(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039303
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 17/26 20060101AFI20220303BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B65G17/26 A
B65G54/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144258
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁井 聖
(72)【発明者】
【氏名】植月 晶
【テーマコード(参考)】
3F021
【Fターム(参考)】
3F021BA02
3F021CA01
3F021DA03
3F021DA04
(57)【要約】
【課題】自由度の高い物品搬送を可能にする。
【解決手段】搬送装置100においては、第1可動子130は、第1レール110上を摺動し、第2可動子140は、第2レール120上を摺動する。第2可動子140は、第2レール120上を摺動する。第1可動子130に、物品1を一方側から支持する第1アーム131が設けられ、第2可動子140に、物品1を他方側から支持する第2アーム141が設けられていることで、第1可動子130および第2可動子140は、第1アーム131および第2アーム141により物品1を把持しつつ摺動して搬送可能に構成されている。第1可動子130および第2可動子140は、第1レール110と第2レール120とが並ぶ並列方向yから見て、物品1を搬送している状態において同時に同一の軌跡を描くように摺動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を把持して搬送可能な搬送装置であって、
少なくとも曲線部を含む第1レールと、
前記第1レールと同一の形状を有し、前記第1レールと隙間を空けて互いに対向するように並んで配置された第2レールと、
前記第1レール上を摺動する第1可動子と、
前記第2レール上を摺動する第2可動子とを備え、
前記第1可動子に、前記物品を一方側から支持する第1アームが設けられ、前記第2可動子に、前記物品を他方側から支持する第2アームが設けられていることで、前記第1可動子および前記第2可動子は、前記第1アームおよび前記第2アームにより前記物品を把持しつつ摺動して搬送可能に構成されており、
前記第1可動子および前記第2可動子は、前記第1レールと前記第2レールとが並ぶ並列方向から見て、前記物品を搬送している状態において同時に同一の軌跡を描くように摺動する、搬送装置。
【請求項2】
物品を把持して搬送可能な搬送装置であって、
第1レールと、
前記第1レールと同一の形状を有し、前記第1レールと隙間を空けて互いに対向するように並んで配置された第2レールと、
前記第1レール上を摺動する第1可動子と、前記第2レール上を摺動する第2可動子とを、1つのペアとして有する、複数の搬送ユニットとを備え、
複数の前記搬送ユニットの各々においては、前記第1可動子に、前記物品を複数の前記搬送ユニットの搬送方向における一方側から支持する第1アームが設けられ、前記第2可動子に、前記物品を前記搬送方向における他方側から支持する第2アームが設けられていることで、前記第1可動子および前記第2可動子は、前記第1アームおよび前記第2アームにより前記物品を把持しつつ摺動して搬送可能に構成されており、
複数の前記搬送ユニットは、第1搬送ユニット、第2搬送ユニットおよび第3搬送ユニットを少なくとも含み、
前記第1搬送ユニットの前記第1可動子の中心位置と、前記第1搬送ユニットにおける前記第1アームの前記物品の支持位置との間の前記搬送方向における寸法である第1のA寸法、前記第2搬送ユニットの前記第1可動子の中心位置と、前記第2搬送ユニットにおける前記第1アームの前記物品の支持位置との間の前記搬送方向における寸法である第2のA寸法、および、前記第3搬送ユニットの前記第1可動子の中心位置と、前記第3搬送ユニットにおける前記第1アームの前記物品の支持位置との間の前記搬送方向における寸法である第3のA寸法が、互いに異なり、
前記第1搬送ユニットの前記第2可動子の中心位置と、前記第1搬送ユニットにおける前記第2アームの前記物品の支持位置との間の前記搬送方向における寸法である第1のB寸法、前記第2搬送ユニットの前記第2可動子の中心位置と、前記第2搬送ユニットにおける前記第2アームの前記物品との支持位置との間の前記搬送方向における寸法である第2のB寸法、および、前記第3搬送ユニットの前記第2可動子の中心位置と、前記第3搬送ユニットにおける前記第2アームの前記物品の支持位置との間の前記搬送方向における寸法である第3のB寸法が、互いに異なり、
前記第1のA寸法と前記第1のB寸法との総和、前記第2のA寸法と前記第2のB寸法との総和、および、前記第3のA寸法と前記第3のB寸法との総和が、互いに等しく、
前記第1のA寸法および前記第2のB寸法の総和と、前記第2のA寸法および前記第3のB寸法の総和とが、互いに等しい、搬送装置。
【請求項3】
前記第1レールと並んで配置されていない第3レールをさらに備え、
複数の前記搬送ユニットは、前記第1搬送ユニットの前記第2可動子を、前記第3レール上に移動可能に構成されている、請求項2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置の構成を開示した文献として、特開2019-99385号公報(特許文献1)がある。特許文献1に開示された搬送装置は、リニアモータの固定子と、複数のリニアモータの可動子と、保持部材と、制御部とを備えている。複数のリニアモータの可動子は、固定子に設けられている。保持部材は、可動子に設けられている。保持部材は、物品を保持する。制御部は、固定子における可動子の走行を制御する。当該搬送装置は、リニア搬送装置であって、可動子が固定子における所定の走行軌道に沿って走行することにより、保持部材に保持された物品を搬送する。固定子は、可動子の走行軌道上において直線状の走行軌道と、曲線状の走行軌道とを有している。曲線状の走行軌道は、該直線状の走行軌道に連設されている。保持部材は、可動子の固定子における走行軌道に対して径方向外側または径方向内側に所定距離離れた位置に設けられている。制御部は、可動子が固定子における曲線状の走行軌道を走行する際、隣り合う可動子の間隔を直前の直線状の走行軌道を走行しているときの間隔よりも狭くすることにより、隣り合う可動子の保持部材の間隔を一定にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された搬送装置においては、保持部材(アーム)の間隔を所定の寸法に維持するために、2つの可動子に対して、走行軌道の形状に対応して予め定められた制御が実施される。