(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039408
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】電力供給装置、及び電力供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220303BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220303BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20220303BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20220303BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20220303BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20220303BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H01M10/48 P
B60L53/53
B60L53/30
B60L53/66
B60L53/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144412
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】脇阪 伸也
(72)【発明者】
【氏名】山口 敦
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA02
5G503BA07
5G503BB01
5G503DA07
5G503DA18
5G503FA06
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
5H030AS08
5H030FF41
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H125AA13
5H125AC12
5H125AC23
5H125BE02
5H125CC06
5H125DD02
5H125EE27
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】他の電力供給装置との間で蓄電装置の電力を共有することができる電力供給装置、及び電力供給システムを提供することである。
【解決手段】電力供給装置10は、車両に電力を出力する電力供給装置10であって、系統電源SPから出力される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換回路30aと、双方向DC/DC変換回路60と、双方向DC/DC変換回路60の第1の入出力端61とAC/DC変換回路30aの第2端32aとを接続する第2の電力線L2と、蓄電装置70と、他の電力供給装置20における他のAC/DC変換回路30bの第2端32bに接続されるバイパス線LBと、第2の電力線L2とバイパス線LBとに設けられ第1の入出力端61とAC/DC変換回路30aの第2端32a又は他のAC/DC変換回路30bとを非接続又は接続に切替可能とする切替部SW1と制御部80とを有し、制御部80は、切替部SW1を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に電力を出力する電力供給装置であって、
系統電源に電気的に接続される第1の電力線と、
前記第1の電力線に設けられ、第1端と第2端とを有し、前記系統電源から前記第1端に出力された交流電力を直流電力に変換して前記第2端に出力するAC/DC変換回路と、
第1の入出力端と第2の入出力端とを有し、前記第2端から前記第1の入出力端に出力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して前記第2の入出力端に出力するとともに、前記第2の入出力端に入力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して前記第1の入出力端に出力する双方向DC/DC変換回路と、
前記第1の入出力端と前記AC/DC変換回路の前記第2端とを電気的に接続する第2の電力線と、
前記第2の入出力端に電気的に接続される蓄電装置と、
前記系統電源から出力される交流電力を直流電力に変換する他の電力供給装置に電気的に接続されるバイパス線と、
前記第2の電力線と前記バイパス線とに設けられ、前記第1の入出力端と前記第2端との電気的な接続と非接続を切り替えるとともに、前記バイパス線と前記第1の入出力端との電気的な接続と非接続を切り替える切替部と、
前記AC/DC変換回路と前記双方向DC/DC変換回路と前記切替部とを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記バイパス線と前記第1の入出力端とが電気的に接続されるように前記切替部を制御する場合、前記第1の入出力端と前記第2端とが非接続となるように前記切替部を制御する、
