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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039336
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】液体貯留ユニット
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/175 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144313
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】小峯 直也
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB53
2C056EC20
2C056EC32
2C056KB11
2C056KB16
2C056KB37
2C056KC04
2C056KC17
(57)【要約】
【課題】液体貯留タンクにインク等の液体が過剰に供給されても、貯留された液体が大気連通管から外に流出するのを制御に頼ることなく防ぐ。
【解決手段】液体供給管49から供給されて内部に貯留された液体が液体排出管27から排出される液体貯留タンク22と、液体貯留タンク22に貯留された液体上の空気層36を大気と連通させる大気連通管44,45と、液体貯留タンク22の液体貯留量に応じて液体貯留タンク22の位置を変更する位置変更部材と、を備え、大気連通管44,45は、液体貯留タンク22が所定の液体貯留量に到達した際の位置に移動すると閉塞される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給管から供給されて内部に貯留された液体が液体排出管から排出される液体貯留タンクと、
前記液体貯留タンクに貯留された液体上の空気層を大気と連通させる大気連通管と、
前記液体貯留タンクの液体貯留量に応じて前記液体貯留タンクの位置を変更する位置変更部材と、を備え、
前記大気連通管は、前記液体貯留タンクが所定の液体貯留量に到達した際の位置に移動すると閉塞される、
液体貯留ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体貯留ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
インクカートリッジからインクタンクに供給したインクをインクジェットヘッドのノズルから吐出させる、インクジェット記録装置が知られている。インクタンクのインク液面上には、インクカートリッジからのインクの供給に伴って空気が充満する。この空気をインクタンクから排出するために、インクタンクのインク液面上の部分には、大気連通管が接続される。
【0003】
インクカートリッジからインクタンクに過剰な量のインクが供給されると、過剰供給されたインクが空気に続いてインクタンクから大気連通管の外に流出し、インクジェット記録装置の内部を汚損させる。そこで、センサで検出したインクタンクのインク液面が一定の高さに達したら、インクタンクに対するインクの供給を停止させる制御が行われている。
【0004】
特許文献1では、センサの故障対策として、インクタンクに対するインクの供給を、供給開始から一定時間後に、インク供給バルブを閉弁することで強制終了させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-199080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、インクタンクに対するインクの供給開始からの経過時間が計測できなくなったり、インク供給バルブの開弁、閉弁が制御できなくなると、所期の目的を達成できなくなってしまう。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、液体貯留タンクにインク等の液体が過剰に供給されても、貯留された液体が大気連通管から外に流出するのを制御に頼ることなく防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の一つの態様による液体貯留ユニットは、
液体供給管から供給されて内部に貯留された液体が液体排出管から排出される液体貯留タンクと、
前記液体貯留タンクに貯留された液体上の空気層を大気と連通させる大気連通管と、
