(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039279
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 35/04 20060101AFI20220303BHJP
A01B 33/12 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
A01B35/04 B
A01B33/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144228
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓未
(72)【発明者】
【氏名】甲地 重春
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】久保 陽拓
【テーマコード(参考)】
2B033
2B034
【Fターム(参考)】
2B033AA03
2B033AB01
2B033DB32
2B033DB39
2B034AA02
2B034AA09
2B034BB01
2B034BC06
2B034EA02
2B034EB03
2B034EB23
2B034EB33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】不使用時期におけるモータ及びギヤへの負担をかけることがない農作業機を提供すること。
【解決手段】耕耘体と、耕耘体の上部を覆うカバーと、カバーの後部で整地する整地体と、整地体の進行方向に対する左右端部に位置し、整地体から側方に突出した姿勢変更することが可能な延長整地体と、カバー部の上方に位置して延長整地体を姿勢変更するための駆動装置と、制御部を備える。駆動装置は、正転及び逆転方向に回転駆動可能なモータ841と、モータ841に接続して回転する第1歯車842と、第1歯車842に噛合して回転する第2歯車843と、第2歯車843に連結し、第2歯車843に連動して回転するアーム844と、アーム844と延長整地体を連結する連結部材を備え、制御部は、延長整地体が姿勢の変更を終了したときにおいて、モータ841を第1歯車842が第2歯車843にかみ合う圧力がかからない位置まで戻る方向に回転させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘体と、前記耕耘体の上部を覆うカバーと、前記カバーの後部で上下方向に回動自在に連結されるとともに、前記耕耘体で耕耘された土を整地する整地体と、前記整地体の進行方向に対する左右端部に位置し、前記整地体から側方に突出した展開状態及び前記整地体上に位置した格納状態のそれぞれに姿勢変更することが可能な延長整地体と、前記カバー部の上方に位置して前記延長整地体を姿勢変更するための駆動装置と、前記駆動装置を動作させるための制御部と、を備え、
前記駆動装置は、正転方向及び逆転方向に回転駆動可能なモータと、前記モータに接続して回転する第1歯車と、前記第1歯車に噛合して回転する第2歯車と、前記第2歯車に連結するとともに前記第2歯車に連動して回転するアームと、前記アームと前記延長整地体を連結する連結部材と、を備え、
前記制御部は、前記延長整地体が姿勢の変更を終了したときにおいて、前記モータを前記第1歯車が前記第2歯車にかみ合う圧力がかからない位置まで戻る方向に回転させる、
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
耕耘体と、前記耕耘体の上部を覆うカバーと、前記カバーの後部で上下方向に回動自在に連結されるとともに、前記耕耘体で耕耘された土を整地する整地体と、前記カバー部の上方に位置して、前記整地体を回動自在にする代掻き姿勢及び前記整地体の回動を規制する土寄せ姿勢のそれぞれに姿勢変更するための駆動装置と、前記駆動装置を動作させるための制御部と、を備え、
前記駆動装置は、正転方向及び逆転方向に回転駆動可能なモータと、前記モータに接続して回転する第1歯車と、前記第1歯車に噛合して回転する第2歯車と、前記第2歯車の回転によって整地体回動可能位置及び整地体回動規制位置のそれぞれに位置変更可能な係合部材と、前記係合部材に当接可能であるとともに前記整地体に連結するリンク機構と、を備え、
前記制御部は、前記整地体が姿勢の変更を終了したときにおいて、前記モータを前記第1歯車が前記第2歯車にかみ合う圧力がかからない位置まで戻る方向に回転させる、
ことを特徴とする農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機が有する整地装置である整地体が回動することによって姿勢を変化させるための姿勢制御に関する。
【背景技術】
【0002】
耕耘体の後方に位置して整地作業を行う整地体を有し、この整地体の作業幅を拡大することが可能な延長整地体である延長補助整地板を有した農作業機が特許文献1で開示されている。特許文献1で示された延長整地体である延長補助整地板は、正逆回転用モータの回転駆動力を歯車伝動機構を介することによって、回動するとされている。
また、耕耘体の後方に位置する整地作業を行う上下回動自在な整地体であるエプロン及びレベラを、回動が可能な状態と回動を規制する状態とに切り換えることができる農作業機が、特許文献2で開示されている。特許文献2で示された整地体の回動を制御するエプロン回動制御部及びレベラ回動制御部を駆動動作させる駆動部はモータ及びギヤを含み、このモータ及びギヤを介して、整地体を上下回動可能な状態と規制された状態を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-124795号公報
【特許文献2】特開2017-147954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2のいずれも、整地体及び延長整地体を回動させる駆動源にモータを使用している。そして、このモータの回転動力はギヤを有する歯車伝動機構を介して、整地体及び延長整地体を回動させる構成である。この場合、モータを正回転させて整地体及び延長整地体を回動させて姿勢状態を変更させた後は、歯車伝動機構が有するギヤの歯面同士が接触したまま放置される。その後、再度姿勢を変更する場合は、モータを逆回転させることによって行う。
【0005】
しかし、農作業機の場合、例えば、春季などの、ある一定の時期しか使用しないことが良く起こり、一年の内の多くの期間は不使用の期間となっている。すると、不使用の期間は、歯面同士が接触したまま放置された状態となる。この状態で、メンテナンスを怠ったりした場合、歯面に錆が発生することによって歯面の接触部は固着する。再度モータで歯車を回転駆動させようとしても、固着によって正常に整地体及び延長整地体が回動動作できないことがある。また、歯面同士が接触したまま放置した場合、歯車伝動機構が有するギヤが取り付くモータの出力軸に負荷がかかり、モータを損傷させる場合がある。
【0006】
したがって、本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、不使用時期におけるモータ及びギヤへの負担をかけることがない農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、耕耘体と、耕耘体の上部を覆うカバーと、カバーの後部で上下方向に回動自在に連結されるとともに、耕耘体で耕耘された土を整地する整地体と、整地体の進行方向に対する左右端部に位置し、整地体から側方に突出した展開状態及び整地体上に位置した格納状態のそれぞれに姿勢変更することが可能な延長整地体と、カバー部の上方に位置して延長整地体を姿勢変更するための駆動装置と、駆動装置を動作させるための制御部と、を備え、駆動装置は、正転方向及び逆転方向に回転駆動可能なモータと、モータに接続して回転する第1歯車と、第1歯車に噛合して回転する第2歯車と、第2歯車に連結するとともに第2歯車に連動して回転するアームと、アームと延長整地体を連結する連結部材と、を備え、制御部は、延長整地体が姿勢の変更を終了したときにおいて、モータを第1歯車が第2歯車にかみ合う圧力がかからない位置まで戻る方向に回転させる、農作業機であることを要旨とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の他の態様は、耕耘体と、耕耘体の上部を覆うカバーと、カバーの後部で上下方向に回動自在に連結されるとともに、耕耘体で耕耘された土を整地する整地体と、カバー部の上方に位置して、整地体を回動自在にする代掻き姿勢及び整地体の回動を規制する土寄せ姿勢のそれぞれに姿勢変更するための駆動装置と、駆動装置を動作させるための制御部と、を備え、駆動装置は、正転方向及び逆転方向に回転駆動可能なモータと、モータに接続して回転する第1歯車と、第1歯車に噛合して回転する第2歯車と、第2歯車の回転によって整地体回動可能位置及び整地体回動規制位置のそれぞれに位置変更可能な係合部材と、係合部材に当接可能であるとともに整地体に連結するリンク機構と、を備え、制御部は、整地体が姿勢の変更を終了したときにおいて、モータを第1歯車が第2歯車にかみ合う圧力がかからない位置まで戻る方向に回転させる、ことを特徴とする農作業機であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、簡易な構成によって農作業機の姿勢状態を判断することができる農作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態を示す農作業機の進行方向の後方側からみた正面図であり、第2作業体及び第3作業体は展開された状態を示す。
【
図2】実施形態を示す農作業機の平面図であり、第2作業体及び第3作業体は展開された状態を示す。
【
図3】実施形態を示す農作業機の進行方向の左方から見た側面図であり、第2作業体及び第3作業体は展開された状態を示す。
【
