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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039331
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】点滴液検知センサー
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/26 20220101AFI20220303BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
G01F23/26 A
A61M5/14 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144300
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】520331006
【氏名又は名称】サニー産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167092
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹津 俊一
(72)【発明者】
【氏名】小寺 敏代
(72)【発明者】
【氏名】石井 達夫
【テーマコード(参考)】
2F014
4C066
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014AB04
2F014AC00
2F014EA00
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066EE12
4C066HH07
4C066QQ01
4C066QQ22
4C066QQ42
4C066QQ44
4C066QQ55
4C066QQ73
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】点滴筒のサイズや形状又は許容される液面の下限に応じて点滴液の上下方向における検知位置が可変であり、かつ、コンパクトな構造を有する点滴液検知センサーを提供する。
【解決手段】円筒状又は逆円錐台筒状の点滴筒本体26aと点滴筒本体の上部に取り付けられた上部キャップ26bとを備える点滴筒26に用い、点滴筒の液面が上下方向の所定の下限よりも下側に位置するときに検知するように構成される点滴液検知センサー21であって、クリップ状に形成され、点滴筒本体の上下方向の任意の位置において水平方向の両側から挟持可能な本体22と、本体に設けられ、点滴筒本体内の液体を検知可能な液体検知体とを備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状又は逆円錐台筒状の点滴筒本体と該点滴筒本体の上部に取り付けられた上部キャップとを備える点滴筒に用い、該点滴筒の液面が上下方向の所定の下限よりも下側に位置するときに検知するように構成される点滴液検知センサーであって、
クリップ状に形成され、前記点滴筒本体の上下方向の任意の位置において水平方向の両側から挟持可能な本体と、該本体に設けられ、前記点滴筒本体内の液体を検知可能な液体検知体とを備える
ことを特徴とする点滴液検知センサー。
【請求項2】
前記本体は、第1の挟持片と第2の挟持片とを備え、
前記各挟持片は、弾性部材により前記挟持方向の内向きに付勢される
ことを特徴とする請求項1に記載の点滴液検知センサー。
【請求項3】
前記本体は、前記付勢状態における、前記第1の挟持片及び前記第2の挟持片による挟持幅を広狭調整可能に構成される
ことを特徴とする請求項2に記載の点滴液検知センサー。
【請求項4】
前記上部キャップに、水平方向且つ脱着自在にはめ込み可能な上部固定部材を備え、
前記上部固定部材に固定される上下方向の連結棒を備え、
前記本体は、前記上部固定部材の下側に配置され、かつ、前記第1の挟持片が前記連結棒に係着されるように構成される
ことを特徴とする請求項3に記載の点滴液検知センサー。
【請求項5】
前記連結棒の前記上部固定部材に対する固定位置は上下方向に変更可能である
ことを特徴とする請求項4に記載の点滴液検知センサー。
【請求項6】
前記上部固定部材は、上下方向に貫通するU字形の切込みを有し、
該切込みは、下側の開口が上側の開口よりも一段広く形成されるような段差を有する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の点滴液検知センサー。
【請求項7】
前記連結棒は多角形状又は偏平状の横断面を有し、
前記第1の挟持片には、前記連結棒が嵌まり、かつ、前記横断面の略相似形状の横断面を有する挿通孔が形成される
ことを特徴とする請求項6に記載の点滴液検知センサー。
【請求項8】
前記液体検知体は前記点滴筒本体の外側に配置する電極を有する静電容量検知体を構成する
ことを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の点滴液検知センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は点滴筒中における点滴液の状態を検知する点滴液面検知センサーに関し、特に点滴液が継続して下流側に供給される状態を検知するように構成される点滴液検知センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、点滴筒を収容する中空筒形状の点滴筒収容体を有し、この点滴筒収容体の頭頂部が、点滴筒本体の上部に取り付けられた上部キャップにより上向きに係止される点滴液検知センサーがある(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された従来の点滴液検知センサーは、点滴筒収容体の頭頂部が上部キャップの上端によって支持されるため、取付け時に保持していた手を離しても点滴筒から落下することがない。