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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039368
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】固定体
(51)【国際特許分類】
   A47B 97/00 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
A47B97/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144353
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】堀 信夫
(57)【要約】
【課題】被固定面に接合部材を強固に接合できる固定体を提供すること。
【解決手段】第1基体10と、第2基体20と、を備え、第1基体10及び第2基体20は、設置体の底面と設置体が載置される床面との対面方向Aに離間移動可能に仮組付け可能とされるとともに、相対移動不能となるように本組付け可能であり、第2基体20には、当該第2基体20と第1基体10との間に差し込まれた工具Tが当接して支点となる突設部26が設けられ、第1基体10には、工具Tを突設部26に当接させた状態で工具Tが当接することで作用点となる被押圧部としての境界部Bが設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対面する面のうち第1被固定面に当接させることで接合する第1被固定面側接合部材を有する第1固定部により前記第1被固定面に固定される被押圧基体と、
対面する面のうち第2被固定面に第2固定部により固定される支点基体と、を備え、
前記被押圧基体及び前記支点基体は、前記第1被固定面と前記第2被固定面との対面方向に離間移動可能に仮組付け可能とされるとともに、相対移動不能となるように本組付け可能であり、
前記支点基体には、工具が当接して支点となる支点形成部が設けられ、
前記被押圧基体には、前記工具を前記支点形成部に当接させた状態で前記工具が当接することで作用点となる被押圧部が設けられていることを特徴とする固定体。
【請求項2】
前記第1固定部及び前記第2固定部が、前記対面方向において重合関係にあり、
前記支点形成部は、前記対面方向に凹又は凸となる段部により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の固定体。
【請求項3】
前記支点基体の前記支点形成部よりも前記工具の差し入れ方向手前側は、平坦面をなし、
前記支点形成部は、前記平坦面よりも前記被押圧基体側に向けて突出していることを特徴とする請求項2に記載の固定体。
【請求項4】
前記支点形成部が前記工具の差し込み空間を形成するように前記被押圧基体と前記支点基体との間を離隔させていることを特徴とする請求項3に記載の固定体。
【請求項5】
前記支点形成部は、前記支点基体の前記工具の差し込み方向の手前側に位置する端縁から前記第1被固定面に向けて突出形成され、前記工具の先端を前記第1被固定面へと移動するように前記工具を傾動させることにより前記工具の先端が前記被押圧部を押圧し、前記被押圧基体を前記第1被固定面に向かう方向へと付勢可能としたことを特徴とする請求項1に記載の固定体。
【請求項6】
前記第1被固定面側接合部材は、粘着性を有し厚さ方向に圧縮可能な粘着マットからなり、前記支点形成部に当接させた前記工具を傾動させて前記被押圧部を押圧し、前記粘着マットを圧縮した状態で、前記被押圧基体及び前記支点基体が相対移動不能となるように本組付け可能である請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の固定体。
【請求項7】
前記被押圧基体及び前記支点基体は、前記対面方向に延設され、重ね合わされる延設部をそれぞれ有し、
重ね合わされた前記被押圧基体の前記延設部及び前記支点基体の前記延設部を貫通するネジ部材を締めることにより前記被押圧基体と前記支点基体とが本組付けされるものであり、
前記被押圧基体の前記延設部と前記支点基体の前記延設部のいずれか又は両方には、前記ネジ部材が挿通されるとともに前記対面方向に長手が延びる長孔が形成されており、
前記被押圧基体と前記支点基体とが前記長孔の長手が延びる方向に相対移動する際に、前記被押圧基体及び前記支点基体を前記対面方向へ案内するように摺接可能とした当たり合い部が形成されていることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の固定体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるような固定体が知られている。
上記の固定体は、第一水平支持板と、第二水平支持板と、第三垂直支持板と、を備えている。第一水平支持板及び第二水平支持板は、第三垂直支持板に対して高さ調整自在に取り付けられている。第三垂直支持板は、第一水平支持板及び第二水平支持板に対して着脱自在である。第三垂直支持板には、工具を挿通して第二水平支持板を持ち上げるための挿入穴が形成されている。
【0003】
第一水平支持板は、第一粘着手段により床面に固定されている。第二水平支持板は、第二粘着手段により被固定物の底面に固定されている。床面と、被固定物の底面とは対面している。第二水平支持板は、挿入穴に挿通された工具により引き上げられ、第二粘着手段が被固定物の底面に接合されることにより被固定物の底面に固定される。第二水平支持板は、工具により持ち上げられた状態でボルトにより第三垂直支持板に締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4804844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、第一粘着手段や第二粘着手段のような接合部材の接合強度が足りず、固定体を床面や被固定物の底面のような被固定面に安定的に固定できない虞がある。