電力供給装置。
【請求項2】
前記車両から当該車両が有する車両用蓄電装置に関する情報を取得する取得部と、
前記車両用蓄電装置に関する情報に基づいて必要供給電力を決定する必要供給電力決定部と、
前記AC/DC変換回路が出力可能な最大出力電力と、前記必要供給電力とを比較する比較部と、前記他の電力供給装置が前記蓄電装置からの電力供給を必要とするか否かを判定するとともに前記蓄電装置が使用可能か否かを判定する判定部と、を有し、
前記制御部は、前記判定部によって前記他の電力供給装置が前記蓄電装置からの電力供給を必要とすると判定され、かつ、前記蓄電装置が使用可能と判定された場合、前記バイパス線と前記第1の入出力端とが電気的に接続されるように前記切替部を制御する、
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
車両へ電力を供給する電力供給システムであって、
系統電源から出力される交流電力を直流電力に変換する第1の電力供給装置と、
前記系統電源から出力される交流電力を直流電力に変換する第2の電力供給装置と、
前記第1の電力供給装置、及び前記第2の電力供給装置を制御する制御部と、
を有し、
前記第1の電力供給装置は、
前記系統電源に電気的に接続される第1の電力線と、
前記第1の電力線に設けられ、第1端と第2端とを有し、前記系統電源から前記第1端に出力された交流電力を直流電力に変換して前記第2端に出力する第1のAC/DC変換回路と、
第1の入出力端と第2の入出力端とを有し、前記第2端から前記第1の入出力端に出力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して前記第2の入出力端に出力するとともに、前記第2の入出力端に入力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して前記第1の入出力端に出力する双方向DC/DC変換回路と、
前記第1の入出力端と前記第1のAC/DC変換回路の前記第2端とを電気的に接続する第2の電力線と、
前記第2の入出力端に電気的に接続される蓄電装置と、
前記第2の電力供給装置に電気的に接続されるバイパス線と、
前記第2の電力線と前記バイパス線とに設けられ、前記第1の入出力端と前記第2端との電気的な接続と非接続を切り替えるとともに、前記バイパス線と前記第1の入出力端との電気的な接続と非接続を切り替える切替部と、を有し、
前記制御部は、前記バイパス線と前記第1の入出力端とが電気的に接続されるように前記切替部を制御する場合、前記第1の入出力端と前記第2端とが電気的に非接続となるように切替部を制御し、
前記第2の電力供給装置は、前記系統電源から出力される交流電力を直流電力に変換する第2のAC/DC変換回路を有し、
前記第2の電力供給装置から前記車両に電力を供給するパターンは、
前記第2のAC/DC変換回路によって変換された直流電力のみが供給される第1のパターンと、
前記第2のAC/DC変換回路によって変換された直流電力と前記バイパス線を介して供給される前記蓄電装置からの直流電力との合成電力が供給される第2のパターンと、
前記バイパス線を介して供給される前記蓄電装置からの直流電力のみを供給する第3のパターンと、である
電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置、及び電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に備えられるバッテリ等の負荷に電力を供給する技術として、系統電源から供給される電力を変換し、負荷に供給する電力変換回路を備える電力変換装置が知られている。これに関連して、蓄電装置と、系統電源から供給される電力を変換して蓄電装置に供給する電力変換回路と、蓄電装置と系統電源から供給される電力を変換して負荷に供給する電力変換回路とを備える電力供給装置が知られている(例えば、特許文献1)。この電力供給装置は、蓄電装置を備えていない電力供給装置に比して負荷に大きな電力を供給することができるいわゆる急速充電タイプの電力供給装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
急速充電タイプの電力供給装置は、蓄電装置を別途備える必要があるため、通常の電力供給装置よりも大型で高額である。