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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039213
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】管理装置及び管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20220303BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144130
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】519099416
【氏名又は名称】KING’S株式会社
(72)【発明者】
【氏名】玉木 秀樹
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA16
(57)【要約】
【課題】適切かつ産業上有利にデジタル通貨等の資産安定性が乏しいものに、優れた資産安定性を付与することができる新規かつ有用な管理装置及び管理システムを提供する。
【解決手段】第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段を少なくとも有する管理装置と、前記第1の要素を利用できる利用者のユーザー端末とが通信回線を介して通信可能に接続されている管理システムにおいて、前記管理装置は、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段と、前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段を少なくとも有する管理装置であって、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段と、前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段とを含むことを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記第1の要素がデジタル通貨又は特典である請求項1記載の管理装置。
【請求項3】
前記第1の要素がデジタル通貨である請求項1記載の管理装置。
【請求項4】
前記第2の要素が金融資産、実物資産又は地下資源である請求項1~3のいずれかに記載の管理装置。
【請求項5】
前記第2の要素が地下資源である請求項1~3のいずれかに記載の管理装置。
【請求項6】
前記地下資源が鉱物資源又はエネルギー資源である請求項5記載の管理装置。
【請求項7】
前記地下資源が貴金属鉱物である請求項5記載の管理装置。
【請求項8】
前記貴金属鉱物が、金、ロジウム及びイリジウムから選ばれる1種又は2種以上を含む請求項7記載の管理装置。
【請求項9】
前記第2の資産価値が、前記地下資源の採掘権に係る確定埋蔵量に基づき評価されたものである請求項5~8のいずれかに記載の管理装置。
【請求項10】
前記第2の資産価値から前記割当量を減算して、前記第2の要素の割当可能な量を算出し記憶し、前記割当可能な量の範囲で、前記第2の要素を前記第1の要素に割り当てるように構成された請求項1~9のいずれかに記載の管理装置。
【請求項11】
第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段を少なくとも有する管理装置と、前記第1の要素を利用できる利用者のユーザー端末とが通信回線を介して通信可能に接続されている管理システムであって、前記管理装置は、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段と、前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段とを含むことを特徴とする管理システム。
【請求項12】
前記第1の要素がデジタル通貨又は特典である請求項11記載の管理システム。
【請求項13】
前記第1の要素がデジタル通貨である請求項11記載の管理システム。
【請求項14】
前記第2の要素が金融資産、実物資産又は地下資源である請求項11~13のいずれかに記載の管理システム。
【請求項15】
前記第2の要素が地下資源である請求項11~13のいずれかに記載の管理システム。
【請求項16】
前記地下資源が鉱物資源又はエネルギー資源である請求項15記載の管理システム。
【請求項17】
前記地下資源が貴金属鉱物である請求項15記載の管理システム。
【請求項18】
前記貴金属鉱物が、金、ロジウム及びイリジウムから選ばれる1種又は2種以上を含む請求項17記載の管理システム。
【請求項19】
前記第2の資産価値が、前記地下資源の採掘権に係る確定埋蔵量に基づき評価されたものである請求項15~17のいずれかに記載の管理システム。
【請求項20】
前記管理装置は、前記第2の資産価値から前記割当量を減算して、前記第2の要素の割当可能な量を算出し記憶し、前記割当可能な量の範囲で、前記第2の要素を前記第1の要素に割り当てるように構成されている請求項11~19のいずれかに記載の管理システム。
【請求項21】
前記管理装置は、前記ユーザー端末から前記第1の要素に係る前記第2の要素の照会要求を前記アドレスとともに前記管理装置が受信すると、前記管理装置は、前記アドレスに基づいて、前記第2の記憶手段から前記第1の要素に係る前記第2の要素と前記割当量とを抽出し、前記ユーザー端末に送信する手段を有している請求項11~20のいずれかに記載の管理システム。
【請求項22】
前記ユーザー端末が、バーコード表示手段又はバーコード読み取り手段を有している請求項11~21のいずれかに記載の管理システム。
【請求項23】
