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  • 特開-ネットワークシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039222
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
H04L12/28 200M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144139
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】木村 剛史
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA05
5K033DB18
5K033EC01
5K033EC03
(57)【要約】
【課題】通信ポートの通信条件の設定を正確に行うことができるネットワークシステムを提供すること。
【解決手段】本開示の一態様に係るネットワークシステムは、それぞれ通信機器を接続可能な複数の通信ポートと、前記通信ポートを介した前記通信機器との通信を個別に制御する通信制御部と、前記通信ポートへの前記通信機器の接続又は接続の示唆を検知する接続検知部と、前記通信制御部における前記通信ポートごとの通信条件の設定を行う通信設定部と、備え、前記通信設定部は、前記接続検知部が接続又は接続の示唆を検知したときに、前記接続検知部が接続又は接続の示唆を検知した前記通信ポートの通信条件の設定を開始する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ通信機器を接続可能な複数の通信ポートと、
前記通信ポートを介した前記通信機器との通信を個別に制御する通信制御部と、
前記通信ポートへの前記通信機器の接続又は接続の示唆を検知する接続検知部と、
前記通信制御部における前記通信ポートごとの通信条件の設定を行う通信設定部と、
を備え、
前記通信設定部は、前記接続検知部が接続又は接続の示唆を検知したときに、前記接続検知部が接続又は接続の示唆を検知した前記通信ポートの通信条件の設定を開始する、ネットワークシステム。
【請求項2】
前記接続検知部は、前記通信ポートの信号の状態に基づいて、前記通信機器の接続を検知する、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記通信ポートごとに前記通信条件を記憶する設定記憶部を有し、
前記通信設定部は、前記通信条件を一時的に記憶する作業記憶部と、前記作業記憶部に記憶された前記通信条件を前記設定記憶部に転送する設定適用部と、を有する。請求項1又は2に記載のネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業機械、家庭用電気機械器具等、様々な機器が通信機能を有し、ネットワークに接続されている。ネットワークに接続された機器を有効に利用するためには、ネットワークを制御する制御装置において、機器ごとに例えばIPアドレス、サブネットマスク、通信プロトコル等の通信条件の設定を行う必要がある。
【0003】
多くのネットワークシステムは、複数の機器をネットワークに接続するために、それぞれ個別に機器を接続する複数の通信ポートを備える装置を有する。このような通信ポートとしては、例えば、広く普及しているネットワーク規格であるイーサネットでは、主にISO8877に規定されるRJ45コネクタのジャック(雌型コネクタ)が用いられる。一般的に、複数の通信ポートを備える装置では、通信ポートに番号が付されており、機器を接続した通信ポートの番号を制御装置に入力して、その機器の通信条件の設定を行う。
【0004】
しかしながら、通信ポートの番号だけを頼りにするだけでは、通信ポートを取り違えて設定を行ってしまうおそれがある。このため、例えば特許文献1には、複数の通信ポートを有するネットワークスイッチ(ハブ)に、機器のトポロジー図、フロアプラン又はマップを表示するグラフィカル管理インターフェースを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-63417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるように、機器を接続する通信ポートの配置を示す画像を表示することによって、通信条件の設定の誤りを抑制することができるが、例えば複数のネットワークスイッチを有する場合等、依然として通信ポートの取り違えが生じる余地がある。