工場や給電エリアのように複数台の電力供給装置を所定エリアに設置する場合があるが、複数の電力供給装置で急速充電できるようにするためには、複数台急速充電タイプの電力供給装置を設置する必要があり、設置コストが高い問題や設置スペースの確保の問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、蓄電装置を有する電力供給装置の蓄電装置を他の電力供給装置と共用することができる電力供給装置、及び当該電力供給装置を有する電力供給システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する電力供給装置は、車両に電力を出力する電力供給装置であって、系統電源に電気的に接続される第1の電力線と、前記第1の電力線に設けられ、第1端と第2端とを有し、前記系統電源から前記第1端に出力された交流電力を直流電力に変換して前記第2端に出力するAC/DC変換回路と、第1の入出力端と第2の入出力端とを有し、前記第2端から前記第1の入出力端に出力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して前記第2の入出力端に出力するとともに、前記第2の入出力端に入力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して前記第1の入出力端に出力する双方向DC/DC変換回路と、前記第1の入出力端と前記AC/DC変換回路の前記第2端とを電気的に接続する第2の電力線と、前記第2の入出力端に電気的に接続される蓄電装置と、前記系統電源から出力される交流電力を直流電力に変換する他の電力供給装置に電気的に接続されるバイパス線と、前記第2の電力線と前記バイパス線とに設けられ、前記第1の入出力端と前記第2端との電気的な接続と非接続を切り替えるとともに、前記バイパス線と前記第1の入出力端との電気的な接続と非接続を切り替える切替部と、前記AC/DC変換回路と前記双方向DC/DC変換回路と前記切替部とを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記バイパス線と前記第1の入出力端とが電気的に接続されるように前記切替部を制御する場合、前記第1の入出力端と前記第2端とが非接続となるように前記切替部を制御するものである。
【0007】
かかる構成によれば、蓄電装置を有する電力供給装置の蓄電装置を他の電力供給装置と共用することができる電力供給装置を提供することができる。また、他の電力供給装置に電気的に接続されるバイパス線及びAC/DC変換回路に電気的に接続される第1の入出力端と、蓄電装置に電気的に接続される第2の入出力端とを有する双方向DC/DC変換回路を有しているため、1つの双方向DC/DC変換回路で電力供給装置と他の電力供給装置の双方に蓄電装置からの出力電力を供給することができる。さらに、バイパス線と第1の入出力端とが電気的に接続されるように切替部を制御する場合、第1の入出力端と第2端とが非接続となるように切替部は制御されるため、バイパス線や第2の電力線を介してAC/DC変換回路が他の電力供給装置と電気的に接続されることがなく、他の電力供給装置によるAC/DC変換回路への影響を抑制することができる。
【0008】
上記目的を達成する電力供給装置は、前記車両から当該車両が有する車両用蓄電装置に関する情報を取得する取得部と、前記車両用蓄電装置に関する情報に基づいて必要供給電力を決定する必要供給電力決定部と、前記AC/DC変換回路が出力可能な最大出力電力と、前記必要供給電力とを比較する比較部と、前記他の電力供給装置が前記蓄電装置からの電力供給を必要とするか否かを判定するとともに前記蓄電装置が使用可能か否かを判定する判定部と、を有し、前記制御部は、前記判定部によって前記他の電力供給装置が前記蓄電装置からの電力供給を必要とすると判定され、かつ、前記蓄電装置が使用可能と判定された場合、前記バイパス線と前記第1の入出力端とが電気的に接続されるように前記切替部を制御するものであってもよい。
【0009】
かかる構成によれば、蓄電装置を有する電力供給装置において蓄電装置を使用しない場合にのみ、蓄電装置からの電力を他の電力供給装置に供給することができる。
上記目的を達成する電力供給システムは、車両へ電力を供給する電力供給システムであって、系統電源から出力される交流電力を直流電力に変換する第1の電力供給装置と、前記系統電源から出力される交流電力を直流電力に変換する第2の電力供給装置と、前記第1の電力供給装置、及び前記第2の電力供給装置を制御する制御部と、有し、前記第1の電力供給装置は、前記系統電源に電気的に接続される第1の電力線と、前記第1の電力線に設けられ、第1端と第2端とを有し、前記系統電源から前記第1端に出力された交流電力を直流電力に変換して前記第2端に出力する第1のAC/DC変換回路と、第1の入出力端と第2の入出力端とを有し、前記第2端から前記第1の入出力端に出力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して前記第2の入出力端に出力するとともに、前記第2の入出力端に入力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して前記第1の入出力端に出力する双方向DC/DC変換回路と、前記第1の入出力端と前記第1のAC/DC変換回路の前記第2端とを電気的に接続する第2の電力線と、前記第2の入出力端に電気的に接続される蓄電装置と、前記第2の電力供給装置に電気的に接続されるバイパス線と、前記第2の電力線と前記バイパス線とに設けられ、前記第1の入出力端と前記第2端との電気的な接続と非接続を切り替えるとともに、前記バイパス線と前記第1の入出力端との電気的な接続と非接続を切り替える切替部と、を有し、前記制御部