このように、2つの可動子によって物品を搬送する従来の搬送装置においては、物品搬送の自由度が低い。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、自由度の高い物品搬送を可能にする搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に基づく搬送装置は、物品を把持して搬送可能である。搬送装置は、第1レールと、第2レールと、第1可動子と、第2可動子とを備えている。第1レールは、少なくとも曲線部を含んでいる。第2レールは、第1レールと同一の形状を有している。第2レールは、第1レールと隙間を空けて互いに対向するように並んで配置されている。第1可動子は、第1レール上を摺動する。第2可動子は、第2レール上を摺動する。第1可動子に、物品を一方側から支持する第1アームが設けられ、第2可動子に、物品を他方側から支持する第2アームが設けられていることで、第1可動子および第2可動子は、第1アームおよび第2アームにより物品を把持しつつ摺動して搬送可能に構成されている。第1可動子および第2可動子は、第1レールと第2レールとが並ぶ並列方向から見て、物品を搬送している状態において同時に同一の軌跡を描くように摺動する。
【0007】
本発明の第2局面に基づく搬送装置は、物品を把持して搬送可能である。搬送装置は、第1レールと、第2レールと、複数の搬送ユニットとを備えている。第2レールは、第1レールと同一の形状を有している。第2レールは、第1レールと隙間を空けて互いに対向するように並んで配置されている。複数の搬送ユニットの各々は、第1レール上を摺動する第1可動子と、第2レール上を摺動する第2可動子とを、1つのペアとして有している。複数の搬送ユニットの各々においては、第1可動子に、物品を複数の搬送ユニットの搬送方向における一方側から支持する第1アームが設けられ、第2可動子に、物品を搬送方向における他方側から支持する第2アームが設けられていることで、第1可動子および第2可動子が、第1アームおよび第2アームにより物品を把持しつつ摺動して搬送可能に構成されている。複数の搬送ユニットは、第1搬送ユニット、第2搬送ユニットおよび第3搬送ユニットを少なくとも含んでいる。第1搬送ユニットの第1可動子の中心位置と、第1搬送ユニットにおける第1アームの物品の支持位置との間の搬送方向における寸法である第1のA寸法、第2搬送ユニットの第1可動子の中心位置と、第2搬送ユニットにおける第1アームの物品の支持位置との間の搬送方向における寸法である第2のA寸法、および、第3搬送ユニットの第1可動子の中心位置と、第3搬送ユニットにおける第1アームの物品の支持位置との間の搬送方向における寸法である第3のA寸法は、互いに異なっている。第1搬送ユニットの第2可動子の中心位置と、第1搬送ユニットにおける第2アームの物品の支持位置との間の搬送方向における寸法である第1のB寸法、第2搬送ユニットの第2可動子の中心位置と、第2搬送ユニットにおける第2アームの物品との支持位置との間の搬送方向における寸法である第2のB寸法、および、第3搬送ユニットにおける第2可動子の中心位置と、第3搬送ユニットにおける第2アームの物品との支持位置との間の搬送方向における寸法である第3のB寸法は、互いに異なっている。第1のA寸法と第1のB寸法との総和、第2のA寸法と第2のB寸法との総和、および、第3のA寸法と第3のB寸法との総和は、互いに等しい。第1のA寸法および第2のB寸法の総和と、第2のA寸法および第3のB寸法の総和とが、互いに等しい。
【0008】
本発明の第2局面に基づく搬送装置の一形態は、第3レールをさらに備えている。第3レールは、第1レールと並んで配置されていない。複数の搬送ユニットは、第1搬送ユニットの第2可動子を、第3レール上に移動可能に構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自由度の高い物品の搬送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る搬送装置の構成の一部を示す平面図である。
【
図2】
図1の搬送装置を矢印II方向から見た部分正面図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る搬送装置において物品を搬送している状態を模式的に示す部分正面図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る搬送装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】比較例に係る搬送装置を示す部分平面図である。
【
図6】比較例に係る搬送装置において物品を搬送している状態を模式的に示す部分正面図である。
【
図7】本発明の実施形態2において、複数の搬送ユニットが第1の状態であるときの搬送装置を示す正面図である。
【
図8】本発明の実施形態2において、複数の搬送ユニットが第2の状態であるときの搬送装置を示す正面図である。
【
図9】本発明の実施形態2における複数の搬送ユニットが第1の状態であるときの、複数の搬送ユニット、および、搬送ユニットを構成しない第2可動子の構成を模式的に示す図である。
【
図10】本発明の実施形態2における複数の搬送ユニットが第2の状態であるときの、複数の搬送ユニット、および、搬送ユニットを構成しない第2可動子の構成を示す模式的な図である。
【
図11】本発明の実施形態2における複数の搬送ユニットが第3の状態であるときの、複数の搬送ユニット、および、搬送ユニットを構成しない第2可動子の構成を示す模式的な図である。
【
図12】本発明の実施形態2に係る搬送装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図13】本発明の実施形態2に係る搬送装置を並列方向に直交する方向から見たときの、模式的な側面図である。
【
図14】本発明の実施形態3における搬送ユニットを示す平面図である。
【
図15】本発明の実施形態3の変形例における搬送ユニットを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態に係る搬送装置について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る搬送装置の構成の一部を示す平面図である。
図2は、
図1の搬送装置を矢印II方向から見た一部正面図である。
図3は、本発明の実施形態1に係る搬送装置において物品を搬送している状態を模式的に示す一部正面図である。
【0013】
図1から
図3に示すように、本発明の実施形態1に係る搬送装置100は、物品1を把持して搬送方向Cに搬送可能である。本実施形態においては、リニアモータによって物品1を搬送する搬送装置100を例示するが、搬送装置100は、他の駆動モータにより物品1を搬送してもよい。
【0014】
図1および
