A)に第1の製造方法の概要を示す。
【0012】
(1)使用済み梱包用結束バンド
本発明の製造方法は、原料として使用済み梱包用結束バンドを用いる。梱包用結束バンドは、PPまたはPETを主成分とし、顔料等の副原料を加えて帯状に成形した後、表面に連続した菱形の凹凸模様(エンボス加工)を施して製造される幅5mm~25mmのバンドである。使用済み梱包用結束バンドについて、その主成分がPPである場合は「使用済み梱包用結束PPバンド」と、主成分がPETである場合は「使用済み梱包用結束PETバンド」ともいう。
【0013】
一般に回収原料は、プレコンシューマ材料(原料)とポストコンシューマ材料(原料)に大別される。プレコンシューマ材料は、製造工程からの回収物であり製品にされる前の状態であるため汚れや夾雑物をほとんど含まない。一方、ポストコンシューマ材料は、一旦市場で使用された製品からの回収物、すなわち市中からの回収物であるため汚れや夾雑物を含み、前者と比較して格段に再生の困難性が高い。しかし本発明は、使用済み梱包用結束バンドとしてポストコンシューマ材料を用いた場合でも効果を発揮する。
【0014】
梱包用結束バンドは、通常は単独でそのまま梱包に使用されるため、ポストコンシューマ材料であっても分別が比較的容易である。しかしPP製バンドと共にPET製バンドが一部使用される、使用環境によって夾雑物が混入しうる、汚れの程度や使用中の経時劣化や破損の程度が異なる等の理由から、できる限り使用履歴が明確であり、夾雑物等の混入が少ない使用済み梱包用結束バンドを用いることが好ましい。例えば新聞業界において梱包用結束バンドは印刷工場から新聞取次店までの荷造りに使用されるが、業界内の協力の下で限られた環境で使用されるため使用履歴が明確であり、夾雑物の混入や汚れの度合いが小さく経時劣化や破損も少ない。よって新聞業界において、梱包用結束バンドの水平リサイクルに適した回収ルートが確立されている。同様に、飲料容器、加工食品、衣料、出版・印刷物、精密部品、建築物内装品、大型家電製品の梱包に使用される梱包用結束バンドも、工場間、工場と倉庫・卸問屋・店舗間、工場と店舗間等の全流通過程において使用履歴が比較的明確であるため、当該業界においても水平リサイクルに適した回収ルートが形成可能である。一方、配送業界において段ボールなどの古紙と共に回収される梱包用結束バンドは、使用履歴が様々ではあるが大半は通常の流通ルートでのシングルユースであり、かつ回収量が多く、環境意識の高まりとともに夾雑物や汚れも削減されるので本発明の原料として有用である。さらに、将来、PETボトルのように一般家庭からの分別回収ルートが確立されれば、配送業界において使用される梱包用結束バンドはより有用な原料となりうる。
【0015】
(2)切断工程
色選別工程の前に、使用済み梱包用結束バンドを切断して切断混合物を得る切断工程を設けることが好ましい。切断された使用済み梱包用結束バンドを用いることで選別部による移送精度を高められるので歩留や選別精度を向上できる。複数の切断された使用済み梱包用結束バンドはコンベア上に互いが重ならないように配置されることが好ましい。このことは、例えば、人手によって絡まりや重なりを避けながらコンベア上に切断された使用済み梱包用結束バンドを供給する、投入時に拡散してコンベア上に落下するように落下途中に突起物を設置する、ディスク・スプレッダーを用いてコンベア上に切断された使用済み梱包用結束バンドを供給することにより達成できる。切断混合物は、全体重量の95%が5~800mmの範囲に存在する長さ分布を有することが好ましい。前記範囲は、より好ましくは10~600mmであり、さらに好ましくは20~400mmである。切断片の長さの中心値をL50とすると、L50は好ましくは10~500mmであり、より好ましくは20~500mmであり、さらに好ましくは30~400mm、特に好ましくは40~300mmである。また、空気ノズルのピッチは、通常20~30mm程度であるが、これを半分程度に小さくすると小さな対象物の選別が可能となるが、この場合、コストと精度の観点から前記L50は好ましくは5~400mm、より好ましくは10~300mmである。
【0016】
使用済み梱包用結束バンドがきれいに切断されずに引きちぎられたり、縦方向に割れたりすると、糸状の切断片やささくれだって糸状に細かく割れた切断片が多くなり互いに絡み合って選別精度が低下することがある。これを防ぐために切断機、切断条件を最適化することが好ましい。切断機としては、断裁機、2軸破砕機、1軸破砕機などが挙げられる。断裁機は直線状の刃で対象物を押し切るように切断する機器であり、破砕機は少なくとも1つは回転する2つの刃のせん断力で対象物を引きちぎるように切断破砕する機器である。作業効率、切断片の大きさの調整の容易性、メンテナンスの容易性から1軸破砕機が好ましい。また、切断片の長さの制御の容易性や、糸状に細かく割れた切断片を生じさせない観点からは、断裁機が好ましい。1軸破砕機では切断片の大きさはスクリーンの孔サイズで調整される。光学式選別機に適した長さでかつ良好な切断片を得る観点から、一般的な破砕に用いられる50mm前後よりも大きな孔サイズが好ましく、具体的には直径50mm以上が好ましく、70mm以上がより好ましく、90~140mmがさらに好ましい。切断機に使用済み梱包用結束バンドを投入する際に、PET製バンドあるいは彩度への悪影響が大きい黒色結束バンドを除去することが好ましい。
【0017】
(3)色選別工程
本発明の製造方法は、色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドを、光学式選別機を用いて、1以上の色群に分類して同色混合物を調製する色選別工程を備える。一態様において、当該工程では、使用済み梱包用結束バンドを青、黄、赤、白および緑からなる群から選択される1以上の色群に分類して同色混合物を調製する。すなわち、当該態様においては、青色混合物、黄色混合物、赤色混合物、白色混合物、または緑色混合物が調製される。例えば、青色混合物は、以下に説明する一定の基準で青色に属すると判断された使用済み梱包用結束バンドの混合物である。
【0018】