は、前記バイパス線と前記第1の入出力端とが電気的に接続されるように前記切替部を制御する場合、前記第1の入出力端と前記第2端とが電気的に非接続となるように切替部を制御し、前記第2の電力供給装置は、前記系統電源から出力される交流電力を直流電力に変換する第2のAC/DC変換回路を有し、前記第2の電力供給装置から前記車両に電力を供給するパターンは、前記第2のAC/DC変換回路によって変換された直流電力のみが供給される第1のパターンと、前記第2のAC/DC変換回路によって変換された直流電力と前記バイパス線を介して供給される前記蓄電装置からの直流電力との合成電力が供給される第2のパターンと、前記バイパス線を介して供給される前記蓄電装置からの直流電力のみを供給する第3のパターンと、である。
【0010】
かかる構成によれば、第1の電力供給装置の蓄電装置を第2の電力供給装置と共用することができる電力供給システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、蓄電装置を有する電力供給装置の蓄電装置を他の電力供給装置と共用することができる電力供給装置、及び当該電力供給装置を有する電力供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】電力供給システム1の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
[全体構成]
図1に示すように、電力供給システム1は、第1の電力供給装置10と、一以上の第2の電力供給装置20とを備える。電力供給システム1は、系統電源SPから出力される交流電力を第1の電力供給装置10、及び第2の電力供給装置20により直流電力に変換して出力し、車両90に電力を供給するシステムである。車両90は、第1の電力供給装置10、又は一以上の第2の電力供給装置20の中から任意の電力供給装置を選択し、電力の供給を受ける。以下、電力供給システム1が第2の電力供給装置20を一つ備え、第1の電力供給装置10と第2の電力供給装置20とには、それぞれ車両90が接続線CBを介して接続される場合について説明する。本実施形態において、第1の電力供給装置10は、「電力供給装置」の一例であり、第2の電力供給装置20は、「他の電力供給装置」の一例である。なお、本発明における「電気的に接続」とは、別部材を介して間接的に接続されるものも別部材を介さず直接接続されるものも含むものとする。
【0014】
車両90は、例えば、車両用蓄電装置91と、車両ECU92とを備える。車両90は、例えば、フォークリフトやトーイングトラクタ等の産業車両であってもよいし、乗用車であってもよい。車両用蓄電装置91は、例えば二次電池や電気二重層キャパシタなどである。車両ECU92は、車両90の動作に係る制御や、車両用蓄電装置91の充電に関する制御を行うものである。車両ECU92は、第1の電力供給装置10と通信を行うことにより、第1の電力供給装置10に対して車両用蓄電装置91に関する情報を送信する。車両用蓄電装置91に関する情報は、車両用蓄電装置91の状態を把握できる情報であればよく、例えば、車両用蓄電装置91が必要とする電力量、車両用蓄電装置91の充電状態(例えば、SOC(State Of Charge))を示す情報、車両用蓄電装置91の充電可能時間を示す情報、あるいは、これらの組み合わせを挙げることができる。
【0015】
以降の説明において、第1の電力供給装置10に接続される車両90を「車両90-1」と記載し、第2の電力供給装置20に接続される車両90を「車両90-2」と記載する。また、車両90-1と、車両90-2とを互いに区別しない場合には、単に「車両90」と記載する。
【0016】
次に、第1の電力供給装置10と、第2の電力供給装置20とが備える各構成について説明する。本実施形態の第1の電力供給装置10と、第2の電力供給装置20とは、一部共通の構成を備える。以降の説明において、第1の電力供給装置10と第2の電力供給装置20とが同様に備える構成のうち、第1の電力供給装置10が備える構成については、符号の末尾に「a」を付し、第2の電力供給装置20が備える構成については、符号の末尾に「b」を付して説明する。
【0017】
第1の電力供給装置10は、AC/DC変換回路30aと、コンデンサ40aと、DC/DC変換回路50aと、双方向DC/DC変換回路60と、蓄電装置70と、第1の制御部80と、第1の電力線L1aと、第2の電力線L2と、バイパス線LBと、接続線CBaと、給電コネクタPCaと、切替部SW1を備える。第2の電力供給装置20は、AC/DC変換回路30bと、コンデンサ40bと、DC/DC変換回路50aと、第2の制御部85と、第1の電力線L1bと、接続線CBbと、給電コネクタPCbとを備える。
【0018】
