(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039393
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】遊技球クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
A63F7/02 351
A63F7/02 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144389
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】320002913
【氏名又は名称】株式会社浅間製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 和三
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA96
(57)【要約】 (修正有)
【課題】遊技球の汚れを払拭(除去)する遊技球クリーニング装置を提供する。
【解決手段】遊技球クリーニング装置は、遊技球の一部分に当接するシートと、所定方向に平行にそれぞれ延設された第1ローラー及び第2ローラーであって、所定方向に延びる軸のまわりに回転可能にそれぞれ支持され、それらの外周面が、搬送途中の遊技球のうち、シートとの当接部から見て、シートの帯幅方向に平行な方向における一端側及び他端側に位置する部分にそれぞれ当接するように配置された第1ローラー及び第2ローラーと、第1ローラー及び第2ローラーを軸のまわりに回転させる駆動装置であって、第1ローラー及び第2ローラーの外周面のうち、遊技球との当接部から見てシートとは反対側に位置する部分が遊技球に近づき、遊技球を通過してシート側へ移動するように、第1ローラー及び第2ローラーを互いに反対方向に回転させる駆動装置と、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に直線状に搬送される遊技球の表面に付着した汚れを払拭する遊技球クリーニング装置であって、
前記所定方向に対して平行に延び、前記搬送途中の遊技球に対面している帯状のシートであって、前記遊技球の一部分に当接するシートと、
前記所定方向に平行にそれぞれ延設された第1ローラー及び第2ローラーであって、前記所定方向に延びる軸のまわりに回転可能にそれぞれ支持され、それらの外周面が、前記搬送途中の遊技球のうち、前記シートとの当接部から見て、前記シートの帯幅方向に平行な方向における一端側及び他端側に位置する部分にそれぞれ当接するように配置された第1ローラー及び第2ローラーと、
前記第1ローラー及び前記第2ローラーを前記軸のまわりに回転させる駆動装置であって、前記第1ローラー及び前記第2ローラーの外周面のうち、前記遊技球との当接部から見て前記シートとは反対側に位置する部分が前記遊技球に近づき、前記遊技球を通過して前記シート側へ移動するように、前記第1ローラー及び前記第2ローラーを互いに反対方向に回転させる駆動装置と、
を備えた遊技球クリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技球クリーニング装置において、
前記第1ローラーの回転速度と前記第2ローラーの回転速度が異なる、遊技球クリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球クリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1に記載されているように、所定数の遊技球を備え、それらを循環的に利用する遊技機(封入機)が知られている。この遊技機において、発射装置により、遊技球が遊技盤へ向けて発射される。遊技盤の遊技領域に設けられた入賞口に入った遊技球、遊技領域に到達せず発射装置側へ戻ってきた遊技球など、発射装置から発射されたすべての遊技球は、その遊技機内にて回収されて発射装置に導かれ、再び発射装置によって遊技盤へ向けて発射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
一般に、遊技機(パチンコ機)において、遊技球と遊技盤、役物、各種通路などとが擦れ合うこと、又は遊技球同士が衝突することなどにより生じた微細な粉塵が遊技球の表面に付着する。遊技球に粉塵が付着したままの状態で遊技球が発射され、その遊技球が遊技領域を通過する際、遊技球の粉塵が遊技盤、役物などに付着して、遊技盤、役物などが汚れてしまい、遊技機の美感を損ねる虞がある。とくに、遊技球が循環的に利用される遊技機(封入機)では、上記の問題が顕著になり易い。
【0005】