このため、通信ポートの通信条件の設定を正確に行うことができるネットワークシステムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るネットワークシステムは、それぞれ通信機器を接続可能な複数の通信ポートと、前記通信ポートを介した前記通信機器との通信を個別に制御する通信制御部と、前記通信ポートへの前記通信機器の接続又は接続の示唆を検知する接続検知部と、前記通信制御部の前記通信ポートごとに通信条件の設定を行う通信設定部と、を備え、前記通信設定部は、前記接続検知部が接続又は接続の示唆を検知したときに、前記接続検知部が接続又は接続の示唆を検知した前記通信ポートの通信条件の設定を開始する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、通信ポートの通信条件の設定を正確に行うことができるネットワークシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す模ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るネットワークシステム1の構成を示す模式図である。
【0011】
ネットワークシステム1は、それぞれ通信機器100を接続可能な複数の通信ポート10と、通信ポート10を介した通信機器100との通信を個別に制御する通信制御部20と、通信ポート10への通信機器100の接続を検知する接続検知部30と、通信制御部20における通信ポート10ごとの通信条件の設定を行う通信設定部40と、ユーザ(システム管理者等)が通信条件を入力するために用いる入力部50と、ユーザに設定を行っている通信条件等を表示する出力部60と、を備える。
【0012】
ネットワークシステム1は、例えばCPU、メモリ等を有し、適切なプログラムを実行する単一又は複数のコンピュータ装置、及び、必要に応じてコンピュータ装置に接続される1又は複数の補助装置(例えば、スイッチングハブ)によって構成することができる。なお、図1では、ネットワークシステム1は、単一のコンピュータ装置から構成されるネットワーク制御装置として示されている。ネットワークシステム1の主体となるコンピュータ装置は、汎用コンピュータ装置に限られず、例えば工作機械用数値制御装置、ロボット制御装置等であってもよい。
【0013】
ネットワークシステム1において、通信制御部20、接続検知部30、通信設定部40、入力部50及び出力部60は、機能的に区分されるものであり、その物理的構造及びプログラム構造において明確に区分できなくてもよい。また、ネットワークシステム1において通信制御部20、接続検知部30、通信設定部40、入力部50及び出力部60の一部が、他の構成要素を構成するコンピュータ装置とネットワーク等を介して接続される別の装置によって構成されてもよい。
【0014】
通信機器100は、ネットワークを介して接続されるものであれば特に限定されず、工作機械用数値制御装置、ロボット制御装置、PLC(Programable Logic Controller)、各種加工装置、各種検出装置、記憶装置等であってもよく、他のネットワークシステムの制御装置であってもよい。
【0015】
通信ポート10は、例えばRJ45、USB、RS232C等の規格に準拠したコネクタ(一般的には雌型)を有するものとすることができる。複数の通信ポート10は、1又は複数の筐体に、配設され得る。通信ポート10は、ネットワークシステム1の他の構成要素を構成するコンピュータ装置に接続されるハブ等のコネクタであってもよい。
【0016】
通信制御部20は、それぞれの通信ポート10を介した通信機器100との通信を制御するものであり、例えばOSI参照モデルにおけるデータリンク層以上の制御を各種の規格に準拠した通信条件で行うものとすることができる。具体例として、通信制御部20は、データリンク層においては、通信ポート10のコネクタに合致する規格、例えばイーサネット、USB等の規格に準拠したデータ転送を行うものとすることができる。また、通信制御部20は、通信条件として、エラー訂正、再送制御、ファイル転送等のより上位の制御手順に従う制御を行ってもよい。
【0017】
このため、通信制御部20は、通信ポート10ごとに設定される通信条件を記憶する設定記憶部21と、設定記憶部21に記憶される通信条件に従って通信ポート10を介した通信機器100との通信を制御する主制御部22と、を有する構成とされてもよい。
【0018】
設定記憶部21に記憶される通信条件としては、各通信ポート10を介して接続される通信機器100のIPアドレス、サブネットマスク等の情報、通信機器100との通信に適用される通信プロトコル等を挙げることができる。
【0019】
接続検知部30は、それぞれの通信ポート10への通信機器100の接続、典型的には通信機器100から延びる通信ケーブルの先端に設けられるプラグの通信ポート10への挿入を、機械的又は電気的に検出する。接続検知部30は、通信ポート10への通信機器100の接続を検知した場合に、その旨を通信設定部40に通知する。