第1の電力線L1a(L1b)は、系統電源SPに電気的に接続されている。第1の電力線L1a(L1b)は、第11配線L11a(L11b)と第12配線L12a(L12b)とを備えている。AC/DC変換回路30a(30b)は、第1の電力線L1に設けられている。AC/DC変換回路30は、第11配線L11a(L11b)と接続される第1端31a(31b)と、第12配線L12a(L12b)と接続される第2端32a(32b)とを備える。AC/DC変換回路30a(30b)は、系統電源SPから第1端31a(31b)に出力された交流電力を直流電力に変換して第2端32a(32b)に出力する。AC/DC変換回路30a(30b)は、系統電源SPから出力される交流電力を所望の電圧の直流電力に変換できればどのような構成のものであってもよい。例えば、AC/DC変換回路30a(30b)は、第2端32a(32b)に入力された直流電力を交流電力に変換して第1端31a(31b)に出力できるものであってもよい。コンデンサ40a(40b)は、第12配線L12a(L12b)に設けられている。コンデンサ40a(40b)は、AC/DC変換回路30a(30b)から出力される電力を平滑化するための平滑コンデンサである。本実施形態の第1の電力供給装置10及び第2の電力供給装置20は、コンデンサ40a(40b)を有しているが、コンデンサ40a(40b)を有していなくてもよい。AC/DC変換回路30aは、「第1のAC/DC変換回路」の一例であり、AC/DC変換回路30bは、「第2のAC/DC変換回路」の一例である。
【0019】
DC/DC変換回路50a(50b)は、第1の電力線L1a(L1b)に設けられている。DC/DC変換回路50aは、第12配線L12a(L12b)と接続される入力端51a(51b)と、接続線CBaと接続される出力端52a(52b)とを備える。DC/DC変換回路50a(50b)の入力端51a(51b)は、第12配線L12a(L12b)及びコンデンサ40a(40b)を介してAC/DC変換回路30a(30b)の第2端32a(32b)に電気的に接続されている。DC/DC変換回路50a(50b)は、入力端51a(51b)に入力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して出力する。DC/DC変換回路50a(50b)は、入力される直流電力を所望の電圧の直流電力に変換できればどのような構成のものであってもよい。例えば、DC/DC変換回路50a(50b)は、双方向DC/DC変換回路60のような双方向DC/DC変換回路であってもよい。
【0020】
接続線CBa(CBb)の端部のうち、DC/DC変換回路50a(50b)の出力端52a(52b)に接続されている端部とは異なる他の端部には、給電コネクタPCa(PCb)が設けられている。給電コネクタPCa(PCb)は、車両90に対して着脱可能である。給電コネクタPCa(PCb)は、車両用蓄電装置91に電力供給システム1からの電力を供給する際に車両90に装着される。給電コネクタPCa(PCb)が車両90に装着されることで、DC/DC変換回路50a(50b)の出力端52a(52b)から出力される電力を車両用蓄電装置91に供給可能となる。これにより、電力供給システム1から車両用蓄電装置91に電力を供給して、車両用蓄電装置91を充電することができる。給電コネクタPCaが車両90に装着されることで、車両ECU92と第1の制御部80との通信が確立され、互いに情報の送受信が可能になる。また、給電コネクタPCbが車両90に装着されることで、車両ECU92と、第2の制御部85との通信が確立され、互いに情報の送受信が可能となる。
【0021】
双方向DC/DC変換回路60は、第1の入出力端61と、第2の入出力端62とを備える。双方向DC/DC変換回路60は、入力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して出力する。双方向DC/DC変換回路60は、第1の入出力端61から入力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して第2の入出力端62から出力可能であり、かつ、第2の入出力端62から入力された直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して第1の入出力端61から出力可能である。
【0022】
蓄電装置70は、双方向DC/DC変換回路60の第2の入出力端62に電気的に接続される。蓄電装置70は、例えば二次電池や電気二重層キャパシタ等により実現される。蓄電装置70は、双方向DC/DC変換回路60の第2の入出力端62から出力された直流電力により充電される。また、蓄電装置70は、放電して双方向DC/DC変換回路60の第2の入出力端62に出力する。
【0023】
第2の電力線L2は、AC/DC変換回路30aの第2端32aと、双方向DC/DC変換回路60の第1の入出力端61とを電気的に接続している。第2の電力線L2は、第21配線L21と第22配線L22とを備える。
【0024】
この一例では、第21配線L21は、第1端t11と、第2端t12とを有する。第21配線L21の第1端t11は、第12配線L12aにおけるコンデンサ40aとDC/DC変換回路50aの入力端51aとの間に接続される。したがって、第21配線L21は、第12配線L12a、及びコンデンサ40aを介してAC/DC変換回路30aの第2端32aと電気的に接続されている。また、この一例では、第22配線L22は、第1端t21と、第2端t22とを有する。第22配線L22の第2端t22は、双方向DC/DC変換回路60の第1の入出力端61と接続されている。