図2に示すように、搬送装置100は、第1レール110と、第2レール120と、第1可動子130と、第2可動子140とを備えている。
【0015】
図2に示すように、第1レール110は、少なくとも曲線部112を含んでおり、具体的には、直線部111、および、当該直線部111と連続した曲線部112を含んでいる。第1レール110は、複数の直線部111および複数の曲線部112を含んでいてもよい。第1レール110は、曲線部112とは曲率半径の異なる他の曲線部を含んでいてもよい。
【0016】
図1に示すように、第2レール120は、第1レール110と同一の形状を有している。第2レール120は、第1レール110と隙間を空けて互いに対向するように並んで配置されている。すなわち、
図2に示すように、第1レール110と第2レール120とが並ぶ並列方向yから見て、第2レール120は第1レール110と重なるように位置している。
【0017】
第2レール120も、第1レール110の直線部111および曲線部112のそれぞれに対向して位置する直線部および曲線部を含んでいる。
【0018】
図1および
図2に示すように、搬送装置100は、第1可動子130および第2可動子140を1つのペアとする搬送ユニットUを複数備えている。複数の搬送ユニットUは、搬送方向Cにおいて互いに隣り合っている。本実施形態においては、複数の搬送ユニットUは、互いに同一の構成を有している。このため、以下の本実施形態の説明においては、1つの搬送ユニットU中における第1可動子130と第2可動子140とについて説明する。
【0019】
第1可動子130は、第1レール110上を摺動する。第1可動子130には、第1アーム131が設けられている。第1アーム131は、具体的には、第1レール110と第2レール120とが並ぶ並列方向yおよび直線部111における延在方向xの両方に直交する直交方向zから見て、第1可動子130から第2レール120側に延出している。なお、第1アーム131は、直交方向zから見て、第1可動子130から第2レール120側とは反対側に延出していてもよいし、直交方向zから見たときに第1レール110と重なるように位置してもよい。
【0020】
第1アーム131は、物品1を一方向から支持する。具体的には、物品1を搬送している状態のうち、第1可動子130が第1レール110の直線部111上に位置している状態(以下、単に「直線部上位置状態」という場合がある)において、第1アーム131は物品1を延在方向xにおける一方側から支持する。換言すれば、第1アーム131は、物品1を搬送方向Cにおける一方側から支持する。
【0021】
図2に示すように、第1アーム131には、第1アーム131が搬送ユニットU中において物品1を支持する支持位置131Sに第1支持部132が設けられている。第1支持部132の構成は特に限定されないが、本実施形態において第1支持部132は第1支持面133を有している。第1アーム131は、第1支持面133において物品1と当接する。直線部上位置状態において、第1支持面133は延在方向xに交差しており、より具体的には延在方向xに直交している。
【0022】
図1に示すように、第2可動子140は、第2レール120上を摺動する。第2可動子140は、第1可動子130と、カム部材またはリンク部材などの連結部材によって連結されていない。第2可動子140には、第2アーム141が設けられている。第2アーム141は、直交方向zから見て、第2可動子140から第1レール110側に延出している。なお、第2アーム141は、直交方向zから見て、第1可動子130から第1レール110側とは反対側に延出していてもよいし、直交方向zから見たときに第2レール120と重なるように位置してもよい。本実施形態においては、直交方向zから見て第1レール110と第2レール120との間で物品1が把持されるが、直交方向zから見て第1レール110および第2レール120の外側で物品1が把持されてもよい。
【0023】
第2アーム141は、物品1を他方側から支持する。具体的には、直線部上位置状態においては、第2アーム141が物品1を延在方向xにおける他方側から支持する。換言すれば、第2アーム141は、物品1を搬送方向Cにおける他方側から支持する。
【0024】
図2に示すように、第2アーム141には、第2アーム141が搬送ユニットU中において物品1を支持する支持位置141Sに第2支持部142が設けられている。第2支持部142の構成は特に限定されないが、本実施形態において第2支持部142は第2支持面143を有している。第2アーム141は、第2支持面143において物品1と当接する。直線部上位置状態において、第2支持面143は延在方向xに交差しており、より具体的には延在方向xに直交している。
【0025】
このように、第1可動子130に、物品1を一方側から支持する第1アーム131が設けられ、第2可動子140に、物品1を他方側から支持する第2アーム141が設けられていることで、第1可動子130および第2可動子140は、第1アーム131および第2アーム141により物品1を把持しつつ摺動して搬送可能に構成されている。具体的には、第1可動子130が第1レール110の直線部111上に位置している状態において、第1アーム131が物品1を延在方向xにおける一方側から支持し、第2アーム141が物品1を延在方向xにおける他方側から支持することで、第1可動子130および第2可動子140は、第1アーム131および第2アーム141により物品1を把持しつつ摺動して搬送可能に構成されている。
【0026】
また、物品1を搬送している状態において、第1可動子130および第2可動子140は、搬送方向Cにおける位置が互いに同一となるように維持される。換言すれば、第1可動子130および第2可動子140は、第1レール110と第2レール120とが並ぶ並列方向yから見て、物品1を搬送している状態において同時に同一の軌跡を描くように摺動する(詳細は後述する)。
【0027】
第1可動子130および第2可動子140の位置制御について説明する。
図4は、本発明の実施形態1に係る搬送装置の電気的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、本発明の実施形態1に係る搬送装置100は、制御部150をさらに備える。制御部150は、第1レール110および第2レール120のそれぞれに電気的に接続されている。制御部150によって、第1レール110上に位置する第1可動子130および第2レール120上に位置する第2可動子140の位置が制御される。
【0028】
より具体的には、本実施形態においては、第1レール110上の第1可動子130および第2レール120上の第2可動子140の各々は、リニアモータによって位置制御される。すなわち、本実施形態において、第1レール110および第2レール120はリニアモータの固定子であり、制御部150は、第1レール110および第2レール120の各々に含まれる図示しない複数の電磁石に電気的に接続されている。制御部150の電源から供給される電流が変化することにより複数の電磁石の各々の極性が変化する。これにより、図示しない永久磁石を含む第1可動子130および第2可動子140は、これらの電磁石の極性により推進力を受けて摺動し、かつ、その位置が制御される。