本発明の目的は、遊技球の汚れを払拭(除去)する遊技球クリーニング装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る遊技球クリーニング装置(1)は、所定方向に直線状に搬送される遊技球‘PB)の表面に付着した汚れを払拭する。遊技球クリーニング装置(1)は、前記所定方向に対して平行に延び、前記搬送途中の遊技球に対面している帯状のシート(23)であって、遊技球の一部分に当接するシートと、前記所定方向に平行にそれぞれ延設された第1ローラー(30)及び第2ローラー(40)であって、前記所定方向に延びる軸のまわりに回転可能にそれぞれ支持され、それらの外周面が、前記搬送途中の遊技球のうち、前記シートとの当接部から見て、前記シートの帯幅方向に平行な方向における一端側及び他端側に位置する部分にそれぞれ当接するように配置された第1ローラー及び第2ローラーと、第1ローラー及び第2ローラーを前記軸のまわりに回転させる駆動装置(60)であって、第1ローラー及び第2ローラーの外周面のうち、遊技球との当接部から見て前記シートとは反対側に位置する部分が遊技球に近づき、遊技球を通過して前記シート側へ移動するように、第1ローラー及び第2ローラーを互いに反対方向に回転させる駆動装置と、を備える。
【0007】
本発明の遊技球クリーニング装置において、遊技球と第1ローラーとが当接した状態(摩擦が生じた状態)で第1ローラーが回転する。よって、遊技球に、第1ローラーとは反対方向の回転力が作用する。一方、遊技球と第2ローラーとが当接した状態(摩擦が生じた状態)で第2ローラーが回転する。よって、遊技球に、第2ローラーと反対方向の回転力が作用する。第1ローラー及び第2ローラーの回転方向が反対であるため、結果として、遊技球をシート側へ押圧する力が生じる(
図10参照)。遊技球がシートに押し付けられた状態(摩擦が生じた状態)で所定方向(シートの延設方向)に搬送されるため、遊技球をシートに沿って転がすように回転させる回転力が作用する(
図11参照)。このように、遊技球は、その搬送途中において、シートに押し付けられながら回転(自転)している。よって、遊技球の一点(及びその近傍)のみがシートに当接し続けるのではなく、より広範囲に亘る部分がシートに当接し、当該部分の汚れがシートによって払拭される。また、シートに当接しない部分の汚れは、第1ローラー及び第2ローラーによって払拭される。すなわち、本発明の遊技球クリーニング装置によれば、遊技球の略全面の汚れを払拭(除去)できる。
【0008】
本発明の一態様に係る遊技球クリーニング装置において、前記第1ローラーの回転速度と前記第2ローラーの回転速度が異なる。
【0009】
例えば、第1ローラーの回転速度が第2ローラーの回転速度より大きい場合、第1ローラーによって生じる回転力が、第2ローラーによって生じる回転力より大きい(
図10参照)。そのため、遊技球には、第1ローラー及び第2ローラーによる回転力の差分としての回転力が作用する。このような回転力が遊技球に付与されながら、遊技球がシートに押し付けられた状態で所定方向に搬送される。第1ローラーと第2ローラーの回転速度が同一である場合の自転軸の方向は、シートの幅方向に対して略平行(シートの延設方向に対して垂直)である。これに対し、第1ローラーと第2ローラーの回転速度が異なる場合には、遊技球の自転軸は、シートの幅方向及びシートの延設方向に対して傾斜している。よって、遊技球の搬送過程において、第1ローラーと第2ローラーの回転速度が異なる場合には、第1ローラーと第2ローラーの回転速度が同一である場合に比べて、遊技球のより広範囲に亘る部分がシートにと当接し、当該部分の汚れがシートによって払拭される。すなわち、本態様に係る遊技球クリーニング装置によれば、遊技球の略全面の汚れを、シートによって払拭できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る遊技球クリーニング装置が適用された遊技機(パチンコ機)の斜視図である。
【
図3】遊技球クリーニング装置の分解斜視図である。
【
図5】不織布カセットを着脱する過程を示す斜視図である。
【
図10】第1ローラー、第2ローラー、スパイラルシャフトの中心軸の延設方向に対して垂直な断面図である。
【
図11】スパイラルシャフトの中心軸に対して平行な断面図である。
【
図12】不織布カセット20、第1ローラー及び第2ローラーを含むユニットを交換する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る遊技球クリーニング装置1について説明する。まず、遊技球クリーニング装置1が適用された遊技機としてのパチンコ機PMの概略について説明しておく。パチンコ機PMは、