【0025】
また、第21配線L21の第2端t12、及び第22配線L22の第2端t22には、切替部SW1の一部が設けられており、第21配線L21と第22配線L22とは、切替部SW1を介して電気的に接続されている。
【0026】
以上のように第21配線L21の第1端t11が、AC/DC変換回路30aの第2端32aと電気的に接続され、第22配線L22の第2端t22が、双方向DC/DC変換回路60の第1の入出力端61と接続され、第21配線L21の第2端t12と第22配線L22の第1端t21とが、切替部SW1を介して電気的に接続される。このため、第2の電力線L2は、双方向DC/DC変換回路60の第1の入出力端61とAC/DC変換回路30aの第2端32aとを電気的に接続しているといえる。
【0027】
バイパス線LBは、第1の電力供給装置10と、第2の電力供給装置20とを電気的に接続している。バイパス線LBは、第2の電力供給装置20に電気的に接続されている。この一例では、バイパス線LBは、第1端t31と、第2端t32とを有する。バイパス線LBの第2端t32は、第2の電力供給装置20の第12配線L12bにおけるコンデンサ40bとDC/DC変換回路50bの入力端51bとの間に接続されている。したがって、バイパス線LBは、第12配線L12b及びコンデンサ40bを介してAC/DC変換回路30bの第2端32bと電気的に接続されている。
【0028】
切替部SW1は、第2の電力線L2とバイパス線LBとに設けられる。本実施形態の切替部SW1は、双投式スイッチである。切替部SW1は、一つの可動接点C1と、二つの固定接点とを備える。二つの固定接点の一つを第1固定接点C2とし、もう一つを第2固定接点C3とする。可動接点C1は、第22配線L22の第1端t21に設けられている。第1固定接点C2は、第21配線L21の第2端t12に設けられている。第2固定接点C3は、バイパス線LBの第1端t31に設けられている。可動接点C1は、第1固定接点C2、又は第2固定接点C3に接続可能である。
【0029】
切替部SW1は、可動接点C1を、第1固定接点C2、又は第2固定接点C3に接続する。これにより切替部SW1は、双方向DC/DC変換回路60の第1の入出力端61とAC/DC変換回路30aの第2端32aとの電気的な接続と非接続とを切り替えるとともに、双方向DC/DC変換回路60の第1の入出力端61とバイパス線LBとの電気的な接続と非接続とを切り替える。以降の説明において、可動接点C1と、第1固定接点C2とが接続されている状態を、「第1切替状態」と記載し、可動接点C1と、第2固定接点C3とが接続されている状態を、「第2切替状態」と記載する。なお、切替部SW1の状態としては、可動接点C1が第1固定接点C2及び第2固定接点C3と非接続の状態も選択し得る。
【0030】
詳しくは、切替部SW1は、第1切替状態において、双方向DC/DC変換回路60の第1の入出力端61とAC/DC変換回路30aの第2端32aとを電気的に接続し、双方向DC/DC変換回路60の第1の入出力端61とバイパス線LBとを電気的に非接続にする。また、切替部SW1は、第2切替状態において、双方向DC/DC変換回路60の第1の入出力端61とAC/DC変換回路30aの第2端32aとを電気的に非接続にし、双方向DC/DC変換回路60の第1の入出力端61とバイパス線LBとを電気的に接続する。
【0031】
第1の制御部80、及び第2の制御部85は、それぞれ、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部は、RAM(Random access memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。第1の制御部80、及び第2の制御部85は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である第1の制御部80、及び第2の制御部85は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0032】
まず、第1の制御部80について説明する。
図2に示すように、第1の制御部80は、供給制御部801と、取得部802と、判定部803と、必要供給電力決定部804と、比較部805と、切替制御部806とを備える。
【0033】
供給制御部801は、第1の電力供給装置10の制御を行う。具体的には、AC/DC変換回路30a、DC/DC変換回路50a及び双方向DC/DC変換回路60を駆動する。本実施形態の供給制御部801がAC/DC変換回路30a、DC/DC変換回路50a及び双方向DC/DC変換回路60を駆動するパターンとしては、五つのパターンがある。一つ目のパターンは、AC/DC変換回路30a及びDC/DC変換回路50aを駆動するパターンである。二つ目のパターンは、AC/DC変換回路30a,DC/DC変換回路50a及び双方向DC/DC変換回路60を駆動するパターンである。三つ目のパターンは、DC/DC変換回路50a及び双方向DC/DC変換回路60を駆動するパターンである。四つ目のパターンは、AC/DC変換回路30a及び双方向DC/DC変換回路60を駆動するパターンである。五つ目のパターンは、双方向DC/DC変換回路60のみを駆動するパターンである。