第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段を少なくとも有する管理装置を、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段、及び前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段として機能させるプログラム。
【請求項24】
さらに、前記管理装置を、前記第1の要素に係る前記第2の要素の照会要求を前記アドレスとともに受信すると、前記アドレスに基づいて、前記第2の記憶手段から前記第1の要素に係る前記第2の要素と前記割当量とを抽出する手段として機能させる請求項23記載のプログラム。
【請求項25】
ブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶されている第1の資産価値を有する第1の要素を利用できる利用者のユーザー端末を、第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段、及び前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段を少なくとも有している管理装置に対し、前記第1の要素に係る前記第2の要素の照会要求を前記アドレスとともに送信し、前記管理装置から、前記第1の要素に係る前記第2の要素と前記割当量とを受信すると、前記第2の要素と前記割当量とを表示する手段として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理システム及びこれらに適用されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商品の購入時等において電子マネーやポイントを付与することが行われている。電子マネーやポイントは、付与する際も通常、事務手数料等が発生せず、電子マネーやポイントを付与する側、付与される側の双方にとってもメリットの大きなものとなっている。そして、近年においては、電子マネーやポイント用の専用口座を用いて金融機関の管理サーバーにてポイントと貨幣とを交換できるように構成されたシステム等も検討されており(特許文献1)、デジタル通貨として、ますます利便性等の向上が図られている。
しかしながら、利便性が向上する一方で、インサイダー取引、マネーロンダリング、詐欺及びその他のデジタル通貨の悪用等の不正使用の問題があり、また、管理負担も大きく、管理手数料を取得する必要がある等の問題もあった。そのため、デジタル通貨の利便性を損なったり、管理負担を増やしたりすることなく、これら不正使用の問題等を解決する方策が待ち望まれていた。
【0003】
ところで、デジタル通貨は、ブロックチェーン技術の進展もあり、不正使用等の問題を解決するのに有用なものとなってきているが、資産安定性に乏しく、発行総量の規制等をしても根本的な解決にはならず、依然としてハイリスク・ハイリターンの資産として利用されている。近年においては、資産安定性を向上させる目的で、例えば、資産安定性に優れた法定通貨(米ドル)に基づき、デジタル通貨(デジタルドル)を発行すること等が検討されている(特許文献2)。
しかしながら、発行にかかる法定通貨の処分等の手間やその管理負担が膨大であり、また、法定通貨からデジタル通貨を発行することそのものに貨幣の流通を妨げる等の重大な問題があり、実現性にも乏しく、結局のところ、仮想通貨の流通性を満たすことが困難であり、このような方策も必ずしも満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-9315号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0151682号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、適切かつ産業上有利にデジタル通貨等の資産安定性が乏しいものに、優れた資産安定性を付与することができる新規かつ有用な管理装置及び管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段を少なくとも有する管理装置であって、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段と、前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段とを含む管理装置を用いれば、簡便かつ容易に、デジタル通貨等の資産安定性に乏しいものに、優れた資産安定性を付与することができることを知見し、このような管理装置及び管理システムが、上記した従来の問題を一挙に解決できることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段を少なくとも有する管理装置であって、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段と、前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段とを含むことを特徴とする管理装置。
[2] 前記第1の要素がデジタル通貨又は特典である前記[1]記載の管理装置。
[3] 前記第1の要素がデジタル通貨である前記[1]記載の管理装置。
[4] 前記第2の要素が金融資産、実物資産又は地下資源である前記[1]~[3]のいずれかに記載の管理装置。
[5] 前記第2の要素が地下資源である前記[1]~[3]のいずれかに記載の管理装置。
[6] 前記地下資源が鉱物資源又はエネルギー資源である前記[5]記載の管理装置。
[7] 前記地下資源が貴金属鉱物である前記[5]記載の管理装置。