本発明の目的は、被固定面に接合部材を強固に接合できる固定体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する固定体は、対面する面のうち第1被固定面に当接させることで接合する第1被固定面側接合部材を有する第1固定部により前記第1被固定面に固定される被押圧基体と、対面する面のうち第2被固定面に第2固定部により固定される支点基体と、を備え、前記被押圧基体及び前記支点基体は、前記第1被固定面と前記第2被固定面との対面方向に離間移動可能に仮組付け可能とされるとともに、相対移動不能となるように本組付け可能であり、前記支点基体には、工具が当接して支点となる支点形成部が設けられ、前記被押圧基体には、前記工具を前記支点形成部に当接させた状態で前記工具が当接することで作用点となる被押圧部が設けられていることを要旨とする。
【0007】
上記の固定体において、前記第1固定部及び前記第2固定部が、前記対面方向において重合関係にあり、前記支点形成部は、前記対面方向に凹又は凸となる段部により構成されていてもよい。
【0008】
上記の固定体において、前記支点基体の前記支点形成部よりも前記工具の差し入れ方向手前側は、平坦面をなし、前記支点形成部は、前記平坦面よりも前記被押圧基体側に向けて突出してもよい。
【0009】
上記の固定体において、前記支点形成部が前記工具の差し込み空間を形成するように前記被押圧基体と前記支点基体との間を離隔させていてもよい。
上記の固定体において、前記支点形成部は、前記支点基体の前記工具の差し込み方向の手前側に位置する端縁から前記第1被固定面に向けて突出形成され、前記工具の先端を前記第1被固定面へと移動するように前記工具を傾動させることにより前記工具の先端が前記被押圧部を押圧し、前記被押圧基体を前記第1被固定面に向かう方向へと付勢可能としてもよい。
【0010】
上記の固定体において、前記第1被固定面側接合部材は、粘着性を有し厚さ方向に圧縮可能な粘着マットからなり、前記支点形成部に当接させた前記工具を傾動させて前記被押圧部を押圧し、前記粘着マットを圧縮した状態で、前記被押圧基体及び前記支点基体が相対移動不能となるように本組付け可能としてもよい。
【0011】
上記の固定体において、前記被押圧基体及び前記支点基体は、前記対面方向に延設され、重ね合わされる延設部をそれぞれ有し、重ね合わされた前記被押圧基体の前記延設部及び前記支点基体の前記延設部を貫通するネジ部材を締めることにより前記被押圧基体と前記支点基体とが本組付けされるものであり、前記被押圧基体の前記延設部と前記支点基体の前記延設部のいずれか又は両方には、前記ネジ部材が挿通されるとともに前記対面方向に長手が延びる長孔が形成されており、前記被押圧基体と前記支点基体とが前記長孔の長手が延びる方向に相対移動する際に、前記被押圧基体及び前記支点基体を前記対面方向へ案内するように摺接可能とした当たり合い部が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、被固定面に接合部材を強固に接合できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】固定体の設置体を床面に固定したときの斜視図。
図2】第1分割基体の斜視図。
図3】第2分割基体の斜視図。
図4】第2基体の斜視図。
図5】第1分割基体、第2分割基体、及び第2基体の固定状態を示す斜視図。
図6図5の6-6線で切断したときの固定体の断面図。
図7図5の7-7線で切断したときの固定体の断面図。
図8】変更例における固定体の断面図。
図9】変更例における固定体の断面図。
図10】変更例における固定体の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、固定体を具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。
図1に示すように、固定体1は、床面S2に設置される設置体100を床面S2に固定するものである。設置体100は、例えば、床面S2に設置される冷蔵庫等の機器や棚を示している。設置体100の床面S2と対面する面を底面S1とし、底面S1と交差する側面のうち1つを側面S3とする。固定体1は、床面S2に固定された状態で設置体100の底面S1及び側面S3を固定することにより設置体100を床面S2に対して固定している。すなわち、対面する底面S1及び床面S2のうち底面S1を有する設置体100が床面S2に対して固定体1を介して固定された固定構造が構成されている。底面S1が第1被固定面の一例であり、床面S2が第2被固定面の一例である。以下の説明において、底面S1と床面S2とが対面する方向を対面方向Aとする。
【0015】
固定体1は、金属製板状をなす第1基体10と、金属製板状をなす第2基体20と、を備えている。第2基体20は、部分的に床面S2に沿って配置され、且つ部分的に側面S3に沿って配置されている。第1基体10は、第1分割基体30と、第2分割基体40と、を有している。第1分割基体30は、部分的に底面S1に沿って配置され、且つ部分的に側面S3に沿って配置されている。第2分割基体40は、設置体100の側面S3に沿って配置されている。
【0016】
図2に示すように、第1分割基体30は、第1分割本体部31と、第1分割延設部32と、を有している。第1分割本体部31は、長四角板状をなしている。第1分割本体部31の第1面31aには、第1分割本体部31の長手方向に直線状に延びる溝36が形成されている。第1面31aは、平坦面である。溝36は、第1分割本体部31の短手方向において、第1分割本体部31の第1長縁寄りに配置されている。溝36は、第1分割本体部31の両短縁に至らない程度に延びている。
【0017】
図7に示すように、第1分割本体部31には、第1面31aの一部を第1面31aとは反対側に位置する面である第2面31bに向けて膨出させた膨出部37が設けられている。膨出部37は、第1分割本体部31の第2面31bから凸となる段部により構成されている。溝36は、膨出部37により形成されている。第2面31bは、平坦面である。
【0018】