そのため、看護師等の操作者は、片方の手で点滴液検知センサーを支持しなくとも、両方の手で点滴状態や患者の様子を確認することができるなどの作業性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-226212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、点滴筒は製造業者及び型式によってサイズや形状が異なる。また、点滴筒に満たされる点滴液の量の最適量は、看護師等の操作者によって、滴下の様子を観察するなどの都合上異なることが知られている。そのため、点滴液が継続して下流側に供給される状態を液面の変化によって検知する目的においては、サイズや形状に応じて検知位置が可変でなければならない。また、同じサイズや形状の点滴筒を用いるときでも、上記の点滴液の最適量の多少に従って許容される液面の下限に応じて、点滴液の上下方向における検知位置が可変でなければならない。
【0006】
これに対し、特許文献1に開示された点滴液検知センサーは、点滴筒収容体に液体検知体が配設され、この液体検知体の点滴筒に対する位置が固定されている。そのため、液面の変化によって状態を検知する目的においては、上述のような様々なサイズや形状の点滴筒に対応しづらく、また、特定の液面の下限にしか対応ができない。
【0007】
また、特許文献1においては、図15が示すように複数の液体検知体を上下方向に一列状に配置する構成も開示されている。しかし、上で述べたように位置が異なる液面に対応するため、数多くの液体検知体を配置しなければならず、液体検知体を設置するためのスペースが大きく、また、液体検知体の重量が大きく且つコストが大きい。
【0008】
本発明は、これらのような問題に鑑み、点滴筒のサイズや形状又は許容される液面の下限に応じて点滴液の上下方向における検知位置が可変であり、かつ、コンパクトな構造を有する点滴液検知センサーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は円筒状又は逆円錐台筒状の点滴筒本体と該点滴筒本体の上部に取り付けられた上部キャップとを備える点滴筒に用い、該点滴筒の液面が上下方向の所定の下限よりも下側に位置するときに検知するように構成される点滴液検知センサーであって、クリップ状に形成され、前記点滴筒本体の上下方向の任意の位置において水平方向の両側から挟持可能な本体と、該本体に設けられ、前記点滴筒本体内の液体を検知可能な液体検知体とを備えることを特徴とする点滴液検知センサーを提供するものである。
【0010】
本発明の点滴液検知センサーは、本体が点滴筒本体の水平方向の両側を挟持し、かつ、前記本体が液体検知体を備えるため、点滴筒内の点滴液が継続して下流側に供給される状態を液面の変化によって検知することができる。すなわち、所定の液面下限に合わせて液体検知体を配置すれば、例えば、この下限に位置する液体が存在しないことを検知できる。そのため、当初この下限よりも上側に点滴液が充たされていたのに対し、看護師等の操作者は、液面が前記下限よりも下側に位置していることが検知される時、上流側の点滴液が無くなったことを知ることができる。
【0011】
このとき、本発明の点滴液検知センサーの本体はクリップ状に形成されるため、点滴筒本体の太さに応じてクリップの開き角を変えることにより、複数種の点滴筒のサイズや形状がそれぞれ異なる場合でも各点滴筒に適用することができる。また、点滴筒本体の形状が逆円錐台筒状の場合でも、径の大小にかかわらず任意の位置において確実に前記点滴筒本体を支持することができる。
【0012】
さらに、前記本体は上下方向の任意の位置において前記点滴筒本体を挟持することができるため、看護師等の操作者の希望する位置において検知することができる。このことは、点滴筒の種類によって長短が異なる場合でも同様である。
【0013】
このように、点滴筒のサイズや形状又は点滴液の最適量の多少に従って許容される液面の下限に応じて、点滴液の上下方向における検知位置を変更することができる。
【0014】
しかも、本発明の点滴液検知センサーは、前記本体の位置の変更に伴って液体検知体の位置を変更することができるため、複数の液体検知体を設置する必要がない。そのため、全体にコンパクトな構造に収めることができる。
【0015】
(2)また、前記本体は、第1の挟持片と第2の挟持片とを備え、前記各挟持片は、弾性部材により前記挟持方向の内向きに付勢されてもよい。
【0016】
すなわち、クリップ状の本体が弾性部材により内向きに付勢されるため、操作者は、簡単な操作により前記本体を点滴筒本体に取り付けることができ、かつ、前記本体を前記点滴筒本体に挟んだままで本発明の点滴液検知センサーを点滴筒に取り付けた状態に保持することができる。そして、操作者は、前記本体を取り付けた後に片手又は両手によって点滴液検知センサーを支える必要がなく、点滴液検知センサーが取り付けられた状態のままで、片手又は両手によって、点滴液検知センサーを操作することができ、また、点滴液検知センサーの操作以外の作業を行うことができる。
【0017】
また、点滴筒本体はポリプロピレンのような可撓性を有する合成樹脂を材質とするため、前記各挟持片を介して伝わる付勢力に対する反力を生じ、前記本体との間における摩擦力が大きい。そのため、本発明の点滴液検知センターを確実に取り付けられることができる。
【0018】
(3)また、前記本体は、前記付勢状態における、前記第1の挟持片及び前記第2の挟持片による挟持幅を広狭調整可能に構成されてもよい。
【0019】
すなわち、本体を、その挟持幅の広狭にかかわらず、内向きに付勢された状態に置くことができる。そのため、点滴筒の太さにかかわらず、操作者は、前記本体を点滴筒本体に挟んだままで本発明の点滴液検知センサーを前記点滴筒に取り付けた状態に保持することができる。