【0029】
なお、本実施形態においては、第1可動子130および第2可動子140がリニアモータにより位置制御される場合を例示したが、第1可動子130および第2可動子140は、サーボモータなど他の駆動モータにより位置制御されていてもよい。
【0030】
ここで、比較例に係る搬送装置について説明する。
図5は、比較例に係る搬送装置を示す一部平面図である。
図6は、比較例に係る搬送装置において物品を搬送している状態を模式的に示す一部正面図である。
【0031】
図5に示すように、比較例においては、第2可動子940が第1レール110上に位置しており、かつ、搬送ユニットU9の中心を通るとともに第1レール110の延在方向に直交する仮想面に関して、第1可動子930と第2可動子940とが互いに対称になるように、第2可動子940が配置されている。この点が主に、本発明の実施形態1に係る第2可動子140と異なっている。また、比較例に係る搬送装置900は、第2レール120を備える本実施形態に係る搬送装置100とは異なり、レール(第1レール110)を1つだけ備えている。
【0032】
図6に示すように、比較例において、第1可動子930および第2可動子940の搬送方向Cにおける相対的な位置を維持させつつ、第1可動子930および第2可動子940を第1レール110の曲線部112上に移動させると、第1レール110の直線部111上を移動しているときに比べて、第1アーム931の支持位置931Sと第2アーム941の支持位置941Sとの間隔W9が大きくなる。このため、比較例においては、曲線部112上において物品を把持することができない場合がある。
【0033】
比較例においてこれらの支持位置931S,941Sの間隔W9を一定に保つためには、曲線部112において物品1を搬送中の第1可動子930および第2可動子940の距離D2を、直線部111における第1可動子930および第2可動子940の距離D1より小さく変化させるように、第1可動子930および第2可動子940を制御する、または、カム部材またはリンク部材などの連結部材をさらに用いることが考えられる。しかしながら上記制御を実施する場合、または、上記連結部材を用いた場合には、搬送装置900が複雑な構成となり、搬送方法の自由度が低くなる。
【0034】
また、仮に上記連結部材を用いた場合であっても、比較例において、搬送ユニットU9が第1レール110の直線部111から曲線部112上に移動すると、第1アーム931の第1支持面933と第2アーム941の第2支持面943との交差角度θが変化する。具体的には、第1支持面933と第2支持面943とが、互いに平行の状態から非平行の状態になる。これにより、物品の把持が不安定となる。本比較例において、第1支持面933と第2支持面943との交差角度を一定に維持するためには、さらに複雑な制御が必要となる。
【0035】
一方、
図1および
図2に示すように、本発明の実施形態1に係る搬送装置100においては、第1可動子130は、第1レール110上を摺動し、第2可動子140は、第2レール120上を摺動する。第1可動子130に、物品1を一方側から支持する第1アーム131が設けられ、第2可動子140に、物品1を他方側から支持する第2アーム141が設けられていることで、第1可動子130および第2可動子140は、第1アーム131および第2アーム141により物品1を把持しつつ摺動して搬送可能に構成されている。第1可動子130および第2可動子140は、第1レール110と第2レール120とが並ぶ並列方向yから見て、物品1を搬送している状態において同時に同一の軌跡を描くように摺動する。これにより、搬送装置100における物品1の搬送の自由度が高くなる。具体的には、第1レール110の形状、すなわち、物品1の搬送経路の形状に関わらず、第1アーム131の支持位置131Sと第2アーム141の支持位置141Sとの間隔を一定にして物品1を搬送できるため、物品1の搬送経路の自由度が高くなる。
【0036】
また、本実施形態に係る搬送装置100においては、第1レール110が、直線部111、および、直線部111と連続した曲線部112を含んでいる。これにより、第1可動子130および第2可動子140の搬送方向Cにおける位置を互いに同一とする簡易な制御により、
図3に示すように、第1可動子130が直線部111上および曲線部112上のいずれに位置している場合であっても、第1アーム131の支持位置131Sと第2アーム141の支持位置141Sとの間隔を一定にして物品1を搬送することができる。
【0037】
さらに、本発明の実施形態1においては、物品を支持している状態において、第1可動子130が直線部111上から曲線部112上に移動しても、第1支持面133と第2支持面143とのなす角の角度は変化しない。具体的には、第1可動子130が直線部111上に位置しているときに第1アーム131の第1支持面133と第2アーム141の第2支持面143とが互いに対向しているところ、曲線部112上に第1可動子が位置していても、第1アーム131の第1支持面133と第2アーム141の第2支持面143とが互いに対向された状態が一定に維持される。ひいては、レール上の搬送位置によらず物品1を安定的に支持できる。
【0038】
さらに、本実施形態においては、複数の搬送ユニットの各々について、1つのレールに1つの可動子が配置される。具体的には、第1レール110に第1可動子130が配置され、第2レール120に第2可動子140が配置される。このため、複数の搬送ユニットの各々において1つのレールに2つの可動子が配置される本比較例の場合と比較して、搬送方向Cにおける搬送ユニットU同士を近づけることができる。すなわち、本比較例に対して、本実施形態においては、
図1に示すように搬送方向Cにおける物品1の搬送ピッチPを小さくできる。
【0039】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る搬送装置について説明する。本発明の実施形態2に係る搬送装置においては、主に、複数の搬送ユニットの構成が互いに異なる点が、本発明の実施形態1に係る搬送装置と異なる。このため、本発明と同様の構成については、説明を繰り返さない。
【0040】
図7は、本発明の実施形態2において、複数の搬送ユニットが第1の状態であるときの搬送装置を示す正面図である。
図8は、本発明の実施形態2において、複数の搬送ユニットが第2の状態であるときの搬送装置を示す正面図である。
【0041】
図7および
図8に示すように、本発明の実施形態2に係る搬送装置200において、複数の搬送ユニットUは、第1の状態と第2の状態とをとり得る。また、本実施形態においては、複数の搬送ユニットUが、さらに第3の状態をとることもできる。