図2に示すように、第1分割延設部32は、長四角板状をなしている。第1分割延設部32の第1長縁は、第1分割本体部31の第2長縁に連続している。第1分割延設部32は、第1分割本体部31の第1面31a側に延びている。第1分割延設部32は、第1分割板部33と、一対の第1分割突出部34と、を有している。第1分割板部33は、長四角板状をなし、長手方向は第1分割本体部31の長手方向と一致している。一対の第1分割突出部34は、第1分割板部33の厚さ方向において、第1分割本体部31から離間する方向に第1分割板部33の両短縁から突出している。一対の第1分割突出部34は、第1分割板部33の両短縁を第1分割本体部31から離間する方向に向けて折り曲げることにより形成されている。一対の第1分割突出部34は、第1分割板部33の厚さ方向に突出している。
【0019】
第1分割板部33には、2つの螺着孔35が形成されている。2つの螺着孔35それぞれは、第1分割板部33の長手方向において、一対の第1分割突出部34寄りに配置されている。2つの螺着孔35の内周面には、雌ねじ35aが形成されている。2つの螺着孔35は、第1分割板部33を厚さ方向に貫通している。
【0020】
図3に示すように、第2分割基体40は、第2分割本体部41と、2つの第2分割延設部42と、を有している。第2分割本体部41は、長四角板状をなしている。第2分割本体部41の第1面41aは、平坦面である。
【0021】
図3に示すように、2つの第2分割延設部42それぞれは、長四角板状をなしている。2つの第2分割延設部42は、第2分割本体部41の第1長縁から第2分割本体部41の短手方向において第2分割本体部41から離間するように延びている。2つの第2分割延設部42それぞれは、第2分割本体部41の両短縁寄りに配置されている。第2分割延設部42は、第2分割板部43と、一対の第2分割突出部44と、を有している。第2分割板部43は、長四角板状をなしている。第2分割板部43の第1短縁は、第2分割本体部41の第1長縁に連続している。一対の第2分割突出部44は、第2分割板部43の両長縁に第2分割板部43の厚さ方向に突出するように設けられている。一対の第2分割突出部44は、第2分割板部43の両長縁を第2分割本体部41の第1面41a側に折り曲げることにより形成されている。
【0022】
2つの第2分割延設部42それぞれには、一対の挿通孔45が形成されている。一対の挿通孔45は、一対の第2分割突出部44に沿って一方向に長手が延びる長孔である。一対の挿通孔45は、第2分割板部43に形成されている。一対の挿通孔45は、第2分割板部43を厚さ方向に貫通している。一対の挿通孔45は、第2分割板部43の短手方向において、一対の第2分割突出部44寄りに設けられている。
【0023】
図4に示すように、第2基体20は、第2本体部21と、2つの第2延設部22と、を有している。第2本体部21は、長四角板状をなしている。
2つの第2延設部22は、第2本体部21の第1長縁から延びている。2つの第2延設部22は、第2本体部21の両短縁寄りに設けられている。2つの第2延設部22は、第2本体部21の第1面21a側に第2本体部21の厚さ方向に延びている。第1面21aは、平坦面である。第2延設部22は、第2板部23と、一対の第2突出部24と、を有している。第2板部23は、長四角板状をなしている。第2板部23の第1短縁は、第2本体部21の第1長縁に連続している。一対の第2突出部24は、第2板部23の両長縁に第2板部23の厚さ方向に突出するように設けられている。一対の第2突出部24は、第2板部23の両長縁を第2本体部21から離間する方向に折り曲げることにより形成されている。
【0024】
2つの第2延設部22それぞれには、螺着孔25が形成されている。螺着孔25は、第2板部23の長手方向において、第2板部23の第2短縁寄りに設けられている。螺着孔25の内周面には、雌ねじ25aが形成されている。螺着孔25は、第2板部23を厚さ方向に貫通している。
【0025】
第2基体20は、突設部26を有している。突設部26は、第2本体部21の第1面21aから凸となる段部である矩形ブロック状に構成されている。突設部26は、第2本体部21の長手方向において、第2本体部21の第1面21aの中央に位置している。突設部26は、第2本体部21の短手方向において、第2本体部21の第2長縁寄りに配置されている。突設部26の長手は、第2本体部21の長手方向に延びている。
【0026】
次に、第1基体10と第2基体20との配置について詳しく説明する。
図1に示すように、第1分割延設部32の短手が対面方向Aに延びるように、且つ第1分割本体部31と底面S1とが対向するように第1分割基体30が配置されている。2つの第2分割延設部42の長手が対面方向Aに延びるように配置されている。また、第2本体部21が床面S2に対向するように、且つ2つの第2延設部22の長手が対面方向Aに延びるように配置される。
【0027】
第1分割延設部32は、2つの第2分割延設部42と厚さ方向に重なるように配置されている。一対の螺着孔35それぞれは、対面方向Aに長手が延びる一対の挿通孔45のうち第2分割本体部41の長手方向の中央寄りに位置する挿通孔45と対向している。
【0028】
第2本体部21と第1分割本体部31とが対面方向Aにおいて重なるように配置され、且つ2つの第2延設部22が2つの第2分割延設部42それぞれと厚さ方向に重なるように配置されている。螺着孔25は、一対の挿通孔45のうち第2分割本体部41の短縁寄りに位置する挿通孔45と対向している。なお、2つの第2分割延設部42、及び2つの第2延設部22は、対面方向Aに延設される延設部の一例である。
【0029】
図7に示すように、第2本体部21と第1分割本体部31とが対面方向Aにおいて重なるように配置された状態において、第1分割本体部31と第1分割延設部32との境界部Bは、第2本体部21の第1長縁よりも若干外側に張り出している。境界部Bは、第1分割本体部31と第1分割延設部32との交差する角部に位置し、当該角部が円弧をなすように滑らかな面を有している。また、第1分割本体部31に設けられた膨出部37は、対面方向Aにおいて、第2本体部21と対面している。
【0030】
図6に示すように、第2本体部21と第1分割本体部31とが対面方向Aにおいて重なるように配置された状態で、突設部26は、第1分割本体部31と対面方向Aにおいて重ならないように配置されている。