【0020】
(4)また、前記上部キャップに、水平方向且つ脱着自在にはめ込み可能な上部固定部材を備え、前記上部固定部材に固定される上下方向の連結棒を備え、前記本体は、前記上部固定部材の下側に配置され、かつ、前記第1の挟持片が前記連結棒に係着されるように構成されてもよい。
【0021】
すなわち、点滴筒の上部キャップにはめ込まれる上部固定部材が、本体を、連結棒を介して下側で支持するため、前記本体は、仮にクリップが点滴筒本体から外れても落下することがなく安全性が担保される。
【0022】
このとき、第1の挟持片が前記連結棒に係着して移動可能なため、本発明の点滴液検知センサーは、上述のように検知位置を上下方向において変更することを妨げない。そのため、検知位置を変更可能であるにもかかわらず、前記本体が外れて落下する心配が小さい。
【0023】
また、前記上部固定部材と前記本体とを前記連結棒で連結する構造のため、例えば、先行技術文献に開示された点滴筒全体を収容する点滴筒収容体のような大きな部材が必要なく、コンパクトな構造に収まる。
【0024】
(5)また、前記連結棒の前記上部固定部材に対する固定位置は上下方向に変更可能であってもよい。
【0025】
すなわち、本発明の点滴液検知センサーは、上部固定部材に対する連結棒の位置を変えることにより検知位置を変更することができるとともに、前記連結棒に対する第1の挟持片を変えることによっても検知位置を変更することができる。
【0026】
(6)また、前記上部固定部材は、上下方向に貫通するU字形の切込みを有し、該切込みは、下側の開口が上側の開口よりも一段広く形成されるような段差を有してもよい。
【0027】
点滴筒は上部キャップから上向きに、点滴液の上流側と接続する点滴チューブと繋がっている。そこで、本発明の点滴液検知センサーの上部固定部材がU字形の切込みを有するため、前記点滴チューブをこの切込みに通すことにより、操作者は、前記上部キャップに対して前記上部固定部材を容易にはめ込むことができる。
【0028】
しかも、前記切込みが段差を有するため、この段差と前記上部キャップの端面とが組み合わされ、前記上部固定部材は安定した姿勢で前記上部キャップにはめ込むことができる。
【0029】
(7)また、前記連結棒は多角形状又は偏平状の横断面を有し、前記第1の挟持片には、前記連結棒が嵌まり、かつ、前記横断面の略相似形状の横断面を有する挿通孔が形成されてもよい。
【0030】
すなわち、連結棒はその横断面が円状でないため、上部固定部材又は第1の挟持片に対して自在に回転することができない。そのため、上部固定部材の向きに対して前記第1の挟持片が姿勢を変えることがなく、本発明の点滴液検知センサーを、点滴筒に対して安定した位置及び向きにおいて取り付け、かつ、同じ向きに保持することができる。
【0031】
(8)また、前記液体検知体は前記点滴筒本体の外側に配置する電極を有する静電容量検知体を構成してもよい。
【0032】
すなわち、静電容量検知体は、点滴筒本体の外側に電極を配置することによって、静電容量が液位に応じて変化することを利用して前記点滴筒本体内の液体を検知することができる。このような電極は、例えば金属箔のような薄型な形状に形成されることが知られている。そのため、本発明の点滴液検知センサーは、小さいスペースであっても前記電極を配置することができる。
【0033】
これにより、本発明の点滴液検知センサーは、前記静電容量検知体を採用して比較的低コストに製作することができ、しかも、前記電極を小さいスペースに配置することによってコンパクトな構造を有することができる。
【発明の効果】
【0034】
このように、本発明の点滴液検知センサーは、点滴筒のサイズや形状又は許容される液面の下限に応じて点滴液の上下方向における検知位置が可変であり、しかも、コンパクト且つ容易に操作することができる構造を有する
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】(a)第1の実施形態の点滴液検知センサー1の斜視図である。(b)第1の実施形態の点滴液検知センサー1が点滴筒6に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2】第1の実施形態の点滴液検知センサー1が点滴筒6に取り付けられた状態を示す正面図である。
図3】(a)第1の実施形態の点滴液検知センサー1が点滴筒6に取り付けられた状態を示す斜視図である。(b)第1の実施形態の点滴液検知センサー1が図3(a)よりも点滴筒6の下側の位置に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図4】第1の実施形態の点滴液検知センサー1が図2よりも点滴筒6の下側の位置に取り付けられた状態を示す正面図である。
図5】第1の実施形態の点滴液検知センサー1が点滴筒6に取り付けられた状態を示す正面図である。
図6】変形例の点滴液検知センサー1の斜視図である。
図7】変形例の点滴液検知センサー1の正面図である。
図8】変形例の点滴液検知センサー1の斜視図である。
図9】変形例の点滴液検知センサー1の右側面図である。
図10】第2の実施形態の点滴液検知センサー11が点滴筒16に取り付けられた状態を示す正面図である。
図11】第3の実施形態の点滴液検知センサー21の斜視図である。
図12】(a)(b)第3の実施形態の点滴液検知センサー21が点滴筒26に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図13】(a)第3の実施形態の上部固定部材29の正面図である。(b)第3の実施形態の点滴液検知センサー21が点滴筒26に取り付けられた状態を示す正面図である。