図4】実施形態を示す農作業機の進行方向の後方側から見た正面図であり、第2作業体及び第3作業体は格納された状態を示す。
【
図5】実施形態を示す農作業機の進行方向の左方から見た側面図であり、第2作業体及び第3作業体は格納された状態を示す。
【
図6】実施形態を示す農作業機の操作部を示した説明図である。
【
図7】実施形態を示す農作業機の第2駆動装置を示した説明図であり、整地体展開状態時の様子を示す。
【
図8】実施形態を示す農作業機の第2駆動装置を示した説明図であり、整地体格納状態時の様子を示す。
【
図9】実施形態を示す農作業機の第3駆動装置及び第1後方整地体を説明する側面図であり、第1後方整地体が固定状態時の様子を示す。
【
図10】実施形態を示す農作業機の第3駆動装置及び第1後方整地体を説明する側面図であり、第1後方整地体が固定解除状態時の様子を示す。
【
図11】実施形態を示す農作業機の第1歯車及び第2歯車のかみ合いを示した説明図であり、歯面が押圧された状態を示す。
【
図12】実施形態を示す農作業機の第1歯車及び第2歯車のかみ合いを示した説明図であり、歯面が押圧されていない状態を示す。
【
図13】実施形態を示す農作業機のブロック図である。
【
図14】実施形態を示す農作業機の第2作業体を展開姿勢にするときの制御フロー図である。
【
図15】実施形態を示す農作業機の第2作業体を格納姿勢にするときの制御フロー図である。
【
図16】実施形態を示す農作業機の第3作業体を展開姿勢にするときの制御フロー図である。
【
図17】実施形態を示す農作業機の第3作業体を格納姿勢にするときの制御フロー図である。
【
図18】実施形態を示す農作業機の第1後方整地体を固定解除状態にするときの制御フロー図である。
【
図19】実施形態を示す農作業機の第1後方整地体を固定状態にするときの制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。説明においては、
図1に示す左側を進行方向に対する左方、右側を進行方向に対する右方、奥側を進行方向の前方、手前側を進行方向の後方として説明する。図面の記載において、同一または類似の部分には同一又は類似の符号を付して、その説明を省略することがある。加えて、説明に用いる図面は模式的なものであり、各部の寸法との関係等は現実のものとは異なることがある。また、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
農作業機1の概要を
図1乃至
図13に基いて説明する。農作業機1は、走行機体であるトラクタ(図示せず)の後部に設けられた昇降リンクである3点リンク機構に装着して、砕土作業や代掻き作業に使用される。
【0013】
農作業機1は、第1作業体11と、この第1作業体11の両端部に連結された第2作業体11L及び第2作業体11Rを備えている。第2作業体11L及び第2作業体11Rは、第1作業体11に備えたフレーム2の両端部に設けた支点部25を支点に回動することで、展開姿勢と格納姿勢とにそれぞれの作業形態を変更可能である。展開姿勢は、第1作業体11の作業幅を延長するように第2作業体11L及び第2作業体11Rを展開して作業幅を進行方向に対する左右に拡大した状態である。格納姿勢は、第2作業体11L及び第2作業体11Rを支点部25回動し、第1作業体11の上方に折り畳んで作業幅及び機体幅を短縮した状態である。
【0014】
第1作業体11は、装着部20を有したフレーム2を備えていて、装着部20と3点リンク機構とを連結させることによって、農作業機1は昇降自在である。また、農作業機1は、トラクタ側から出力される動力を獲得することによって、フレーム2下方に位置する第1砕土部3を回転駆動させる。この第1砕土部3は、進行方向と直交方向の水平軸で回転するロータ軸31に爪32を複数有している。トラクタの進行と共に爪32の回転駆動させることで、土壌を砕土することができる。さらに、第2作業体11L及び第2作業体11Rを展開状態に変更した場合、第2作業体11L及び第2作業体11Rのそれぞれに備えた第2砕土部3L及び第2砕土部3Rにもトラクタから出力される動力が伝達されて回転駆動する。
【0015】
展開状態での第1砕土部3及び第2砕土部3L及び第2砕土部3Rの上方には、各砕土部の上部を覆う第1カバー体4及び第2カバー体4L及び第2カバー体4Rが設けられていて、砕土時の土壌が周囲へ飛散することを防止する。第1カバー体4及び第2カバー体4L及び第2カバー体4Rのそれぞれの後端部には、上下に回動自在に設けた第1整地体5及び第2整地体5L及び第2整地体5Rが設けられていて、それぞれ上下回動しながら土壌に接地させることで、第1砕土部3及び第2砕土部3L及び第2砕土部3Rで砕土後の土壌を均平に整地して代掻き作業をする。
【0016】
さらに第1整地体5及び第2整地体5L及び第2整地体5Rは、第1カバー体4及び第2カバー体4L及び第2カバー体4Rのそれぞれの後端部で上下に回動する第1前方整地体51及び第2前方整地体51L及び第2前方整地体51Rと、これら第1前方整地体51及び第2前方整地体51L,51Rのそれぞれ後端部で上下に回動する第1後方整地体56及び第2後方整地体56L及び第2後方整地体56Rとで構成されている。これら第1前方整地体51及び第2前方整地体51L及び第2前方整地体51Rと、第1後方整地体56及び第2後方整地体56L及び第2後方整地体56Rは、互いに共働することで、砕土後の土壌及び泥土を均平に整地することができる。
【0017】
展開状態での第2後方整地体56L及び第2後方整地体56Rのそれぞれには、第3作業体7L及び第3作業体7Rが配置されている。第3作業体7L,7Rは、第2後方整地体56L及び第2後方整地体56Rの整地幅を拡大することが可能である。この整地幅の拡大によって、砕土後の土壌をより均一に整地させることが可能である。第3作業体7L,7Rは、第2後方整地体56L及び第2後方整地体56Rのそれぞれの端部に設けた回動支点部71によって上下回動が可能で、整地体展開状態と整地体格納状態とに姿勢変更が可能である。
【0018】
回動自在な第2作業体11L及び第1作業体11R及び第1後方整地体56及び第3作業体7L及び第3作業体7Rのそれぞれには駆動装置8が設けられ、これらの駆動装置8によって回動駆動が可能である。駆動装置8は、作業者が操作部Aによって操作することで制御部Bを介して遠隔操作が可能となっている。実施形態においては、操作部Aと制御部Bは無線で行うものとして説明するが、通信の方法は問わず、有線であってもよい。
【0019】
農作業機1の詳細な構成を
図1乃至
図13に基いて説明する。フレーム2は農作業機1の第1作業体11の骨格をなす部位であり、装着部20、入力ケース21、パイプフレーム22、伝動ケース23、サポートフレーム24、を備える。
【0020】
装着部20は、農作業機1の前方中央部である第1作業体11の前方中央部に設けてあり、上部のトップリンクピン201とその下方左右に位置する一対のロアリンクピン202により構成されている。これらトップリンクピン201、ロアリンクピン202をトラクタ側の3点リンク機構等(図示せず)に連結することで、農作業機1はトラクタ対し昇降自在に装着される。装着部20の中央には、入力ケース21が設けられ、前方に向け入力軸211が設けられている。入力軸211は、トラクタのPTO軸とユニバーサルジョイント(図示せず)等で連結されて、トラクタから出力された回転動力を獲得する。入力ケース21上部には、トップマスト212が前方及び上方に向け突設され、この上端部には前記トップリンクピン201が備えられる。入力ケース21の側部から下方に向けてロワプレート213が配置され、このロワプレート213にロアリンクピン202を取り付けている。
【0021】
入力ケース21には、一端を入力ケース21に接続して左右側方にそれぞれに突出させたパイプフレーム22が設けられている。左右側方にそれぞれに配置したパイプフレーム22は丸パイプで構成し、それぞれ同軸に配置している。パイプフレーム22の左右いずれか一方側の他端には、下方に向かって延設された上下方向に長い伝動ケース23と、他方側のパイプフレーム22の他端部から下方に向かって延設された上下方向に長いサポートフレーム24が位置している。フレーム2の下方で伝動ケース23とサポートフレーム24のそれぞれ下端部をかけ渡すように、第1砕土部3を設ける。
【0022】
第1砕土部3は、ロータ軸31と爪32を有した部材で、パイプフレーム22の下方で、伝動ケース23下端部とサポートフレーム24の下端部との間に架設支持されている。ロータ軸31は、伝動ケース23とサポートフレーム24の下部に架設すると共に回転自在な軸体である。ロータ軸31には、放射状に円周方向及び軸方向に一定間隔を設けて爪32が多数取り付ける。ロータ軸31と爪32が一体になって、砕土部3を構成する。砕土部3は、トラクタから出力された回転動力を入力軸211で獲得し、入力ケース21及び伝動ケース23を介して、ロータ軸31に伝達されることで回転駆動をする。この回転駆動によって土壌を砕土する。
【0023】
第1砕土部3は、入力軸211から入力された動力を得て回転駆動をする。入力軸211から入力された動力は、入力ケース211に内装されるギヤによって変速され、左右一方側の側方に突設したパイプフレーム22内を通る出力軸(図示せず)により伝動ケース23内に伝達される。伝動ケース23内にはチェーン及びスプロケット等の伝動部材(図示せず)を配置することで、トラクタの動力は第1砕土部3に伝達される。
【0024】
第1砕土部3の上部には、爪32の回転外周と沿うように、また、離間して第1カバー体4が設けられている。第1カバー体4は、左右の側方端部を伝動ケース23とサポートフレーム24に取り付けている。このようにして砕土部3の上方部を第1カバー体4で覆うことで、砕土部3側から飛散される耕耘土の上方側への飛散を防止している。
【0025】