図1に示すように、鉛直方向に延びる略直方体状の装置である。以下の説明において、パチンコ機PMの高さ方向(鉛直方向)を上下方向と呼ぶ。また、パチンコ機PMの幅方向を左右方向と呼び、パチンコ機PMの奥行き方向を前後方向と呼ぶ。
【0012】
パチンコ機PMは、同図に示すように、遊技盤BD、発射装置BSなどを備える。遊技盤BDは、上下方向に延びる略長方形の板状部材である。遊技盤BDは、遊技者に対向するように配置されている。すなわち、遊技盤BDの板厚方向が前後方向に一致している。
【0013】
発射装置BSは、遊技盤BDの下方に配置されている。発射装置BSは、遊技球PB(
図9参照)を1球ずつ遊技盤BDへ向けて発射する。この発射装置BSの近傍に、本実施形態の遊技球クリーニング装置1(
図2参照)が配置される。
【0014】
つぎに、遊技球クリーニング装置1の構成について説明する。遊技球クリーニング装置1は、フレーム10、不織布カセット20、第1ローラー30、第2ローラー40、スパイラルシャフト50、駆動装置60及びカバー70を備える(
図3、
図8などを参照)。
【0015】
フレーム10は、後述する不織布カセット20、第1ローラー30、第2ローラー40、スパイラルシャフト50及び駆動装置60を支持する支持部材である。フレーム10は、上下方向に延設されている。フレーム10は、合成樹脂製である。フレーム10の各部が別部品として製造され、それらが組み合わせられて、フレーム10が形成されている。フレーム10は、2つのブロック(カセット支持部11及び軸支持部12)を有する(
図6参照)。フレーム10の各部の構成については、後述する支持対象の部品(第1ローラー30、第2ローラー40、スパイラルシャフト50など)の説明に併せて説明する。
【0016】
不織布カセット20は、カセットケース21、ボビン22、不織布23及びカバー24を備える(
図4参照)。カセットケース21は、上下方向に延設された薄型の箱状部材であり、その厚さ方向が左右方向に対して平行である。ボビン22は、上下一対の上側ボビン221及び下側ボビン222から構成されている。ボビン22は、カセットケース21の内部に収容されている。上側ボビン221及び下側ボビン222は、左右方向に延びる回転軸を有し、その回転軸のまわりに回転可能に、カセットケース21に支持されている。不織布23は、細い帯状部材である。不織布23の帯幅は、遊技球PB(
図9参照)の直径の半分程度である。不織布23の一端が上側ボビン221に固定され、他端が下側ボビン222に固定されている。カセットケース21の前端の上部及び下部から、不織布23の中間部(上側ボビン221と下側ボビン222との間の部分)が引き出されている。カセットケース21の前部には、上下方向に延びる不織布支持部21aが設けられている。不織布支持部21aは、軟質材(例えば、スポンジ)で構成されている。不織布支持部21aの前面に不織布23が沿って上下方向に張られる(不織布23に、ある程度の張力が作用した状態になる)ように、不織布23の余長部分が上側ボビン221に巻き取られている。
【0017】
カバー24は、カセットケース21の後部に取り付けられて、ボビン22の後方の部分を覆う。カバー24の後部の下側の角部に切り欠きが設けられていて、この切り欠きから、下側ボビン222の一部が露出している。この下側ボビン222の露出部を手で押して、カセットケース21の右方から見て反時計まわり方向へ下側ボビン222を回転させることにより、不織布支持部21aの前面に位置していた部分(不織布23の中間部)が下側ボビン222に巻き取られるとともに、上側ボビン221に巻き取られていた部分が、不織布支持部21aの前面へ引き出される。また、カセットケース21は、ボビン22の一定方向(右方から見て反時計まわり方向)への回転のみを許容する、図示しないラッチ機構を備える。このラッチ機構は、例えば、ボビン22を所定の回転角度ずつ回転させるごとに下側ボビン222に係止される爪を含む。
【0018】
上記の不織布カセット20は、フレーム10のカセット支持部11の後面部に着脱可能である(
図5参照)。カセット支持部11は、上下方向に延び、且つ後方へ開放された略長方形の箱状部である。すなわち、カセット支持部11は、前板111、底板112及び左右一対の側板113を有する(
図5及び
図6参照)。前板111には、上下方向に延びる長方形を呈する。前板111は、上下方向に延びる開口部OPを有する。開口部OPは、前板111を前後方向に貫通している(
図6参照)。すなわち、カセット支持部11の前板111は、上下方向に延びる長方形の枠状を呈する。底板112は、前板111の下側の辺から後方へ延設されている(