図14】第3の実施形態の点滴液検知センサー21が図12(a)よりも点滴筒26の下側の位置に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図15】従来の点滴液検知センサーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[第1の実施形態]
図1図9は、本発明の第1の実施形態を例示している。図において1が点滴液検知センサーである。
【0037】
[本体]
図1(a)は点滴液検知センサー1を背面、平面及び右側面を表した斜視図である。点滴液検知センサー1はクリップ状の本体2を備える。本体2は、図2の正面から見て左側に配置される左側挟持片3と、同じく右側に配置される右側挟持片4とを備える。各挟持片3,4はABS、飽和ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂を材料とする。各挟持片3,4は、図1(a)が示すように共通の回転中心Cにおいてお互いに枢着している。なお、左側挟持片3を第1の挟持片と、右側挟持片4を第2の挟持片とそれぞれ呼んでもよい。または、右側挟持片4を第1の挟持片と、左側挟持片3を第2の挟持片とそれぞれ呼んでもよい。
【0038】
各挟持片3,4は、それぞれが回転中心Cよりも正面視手前位置に形成される凹状且つ半円筒状の左側点滴筒保持凹部3a及び右側点滴筒保持凹部4aを有する。各点滴筒保持凹部3a,4aは、それぞれが回転中心Cからの同じ距離に設けられる。左側点滴筒保持凹部3aは、平面視において、左側挟持片3が回転中心Cを中心に平面視反時計向きUCに回転するとき右側点滴筒保持凹部4aに接近する。また、右側点滴筒保持凹部4aは、平面視において、右側挟持片4が回転中心Cを中心に平面視時計向きCLに回転するとき左側点滴筒保持凹部3aに接近する。
【0039】
本体2には、液体を検知可能な液体検知体5が設けられている。液体検知体5については以下において詳述する。
【0040】
左側挟持片3及び右側挟持片4において、回転中心Cに対して各点滴筒保持凹部3a,4aの反対側に位置する部分をそれぞれ左側摘み部3b及び右側摘み部4bとよぶ。
【0041】
[点滴筒]
図1(b)は点滴液検知センサー1を点滴筒6に取り付けた状態を示す。図には点滴液センサー1を背面、平面及び右側面を表した斜視図が示されている。点滴筒6は略逆円錐台筒状の点滴筒本体6aと、点滴筒本体6aの上部に取り付けられる略円盤状の上部キャップ6bとを備える。点滴筒本体6aはポリプロピレン等の可撓性を有する合成樹脂により、上部キャップ部6bはABS等の比較的硬い合成樹脂によりそれぞれ形成される。また、点滴筒本体6aは透明な合成樹脂により形成される。点滴筒本体6aは左側点滴筒保持凹部3a及び右側点滴筒保持凹部4aによって水平方向の両側から挟持される。
【0042】
点滴筒6は点滴のために用いる輸液セットの一部を構成する。輸液セットは上流側のチューブTuが図示しないびん針を介して輸液容器に接続される。また、下流側のチューブTdが図示しない針管を介して患者の一部に接続される。輸液セットの使用時において、輸液容器から排出される点滴液Lは上流側チューブTuと下流側チューブTdとを通過するとともに、常にこれらのチューブTu,Tdに充たされた状態で患者に投与される。このとき、点滴筒本体6aの内部には上流側の空気と下流側の点滴液Lとが併存するように設定され、これらの空気と点滴液Lとの境が液面Sを形成する。そして、この液面Sが点滴筒本体6aの所定の下限Slよりも下側に位置するときに、上流側の点滴液Lが無くなった状態であることが知らされる。
【0043】
図2において実線Sが液面の例を示し、仮想線Slが下限の例を示す。
【0044】
看護師等の操作者Nは、輸液セットの準備時に点滴筒本体6aの胴体を手指によって押して、液面Sが下限Slよりも上側に位置するように点滴筒本体6a内の点滴液Lの量を調整する。そして、使用にともなって輸液容器内の点滴液Lと上流側チューブTu内の点滴液Lとが順になくなり、液面Sが下降して最終的に下限Slに達する時に、操作者Nは輸液容器を取り換えて上流側から点滴液Lを補充するか、または点滴を終了する。
【0045】
これらの点滴筒の点滴筒本体は、多くの製造業者が製造するものの形状が逆円錐台筒状を形成することが知られている。また、製造業者やモデルによって長さ、太さ、円錐台の傾斜などがまちまちであることが知られている。図に示す点滴筒本体6aは下側ほど縮径する逆円錐台筒状を形成している。さらに、逆円錐台筒状以外にストレートな円筒状の点滴筒本体が用いられる場合もある。
【0046】
[付勢手段]
ところで、左側挟持片3と右側挟持片4との間にはねじりコイルばね7が介在する。ねじりコイルばね7は両端にそれぞれ腕部を有し、各腕部にねじりモーメントが与えられるのに対して元の巻角度にまで弾性的に復元しようとする。このように、ねじりコイルばねは弾性部材を構成する。
【0047】
ねじりコイルばね7は図1(a)(b)が示すように両側の腕部が左側挟持片3と右側挟持片4とに固定される。そのため、本体2は、各摘み部3b,4bがお互いに近付く向きに回転させられるとき、各挟持片3,4を、各点滴筒保持凹部2a,3bがお互いに近付く向きに逆回転するように付勢する。このように、ねじりコイルばね7は付勢手段を構成する。
【0048】
操作者Nは手指によって各摘み部3b,4bを摘まんで各点滴筒保持凹部3a,4aが広がるように各挟持片3,4を回転させて各点滴筒保持凹部3a,4a間に点滴筒本体6aを配置する。その後、各点滴筒保持凹部3a,4aがお互いに近付く向きに逆回転するように付勢されているため、操作者Nは各摘み部3b,4bを摘んでいた手指の力を緩めることによって、付勢力により本体2をもって点滴筒本体6aを挟むことができる。
【0049】
このとき、点滴筒本体6aが可撓性を有する材質により形成されるため、各点滴筒保持凹部3a,4aが半円筒状の凹部であるのに対して、点滴筒本体6aの逆円錐台筒状の傾斜による上下方向の位置ごとの多少の外径差は弾性変形により吸収される。これにより、本体2は上記の付勢力によって逆円錐台筒状の点滴筒本体6aを挟むことができる。
