(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039249
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 1/14 20060101AFI20220303BHJP
B65H 1/04 20060101ALI20220303BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20220303BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B65H1/14 322A
B65H1/04 326B
B65H3/06 A
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144182
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】相川 憲稔
(72)【発明者】
【氏名】秋山 洋人
(72)【発明者】
【氏名】小澤 政利
(72)【発明者】
【氏名】坂本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】竹下 尚人
(72)【発明者】
【氏名】畑川 和義
(72)【発明者】
【氏名】桧垣 明治
(72)【発明者】
【氏名】堀内 圭
(72)【発明者】
【氏名】西沢 聖児
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 裕
(72)【発明者】
【氏名】横山 尚己
【テーマコード(参考)】
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB03
3F048BA05
3F048BB02
3F048BD07
3F048CB17
3F048CC05
3F048DA01
3F048DB03
3F048DC12
3F048EA02
3F048EB06
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC27
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA12
3F343HA33
3F343HE08
3F343HE16
3F343JA01
3F343KB03
3F343LA04
3F343LA14
3F343LC17
3F343MA04
3F343MA09
3F343MA33
3F343MB04
3F343MB09
3F343MC03
(57)【要約】
【課題】シートの収納庫が後端規制部材の移動の妨げとなるまで降下するのを防止するシート給送装置を提供する。
【解決手段】シート給送装置2は、積載トレイ38に積載されたシートを繰出ローラー51によって給送方向に取り出す。積載トレイ38は、昇降機構34によって繰出ローラー51によるシート取出し位置とシートの補充位置とを上下移動する。積載トレイ38は、積載したシートの給送方向での上流側の後端を規制する後端規制部材43を備えて、後端規制部材43はその下方に位置するスライド部47により給送方向に沿って移動自在である。積載トレイ38の下方には、そのシート積載面がスライド部47に当接しない位置で積載トレイ38の異常な降下を阻止するための阻止部39が設けられる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載して収納する積載部と、
前記積載部上のシートを給送方向に取り出す給紙手段と、
前記積載部を昇降する昇降手段と、
前記積載部上のシートの前記給送方向での上流側の後端を規制する移動自在な後端規制部材と、
前記後端規制部材の下方に位置して該後端規制部材を前記給送方向に移動させる移動手段と、
前記積載部のシート積載面よりも下方の位置で前記積載部のシート給紙方向下流側の降下を阻止する阻止部と、を備えたことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記積載部の昇降範囲の下限位置への到達を検出する第1の検出手段と、
前記積載部を強制停止させるのに設けた前記下限位置よりさらに下方の最下限位置への前記積載部の到達を検出する第2の検出手段と、
を更に備え、
前記阻止部は、前記下限位置と前記最下限位置の間の高さで前記積載部の降下を阻止する、ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記積載部には前記後端規制部材が移動するための切欠部が設けられ、前記移動手段は前記切欠部に対応する位置に設けられる請求項1又は2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記昇降手段は、