【0034】
取得部802は、車両90-1から車両用蓄電装置91に関する情報を取得する。取得部802は、例えば、接続線CBaに含まれる通信専用回線、又は接続線CBaとは異なる他の通信専用回線を用いて車両ECU92と通信し、車両用蓄電装置91に関する情報を取得する。取得部802は、例えば、常時、又は所定の時間間隔毎に車両90-1から車両用蓄電装置91に関する情報を取得する。
【0035】
また、取得部802は、第2の電力供給装置20が蓄電装置70からの電力供給を必要とするか否かを示す供給情報を取得する。取得部802は、例えば、バイパス線LBに含まれる専用通信回線、又はバイパス線LBとは異なる他の専用通信回線を用いて第2の電力供給装置20に接続された車両90や第2の電力供給装置20の第2の制御部85と通信し、供給情報を取得する。取得部802は、常時、又は所定の時間間隔毎に第2の電力供給装置20から供給情報を取得する。
【0036】
なお、各種通信は、専用通信回線に代えて、(或いは、加えて)Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)による近距離無線通信等により通信し、各種情報を送受信するものであってもよい。各種通信とは、例えば、第1の電力供給装置10の第1の制御部80と車両90-1との通信、第1の電力供給装置10の第1の制御部80と車両90-2との通信及び第1の電力供給装置10の第1の制御部80と第2の電力供給装置20の第2の制御部85との通信である。
【0037】
判定部803は、第2の電力供給装置20が蓄電装置70からの電力供給を必要とするか否かを判定するとともに蓄電装置70が使用可能か否かを判定する。本実施形態の判定部803は、取得部802が供給情報を取得した場合、第2の電力供給装置20が蓄電装置70からの電力供給を必要としていると判定し、蓄電装置70が使用可能か否か判定する。判定部803は、例えば、供給制御部801が、AC/DC変換回路30a,DC/DC変換回路50a及び双方向DC/DC変換回路60を駆動している場合は、蓄電装置70は使用できないと判定する。また、判定部803は、供給制御部801が、AC/DC変換回路30a、DC/DC変換回路50a及び双方向DC/DC変換回路60を駆動していない場合は、蓄電装置70が使用可能と判定する。供給制御部801が、蓄電装置70が使用可能か否か判定する方法としては、様々な方法が考えられるが、例えば双方向DC/DC変換回路60が駆動しているか否かで判定してもよい。
【0038】
必要供給電力決定部804は、車両用蓄電装置91に関する情報に基づいて車両用蓄電装置91が必要とする電力量を把握し、車両用蓄電装置91が必要とする電力量に基づいて必要供給電力を決定する。
【0039】
比較部805は、AC/DC変換回路30aが出力可能な最大出力電力と、必要供給電力決定部804によって決定された必要供給電力とを比較する。比較部805が最大出力電力と必要供給電力とを比較する処理は、例えば、取得部802が各種情報を取得する度に行われてもよく、所定の時間間隔毎に行われてもよい。最大出力電力は、例えば、AC/DC変換回路30aが出力可能な最大の電力であり、AC/DC変換回路30aとして出力可能な最大の電力(つまり、最大定格電力)であってもよく、バイパス線LBを介して接続される第2の電力供給装置20や、車両90との動作の関係上、その時に出力可能な最大の電力であってもよい。
【0040】
切替制御部806は、比較部805の比較結果又は判定部803の判定結果に基づいて切替部SW1を制御する。切替制御部806は、比較部805の比較結果が、最大出力電力が必要供給電力よりも小さいことを示す場合、切替部SW1が第1切替状態となるように切替部SW1を制御する。切替制御部806によって切替部SW1が第1切替状態となり、供給制御部801によってAC/DC変換回路30a、DC/DC変換回路50a及び双方向DC/DC変換回路60が駆動されることにより、車両90-1には、AC/DC変換回路30aが変換した直流電力と、蓄電装置70からの直流電力との合成電力が供給される。すなわち、切替制御部806は、比較部805の比較結果が、最大出力電力が必要供給電力よりも小さいことを示す場合は、比較部805の比較結果に基づいて切替部SW1を制御する。
【0041】
また、切替制御部806は、判定部803によって第2の電力供給装置20が蓄電装置70からの電力供給を必要とすると判定され、かつ、蓄電装置70が使用可能と判定された場合は、切替部SW1が第2切替状態となるように切替部SW1を制御する。切替制御部806によって切替部SW1が第2切替状態となり、供給制御部801によって双方向DC/DC変換回路60が駆動されることにより、第2の電力供給装置20に蓄電装置70からの電力を供給することが可能となる。