【0050】
本体2はこれらの構造を有し、点滴筒本体6aの上下方向の任意の位置において水平方向の両側から挟持することができる。図3(a)は本体2が点滴筒本体6aの比較的上側の位置において点滴筒本体6aを挟持する状態の斜視図を示す。一方で、図3(b)は比較的下側の位置において挟持する状態の斜視図を示す。また、図4図3(b)と同様に比較的下側の位置において挟持する状態の正面図を示す。
【0051】
そして、本体2が点滴筒本体6aを挟むときは、図2が示すように、各点滴筒保持凹部3a,4aのそれぞれの底部である左側点滴筒保持底部3cと右側点滴筒保持底部4cとが挟持幅Pの間隔を空けている。挟持幅Pは、挟持状態における点滴筒本体6aの外径である点滴筒本体外径に相当する。
【0052】
このとき、ねじりコイルばね7は、本体2の挟持幅Pが広狭調整可能に構成される。すなわち、ねじりコイルばね7の付勢状態における巻角度の変化可能な範囲が大きいことにより、挟持幅Pは許容範囲が大きい。このため、点滴筒本体外径が図の点滴筒本体6aのサイズよりも大きいまたは小さいときでも、本体2は、上記の付勢力によりこれら大小サイズの点滴筒本体を挟むことができる。
【0053】
[液体検知体]
図5は点滴液検知センサー1が点滴筒6に取り付けられた状態の正面図を示し、点滴液検知センサー1の本体2に液体検知体5が設けられた状態をかくれ線で示す。液体検知体5は点滴筒本体6aの外側に配置する電極5a,5b,5cを有する静電容量検知体5abcを構成する。
【0054】
静電容量検知体5abcは図5に示すように第1の電極5a、第2の電極5b及び第3の電極5cが順に上側から下側に配置される。例えば、第1の電極5aが検出電極の役割を果たし、第2の電極5bが信号電極の役割を果たし、また、第3の電極5cがグランド電極の役割を果たしてもよい。各電極5a,5b,5cは薄型の板状に形成される。そして、検出電極及び信号電極は、静電容量が点滴液Lの液位に応じて変化することを利用して、点滴筒本体6a内の点滴液Lを検知することができる。
【0055】
この静電容量検知体5abcは、検出電極及び信号電極の大きさ、お互いの配置などの条件を変えることにより、検知する点滴液Lの下限Slを任意に設定することができる。例えば、図5が示す仮想線を下限Slの位置に設定する場合は、液面Sが下限Slよりも下側に位置するときに上流側の点滴液Lが無くなったことを知らせるアラームを発する。このときのアラームは、音、光などを点滴検知センサー1が発するものでもよく、また、信号だけを点滴センサー1が発し、離隔したナースセンター、通信端末などにおいて音、光等を発してもよい。
【0056】
以上のような構成により、点滴液検知センサー1は、本体2が点滴筒本体6aの水平方向の両側を挟持し、かつ、本体2が液体検知体5を備えるため、点滴筒6内の点滴液Lが継続して下流側に供給される状態を液面Sの変化によって検知することができる。すなわち、所定の下限Slに合わせて液体検知体5を配置すれば、例えば、この下限Slに位置する点滴液Lが存在しないことを検知できる。そのため、当初この下限Slよりも上側に点滴液Lが充たされていたのに対し、操作者Nは、液面Sが下限Slよりも下側に位置していることが検知される時、上流側の点滴液Lが無くなったことを知ることができる。
【0057】
このとき、本体2がクリップ状に形成されるため、点滴筒本体6aの太さに応じてクリップの開き角を変えることにより、一台の点滴液検知センサー1は複数種の点滴筒のサイズや形状がそれぞれ異なる場合でも各点滴筒に適用することができる。また、点滴筒本体の形状が逆円錐台筒状の場合でも、径の大小にかかわらず任意の位置において確実に前記点滴筒本体を挟持することができる。
【0058】
さらに、本体2は上下方向の任意の位置において点滴筒本体6aを挟持することができるため、操作者Nの希望する位置において検知することができる。例えば、操作者Nの希望により、本体2を図2及び図3(a)のような比較的上側の位置に保持することができ、また、図3(b)及び図4のような比較的下側の位置に保持することができる。
【0059】
これにより、操作者Nの希望に合わせて、下限Slを任意の上下方向の位置に設定することができる。例えば、液面Sがあまり下まで下降する前に、早期に検知するように設定するなどの調整を自在に行うことができる。また、途中で点滴液検知センサー1のスイッチを入れた時に、液面Sが十分に上側に位置する状態を確認したいという希望もあり、それらの希望に沿うことができる。
【0060】
これらのことは、点滴筒の種類によって長短が異なる場合でも同様である。
【0061】
次に、クリップ状の本体2がねじりコイルばねにより内向きに付勢されるため、操作者Nは、簡単な操作により本体2を点滴筒本体6aに取り付けることができ、かつ、本体2を点滴筒本体6aに挟んだままで点滴液検知センサー1を点滴筒6に取り付けた状態に保持することができる。そして、操作者Nは、本体2を取り付けた後に片手又は両手によって点滴液検知センサー1を支える必要がなく、点滴液検知センサー1が取り付けられた状態のままで、片手又は両手によって、点滴液検知センサー1を操作することができ、また、点滴液検知センサー1の操作以外の作業を行うことができる。
【0062】
また、点滴筒本体6aはポリプロピレンのような可撓性を有する合成樹脂を材質とするため、各挟持片3,4を介して伝わる付勢力に対する反力を生じ、本体2との間における摩擦力が大きい。そのため、点滴液検知センサー1を確実に取り付けられることができる。
【0063】
次に、本体2を、その挟持幅Pの広狭にかかわらず、内向きに付勢された状態に置くことができる。そのため、点滴筒6の太さにかかわらず、操作者Nは、本体2を点滴筒本体6に挟んだままで点滴液検知センサー1を点滴筒6に取り付けた状態に保持することができる。