前記液体貯留タンクの液体貯留量に応じて前記液体貯留タンクの位置を変更する位置変更部材と、を備え、
前記大気連通管は、前記液体貯留タンクが所定の液体貯留量に到達した際の位置に移動すると閉塞される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液体貯留タンクにインク等の液体が過剰に供給されても、貯留された液体が大気連通管から外に流出するのを制御に頼ることなく防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る液体貯留ユニットの構成を示す説明図である。
図2図2は、本発明に係る液体貯留ユニットが適用されるインクジェット記録装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、図2の負圧タンクのインク貯留量がタンク満容量を超えた場合に生じる状態を示す第1の比較例の説明図である。
図4図4は、図2の負圧タンクに図3の状態が生じるのを防ぐ対策を講じた第2の比較例の説明図である。
図5図5は、図1の負圧タンクのインク貯留量がタンク満容量に近づいた場合の液体貯留ユニットの動作状態を示す説明図である。
図6A図6Aは、本発明の第2実施形態に係る液体貯留ユニットの構成を示す説明図である。
図6B図6Bは、図6Aの負圧タンクのインク貯留量がタンク満容量に近づいた場合の液体貯留ユニットの動作状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0012】
また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
図1に示す本発明の第1実施形態に係る液体貯留ユニット10は、例えば、図2に示す構成のインクジェット記録装置1に設けることができる。図2のインクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド11と、インク循環部12と、インク供給部13とを備える。
【0014】
モノクロ印刷対応のインクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド11、インク循環部12及びインク供給部13を1組備えている。カラー印刷対応のインクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド11、インク循環部12及びインク供給部13を、インク色数に対応する組数備えている。
【0015】
インクジェットヘッド11は、複数のノズル(図示せず)を有している。各ノズルは、インク循環部12により供給されるインクを、印刷画像に応じたパターンで吐出する。
【0016】
インク循環部12は、インクを循環させつつインクジェットヘッド11にインクを供給する。インク循環部12は、加圧タンク21と、負圧タンク22と、インクポンプ23と、エアポンプ24と、インク循環管25~27とを備える。加圧タンク21及び負圧タンク22は、それぞれ、液体貯留タンクを構成することができる。
【0017】
加圧タンク21は、例えば、インクジェットヘッド11より低い位置(下方)に配置することができる。加圧タンク21は、インクジェットヘッド11に供給するインクを貯留する。加圧タンク21のインクは、インク循環管25を介してインクジェットヘッド11に供給される。加圧タンク21内には、インクの液面上に空気層31が形成される。加圧タンク21の空気層31は、加圧連通管41を介して、エアポンプ24に接続されている。インク循環管25は、加圧タンク21の液体排出管を構成することができる。
【0018】
加圧連通管41には、エアポンプ24の手前で大気開放管42が分岐接続されている。加圧タンク21の空気層31は、大気開放管42の途中に設けた大気開放弁43が開放されると、加圧連通管41及び大気開放管42を介して大気と連通する。加圧連通管41及び大気開放管42は、大気連通管を構成することができる。
【0019】
加圧タンク21には、加圧タンク液面センサ33が設けられている。加圧タンク液面センサ33は、少なくとも上下2つの位置で、加圧タンク21のインク液面をそれぞれ検出する。上の位置の加圧タンク液面センサ33は、加圧タンク21内のインク液面が補充停止高さに達したか否かを検出する。下の位置の加圧タンク液面センサ33は、加圧タンク21内のインク液面が補充開始高さに達したか否かを検出する。
【0020】