前記積載部の前記給送方向での上流側を吊り下げる第1及び第2のワイヤーと、
前記第1及び第2のワイヤーよりも短い長さで、前記積載部の前記給送方向での下流側を吊り下げる第3及び第4のワイヤーと、を有し、
前記阻止部は、前記上流側に設けることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のシート給送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のシート給装装置と、
前記シート給装装置から給送されるシートに画像を形成する画像形成装置と、
を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給紙するシート給送装置に関し、より詳細には、シートを積載して昇降可能な収納庫を備えたシート給送装置に関するものである。更に本発明は、かかるシート給送装置を備えた画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンター等の画像形成装置には、画像形成部にシートを給送するシート給送装置が内蔵され又は外付けで装備されている。一般にシート給送装置は、例えば数千枚に及ぶ大容量のシートを収納可能な収納庫と、収納庫内でシートを積載する積載トレイと、積載トレイ上の最上位シートを給送する給紙機構を備えている。
【0003】
このようなシート給装装置は、収納するシートのサイズに応じて、シートの幅方向の位置規制を行うサイド規制部材、及びシートの給送方向のサイズを規制する後端規制部材が設けられている。そして、特に後端規制部材に関しては、収納庫内にあって、シートが載置される載置にはシートの給送方向に沿って切欠きが設けられて、後端規制部材は、シートの給送方向のサイズに応じてこの切欠き内をスライドするように構成されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、収納庫は、積載したシートの上面が常に給送位置に来ているよう、及びシートの補充に際しては補充位置まで下降するよう昇降機構を備える。このような昇降機構としては、収納庫をワイヤーで吊り下げて、ワイヤーの巻き取りや巻き戻しで昇降するものが知られている(例えば、特許文献2を参照)。この特許文献2の給送装置は、収納庫が補充の下限位置まで到達したことを検出する下限センサーを備え、この下限センサーの下方には、フェイルセーフのための下限検出スイッチが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-269472号公報
【特許文献2】特開2020-33123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように収納庫の積載トレイに切欠きを形成して後端規制部材をスライド可能にした給送装置にあっては、積載されたシートの重みによって、積載トレイが決められた以上に下降すると、後端規制部の移動機構に積載シートの最下面が当接して後端規制部材の移動を妨げる、という問題が発生する。
【0007】
特に、特許文献2のワイヤーを用いた昇降機構では、
図11に示すように、給送方向の上流側を吊り下げるワイヤー100aは、その下流側を吊り下げるワイヤー100bと比べて長くなるため、大量のシートを積載したとき、ワイヤー100aの伸び量はワイヤー100bの伸び量より長くなる。このように、ワイヤー100aとワイヤー100bとの伸び量が異なると、収納庫は水平状態を保てずにその下流側が沈み、収納庫の下方に設置されている後端規制部材の駆動部と接触すると、後端規制部材の動作に不具合をきたすことになる。