[8] 前記貴金属鉱物が、金、ロジウム及びイリジウムから選ばれる1種又は2種以上を含む請求項7記載の管理装置。
[9] 前記第2の資産価値が、前記地下資源の採掘権に係る確定埋蔵量に基づき評価されたものである前記[5]~[8]のいずれかに記載の管理装置。
[10] 前記第2の資産価値から前記割当量を減算して、前記第2の要素の割当可能な量を算出し記憶し、前記割当可能な量の範囲で、前記第2の要素を前記第1の要素に割り当てるように構成された前記[1]~[9]のいずれかに記載の管理装置。
[11] 第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段を少なくとも有する管理装置と、前記第1の要素を利用できる利用者のユーザー端末とが通信回線を介して通信可能に接続されている管理システムであって、前記管理装置は、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段と、前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段とを含むことを特徴とする管理システム。
[12] 前記第1の要素がデジタル通貨又は特典である前記[11]記載の管理システム。
[13] 前記第1の要素がデジタル通貨である前記[11]記載の管理システム。
[14] 前記第2の要素が金融資産、実物資産又は地下資源である前記[11]~[13]のいずれかに記載の管理システム。
[15] 前記第2の要素が地下資源である前記[11]~[13]のいずれかに記載の管理システム。
[16] 前記地下資源が鉱物資源又はエネルギー資源である前記[15]記載の管理システム。
[17] 前記地下資源が貴金属鉱物である前記[15]記載の管理システム。
[18] 前記貴金属鉱物が、金、ロジウム及びイリジウムから選ばれる1種又は2種以上を含む前記[17]記載の管理システム。
[19] 前記第2の資産価値が、前記地下資源の採掘権に係る確定埋蔵量に基づき評価されたものである前記[15]~[18]のいずれかに記載の管理システム。
[20] 前記管理装置は、前記第2の資産価値から前記割当量を減算して、前記第2の要素の割当可能な量を算出し記憶し、前記割当可能な量の範囲で、前記第2の要素を前記第1の要素に割り当てるように構成されている前記[11]~[19]のいずれかに記載の管理システム。
[21] 前記管理装置は、前記ユーザー端末から前記第1の要素に係る前記第2の要素の照会要求を前記アドレスとともに前記管理装置が受信すると、前記管理装置は、前記アドレスに基づいて、前記第2の記憶手段から前記第1の要素に係る前記第2の要素と前記割当量とを抽出し、前記ユーザー端末に送信する手段を有している前記[11]~[20]のいずれかに記載の管理システム。
[22] 前記ユーザー端末が、バーコード表示手段又はバーコード読み取り手段を有している前記[11]~[21]のいずれかに記載の管理システム。
[23] 第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段を少なくとも有する管理装置を、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段、及び前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段として機能させるプログラム。
[24]さらに、前記管理装置を、前記第1の要素に係る前記第2の要素の照会要求を前記アドレスとともに受信すると、前記アドレスに基づいて、前記第2の記憶手段から前記第1の要素に係る前記第2の要素と前記割当量とを抽出する手段として機能させる前記[23]記載のプログラム。
[25]ブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶されている第1の資産価値を有する第1の要素を利用できる利用者のユーザー端末を、第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段、及び前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段を少なくとも有している管理装置に対し、前記第1の要素に係る前記第2の要素の照会要求を前記アドレスとともに送信し、前記管理装置から、前記第1の要素に係る前記第2の要素と前記割当量とを受信すると、前記第2の要素と前記割当量とを表示する手段として機能させるプログラム。
【発明の効果】
【0008】
本発明の管理装置及び管理システムによれば、適切かつ産業上有利にデジタル通貨等の資産安定性に乏しいものに、優れた資産安定性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の管理システムの好適な実施態様の一例を示す図である。
図2】本発明において好適に用いられる利用者情報の一例を示す図である。
図3】本発明において好適に用いられる取引情報の一例を示す図である。
図4】本発明において好適に用いられる第1の要素情報の一例を示す図である。
図5】本発明において好適に用いられる第2の要素情報の一例を示す図である。
図6】本発明においてユーザー端末のシステム構成の一例を機能的ブロック図を用いて模式的に示す図である。
図7】本発明において好適に実施される発行及び割り当ての情報処理フローを模式的に示す図である。
図8】本発明において好適に実施される残高照会の情報処理フローを模式的に示す図である。
図9】本発明において好適に実施される送金処理の情報処理フローを模式的に示す図である。
図10】本発明において好適に用いられるユーザー端末に表示される送金画面の実施態様の一例を模式的に示す図である。
図11】本発明において好適に用いられるブロックチェーンの構成の一例を説明する図である。