ここで、農作業機1の機体幅を延長する第2作業体11L,11Rについて説明する。第1作業体11の第1カバー体4及び第1砕土部3の左右両端側には、第2作業体11L,11Rとして、第1作業体11の第1カバー体4及び第1砕土部3と同様の部材を設ける。進行方向左側に位置して作業をする第2作業体11Lには、第2カバー体4L及び第2砕土部3L、進行方向右側に位置して作業をする第2作業体11Rには、第2カバー体4R、及び、第2砕土部3Rがそれぞれ配置されている。左側第2作業体11Lと右側第2作業体11Rは、互いに対称構造である。
【0026】
機体幅を展開した作業状態での第2砕土部3L,3Rは、作業状態時の中央に位置する第1砕土部3の進行方向左側の同一直線状に位置している。第2砕土部3L,3Rは、第1砕土部3と同様、第2ロータ軸31L,31Rと爪32を有している。第2ロータ軸31L,31Rには爪32が放射状に、且つ、軸方向に一定間隔に配置されていて、回転動力を得ることで砕土作業ができる。動力の獲得は、第1砕土部3の端部に配置したドグクラッチ33を介して得る。あるいは、第1作業体11の入力ケース21から伝動される伝動軸から、第2作業体11L,11Rに設けた側部伝動ケース(図示せず)に伝動して動力を得る。
【0027】
第2砕土部3L,3Rの上方及び側方を覆うように第2カバー体4L,4Rが設けられている。第2カバー体4L,4Rの進行方向に対する左右側方のそれぞれに、側部カバー42L,42Rを設けている。第2砕土部3L,3Rのそれぞれの両端は、側部カバー42L,42Rに設置された軸受で支持されていて、第2砕土部3L,3Rは側部カバー42L,42R間で回転自在である。側部カバー42L,42Rによって、第2砕土部3L,3Rから発生する泥や土の上方及び進行方向に対する幅方向への飛散を防ぐ。
【0028】
第2カバー体4L,4Rのそれぞれの上方且つ第1作業体11側に、支点フレーム41L,41Rを設ける。支点フレーム41L、41Rは、第1作業体11寄りに突出した部材であり、支点部25と連結する。支点フレーム41L,41Rは、第2砕土部3L,3R、及び、第2カバー体4L,4R、及び、側部カバー42L,42Rと一体になって、上方側に支点部25を軸にして回動することで、第2作業体11L、11Rを作業状態と格納状態とに切り換えることができる。第1作業体11は第1整地体5をさらに備える。同様に、第2作業体11Lは第2整地体5L、第2作業体11Rは第2整地体5Rをそれぞれ備えている。
【0029】
第1カバー体4の後端部には、後方及び下方に向けて垂れ下げるように第1整地体5を設けている。同様に、左右の第2作業体11L,11Rの第1カバー体4L、4Rの後端部から後方及び下方に向けて垂れ下げるように第2整地体5L,5Rを設けている。第2整地体5L、5Rは、第2カバー体4L、4Rのそれぞれに取り付けているので、農作業機1が作業状態及び格納状態に変更する場合、延長側の第1カバー体4L,4R及び延長側の砕土部3L,3Rと共に一体となって、支点部25を中心にして回動する。
【0030】
第1整地体5は、第1前方整地体51と、第1後方整地体56を備えている。左右の第2整地体5L及び5Rも同様に第2前方整地体51L、51Rと、第2後方整地体56L、56Rを備えている。第1前方整地体51は、左右の幅を第1カバー体4とほぼ同じ程度に設定した板511を有し、前方端部あるいは上方端部に配置した複数のヒンジ52によって、上下回動自在である。ヒンジ52の回動支点軸は進行方向左右に向けていて、ロータ軸31の軸と平行である。このため、第1前方整地体51の下方側は爪32の回転径から遠ざかる、又は、近づくように、回動動作をすることができる。第2前方整地体51L、51Rも、第1前方整地体51と同様に、左右の幅を第2カバー体4L,4Rとほぼ同じ程度に設定した板511L、511Rを有し、前方端部あるいは上方端部に配置した複数のヒンジ52L,52Rによって、上下に回動自在である。
【0031】
第1前方整地体51及び第2前方整地体51L、51Rは、第1砕土部3及び第2砕土部3L,3Rの後方を覆うように配置しているため、それぞれの砕土部で砕土された土壌が後方へ飛散することを防ぐ。また、砕土作業時の第1前方整地体51及び第2前方整地体51L、51Rは、上下に回動して接地させることによって、第1砕土部3及び第2砕土部3L,3Rで砕土後の土壌を均平に整地する。
【0032】
第1前方整地体51の後端部には、第1後方整地体56が上下回動自在に取付けられている。同様に、第2前方整地体51L,51Rの後端部には、第2後方整地体56L,56Rが上下回動自在に取付けられている。これら第1後方整地体56及び第2前方整地体51L,51Rは、進行方向に対する幅方向に長い部材で、回動支点562,562L,562Rを第1前方整地体51及び第2前方整地体51L,51Rの後端部に設けることによって上下方向に回動自在である。代掻き作業時において、ほぼ水平状態となった第1後方整地体56が、第1前方整地体51を通過後の砕土面に接触し、押圧することで、第1前方整地体51及び第2前方整地体51L,51Rでは十分に整地及び均平にしきれなかった砕土面を、より一層高い精度で整地を行い、整地後の面を均平に仕上げる。
【0033】
図1及び
図2に示すように、第2後方整地体56L及び第2後方整地体56Rのそれぞれ進行方向に対する幅方向外側の側方には、回動支点部71L,71Rによって回動自在な第3作業体7L及び第3作業体7Rを設ける。回動支点部71L,71Rは、第2後方整地体56L及び第2後方整地体56Rの進行方向に対する幅方向の外側端部に、進行方向に向けた軸を有している。第3作業体7L及び第3作業体7Rは、第2後方整地体56L及び第2後方整地体56Rの側方で、左右方向に回動自在である。第3作業体7L,7Rは延長整地体とも呼ばれることもある。
【0034】
第3作業体7L,7Rは回動動作によって、第2後方整地体56L及び第2後方整地体56Rの整地幅を拡大又は縮小させることが可能である。第3作業体7L,7Rによって整地幅を拡大した状態である整地体展開状態、又は、整地幅を縮小した状態である整地体格納状態に、姿勢変更が可能である。
【0035】
図1及び
図2の実線で示す第3作業体7L及び第3作業体7Rは整地体展開状態を示している。整地体展開状態とは、第3作業体7L,7Rを第2後方整地体56L,56Rの進行方向に対する幅方向の側方に位置した状態である。整地体展開状態では、第2後方整地体56L及び第2後方整地体56Rの整地幅をさらに左右方向に拡大した状態であり、砕土後の土壌をより幅広く均一に整地させることが可能である。
【0036】
図1及び
図2の二点鎖線で示す第3作業体7L及び第3作業体7Rは整地体格納状態を示している。整地体格納状態とは、第3作業体7L及び第3作業体7Rが回動支点部71を支点にして回動し、第2後方整地体56L及び第2後方整地体56Rの上方に位置して、整地幅を短縮させた状態である。第3作業体7L,7Rを整地体格納状態にすることによって側方への突出を防ぎ、第3作業体7L,7Rの使用した作業時以外に他の物体との衝突を回避できる。
【0037】
農作業機1は、第2作業体11L,11R及び第3作業体7L,7Rを姿勢変更させ、第1後方整地体56及び第2後方整地体56L,56Rを上下回動させるための駆動装置8を設けている。駆動装置8は、作業者に近接して配置した操作部Aの操作に伴って発信される指令情報となる信号を、農作業機1に備えられた制御部Bで受信処理した後に、駆動装置8に備えたそれぞれのアクチュエータを駆動制御する。この制御に伴って、第2作業体11L,11R及び第3作業体及び第1後方整地体56及び第2後方整地体56L,56Rを動作させることができる。
【0038】
駆動装置8は、第1駆動装置81、第2駆動装置84、第3駆動装置87によって構成している。農作業機1に設けられた各可動部を駆動動作させる。第1駆動装置81は、第2作業体11L,11Rの展開姿勢及び格納姿勢のそれぞれに姿勢変更するための回動駆動をさせる。第2駆動装置84は、第3作業体7L,7Rを整地体展開状態又は整地体格納状態に姿勢変更をさせるために駆動する装置である。第3駆動装置87は、第1後方整地体56及び第2後方整地体56L,56Rを、上下方向に回動させるために駆動する装置である。
【0039】
第1駆動装置81は、流体圧によって長手方向に伸縮可能なシリンダからなり、フレーム2の左右端部のそれぞれに一端部を取り付ける。一方の第1駆動装置81の他端部は左支点フレーム41Lに取り付けて、第1駆動装置81の伸縮動作によって、第2作業体11Lを回動動作させることができる。同様に、他方の第1駆動装置81の他端部は右支点フレーム41Rに取り付けて、第1駆動装置81の伸縮動作によって、第2作業体11Rを回動動作させることができる。この実施形態の場合、第1駆動装置81の短縮動作によって、
図1乃至
図3に示すように、第2作業体11L,11Rを展開姿勢にする。さらに、第1駆動装置81の伸長動作によって、
図4乃至
図5に示すように、第2作業体11L,11Rを格納姿勢にする。
【0040】
第1駆動装置81を動作させるには、操作部Aに配置された第1駆動装置81の動作に対応したボタンA1を操作することによって行う。各第1駆動装置81は短縮動作をするボタンA1a及び伸長動作をするボタンA1bがあり、それぞれに対応したボタンを操作することによって伸縮動作が可能である。また、切替ボタンA2の操作によって、各第1駆動装置81を左右個別に伸縮動作をさせる個別モードと、2つの第1駆動装置81が同時に伸縮動作をさせる同時モードの、それぞれに切り替えが可能である。
【0041】
第2駆動装置84は、第2作業体11L,11R上に設け、第3作業体7L,7Rを整地体展開状態又は整地体格納状態に姿勢変更をさせる。実施形態の場合、第2駆動装置84は、第2カバー体4Lの進行方向の左端部上と、第2カバー体4Rの右端部上に設ける。第2駆動装置84は、アクチュエータである回転動力を出力可能なモータ841と、モータ841に取り付けるピニオンギヤ842と、ピニオンギヤ842に噛み合う扇状のギヤ843と、ギヤ843の回動軸843aと同軸に設け且つギヤ843と一体になって回動するL字状に形成したアーム844と、アーム844と第3作業体7L,7Rを連結するワイヤ845と、を有する。ピニオンギヤ842は第1歯車842、ギヤ843は第2歯車843とも言うことがある。