図5参照)。側板113,113は、前板111の左右の辺から後方へそれぞれ延設されている。前板111、底板112及び左右一対の側板113によって囲まれた空間に不織布カセット20が収容される。
【0019】
不織布カセット20がカセット支持部11に取り付けられた状態で、不織布支持部21aの前面に張られた不織布23が、開口部OP内に位置している(
図10参照)。
【0020】
第1ローラー30及び第2ローラー40の構成は同一である。第1ローラー30及び第2ローラー40は、上下方向に延びる丸棒状の軸部Sと、その外周面に沿って螺旋状に巻きまわされた細いブラシBを備える(
図7参照)。ブラシBは、軸部Sに固定されている。
【0021】
スパイラルシャフト50は、上下方向に延びる軸部材である。スパイラルシャフト50の外周面には、上下方向に延びる螺旋状の溝部51が形成されている。溝部51の溝幅は、遊技球PBの直径より少し大きい。溝部51の溝深さは、遊技球PBの直径より小さい。スパイラルシャフト50は、第1ローラー30及び第2ローラー40より少し長い。
【0022】
第1ローラー30及び第2ローラー40は、歯車31及び歯車41を含む。歯車31及び歯車41は、平歯車である。第1ローラー30及び第2ローラー40の上部に、歯車31及び歯車41がそれぞれ取り付けられている。また、スパイラルシャフト50は、上側歯車52及び下側歯車53を含む。上側歯車52及び下側歯車53は、平歯車である。スパイラルシャフト50の上部及び下部に、上側歯車52及び下側歯車53がそれぞれ取り付けられている。
【0023】
第1ローラー30及び第2ローラー40、並びにスパイラルシャフト50が、それらの中心軸のまわりに回転可能なように、それらの上端部及び下端部が、フレーム10の軸支持部12に、それぞれ支持されている。軸支持部12は、上側軸支持部121と下側軸支持部122を備える(
図6参照)。上側軸支持部121及び下側軸支持部122は、カセット支持部11の前面よりも前方へ突出している。
【0024】
上側軸支持部121は、カセット支持部11の上方(開口部OPの上端よりも上方)にて前方へ突出した鍔状部である。その下面には、第1ローラー30、第2ローラー40及びスパイラルシャフト50にそれぞれ対応した凹部R1,R2,RSが設けられている(
図7参照)。第1ローラー30、第2ローラー40及びスパイラルシャフト50の上端部が、凹部R1,R2,RSに挿入されている。
【0025】
下側軸支持部122は、カセット支持部11の下部に設けられている(
図6参照)。下側軸支持部122は、第1ローラー30及び第2ローラー40にそれぞれ対応した溝形部G1,G2、及びスパイラルシャフト50に対応した溝形部GSを有する(
図8参照)。溝形部G1,G2は、開口部OPの右側及び左側の壁部の下端部付近にて、前後方向に延設されていて、上方へ開放されるとともに、それらの前端が前方へ開放されている。第1ローラー30及び第2ローラー40の下端部が、溝形部G1,G2にそれぞれ挿入されている。溝形部GSは、開口部OPの下方にて、前後方向に延設されていて、上方へ開放されるとともに、その前端が前方へ開放されている。スパイラルシャフト50の下端部が、溝形部GSに挿入されている。
【0026】
なお、後述するカバー70がフレーム10に取り付けられることにより、溝形部G1,G2,GSの前端がカバー70によって閉じられる。これにより、第1ローラー30、第2ローラー40及びスパイラルシャフト50の下端部が、溝形部G1,G2,GSから前方へ抜け出ることが防止される。
【0027】
スパイラルシャフト50の上側歯車52は、第1ローラー30の歯車31に直接的に噛み合っている。ここで、フレーム10は、歯車Gaを含む。歯車Gaは、上側軸支持部121の下面に取り付けられている(
図7参照)。歯車Gaは、上下方向に延びる回転軸のまわりに回転可能に支持されている。スパイラルシャフト50の上側歯車52は、歯車Gaを介して、第2ローラー40の歯車41に噛み合っている。
【0028】
駆動装置60は、電動モーター61及び減速装置62を備える(
図3参照)。駆動装置60は、フレーム10の下短部の後面側に配置されている。電動モーター61は、周知の直流モーターである。減速装置62は、複数の歯車621及びフレーム622を備える。フレーム622は、薄型の箱状部材である。フレーム622の上面が上方へ向けられている。フレーム622内に複数の歯車621が収容されている。電動モーター61は、フレーム622の上面に固定されている。電動モーター61の出力軸が下方へ向けられている。フレーム622の上面には、図示しない貫通孔が設けられていて、この貫通孔に、電動モーター61の出力軸が挿入されている。電動モーター61の出力軸に、減速装置62の初段の歯車621が取り付けられている。減速装置62の最終段の歯車621が、スパイラルシャフト50の下側歯車53に噛み合っている。