図12】本発明において好適に用いられるブロックチェーンのトランザクションの構成の一例を説明する図である。
図13】本発明において好適に用いられるブロックチェーンのトランザクションのデータ構造の一例を説明する図である。
図14】本発明において好適に用いられるブロックチェーンのトランザクションのスクリプトの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の管理装置は、第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段を少なくとも有する管理装置であって、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段、及び前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段を含むことを特長とする。また、前記管理装置は、前記第1の要素を利用できる利用者のユーザー端末と通信回線を介して通信可能に接続されて、管理システムとして好適に用いられ、このような管理システムも本発明に包含される。なお、本発明の管理システムは、第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段を少なくとも有する管理装置と、前記第1の要素を利用できる利用者のユーザー端末とが通信回線を介して通信可能に接続されている管理システムであって、前記管理装置は、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段、及び前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段を含むことを特長とする。
【0011】
「第1の要素」は、資産価値を有するものであって、ブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶することができるものであれば特に限定されず、公知のものであっよい。前記第1の要素としては、例えば、デジタル化が可能な資産などが挙げられ、より具体的には、デジタル通貨、特典等が好適な例として挙げられる。本発明においては、前記第1の要素がデジタル通貨であるのが通貨流通性をより優れたものにし、さらに、前記割り当て手段もより容易に行うことができるようになるので好ましい。
なお、「資産価値を有する」とは、資産であれば前記資産の価値の大小に関わらず含まれることを意味するが、本発明においては、さらに、資産でなくても資産的な価値があるものも含まれることを意味する。
【0012】
「デジタル通貨」は、金融トランザクションを含むトランザクションに対する支払いの通貨として用いることが可能な価値の単位であれば特に限定されない。前記デジタル通貨は、通常、電子的に生成されてその中に格納される通貨であるが、法定通貨であってよく、暗号通貨であってもよい。なお、前記デジタル通貨には、ポイント、電子マネー、仮想通貨が含まれる。本発明においては、前記デジタル通貨が法定通貨であるのがより経済的活動を適切かつ効率的に推進し、前記与信処理そのものをより利活用できるので好ましい。
【0013】
「アドレス」とは、ブロックチェーンネットワークにおいて例えば前記デジタル通貨を送受信する際に使用される英数字からなる識別子であり、公知のものであってよい。通常、前記デジタル通貨の移動元又は移動先を指定する際に用いられる。なお、前記アドレスは、秘密鍵と対応付けられているのが好ましく、秘密鍵とペアになる公開鍵から生成されるものであるのがより好ましく、秘密鍵に対応する公開鍵によって識別される暗号アドレスであるのが最も好ましい。
【0014】
「第2の要素」は、資産価値を有するものであって、ブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶することができるものであれば特に限定されず、公知のものであっよい。前記第2の要素としては、例えば、デジタル化が可能な資産などが挙げられ、より具体的には、金融資産、実物資産又は地下資源等が好適な例として挙げられる。前記金融資産は、資産価値を有する金融資産であれば特に限定されず、公知の金融資産であってよい。前記金融資産としては、例えば、現金、外貨を含む預貯金、株式、債権(国債、地方債、社債、外国債等を含む)、投資信託、生命保険、商品券、又は小切手等の金融商品又は金融派生商品などが挙げられる。なお、前記第2の要素が前記金融資産である場合には、金融資産の発行番号を前記アドレス又は前記第2の要素若しくは前記割当量に紐づけて記憶するのが資産安定性をより向上させることができるので好ましい。
【0015】
前記実物資産としては、動産、不動産等が挙げられる。前記動産は、前記不動産以外の資産価値のある有体物であれば特に限定されず、公知の動産であってよい。前記動産としては、例えば貴金属、美術品等が好適な例として挙げられ、本発明においては、前記動産が貴金属であるのが最も好ましい。前記貴金属としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及びオスミウム(Os)から選ばれる1種又は2種以上の貴金属が挙げられる。本発明においては、前記貴金属が地金番号を有しているのが好ましく、前記地金番号を前記アドレス又は前記第2の要素若しくは前記割当量に紐づけて記憶するのが資産安定性をより向上させることができるので好ましい。また、前記第2の要素が前記動産である場合には、例えば倉庫等において保管し、倉荷証券を発行して倉荷証券番号を前記アドレス又は前記第2の要素若しくは前記割当量に紐づけて記憶するのが資産安定性をより向上させることができるので好ましい。また、前記第2の要素が前記不動産である場合には、不動産登記番号を前記アドレス又は前記第2の要素若しくは前記割当量に紐づけて記憶するのが資産安定性をより向上させることができるので好ましい。