【0042】
モータ841は正逆転が可能であり、この回転動力を、ピニオンギヤ842及びギヤ843を介することによって、アーム844が左右方向に揺動するように回動可能である。
左右に揺動するアーム844の先端部と第3作業体7L,7Rをワイヤ845で連結することによって、第3作業体7L,7Rは回動支点部71L,71Rを軸にして回動ができる。延長整地体である第3作業体7L,7Rは、第2駆動装置84の動作によって、整地体展開状態又は整地体格納状態に姿勢変更が可能である。
図1及び
図2の実線で示した第3作業体7L,7Rは整地体展開状態を表し、二点鎖線で示した第3作業体7L,7Rは整地体格納状態を表す。さらに、
図4及び
図5の破線で示す第3作業体7L,7Rは、整地体格納状態である。
【0043】
第2駆動装置84を動作させるには、操作部Aに配置された第2駆動装置84の動作に対応したボタンA3を操作することによって行う。第2駆動装置84は第3作業体7L、7Rを整地体展開状態にするためのボタンA3a及び整地体格納状態にするためのボタンA3bがあり、それぞれに対応したボタンを操作することによって、第3作業体7L、7Rを姿勢変更することが可能である。また、切替ボタンA2の操作によって、左右に配置された第2作業体11L,11Rのそれぞれに配置された第2駆動装置84を左右個別に動作をさせる個別モードと、2つの第1駆動装置81が同時に伸縮動作をさせる同時モードの、それぞれに切り替えが可能である。
【0044】
第3駆動装置87は第1カバー体4上に設けていて、第1後方整地体56及び第2後方整地体56L,56Rを上下方向に回動させる。実施形態での第3駆動装置87は、第1カバー体4上に位置する入力ケース21及びトップマスト212取り付けている。
図4及び
図5に示す第2作業体11L,11Rが格納姿勢である場合は、第1後方整地体56のみが上下回動可能である。
図1乃至
図3に示す第2作業体11L,11Rが展開姿勢である場合は、第2後方整地体56L,56Rの左右方向端部が、第1後方整地体56の左右端部のそれぞれと連結することによって、第1後方整地体56の回動動作が第2後方整地体56L,56Rに伝わり、第2後方整地体56L,56Rは第1後方整地体56と一体になって、回動動作をすることができる。
【0045】
第3駆動装置87は、第1の回転方向及び第2の回転方向に回転動力を出力可能なアクチュエータであるモータ871と、モータ871に取り付けるピニオンギヤ872と、ピニオンギヤ872に噛み合う扇状のギヤ873と、L字状の係合溝874aを有し、且つ、ギヤ873の回動に伴って回動する係合部材874と、係合部材874の回動に伴って一端部側が係合溝874aに係合が可能な係合ロッド875と、を有する。第1後方整地体56は、第1後方整地体56とフレーム2あるいは入力ケース21を連結するとともに、中間部に屈曲可能な屈曲部561aを有したリンク機構561を備えている。係合ロッド875の他端部側は、この屈曲部561aの近傍に連結されている。ピニオンギヤ872は第1歯車872、ギヤ873は第2歯車873とも言うことがある。
【0046】
リンク機構561は第1後方整地体56の上下回動に連動して上下動が可能である。このため、リンク機構561に連結する係合ロッド875も長手方向に移動可能である。係合部材874の係合溝874aに係合した状態の場合は、係合ロッド875の長手方向へ
の移動は阻止されるので、屈曲部561aの移動も阻止される。結果、第1後方整地体56の上下回動ができないように固定された状態となる。係合部材874がモータ871によって回動し、係合部材874の係合溝874aへの係合状態を解除した場合は、係合溝874aの一部が開放された状態となる。実施形態の場合、係合溝874aの係合部材874の前方側が開放され、係合ロッド875は長手方向の進行方向の前方側に移動が可能となる。結果、第1後方整地体56は、上下回動が固定状態の位置から上方側に自由に回動が可能となる。
【0047】
第3駆動装置84を動作させるには、操作部Aに配置された第3駆動装置87の動作に対応したボタンA4を操作することによって行う。第3駆動装置87は第1後方整地体56を固定状態にするためのボタンA4a及び第1後方整地体56を固定解除状態にするためのボタンA4bがあり、それぞれに対応したボタンを操作することによって、第1後方整地体56の回動を固定又は固定解除することが可能である。
【0048】
上記の構成により農作業機1は、第2作業体11L,11Rを第1作業体11に対して左右方向に回動することによって、展開姿勢又は格納姿勢にすることができる。また、第3作業体7L,7Rは、第2作業体11L,11Rに対して、左右方向に回動することによって、整地体展開状態または整地体格納状態にすることができる。また、第1後方整地体56は、第1前方整地体51に対して上下回動できない固定状態、又は、上下回動が可能な固定解除状態にすることができる。
【0049】
第2作業体11L,11Rを展開姿勢から格納姿勢にする場合、あるいは、格納姿勢から展開姿勢にする場合は、第3作業体7L,7Rは整地体格納状態であることが望ましい。
図4に示すように、格納姿勢の第2作業体11L,11Rは、互いに近接している。この状態で第2作業体11L,11Rや、第3作業体7L,7Rを動作させると、互いが干渉したりすることがある。これらを防止するために適正に制御させなければならない。
【0050】
また、第1後方整地体56に連結する第2後方整地体56L,56Rは、進行方向と直交する方向から見た場合に、同じ上下回動位置でなければ、互いの連結が適正に行われない場合がある。
【0051】
適正に動作させるため、制御部Bによって第2作業体11L,11R、及び、第3作業体7L,7R、第1後方整地体56の位置を正しく認識し、適正な位置にあるときにのみ動作させる必要がある。この認識を、作業者が行うボタン操作で操作部から駆動装置を動作させる指令情報を発信し、制御部Bが受信した前記指令情報を基にして、制御部B内でフラグ情報を生成及び読み込むことによって行う。
【0052】
第2作業体11L、11Rを格納姿勢から展開姿勢にする場合の動作フローを
図14に基いて説明する。なお、説明は第2作業体11Lのみを格納姿勢から展開姿勢にする場合について言及する。第2作業体11Rのみ、及び、第2作業体11Lと第2作業体11Rを同時に動作させることは、第2作業体11Lのみの動作と同様の処理であり、重複するため省略する。第2作業体11Lを展開姿勢にする場合、制御部B内に構成されている記憶部B1に記憶されている第2作業体11Lが展開しているか否かを示すフラグ情報F1を記憶または使用すると共に生成する。
【0053】
ステップS1において、作業者が操作部Aの展開ボタンA1aを操作する。操作部Aは第2作業体11Lを展開させる指令信号を発信し、この指令信号を制御部が受信する。指令信号を受領した制御部は、ステップS2を実行し、第2作業体11Lに展開動作を始めるように制御する。すなわち、制御部によって第1駆動装置81が動作して、第2作業体11Lが回動を始める。
【0054】
次いで、ステップS3に移行し、第2作業体11Lの展開フラグがOFFになっているかどうかを判断する。つまり、記憶部B1に記憶されている第2作業体11Lのフラグ情報を読み取って判断するのである。記憶部B1に記憶されている第2作業体11Lのフラグ情報がOFFであると判断した場合は、次のステップS4に移行する。すなわち、作業者が操作を開始した時点での第2作業体11Lの状態が、格納姿勢であるものと判断し、ステップS4に移行するのである。対し、展開フラグがOFFではないと判断した場合は、後述するステップS6に移行する。つまり、作業者が操作を開始した時点での記憶部B1に記憶されている第2作業体11Lのフラグ情報F1によって、第2作業体11Lが格納姿勢以外の姿勢であるとして、ステップS4及びステップS5を無視してステップS6に移行するのである。
【0055】
ステップS4では、第2作業体11Lの展開動作用ボタンA1aの作業者による操作時間が、継続して予め設定された時間以上に操作されているかどうかを判断する。つまり、前記ステップS1でのボタンA1aの操作を継続して行われているかどうかを判断する。設定された時間以上にボタンA1aの操作時間が経過している場合は、次のステップS5に移行する。第2作業体11Lの展開動作用ボタンA1aの作業者による操作時間が、継続して予め設定された時間以上に操作されていない場合は、ステップS5を無視して後述するステップS6に移行する。
【0056】
ステップS5では、制御部Bが第2作業体11Lのフラグ情報F1である展開フラグをONとして生成する。フラグ情報F1を生成後、次いでステップS6に移行する。ステップS6では、第2作業体11Lの展開させる操作が継続中かどうかを判断する。つまり、ステップS4と同様に、再度、ボタンA1aの操作を継続して行われているかどうかを判断する。 第2作業体11Lの展開させる操作が継続中である場合、つまりボタンA1aの操作が継続して行われ、制御部Bが指令信号を継続して受信していると判断した場合は、再度、ステップS2に戻って、上記制御ステップを順次繰り返す。ボタンA1aの操作が継続して行われていない場合、つまりボタンA1aの操作がなく、制御部Bが指令信号を受信していないと判断した場合は、次のステップS7に移行する。
【0057】
ステップS7では、ステップS6でのボタンA1aの操作がないとの判断に基づいて、制御部Bは第1駆動装置81の動作を停止させて、第2作業体11Lの動作が停止する。
【0058】
次いで、ステップS8に移行し、現在の第2作業体11Lのフラグ情報F1である展開フラグを記憶する。この場合、前記ステップS5において、展開フラグをONとして生成したフラグ情報F1を記憶部B1に記憶し、制御ステップが終了する。