【0008】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートの収納庫が後端規制部材の移動の妨げとなるまで降下するのを防止するシート給送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のシート給送装置は、シートを積載して収納する積載部と、前記積載部上のシートを給送方向に取り出す給紙手段と、前記積載部を昇降する昇降手段と、前記積載部上のシートの前記給送方向での上流側の後端を規制する移動自在な後端規制部材と、前記後端規制部材の下方に位置して該後端規制部材を前記給送方向に移動させる移動手段と、前記積載部のシート積載面よりも下方の位置で前記積載部のシート給紙方向下流側の降下を阻止する阻止部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート給送装置によれば、阻止部によって収納庫が後端規制部材の移動手段への接近を阻止するため、収納庫の上下方向の空間を大きくとる必要がなく製品の小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の好適な実施形態にかかるシート給紙装置を備えた画像形成システムの全体構成図を示す。
【
図2】(a)図は、シート給紙装置が画像形成装置から離間した状態を、(b)図はシート給紙装置からシート収納部を引き出した状態をそれぞれ概略図で示す。
【
図3】シート給紙装置の内部構成を正面側(
図1の手前側)から見た概略図を示す。
【
図7】
図6の図中での手前側のスライドレールを外した状態の側面図を示す。
【
図9】シート給紙装置の制御構成をブロック図で示す。
【
図10】(a)は収納庫が下限位置まで降下した状態の説明図、(b)はシートを補充した状態の説明図、(c)は収納庫が下限位置を超えて下限検出位置まで降下した異常時の状態の説明図、をそれぞれ示す。
【
図11】ワイヤーで吊り下げられる収納庫の異常時における不具合の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の画像形成システム100の全体構成を概略的に示している。画像形成システム100は、画像形成装置1と、シート給紙装置2とを備える。シート給送装置2は、画像形成装置1の一方(
図1中、右側)の側面に連結されている。画像形成装置1には、原稿読取装置3と原稿給送装置4とシート集積装置5とが一体に装着されている。
【0014】
[画像形成装置]
画像形成装置1は、所定枚数(例えば、100枚程度)のシートを収納可能な給紙カセット6(図示する実施形態では、2つの給紙カセット6a,6b)を内部に備えている。シート給紙装置2は、給紙カセット6a,6bよりも多数枚のシートの積載に対応可能に比較的大容量に構成されている。
【0015】
画像形成装置1は、原稿読取装置3によって原稿シートから読み取られた画像データに基づいて、給紙カセット6a,6b又はシート給紙装置2から供給されたシート上に画像形成を行い、画像形成されたシートをシート集積装置5に集積、収納する。原稿読取装置3には、原稿給送装置4によって原稿シートを自動で給送することもできる。ここで、画像形成システム100において扱われるシートには、A4等の小サイズやB4、A3等の大サイズの普通紙の他、規格サイズ以外の長尺シート、OHPシート、トレーシングペーパー、コート紙などの特殊シートを含むものとする。
【0016】
画像形成装置2は、例えば、複写機、プリンター、ファクシミリ等であり、シートに画像を形成し得るものであれば、公知の様々な画像形成機構を採用することができ、例えば床面に設置される。図示される実施形態の画像形成装置2は、画像形成機構として静電式画像形成機構を採用しているが、これに限定されるものではなく、インクジェット式画像形成機構、オフセット式画像形成機構等を採用することも可能である。
【0017】
図1に示す画像形成装置2は、投光器(レーザーヘッド等)7と、感光ドラム8と、現像器9と、転写チャージャー10と、定着ローラー11とを備えている。各給紙カセット6a,6bに収納されているシートは、その最上面に接触している送出ローラー12によって送り出され、分離ローラー対13によって1枚ずつに分離され、搬送ローラー対14によって搬送路15を転写チャージャー10へと送られる。シート給紙装置2から搬入されたシートは、同様に搬送ローラー対14によって搬送路15を転写チャージャー10へと送られる。
【0018】
給紙カセット6a,6b又はシート給紙装置2から供給されたシートには、感光ドラム8の表面に投光器7で形成した静電潜像(静止画像)に現像器9で付着させたトナーが、転写チャージャー10によって転写される。トナーが転写されたシートは、下流側に配置される定着ローラー11に送られて、シート上のトナーを加熱定着させた後、排紙ローラー対16によってシート集積装置5へ排出される。
【0019】
原稿読取装置3の上部には、透明なガラスで形成された第1のプラテン17と第2のプラテン18とが水平方向に並設されている。第1のプラテン17は、手置きでセットされる原稿の読み取りに用いられ、対応可能な最大サイズの原稿を載置できるようなサイズに形成されている。第2のプラテン18は、原稿給送装置4から給送されて所定速度で移動する原稿の読み取りに用いられる。