光学式選別機は、搬送される対象物から色情報または光学スペクトルを採取するセンサー部と、センサーと連動して対象物をしかるべき色群に分離する選別部を備える。センサー部は対象物に可視光や近赤外光を照射する機能およびその反射光を受光して色毎に電気信号に光電変換する機能を備えることが好ましい。特に梱包用結束バンドは表面に凹凸が存在するので光が散乱されやすいが、反射光を利用するとその影響を最小限にすることができる。この他にセンサー部は、対象物の赤外吸収スペクトルを取得する機能を有することが好ましい。選別部は、センサー部からの情報を基に対象物を色毎に移送する機能を有することが好ましい。例えば、対象物に空気を当てて、当該対象物を色別に設置された受け器に移送することができる。この装置では空気ノズルはコンベアの上下に配置することが好ましく、上ノズルからの空気で対象物をコンベアに近い位置の受け器に運び、下ノズルからの空気で対象物をコンベアから遠い位置の受け器に運び、ノズルから空気が供給されないときは、対象物を中間位置の受け器に運ぶように設置することができる。上下ノズルのON/OFFにより1回の選別で前記使用済み梱包用結束バンドを2~3の色群に選別することができる。当該光学式選別機においては、センサーによる検知と選別部による移送が1対1に対応している。
【0019】
使用量と色彩工学の観点から最も効率よく色選別がなされることが好ましい。市販のPP製梱包用結束バンドには黄、青、赤、緑、白、黒、透明等の多様な色が存在するが、黄色、青色、白もしくは透明の順に使用量が多い。したがって本工程では、使用量が多い色群に属する使用済み梱包用結束バンドの選別を優先することが好ましい。
【0020】
また、色彩工学の観点から、白色と透明は混色しても他の色に殆ど影響を与えない。したがって、白色および透明以外の色の再生樹脂組成物を製造する場合、白色混合物および透明色混合物の許容混入量は大きいので、白色混合物および透明色混合物の選別優先度は低くなる。一方、白色再生樹脂組成物を製造する場合、他色混合物の混入は色相への影響が大きいため、他色混合物の選別優先度は高い。同様に、黄色の混入が赤色や緑色に与える影響は小さいため、赤色再生樹脂組成物や緑色再生樹脂組成物を製造する場合には、黄色混合物の許容混入量は比較的大きいので黄色混合物の選別優先度は低い。一方、黄色再生樹脂組成物を製造する場合は、他色の混入はできる限り低減する必要があるので、他色混合物の選別優先度は高い。以上から、前記使用済み梱包用結束バンドから、黄色混合物、青色混合物、白色または透明混合物をこの順で優先して選別することが特に好ましい。
【0021】
一方、黒色は混色によって明度・彩度とも大きな低下を引き起こし識別性が大きく悪化するため、最も優先して選別すべき色である。しかしながら、通常の光学選別機においては分別対象物の移送に用いられるコンベアの色が黒色乃至濃いグレーであるため、黒色の梱包用結束バンドを色選別工程で検出・分別することが困難となり、結果として黒色は目的とする選別すべき色に混入し、彩度の低下を招く。この問題を解決するためには、色選別工程以前の工程で黒色の混入をできる限り低減することが好ましい。具体的な方法としては、(i)コンベアの色を白もしくは有彩色にする、例えば緑、黄色や白にすることで光学式選別機による黒の検出を可能にする方法、特に、非黒色コンベアを用いた光学式選別機で黒色を除いたのち通常の黒色コンベアにて色選別を行う2段階色選別方法、(ii)後述の切断工程において切断機に投入する使用済み梱包用結束バンドの中から手作業で黒色のものを除去する方法、あるいは(iii)使用済み梱包用結束バンドの回収時に黒色梱包用結束バンドを除去する方法が好ましい。中でも(ii)の手作業による黒色除去方法が現時点では現実的で好ましいが、将来リサイクルへの意識が高まって分別回収が当然の社会が実現した場合には(iii)が最も好ましい。
【0022】
使用済み梱包用結束バンドの水平リサイクルによって視認性に優れた彩度の高い梱包用結束バンドを効率よく得るためには上述の色選別工程がキープロセスとなる。光学式選別機による色選別では、分別すべき種々の色の回収サンプルの分光特性を選別機に予め読み込み、それを青、黄、赤、緑といった選別すべき色グループに分けて登録する。従って、例えば橙を黄に選別するか、赤に選別するか、橙として独立グループとするか等によって得られる再生結束バンドの色味、彩度といった色特性や、再生得率が大きな影響を受ける。識別性と経済的な観点から、黄、青、透明を含む白、緑、赤、を夫々1つのグループとして扱うことが好ましく、橙、黄緑、紫、茶といった中間色は青、赤、緑のいずれかの色として扱うことが好ましい。光学選別機が色を認識する感度も色の選択性を高める上で重要である。これについては、選別すべきサンプルからの反射光を拾う最小面積(ピクセル)を拡大・縮小することで調整できる。光学式選別機に対し、分光特性によりグループ分けされた色グループの指定と、感度調整を行うことで望みの色選別が可能となる。
【0023】
以上の方法によって回収された梱包用結束バンドの色選別を行うが、1回の色選別では適切に選別できないときには、選別を複数回繰り返してもよい。選別を複数回繰り返す場合には、1つの光学式選別機を2分割して2つの異なる選別作業に用いてもよいし複数の光学式選別機を用いてもよいが、後者がより好ましい。前者の場合は、投入部、コンベア部分、および受け器までを2分割することもできる。例えば、前記使用済み梱包用結束バンドから黒色混合物を選別除去した後、黄色混合物あるいは青色混合物を選別する。黄色混合物および青色混合物を選別した後、更に残りの使用済み梱包用結束バンドから緑色混合物および赤色混合物を選別する。経済性を含め水平リサイクルの完成度を高める観点からリサイクル率を100%に近づけることが好ましく、そのためには、選別されずに残留した使用済み梱包用結束バンドや微細の切断片を、選別除去された黒色混合物とともに、黒色再生樹脂組成物の原料として用いることが好ましい。
【0024】