【0042】
まず、各状態で共通の構成について、
図7に示した第1の状態で説明する。
図7に示すように、本発明の実施形態2に係る搬送装置200においては、複数の搬送ユニットUは、第1搬送ユニットU11と、第2搬送ユニットU12と、第3搬送ユニットU13と、第4搬送ユニットU14とを含んでいる。第2搬送ユニットU12は、搬送方向Cにおいて第1搬送ユニットU11と隣り合っている。第3搬送ユニットU13は、搬送方向Cにおいて、第2搬送ユニットU12から見て第1搬送ユニットU11側とは反対側に位置して、第2搬送ユニットU12と隣り合っている。第4搬送ユニットU14は、搬送方向Cにおいて、第3搬送ユニットU13から見て第2搬送ユニットU12側とは反対側に位置して、第3搬送ユニットU13と隣り合っている。
【0043】
本実施形態において、第1搬送ユニットU11、第2搬送ユニットU12、第3搬送ユニットU13および第4搬送ユニットU14は、搬送方向Cにおいて等間隔に並んでいるが、等間隔に並んでいなくてもよい。
【0044】
図7および
図8に示すように、本発明の実施形態2に係る搬送装置200においては、第1の状態、第2の状態、第3の状態のそれぞれにおいて、複数の搬送ユニットUはいずれも、物品1,2を搬送している状態において、第1可動子130および第2可動子140の搬送方向Cにおける位置が互いに同一である。
【0045】
なお、
図7に示すように、本実施形態に係る搬送装置200は、第1の状態の搬送ユニットU1を構成しない複数の第2可動子140E,140Fをさらに備えている。第1の状態の搬送ユニットUを構成しない複数の第2可動子140E,140Fの機能については後述する。
【0046】
以下、本実施形態における複数の搬送ユニットUの各状態の構成について詳細に説明する。
図9は、本発明の実施形態2における複数の搬送ユニットが第1の状態であるときの、複数の搬送ユニット、および、搬送ユニットを構成しない第2可動子の構成を模式的に示す図である。
図9に示す複数の搬送ユニットU1の各々においては、第1可動子130と第2可動子140との、搬送方向Cにおける相対的な位置を模式的に示している。
【0047】
図9に示すように、第1の状態では、第1搬送ユニットU11の第1可動子130Aの中心位置UC1Aと、第1搬送ユニットU11における第1アーム131の物品1の支持位置231Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第1のA寸法1A、第2搬送ユニットU12の第1可動子130Bの中心位置UC2Aと、第2搬送ユニットU12における第1アーム131の物品1の支持位置231Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第2のA寸法2A、第3搬送ユニットU13の第1可動子130Cの中心位置UC3Aと、第3搬送ユニットU13における第1アーム131の物品1の支持位置231Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第3のA寸法3A、および、第4搬送ユニットU14の第1可動子130Dの中心位置UC4Aと、第4搬送ユニットU14における第1アーム131の物品1の支持位置231Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第4のA寸法4Aは、互いに異なっている。また、上記各中心位置とこれに対応する支持位置との、搬送方向Cにおける相対的な位置関係は特に限定されないが、本実施形態においては、第1の状態では、第1搬送ユニットU11において支持位置231Sが中心位置UC1Aに対して搬送方向Cにおける一方側に寸法1Aだけ離れて位置し、第2搬送ユニットU12において支持位置231Sが中心位置UC2Aに対して搬送方向Cにおける一方側に寸法2Aだけ離れて位置し、第3搬送ユニットU13において支持位置231Sが中心位置UC3Aに対して搬送方向Cにおける一方側に寸法3Aだけ離れて位置し、第4搬送ユニットU14において支持位置231Sが中心位置UC4Aに対して搬送方向Cにおける一方側に寸法4Aだけ離れて位置している。
【0048】
さらに、第1の状態では、第1搬送ユニットU11の第2可動子140Aの中心位置UC1Bと、第1搬送ユニットU11における第2アーム141の物品1の支持位置241Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第1のB寸法1B、第2搬送ユニットU12の第2可動子140Bの中心位置UC2Bと、第2搬送ユニットU12における第2アーム141の物品1の支持位置241Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第2のB寸法2B、第3搬送ユニットU13における第2可動子140Cの中心位置UC3Bと、第3搬送ユニットU13における第2アーム141の物品1の支持位置241Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第3のB寸法3B、および、第4搬送ユニットU14における第2可動子140Dの中心位置UC4Bと、第4搬送ユニットU14における第2アーム141の物品1の支持位置241Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第4のB寸法4Bは、互いに異なっている。また、上記各中心位置とこれに対応する支持位置との、搬送方向Cにおける相対的な位置関係は特に限定されないが、本実施形態においては、第1の状態では、第1搬送ユニットU11において支持位置241Sが中心位置UC1Bに対して搬送方向Cにおける他方側に寸法1Bだけ離れて位置し、第2搬送ユニットU12において支持位置241Sが中心位置UC2Bに対して搬送方向Cにおける他方側に寸法2Bだけ離れて位置し、第3搬送ユニットU13において支持位置241Sが中心位置UC3Bに対して搬送方向Cにおける他方側に寸法3Bだけ離れて位置し、第4搬送ユニットU14において支持位置241Sが中心位置UC4B対して搬送方向Cにおける他方側に寸法4Bだけ離れて位置している。
【0049】
第1の状態では、搬送方向Cにおいて、中心位置UC1Aおよび中心位置UC1Bは、いずれも第1搬送ユニットU11の中心位置UC1と同じ位置に位置しており、中心位置UC2Aおよび中心位置UC2Bは、いずれも第2搬送ユニットU12の中心位置UC2と同じ位置に位置しており、中心位置UC3Aおよび中心位置UC3Bは、いずれも第3搬送ユニットU13の中心位置UC3と同じ位置に位置しており、中心位置UC4Aおよび中心位置UC4Bは、いずれも第4搬送ユニットU14の中心位置UC4と同じ位置に位置している。なお、本明細書において、搬送ユニット、第1可動子および第2可動子の「中心位置」は、第1アームおよび第2アームの部分は考慮しない場合の中心位置である。