【0029】
カバー70は、フレーム10の前面に取り付けられて、第1ローラー30、第2ローラー40、スパイラルシャフト50などを覆う(
図3参照)。
【0030】
また、フレーム10は、汚れが付着した遊技球PBを内部(スパイラルシャフト50の下端部)へ導くための導入路14、及び汚れが払拭された遊技球PBを発射装置BSへ向けて送り出すための排出路15を備える(
図2及び
図9参照)。導入路14は、フレーム10の下端部に設けられている。導入路14は、スパイラルシャフト50の溝部51の下端部のうちの後方へ向けられた部分(溝部51とカセット支持部11の下端部との間)へ向かって直線状に延設されている。導入路14の始端(入り口)が右側に位置し、その終端が左側に位置していて、且つ終端側が始端側より下方に位置するように傾斜している。排出路15は、フレーム10のカセット支持部11の上端部(開口部OPと上側軸支持部121との間)に設けられている。排出路15の始端は、スパイラルシャフト50の溝部51の上端部の後方に位置している。排出路15は、その始端から左方へ向かって延び、さらに前方へ向かって湾曲している。排出路15の終端は、前方且つ右方へ向けられている。
【0031】
発射装置BSから発射された全ての遊技球PBが回収されて、遊技球クリーニング装置1へ導かれる。それらの遊技球PBが、導入路14の始端から導入路14の終端(溝部51の下端部)へ至る。スパイラルシャフト50は、上方から見て(
図10において)、駆動装置60により、反時計まわり方向に回転駆動されている。よって、遊技球PBは、上方へ搬送される。なお、遊技球PBがスパイラルシャフト50の周方向へ移動することを防止するためのガイド部111aがフレーム10に設けられている(
図10参照)。
【0032】
遊技球PBが上昇し、開口部OPの下端部の前方に至る。ここで、上記のように、上側歯車52は、歯車31に直接的に噛み合っている。したがって、第1ローラー30は、スパイラルシャフト50の回転とは反対方向に回転している。上側歯車52は、歯車Gaを介して、歯車41に噛み合っている。したがって、第2ローラー40は、スパイラルシャフト50の回転方向と同一方向に回転している。すなわち、遊技球PBの搬送方向における終端側(上側)から見て、第1ローラー30は、時計まわり方向へ回転し、第2ローラー40は、反時計まわり方向へ回転している。言い換えれば、第1ローラー30及び第2ローラー40の外周面のうち、遊技球PBとの当接部から見て不織布23とは反対側に位置する部分(例えば、前方へ向けられている部分)が遊技球PBに近づき、遊技球PBを通過して不織布23側へ移動するように、第1ローラー30及び第2ローラー40が回転している。
【0033】
また、上記のように、溝部51の溝深さが、遊技球PBの直径より小さく設定されている。したがって、遊技球PBがスパイラルシャフト50の溝部51内に進入した状態において、遊技球PBの一部が露出(溝部51の外側へ突出)している。この露出部に、第1ローラー30及び第2ローラー40の外周面(ブラシB)が当接し、これらの当接部に摩擦が生じている。遊技球PBと第1ローラー30とが当接した状態(摩擦が生じた状態)で第1ローラー30が回転する。よって、遊技球PBに、第1ローラー30の回転とは反対方向の回転力F1
CCWが作用する。一方、遊技球PBと第2ローラー40とが当接した状態(摩擦が生じた状態)で第2ローラー40が回転する。よって、遊技球PBに、第2ローラー40と反対方向の回転力F1
CWが作用する。回転力F1
CCWと回転力F1
CWの方向が反対であるため、結果として、遊技球PBを不織布23側へ押圧する(後方へ押し出す)力F
pが生じる(
図10参照)。なお、上記のように、不織布支持部21aが軟質材で構成されているため、遊技球PBが不織布23に押し付けられることにより、不織布23及び不織布支持部21aが、遊技球PBの面に沿うように変形する。すなわち、遊技球PBと不織布23とが点接触するのではなく、面接触している。
【0034】
遊技球PBが不織布に押し付けられた状態で上方へ搬送されるため、遊技球PBに、右方から見て時計まわり方向の回転力F2(不織布23に沿って転がす回転力)が作用する(
図11参照)。また、上記のように、遊技球PBには、回転力F1
CCW及び回転力F1
CWが作用している。ここで、第1ローラー30の回転速度が第2ローラー40の回転速度よりも大きく設定されているため、第1ローラー30によって生じる回転力F1
CCWの方が第2ローラー40によって生じる回転力F1
CWより大きい。そのため、遊技球PBには、第1ローラー30及び第2ローラー40による回転力の差分としての回転力であって、上方から見て反時計まわり方向へ向かう回転力ΔF1(=F1