このように選別に優先順位を設ける場合、所望の色の混合物と受け器との位置関係を最適化することで選別精度をより向上できる。選別部の移送精度は、空気圧をより有効に活用できるという理由から、コンベアより遠い位置にある受け器に移送する場合の方が高い。したがって、2回目以降の選別においては目的とする色以外の使用済み梱包用結束バンドを遠い位置の受け器に移送することが好ましい。例えば、1回目の選別で、黄色混合物、青色混合物、その余に選別し、黄色混合物または青色混合物を2回目の選別に供して、目的以外の色の使用済み梱包用結束バンドを遠い位置の受け器に移送して除外することがより好ましい。
【0025】
色選別の精度は、選別された同色混合物から平板状サンプルを調製し、色差計を用いて表色系の規格に基づいたL*、a*、b*値を測定し、これから色相角、C*値を求め、色相と彩度によって評価される。市販されているPP製梱包用結束バンドの測定値とその結果を色度図上に表したものは特許文献1に開示されている。市販のPP製梱包用結束バンドの色相角はそれぞれ以下のとおりであり、彩度C*は25以上である。
黄色(市販品平板状サンプル):80~100°
青色(市販品平板状サンプル):270~280°
赤色(市販品平板状サンプル):40~50°
緑色(市販品平板状サンプル):170~190°
【0026】
発明者らは、色選別によって得られた黄色等混合物から調製されたサンプルの彩度C*が20以上であり、色相角が下記範囲であると、色による識別性の高い再生樹脂組成物が得られることを見出した。したがって、色選別条件は得られた同色混合物が前記彩度C*および下記の色相角を達成できるように調整される。
黄色(使用済品平板状サンプル):70~130°
青色(使用済品平板状サンプル):240~300°
赤色(使用済品平板状サンプル):340~60°
緑色(使用済品平板状サンプル):140~200°
【0027】
また発明者らは、白色混合物から調製されたサンプルの彩度C*が0~10であり、明度L*が50以上であると、識別力の高い白色乃至透明再生樹脂組成物が得られることを見出した。
【0028】
(4)夾雑物除去工程
色選別工程の前に、切断された使用済み梱包用結束バンドから夾雑物を除去する工程を設けることが好ましい。ポストコンシューマ材料の場合は特に好ましい。当該工程は、作業者の目視による夾雑物除去;水よりも比重が大きな石や砂、金属片等の高比重不純物を分別する水沈除去;紙類、埃、微小成分、フイルム類等の水より軽い低比重不純物を、気体を利用して吹き飛ばす送風除去あるいは高速トロンメル型装置を用いた水洗浄;プロペラ、スクリュー、振動、超音波、高圧噴射からなる群から選ばれた少なくとも1種の手段により駆動される洗浄装置による水洗浄;押出機に装備したフィルターによる非溶融物の除去等が挙げられる。これらの方法は複数組み合わせることができる。
【0029】
水沈除去では、水よりも比重が大きな石や砂、金属片、樹脂片(例えばPET樹脂片(比重1.27))等の高比重不純物を効率よく除去できる。水沈除去と、水洗浄、脱水、乾燥を一連の装置として組み合わせることが好ましい。また、水沈除去は切削工程の後であって、色選別工程の前に実施されることが好ましい。低比重不純物を除去する工程は、任意のタイミングで実施できるが、切削工程の後であって、色選別工程の前に実施されることが好ましい。
【0030】
押出機に装備したフィルターを利用する方法では、好ましくは40~150メッシュ、より好ましくは60~120メッシュ、さらに好ましくは80~100メッシュのフィルターを用いることが好ましい。または、40~60メッシュのフィルターと80~150メッシュのフィルターを組み合わせて用いることでフィルターの効率が良くなることもある。使用済み梱包用結束PPバンドの場合、押出機の設定温度は好ましくは170~280℃、より好ましくは180~230℃である。設定温度を高くすると生産効率が向上するが、230℃を超えると他の樹脂も溶融し、除去が困難となることがある。例えば、使用済み梱包用結束PPバンドに不純物としてポリアミド(PA)が混在している場合に230℃以下で混練を行うと、PAは溶融しないのでメッシュによって除去できる。しかし、280℃程度で混練を行うとPAも溶融するので再生樹脂組成物中に混入することになるが、PAはPPと相溶しないので当該再生樹脂組成物の物性は低下する。また、当該方法では磁力による方法では除去できない無機物質も除去できる。
【0031】
(5)材質選別工程
色選別工程において、あるいはその前後に複数の使用済み梱包用結束バンドを、PPを主成分とする混合物とPETを主成分とする混合物に選別する工程を設けることが好ましい。例えば、前述の水沈除去によって、比重が0.93程度である使用済み梱包用結束PPバンドと、比重が1.27程度である使用済み梱包用結束PETバンドを選別できる。比重選別と、水洗浄、脱水、乾燥を一連の装置として組み合わせてもよい。材質選別は、公知の比重選別装置を用いることができるが、国際公開第98/41374に記載の液体サイクロン方式を利用することもできる。選別された前記混合物は加熱、送風、遠心脱水等により乾燥される。PPを主成分とする混合物とはその混合物中のPPの割合が70重量%以上、好ましくは90重量%以上である混合物をいう。
【0032】
(6)フィード量調整装置に充填する工程および溶融混練工程
本工程では前記同色混合物をフィード量調整装置に充填し、さらに混練機に供給して溶融混練する。溶融混練したものをペレット化することもできる。
【0033】
(6-1)フィード量調整装置に充填する工程
色選別工程で得た同色混合物をそれぞれそのまま押出機に供給して連続的に各色のペレットを得ることが最も効率的な生産方法である。しかしながら、このプロセスにおいては色選別装置から排出される各色の同色混合物の排出量の変動が小さい必要がある。変動が大きい場合、押出機で溶融混練して、さらにそれをペレット化する場合に安定した形状、一定の粒度を持ったペレットを得ることが難しくなる。一般には、個々の回収業者によって回収された使用済み梱包用結束バンドに含まれる各色の比率は回収業者毎に異なっており、これを反映して色選別装置から排出される各色同色混合物の排出量も異なる。
【0034】