【0031】
図1に示すように、2つの第2延設部22それぞれの一対の第2突出部24のうち第2本体部21の長手方向の中央寄りに位置する第2突出部24は、第1分割延設部32の第1分割突出部34に隣接されている。一対の第1分割突出部34は、第2本体部21の長手方向の中央寄りに位置する第2突出部24の外面の脇に配置されている。2つの第2延設部22それぞれの一対の第2突出部24のうち第2本体部21の短縁寄りに位置する第2突出部24は、一対の第2分割突出部44のうち第2分割本体部41の短縁寄りに位置する第2分割突出部44の外側に隣接されている。第2分割本体部41の短縁寄りに位置する第2分割突出部44は、第2本体部21の短縁寄りに位置する第2突出部24の内面の脇に配置されている。
【0032】
図6に示すように、一対の第1分割突出部34の先端は、2つの第2分割板部43それぞれに当接している。2つの第2延設部22それぞれの一対の第2突出部24のうち第2本体部21の長手方向の中央寄りに位置する第2突出部24は、2つの第2分割板部43に当接している。
【0033】
2つの第2分割延設部42それぞれの一対の第2分割突出部44のうち第2分割本体部41の長手方向の中央寄りに位置する第2分割突出部44は、第1分割板部33に当接している。2つの第2分割延設部42それぞれの一対の第2分割突出部44のうち第2分割本体部41の短縁寄りに位置する第2分割突出部44は、2つの第2板部23に当接している。
【0034】
隣接された第2突出部24と第1分割突出部34とは、互いに摺接可能とした当たり合い部46を構成している。また、隣接された第2突出部24と第2分割突出部44とは、互いに摺接可能とした当たり合い部46を構成している。
【0035】
一対の第2突出部24は、第2延設部22から第2分割延設部42側へと突出するとともに対面方向Aに延びる突条部である。また、第1分割突出部34、及び第2分割本体部41の短縁寄りに位置する第2分割突出部44は、一対の第2突出部24の外面の脇又は内面の脇に配置される起立部である。
【0036】
また、第2基体20の第2延設部22は、第1基体の延設部及び第2基体の延設部のうち一方に相当し、第1基体10の第2分割延設部42は、第1基体の延設部及び第2基体の延設部のうち他方に相当する。そして、第1分割突出部34、及び第2分割本体部41の短縁寄りに位置する第2分割突出部44は、第2分割延設部42を有する第1基体10に形成されている。
【0037】
なお、第1基体10の第2分割延設部42が第1基体の延設部及び第2基体の延設部のうち一方に相当し、第2基体20の第2延設部22が第1基体の延設部及び第2基体の延設部のうち他方に相当する場合を考える。この場合、第2分割本体部41の短縁寄りに位置する第2分割突出部44は、第2分割延設部42から第2延設部22へと突出するとともに、対面方向Aに延びる突条部となる。また、第2本体部21の短縁寄りに位置する第2突出部24は、第2分割突出部44の外面の脇に配置される起立部となる。そして、第2本体部21の短縁寄りに位置する第2突出部24は、第2延設部22を有する第2基体20に形成されている。
【0038】
図1及び図5に示すように、全ての挿通孔45には、ネジ部材としてのボルト50が挿通され、挿通孔45に挿通されたボルト50は、挿通孔45に対向する螺着孔25,35に螺合される。ボルト50を締めることにより第1分割基体30と第2分割基体40とが相対移動しないように位置決めされ、且つ第2基体20と第2分割基体40とが相対移動しないように位置決めされる。また、ボルト50を緩めつつボルト50の先端を螺着孔25,35に螺合した状態に維持することにより、ボルト50は、一対の挿通孔45内を対面方向Aに移動可能となるため、第1分割基体30と第2分割基体40とが相対移動可能となり、且つ第2基体20と第2分割基体40とが相対移動可能となる。なお、当たり合い部46は、第1基体10と第2基体20とが挿通孔45の長手が延びる方向に相対移動する際に、第1基体10及び第2基体20を対面方向Aへ案内するように摺接可能とされている。
【0039】
次に、固定体1を設置体100と床面S2に固定するための固定部について詳しく説明する。
図1に示すように、固定体1は、第1被固定面側接合部材である粘着マット61と、粘着マット62と、粘着マット63と、を備えている。粘着マット61,62,63は、厚さ方向の両面に粘着面を有する板状である。粘着マット61,62,63は、厚さ方向に圧縮変形可能である。粘着マット61,62,63は、粘着性を有するゲル状の超軟質ウレタンにより形成される。また、粘着マット61,62,63は、圧縮前の厚さの50%~90%の厚さとなるまで圧縮されることで、最適に粘着力を発揮するものである。
【0040】
粘着マット61は、厚さ方向の一方の粘着面が第1分割本体部31の第1面31aに貼着され、厚さ方向の他方の粘着面が底面S1に貼着される。第1面31aは、粘着マット61が貼着される粘着マット貼着面である。第1面31aは、粘着マット61よりも広い面積を有している。
【0041】
粘着マット62は、厚さ方向の一方の粘着面が第2本体部21の第2面21bに貼着され、厚さ方向の他方の粘着面が床面S2に貼着される。第2面21bは、粘着マット62が貼着される粘着マット貼着面である。第2面21bは、粘着マット62よりも広い面積を有している。対面方向Aにおいて、粘着マット61と粘着マット62とは重合関係にある。
【0042】
粘着マット63は、厚さ方向の一方の粘着面が第2分割本体部41の第1面41aに貼着され、厚さ方向の他方の粘着面が側面S3に貼着される。第1面41aは、粘着マット63が貼着される粘着マット貼着面である。第1面41aは、粘着マット63よりも広い面積を有している。
【0043】
図7に示すように、粘着マット61を第1面31aに貼着させた状態において、粘着マット61の第1面31aに貼着される粘着面と、第1面31aとの間には、隙間G1が形成されている。隙間G1は、第1面31aに凹設される溝36と粘着マット61の粘着面とにより形成されている。
【0044】