【0016】
本発明においては、前記第2の要素が地下資源であるのが管理負担をより低減できるので好ましい。前記地下資源としては、例えば、鉱物資源又はエネルギー資源等が挙げられるが、本発明においては、前記地下資源が鉱物資源であるのが好ましく、貴金属鉱物であるのがより好ましく、金鉱物、ロジウム鉱物又はイリジウム鉱物であるのが最も好ましい。また、前記第2の要素が前記地下資源である場合には、前記第2の資産価値が、前記地下資源の採掘権に係る確定埋蔵量に基づき評価されたものであるのが管理負担を増やすことなく資産安定性をより向上させることができるので好ましい。なお、前記第2の要素が前記地下資源である場合には、鉱業権登録番号を前記アドレス又は前記第2の要素若しくは前記割当量に紐づけて記憶するのが資産安定性をより向上させることができるので好ましい。
前記鉱物は、資産価値を有する鉱物であれば特に限定されず、貴金属鉱物以外の公知の鉱物であってもよい。貴金属鉱物以外の鉱物としては、例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデン、亜鉛、アンチモン、ビスマス、バナジウム、銅、鉄、ニッケル、スズ等が挙げられる。前記エネルギー資源としては、例えば、石油、天然ガス、石炭、ウラン、メタンハイドレート、地熱等が挙げられる。
【0017】
「通信回線」は、特に限定されず、通信可能であれば無線回線であっても、有線回線であってもよいが、電話網又はインターネット網を含むことが、双方向で通信が行えるので好ましい。
「ブロックチェーン」とは、所定の通信プロトコルに従って通信する2以上の情報処理装置によって構成されたブロックチェーンに関する情報を共有するネットワーク等をいう。ブロックチェーンの好適な一例としては、P2Pネットワーク等が挙げられる。
【0018】
前記第1の記憶手段は、第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶できれば特に限定されない。前記第1の記憶手段としては、例えば、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶手段が挙げられる。本発明においては、前記第1の記憶手段が、例えば図4に示されるような第1の要素情報のデータベースにて記憶する手段であるのが好ましい。なお、前記第1の要素情報のデータベースとしては、例えば、図4に示すように、発行日時、発行先ユーザーID、発行先アドレス、発行量、累積発行量などが挙げられる。
【0019】
前記割当て手段は、前記第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てることができれば特に限定されない。例えば、前記第1の資産価値と、第1の要素の量とから、割り当てる前記第1の要素の資産価値を算出し、ついで、算出された資産価値と等価となるように、前記第2の資産価値から前記第2の要素の量を算出して、算出された量を前記割当量として第2の要素を割り当てる手段等が好適な例として挙げられ、前記の割り当ての際に、前記第2の資産価値から前記割当量を減算して、前記第2の要素の割当可能な量を算出し記憶し、前記割当可能な量の範囲で、前記第2の要素を前記第1の要素に割り当てるようにするのがより好ましい。
【0020】
前記第2の記憶手段は、前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶できれば特に限定されない。前記第2の記憶手段としては、例えば、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶手段が挙げられる。本発明においては、前記第2の記憶手段が、例えば図5に示されるような第2の要素情報のデータベースにて記憶する手段であるのが好ましい。なお、前記第2の要素情報のデータベースとしては、例えば、図5に示すように、発行日時、発行先ユーザーID、発行先アドレス、発行量、累積発行量などが挙げられる。
【0021】
以下、本発明の管理システムの好適な態様をより具体的に説明するが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
【0022】
図1は、前記管理システムの好適な実施態様の一例を模式的に示す。図1の管理システムは、デジタル通貨を利用できる利用者のユーザー端末11と、前記管理装置(管理サーバー)12とがブロックチェーン19を含むネットワーク(通信回線)18を介してそれぞれ通信可能に接続されている。
【0023】
管理装置(与信サーバー)12は、利用者情報、取引情報、前記アドレスを含む第1の要素情報及び前記割当量を含む第2の要素情報をそれぞれの記憶手段に記憶している。
【0024】
前記利用者情報としては、例えば図2に示されるデータベース等が挙げられる。図2の利用者情報は、ユーザーID毎に、パスワード、生年月日、住所及びその郵便番号、第1の要素残高又は第2の要素割当量等が紐づけられている。なお、前記利用者としては、個人又は法人等が挙げられる。
【0025】
前記取引情報としては、例えば図3に示されるデータベース等が挙げられる。図3の取引情報は、取引日時毎に、ユーザーID、アドレス、取引種別、取引量又は取引先アドレス等が紐づけられている。
【0026】
前記第1の要素情報としては、例えば図4に示されるデータベース等が挙げられる。図4の第1の要素情報は、第1の要素の発行日時毎に、発行先ユーザーID、発行先アドレス、発行量又は累積発行量等が紐づけられている。
【0027】
前記第2の要素情報としては、例えば図5に示されるデータベース等が挙げられる。図5の第2の要素情報は、第2の要素の割当日時、割当先ユーザーID、アドレス、割当量又は割当て可能残高等が紐づけられている。