【0059】
上記制御フローによって、格納姿勢から展開姿勢に移行する段階において、操作部を操作した時間(操作時間)に応じて、農作業機1の第2作業体11L,11Rの姿勢を制御部が判断する構成であるので、作業機側に特別な部材を追加する必要が無い。すなわち、既存の操作部Aを有していれば、操作時間によって第2作業体11Lの姿勢を判断できるので、農作業機1を簡易な構成とすることができる。また、姿勢判断のための装置及び部材を追加せずに構成できるので、高価にすることがなく需要者に提供できる。
【0060】
各部の動作は、操作部Aを作業者が操作しているときにのみ、動作する構成としているため、不意に作業機及びこれを構成する部材に異常等が生じた場合は、操作をやめるだけで動作が停止する。したがって、異常等が生じた場合、作業者が操作をやめればすぐに対応できる構成としている。また、図示はしないが、
図14の制御フローの途中で、作業者が操作部Aの操作を停止した場合は、その段階で、ステップS7に移行し、第1制御装置81を停止させるとともに、その段階でのフラグ情報F1を記憶部B1に記憶させる構成となっている。
【0061】
第2作業体11L,11Rを展開姿勢に姿勢変更する場合におけるフラグ情報F1は、操作部Bでの操作開始からの操作時間によって、フラグ情報F1が生成される構成である。このため、不意に誤って瞬間的に操作部を押した場合は、制御部がフラグ情報F1を切り換えることがないようにしていて、誤操作によるフラグ情報F1の誤生成を極めて簡易な方法で防止できる。
【0062】
さらに、操作部Aを操作した操作時間を判断するステップの内、最初段階のステップであるボタンA1aの操作経過時間を判断し、フラグ情報F1を生成する構成としている。次いで、操作部Aを操作した操作時間を判断後に、ボタンA1aの操作を停止した後にフラグ情報を記憶する制御ステップである。このため、誤操作によるフラグ情報F1の記憶を防止でき、制御部の誤判断を未然に防ぐことができる。
【0063】
第2作業体11L,11Rが格納姿勢から展開姿勢にする場合、姿勢判断のためのフラグ情報F1によって、第2作業体11L,11Rの姿勢を判断するため、第2作業体11L,11Rが格納時における第3作業体7L,7Rの操作部の誤操作による誤動作を防止できる。
【0064】
第2作業体11L、11Rを展開姿勢から格納姿勢にする場合の制御フローを、
図15に基いて説明する。なお、説明は第2作業体11Lのみを展開姿勢から格納展開姿勢にする場合について言及する。第2作業体11Rのみ、及び、第2作業体11Lと第2作業体11Rを同時に動作させることは、第2作業体11Lのみの動作と同様の処理であり、重複するため省略する。第2作業体11Lを格納姿勢にする場合、制御部B内に構成されている記憶部B1に記憶されている第2作業体11Lが展開しているか否かを示す第2作業体フラグ情報であるフラグ情報F1、及び、第3作業体7L展開しているか否かを示す第3作業体フラグ情報であるフラグ情報F2を記憶または使用すると共に生成する。
【0065】
ステップS11において、作業者が操作部Aの格納ボタンA1bを操作する。操作部Aでの操作を受けて、操作部Aは指令信号を発信する。制御部Bは、指令信号を受信したのち、ステップS12を実行し、記憶部B1内に記憶されている、延長整地体である第3作業体7Lの整地体展開状態または整地体格納状態を示したフラグ情報F2がONであるか否かを判断する。延長整地体の展開フラグ情報がONとは、延長整地体である第3作業体7L、7Rが整地体展開状態であることを言う。延長整地体が整地体展開状態である場合は、フラグ情報F2がONであるためYES、整地体格納状態である場合はフラグ情報F2がONではないとして判断する。
【0066】
ステップS12において、記憶部B1内に記憶されている、延長整地体である第3作業体7LRの展開フラグがONではない、つまり、第3作業体7LRが整地体格納状態を示すフラグ情報F2が格納であると判断した場合は、次のステップS13及びステップS14を省略し、後述するステップS15に移行し制御フローを続行させる。ステップS12において、延長整地体が整地体展開状態である場合は、フラグ情報F2が展開を示すONと判断し、次のステップS13に移行する。ステップS13では、制御部が整地体展開状態の延長整地体である第3作業体7Lを格納動作させる。格納動作は駆動装置8の内、第2駆動装置84を駆動させて、第3作業体7Lを整地体格納状態に動作させる。次いで、ステップS14に移行し、延長整地体7Lの展開フラグ情報F2をOFF状態にする。つまり、延長整地体である第3作業体7Lが整地体格納状態であるとして、フラグ情報F2を生成する。その後、ステップS15に移行する。
【0067】
ステップS15では、第2作業体11Lを格納動作させる。すなわち、第2作業体11Lを展開姿勢から格納姿勢にするために、第1駆動装置81を作動させる。すると、ステップS16に移行し、第2作業体の展開フラグをOFFにする。つまり、第2作業体11Lの展開情報であるフラグ情報F1を、格納していると示す情報を生成する。生成後、ステップS17に移行する。
【0068】
ステップS17では、制御部Bによって第2作業体を格納させる操作が継続中かどうかを判断する。つまり、作業者がステップS1から継続して格納ボタンA1bを操作し続けていて、指令情報を制御部Bが受領し続けているかどうかを判断する。作業者がステップS1から継続して格納ボタンA1bを操作し続けていると判断した場合は、ステップS12に戻って、再度、制御フローを繰り返す。つまり、第2作業体11Lを格納姿勢にするための格納ボタンA1bを操作し続けている限り、第1駆動装置81は動作し続けることができる。操作が継続中ではない場合は、制御部Bは指令信号を受信しないため、制御部Bは操作部Aの操作がされていないものとして判断し、ステップS18に移行させる。ステップS18で、制御部Bは第1駆動装置81の作動を停止させる。
【0069】
ステップS18の後、ステップS19に移行し、現在の第2作業体11Lのフラグ情報F2を記憶部B1に記憶し、制御フローが終了する。つまり、制御部は第2作業体11Lのフラグ情報F2が、格納を示しているものとして記憶する。ステップS19によって、制御部Bは第2作業体11Lが格納しているものとして判断できる。
【0070】
第2作業体11Lを格納するように操作部Aを操作した場合、第2作業体11Lの姿勢状態を制御部Bの記憶部B1内に記憶されているフラグ情報によって判断し、この判断に応じて自動で第3作業体7Lを整地体格納状態に姿勢変更させることができる。したがって、作業者が第3作業体7Lの姿勢状態を気にすることなく、第2作業体11Lの姿勢を変更できるので、作業者の操作への負担が減少する。
【0071】
第2作業体11Lを格納させるように操作部Aを操作後に、作業者がこの操作を停止すると、第2作業体11Lが格納姿勢であるとして、制御部が判断する構成である。したがって、農作業機1に特別な部材を追加する必要が無く、農作業機1本体を簡易且つ安価な構成にできる。第2作業体を展開姿勢から格納姿勢にする場合において、第2作業体11L及び第3作業体7Lの各動作は、操作部Aを作業者が操作しているときにのみ、動作する構成としている。農作業機1に異常等が生じても、即時に作業者が操作部Aの操作をやめることで、可動部の動作を停止できる。
【0072】
操作部Aで第2作業体11Lを格納する操作を作業者が停止した段階で、記憶部B1に生成されたフラグ情報F1,F2を記憶する構成である。第2作業体11Lが完全な展開姿勢である第1作業体11の側方に第2作業体11Lが位置した状態以外は、格納姿勢であると判定させている。これによって、不完全な状態の展開姿勢の形成を防止できる。第2作業体11Lの展開姿勢から格納姿勢への操作部Aの操作開始時において、第3作業体7Lの姿勢の姿勢判断も行っている。このため、延長整地体である第3作業体7Lが展開状態のまま第2作業体を格納することを未然に防ぎ、農作業機1の損傷を防ぐことができる。
【0073】
上記したように、第2作業体11Lのみの展開姿勢から格納姿勢への動作について言及したが、右側の作業体である第2作業体11Rのみが動作する場合も同様に、第3作業体7Rの動作及びフラグ情報F1,F2の生成を伴って行われる。さらに、第2作業体11Lと第2作業体11Rを同時に格納姿勢に動作させる場合、第3作業体7L及び第3作業体7Rの双方の動作及びフラグ情報F1,F2の生成を伴って行われる。
【0074】
第3作業体7L、7Rを整地体格納状態から整地体展開状態にする場合の制御フローを、
図16に基いて説明する。なお、説明は左側の作業体である第3作業体7Lを整地体格納状態から整地体展開状態にする場合について言及する。右側の作業体である第3作業体11Rのみの動作、及び、第3作業体7Lと第3作業体7Rを同時に動作させることは、説明する第3作業体7Lのみの動作と同様の処理であり、重複するため省略する。第3作業体7Lを整地体展開状態にする場合、制御部B内に構成されている記憶部B1に記憶されている第2作業体11Lが展開しているか否かを示すフラグ情報F1、及び、第3作業体7Lが展開しているか否かを示すフラグ情報F2を記憶または使用すると共に生成する。
【0075】
まず、ステップS21において、作業者が第3作業体7Lである延長整地体を展開させる操作を行う。つまり、作業者が操作部Aの第3作業体7Lを展開状態にさせる展開ボタンA3aを操作する。すると、操作部Aは延長整地体を展開側に駆動させるように第2駆動装置84を作動させる指令信号を発信する。指令信号を受信した制御部Bは、ステップS22を実行する。
【0076】
ステップS22で、制御部Bは記憶部B1に記憶されている現在の第2作業体11Lの状態を示すフラグ情報F1が展開かどうかを判断する。フラグ情報F1展開、つまり、第2作業体11Lが展開姿勢であると判断した場合は、ステップS23に移行する。フラグ情報F1が展開ではない、つまり、第2作業体11Lが格納姿勢であると判断した場合は、後述するステップS30に移行する。