【0020】
原稿読取装置3の内部には、第1の読取キャリッジ19及び第2の読取キャリッジ20と、集光レンズ21及び光電変換素子22を有する光電変換手段が設けられている。第1の読取キャリッジ19及び第2の読取キャリッジ20は、図示されないキャリッジモーターによって駆動されて、第1のプラテン17の下方を副走査方向に往復移動する。第1のプラテン17上に載置された原稿の読み取りを行うとき、第1の読取キャリッジ19及び第2の読取キャリッジ20を移動させながら、第1の読取キャリッジ19のランプから光を第1のプラテン17上の原稿の画像へ照射し、原稿からの反射光を、第1の読取キャリッジ19及び第2の読取キャリッジ20のミラーから集光レンズ21を介して光電変換素子22に案内し、電気信号に変換することによって画像データを生成させる。
【0021】
原稿給送装置4は、給紙トレイ23と、シート搬送機構24と、排紙トレイ25とを備える。給紙トレイ23上に載置された原稿は、シート搬送機構24によって1枚ずつ搬送され、第2のプラテン18上を通過し、排紙トレイ25に排出される。原稿給送装置4から給送されて第2のプラテン18上を通過する原稿を読み取るとき、第1の読取キャリッジ19及び第2の読取キャリッジ20は、第2のプラテン18の下方で予め停止させておき、第2のプラテン18上を通過する原稿から画像データを生成させる。
【0022】
[シート給送装置]
次に、
図1乃至
図3を参照して、シート給送装置2の構造を詳細に説明する。
【0023】
シート給送装置2は、装置全体を収容する筐体31内に、画像形成装置1に供給するシートを収納する収納庫32と、収納庫32内のシートを1枚ずつに分離して画像形成装置1に向けて供給する分離給紙機構33と、昇降機構34とを備える。
図2(a)に示すように、筐体31は、例えばシート給送装置2から画像形成装置1に供給されるシートのジャムを処理するために、その下部に収納されている着脱レール35に沿って、画像形成装置1の側面から離間させることができる。
【0024】
収納庫32は、例えばシートを補給するために、筐体31内に設けられた引き出し機構36によって、
図2(b)に示すように、シート給送装置2から画像形成装置1へシートを供給する給送方向と直交する正面方向(
図1中、手前側)に引き出し可能に支持されている。引き出し機構36は、例えば収納庫32の左右両外側面に取り付けられたスライドレール36aと、該スライドレールを摺動可能に支持するように、それぞれに隣接する筐体31内の左右側面に取り付けられたガイドレール36bとから構成される。
【0025】
シート給送装置2は、筐体31上面の正面側辺縁付近に開閉スイッチ37が設けられている。ユーザーが開閉スイッチ37を押すと、収納庫32が付勢部材(図示せず)によって開かれて、手前側に引き出し可能位置に押し出される。これにより、ユーザーは、収納庫32をガイドレール36bに沿って手で容易に、シートを補給可能な位置まで引き出すことができる。
【0026】
収納庫32は、上部に開口部を設けた概略箱型形状を有し、その内側には、積載トレイ38が、昇降機構34により上下方向に昇降可能に設けられている。積載トレイ38は、所定サイズのシートの全体を積載できるようになっており、収納庫32が上述したように筐体31から引き出された状態のとき、前記上部の開口部を通して積載トレイ38上にシートを装填、積載することができる。
【0027】
分離給紙機構33は、積載トレイ38上に積載されたシートの最上面に接触してシートを取り出して給送方向に送り出す給紙手段である繰出ローラー51と、送り出されたシートを一枚ずつに分離して画像形成装置1へ搬送する分離搬送手段とを含んでいる。前記分離搬送手段は、給紙ローラー52と、該給紙ローラーに圧接して2枚目以降のシートの供給を阻止する分離ローラー53とによって構成される。前記分離搬送手段の下流側には、シートを画像形成装置1の搬送路15内に送り出すための搬送ローラー対54が設けられている。
【0028】
繰出ローラー51は、給紙モーターM2によって回転駆動される。繰出ローラー51は、シートの上面に接触する作動位置とシートの上面から離れた待機位置との間で移動可能に構成されている。給紙ローラー52は、同様に給紙モーターM2によって、図示されていない複数のギヤやタイミングベルトを介して駆動されて回転し、繰出ローラー51によって積載トレイ38上から送り出されたシートを画像形成装置1へ供給する。