【0028】
ユーザー端末11は、管理サーバー12と通信回線を介して通信可能に接続される端末であって、前記第1の要素の情報処理が可能な端末であれば特に限定されないが、本発明においては、通信回線18を介してブロックチェーン19上に記憶されている前記アドレスとともに前記第1の要素に係る前記第2の要素の照会要求を送信し、前記管理装置から、前記第1の要素に係る前記第2の要素と前記割当量とを受信すると、前記第2の要素と前記割当量とを表示する手段を有しているのが好ましい。
【0029】
前記ユーザー端末11としては、例えば図6に示すように、記憶部1101、処理部1102、入力部1103、出力部1104、表示部1105及び通信部1106を含んで構成されるもの等が好適な例として挙げられる。すなわち、前記ユーザー端末11は、サーバーやコンピュータの基本構成を備えていれば特に限定されず、例えば、利用者が法人である場合には、店舗又は営業店の管理サーバー、券売機又は金銭登録機等とすることもできる。本発明においては、前記ユーザー端末11が、管理サーバー12からブロックチェーン19のデータを部分的に受信して処理を行うSPVクライアントとして機能するのが好ましい。
【0030】
図6において、処理部1102は、CPU等の演算処理を行う手段を含む。処理部1102は、記憶部1101に記憶されている情報処理プログラム等を実行することによって、本実施の形態における前記第1の要素等に関する情報処理を実現する。記憶部1101は、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶手段を含む。記憶部1101は、処理部1102とアクセス可能に接続され、各種処理に供されるデータ等を記憶する。入力部1103は、ユーザー端末11に情報を入力する手段を含む。入力部1103は、例えば、利用者から入力を受けるタッチパネルやキーボードを備える。また、入力部1103は、外部から情報を受け取るネットワークインターフェース等を含み、処理に供されるデータを受信する。出力部1104は、決済端末11で処理された情報を出力する手段を含む。出力部1104は、例えば、管理者に対して画像を呈示するディスプレイを備える。また、出力部1104は、通信回線18を介して、決済端末11の外部へ情報等を送信するネットワークインターフェース等を含む。表示部1105は例えば、液晶ディスプレイ、ディスプレイパネルなどのディスプレイデバイスである。入力部1103と表示部1105とは、別体であってもよいし、一体化されたタッチパネルとして構成されてもよい。通信部1106は、例えば、通信インタフェースである。
【0031】
図7は、図1の管理システムにおいて好適に実施される情報処理フローの一例を模式的に示す図である。かかる情報処理は、例えば図6に示されるユーザー端末11の各機能が、CPUにて所定のプログラムを実行されることにより実行される。なお、管理装置12は、ユーザー端末11と各機能が同様であってよい。
利用者は、デジタル通貨を購入するため、ユーザー端末11から管理装置12にログイン認証を行う。具体的には、利用者はユーザー端末11を用いて、ユーザーID及びパスワード等からなるユーザー認証情報を管理装置12に送信する(S101)。管理装置12は、ユーザー端末11からユーザー認証情報を受信すると、記憶している前記利用者情報を用いて認証確認を行う(S102)。認証確認の完了後、管理装置12は、認証確認結果をユーザー端末11に送信する(S103)。なお、ユーザー認証情報が、記憶している前記利用者情報と整合しない場合には、管理装置12は、認証確認においてエラーが生じたことを示すエラー情報をユーザー端末11に送信する。
ユーザー端末11は、管理装置12から認証確認結果を受信すると、デジタル通貨購入画面を表示する(S104)。利用者は、デジタル通貨購入画面からデジタル通貨の購入分の数量等を指定して購入要求を利用者端末11を用いて、管理装置12に送信する(S105)。管理装置12は、ユーザー端末11から購入要求を受信すると、利用者の購入要求に基づいてデジタル通貨発行処理を行う(S106)。また、管理装置12は、発行するデジタル通貨の資産価値と数量から、発行分の価値を算出し、かかる価値と等価となるように、例えば採掘権に係るイリジウム鉱物の確定埋蔵量に基づく前記イリジウム鉱物の量を算出し、算出された量を割当量としてイリジウム鉱物を発行したデジタル通貨に割り当てる(S107)。なお、資産価値の評価には、交換レートではなく、貴金属交換所の貴金属換算レート等を用いて、法定通貨ベースで行ってもよい。管理装置12は、ユーザー端末11に、デジタル通貨発行完了及びイリジウム鉱物の割り当て完了を送信する(S108)。また、管理装置12は、利用者の決済サーバー(図示せず)にデジタル通貨発行にかかる費用の決済要求を送信する(S109)。決済事業者の前記決済サーバーは、例えば金融機関の決済サーバーであり、管理装置12やユーザー端末11と通信回線18を介して通信可能に接続されている。前記決済サーバーは、管理装置12から決済要求を受信すると、利用者との契約等に基づいて決済処理に付す(S110)。かかる決済処理は常法に基づき実施され得る。決済処理が完了した後、前記決済サーバーは、管理装置12に対し、決済処理結果を送信し(S111)、また、ユーザー端末11に対しても決済処理結果を送信する(S112)。
上記のようにして第1の要素を発行することにより、第1の要素の流通性を良好なものとするのみならず、第1の要素の資産安定性を優れたものにすることができる。
【0032】
また、本発明においては、前記管理装置が、前記ユーザー端末から前記第1の要素に係る前記第2の要素の照会要求を前記アドレスとともに前記管理装置が受信すると、前記管理装置は、前記アドレスに基づいて、前記第2の記憶手段から前記第1の要素に係る前記第2の要素と前記割当量とを抽出し、前記ユーザー端末に送信する手段を有しているのが好ましい。