【0077】
ステップS23で、制御部Bは、延長整地体のフラグ情報を展開にする。つまり、制御部Bは第3作業体7Lが整地体展開状態を示すフラグ情報F2を生成する。
【0078】
次いで、ステップS24に移行し、延長整地体である第3作業体7Lを展開状態にする方向に展開動作を開始させ、ステップS25に移行させる。
【0079】
ステップS25では、延長整地体の展開動作時間内であるかどうかを判断する。つまり、操作部AのボタンA3a操作の開始からの操作経過時間が指定された時間内であるかを判断する。展開動作時間は1.0~2.8秒が好適とされ、実施形態においては1.9秒としている。展開動作時間内ではない、つまり、ボタンA3aの操作開始からの経過時間が設定した展開動作時間以上に経過している場合、ステップS26に移行する。対し、展開動作時間内である、つまり、ボタンA3aの操作開始からの経過時間が設定した展開動作時間に満たない場合、ステップS24に戻り制御を繰り返す。
【0080】
ステップS26で、制御部Bは延長整地体の展開動作を停止させる。つまり、第2駆動装置84のモータ841の動作を停止させる。この時点で、第1歯車であるピニオンギヤ842の回転方向側の歯面は、
図11に示すように、第2歯車であるギヤ843の歯面と押圧点Pで押圧状態である。ギヤ843の歯面と押圧するピニオンギヤ842歯面の対称側にある回転方向の反対側の歯面側は、バックラッシ85と呼ばれる隙間が発生している状態となる。
【0081】
その後、ステップS27に移行し、待ち時間が経過したかを判断する。待ち時間は、ステップS26でモータ841の動作を停止した後から経過した時間であり、予め設定されている。待ち時間は0.1~0.2秒が好適とされ、実施形態では0.15秒を採用している。待ち時間が経過したと制御部Bが判断した場合、ステップS28に移行する。待ち時間が経過していないと制御部Bが判断した場合、ステップS26に戻って、再度制御を繰り返す。
【0082】
ステップS28で、制御部Bは延長整地体を格納状態にさせる方向である逆転動作をさせる。つまり、第2駆動装置84のモータ841を、ステップS24で回転させた方向とは逆の方向に回転させる。その後、ステップS29で延長整地体の逆転動作時間内であるかどうかを判断する。逆転動作時間は0.005~0.015秒と、ごく僅少な時間が好適であり、実施形態の場合は0.01秒を採用している。逆転動作において、第1歯車842の歯面は第2歯車843の歯面を乗り越えない範囲で動作し、第2歯車843は回転しない。また、待ち時間の設定によって、逆転動作時の起電力の急激な上昇を防いでいる。設定した逆転展開動作時間内ではない、つまり、逆転動作時間が逆転展開動作時間を経過したと制御部Bが判断した場合は、ステップS30に移行する。逆転動作時間が経過していないと制御部Bが判断した場合は、再度ステップS28に戻って、制御を繰り返す。
【0083】
ステップS30に移行すると、制御部Bは延長整地体の動作を停止させる。つまり、第3作業体7Lを駆動動作させる第2駆動装置84のモータ841逆転動作を停止させる。ステップS30を終えた時点で、
図12に示すように、第1歯車であるピニオンギヤ842の歯面は、第2歯車であるギヤ843の歯面と押圧状態が解除され、バックラッシ85より小さい距離の隙間85aが発生する。ギヤ843の歯面と押圧するピニオンギヤ842歯面の対称側にある回転方向の反対側の歯面側は、バックラッシ85より小さい距離となる隙間85bが発生している状態となる。
【0084】
ステップS30を終えると、ステップS31に移行し、現在のフラグ情報である第3作業体7Lのフラグ情報F2及び第2作業体11Lのフラグ情報F1をそれぞれ記憶部B1に記憶し、制御フローを終了する。説明の例では、ステップS23でフラグ情報F1が展開と判断した場合は、第2作業体11Lの展開姿勢を示すフラグ情報F1、ステップS23で生成した第3作業体11Lの展開姿勢を示すフラグ情報F2を記憶する。また、ステップS23でフラグ情報F1が展開ではないと判断した場合、第2作業体11L及び第3作業体7Rは格納したままステップS30に移行するので、第2作業体11Lの格納姿勢を示すフラグ情報F1、第3作業体11Lの格納姿勢を示すフラグ情報F2をそれぞれ記憶部B1に記憶する
【0085】
第3作業体7L、7Rを整地体展開状態から整地体格納状態にする場合の制御フローを、
図17に基いて説明する。なお、説明は上記同様に、左側の作業体である第3作業体7Lを整地体展開状態から整地体格納状態にする場合について言及する。右側の作業体である第3作業体11Rのみの動作、及び、第3作業体7Lと第3作業体7Rを同時に動作させることについては省略する。第3作業体7Lを整地体展開状態にする場合、制御部B内に構成されている記憶部B1に記憶されている第2作業体11Lが展開しているか否かを示すフラグ情報F1、及び、第3作業体7Lが展開しているか否かを示すフラグ情報F2を記憶または使用すると共に生成する。
【0086】
まず、ステップS41において、作業者が第3作業体7Lである延長整地体を格納させる操作を行う。つまり、作業者が操作部Aの第3作業体7Lを格納状態にさせる格納ボタンA3bを操作する。すると、操作部Aは延長整地体を格納側に駆動させるように第2駆動装置84を作動させる指令信号を発信する。指令信号を受信した制御部Bは、ステップS42を実行する。
【0087】
ステップS42において、制御部Bは延長整地体7Lを格納動作させる。すなわち、第3作業体7Lを整地体格納状態にするために、第2駆動装置84のモータ841を第3作業体7Lが格納する方向に回転させる。次いでステップS43に移行し、制御部Bが延長整地体格納動作時間内かどうかを判断する。すなわち、ステップS41において、作業者が格納ボタンA3bを操作してから経過した操作時間が予め決められた延長整地体格納動作時間の範囲内であるかを判断する。操作時間が延長整地体格納動作時間内である場合、再度、ステップS42に戻り制御を繰り返す。操作時間が延長整地体格納動作時間を超えたと制御部Bが判断すると、次ステップS44に移行する。
【0088】
ステップS44では、制御部Bは延長整地体の格納動作を停止させる。すなわち、第2駆動装置84のモータ841を第3作業体7Lが格納する方向に回転させことを停止させる。この時点で、第1歯車であるピニオンギヤ842の回転方向側の歯面は、
図11に示すように、第2歯車であるギヤ843の歯面と押圧点Pで押圧状態である。ギヤ843の歯面と押圧するピニオンギヤ842歯面の対称側にある回転方向の反対側の歯面側は、バックラッシ85と呼ばれる隙間が発生している状態となる。
【0089】
次いでステップS45に移行し、待ち時間が経過したかを判断する。待ち時間は、ステップS44でモータ841の動作を停止した後から経過した時間であり、予め設定されている。待ち時間は0.1~0.2秒が好適とされ、実施形態では0.15秒を採用している。待ち時間が経過していないと制御部Bが判断した場合、ステップS44に戻って、再度制御を繰り返す。待ち時間が経過したと制御部Bが判断した場合、ステップS46に移行する。
【0090】
ステップS46で、制御部Bは延長整地体7Lを展開状態にさせる方向である逆転方向に動作をさせる。すなわち、第2駆動装置84のモータ841を、ステップS42で回転させた方向とは逆の方向に回転させる。
【0091】
この後、ステップS47に移行し、延長整地7L体の逆転動作時間内であるかどうかを判断する。逆転動作時間は0.005~0.015秒と、ごく僅少な時間が好適であり、実施形態の場合は0.01秒を採用している。このため、逆転動作において、第1歯車842の歯面は第2歯車843の歯面を乗り越えない範囲で動作し、第2歯車843は回転しない。また、待ち時間の設定によって、逆転動作時の起電力の急激な上昇を防いでいる。
【0092】
逆転動作時間が設定した逆転展開動作時間内ではない、つまり、逆転動作時間が設定時間を経過したと制御部Bが判断した場合は、ステップS48に移行する。これに対し、逆転動作時間が経過していないと制御部Bが判断した場合は、再度ステップS46に戻って、制御を繰り返す。
【0093】
ステップS48に移行すると、制御部Bは延長整地体7Lの動作を停止させる。つまり、第3作業体7Lを駆動動作させる第2駆動装置84のモータ841逆転動作を停止させる。ステップS48を終えた時点で、
図12に示すように、第1歯車であるピニオンギヤ842の歯面は、第2歯車であるギヤ843の歯面と押圧状態が解除され、バックラッシ85より小さい距離の隙間85aが発生する。ギヤ843の歯面と押圧するピニオンギヤ842歯面の対称側にある回転方向の反対側の歯面側は、バックラッシ85より小さい距離となる隙間85bが発生している状態となる。
【0094】
ステップS48が終了すると、ステップS49に移行する。ステップS49では、制御部は、延長整地体7Lのフラグ情報F2を格納にする。つまり、延長整地体である第3作業体が整地体格納状態を示す情報であるフラグ情報F2を格納として生成する。
【0095】
ステップS49を終えるとステップS50に移行し、現在のフラグ情報である第3作業体7Lのフラグ情報F2及び第2作業体11Lのフラグ情報F1をそれぞれ記憶部B1に記憶し、制御フローを終了する。
【0096】
第3作業体7L、7Rを整地体展開状態から整地体格納状態にする場合、モータ841が第3作業体7L、7Rを整地体展開状態から整地体格納状態に動作し、次いで、逆転する動作をした後に、第3作業体11Lの姿勢を示すフラグ情報F2を生成する。生成後、フラグ情報F2を記憶部B1に記憶する記憶する。また、第3作業体7L、7Rを整地体格納状態から整地体展開状態にする場合とは異なり、制御開始に伴うフラグ情報F1、F2の状態判断は伴わずに格納動作を行う。
【0097】