【0029】
給紙ローラー52のシャフト周りにブラケット(図示せず)を回動自在に支持し、該ブラケットの先端に繰出ローラー51を回転可能に支持して、給紙モーターM2による給紙ローラー52のシャフトの回転が、複数のギヤを介して伝達されて繰出ローラー51を回転駆動するように構成することができる。この場合、例えばソレノイドによって前記ブラケットを給紙ローラー52のシャフト周りに回動させて、繰出ローラー51を作動位置と待機位置との間で移動させることができる。
【0030】
分離ローラー53は、その回転軸にトルクリミッター(図示せず)が取り付けられている。これにより、給紙ローラー52と分離ローラー53との圧接部でシートが2枚以上重なってニップされたとき、分離ローラー53が停止して上から2枚目以降のシートの供給を阻止するようになっている。例えば複数のシートが重なって給紙ローラー52と分離ローラー53とのニップ部に進入すると、給紙ローラー52の駆動力が最上位のシートに伝達される一方、分離ローラー53の回転が停止されるので、最上位のシートとそれより下のシートとの間で滑りが生じ、最上位のシートだけがそれより下のシートから分離して送り出される。当然ながら、分離ローラー53に代えて分離パッドなど他の部材を用いてもよい。
【0031】
[収納庫の構成]
積載部は、
図4及び
図5に示すように、主トレイ40a及び2枚のサブトレイ40bから成る積載トレイ38と、それぞれシート幅方向に延設されて、シートの給送方向の上流側と下流側に配置されたステー65,66とからなる。主トレイ40aには、積載トレイ38に積載されたシートの後端を規制する後端規制部43がシートの給送方向にスライド移動するための切欠部68が形成されている。
【0032】
各サブトレイ40bは、主トレイ40aの幅方向の両側の切り欠き部分のそれぞれに配置され、下流側が収納庫32の内側方向に狭くなる略三角状の部分と、側端規制部材41,42の規制面に沿って延設された部分と、を有する。サブトレイ40bは、上下方向に移動可能に側端規制部材41,42に取り付けられている。また、上下方向にも移動可能なよう、その上流側端部及び三角部分が主トレイ40aに支持されるように構成されている。これによって、サブトレイ40bは、側端規制部材41,42の移動に伴って幅方向に移動し、主トレイ40aの昇降動作にて上下方向に移動するようになっている。このような構成により、積載トレイ38上で積載されるシートのサイズに応じて、側端規制部材41,42及び/又は後端規制部材43を積載トレイ38の底部上で移動させて、その側端位置及び/又は後端位置を規制することができる。
【0033】
上流側のステー65は主トレイ40aの上流側端部を支持する一方、下流ステー66は主トレイ40aの下流側端部を支持するとともに、2枚のサブトレイ40bのそれぞれの下流側端部を幅方向に移動可能に支持している。
【0034】
[エアー吹き付け機構]
シート給送装置2は、
図3中、奥側に配置された側端規制部材42の背後に、エアー吹き付け機構80を備える。エアー吹き付け機構80は、給紙方向に沿って画像形成装置1側の第1エアーブロワ81と、それより後端側の第2エアーブロワ82とから構成されている。第1エアーブロワ81及び第2エアーブロワ82は、それぞれ送風ファン83,84を有し、第1エアーブロワ81には、送風ファン83の上流側にヒーター85が設けられている。
【0035】
側端規制部材41、42は、分離給紙機構33による給紙位置よりも高く設けられ、その上端部には、それぞれ第1エアーブロワ81及び第2エアーブロワ82のエアー吹き出し口86,87が開設されている。エアー吹き出し口86,87は、その上端が給紙位置に位置する最上位のシートよりも幾分上方に位置するように、その下端が前記最上位のシートよりも下側の複数シートを含むような寸法及び形状に形成されている。これにより、第1エアーブロワ81及び第2エアーブロワ82を作動させて、エアー吹き出し口86,87から吹き出されるエアーによって、最上位のシートを画像形成装置1側に送り出す際に、該最上位のシートをそれより下側のシートからより容易に分離させることができる。
【0036】
[昇降機構]
積載トレイ38を昇降させる昇降機構34は、
図5に示すように主トレイ40aを支持するステー65とステー66の各両端をそれぞれ吊り下げる4本のワイヤー46a、46b、46c、46dと、これら4本のワイヤーが掛けられる複数のプーリー47と、プーリー47を介してワイヤー46a乃至46dの巻き取りと巻き戻しを行う巻取プーリー48a、48bと、この巻取プーリー48a、48bを回転させる昇降モーターM1と、昇降モーターM1の駆動を巻取プーリー48a、48bに伝達する複数のギヤ、タイミングベルトからなる駆動伝達機構49と、を備える。