【0033】
図8は、図1の管理システムにおいて好適に実施される情報処理フローの一例を模式的に示す図である。
利用者は、デジタル通貨等の残高照会するため、ユーザー端末11を用いて、ユーザーID及びパスワード等からなるユーザー認証情報を管理装置12に送信する(S201)。管理装置12は、ユーザー端末11からユーザー認証情報を受信すると、記憶している前記利用者情報を用いて認証確認を行う(S202)。認証確認の完了後、管理装置12は、認証確認結果をユーザー端末11に送信する(S203)。なお、ユーザー認証情報が、記憶している前記利用者情報と整合しない場合には、管理装置12は、認証確認においてエラーが生じたことを示すエラー情報をユーザー端末11に送信する。
管理装置12から認証確認結果を受信した後、ユーザー端末11から管理装置12に残高照会を送信する(S204)。管理装置12は、認証確認したユーザー端末11から残高照会を受信すると、利用者のデジタル通貨の残高を前記データベースから算出し(S205)、また、利用者に割り当てられている前記イリジウム鉱物の割当量の累計を算出し(S206)、算出されたデジタル通貨の残高とイリジウム鉱物の割当量とを照会結果としてユーザー端末11に送信する(S207)。
【0034】
図9は、図1の管理システムにおいて好適に実施される情報処理フローの一例を模式的に示す図である。
利用者は、デジタル通貨にて支払うため、ユーザー端末11を用いて、ユーザーID及びパスワード等からなるユーザー認証情報を管理装置12に送信する(S301)。管理装置12は、ユーザー端末11からユーザー認証情報を受信すると、記憶している前記利用者情報を用いて認証確認を行う(S302)。認証確認の完了後、管理装置12は、認証確認結果をユーザー端末11に送信する(S303)。なお、ユーザー認証情報が、記憶している前記利用者情報と整合しない場合には、管理装置12は、認証確認においてエラーが生じたことを示すエラー情報をユーザー端末11に送信する。
【0035】
管理装置12から認証確認結果を受信した後、ユーザー端末11は、デジタル通貨送金画面を利用者に表示する(S304)。デジタル通貨送金画面としては、例えば図10に示すような画面等が好適な例として挙げられる。利用者は、ユーザー端末11を用いて、送金先アドレス及びデジタル通貨の金額等を指定し、送金処理を行うことにより、管理装置12に送金処理情報が送信される(S305)。管理装置12は、ユーザー端末11から送金処理情報を受信すると、前記送金処理情報の送金先アドレス及びデジタル通貨の金額等に基づき、イリジウム鉱物の割り当て先を更新し(S307)、利用者の旧アドレスのデジタル通貨の残高及びイリジウム鉱物の割当量の減算処理を行い(S308)、送金先の新アドレスのデジタル通貨の残高及びイリジウム鉱物の割当量の加算処理を行う(S309)。管理装置12は、送金処理が完了すると、送金処理結果をユーザー端末11に送信する(S310)。
【0036】
なお、図10のデジタル通貨送金画面についてより具体的に説明する。図10のデジタル通貨送金画面では、デジタル通貨残高51が割当量52とともに表示されている。そして、利用者が送金先アドレス及びデジタル通貨の金額等を指定する処理を、支払先のユーザー端末でもって省略できるようにバーコード53が表示されている。バーコード53は、支払先のユーザー端末が読み取ることにより、支払元のアドレス等が暗号化されており、デジタル通貨での支払い処理が実行されるように構成されている。このように構成することで、本発明の流通性をより優れたものとすることができる。なお、前記バーコードは、二次元バーコード等であってもよい。また、図10のデジタル通貨送金画面では、二次元バーコード読取部54が表示されている。二次元バーコード読取部54のボタンを押下げることにより、二次元バーコードを読み取るスキャナーを作動することができるように構成されており、二次元バーコードをスキャナーで読み取ることにより、送金先のアドレス及び送金金額等を自動的に指定できるように構成されている。このように構成することにより、本発明の流通性をより優れたものとすることができる。また、本発明においては、送金処理に関わらず、前記した残高照会等についても同様にバーコードや二次元バーコード読取部等を利用することができる。そのため、本発明においては、前記ユーザー端末が、バーコード表示手段又はバーコード読み取り手段を有しているのが好ましい。
【0037】
ここで、本発明において好適に用いられるブロックチェーンについて説明する。本発明においては、ブロックは、第1の要素(好ましくはデジタル通貨)に関する情報を含む取引データベースとして機能する。具体的には、各ブロックは、ダイジェストデータ及び取引に関する情報であるトランザクションのリストを含む。ダイジェストデータは、1つ前のブロックから算出された新たなハッシュ値を含む。すなわち、図11に示すように、ブロックが1つ前のブロックに含まれる情報から算出されたハッシュ値を含むことによって、各ブロックがチェーンのように繋がった状態で取引データベース(ブロックチェーン)として記憶される。取引履歴データベースは、管理サーバーのみにて管理されるのではなく、ユーザー端末11等においても検証及び追加される。
【0038】
トランザクションは、第1の要素(好ましくはデジタル通貨)の交換を記録するデータである。トランザクションは、インプット情報とアウトプット情報とを含む。インプット情報は、交換元となる利用者が取引対象となるデジタル通貨の交換を受けたときのトランザクションのアウトプット情報(トランザクションを特定する識別情報(トランザクションのハッシュ値や配列番号等))と、利用者がその第1の要素(好ましくはデジタル通貨)を所有することを証明するための情報(当該アウトプットを使用する条件を満たすスクリプト等)を含む。アウトプット情報は、交換された第1の要素(好ましくはデジタル通貨)の種類及び数、交換先を特定するアドレスにおいて交換された第1の要素(好ましくはデジタル通貨)を使用するためのスクリプト等の情報を含む。