【0050】
各搬送ユニットUにおける第1可動子130または第2可動子140の中心位置と、物品1の支持位置との関係についてさらに具体的に説明する。本実施形態において、上記の各寸法は、以下のように表すことができる。すなわち、第1のA寸法1Aの長さはX、第2のA寸法2Aの長さはX-n、第3のA寸法3Aの長さはX-2n、第4のA寸法4Aの長さはX-3n、第1のB寸法1Bの長さはY、第2のB寸法2Bの長さはY+n、第3のB寸法3Bの長さはY+2n、第4のB寸法4Bの長さはY+3nと表すことができる。XおよびYの各々は正の値であっても負の値であってもよいが、X+Yは正の実数である。また、nの値は、0以外の実数であればよいが、nの絶対値および2nの絶対値は、X+Yより小さい。たとえば、Mを任意の正の値とし、「搬送方向Cにおける一方側に寸法Aだけ離れて」というときに寸法Aが-Mの長さである場合は、実質的に、寸法A’の長さがMであって、かつ「搬送方向Cにおける他方側に寸法A’だけ離れて」ということを意味し、「搬送方向Cにおける他方側に寸法Aだけ離れて」というときに寸法Aが-Mの長さである場合は、実質的に、寸法A’の長さがMであって、かつ「搬送方向Cにおける一方側にA’だけ離れて」ということを意味する。
【0051】
なお、本実施形態において、複数の搬送ユニットU1が第1の状態であるとき、搬送ユニットを構成しない2つの第2可動子140E,140Fのうちの一方の第2可動子140Eは、第2可動子140Eの中心位置UC5Bと、第2可動子140Eにおける第2アーム141の物品1の支持位置241Sとの間の摺動方向における寸法である第5のB寸法5Bの長さがY+4nである。上記第2可動子140Eは、支持位置241Sが中心位置UC5Bに対して摺動方向における他方側に寸法5Bだけ離れて位置している。また、他方の第2可動子140Fは、第2可動子140Fの中心位置UC6Bと、第2可動子140Fにおける第2アーム141の物品1の支持位置241Sとの間の摺動方向における寸法である第6のB寸法6Bの長さがY+5nである。上記第2可動子140Fは、支持位置241Sが中心位置UC6Bに対して摺動方向における他方側に寸法6Bだけ離れて位置している。
【0052】
本実施形態においては、第1のA寸法1Aと第1のB寸法1Bとの総和、第2のA寸法2Aと第2のB寸法2Bとの総和、第3のA寸法3Aと第3のB寸法3Bとの総和、および、第4のA寸法4Aと第4のB寸法4Bの総和が、互いに等しい。より具体的には、第1の状態における複数の搬送ユニットU1は、搬送方向Cにおける第1アーム131の支持位置231Sと第2アーム141の支持位置241Sとの間隔が、いずれもX+Yの寸法となり、互いに同一となる。すなわち、第1の状態における複数の搬送ユニットU1はいずれも、搬送方向Cの寸法がX+Yの物品1を搬送できる。
【0053】
図10は、本発明の実施形態2における複数の搬送ユニットが第2の状態であるときの、複数の搬送ユニット、および、搬送ユニットを構成しない第2可動子の構成を示す模式的な図である。
図10に示す複数の搬送ユニットU2の各々においては、第1可動子130と第2可動子140との、搬送方向Cにおける相対的な位置を模式的に示している。
【0054】
図9および
図10に示すように、複数の搬送ユニットUは、第1の状態における複数の搬送ユニットU1の各々の第1可動子130および当該第1可動子130に対応する第2可動子140の相対的な位置を変更して、第1の状態の第1搬送ユニットU11の第1可動子130Aと、第1の状態の第2搬送ユニットU12の第2可動子140Bとをペアにすることで、第2の状態の第1搬送ユニットU21を形成可能に、構成されている。このように、本実施形態においては、第1搬送ユニットU11および第2搬送ユニットU12の各々は、第1可動子130に対する第2可動子140の相対的な位置を変更することで、第1可動子130および第2可動子140のペアが第1搬送ユニットU11および第2搬送ユニットU12とは異なる他の搬送ユニットUを形成可能に構成されている。当該変更の具体的な方法は特に限定されず、制御を用いて自動的に、または、作業者による手作業などにより、第1可動子130に対する第2可動子140の相対的な位置を変更してもよい。
【0055】
上記のような第1可動子130および第2可動子140の相対的な位置変更により、さらに、第1の状態の第2搬送ユニットU12の第1可動子130Bと、第1の状態の第3搬送ユニットU13の第2可動子140Cとをペアにすることで、第2の状態の第2搬送ユニットU22を形成することができる。また、第1の状態の第3搬送ユニットU13の第1可動子130Cと、第1の状態の第4搬送ユニットU14の第2可動子140Dとをペアにすることで、第2の状態の第3搬送ユニットU23を形成することができる。また、第1の状態の第4搬送ユニットU14の第1可動子130Dと、搬送ユニットを構成しない第2可動子のうちの1つの第2可動子140Eとをペアにすることで、第2の状態の第4搬送ユニットU24を形成することができる。
【0056】
図10に示すように、本実施形態においては、第1のA寸法1Aと第2のB寸法2Bとの総和、第2のA寸法2Aと第3のB寸法3Bとの総和、第3のA寸法3Aと第4のB寸法4Bとの総和、および、第4のA寸法4Aと第5のB寸法5Bの総和が、互いに等しい。より具体的には、第2の状態における複数の搬送ユニットU2は、搬送方向Cにおける第1アーム131の支持位置231Sと第2アーム141の支持位置241Sとの間隔がいずれもX+Y+nの寸法となり、互いに同一となる。すなわち、第2の状態における複数の搬送ユニットU2はいずれも、搬送方向Cの寸法がX+Y+nの物品2を搬送できる。
【0057】
図11は、本発明の実施形態2における複数の搬送ユニットが第3の状態であるときの、複数の搬送ユニット、および、搬送ユニットを構成しない第2可動子の構成を示す模式的な図である。
図11に示す複数の搬送ユニットU3の各々においては、第1可動子130と第2可動子140との、搬送方向Cにおける相対的な位置を模式的に示している。
【0058】
図10および
図11に示すように、複数の搬送ユニットUは、さらに、第2の状態における複数の搬送ユニットU2の各々の第1可動子130および当該第1可動子130に対応する第2可動子140の相対的な位置を変更して、第2の状態の第1搬送ユニットU21の第1可動子130Aと、第2の状態の第2搬送ユニットU22の第2可動子140Cとをペアにすることで、第3の状態の第1搬送ユニットU31を形成可能に、構成されている。
【0059】