図1に示すように、粘着マット61は、設置体100の底面S1に当接させることで接合する。粘着マット61は、底面S1に第1基体10の第1分割基体30を固定するための第1固定部である。粘着マット62は、床面S2に当接させることで接合する。粘着マット62は、床面S2に第2基体20を固定するための第2固定部である。粘着マット63は、設置体100の側面S3に当接させることで接合する。粘着マット63は、側面S3に第1基体10の第2分割基体40を固定するための第3固定部である。なお、本実施形態における上記固定構造は、第1固定部、第2固定部、及び第3固定部を備えている。なお、上記固定構造は、第1固定部、及び第2固定部のみを備えていればよく、第3固定部は割愛してもよい。また、各固定部は、粘着マット61,62,63により構成されていたが、粘着マット61,62,63に更に固定部材を追加した構成に変更してもよい。
【0045】
固定体1の設置手順を説明しつつ本実施形態の作用を説明する。
第1基体10と第2基体20とは、複数のボルト50を緩めることで対面方向Aに離間移動可能に仮組付け可能とされるとともに、複数のボルト50を締めることで相対移動不能となるように本組付け可能である。
【0046】
図1に示すように、最初に、第2延設部22と第2分割延設部42とに挿通されている2つのボルト50を緩めた状態で第2分割基体40を側面S3に貼着する高さに合わせて本締めする。
【0047】
次に、粘着マット63を図示しない剥離シートで覆った状態で、側面S3に剥離シート付きの粘着マット63を密着するように宛がう。剥離シート付きの粘着マット63を側面S3に密着させた状態で粘着マット63を側面S3に沿って下方に滑らせて、床面S2に粘着マット62を貼着させ、第2基体20を床面S2に固定する。
【0048】
次に、第2延設部22と第2分割延設部42とに挿通されている2つのボルト50を緩めることにより仮締めした状態とし、剥離シート付きの粘着マット63と側面S3との密着を弱める。その後、粘着マット63から剥離シートを剥がし、第2分割基体40を側面S3に向けて押圧し、粘着マット63を側面S3に貼着する。第2延設部22と第2分割延設部42とに挿通されている2つのボルト50を本締めすることにより、粘着マット63を側面S3に圧縮した状態で貼着する。このとき、第2延設部22と第2分割延設部42とに挿通されている2つのボルト50の締め具合は、粘着マット63が適度な圧縮量となる程度にする。適度な圧縮量とは、例えば、粘着マット63が第2分割基体40の外縁からはみ出さない程度の圧縮量である。
【0049】
図1及び図7に示すように、粘着マット62により第2基体20と床面S2とを固定しつつ粘着マット63により第2分割基体40を側面S3に固定し、且つ第1分割板部33と第2分割延設部42とに挿通されている2つのボルト50を緩めることで第1分割基体30と第2基体20とを仮締めしている状態を考える。
【0050】
次に、この状態において、工具Tで境界部Bを押し上げ、第1分割本体部31と第2本体部21との間に挿入空間Spを形成し、工具Tを挿入空間Spに差し込む。工具Tは、例えば、ドライバー等の棒状をなす工具である。
【0051】
仮に、第1分割本体部31が第2本体部21に近接しても、膨出部37が第2本体部21の第1面21aに当接するため、第1基体10と第2基体20との間が離隔され、工具Tを挿入するための空間として機能させることができる。また、境界部Bが第2本体部21の第1長縁よりも若干外側に張り出している。そのため、第2基体20を床面S2に固定した状態で、境界部Bと床面S2との間には、隙間が形成される。当該隙間は、工具Tを第1分割本体部31と第2本体部21との間に差し込むためのきっかけとすることができる。また、境界部Bが円弧をなす滑らかな面を有することから、工具Tの先端が境界部Bに引っかかることなく、当該隙間に工具Tを差し込むことができる。
【0052】
工具Tを挿入空間Spに差し込む際に、工具Tの先端は、突設部26よりも工具Tの差し込み方向手前側の第1面21aに沿って滑らかに移動し、突設部26に当接する。
次に、工具Tを、突設部26を支点として第2本体部21から離間する方向に回動させる。このとき、工具Tは、第1分割本体部31と第1分割延設部32との境界部Bに当接し、第1分割基体30を第2基体20から離間する方向に押し上げる。突設部26は、工具Tが当接して支点となる支点形成部である。境界部Bは、床面S2に臨む位置に設けられ、且つ工具Tを突設部26に当接させた状態で工具Tが当接することで作用点となる被押圧部である。この場合、第2基体20は、支点基体であり、第1基体10は、被押圧基体である。
【0053】
工具Tにより第1分割基体30を押し上げると、第1分割基体30に設けられる粘着マット61が設置体100の底面S1に当接し接合される。突設部26に当接させた工具Tを傾動させて、境界部Bを押圧し、粘着マット61を圧縮した状態で、粘着マット61が底面S1に接合する。また、工具Tの先端が第2基体20に押し付けられるため、粘着マット62は、厚さ方向に圧縮した状態で床面S2に接合される。
【0054】
次に、工具Tにより第1分割基体30を押し上げ、粘着マット61を底面S1に押し付け、且つ粘着マット62を床面S2に押し付けて厚さ方向に圧縮した状態で、第1分割延設部32及び第2分割延設部42に挿通された2つのボルト50を本締めすることにより第1基体10と第2基体20とが相対移動不能となるように本組付けされる。本実施形態では、第1基体10と第2基体20との本組付けは、工具Tの差し込み方向を螺進方向とするボルト50の締結によって実現され、第1基体10と第2基体20との仮組付けは、工具Tの差し込み方向においてボルト50を緩めることにより実現される。これにより、固定体1により設置体100が床面S2に固定される。
【0055】
本実施形態の効果を説明する。
(1)本実施形態では、第2基体20支点基体とし、第1基体10を被押圧基体としている。突設部26を支点とし、且つ境界部Bを作用点とするように工具Tを回動させると、第1基体10は、底面S1に向けて工具Tに押圧され、粘着マット61が底面S1に押し付けられる。また、境界部Bを底面S1に向けて押圧した状態で、工具Tを更に回動させようとすると、第2基体20も床面S2に向けて押圧され、粘着マット62が床面S2に押し付けられる。すなわち、工具Tを用いたてこの原理により粘着マット61を底面S1に強固に接合でき、粘着マット62を床面S2に強固に接合できる。したがって、底面S1及び床面S2に粘着マット61,62を強固に接合できる。