実際の生産においては、色選別装置に複数の押出機を連結し、各色の再生樹脂組成物をそれぞれ連続的に長時間生産することが好ましいが、各色の同色混合物の比率が常に安定している保証は無く、安定した形状、一定の粒度を持った再生ペレットを得ることは難しい。この問題を解決するために、色選別装置から排出される各色の再生樹脂組成物の排出量が変動しても、連結された押出機への供給量が一定になるように、色選別装置とそれに連結された押出機の間にフィード量調整装置を設置する。フィード量調整装置の構成は限定されないが、中間タンクを備えることが好ましい。
【0035】
中間タンクは、色選別装置から排出された各色の同色混合物を貯蔵する機能と貯蔵された同色混合物を定量的に押出機へ供給する装置を備える。中間タンクの大きさは各色の同色混合物を一定量貯蔵できる容積が必要である。中間タンクの容積の目安としては連結された押出機で生産される再生樹脂組成物(好ましくはペレット)の時間当たり押出量をベースに見積もることができる。中間タンクの容積としては、時間当たり押出量の、好ましくは1~10倍重量、より好ましくは2~5倍重量の同色混合物を収容できるように調整される。当倍数が2倍重量未満であると、色選別装置からの同色混合物の排出量が大きく変動した場合に押出機への供給が間に合わなくなり運転が継続できない恐れがある。これは押出機の押出量を調整することで対応できるが、作業が複雑になりかつペレットサイズ、形状も安定しなくなる。
【0036】
一方、中間タンクの容積は大きいほど色選別装置からの排出量変動を吸収する能力は大きく問題は発生し難くなる。しかしながら、色分けされた同色混合物の嵩比重は一般的にペレットに比べて小さい。具体的に、ペレットの嵩比重は凡そ500kg/m3であるが、同色混合物の嵩比重は凡そ50kg/m3と約1/10である。従って、押出機の押出量を例えば200kg/hとした場合、この量の2倍を中間タンクに予め貯蔵するためには中間タンクの容積は少なくとも8m3以上が必要になり、この量の5倍を中間タンクに予め貯蔵するためには中間タンクの容積は20m3が必要になり非常に大きなスペースを準備しなければならなくなる。このため、中間タンクの貯蔵量には限界がある。さらに、色分けされた同色混合物中の粉砕された結束バンドは長さがまちまちでバンド同士が部分的に絡み合っており、容積の大きい中間タンクにこれらを一杯に貯蔵した場合、時間が経つにつれてタンクの下部に貯蔵されたPPバンド破砕物は自重により嵩比重が大きくなりバンド破砕物同士がより密に集積し、定量的に押出機へ輸送することが難しくなる。この理由からも中間タンクを過度に大きくはできない。以上の理由により、中間タンクの容積は、時間当たり押出量の、好ましくは1~10倍重量、より好ましくは2~5倍重量の同色混合物を収容できるように調整される。
【0037】
しかしながら、中間タンクに必要な容積に関する以上の制約は必ずしも厳密では無く、色選別装置から排出される同色混合物の排出量変動の大きさ、中間タンクに敷設された定量搬送機と押出機の仕様あるいは運転時に決められた押出量によって代わり得る。中間タンクの容積の制約を緩めるために、色選別装置の嵩比重を大きくする装置を色選別装置と中間タンクの間に設置することができる(
図1(1B))参照)。この目的に適った装置としては例えば市販のペレットミルがある。ペレットミルは、同色混合物を加熱せずに圧縮して嵩比重を、好ましくは5倍以上、より好ましくは7倍以上のペレット状粒子に成形するので、中間タンクの容量を例えば1/5または1/7程度とできる。ここで得られるペレット状粒子の大きさはその後の押出工程で供給に問題を起こさない大きさであれば特に限定されない。ペレット状粒子は中間タンクの中で長く貯蔵されても嵩比重を変えることはほとんど無く、かつ押出機へも例えば空気輸送によって容易に定量供給ができるので操作が簡便になる。
【0038】
この他に、PP破砕物を押出機に供給する前にPP破砕物をグラッシュ化して供給してもよい。グラッシュ化とは、摩擦熱やせん断熱を利用して対象物を減容化することである。この目的に適したグラッシュ化機能の付いた押出機はエレマー社等から市販されている。溶融混練およびグラッシュ化は、同色混合物毎に実施することが好ましい。例えば、青色混合物と黄色混合物は別個に溶融混練される。しかしながら彩度を損なわない程度において、複数の異なる同色混合物を溶融混練してもよい。
【0039】
本発明の製造方法は、前記色選別工程の前に、予備的に色選別工程を実施して、一定時間T毎に調製される同色混合物の量X(重量/T時間)を決定し、Xの最大値と最小値から変動率Y(重量%)を決定する工程を備えていてもよい。例えば、予備的に同色混合物を1時間実施して、15分毎の生産量X1~X4(kg)を測定する。最小値がX1、最大値がX4である場合、(X4-X1)/X1によって変動率Y(%)を算出する。次いで式(1)によって、フィード量調整装置に充填する重量Zを決定する。
Z=V×(Y/25)・・・式(1)
Vは、前記混練機の時間当たり吐出重量であり、生産量によって適宜選択されるが、例えば、予備的に同色混合物を1時間実施したときの時間当たり重量の値としてもよい。例えば、変動率Yが50重量%である場合、Z=2Vとなり、フィード量調整装置に充填する重量Zは混練機の時間当たり吐出重量の2倍とすることができる。
【0040】
(6-2)溶融混練工程
溶融混練に用いる押出機は、単軸押出機、二軸押出機、多軸式押出機のいずれでもよい。樹脂の劣化を防止するため、押出機の加熱温度は樹脂の融点をTとするとき、T~(T+70)℃であることが好ましい。また前述のとおり、押出機に適切なサイズのフィルターを配置し、加熱温度を最適化することで目的とする樹脂以外の樹脂を除去することもできる。
【0041】
本工程においては、熱安定化剤や光安定化剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー、銅害防止材、抗菌剤、色材、製品強度向上剤等の従来公知の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。特に耐候性を向上させる熱安定化剤や光安定化剤を添加すると、再生を繰り返すことによる劣化の問題が改善され、再生梱包用結束バンドを屋外使用や長期使用に供することができる。