上記のような第1可動子130および第2可動子140の相対的な位置変更により、さらに、第2の状態の第2搬送ユニットU22の第1可動子130Bと、第2の状態の第3搬送ユニットU23の第2可動子140Dとをペアにすることで、第3の状態の第2搬送ユニットU32を形成することができる。また、第2の状態の第3搬送ユニットU23の第1可動子130Cと、第2の状態の第4搬送ユニットU14の第2可動子140Eとをペアにすることで、第3の状態の第3搬送ユニットU33を形成することができる。また、第2の状態の第4搬送ユニットU24の第1可動子130Dと、搬送ユニットを構成しない第2可動子のうちの1つの第2可動子140Fとをペアにすることで、第3の状態の第4搬送ユニットU34を形成することができる。
【0060】
図11に示すように、本実施形態においては、第1のA寸法1Aと第3のB寸法3Bとの総和、第2のA寸法2Aと第4のB寸法4Bとの総和、第3のA寸法3Aと第5のB寸法5Bとの総和、および、第4のA寸法4Aと第6のB寸法6Bの総和が、互いに等しい。より具体的には、第3の状態における複数の搬送ユニットU3は、搬送方向Cにおける第1アーム131の支持位置231Sと第2アーム141の支持位置241Sとの間隔がいずれもX+Y+2nの寸法となり、互いに同一となる。すなわち、第3の状態における複数の搬送ユニットU3はいずれも、搬送方向Cの寸法がX+Y+2nの物品を搬送できる。
【0061】
ここで、各状態における、搬送ユニットを構成しない第2可動子140について説明する。
【0062】
図7および
図8に示すように、本発明の実施形態2に係る搬送装置200は、第3レール260をさらに備えている。第3レール260は、第1レール110と並んで配置されていない。
【0063】
図7に示すように、第1の状態の搬送ユニットU1を構成しない複数の第2可動子140E,140Fは、第3レール260上に位置している。
図8に示すように、第1の状態の搬送ユニットU1を構成しない複数の第2可動子のうちの1つの第2可動子140Eは、第2の状態においては第2レール120上に移動可能に構成されている。また、第1の状態の搬送ユニットU1を構成しない2つの第2可動子140E,140Fは、第3の状態においては第2レール120上に移動可能に構成されている(不図示)。
【0064】
このように、
図7および
図8に示すように、複数の搬送ユニットUは、第1搬送ユニットU11の第2可動子140Aおよび第2搬送ユニットU12の第2可動子140Bの少なくとも1つを、第3レール260上に移動可能に構成されている。具体的には、複数の搬送ユニットUは、第1の状態における第1搬送ユニットU11の第2可動子140Aを、第2の状態においては第3レール260上に移動可能に、構成されている。また、同様にして、複数の搬送ユニットUは、第2の状態における第1搬送ユニットU21の第2可動子140Bを、第3の状態においては第3レール260上に移動可能に、構成されている。
【0065】
これら第2可動子140が第2レール120および第3レール260を行き来する方法は特に限定されない。
図12は、本発明の実施形態2に係る搬送装置の電気的構成を示すブロック図である。
図12に示すように、本実施形態においては、制御部250が第3レールに電気的にさらに接続されている。本実施形態においては第3レール260もリニアモータの固定子である。制御部250が、第2レール120および第3レール260の各々に含まれる図示しない複数の電磁石の極性を変化させることにより、第2可動子140は、互いに接続されていない第2レール120および第3レール260を行き来することができる。なお、第1可動子130は、第1レール110と第3レール260とを行き来できなくてもよい。
【0066】
図13は、本発明の実施形態2に係る搬送装置を並列方向に直交する方向から見たときの、模式的な側面図である。
図13に示すように、並列方向yにおいて、第3レール260は、第2レール120と同じ位置に位置していることが好ましい。これにより、第2可動子140が、第2レール120と第3レール260との間を容易に行き来できるようになる。
【0067】
上記のように、本発明の実施形態2に係る搬送装置200は、第1レール110上を摺動する第1可動子130と、第2レール120上を摺動する第2可動子140とを、1つのペアとして有する搬送ユニットU1を複数備えている。複数の搬送ユニットU1の各々においては、第1可動子130に、物品1を複数の搬送ユニットU1の搬送方向Cにおける一方側から支持する第1アーム131が設けられ、第2可動子140に、物品1を搬送方向Cにおける他方側から支持する第2アーム141が設けられていることで、第1可動子130および第2可動子140が、第1アーム131および第2アーム141により物品1を把持しつつ摺動して搬送可能に構成されている。複数の搬送ユニットU1は、第1搬送ユニットU11、第2搬送ユニットU12および第3搬送ユニットU13を少なくとも含んでいる。第1搬送ユニットU11の第1可動子130Aの中心位置UC1Aと、第1搬送ユニットU11における第1アーム131の物品1の支持位置231Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第1のA寸法1A、第2搬送ユニットU12の第1可動子130Bの中心位置UC2Aと、第2搬送ユニットU12における第1アーム131の物品1の支持位置231Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第2のA寸法2A、および、第3搬送ユニットU13の第1可動子130Cの中心位置UC3Aと、第3搬送ユニットU13における第1アーム131の物品1の支持位置231Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第3のA寸法3Aは、互いに異なっている。第1搬送ユニットU11の第2可動子140Aの中心位置UC1Bと、第1搬送ユニットU11における第2アーム141の物品1の支持位置241Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第1のB寸法1B、第2搬送ユニットU12の第2可動子140Bの中心位置UC2Bと、第2搬送ユニットU12における第2アーム141の物品1との支持位置241Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第2のB寸法2B、および、第3搬送ユニットU13における第2可動子140Cの中心位置UC3Bと、第3搬送ユニットU13における第2アーム141の物品1の支持位置241Sとの間の搬送方向Cにおける寸法である第3のB寸法3Bは、互いに異なっている。第1のA寸法1Aと第1のB寸法1Bとの総和、第2のA寸法2Aと第2のB寸法2Bとの総和、および、第3のA寸法3Aと第3のB寸法3Bとの総和は、互いに等しい。第1のA寸法1Aおよび第2のB寸法2Bの総和と、第2のA寸法2Aおよび第3のB寸法3Bの総和とが、互いに等しい。
【0068】