加圧タンク液面センサ33の出力は、加圧タンク21内のインク液面が補充停止高さ以上の時と未満の時とで異なる。加圧タンク液面センサ33の出力は、加圧タンク21内のインク液面が補充開始高さ以上の時と未満の時とで異なる。加圧タンク液面センサ33は、例えば、加圧タンク21のインク液面に浮かせた不図示のフロートの磁石を検出する磁気センサで構成することができる。
【0021】
負圧タンク22は、例えば、加圧タンク21と同じ高さに配置することができる。負圧タンク22は、インクジェットヘッド11で消費されなかったインクを、インク循環管26を介して受け取って貯留する。また、負圧タンク22は、インク供給部13の後述するインクカートリッジ47から供給されるインクを貯留する。負圧タンク22内には、インクの液面上に空気層36が形成される。負圧タンク22の空気層36は、負圧連通管44を介して、エアポンプ24に接続されている。
【0022】
負圧連通管44には、エアポンプ24の手前で大気開放管45が分岐接続されている。負圧タンク22の空気層36は、大気開放管45の途中に設けた大気開放弁46が開放されると、負圧連通管44及び大気開放管45を介して大気と連通する。負圧連通管44及び大気開放管45は、大気連通管を構成することができる。
【0023】
負圧タンク22には、負圧タンク液面センサ38が設けられている。負圧タンク液面センサ38は、少なくとも上下2つの位置で、負圧タンク22のインク液面をそれぞれ検出する。上の位置の負圧タンク液面センサ38は、負圧タンク22内のインク液面が補充停止高さに達したか否かを検出する。下の位置の負圧タンク液面センサ38は、負圧タンク22内のインク液面が補充開始高さに達したか否かを検出する。
【0024】
負圧タンク液面センサ38の出力は、負圧タンク22内のインク液面が補充停止高さ以上の時と未満の時とで異なる。負圧タンク液面センサ38の出力は、負圧タンク22内のインク液面が補充開始高さ以上の時と未満の時とで異なる。負圧タンク液面センサ38は、例えば、負圧タンク22のインク液面に浮かせた不図示のフロートの磁石を検出する磁気センサで構成することができる。
【0025】
インクポンプ23は、負圧タンク22から加圧タンク21へインクを送液する。インクポンプ23は、加圧タンク21と負圧タンク22との底部同士を接続するインク循環管27の途中に設けられている。インク循環管27は、加圧タンク21の液体供給管及び負圧タンク22の液体排出管を構成することができる。
【0026】
インク供給部13は、負圧タンク22の上方に配置したインクカートリッジ47のインクを、インク供給弁48が開いている間、インク補給管49を介して負圧タンク22に供給する。インク補給管49は、負圧タンク22の液体供給管を構成することができる。
【0027】
エアポンプ24は、加圧タンク21の空気層31及び負圧タンク22の空気層36に、インク循環のための圧力を付与する。具体的には、エアポンプ24は、負圧タンク22の空気層36の空気を負圧連通管44及び加圧連通管41を介して加圧タンク21の空気層31に移送して、空気層36に負圧を、空気層31に正圧をそれぞれ付与することができる。
【0028】
インクジェット記録装置1では、インク循環部12にインクを循環させるインク循環動作の一環として、加圧タンク21及び負圧タンク22の液面維持動作が行われる。液面維持動作では、大気開放弁43,46が開かれて、加圧タンク21及び負圧タンク22の空気層31,36が加圧連通管41及び負圧連通管44を介して大気と連通する。
【0029】
この状態で、加圧タンク液面センサ33及び負圧タンク液面センサ38によって検出される加圧タンク21及び負圧タンク22の液面高さに応じて、インクポンプ23及びインク供給弁48が駆動される。
【0030】
具体的には、インクポンプ23が負圧タンク22のインクを加圧タンク21に移動させる。インクジェットヘッド11からの吐出と加圧タンク21への移動とにより負圧タンク22のインク液面が補充開始高さ未満まで減少したら、インク供給弁48が開かれ、インクカートリッジ47のインクがインク補給管49を介して負圧タンク22に補充される。
【0031】
負圧タンク22のインク液面が補充終了高さまで増えると、インク供給弁48が閉じられ、インクカートリッジ47から負圧タンク22へのインクの補充が終了される。その後、大気開放弁43,46が閉じられて、加圧タンク21及び負圧タンク22の空気層31,36が大気から遮断される。次いで、エアポンプ24が駆動されて、負圧タンク22の空気層36の空気が加圧タンク21の空気層31に移送される。この移送により、加圧タンク21、負圧タンク22にそれぞれ正圧、負圧が付与され、空気層31,36に差圧が生じる。