【0042】
特に色材を添加すると色をより鮮やかにすることができる。色材は、顔料または染料であってよいが、耐候性やブリードアウト耐性に優れ、基材材質を選ばない顔料が好ましい。顔料としては、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料や、チタンホワイト、カーボンブラック、あるいはウルトラマリンのような無機顔料が挙げられる。染料としては、分散染料、建染染料、溶剤染料が好ましく、分散染料がより好ましい。色材は、樹脂をキャリアとするマスターバッチとして添加することもできる。
【0043】
特に、黄色の梱包用結束バンド用の再生樹脂組成物である場合、オレンジ色の顔料を当該組成物に添加することが好ましい。オレンジ色の顔料としては公知のものを使用できる。また、青色の梱包用結束バンド用の再生樹脂組成物である場合、濃紺色の顔料を当該組成物に添加することが好ましい。濃紺色の顔料としては公知のものを使用できる。
【0044】
(7)ペレット化工程
溶融混練物はペレットとすることができる。溶融混練物をペレットにする方法は限定されず、ペレタイザー等を用いることができる。
【0045】
(8)梱包用結束バンドの製造
再生樹脂組成物を溶融押出して冷却固化した後、延伸成形することで梱包用結束バンドを製造できる。これらの工程は公知のとおりに実施できる。第1の製造方法においては、再生樹脂組成物のペレットを溶融押出して冷却固化した後、延伸成形することが好ましい。
【0046】
2.第2の製造方法(第2の態様)
本発明の第2の製造方法は、工程1および2が、色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドを、光学式選別機を用いて、1以上の色群に分類して同色混合物を調製する色選別工程、および前記同色混合物を、フィード量調整装置を備えるペレットミルに供給して、ペレット状粒子を調製する工程を備える(
図1(2)参照)。色選別工程は、第1の製造方法で説明したとおりである。
【0047】
ペレット状粒子を調製する工程は、前述のペレットミルを用いて実施される。本方法では、溶融混練を経ずにペレットミルで成形されたペレット状粒子を製造する。ペレット状粒子をそのまま溶融押出しに供し、冷却固化した後に延伸成形することで梱包用結束バンドを製造することができる。ペレット状粒子の形状および大きさはその後の溶融工程、延伸工程で用いられる押出機へのフィードが安定的に達成できる形状および大きさにすることが望ましく、押出機を用いて溶融混練された後にペレット化されたものと同じ形状および大きさのものが好ましい。その大きさとしては2~8mmの長さである。好ましい嵩比重は限定されないが、好ましくは150~600g/m3、より好ましくは250~500g/m3である。また、ペレット状粒子を溶融混練して一旦、混練物を得て、当該混練物を溶融押出して冷却固化した後、延伸成形することで梱包用結束バンドを製造することもできる。前記混練物はペレットであることが好ましい。
【0048】
ペレットミルが備えるフィード量調整装置としてはバッファータンクが好ましい。バッファータンクは前記中間タンクの一種でもある。フィード量調整装置を用いることで、色選別装置から排出される各色の同色混合物の排出量の変動が大きい場合であっても安定してペレット状粒子を製造できる。
【0049】
3.第3の製造方法(第3の態様)
本発明の第3の製造方法は、工程1および2が、色選別工程を経ずに色相が異なる複数の使用済み梱包用結束バンドまたは色相が同じ複数の使用済み梱包用結束バンドを準備する工程、および当該バンドを、フィード量調整装置を備えるペレットミルに供給してペレットミルに供給して、ペレット状粒子を調製する工程を備える(
図1(3)参照)。前述のとおり、長さがまちまちであるバンドは部分的に絡み合っており、フィード時に時間が経つにつれてホッパーの下部に貯蔵されたバンドは自重により嵩比重が大きくなり、バンド破砕物同士がより密に集積して定量的なフィードが困難となる。しかしフィード量調整装置を用いることで、安定してペレット状粒子を製造できる。
【0050】
第2または第3の製造方法で得た再生樹脂組成物から、前述のとおり梱包用結束バンドを製造することができる。これらの製造方法によれば、溶融混練工程を経ずにバンド成形ができることで大幅なエネルギー削減および省人化のもとで水平リサイクルが達成できる。
【実施例0051】
[実施例1]
汚れや夾雑物をほとんど含まないが色相の異なる複数のプレコンシューマ材料であるPP製使用済み梱包用結束バンドであって切断片の長さの中心値L50が100mmに切断されたサンプルを準備した。このサンプルをペレンクST社製光学選別機ミストラル+1600型を用いて色選別した。色選別は予め登録された梱包用結束バンドの分光特性に基づいた色指定と標準感度で実施した。コンベアベルト速度は3m/秒とし色選別処理速度は300kg/時間で行った。
【0052】
色選別は以下の3色の群に分けて実施した。黄色バンド群として黄、白、透明バンド切断品、赤色バンド群として赤、紫、茶バンド切断品、青色バンド群として上記以外(青の他、緑が多い)のバンド切断品に分けた。黄色バンド群として黄、白、透明切断片が検知されたときは下ノズルからの空気でコンベアから遠い位置の受け器に移送することで黄色混合物を、赤色バンド群として赤、紫、茶バンド切断片が検知されたときは上ノズルからの空気でコンベアから近い位置の受け器に移送することで赤色混合物を、および青色バンド群として上記以外(青の他、緑が多い)の色の切断片が検知されたときはノズルからの空気を送らずに真ん中の受け器に移送することで青色混合物を、それぞれ選別した。このようにして黄色混合物(サンプル:黄色Y)、赤色混合物(サンプル:赤色R)、青色混合物(サンプル:青色B)を得た。
【0053】
この条件で1時間色選別を行い、得られた3色混合物の比率は、それぞれ黄色Yは30重量%、赤色Rは20重量%、青色Bは50重量%であった。この運転と同時に15分毎に各色混合物の比率の変動を測定した結果を表1に示す。
【0054】
【0055】