【0056】
(2)突設部26が凸となる段部により構成されているため、工具Tの先端を押し付け易くなる。工具Tを回動させるときに工具Tの先端が滑り難くなるため、工具Tを安定して操作できる。
【0057】
(3)第1面21aにおける工具Tの差し込み方向手前側が平坦面をなしているため、工具Tの差し込みを干渉することなく、工具Tの先端を突設部26に当接させることができる。
【0058】
(4)第1基体10と第2基体20とを相対移動させるときに一対の第2突出部24、一対の第1分割突出部34、及び第2分割本体部41の短縁寄りに位置する第2分割突出部44により、第1基体10と第2基体20とが相対移動する方向を対面方向Aとするように第1基体10及び第2基体20を案内できる。そのため、工具Tにより粘着マット61を底面S1に向けて、粘着マット62を床面S2に向けてより押圧させ易くなる。
【0059】
(5)工具Tの先端を突設部26に当接させるため、工具Tを作業者のみで支える必要がなくなる。すなわち、第1基体10の第1分割基体30を押し上げた状態に維持し易くできる。したがって、第1基体10を第2基体20から引き上げた状態に維持し易くできる。ひいては、第1基体10と第2基体20とを複数のボルト50で本組み付けし易くできるため、第1基体10と第2基体20との固定作業性も向上する。
【0060】
(6)第2突出部24、第1分割突出部34、及び第2分割突出部44は、金属製板状をなす第1基体10及び第2基体20の歪みを抑制するための補強部として機能させることができる。
【0061】
(7)第2突出部24、第1分割突出部34、及び第2分割突出部44により第1基体10及び第2基体20が補強されているため、例えば、第1基体10及び第2基体20を薄くすることが可能となり、固定体1の軽量化を実現できる。ひいては、固定体1の運搬性及び作業性が向上する。
【0062】
(8)第2突出部24、第1分割突出部34、及び第2分割突出部44は、第1基体10と第2基体20との相対移動をガイドする機能と、第1基体10及び第2基体20を補強する機能と、を兼用している。そのため、ガイドする機能を有する構成と、補強する機能を有する構成と、を固定体1に個別に設ける必要がなくなる。
【0063】
(9)当たり合い部46により、第1基体10と第2基体20とを相対移動させ易くなる。よって、第1基体10及び第2基体20の位置調整作業が簡易的になる。また、第1基体10と第2基体20との位置関係が決まったら、ボルト50を本締めするだけで第1基体10と第2基体20とが相対移動不能に固定される。よって、第1基体10及び第2基体20の位置決め作業が簡易的になる。
【0064】
(10)第2突出部24、第1分割突出部34、及び第2分割突出部44は、同一部材を折り曲げるだけで形成できる。よって、簡易的な構成で第1基体10と第2基体20とが相対移動する方向を定めることができる。
【0065】
(11)本実施形態の固定構造において、固定体1は、第1基体10と第2基体20とが相対移動する方向が一方向に限られる構成である。一方向は対面方向Aであるため、第1分割本体部31が底面S1に対して位置ずれし難く、且つ第2基体20が床面S2に対して位置ずれし難い。よって、第1基体10が底面S1から離脱し難くなり、且つ第2基体20が床面S2から離脱し難くなるため、設置体100を安定的に床面S2に固定することができる。
【0066】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
○ 本実施形態において、第2本体部21の短縁寄りに位置する第2突出部24を起立部とする場合、第2突出部24は、第2分割本体部41の短縁寄りに位置する第2分割突出部44の内面の脇に配置してもよい。
【0067】
また、一対の第2突出部24を突条部とする場合であっても、第2分割本体部41の短縁寄りに位置する起立部としての第2分割突出部44を第2本体部21の短縁寄りに位置する第2突出部24の外面の脇に配置してもよい。
【0068】
さらに、一対の第2突出部24を突条部とする場合、一対の第1分割突出部34を起立部としていたが、これに限らず、例えば、第2本体部21の長手方向の中央寄りに位置する第2突出部24の内面の脇に、第2分割板部43から起立する起立部を新たに追加してもよい。
【0069】
図1に示すように、第2分割板部43に形成された全ての挿通孔45を縁取るように起立する環状リブ49を追加してもよい。各環状リブ49は、挿通孔45の長手が延びる方向に延びる一対の壁部49aを有している。第2分割本体部41の長手方向の中央寄りに位置する2つの環状リブ49において、一対の第1分割突出部34に隣り合う壁部49aは、第1分割突出部34に摺接可能に配置されてもよい。これにより、第1分割基体30と第2分割基体40とを相対移動する際に第1分割基体30と第2分割基体40とが相対移動する方向を一方向にするように案内できる。
【0070】
また、上記変更例において、第2分割板部43から起立する起立部を新たに追加する場合、環状リブ49を起立部として採用してもよい。このように変更する場合、第1基体10を第2分割基体40のみで構成し、第2本体部21の長手方向の中央寄りに位置する第2突出部24の内面の脇又は外面の脇に、環状リブ49の壁部49aを配置するとよい。なお、一対の第2突出部24を起立部とする場合、第2分割本体部41の短縁寄りに位置する第2分割突出部44及び環状リブ49の壁部49aを突条部としてもよい。また、一対の第2突出部24を起立部とする場合、1つの第2分割延設部42が有する全ての壁部49aのうち2つを突条部としてもよい。
【0071】