【0064】
次に、静電容量検知体5abcは、点滴筒本体6aの外側に電極5a,5b,5cを配置することによって、静電容量が点滴液Lの液位に応じて変化することを利用して点滴筒本体6a内の点滴液Lを検知することができる。このような電極5a,5b,5cは、例えば金属箔のような薄型な形状に形成される。そのため、点滴液検知センサー1は、小さいスペースであっても電極5a,5b,5cを配置することができる。
【0065】
これにより、点滴液検知センサー1は、静電容量検知体5abcを採用して比較的低コストに製作することができ、しかも、電極5a,5b,5cを小さいスペースに配置することによってコンパクトな構造を有することができる。
【0066】
[本体の変形例]
点滴液検知センサー1の変形例として、点滴筒本体6aを挟持するため、右側挟持片4に代わり右側金属板挟持片4´を備える点滴液検知センサー1の正面、平面及び右側面を表わした斜視図である図6、正面図である図7、正面、平面及び左側面を表わした斜視図である図8並びに右側面図である図9を示す。
【0067】
本変形例において、点滴液検知センサー1がクリップ状の本体2を備えるが、本体2は右側に配置される右側金属板挟持片4´を備える。右側金属板挟持片4´は金属製であり、板状に形成されている。左側挟持片3と右側金属板挟持片4´とは共通の回転中心Cにおいてお互いに枢着している。
【0068】
右側金属板挟持片4´は、前向きに突出する上下一対の右側点滴筒保持湾曲部4´aを有する。各右側点滴筒保持湾曲部4´aは、回転中心Cよりも正面視手前位置において右向きに凹入するように湾曲する凹入部を有する。左側点滴筒保持凹部3aと各右側点滴筒保持湾曲部4´aの凹入部とは、それぞれが回転中心Cからの同じ距離に設けられる。左側点滴筒保持凹部3aは、平面視において、左側挟持片3が回転中心Cを中心に平面視反時計向きUCに回転するとき各右側点滴筒保持湾曲部4´aに接近する。また、各右側点滴筒保持湾曲部4´aは、平面視において、右側金属板挟持片4´が回転中心Cを中心に平面視時計向きCLに回転するとき左側点滴筒保持凹部3aに接近する。
【0069】
右側金属板挟持片4´において、回転中心Cに対して一対の右側点滴筒保持湾曲部4´aの反対側に位置する部分を右側金属板摘み部4´bとよぶ。
【0070】
点滴液検知センサー1の本変形例において、右側金属板挟持片4´に関わるその他の構成は右側挟持片4と共通する。
【0071】
この本変形例においては左側点滴筒保持湾曲部4´aが上下に分かれているため、操作者Nが、点滴液検知センサー1の正面からだけでなく、図9が示すような右側面から点滴筒本体6aを通して液面Sを容易に観察することができる。
【0072】
なお、変形例において本体2は上で述べたように右側挟持片4に代わり右側金属板挟持片4´を備えるのでなく、左側挟持片3に代わり図示しない左側金属板挟持片3´を備えていてもよい。この場合は上で述べたような構成が全て左右反転する。そして、左側点滴筒保持湾曲部3´aが上下に分かれているため、操作者Nは、左側面からも点滴筒本体6aを通して液面Sを容易に観察することができる。
【0073】
また、左側金属板挟持片3´又は右側金属板挟持片4´は金属以外の材質により形成されてもよく、点滴筒本体6aを確実に挟持することができる強度を有していれば合成樹脂等の材質により形成されてもよい。
【0074】
[第2の実施形態]
図10は本発明の第2の実施形態を例示している。図において11が点滴液検知センサーである。
【0075】
図10は点滴液検知センサー11を点滴筒16に取り付けた状態の正面図を示す。点滴液検知センサー11はクリップ状の本体12を備える。本体12は図の正面から見て左側に配置される左側挟持片13と、同じく右側に配置される右側挟持片14とを備える。
【0076】
図において実線Sが液面の例を示し、仮想線Slが下限の例を示す。
【0077】
[液体検知体]
図10は本体12に液体検知体15が設けられた状態をかくれ線で示す。液体検知体15は点滴筒本体16aの外側に配置する受発光体15d,15eを有するフォトセンサー15deを構成する。図に示す第1の受発光体15dと第2の受発光体15eとのうち、いずれか一方が発光体であり、また、他方が受光体であってもよい。
【0078】
フォトセンサー15deは、図10に示すように第1の受発光体15dが左側挟持片13に配置され、また、第2の受発光体15eが右側挟持片14に配置される。第1の受発光体15dと第2の受発光体15eとは、一方が光を発し、他方がその光を受けて信号とする。そして、第1の受発光体15dと第2の受発光体15eとは、第1の受発光体15dが第2の受発光体15eよりも上側の位置に配置され、仮想線により表わす光路Lpが点滴筒本体6aの内部を左上から右下に通る。このとき、第2の受発光体15eが第1の受光体15dよりも上側の位置に配置され、光路Lpが右上から左下に斜めに通ってもよい。
【0079】
各受発光体15d,15eは、光路Lpを点滴液Lが遮ることで発生する電気信号の変化を読み取る。そして、各受発光体15d,15eの位置、光路Lpの傾斜角度、光路Lpの強さなどの条件を変えることにより、検知する点滴液Lの下限Slを任意に設定することができる。例えば、下降しつつある液面Sが、下側の、光路Lpと点滴筒本体16aの内壁との接点よりを通過するときに、点滴液Lが光路Lpを遮らない状態を検知して液面Sが下限Slよりも下側にあることを判断するように構成することができる。この時、各受発光体15d,15eは電気信号を送り、上流側の点滴液Lが無くなったことを知らせるアラームを発する。このときのアラームは、音、光などを点滴検知センサー11が発するものでもよく、また、信号だけを点滴センサー11が発し、離隔したナースセンター、通信端末などにおいて音、光等を発してもよい。