表1に示すとおり、青色Bに色分別された切断片の15分毎の選別量の変動は30kgから45kgまで最大50重量%であった。この青色Bの切断片をこのまま押出機でペレタイズすると、最大50重量%の押出機への供給量変動が起こることになり安定した粒度や形状のペレットを得るためには細かな押出条件の変更を必要とするので、非常に操作が煩雑になり余分な労力を必要とするために好ましくない。この変動を緩和するために色選別機受け機から押出機の間に中間タンクを設置し、これを通じて定量供給できるプロセスとした。中間タンクの容積は青色Bの切断片の嵩比重が50kg/m3、時間あたり押出量が180kgであることを考慮して容積9.0m3とした。当該中間タンクに、予め、時間当たり押出量の2倍に相当する360kgの青色Bの切断片を貯蔵した後に、色選別機と押出機を同時に稼働させ8時間連続運転した。押出機はATLAS社製単軸押出機で、スクリュー直径85mm、スクリューL/D比32:1の仕様のものを使用し、押出量は時間当たり180kg、押出温度は230℃とし、PP以外の夾雑物除去のために60メッシュスクリーンのフィルターを用いて運転した。押出機にはペレタイザーを連結した。
【0056】
8時間連続運転で1440kgの青色Bのペレットが生産された。一方、同じ8時間連続運転で色選別機から青色Bに選別された切断片は1200kgであり、連結された中間タンクに予め貯蔵された360kgと合わせて1560kgとなった。青色Bの切断片のこの量は押出量より多いことから8時間連続運転しても押出量が途切れることは無く、予め設定された一定の生産量で8時間(昼間1日)運転できた。中間タンクが無い場合は押出量の方が多くなり8時間連続運転するためには押出量を減少する必要があり、運転操作が煩雑になる。また、この運転の間、押出機への供給は多少バラつきがあったが、押出機に敷設したシュレッダー(減容化機構を含む)によりこのバラつきを吸収することができた。ペレットの長さ分布は、95%が3~6mmの範囲にあり、均一であった。また、夾雑物をほとんど含まないプレコンシューマ材料を使用したことで8時間連続押出運転してもスクリーンメッシュに目詰まりは見られなかった。ここで得られた青色Bのペレットを用いて溶融押出し、次いで延伸成形してバンドを製造した。延伸成形時にバンドが切断することもなく、色相を含む外観、強度とも実用に耐える再生PPバンドが製造できた。
【0057】
[実施例2]
ポストコンシューマ材料を用いて、実施例1と同じ色選別工程と押出工程を連結してペレット化を行った。ポストコンシューマ材料は一旦市場で使用された製品からの回収物、すなわち市中からの回収物であるため汚れや夾雑物を含み、実施例1で用いたプレコンシューマ材料と比較して格段に再生の困難性が高くなる。ポストコンシューマ材料を用いて効率的な運転を行うために、色選別工程の前に切断機による切断工程と水沈除去装置による水沈除去工程を設けた。
【0058】
ポストコンシューマ材料である色相と材質が異なる複数の使用済み梱包用結束PPバンドを準備し、その中から作業者の目視により黒色結束バンドやPETバンドさらにPPバンド以外の異物を手作業でできるだけ除去した。次いで、当該複数の使用済み梱包用結束PPバンドを切断して切断混合物を得た。切断は、西邦機工株式会社製一軸破砕機SC-50Pを用いて約300kg/時間の処理量で実施した。切断混合物の90重量%が10~300mmの長さの範囲であった。この切断混合物を色選別機に通す前に比重選別機にかけ水沈により水より重い金属類、無機物、PET破砕物等を除去した後、遠心脱水機にかけ乾燥した後に色選別機に連続的に供給した。色選別機以降は実施例1と同じ装置と条件でペレット化を実施した。
【0059】
色選別は実施例1と同じ条件で、黄色混合物(サンプル:黄色Y)、赤色混合物(サンプル:赤色R)、青色混合物(サンプル:青色B)の3色への色分けを1時間実施した。得られた3色混合物の比率は、それぞれ黄色Yは30重量%、赤色Rは10重量%、青色Bは60重量%であった。この運転と同時に15分毎に各色混合物の比率の変動を測定した結果を表2に示す。
【0060】
【0061】
表2に示すとおり、青色Bの15分毎の選別量の変動は36kgから54kgまで最大50重量%であった。この青色Bをこのまま押出機でペレタイズすると最大50重量%の押出機への供給量変動が起こることになり、安定した粒度や形状のペレットを得るためには細かな押出条件の変更を必要とするので非常に運転操作が煩雑になり余分な労力を必要とするために好ましくない。
【0062】
この変動を緩和するために実施例1と同じ色選別機受け機から押出機の間に中間タンクを設置し、これを通じて定量供給できるプロセスとした。押出機はATLAS社製単軸押出機としてスクリュー直径85mm、スクリューL/D比は32:1の仕様のものを使用し、押出量は時間当たり180kg、押出温度は230℃、PP以外の夾雑物除去のためフィルターとして40および80メッシュスクリーンを併用して運転した。実施例2では色選別機により選別される青色Bの受け機への排出量と押出量がともに180kg/時間と同じであるが、表2に示した15分毎の短時間変動の大きさを考慮して、実施例1と同じ360kg青色B切断片を中間タンクに貯蔵した。次いで、色選別装置と押出機を同時に稼働させ予め設定された一定の生産量で8時間(昼間1日)安定運転できた。また、この運転の間、押出機へのフィードは多少バラつきがあったが、押出機に敷設したシュレッダー(減容化機構を含む)によりこのバラつきを吸収することができ、安定した形状のペレットが得られ、ペレットの長さ分布は、95%が3~6mmの範囲にあり、均一であった。
【0063】
得られた青色Bのペレットを用いて溶融押出し、次いで延伸成形でバンド製造を行った。延伸成形時にバンドが切断することもなく、色相を含む外観、強度とも実用に耐える再生PPバンドが製造できた。
【0064】
本例では夾雑物をほとんど含まないプレコンシューマ材料と異なり汚れや夾雑物を含むポストコンシューマ材料を使用したため、比重選別・遠心脱水機を用いた水沈法で水より比重の大きい異物を除去した。しかし、水沈法では除去できない水より比重の小さい紙類や木片等の異物が押出機のスクリーンメッシュを閉塞することで押出機のダイス圧力の上昇が頻繁に発生し、スクリーンメッシュの交換を1時間毎に実施する必要があった。