【0037】
ワイヤー46a,46bは、上流側のステー65を吊り下げ、ワイヤー46c,46dは、下流側のステー66を吊り下げている。ワイヤー46aとワイヤー46cを巻き取る巻取プーリー48aと、ワイヤー46bとワイヤー46dを巻き取る巻取プーリー48bとは、積載トレイ38のリア側とフロント側(幅方向の両側)に送架されているシャフト67の両端にそれぞれ装着されており、互いに同期して回転するようになっている。この場合、シャフト67は、シートの給送方向の下流側に配置されるため、ワイヤー46a、46bの長さは、ワイヤー46c、46dと比べて積載トレイ38の給送方向の寸法分だけ長くなっている。
【0038】
よって、巻取プーリー48aは、第1のワイヤー46aと第2のワイヤー46cとを共に巻き上げる第1の巻取プーリーを構成し、巻取プーリー48bは、第3のワイヤー46bと第2のワイヤー46dとを共に巻き上げる第4の巻取プーリーを構成する。
【0039】
駆動モーターM1の駆動は、駆動伝達機構49を介してシャフト67のリア側に伝達され、シャフト67の回転によって巻取プーリー48a、48bが回転する。駆動モーターM1を正回転させると、2つの巻取プーリー48a、48bが図中時計回り方向に回転して4本のワイヤー46a-46dを巻き上げて、積載トレイ38は上昇する。一方、駆動モーターM1を逆回転させると2つの巻取プーリー48a、48bが図中反時計回り方向に回転して4本のワイヤー46a、46b、46c及び46dを弛め、積載トレイ38は自重で下降するようになっている。
【0040】
[ワイヤーの伸び]
ワイヤー46a、46b、46c、46dは、シートを積載トレイ38に積載すると若干の伸びを生じる。このワイヤーの伸びは積載トレイ38上の積載シートの重量が重くなる程、伸びも大きくなるが、ワイヤーは長さが長い程、その伸びも大きくなる。よって、長い方のワイヤー46a、46bは、ワイヤー46c、46dよりも伸びることになる。実機上で確かめると、最大積載量のA3普通紙3500枚を積載したとき、ワイヤー46a、46bの伸びる量は6mm程度、ワイヤー46c、46dは1mm程度である。このようなワイヤー46a、46bとワイヤー46c、46dとの伸びの差により、主トレイ40aは水平状態を維持できずに傾斜して、そのシート給送方向での下流側端部(シャフト67側端部)に対して、同上流側端部は約5mm沈んだ状態となっている。
【0041】
[後端規制部のスライド構成]
後端規制部43は
図6に示すように、積載トレイ38に積載されたシートの後端を規制する規制面44aを有する後端規制部材44と、この後端規制部材44の下方に設けられ、後端規制部材44を移動自在に支持する支持部45とを備えている。さらに、支持部45は、後端規制板44を給送方向にスライド移動させるスライド部47と、後端規制部材44を任意位置で保持するための保持部48と、を備える。後端規制部43は、積載トレイ38の主トレイ40aの給送方向に向かってスリット状に切り欠かれた切欠部に対応する位置に設けられている。
【0042】
スライド部47は、
図7に示すように支持部材56の両側部にそれぞれ設けられた一対のスライドレール55と、後端規制部材44が取り付けられるベース部材57と、このベース部材57に回転自在に取り付けられた4つコロ58を備える。この
図7は、
図6の図中での手前側のスライドレールを外した状態を示している。
【0043】
4つのコロ58は、支持部材の一方側のスライドレール55に係合する第1、第2のコロと、支持部材の他方側のスライドレール55に係合する第3、第4のコロである。第1及び第2のコロ58は一方のスライドレール55a上で給送方向に並べて配置され、また第3及び第4のコロ58は他方のスライドレール55b上で給送方向に並べて配置されている。スライド部47は、4つのコロ58がスライドレール55に沿って回転しながら移動することで、後端規制部43が給送方向に往復移動する。このように、本実施形態においては、スライド部47が、後端規制部44を給送方向に移動させる移動手段を構成している。
【0044】
保持部48は、