【0080】
その他の構成は、第1の実施形態と共通する。
【0081】
なお、光路Lpは上で述べたように斜めに通るだけでなく、例えば、各受発光体15d,15eが同じ高さに配置されることにより水平に通ってもよい。
【0082】
[第3の実施形態]
図11図14は、本発明の第3の実施形態を例示している。図において21が点滴液検知センサーである。
【0083】
[本体]
図11は点滴液検知センサー21を背面、平面及び右側面を表した斜視図である。点滴液検知センサー21はクリップ状の本体22を備える。本体22は、後述の図13(b)の正面から見て左側に配置される左側挟持片23と、同じく右側に配置される右側挟持片24とを備える。各挟持片23,24はABS、飽和ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂を材料とする。右側挟持片24は回転中心Cにおいて左側挟持片23に枢着している。なお、左側挟持片23を第1の挟持片と、右側挟持片24を第2の挟持片とそれぞれ呼んでもよい。
【0084】
左側挟持片23には図11が示すように回転中心Cを中心線とする上下方向の貫通孔23dが設けられている。貫通孔23dは正面側と背面側とが平面であり、左右側面が曲面であり、かつ、左右方向に偏平な偏平状の横断面を有する。
[連結棒]
【0085】
左側挟持片23の貫通孔23dには、横断面が貫通孔23dと略相似形である金属製の連結棒28が嵌まっている。連結棒28は左側挟持片23を上下に貫通し、左側挟持片23の上側及び下側のそれぞれに突出している。貫通孔23dの横断面が連結棒28の横断面よりも僅かに大きいため、左側挟持片23と連結棒28とが固く嵌まり合い、連結棒28を貫通孔23dから抜くためには操作者Nが手指に力を入れて作業をしなければならない。このような貫通孔23dの合成樹脂の内壁と連結棒28の金属の外壁との間における摩擦力により、本体22は連結棒28に係着されるように構成される。
【0086】
これにより、連結棒28に対する本体22の上下方向の位置を変更するためには、操作者Nによる大きな力を必要とする。
【0087】
連結棒28の下端には、連結棒28の横断面よりも径大な円盤状のストッパー28aが設けられている。このストッパー28aにより制止されるため、本体22は、例え操作者Nの大きな力によって押し下げられても連結棒28の下端よりも下に移動することがない。
【0088】
[上部固定部材]
連結棒28の上端部には、上下方向に貫通するU字形の切込みであるU字形切込み29aを設けられた、略直方体状の上部固定部材29が固定される。上部固定部材29は飽和ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂を材料とする。
【0089】
U字形切込み29aのU字部の中心線は、右側挟持片24が回転中心Cを中心に反時計向きUCに開いたときの、左側点滴筒保持凹部23a及び右側点滴筒保持凹部24aの各凹部の中心線と略一致するように構成される。
【0090】
図12(a)及び(b)は点滴液検知センサー21が点滴筒26に取り付けられた状態の斜視図を示す。
【0091】
操作者Nは手指によって各摘み部23b,24bを摘まんで右側点滴筒保持凹部24aが左側点滴筒保持凹部23aに対して広がるように右側挟持片24を左側挟持片23に対して回転させた上で各点滴筒保持凹部23a,24a間に点滴筒本体26aを配置する。これと同時に、点滴筒26の上部キャップ26bに上部固定部材29をはめ込む。その後、各点滴筒保持凹部23a,24aがお互いに近付く向きにねじりコイルばね27によって付勢されているため、操作者Nは各摘み部23b,24bを摘んでいた手指の力を緩めることによって、付勢力により本体22をもって点滴筒本体26aを挟むことができる。この上部固定部材29は上部キャップ26bに対して水平方向且つ脱着自在にはめ込み可能に構成されている。
【0092】
操作者Nは、上記と反対の手順により、点滴液検知センサー21を点滴筒26から取り外すことができる。
【0093】
図13(a)は上部固定部材29の正面図を示す。この上部固定部材29のU字形切込み29aは上向きの開口である上側開口29bと下向きの開口である下側開口29cとを有する。そして、正面視における上側開口29bの幅である上側開口幅nと下側開口29cの幅である下側開口幅wとを対比して、下側開口幅wが上側開口幅nよりも一段広くなるように形成されている。
【0094】
このような下側開口幅wと上側開口幅nとの間に差が生じるように、U字形切込み29aには上側開口29bと下側開口29cとの間において上部固定部材段差29dが設けられている。上部固定部材段差29dは下向きに面する。また、上部固定部材段差29dの幅である段差幅はdで表わされている。
【0095】
図13(b)は、本体22が点滴筒本体26aを挟み、かつ、上部固定部材29が上部キャップ26bにはめ込まれた状態の正面図を示す。上部キャップ26bからは、外周よりも径小な同心円状の円形突出部26cが上向きに突出する。そして、上部キャップ26bは、円形突出部26cの周りに上向きに面する段差である上部キャップ段差26dを有する。
【0096】
上部固定部材29がはめ込まれた状態において、円形突出部26cは上側開口29bに内嵌する。また、上部キャップ段差26dと上部固定部材段差29dとは上下方向に密着する。これにより、仮に何らかのアクシデントにより本体22のクリップが点滴筒本体26aから外れる又は緩む事態に至るときでも、上部キャップ26bが上部固定部材29を上向きに支持するので、点滴液検知センサー21が輸液セットから離れて落下するおそれが小さい。
【0097】
その他の構成は、第1の実施形態及び第2の実施形態と共通する。また、第1の実施形態について記載した変形例である、右側金属板挟持片24´又は左側金属板挟持片23´の適用について第1の実施形態と共通する。