【0065】
[参考例1]
頻繁なスクリーンメッシュ交換の頻度を小さくする目的で、実施例2で用いた40および80メッシュスクリーンを併用する替わりに80メッシュスクリーン1枚にした以外は実施例2と全く同じ条件でペレット化を行った。80メッシュスクリーン1枚に変更したことで押出機のダイス圧力の目立った上昇も無くスクリーン交換なしで8時間連続運転ができ安定した形状のペレットが得られた。8時間連続運転後押出機に装着された80メッシュスクリーンを観察したが破れ等の問題は見られなかった。
【0066】
得られた青色Bのペレットを用いて実施例1、2と同条件で溶融延伸成形による青色再生バンド製造を試みたが、延伸時に異物による欠陥部からの破断が生じた。実施例2において溶融延伸成形に使用したスクリュー直径65mm押出機には異物除去を目的としたスクリーンメッシュを付ける必要が無かったが、本例では新たに80メッシュスクリーン1枚を使って成形を行った。しかしダイス圧力の上昇が見られた。
【0067】
[実施例3]
水より比重の小さい低比重不純物を効率よく除去するために、切断機と水沈除去・遠心脱水装置の間にPPバンド切断品以外の紙類や木片等の低比重不純物を除去する装置を設置した。
【0068】
水より軽い低比重不純物除去装置としてトロンメル型水洗浄装置を加えた以外は実施例2と全く同じ装置、材料、条件でペレット化を行った。本例においても40メッシュと80メッシュスクリーンを併用した。低比重不純物除去装置を新たに加えたプロセスにすることで8時間連続運転しても押出機のダイス圧力の目立った上昇は無くスクリーンメッシュ交換無しで連続運転ができ、安定した形状の青色Bのペレットが得られた。得られた青色Bのペレットを用いて溶融押出し、次いで延伸成形でバンド製造を行った。延伸成形時にバンドが切断することもなく、色相を含む外観、強度とも実用に耐える再生PPバンドが製造できた。これにより使用済みPPバンド切断機への投入時のみ作業員を必要とする以外は再ペレットを得るまでの全ての工程が連結されているので特に作業員による作業の必要が無く省力化・効率的運転が可能になった。
【0069】
[実施例4]
使用済み梱包用結束PPバンド材料として主として用いられるポストコンシューマ材料は回収先により色構成が大きく異なっていることが想定される。回収先が異なる使用済み梱包用結束PPバンドをそれぞれ1トン用いて実施例1と同じ条件で、黄色混合物(サンプル:黄色Y)、赤色混合物(サンプル:赤色R)、青色混合物(サンプル:青色B)の3色への色分けを実施した結果を表3に示す。
【0070】
【0071】
表3に示すとおり、異なる入手先の回収原料の3色の比率はそれぞれ異なる。さらにすべての入手先の色別比率では青色Bが最も多く、次に黄色Y、赤色Rの順に少なくなる。この3色全てを省力化のために直接押出機に連結して運転する場合、赤色Rの生産量が少な過ぎるために青色Bと赤色Rでは同じ押出機を使うことはできない。また、赤色Rの場合、生産量の少ないスクリュー口径の小さい押出機を使うことになるが、回収原料入手先により原料1トン当たり回収量は50kgから200kgまで4倍の開きがある。黄色Yでは150kgから300kgと2倍、青色Bでは500kgから800kgと1.6倍の開きがある。比率が大きい青色Bほど開きの倍率は小さくなるが実質的な重量差は大きくなる。
【0072】
さらに、短時間での色毎の比率変動もあり、前記3色をすべて押出機に連結して連続運転するためには、入手先毎に中間タンクの大きさや貯蔵量、押出機のスクリュー口径、押出量を最適化する必要がある。この問題を解決し省力化・効率的に色別再生バンドを得るため、本例では、色選別装置で色分けされたそれぞれの色群毎に色分別された切断片を色選別機の受け機から直接ペレットミル装置に連結して造粒を行い、溶融押出し、次いで延伸成形でバンド製造が可能なペレット形状にした。これにより、上記色別比率の変動を十分に吸収できかつ前記のフィード量調整装置や押出機も不要になり省エネルギーでの再生バンド製造を可能にすることができた。
【0073】
具体的に、ポストコンシューマ材料として、実施例2、3で使用した3色比率が黄色Yは30重量%、赤色Rは10重量%、青色Bは60重量%に色分別された破砕品を用い、実施例3で用いた使用済みPPバンド切断機、低比重不純物除去装置・水沈除去装置・遠心脱水装置、色選別装置をこの順に接続し、さらに色選別装置の3色それぞれの受け機から、中間タンクの一種であるバッファータンク、粗粉砕機、微粉砕機、造粒機を接続して、ペレット状粒子を製造した。各バッファータンクには、一定量の色分けされた切断片を貯蔵した。バッファータンク、粗粉砕機、微粉砕機、および造粒機を備える部分がフィード調整装置を備えたペレットミルに相当し、当該ペレットミルを用いる方法は、受け機から直接混練機に接続する方法と比べて供給量の変動にフレキシブルに対応できる利点を持つ。
【0074】
具体的に、時間当たり平均300kgの破砕処理速度および色選別機処理速度で実施した。各色の時間当たり平均生産量は、それぞれ黄色Yは90kg、赤色Rは30kg、青色Bは180kgであった。ペレットミル装置は3色すべてで同じものを使用し、時間当たり処理量は、黄色Yと赤色Rは90kg、青色Bは180kgで8時間運転を実施した。
【0075】
3色それぞれのバッファータンクには時間当たり処理量と同じ量を貯蔵することで、色選別装置からの排出量の変動を吸収できるようにした。ただし、赤色Rについては色選別装置からの時間当たり排出量30kgに対してペレットミル装置のシステムでの処理量が時間当たり90kgと多いので、バッファータンクが空になる前に運転を止め、バッファータンクを再び90kgの赤色Rで満たしてから再開するという運転を繰り返し行った。この結果、黄、赤、青すべてで安定した形状のペレット状粒子が得られ、その長さ分布は、90%以上が3~6mmの範囲にあり、均一であった。
【0076】