【0020】
具体例としては、接続検知部30は、通信ポート10の信号の状態(通信機器100の接続により流れる電流)に基づいて、通信ポート10への通信機器100の接続を検出するよう構成され得る。接続検知部30が通信ポート10の信号の状態に基づいてソフトウェア的に通信機器100の接続を検出することで、通信ポート10に汎用的なハードウェアを用いることができるため、ネットワークシステム1は、安価に構成することができ、既存のシステムのソフトウェアを更新することにより構成できる場合もある。
【0021】
接続検知部30は、各通信ポート10に通信機器100を接続することを示唆するためにユーザが操作できる接続示唆スイッチを設けて、通信ポート10の接続示唆スイッチの導通状態によって、これから通信機器100を接続しようとしていること又は既に通信機器100を接続したことを検知するよう構成されてもよい。
【0022】
通信設定部40は、接続検知部30が通信ポート10への通信機器100の接続を検知した場合に、接続を検知した通信ポート10を介した通信機器100との通信条件の設定を開始する。通信設定部40における通信条件の設定は、入力部50及び出力部60を利用して行われる。
【0023】
通信設定部40は、通信条件の設定のためのユーザインターフェイスを提供する設定処理部41と、設定処理部41により設定される通信条件を一時的に記憶する作業記憶部42と、作業記憶部42に記憶された通信条件を設定記憶部21に転送する設定適用部43と、を有する構成とされてもよい。
【0024】
具体的には、設定処理部41は、接続検知部30から通信機器100の接続を通知された通信ポート10に関する通信条件を設定するための設定画面を、出力部60に表示させる。より詳しくは、設定処理部41は、出力部60に通信条件を入力するための入力ボックスを表示させ、入力部50からの入力値を入力ボックスに表示させるよう構成され得る。
【0025】
設定処理部41は、通信条件の設定を行っている通信ポート10の番号、配置等を設定画面に表示することが好ましい。また、設定処理部41は、通信条件の設定の完了を確認する例えばボタン表示等の終了確認手段を提供することが好ましい。
【0026】
作業記憶部42は、入力部50から入力された値を、通信条件の設定作業が終了するまで記憶する。設定適用部43は、設定処理部41において通信条件の設定完了が確認されたときに、作業記憶部42に記憶されている通信条件を設定記憶部21に転送することで、主制御部22による通信制御に反映させる。
【0027】
入力部50は、例えばマウス、キーボード等の入力装置から構成され得る。また、入力部50は、例えばタッチパネル等、出力部60と一体に構成されてもよい。入力部50は、それ自体が通信ポート10を介して通信を行う通信機器100の一つであってもよい。
【0028】
出力部60は、例えば液晶モニタ、有機ELモニタ等のディスプレイ装置によって構成され得る。出力部60は、それ自体が通信ポート10を介して通信を行う通信機器100の一つであってもよい。
【0029】
以上のように、ネットワークシステム1は、通信ポート10への通信機器100の接続を検知する接続検知部30を備え、通信設定部40が接続検知部30により通信機器100の接続が検知された通信ポート10を介した通信の通信条件の設定を開始する。このため、ネットワークシステム1は、ユーザが誤って、通信機器100を接続した通信ポート10と異なる通信ポート10の通信条件を設定することを防止できるので、新しい通信機器100を接続したときに通信ポート10の通信条件の設定を正確に行うことができる。
【0030】
以上、本開示に係るネットワークシステムの一実施形態について説明したが、本開示の範囲は前述した実施形態に限るものではない。また、前述した実施形態に記載された効果は、本開示に係るネットワークシステムから生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本開示に係るネットワークシステムによる効果は、前述の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0031】
例として、本開示に係るネットワークシステムにおいて、通信設定部は、ユーザが逐次入力する通信条件を一時的に記憶することなく、通信制御部の設定記憶部に記憶されている通信条件をその都度書き換えてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 ネットワークシステム
10 通信ポート
20 通信制御部
21 設定記憶部
22 主制御部
30 接続検知部
40 通信設定部
41 設定処理部
42 作業記憶部
43 設定適用部
50 入力部
60 出力部
100 通信機器

図1