【0098】
図12(a)が本体22が連結棒28に対して比較的上側の位置に係着する状態を示すのに比較して、図14は、本体22が比較的下側の位置に係着する状態を示す。このように、連結棒28に対する本体22の上下方向の位置を変更することができるため、点滴液検知センサー21は、上部キャップ26bが上部固定部材29を支持する構造を維持しつつ、本体22が上下方向の任意の位置において点滴筒26aを挟持することができる。
【0099】
なお、本実施形態において、連結棒28の上端部と上部固定部材29とが固定されるが、連結棒28の上部固定部材29に対する固定位置は上下方向に変更可能であってもよい。このとき、例えば図14の状態において連結棒28が上部固定部材29の上面から突出するほどの長尺を有し、かつ、上部固定部材29による連結棒28の固定位置をより上側に変更すれば、点滴液検知センサー21は、より上下方向に長い点滴筒に取り付けることができる。
【0100】
以上のような構成により、上部固定部材29が本体22を連結棒28を介して下側で支持するため、本体22は、仮に本体22のクリップが点滴筒本体26aから外れても落下することがなく安全性が担保される。
【0101】
このとき、左側挟持片23が連結棒28に係着して移動可能なため、検知位置が上下方向において変更されることを妨げない。しかも、検知位置を変更可能であるにもかかわらず、本体22が外れて落下する心配が小さい。
【0102】
また、上部固定部材29に対する連結棒28の位置を変えることによっても検知位置を変更することができる。
【0103】
次に、点滴筒26は上部キャップ26bから上向きに、点滴液の上流側と接続する上流側チューブTuと繋がっている。そこで、上部固定部材29がU字形切込み29aを有するため、上流側チューブTuをこの切込みに通すことにより、操作者Nは、上部キャップ26bに対して上部固定部材29を容易にはめ込むことができる。
【0104】
しかも、U字形切込み29aが上部固定部材段差29dを有するため、この上部固定部材段差29dと上部キャップ26bの上部キャップ段差26dとが組み合わされ、上部固定部材29は安定した姿勢で上部キャップ26bにはめ込むことができる。
【0105】
次に、連結棒28はその横断面が円状でないため、上部固定部材29又は左側挟持片23に対して自在に回転することができない。そのため、上部固定部材29の向きに対して左側挟持片23が姿勢を変えることがなく、点滴液検知センサー21を、点滴筒26に対して安定した位置及び向きにおいて取り付け、かつ、同じ向きに保持することができる。
【0106】
なお、本実施形態において、貫通孔23dの横断面及び連結棒28の横断面が偏平状でなくともよく、上部固定部材29又は左側挟持片23に対して自在に回転することができない形状であれば、三角形状、四角形状をはじめとする多角形状のような形状でもよい。
【0107】
また、上部固定部材29の形状は略直方体状でなくともよく、U字形切込み29aを設けることができれば、例えば円盤状、変則的な平面形状の板状などでもよい。
【0108】
上部固定部材29に設けられる切込みは、上部固定部材29が上部キャップ26bにはめ込み、かつ、上流側チューブTuをこの切込みに通すことができれば、例えばV字形、長方形などの切込みでもよい。
【0109】
さらに、各挟持片23,24について、連結棒28との関係において左側挟持片23と右側挟持片24とを入れ替えて構成してもよい。すなわち、左側挟持片23は回転中心Cにおいて右側挟持片24に枢着している。また、右側挟持片24に回転中心Cを中心線とする上下方向の貫通孔24dが設けられている。そして、右側挟持片24の貫通孔24dに金属製の連結棒28が嵌まっていてもよい。このとき、右側挟持片24を第1の挟持片と、左側挟持片23を第2の挟持片とそれぞれ呼んでもよい。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0111】
例えば、点滴筒保持凹部3,4,13,14,23,24は半円筒状でなくともよく、点滴筒本体6a,16a,26aをホールドすることができる形状であれば、例えば縦に二分割された多角形筒状のような形状でもよい。
【0112】
また、液体検知体5,15,25は上で挙げた以外のタイプのセンサーでもよく、一例として赤外線センサーでもよい。
【0113】
さらに、本体2,12,22の付勢手段はねじりコイルばね7,17,27以外の手段であってもよく、例えば圧縮コイルばね、板バネなどでもよい。
【0114】
点滴筒本体6a,16a,26aは透明な合成樹脂以外の樹脂により形成されてもよく、操作者Nが液面Sを観察することができれば、例えば半透明な合成樹脂により形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、点滴筒の液面が上下方向の所定の下限よりも下側に位置するときに検知するように構成される点滴液検知センサーに利用できる。
【符号の説明】
【0116】
1,11,21 点滴液検知センサー
2,12,22 本体
3,13,23 左側挟持片
3´,23´ 左側金属板挟持片
3a,13a,23a 左側点滴筒保持凹部
3´a,23´a 左側点滴筒保持湾曲部
3b,13b,23b 左側摘み部
4,14,24 右側挟持片
4´,24´ 左側金属板挟持片
4a,14a,24a 右側点滴筒保持凹部
4´a,24´a 右側点滴筒保持湾曲部
4b,14b,24b 右側摘み部
5,15,25 液体検知体
6,16,26 点滴筒
6a,16a,26a 点滴筒本体
6b,16b,26b 上部キャップ
6d,16d,26d 上部キャップ段差
7,17,27 ねじりコイルばね
28 連結棒
29 上部固定部材
29d 上部固定部材段差

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15