得られた各色それぞれのペレット状粒子を用いて溶融押出し、次いで延伸成形でバンド製造を行った。延伸成形時にバンドが切断することもなく、色相を含む外観、強度とも実用に耐える再生PPバンドが製造できた。このペレット状粒子を溶融延伸成形機へ輸送し成形する過程において部分的な破壊により微細化が一部発生したが、この部分的破壊は今回の延伸成形では問題なかった。
【0077】
[実施例5]
実施例4に示したペレットミル装置で得られたペレット状粒子の強度は、通常の溶融混錬で得られたペレットに比べて劣るので長距離の輸送時に破壊が発生するリスクがある。これを防ぐために、ペレットミル装置で得たペレット状粒子を、押出機を用いてペレット化した。この方法ではさらにペレットミル装置で得たペレット状粒子を連続的に押出機に供給できるので、長距離輸送による破壊の問題も回避できる。またペレット状粒子は形状、嵩比重とも溶融混錬で得たペレットとほぼ同じであり、押出機への供給は通常のペレットを用いた押出成形と同様、押出機のホッパーに貯蔵するだけで、重力により押出機に定量フィードできることから、嵩比重の小さい絡まり易い破砕品を定量フィードすることに比べ格段に易しくなる。
【0078】
具体的に、青色Bのペレット状粒子を実施例1で用いたATLAS社製単軸押出機のホッパーに予め180kg貯蔵した。実施例4と同じ条件で青色Bのペレット状粒子を、時間当たり平均生産量180kgで製造し、これを前記押出機に連続的に供給し8時間運転した。押出機の運転条件は、時間当たり押出量180kg、押出温度は230℃、PP以外の夾雑物除去のため40メッシュスクリーンを用いて運転した。非常に安定して8時間連続運転ができた。得られたペレットの長さ分布は、95%以上が3~5mmの範囲にあり、均一であった。ここで得られた青色Bのペレットを用いて実施例4と同じ条件で溶融押出し、次いで延伸成形でバンド製造を行った。延伸成形時にバンドが切断することもなく、色相を含む外観、強度とも実用に耐える再生PPバンドが製造できた。
【0079】
[実施例6]
これまでの実施例では色分別されたPPバンド破砕物を用いてペレット化を行い、このペレットを用いて溶融押出し、次いで延伸成形で色相を含む外観、強度とも実用に耐える再生PPバンドを製造することができた。しかしながら、使用済み梱包用結束PPバンドを再生する場合、予め色分別された状態で再生する場合や多色が混ざった状態で再生する場合には色選別プロセスは不要になる。色選別装置を通すことで、色別PPバンド破砕物の排出量に大きな変動があり、これを吸収して押出機で安定した形状のペレットを得るために色選別機と押出機の間にフィード量調整装置が必要であった。また、色選別機の選別効率に適した寸法のPPバンド破砕物を得る必要もあったがこれが不要になれば、破砕機の工程も制約が減ることで生産スピードを高めることが可能になる。
【0080】
使用済み梱包用結束PPバンド材料として主として用いられるポストコンシューマ材料を用いて、今までの実施例で使用したPPバンド切断機、低比重不純物除去装置、水沈除去装置、遠心脱水装置、バッファータンクを付設したペレットミル装置を用いてペレット化を実施した。
【0081】
具体的に、使用済み梱包用結束PPバンド材料として主として用いられるポストコンシューマ材料の中から作業者の目視によりPETバンドさらにPPバンド以外の異物を手作業でできるだけ除去した後に破砕機に投入し、破砕速度を時間当たり約350kgでペレットミルによるペレット状粒子を製造した。ペレットミル装置に敷設したバッファータンクに予め100kgと少量の破砕PPバンドを貯蔵してからペレットミルによるペレット化を処理速度時間当たり約350kgと破砕速度と同じ条件で実施した。破砕処理速度に多少のバラつきはあったがバッファータンクでこのバラつきは十分吸収でき、8時間連続運転ができた。得られたペレットの長さ分布は、90%以上が3~6mmの範囲にあり、均一であった。ここで得られたペレットを用いて実施例4と同じ条件の溶融押出し、次いで延伸成形でバンド製造を行った。延伸成形時にバンドが切断することもなく、色相を含む外観、強度とも実用に耐える再生PPバンドが製造できた。
【0082】
[実施例7]
実施例6で得られたペレットミルにより造粒されたペレットの強度を高める目的で、ペレットミル装置を押出機に連結し溶融混錬によるペレット化を実施した。ペレットミルによる造粒までは実施例6と同じ装置を用い、同じ条件で行った。押出機はATLAS社製単軸押出機、スクリュー直径120mm、スクリューL/D比は32:1の仕様のものを使用し、単軸押出機のホッパーに予め100kg貯蔵した後、ペレットミル装置から連続的に供給し8時間運転した。押出機の運転条件は、時間当たり押出量350kg、押出温度は230℃、PP以外の夾雑物除去のため40メッシュスクリーンを用いて運転した。非常に安定して8時間連続運転ができた。得られたペレットの長さ分布は、95%以上が3~5mmの範囲にあり、均一であった。
【0083】
ここで得られたペレットを用いて実施例4と同じ条件の溶融押出し、次いで延伸成形で黒色の顔料を加えて黒バンド製造を行った。延伸成形時にバンドが切断することもなく、実用に耐える強度の再生PPバンドが製造できた。
【0084】
以上、本発明によって高い識別性を有する高彩度の再生梱包用結束PPバンドが製造できた。本発明によって高い次元での水平リサイクルシステムも構築できる。この結果、バージンバンドの使用量抑制と使用済み梱包用結束PPバンドの焼却処理を大幅に減らすことができるので、温室効果ガスである炭酸ガスの大幅な削減を実現することも可能になる。さらに、本発明によって不法投棄も含めて廃棄される梱包用結束バンドが大幅に削減されることが見込めるため、海洋汚染の原因物質の一つであるマイクロプラスチック削減も可能となる。
前記色選別工程の前に、予備的に色選別工程を実施して、一定時間T毎に調製される同色混合物の量X(重量/T時間)を決定し、Xの最大値と最小値から変動率Y(重量%)を決定する工程、および
前記溶融混練工程の前に、式(1)で定義されるZの重量の前記同色混合物を前記フィード量調整装置に充填する工程:
Z=V×(Y/25)・・・式(1)
(ただし、Vは、前記混練機の時間当たり吐出重量である)
をさらに備える、請求項2に記載の製造方法。