これにより、搬送装置100において、物品1の搬送の自由度が高くなる。具体的には、複数の搬送ユニットU1において、第1アーム131の支持位置231Sと第2アーム141の支持位置241Sとの間の搬送方向Cにおける寸法が、いずれも、第1のA寸法1Aと第1のB寸法1Bとの総和に等しくなる(すなわち、第1の状態となる)。このため、各搬送ユニットU1において搬送方向Cにおける寸法が同一の物品1を搬送可能となる。そして、第1の状態における第1搬送ユニットU11の第1可動子130Aと第2搬送ユニットU12の第2可動子140Bとによる搬送ユニットを形成し、かつ、第1の状態における第2搬送ユニットU12の第1可動子130Bと第3搬送ユニットU13の第2可動子140Cとによる搬送ユニットを形成した状態(すなわち第2の状態)においても、各搬送ユニットU2において、搬送方向Cにおける寸法が同一の物品2を搬送可能となる。さらには、第1の状態で搬送できる物品1の搬送方向Cにおける寸法と、第2の状態で搬送できる物品2の搬送方向Cにおける寸法とを、互いに異ならせることができる。このように、本実施形態に係る搬送装置200においては、搬送可能な物品の寸法の自由度が高くなる。すなわち、本実施形態に係る搬送装置200は、物品の寸法にあわせて搬送装置の全部の構成を変更することなく、様々な寸法の物品を搬送できる。
【0069】
さらに、本実施形態においては、第1の状態において、第4搬送ユニットU14を備えていることにより、複数の搬送ユニットUが第1の状態および第2の状態とも異なる状態である第3の状態をとり得る。このため、より様々な寸法の物品を搬送することができる。
【0070】
本発明の実施形態2に係る搬送装置200は、第3レール260をさらに備えている。第3レール260は、第1レール110と並んで配置されていない。複数の搬送ユニットUは、第1搬送ユニットU11の第2可動子140Aを、第3レール260上に移動可能に構成されている。
【0071】
これにより、本発明の実施形態2に係る搬送装置200において物品を搬送する際は、少なくとも第2の状態において、搬送ユニットUを構成しない第2可動子140を第2レール120から退避させることができ、物品2を搬送する際に位置を制御する必要のある第2可動子140の数を減らすことができる。
【0072】
また、本発明の実施形態2に係る搬送装置200においても、本発明の実施形態1に係る搬送装置100と同様の構成により、複数の搬送ユニットが第1から第3のいずれの状態であっても、物品1を搬送する際に2つの支持位置231S,241Sの間隔が一定に維持される。
【0073】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係る搬送装置について説明する。本発明の実施形態3においては、第1可動子(第1アーム)および第2可動子(第2アーム)の少なくとも一方の構成が主に、本発明の実施形態1と異なっている。このため、本発明の実施形態1に係る搬送装置100と異なる構成については、説明を繰り返さない。
【0074】
図14は、本発明の実施形態3における搬送ユニットを示す平面図である。
図14においては、
図1に示した本発明の実施形態1における搬送ユニットと同様の方向から搬送ユニットを図示している。
図14に示すように、本発明の実施形態3に係る搬送装置は、物品1を支持する第1アーム331および物品1を支持する第2アーム341の少なくとも一方が物品1を搬送方向Cに沿って押圧するように構成されている。これにより、物品1を安定した状態で把持しつつ、搬送方向Cに搬送できる。
【0075】
本実施形態においては、具体的には、少なくとも第2アーム341が物品1を搬送方向Cに沿って押圧するように構成されているが、第2アーム341のみ、第1アーム331のみ、または、第1アーム331および第2アーム341の両方が、物品1を搬送方向Cに沿って押圧するように構成されていてもよい。
【0076】
本実施形態においては、より具体的には、第2アーム341は、付勢部材344を有している。付勢部材344は、第2支持部142を搬送方向Cの第1アーム331側に向かって付勢する。本実施形態においては、付勢部材344がコイルばねである場合を例示したが、付勢部材344の種類は特に限定されるものではない。
【0077】
また、本実施形態においては、付勢部材344によらず、第1可動子330および第2可動子340の制御によって物品1を押圧してもよい。
【0078】
図15は、本発明の実施形態3の変形例における搬送ユニットを示す平面図である。
図15においては、
図1の本発明の実施形態1における搬送ユニットと同様の方向から搬送ユニットを図示している。
【0079】
本発明の実施形態3の変形例においては、第1アーム331と第2アーム341とが物品1を支持している状態においては、第1可動子330が、第1レール110上において定められた位置に移動するように直接的に位置制御され、第2可動子340aが、搬送方向Cのうち第2アーム341が物品1を支持する方向に一定の推力を出すように推力制御されることによって、第2可動子340aの位置が保たれる。なお、物品1を把持している間、第2可動子340aの位置は制御部によって監視されており、並列方向yから見て第2可動子340aが第1可動子330と同じ位置に位置していない場合は、制御部が異常としてこれを検出するようになっている。
【0080】
ただし、このように第2可動子340aが制御されている場合においても、第1アーム331と第2アーム341とが物品1を挟み込んでいるため、第1可動子330および第2可動子340aは、搬送方向Cにおける位置が、互いに同一となるように維持される。
【0081】
なお、第1アーム331と第2アーム341とが物品1を支持している状態において、第1可動子330が、第2可動子340aから見て、相対的に、搬送方向Cのうち第1アーム331が物品1を押圧するように位置制御されていてもよい。
【0082】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1,2 物品、100,200,900 搬送装置、110 第1レール、111 直線部、112 曲線部、120 第2レール、130,130A,130B,130C,130D,330,930 第1可動子、131,331,931 第1アーム、131S,141S,231S,241S,931S,941S 支持位置、132 第1支持部、133,933 第1支持面、140,140A,140B,140C,140D,140E,140F,340,340a,940 第2可動子、141,341,941 第2アーム、142 第2支持部、143,943 第2支持面、150,250 制御部、260 第3レール、344 付勢部材、U,U1,U2,U3,U9 搬送ユニット、U11,U21,U31 第1搬送ユニット、U12,U22,U32 第2搬送ユニット、U13,U23,U33 第3搬送ユニット、U14,U24,U34 第4搬送ユニット。