上記したように、第3作業体7Lのみの展開姿勢又は格納姿勢への動作について言及したが、右側の作業体である第2作業体11Rのみが同様の動作する場合、第2作業体11Rの姿勢を示すフラグ情報F1,第3作業体7Rの姿勢を示すフラグ情報F2の生成を伴って行われる。さらに、第3作業体7Lと第3作業体7Rを同時に整地体格納状態あるいは整地体展開状態に動作させる場合、第2作業体11L,11R及び第3作業体7L、7Rの少なくとも何れかを含む動作及びフラグ情報F1,F2の生成を伴って行われる。
【0098】
第3作業体7L,7Rが展開する場合において、記憶部B1に記憶されている第2作業体の姿勢状態を示すフラグ情報F1に応じて、第3作業体7L,7Rを展開することが可能な構成なので、第2作業体11L,11Rの内、少なくとも何れか一方が格納状態のまま、第3作業体7L,7Rを展開することを防止できる。したがって、第3作業体7L,7Rは第2作業体11L,11Lが展開姿勢であるという条件が揃わない限り、第3作業体7L,7Rを展開できない。このため、第2作業体11L,11Rが格納状態のまま、第3作業体7L,7Rを不意な操作で農作業機1を自壊させることを防止できる。
【0099】
第3作業体7L,7Rが格納する場合において、第2作業体11L,11Lの姿勢状態によらずに、格納が可能である構成である。上記説明の通り、第3作業体7L,7Rの整地体展開状態は、必ず第2作業体11L,11Rが展開した状態でのみ、発生し得る形態である。第2作業体11L,11Rが展開姿勢のとき、整地体格納状態の第3作業体7L,7Rは、農作業機1の左右端部に位置していて、回動支点部71L,71Rを軸に回動しても、他の部材と自壊を伴う干渉は反省しない。したがって、第3作業体7L,7Rを格納する場合は、第2作業体の姿勢判断をするフローを省略して迅速に動作できる。すなわち、第3作業体7L,7Rの姿勢変更に係る制御フローを簡易な構成とすることができる。
【0100】
第3作業体7L,7Rを展開及び格納後は、駆動装置8を自動停止した後に、現在姿勢を示すフラグ情報を記憶する構成であるので、農作業機1に特別な部材を追加する必要が無い。すなわち、農作業機本体を簡易な構成にでき、且つ、安価に構成することができる。
【0101】
第3作業体を姿勢変更する場合での第3作業体の動作は、操作部を作業者が操作しているときにのみ動作する構成としているため、異常等が生じた場合は操作をやめるだけで動作が停止する。異常等が生じても、即時に作業者が対応できる構成としている。
【0102】
図示はしないが、
図16に示す第3作業体7L,7Rを整地体展開状態にさせる制御の途中で、作業者が操作部Aの操作を停止すると、その時点で駆動装置8を停止させ、この時点のフラグ状態を記憶する構成としている。すなわち、操作部Aの操作を停止すると、制御部Bは指令信号が停止したものと判断し、ステップS30に強制的に移行させ、ステップS31を実行させ、制御を終了させる。これは、僅かでも第3作業体7L,7Rを展開させる動作を行うと、整地体展開状態であると認識させることで、作業者が第3作業体7L,7Rを姿勢変更させる意思があるものとして認識させることができる。したがって、第3作業体7L,7Rが姿勢を変更する中途状態での第2作業体11L,11Rの姿勢変更を抑制できる。
【0103】
対して、第3作業体7L,7Rを整地体展開状態から整地体格納状態に格納動作中に操作部の操作を停止すると、第3作業体7L,7Rのフラグ情報F2を格納状態と生成することなく、駆動装置8を停止させる。つまり、
図17に示す第3作業体7L,7Rを整地体格納状態にさせる制御の途中で、作業者が操作部Aの操作を停止すると、その時点で制御フローを停止させる。さらに言い換えれば、制御フローが停止することで、駆動装置8の動作は停止するものの、この時点のフラグ情報F2を生成及びフラグ情報F2を記憶部B1に記憶することはない。
【0104】
整地体格納状態と制御部Bに認識させるには、予め決められた制御フローに則った手順を踏まない限り、第3作業体7L,7Rを格納したと認識させることが無い。したがって、作業者に確実に第3作業体7L,7Rを格納させるように操作を促すことができる。その後、第2作業体11L,11Rを動作させても、延長整地体7L,7Rが整地体格納状態であって、且つ、制御部Bがフラグ情報F2で整地体格納状態と認識することによって、農作業機1の各部位が誤った姿勢状態で動作して損傷するおそれがない。
【0105】
延長整地体である第3作業体7L,7Rの姿勢変更後は、第1歯車842が第2歯車843にかみ合う圧力がかからない位置まで戻る、すなわち、歯面間の遊び隙間であるバックラッシ85より小さい距離の分だけ逆に回転して、一連の動作が終了する。これにより、姿勢変更後は、対になる歯面同士間にかみ合う圧力が生じないため、歯面同士が長期間放置による錆等による固着を防ぐことができる。
【0106】
姿勢変更後において、歯面へのかみ合い圧力がかからないため、第1歯車842が接続するモータ841の出力軸に負荷がかからなくなり、モータ841を損傷させることがない。特に、不使用時間となる長期間、モータ841の出力軸に負荷がかかった状態で放置されることがないため、モータ841を長期間にわたって損傷から防いで使用することができる。
【0107】
歯面同士の固着や、モータ841の損傷を抑制できるので、作業者がメンテナンス作業を軽減させるとともに、部品交換等に係る費用も削減でき経済的となる。
【0108】
第1後方整地体56の回動を規制した固定状態から回動可能な固定解除状態にする場合の制御フローを、
図18に基いて説明する。第1後方整地体56を固定状態から固定解除状態にする場合、制御部B内に構成されている記憶部B1に記憶されている、第1後方整地体56が固定状態又は固定解除状態を示す整地体フラグ情報であるフラグ情報F3を記憶または使用すると共に生成する。なお、第1後方整地体56の固定状態を土寄せ姿勢、又は、土寄せ状態と呼称することもある。また、第1後方整地体56の固定解除状態を代掻き姿勢、又は、代掻き状態と呼称することもある。
【0109】
まず、ステップS61において、作業者が第1後方整地体56を代掻き状態にする操作を行う。つまり、作業者が操作部Aの第1後方作業体56を固定解除状態にさせるボタンA4b操作する。すると、操作部Aは第1後方作業体56を固定解除状態にする駆動をさせるように第3駆動装置87を作動させる指令信号を発信する。指令信号を受信した制御部Bは、ステップS62を実行する。
【0110】
ステップS62で代掻き姿勢へ動作する制御を行う。すなわち、制御部Bは、第3駆動装置87のモータ871を回転させて、係合ロッド875と係合部材874の係合溝874aとの係合を解除する方向に係合部材874を回転動作させる。
【0111】
次いでステップS63に移行し、制御部Bは代掻き動作時間内であるかどうかを判断する。つまり、制御部Bは、操作部AのボタンA4bの操作開始からの操作経過時間が、指定された時間内であるかを判断する。代掻き動作時間は1.0~2.8秒が好適とされ、実施形態においては1.9秒としている。代掻き動作時間内である、つまり、ボタンA3bの操作開始からの経過時間が設定した代掻き動作時間に満たない場合は、ステップS62に戻り制御を繰り返す。代掻き動作時間内ではない、つまり、ボタンA3bの操作開始からの経過時間が設定した代掻き動作時間以上に経過している場合、ステップS64に移行する。
【0112】
ステップS64では、代掻き動作を停止させる。すなわち、制御部Bは第3制御装置87のモータ871の動作を停止させる。この時点で、第1歯車であるピニオンギヤ872の回転方向側の歯面は、
図11に示すように、第2歯車であるギヤ843の歯面と押圧点Pで押圧状態である。ギヤ873の歯面と押圧するピニオンギヤ872歯面の対称側にある回転方向の反対側の歯面側は、バックラッシ88と呼ばれる隙間が発生している状態となる。
【0113】
その後、ステップS65に移行し、待ち時間が経過したかを判断する。待ち時間は、ステップS64でモータ871の動作を停止後から経過した時間であり、予め設定されている。待ち時間は0.1~0.2秒が好適とされ、実施形態では0.15秒を採用している。待ち時間が経過していないと制御部Bが判断した場合、ステップS64に戻って、再度制御を繰り返す。待ち時間が経過したと制御部Bが判断した場合、ステップS66に移行する。
【0114】
ステップS66で、制御部Bは第1後方整地体56を固定状態にさせる方向である土寄せ動作をさせる。つまり、第3駆動装置87のモータ871を、ステップS62で回転させた方向とは逆の方向に回転させる。
【0115】
次いでステップS67に移行し、制御部Bはモータ871の逆転動作時間内であるかどうかを判断する。逆転動作時間は0.005~0.015秒と、ごく僅少な時間が好適であり、実施形態の場合は0.01秒を採用している。逆転動作において、第1歯車872の歯面は第2歯車873の歯面を乗り越えない範囲で動作し、第2歯車873は回転しない。また、待ち時間の設定によって、逆転動作時の起電力の急激な上昇を防いでいる。逆転動作時間が経過していないと制御部Bが判断した場合は、再度ステップS66に戻って、制御を繰り返す。設定した逆転展開動作時間内ではない、つまり、逆転動作時間が逆転展開動作時間を経過したと制御部Bが判断した場合は、ステップS68に移行する。待ち時間の設定によって、逆転動作時の起電力の急激な上昇を防いでいる。
【0116】
ステップS68で、制御部Bは土寄せ動作を停止させる。すなわち、制御部Bは第3制御装置87のモータ871の逆転動作を停止させる。ステップS68を終えた時点で、
図12に示すように、第1歯車であるピニオンギヤ872の歯面は、第2歯車であるギヤ873の歯面と押圧状態が解除され、バックラッシ88より小さい距離の隙間88aが発生する。ギヤ873の歯面と押圧するピニオンギヤ872歯面の対称側にある回転方向の反対側の歯面側は、バックラッシ85より小さい距離となる隙間88bが発生している状態となる。
【0117】