【0032】
この差圧により、加圧タンク21からインクジェットヘッド11を介して負圧タンク22にインクが移動される。そして、液面維持動作により負圧タンク22から加圧タンク21にインクが移動されることで、インク循環部12においてインクが循環される。
【0033】
ところで、インクカートリッジ47から負圧タンク22へのインクの供給中に、負圧タンク液面センサ38が故障すると、負圧タンク22のインク液面が補充停止高さに達しても、インクカートリッジ47からのインクの供給が停止されなくなる。すると、負圧連通管44が開いているので、図3に示す第1の比較例の負圧タンク22のように、過剰に供給されたインクがやがて負圧連通管44及び大気開放管45を介して外に流出し、インクジェット記録装置1の内部を汚してしまう。
【0034】
同様に、インクポンプ23による負圧タンク22から加圧タンク21へのインクの移動中に、加圧タンク液面センサ33が故障すると、加圧タンク21のインク液面が補充停止高さに達しても、負圧タンク22からのインクの移動が停止されなくなる。すると、大気開放弁43が開いているので、加圧タンク21に過剰に供給されたインクがやがて加圧連通管41及び大気開放管42を介して外に流出し、インクジェット記録装置1の内部を汚してしまう。
【0035】
例えば、図4に示す第2の比較例のように、負圧タンク22の負圧連通管44の接続部分に形成したフロート室61内のフロート62が、負圧タンク22にインクが過剰供給されたときに、負圧連通管44の接続部分を塞ぐ構成とすることも考えられる。しかし、特開2010-142968号でも言及しているように、フロート室61の底面に残って乾燥したインクにフロート62が付着すると、インク液面が上昇してもフロート62が浮上できず、負圧連通管44の接続部分を塞げなくなる可能性がある。加圧タンク21に同様の構成を設けても、同様の問題が生じる。
【0036】
そこで、加圧タンク21及び負圧タンク22のうちいずれか一方又は両方を液体貯留タンクとして、本発明に係る液体貯留ユニットの構成を適用することで、大気開放管42,45からのインクの流出を防ぐ機能を実現することができる。
【0037】
図1に示す第1実施形態の液体貯留ユニット10は、負圧タンク22を液体貯留タンクとした場合を示している。本実施形態では、大気開放管45を大気開放弁46よりも負圧連通管44側の箇所で、流路切り替えブロック51に保持させている。負圧タンク22の底部とインクジェット記録装置1の筐体底面52との間には、緩衝ばね53が配置されている。
【0038】
本実施形態の負圧タンク22は、不図示の支持機構により、筐体底面52に対して上下移動可能に支持されている。この支持機構は、位置変更部材を構成することができる。負圧タンク22は、負圧連通管44と、大気開放管45のうち流路切り替えブロック51よりも負圧連通管44側の部分と共に、緩衝ばね53の収縮可能な範囲で、流路切り替えブロック51に対して下方に移動することができる。
【0039】
したがって、例えば、負圧タンク22にインクカートリッジ47からの過剰なインクが供給されて、負圧タンク22の重量が緩衝ばね53のばね定数を超えて増加すると、負圧タンク22の重量に緩衝ばね53の弾発力がつり合うまで緩衝ばね53が収縮する。負圧タンク22の重量が緩衝ばね53のばね定数を超えるときの負圧タンク22のインク貯留量は、所定の液体貯留量に相当する。
【0040】
負圧タンク22の重量増加で緩衝ばね53が収縮すると、負圧タンク22、負圧連通管44、大気開放管45のうち負圧連通管44側の部分が、図5に示すように、流路切り替えブロック51に対して下方に移動する。
【0041】
下方に移動した大気開放管45のうち負圧連通管44側の部分は、流路切り替えブロック51によって塞がれる。大気開放管45が塞がれることで、負圧タンク22にインクが過剰に供給されても、大気開放管45から外にインクが流出するのを阻止できる。
【0042】
また、負圧タンク22が重量増加により下方に移動して流路切り替えブロック51が大気開放管45を塞ぐので、図4の第2の比較例のように、乾いたインクに付着するフロート62を負圧タンク22の中に配置して負圧連通管44を塞ぐ構成とする必要がない。よって、負圧タンク22内の乾いたインクにフロート62が付着する度に、負圧タンク22を交換してフロート62の機能を復旧させる構成となるのを、避けることができる。
【0043】
図6Aに示す本発明の第2実施形態に係る液体貯留ユニット10aも、第1実施形態の液体貯留ユニット10と同じく、負圧タンク22を液体貯留タンクとした場合を示している。