○ 本実施形態では、第2延設部22には、螺着孔25が形成されていたが、例えば、第2延設部22の第2板部23を厚さ方向に貫通する通過孔であってもよい。この場合、ボルト50の先端は、通過孔を通過する。ただし、ボルト50の締め具合により第1基体10と第2基体20との仮組付け及び本組付けを変更するのであれば、通過孔を通過したボルト50の先端が螺着されるナット等の螺着部材を更に備えるとよい。また、当該通過孔は、ボルト50が挿通されるとともに対面方向Aに長手が延びる長孔であってもよい。
【0072】
○ 第2分割延設部42に挿通孔45が設けられ、第2延設部22に螺着孔25が設けられていたが、第2分割延設部42に螺着孔25が設けられ、第2延設部22に挿通孔45が設けられてもよい。すなわち、上記実施形態、上記変更例、及び本変更例によれば、第2延設部22及び第2分割延設部42のいずれか又は両方にボルト50が挿通されるとともに対面方向Aに長手が延びる長孔が形成されるとよい。
【0073】
○ 突設部26の位置を図8に示すように変更してもよい。
図8に示すように、突設部26を対面方向Aにおいて第1分割基体30と重なるように配置されていてもよい。すなわち、複数のボルト50を緩めて、第1基体10と第2基体20とを仮組付けした状態において、第1分割基体30を第2本体部21に向けて移動させると、突設部26は、第1分割基体30と第2本体部21との間に介在され、第1基体10と第2基体20との間に空間が形成される。すなわち、突設部26が工具Tの差し込み空間を形成するように第1基体10と第2基体20との間を離隔させていてもよい。当該空間は、第1分割本体部31と第2基体20との間が、工具Tを差し込むために押し広げる際に工具Tの先端を差し込むきっかけとなる程度に離隔させておけばよい。なお、第1基体10と第2基体20との間を離隔させる構成は、突設部26でなくてもよい。例えば、第2本体部21の第1面21aから突出する突設部26とは異なる凸部を採用してもよい。
【0074】
○ 突設部26の構成を図9のように変更してもよい。
図9に示すように、突設部26は、板状をなしている。突設部26は、第2本体部21の第1長縁から第2本体部21の厚さ方向に延びている。すなわち、突設部26は、第2基体20の第2本体部21の工具Tの差し込み方向の手前側の端縁から設置体100の底面S1に向けて突出形成されていてもよい。このとき、挿入空間Spは、2つの第2分割延設部42と、第1分割本体部31と、2つの第2延設部22と、突設部26の先端とにより囲まれた空間である。
【0075】
このように変更したとき、工具Tを挿入空間Spから挿入して工具Tの先端を第1基体10の第1分割基体30の第2面31bに当接させる。突設部26を支点として工具Tの先端を設置体100の底面S1へと移動するように工具Tを傾動させることにより工具Tの先端が第1分割基体30を第2基体20から離間する方向に押圧し、第1分割基体30が底面S1に向かう方向に付勢可能となる。なお、本変更例において、第1分割基体30における工具Tの先端が当接している部分が、被押圧部である。
【0076】
○ 溝36を割愛し、膨出部37を第1分割本体部31の第2面31bから突出させてもよい。
○ 粘着マット61,63においても、粘着マット62と同様の変更をしてもよい。
【0077】
○ 粘着マット61,62,63は、マジックテープ(登録商標)や接着剤であってもよい。すなわち、第1被固定面側接合部材は、厚さ方向に圧縮変形可能でなくてもよい。
○ 本実施形態において、第1基体10と第2基体20とが相対移動不能となるように本組付けされた状態において、粘着マット61,62,63が圧縮されていなくてもよい。
【0078】
○ 本実施形態において、突設部26は、第1面21aから凸となる段部により構成されていたが、これに限らず、図10のように変更してもよい。
図10に示すように、第2基体20の第2本体部21の第1面21aには、凹となる段部である支点形成部27が形成されていてもよい。
【0079】
○ 第1基体10は、第1分割基体30と、第2分割基体40とを有していたが、例えば、第1分割基体30と第2分割基体40とを一体的に形成してもよい。すなわち、第1基体10と第2基体20とが対面方向Aにおいて離間移動可能に仮組付けされ、相対移動不能となるように本組付け可能であれば、第1基体10の構成は適宜変更してもよい。
【0080】
○ 本実施形態では、第1分割基体30と第2本体部21とが対面方向Aにおいて重なり合うように配置されている。すなわち、第1固定部と第2固定部とが対面方向Aにおいて重合関係なっているため、工具Tは、第1分割基体30と第2本体部21との間に挿入されている。しかし、対面方向Aにおいて第1分割基体30と第2本体部21とが重合関係でなくてもよい。この場合、工具Tを差し込んだときに、設置体100の底面S1と第2基体20との間に工具Tが差し込まれてもよい。
【0081】
○ 第2被固定面の一例を床面S2としたが、例えば、第2被固定面は、机や台座の上面であってもよい。
○ 第1被固定面の一例を設置体100の底面S1、第2被固定面の一例を床面S2としたが、これに限らない。例えば、設置体100を第1設置体とし、第1設置体の下に第2設置体が積層されている状態を想定する。第1設置体の底面を第1被固定面とし、第2設置体の上面を第2被固定面としてもよい。第1被固定面及び第2被固定面は、固定体1による設置体の固定箇所によって適宜変更してもよい。
【0082】
○ 固定体1の設置手順において、床面S2に第2基体20を固定した後、側面S3に第2分割基体40を固定したが、これに限らない。例えば、側面S3に粘着マット63により第2分割基体40を固定した後、床面S2に粘着マット62により第2基体20を固定してもよい。
【0083】
○ 固定体1の設置手順において、床面S2に第2基体20を固定した後、側面S3に第2分割基体40を固定する。その後、第1分割本体部31を底面S1に固定したが、これに限らない。
【0084】
例えば、第2基体20に設けられる粘着マット62を剥離シートで覆った状態で、床面S2に載置し、粘着マット63により第2分割基体40を側面S3に固定した後、第1分割本体部31を粘着マット61により底面S1に固定する。その後、剥離シート付きの粘着マット62から剥離シートを剥がし、床面S2に接合することで第2基体20を床面S2に固定してもよい。このように変更しても、工具Tを回動させることで、第2基体20は、床面S2に向けて押圧され、第1分割本体部31は、底面S1に向けて押圧される。そのため、粘着マット61が底面S1に、粘着マット62が床面S2に強固に接合できる。