【0039】
図12は、本発明において好適に用いられるブロックチェーンのトランザクションの構成の一例を示す。第1の要素(好ましくはデジタル通貨)は、取引履歴、すなわち、第1の要素(好ましくはデジタル通貨)が今まで経てきた取引のまとまりとして表現される。それぞれのトランザクション(通貨等の取引)では、前のトランザクションのハッシュ値や、新たな所有者の公開鍵を含み、元の所有者の暗号鍵によってデジタル署名されている。全てのトランザクションに関する情報は、P2Pネットワーク全体で共有される。このようにトランザクションを表現することで、元の所有者の許可なく、通貨等を本人以外が勝手に譲渡することはできず、また、第三者は、通貨の譲渡を客観的に確認できるといった利点を有する。
【0040】
図13は、本発明において好適に用いられるブロックチェーンのトランザクションのデータ構造の一例を示す。トランザクションのデータ構造は、「出力(出金する通貨)」と、「入力(入金に用いる通貨)」とを有している。送金には、相手に渡す第1の要素(好ましくはデジタル通貨)及び宛先(アドレス)が必要であるが、それらを表現したものが出力である。自分に宛てられた通貨を使うか、又は誰かに送金するためには、過去のトランザクションの出力を参照しなければならず、それが今回のトランザクションにおける入力に相当する。一つのトランザクションにおいて、出力および入力はそれぞれ複数指定できる。任意の額の送金を行うためには、過去の自分宛のトランザクションの出力を集め、これから行う取引の入力として指定する必要がある。
【0041】
図14は、本発明において好適に用いられるブロックチェーンのトランザクションのスクリプトの一例を示す。図14の第1の要素(好ましくはデジタル通貨)では、スクリプトによって、入力元のアドレス及び出力元のアドレスを含むトランザクションが記述される。同図に示したトランザクションは、過去に利用者から自分宛に送金されたデジタル通貨を用いて、他の利用者宛てに所定の額面の通貨を送金することを意味している。トランザクションには、そのトランザクション固有のトランザクション識別子が付されており、通常、トランザクションのハッシュ値が用いられる。「OutputScript」には複数の出力が指定できるところ、「出力2」は、入力のデジタル署名を検証する通常の記述であるのに対し、「出力1」は、バイト配列を付加するための記述である。スクリプトでは、「OP_RETURN」というコードが用意されており、これは、一般的なプログラミングのreturnと同様、そこに来るとスクリプトをストップし、その出力の参照を許さない、とするものである。そして、「OP_RETURN」に続き、「OP_PUSHDATA」を用いてバイト配列を付加すれば、デジタル署名に悪影響を及ぼすことなく、「出力1」をバイト配列の記述欄として利用することができる。なお、「OP_PUSHDATA」を用いて付加できるバイト配列のバイト数には上限がある関係上、ファイルについてはハッシュ値を用い、テキストメッセージについては上限値を超えないことが条件となる。
【0042】
上記のように構成することで、第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段を少なくとも有する管理装置を、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段、及び前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段として機能させることができる。より好ましくは、前記管理装置を、前記第1の要素に係る前記第2の要素の照会要求を前記アドレスとともに受信すると、前記アドレスに基づいて、前記第2の記憶手段から前記第1の要素に係る前記第2の要素と前記割当量とを抽出する手段として機能させることができる。
【0043】
また、上記のように構成することで、ブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶されている第1の資産価値を有する第1の要素を利用できる利用者のユーザー端末を、第1の資産価値を有する第1の要素をブロックチェーン上に少なくともアドレスとともに記憶する第1の記憶手段、第2の資産価値を有する第2の要素を、前記第1の資産価値に基づいて前記第1の要素に割り当てる割当て手段、及び前記アドレスに紐づけて、前記第2の要素を前記の割り当てられた割当量とともに記憶する第2の記憶手段を少なくとも有している管理装置に対し、前記第1の要素に係る前記第2の要素の照会要求を前記アドレスとともに送信し、前記管理装置から、前記第1の要素に係る前記第2の要素と前記割当量とを受信すると、前記第2の要素と前記割当量とを表示する手段として機能させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の管理装置、管理システム又はこれらに適用されるプログラムは、デジタル通貨等での情報処理の利活用にとりわけ有用である。
【符号の説明】
【0045】
11 ユーザー端末
12 管理装置(管理サーバー)
18 通信回線
19 ブロックチェーン
51 デジタル通貨残高
52 割当量
53 バーコード
54 二次元バーコード読取部
1101 記憶部
1102 処理部
1103 入力部
1104 出力部
1105 表示部
1106 通信部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14