次いでステップS69に移行し、制御部Bは代掻きフラグをONにする。つまり、制御部Bは第1後方整地体56のフラグ情報F3を代掻き状態として生成する。この後、ステップS70に移行し、現在の第1後方整地体56の姿勢を示すフラグ情報F3を記憶部B1記憶して、制御が終了する。
【0118】
第1後方整地体56を回動可能な固定解除状態から、回動を規制した固定状態にする場合の制御フローを、
図19に基いて説明する。第1後方整地体56を固定状態から固定解除状態にする場合、制御部B内に構成されている記憶部B1に記憶されている、第1後方整地体56が固定状態又は固定解除状態を示すフラグ情報F3を記憶または使用すると共に生成する。
【0119】
ステップS81で、作業者が土寄せ動作を行う。つまり、作業者が操作部Aの第1後方作業体56を固定状態にさせるボタンA4a操作する。すると、操作部Aは第1後方作業体56を固定状態にする駆動をさせるように第3駆動装置87を作動させる指令信号を発信する。指令信号を受信した制御部Bは、ステップS82を実行する。
【0120】
ステップS82では、制御部Bは代掻きフラグをOFFにする。つまり、制御部Bは第1後方整地体56の姿勢を示す情報であるフラグ情報F3を、代掻きフラグとは異なるフラグである土寄せとするフラグを生成する。
【0121】
次いで、ステップS83に移行し、制御部Bは土寄せ動作をさせる。つまり、制御部Bは、第3制御装置87のモータ871を回転させて、係合ロッド875が係合部材874の係合溝874aと係合する方向に係合部材874を回転動作させる。
【0122】
次いでステップS84に移行し、制御部Bは土寄せ動作時間内であるかどうかを判断する。つまり、制御部Bは、操作部AのボタンA4aの操作開始からの操作経過時間が、指定された時間内であるかを判断する。土寄せ動作時間は1.0~2.8秒が好適とされ、実施形態においては1.9秒としている。土寄せ動作時間内である、つまり、ボタンA3aの操作開始からの経過時間が設定した土寄せ動作時間に満たない場合はステップS83に戻り、制御を繰り返す。土寄せ動作時間内ではない、つまり、ボタンA3aの操作開始からの経過時間が設定した代掻き動作時間以上に経過している場合、ステップS85に移行する。
【0123】
ステップS85で、土寄せ動作を停止させる。すなわち、制御部Bは第3制御装置87のモータ871の動作を停止させる。この時点で、第1歯車であるピニオンギヤ872の回転方向側の歯面は、
図11に示すように、第2歯車であるギヤ843の歯面と押圧点Pで押圧状態である。ギヤ873の歯面と押圧するピニオンギヤ872歯面の対称側にある回転方向の反対側の歯面側は、バックラッシ88と呼ばれる隙間が発生している状態となる。
【0124】
その後、ステップS86に移行し、待ち時間が経過したかを判断する。待ち時間は、ステップS85でモータ871の動作を停止後から経過した時間であり、予め設定されている。待ち時間は0.1~0.2秒が好適とされ、実施形態では0.15秒を採用している。待ち時間が経過していないと制御部Bが判断した場合、ステップS85に戻って、再度制御を繰り返す。待ち時間が経過したと制御部Bが判断した場合、ステップS87に移行する。
【0125】
ステップS87で、制御部Bは第1後方整地体56を固定解除状態にさせる方向である代掻き動作をさせる。つまり、制御部Bは第3駆動装置87のモータ871を、ステップS83で回転させた方向とは逆の方向に回転させる。
【0126】
次いでステップS88に移行し、制御部Bはモータ871の逆転動作時間内であるかどうかを判断する。逆転動作時間は0.005~0.015秒と、ごく僅少な時間が好適であり、実施形態の場合は0.01秒を採用している。逆転動作において、第1歯車872の歯面は第2歯車873の歯面を乗り越えない範囲で動作し、第2歯車873は回転しない。また、待ち時間の設定によって、逆転動作時の起電力の急激な上昇を防いでいる。逆転動作時間が経過していないと制御部Bが判断した場合は、再度ステップS87に戻って、制御を繰り返す。設定した逆転展開動作時間内ではない、つまり、逆転動作時間が逆転展開動作時間を経過したと制御部Bが判断した場合は、ステップS89に移行する。
【0127】
ステップS89で、制御部Bは代掻き動作を停止させる。すなわち、制御部Bは第3制御装置87のモータ871の逆転動作を停止させる。ステップS89を終えた時点で、
図12に示すように、第1歯車であるピニオンギヤ872の歯面は、第2歯車であるギヤ873の歯面と押圧状態が解除され、バックラッシ88より小さい距離の隙間88aが発生する。ギヤ873の歯面と押圧するピニオンギヤ872歯面の対称側にある回転方向の反対側の歯面側は、バックラッシ85より小さい距離となる隙間88bが発生している状態となる。
【0128】
次いでステップS90に移行し、制御部Bは現在の第1後方整地体56の姿勢状態を示すフラグ情報F3を記憶部B1に記憶して、制御が終了する。
【0129】
上記した第1後方整地体56の動作に係る制御フローによれば、第1後方整地体56の姿勢状態である固定状態及び固定解除状態を、制御部Bが判断可能にできる。図示ないが、このフラグ情報F3を他の制御装置及び機構等への活用が期待できる。
【0130】
フラグ情報F3の生成は、第1後方整地体56が固定解除状態にする場合、作業者が操作部Aを操作後、実際に第3駆動装置87が動作した後になされる。他方、第1後方整地体56が固定状態にする場合は、作業者が操作部Aを操作した直後になされる。この制御構成によって、回動可能な係合部材874が
図10に示す固定解除状態以外の位置では、すべて固定状態として認識させることが可能である。
【0131】
代掻き作業を行う本発明の農作業機1は、固定解除状態で作業をすることが多くを占めることから、確実に姿勢変更をした後に作業を行うようにするために、
図18に示す制御手順を踏むように構成している。つまり、第3駆動装置87を動作させて、第1後方整地体56を固定解除状態にした後に、固定解除のフラグ情報F3を生成し、記憶する手順を採用しているので、姿勢判断の確実性の向上が期待できる。
【0132】
係合部材874が回動移動することによって、
図10に示す固定解除状態から
図9に示す固定状態に姿勢変更する場合、
図10に示す固定解除状態の位置以外の係合部材874の位置は、すべて固定状態と判断できるように制御している。これによって、制御が複雑とならず、操作部Aの操作のみで、第1後方整地体56の姿勢を判別可能にできるので、制御部Bの構成を簡易なものとすることができる。
【0133】
図示はしないが、
図18に示す固定解除状態にさせる制御の途中で、操作部Aの操作を停止すると、フラグ情報F3を代掻き状態を示すフラグを生成することなく、第3駆動装置87を停止させる。つまり、作業者が操作部Aの操作を停止すると、その時点で制御フローを停止させる。制御フローが停止することで、第3駆動装置87の動作は停止するものの、この時点のフラグ情報を生成及び記憶することはない。第1後方整地体56の姿勢を代掻き状態である固定解除状態と制御部Bに認識させるには、予め決められた制御フローに則った手順を踏まない限り、固定解除状態と認識させることが無い。したがって、作業者に確実に第1後方整地体56の姿勢を固定解除状態にさせるように、操作を促すことができる。
【0134】
図示はしないが、
図19に示す固定状態にさせる制御の途中で、作業者が操作部Aの操作を停止すると、その時点で第3駆動装置87を停止させ、この時点のフラグ状態を記憶する構成としている。すなわち、操作部Aの操作を停止すると、制御部Bは指令信号が停止したものと判断し、ステップS90に強制的に移行させ、ステップS31を実行させ、制御を終了させる。これは、僅かでも第1後方整地体56の姿勢を固定させる動作を行うと、固定状態であると認識させることで、制御部Bに作業者が第1後方整地体56を姿勢変更させる意思があるものとして認識させることができる。
【0135】
第2駆動装置84と同様に第3駆動装置87は、第1後方整地体56の姿勢変更後は、第1歯車842が第2歯車843にかみ合う圧力がかからない位置まで戻る、すなわち、歯面間の遊び隙間であるバックラッシ88より小さい距離の分だけ逆に回転して、一連の動作が終了する。これにより、姿勢変更後は、対になる歯面同士間にかみ合う圧力が生じないため、歯面同士が長期間放置による錆等による固着を防ぐことができる。
【0136】
第1後方整地体56の姿勢変更後において、歯面へのかみ合い圧力がかからないため、第1歯車872が接続するモータ871の出力軸に負荷がかからなくなり、モータ871を損傷させることがない。特に、不使用時間となる長期間、モータ871の出力軸に負荷がかかった状態で放置されることがないため、モータ871を長期間にわたって損傷から防いで使用することができる。
【0137】
歯面同士の固着や、モータ871の損傷を抑制できるので、作業者によるメンテナンス作業を軽減させるとともに、部品交換等に係る費用も削減できて経済的となる。
【0138】
本発明は、上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものではない。この開示に基づく実施形態、実施例及び運用技術の改変は、特許請求の範囲に記載された範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 農作業機、11 第1作業体、11L 第2作業体、11R 第2作業体、5 第1整地体、5L 第2整地体、5R 第2整地体、51 第1前方整地体、51L 第2前方整地体、51R 第2前方整地体、56 第1後方整地体、561 リンク機構、561a 屈曲部、56L 第2後方整地体、56R 第2後方整地体、7L 第3作業体、7R 第3作業体、8 駆動装置、81 第1駆動装置、84 第2駆動装置、841 モータ、842 ピニオンギヤ、843 ギヤ、87 第3駆動装置、871 モータ、872 ピニオンギヤ、873 ギヤ、874 係合部材、874a 係合溝、875 係合ロッド、A 操作部、B 制御部、B1 記憶部