【0085】
○ 固定体1の設置手順において、工具Tにより第1分割基体30を押し上げ、粘着マット61により第1分割基体30を底面S1に固定していたが、これに限らない。例えば、第1分割基体30は、作業者の手で持ち上げて底面S1に押し上げられてもよい。そして、粘着マット61により第1分割基体30が底面S1に固定された状態で、粘着マット61の圧縮状態を維持するための工具Tが使用されてもよい。すなわち、工具Tにより粘着マット61が圧縮状態を維持した状態で、ボルト50を本締めすることで第1基体10と第2基体20とを本組み付けするとよい。
【0086】
○ 第1分割基体30を底面S1に固定した後、第2基体20を床面S2に固定するように変更する場合を考える。仮に、第2基体20を床面S2から離間した状態で第1基体10と第2基体20とをボルト50により仮締めして、工具Tにより第2基体20を床面S2に押し下げる設置手順を採用するのであれば、第1基体10が支点基体であり、第2基体20が被押圧基体である。また、境界部Bが支点形成部であり、工具Tの先端が第2基体20を押圧している部分が被押圧部となる。
【0087】
○ 第1基体10は、第1分割基体30と、第2分割基体40とを有していたが、第2分割基体40を割愛し、第1基体10を第1分割基体30のみで構成してもよい。このように変更しても、第1分割基体30を底面S1に固定した後、第2基体20を床面S2に固定してもよいし、第2基体20を床面S2に固定した後、第1分割基体30を底面S1に固定してもよい。
【0088】
また、第1基体10を第1分割基体30のみで構成する場合、第1分割基体30には、第2基体20の第2延設部22と連結される延設部を設けるとよい。そして、第1基体10と第2基体20とが対面方向Aに離間移動可能に仮組付け可能とされるとともに、相対移動不能となるように本組み付け可能となるように第2延設部22と当該延設部とをボルト50により連結するとよい。
【0089】
○ 例えば、第1被固定面を設置体100の上面とし、第2被固定面を設置体100が配置される部屋の天井としてもよい。このように変更する場合、設置体100の上面に粘着マット61を接合し、天井に粘着マット62を接合する。すなわち、上記実施形態と異なり、固定体1が天地逆転して使用される。固定体1が天地逆転して使用される場合、第1分割基体30を設置体100の上面に固定した後、第2基体20を天井に固定する設置手順が採用されると、第1基体10が支点基体となり、第2基体20が被押圧基体となる。また、第1基体10の境界部Bが支点形成部となり、第2基体20が工具Tの先端により押圧される部分が被押圧部となる。
【0090】
また、固定体1が天地逆転して使用される場合、第2基体20を天井に固定した後、第1分割基体30を設置体100の上面に固定する設置手順が採用されると、本実施形態と同じく、第2基体20が支点基体となり、第1基体10が被押圧基体となる。また、突設部26が支点形成部となり、境界部Bが被押圧部となる。
【0091】
図9に示す変更例において、第1分割基体30を底面S1に固定した後、第2基体20を床面S2に固定するように設置手順を変更する場合を考える。仮に、第2基体20を床面S2から離間した状態で第1基体10と第2基体20とをボルト50により仮締めして、工具Tにより第2基体20を床面S2に押し下げる設置手順を採用するのであれば、第1基体10が支点基体となり、第2基体20が被押圧基体となる。また、膨出部37が支点形成部となり、突設部26の先端が被押圧部となる。なお、膨出部37を支点形成部とすることに限らず、第1分割本体部31の第2面31bに、凹又は凸となる段部を新たに追加して当該段部を支点形成部としてもよい。
【0092】
図9に示す変更例において、第1被固定面を設置体100の上面とし、第2被固定面を設置体100が配置される部屋の天井とすることで、固定体1を天地逆転して使用する場合を考える。固定体1が天地逆転して使用される場合、第1分割基体30を設置体100の上面に固定した後、第2基体20を天井に固定する設置手順が採用されると、第1基体10が支点基体となり、第2基体20が被押圧基体となる。また、第1基体10の膨出部37が支点形成部となり、突設部26の先端が被押圧部となる。なお、膨出部37を支点形成部とすることに限らず、第1分割本体部31の第2面31bに、凹又は凸となる段部を新たに追加して当該段部を支点形成部としてもよい。
【0093】
また、固定体1が天地逆転して使用される場合、第2基体20を天井に固定した後、第1分割基体30を設置体100の上面に固定する設置手順が採用されると、図9に示す変更例と同じく、第2基体20が支点基体となり、第1基体10が被押圧基体となる。また、突設部26が支点形成部となり、工具Tの先端が第1基体10を押圧する部分が被押圧部となる。
【0094】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記被押圧基体の前記延設部と前記支点基体の前記延設部のうち一方には、前記対面方向に延びる長孔が形成され、前記被押圧基体の前記延設部と前記支点基体の前記延設部のうち他方には、前記ネジ部材の先端が螺着する螺着孔又は前記ネジ部材の先端が通過する通過孔が形成されていることを特徴とする固定体。
【符号の説明】
【0095】
1…固定体、10…第1基体、20…第2基体、21…第2本体部、22…第2延設部、23…第2板部、24…第2突出部、25…螺着孔、25a…雌ねじ、26…突設部、27…支点形成部、30…第1分割基体、31…第1分割本体部、32…第1分割延設部、33…第1分割板部、34…第1分割突出部、35…螺着孔、36…溝、37…膨出部、40…第2分割基体、41…第2分割本体部、42…第2分割延設部、43…第2分割板部、44…第2分割突出部、45…挿通孔、46…当たり合い部、50…ボルト、61,62,63…粘着マット、T…工具、A…対面方向、B…境界部。
図1
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図10