【0044】
本実施形態の液体貯留ユニット10aでは、負圧タンク22の底部の一辺をヒンジ部材54により回転可能に支持し、負圧タンク22の全体がヒンジ部材54を中心として揺動できる構成としている。このヒンジ部材54は、位置変更部材を構成することができる。負圧タンク22は、負圧連通管44の接続部分にインク液面が達するインク貯留量に増加するまでは、例えば、ヒンジ部材54の回転摩擦力によって、図6Aに示す傾斜した姿勢を保持することができる。なお、負圧タンク22の底部の揺動側端部には、下端を自由端とした緩衝ばね55が吊り下げられている。
【0045】
また、本実施形態では、負圧連通管44及び大気開放管45を、可撓性を有するチューブによって変形可能に構成している。大気開放管45の一部は、支持片56に支持されて固定されている。支持片56に支持されていない負圧連通管44及び負圧連通管44側の一部の大気開放管45は、負圧タンク22の揺動により変形することができる。
【0046】
したがって、例えば、負圧タンク22にインクカートリッジ47からの過剰なインクが供給されて、負圧タンク22のインク液面が負圧連通管44の接続部分に達すると、重量増加により負圧タンク22がヒンジ部材54を中心として揺動する。この揺動により、緩衝ばね55の下端がインクジェット記録装置1の筐体底面52に接触する。過剰なインクの供給で重量が増加した負圧タンク22は、負圧タンク22の重量に弾発力がつり合うまで緩衝ばね55が収縮する角度まで揺動する。
【0047】
負圧タンク22が重量増加により揺動すると、大気開放管45の支持片56に支持されていない部分が、図6Bに示すように、大気開放管45の支持片56に支持された部分に対して変形し、大気開放管45の中途箇所45aが座屈する。この座屈により、大気開放管45が中途箇所45aで塞がれる。大気開放管45が塞がれることで、負圧タンク22にインクが過剰に供給されても、大気開放管45から外にインクが流出するのを阻止できる。
【0048】
また、負圧タンク22が重量増加により揺動し、変形した大気開放管45が中途箇所45aで座屈して塞がるので、図4の第2の比較例のような構成となるのを、避けることができる。
【0049】
なお、上述した第1及び第2実施形態の液体貯留ユニット10,10aでは、負圧タンク22を液体貯留タンクとした場合について説明した。しかし、加圧タンク21を液体貯留タンクとし、図1又は図6Aに示す第1及び第2実施形態の液体貯留ユニット10,10aの特徴的な構成を加圧タンク21において採用してもよい。また、液体貯留タンクとするのは、加圧タンク21及び負圧タンク22のどちらか一方だけでもよく、両方でもよい。
【0050】
[付記]
以上に説明した実施形態によって、以下に示す態様の発明が開示される。
【0051】
即ち、一つの態様の発明として、
液体供給管から供給されて内部に貯留された液体が液体排出管から排出される液体貯留タンクと、
前記液体貯留タンクに貯留された液体上の空気層を大気と連通させる大気連通管と、
前記液体貯留タンクの液体貯留量に応じて前記液体貯留タンクの位置を変更する位置変更部材と、を備え、
前記大気連通管は、前記液体貯留タンクが所定の液体貯留量に到達した際の位置に移動すると閉塞される、
液体貯留ユニットが開示される。
【0052】
そして、上記態様による発明によれば、液体貯留タンクにインク等の液体が過剰に供給されても、貯留された液体が大気連通管から外に流出するのを制御に頼ることなく防ぐことができる。
【符号の説明】
【0053】
1 インクジェット記録装置
10,10a 液体貯留ユニット
11 インクジェットヘッド
12 インク循環部
13 インク供給部
21 加圧タンク(液体貯留タンク)
22 負圧タンク(液体貯留タンク)
23 インクポンプ
24 エアポンプ
25 インク循環管(液体排出管)
26 インク循環管
27 インク循環管(液体供給管、液体排出管)
31,36 空気層
33 加圧タンク液面センサ
38 負圧タンク液面センサ
41 加圧連通管(大気連通管)
42,45 大気開放管(大気連通管)
43,46 大気開放弁
44 負圧連通管(大気連通管)
45a 中途箇所
47 インクカートリッジ
48 インク供給弁
49 インク補給管(液体供給管)
51 流路切り替えブロック
52 筐体底面
54 ヒンジ部材(位置変更部材)
56 支持片
61 フロート室
62 フロート
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B