図8に示すように、支持部材56の上面の溝部に設けられた保持部材56aと、保持部材56aに係合して後端規制部材44を任意の位置で係止して保持し固定する係止部材56bと、この係止部材56bが保持部材56aに係合する位置と、係合が解除される位置とに移動させる解除レバー56cとを備える。保持部材56aは、給送方向に沿って設けられ、その表面はラックギヤ状に凹凸が連続して形成されている。係止部材56bは、保持部材56aの表面の凹凸に対向した位置に配置されている。
【0045】
係止部材56bにも凹凸が連続され形成されており、係止部材56bの凹凸が保持部材56bの凹凸に噛合って係合することとで、後端規制部材44の移動を規制して保持する。解除レバー56cは、後端規制部材44の規制面44aの反対側の背面に設けられており、解除レバー56cを操作することで、保持部材56aの凹凸に係合する係合位置とこの凹凸から離れた解除位置とに係止部材56bを上下方向に移動させる。
【0046】
上記の後端規制部43の構成により、後端規制部材44で積載トレイ38のシートの後端を規制する際には、解除レバー56cを操作して、係止部材56bを係合位置から解除位置に移動することにより、後端規制部材44は保持状態から自由に移動可能な状態となる。この状態から手動で後端規制部材44をシートの後端位置に移動させることができる。そして、シートの後端位置に移動させた後、解除レバー56cを操作して係止部材56bを解除位置から係合位置に移動する。これによって、後端規制部材44で積載トレイ38のシートの後端を規制する位置で保持(固定)される。尚、後端規制部材44は下方で折れ曲がって保持部48の部材を覆っており、この折り曲がった水平部分は保持部48の一部としての外装カバーとなる。また、ベース部材57は後端規制部材44の背面の解除レバー56cを覆うように形成されており、外装カバーとしての機能を有している。
【0047】
[制御部]
シート給送装置2は、その動作を制御するための
図9に示す制御部70を備える。制御部70は、中央演算処理装置(CPU)と、読み出し専用メモリであるROMと、書き換え可能なメモリであるRAMとを有する。ROMには、後述する制御手順を予め記憶されている。RAMは、入力データの記憶用及び作業用記憶領域等として使用される主記憶装置である。
【0048】
制御部70には、上面検出センサー61と、下限検出センサー62と、下限検出スイッチ63とが接続され、これら各センサー及びスイッチからの検出信号をリアルタイムで受信するようになっている。下限検出センサー62は、下流側のステー65の幅方向リア側に設けたセンサーフラグを検知する光電センサーである。下限検出スイッチ63は、ステー65の幅方向リア側の下方に設けられた接触型のスイッチで、下流ステー65の下面が接触すると、信号を発生するようになっている。
【0049】
更に制御部70には、昇降モーターM1、給紙モーターM2、操作部74、表示部75、及びロックソレノイド76が接続されている。ロックソレノイド76は、収納庫32を給紙装置本体内に収容された状態にロックするロック機構(図示せず)を構成しており、ロックソレノイド76のオンでロックが外れて、筐体31から収納庫32を引き出すことができる。制御部70は、これらの動作を前記各センサーからの検出信号に基づいて制御する。表示部75は、収納庫32上のシートSが満載状態である等の情報を表示する。
【0050】
制御部70は、上面検出センサー61が上昇している積載トレイ38に積載されたシートの最上面を検出すると、昇降モーターM1を制御して積載トレイ38の上昇を停止させる。また、下限検出センサー62が下降している積載トレイ38を検出したときには、昇降モーターM1を制御して積載トレイ38の下降を下限位置で停止させる。下限検出スイッチ63は、誤動作で積載トレイ38が下限位置で停止せず降下を続けたとき、昇降モーターM1の動作を強制停止させるためのフェイルセーフのためのスイッチである。
【0051】
[阻止部]
図4及び
図10に示すように、積載トレイ38を収容している収納庫32の下面には、阻止部39が設けられている。この阻止部39は収納庫32の下面から上方に突出するように設けられており、下降してくる積載トレイ38と当接することで、積載トレイ38の降下を停止させる。阻止部39は、シートの収納領域の給送方向上流側で、かつ幅方向の両端側の2箇所に設けられており、積載トレイ38の上流側のステー65に当接するようになっている。阻止部39の高さは、下限検出センサー62の検出位置と下限検出スイッチ63の検出位置の間の位置となるように形成されており、
図10(b)に示すように上流ステー65が阻止部39の当接面に当接した状態で、主トレイ40aのシート積載面が後端規制部材44を支持する支持部45よりも高い位置となっている。これによって、収納庫に大量のシートが積載されて、ワイヤー46a、46b、46c、46dに伸びが生じてもシートが後端規制部43の支持部45に接触することが防止される。