CCW-F1
CW)が作用する(
図10参照)。このように、遊技球PBは、その搬送途中において、不織布23に押し付けられながら、
図10及び
図11に示した回転力(回転力ΔF1及び回転力F2の合力)の作用によって回転(自転)している。よって、遊技球PBが不織布の上端に至った時点では、遊技球PBの略全面の汚れが不織布23及びブラシBによって払拭(除去)されている。その後、遊技球PBは、排出路15を通って、遊技球クリーニング装置1から排出される。上記のように、遊技球クリーニング装置1によれば、遊技球PBの略全面の汚れを払拭(除去)できる。
【0035】
なお、本実施形態では、第1ローラー30及び第2ローラー40は、軸部Sの周りに巻きまわされたブラシBを有し、ブラシBが遊技球PBに当接している。そのため、遊技球PBの上下方向の位置、及び第1ローラー30及び第2ローラー40の回転位置に応じて、ブラシBと遊技球PBとの摩擦力が少し変化する。よって、回転力F1CCW及び回転力F1CWは、一定ではなく、少し変化する。そのため、遊技球PBの搬送過程における自転軸の方向は一定ではなく、少し変動する。このように、遊技球PBの動きが複雑であり、このような複雑な動きにより、遊技球PBの汚れが、より一層払拭され易くなっている。
【0036】
また、本実施形態では、1つの駆動装置60を用いて、スパイラルシャフト50、第1ローラー30及び第2ローラー40を駆動している。したがって、これらの軸部材を個別に駆動する場合に比べて、装置を小型化できる。
【0037】
なお、定期的(例えば、1日に1回程度)にボビン22を手動で回転させて、不織布の汚れた部分を巻き取り、不織布の未使用部分を開口部OP内に配置することができる。また、ボビンを回転させるための電動モーター及びその制御装置を備え、一定時間が経過するごと、又は所定の時刻に、前記制御装置が、前記電動モーターを駆動してボビン22を回転させて、不織布の未使用部分を開口部OP内に配置するようにしてもよい。また、カバー70をフレーム10から取り外した状態で、フレーム10の前面側から、第1ローラー30及び第2ローラー40を簡単に交換することができる。また、
図12に示すように、フレーム10が、その前半部と後半部に分割可能に構成され、フレーム10の後半部に支持されている不織布カセット20、第1ローラー30及び第2ローラー40を含むユニット全体を交換可能である。
【0038】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0039】
例えば、第1ローラー30の回転速度と第2ローラー40の回転速度が同一であってもよい。この場合、1ローラー30による回転力F1
CCW及び第2ローラー40による回転力F1
CWが同一である。すなわち、上方から見て時計まわり方向又は反時計まわり方向へ回転させる回転力ΔF1は「0」であるが、遊技球PBが左右から同一の力で不織布23側へ押圧される。すなわち、遊技球PBには、
図11に示す回転力F2が作用する。よって、遊技球PBは、その搬送過程において、左右方向に延びる軸のまわりに回転(自転)する。そのため、遊技球PBの左右方向における中央部の汚れのみが、不織布23によって払拭(除去)され、それ以外の部分の汚れは、第1ローラー30及び第2ローラー40のブラシBによって除去される。
【0040】
また、上記実施形態において、主に、不織布23を用いて、遊技球PBの汚れを払拭しているが、これに代えて、シート状部材(例えば、紙)などを用いてもよい。また、第1ローラー30及び第2ローラー40のブラシBに代えて、軟質部材(例えば、スポンジ)を用いてもよい。
【0041】
また、上記実施形態において、スパイラルシャフト50並びに第1ローラー30及び第2ローラー40を1つの駆動装置60を用いて駆動している。これに代えて、スパイラルシャフト50並びに第1ローラー30及び第2ローラー40を個別に駆動する駆動装置をそれぞれ用いてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…遊技球クリーニング装置、10…フレーム、11…カセット支持部、12…軸支持部、14…導入路、15…排出路、20…不織布カセット、21…カセットケース、22…ボビン、23…不織布、30…第1ローラー、31…歯車、41…歯車、50…スパイラルシャフト、51…溝部、52…上側歯車、53…下側歯車、60…駆動装置、61…電動モーター、62…減速装置、70…カバー、121…上側軸支持部、122…下側軸支持部、B…ブラシ、G1,G2,GS…溝形部、111a…ガイド部、OP…開口部、PB…遊技球、PM…パチンコ機