【0052】
[シート補充時の昇降制御]
ユーザーが操作部74に配置されている引き出しボタン90を押すと、制御部70は、昇降モーターM1が逆回転の駆動を制御する。これにより、積載トレイ38が下降する。そして、積載トレイ38が下限検出センサー62で検知されると、制御部70は、昇降モーターM1を停止させ、積載トレイ38は
図10(a)で示す下限位置で停止する。積載トレイ38が下限位置で停止すると収納庫32のロックソレノイド76をオンしてロック機構を解除し、収納庫32が引き出し可能な状態となる。ユーザーが収納庫32を引き出して、シートを補充する。シートが補充されると、
図10(b)に示すように、積載トレイ38はワイヤー46a,46bの伸びによって上流側に向かって下方に傾いた状態となる。そして、傾いた積載トレイ38の上流側は、阻止部39に当接しており、下降(傾き)が規制されている。よって、シートの下面が後端規制部43に当接することが防止される。尚、本実施形態では、下限検出センサー62から下限検出スイッチ63までの上下の距離は3mmであり、ワイヤー46c,46dが伸びても、積載トレイ38が下限検出スイッチ63に触れてオンすることはない。
【0053】
シートの補充後、ユーザーが収納庫32を給紙装置本体に装着すると、制御部70は、操作部74におけるセットスイッチがユーザーによって操作されることで昇降モーターM1を正回転の駆動を制御して、積載トレイ38を上昇させる。そして、積載トレイ38のシートの上面が給紙位置に到達し上面検出センサー61に検知されると、制御部70は、昇降モーターM1を停止する。これにより、シートの上面が給紙可能な状態となり、ユーザーが操作部74に配置されている給紙ボタンを押すと給紙が開始される。尚、上記ではシートを補充する際に積載トレイ38を下限位置に移動させたが、給紙位置と下限位置との間に補充位置を設け、シートの上面または積載トレイ38の上面を補充位置まで下降させ、補充位置でシートを補充するようにしてもよい。
【0054】
[シート補充時の昇降の異常]
上記のシート補充時の昇降制御で下限検出センサー62が故障や紙粉等により検出できない状態となると、または制御部70のCPUの暴走等によって下限位置で停止しない場合について説明する。この場合、昇降モーターM1の逆回転駆動で下降する積載トレイ38は、下限位置を超えて降下する。このとき、下限位置Aを超えた積載トレイ38の上流端は阻止部39に当接して停止するが、下流側は下降を続ける。そして、
図10に示すように、積載トレイ38の下流側が下限検出スイッチ63の位置に到達すると、下限検出スイッチ63がオンする。下限検出スイッチ63のオンにより、制御部70からの昇降モーターM1の駆動信号の経路が遮断される。これによって、昇降モーターM1は強制的に停止し、積載トレイ38も停止する。このように、本実施の形態では、信号を強制的に停止する方法としては、モータードライバ回路にイネイブル信号を発生させ、信号の出力を無効にするようにしている。しかし、昇降モーターM1を強制的に停止させるために、インターロックスイッチで昇降モーターM1の駆動電力を切断するようにしてもよい。
【0055】
以上、詳述した本発明に係るシート給送装置2は、阻止部39を積載トレイ38の長い方のワイヤー46a,46bで支持されている側のステー65に対向して設けると共に、短い方のワイヤー46c,45dで支持されている側に下限検出スイッチ63に配置したことで、ワイヤー46a,46bが伸びた分の傾きは阻止部32により抑える。そして、ここからさらに積載トレイ38が降下するときには、積載トレイ38の短い方のワイヤー46c,46dで支持されている側が降下するため、積載トレイ38は確実に下限検出スイッチ63を操作して、駆動モーターM1を停止させることができる。
【0056】
以上、添付図面の実施形態を参照して、本発明によるシート給送装置及びこれを備える画像形成システムについて説明したが、本発明は、図示される実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
2 シート給送装置
34 昇降機構
32 収納庫
39 阻止部
43 後端規制部材
46a,46b 第1のワイヤー
46c,45d 第2のワイヤー
47 スライド部(移動手段)
48a 第1の巻取プーリー
48b 第2の巻取プーリー
51 繰出ローラー(給紙手段)
M1 昇降モーター