【0042】
次に、第2の制御部85について説明する。
図3に示すように、第2の制御部85は、供給制御部851と、取得部852と、必要供給電力決定部853と、比較部854と、送信部855とを備える。
【0043】
供給制御部851は、第2の電力供給装置20の制御を行う。具体的には、AC/DC変換回路30bとDC/DC変換回路50bを駆動する。
取得部852は、車両90-2から車両用蓄電装置91に関する情報を取得する。取得部852は、例えば、接続線CBbに含まれる通信専用回線、又は接続線CBbとは異なる他の通信専用回線を用いて車両ECU92と通信し、車両用蓄電装置91に関する情報を取得する。取得部852は、例えば、常時、又は所定の時間間隔毎に車両90-2から車両用蓄電装置91に関する情報を取得する。
【0044】
なお、第2の電力供給装置20の第2の制御部85と車両90-2との通信は、専用通信回線に代えて、(或いは、加えて)Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)による近距離無線通信等により通信し、各種情報を送受信するものであってもよい。
【0045】
必要供給電力決定部853は、車両用蓄電装置91に関する情報に基づいて車両用蓄電装置91が必要とする電力量を把握し、車両用蓄電装置91が必要とする電力量に基づいて必要供給電力を決定する。
【0046】
比較部854は、AC/DC変換回路30bが出力可能な最大出力電力と、必要供給電力決定部853によって決定された必要供給電力とを比較する。比較部854が最大出力電力と必要供給電力とを比較する処理は、例えば、取得部852が各種情報を取得する度に行われてもよく、所定の時間間隔毎に行われてもよい。最大出力電力は、例えば、AC/DC変換回路30bが出力可能な最大の電力であり、AC/DC変換回路30bとして出力可能な最大の電力(つまり、最大定格電力)であってもよく、その時に出力可能な最大の電力であってもよい。
【0047】
送信部855は、比較部854の比較結果が、最大出力電力が必要供給電力よりも小さいことを示すと判定した場合、蓄電装置70からの電力供給を必要とすることを示す供給情報を生成し、第1の電力供給装置10の第1の制御部80に送信する。なお、本実施形態の第2の電力供給装置20は、送信部855によって供給情報を送信して所定時間経過すると、供給制御部851によってAC/DC変換回路30bとDC/DC変換回路50bを駆動し、車両90-2への電力供給を開始する。
【0048】
次に、取得部802が、第2の電力供給装置20から供給情報を取得した場合の動作について、
図4に示すフローチャートを使って説明する。
取得部802が、第2の電力供給装置20から供給情報を取得すると、判定部803は、第2の電力供給装置20が蓄電装置70からの電力供給を必要としていると判定し、蓄電装置70が使用可能か否か判定する(ステップS100)。判定部803によって蓄電装置70が使用不可と判定されると(ステップS100;NO)、フローを終了する。
【0049】
その後、第2の電力供給装置20は、送信部855によって供給情報を送信してから所定時間経過すると、供給制御部851によってAC/DC変換回路30bとDC/DC変換回路50bが駆動される。この場合、第2の電力供給装置20から車両90-2に電力を供給するパターンとしては、第2のAC/DC変換回路としてのAC/DC変換回路30bによって変換された直流電力のみが供給される第1のパターンとなる。
【0050】
一方、判定部803によって蓄電装置70が使用可能と判定される(ステップS100;YES)と、ステップS101に移行する。ステップS101では、切替制御部806は、切替部SW1が第2切替状態となるように切替部SW1を切り替え、ステップS102に移行する。ステップS102では、供給制御部851は、取得部802で供給情報を取得してから所定時間経過後に双方向DC/DC変換回路60を駆動し、フローを終了する。
【0051】
その後、第2の電力供給装置20は、送信部855によって供給情報を送信して所定時間経過すると、供給制御部851によってAC/DC変換回路30bとDC/DC変換回路50bが駆動される。この場合、第2の電力供給装置20から車両90-2に電力を供給するパターンとしては、第2のAC/DC変換回路としてのAC/DC変換回路30bによって変換された直流電力と、バイパス線LBを介して供給される蓄電装置70からの直流電力との合成電力が供給される第2のパターンとなる。
【0052】
なお、第2の電力供給装置20から車両90-2に電力を供給するパターンとしては、バイパス線LBを介して供給される蓄電装置70からの直流電力のみを供給する第3のパターンも選択しうる。
【0053】
以上のように構成された電力供給システム1において、第1の電力供給装置10の蓄電装置70から第2の電力供給装置20へ電力供給する場合がある。この場合、電力供給システム1は、双方向DC/DC変換回路60は、第1の入出力端61から出力される直流電力の電圧が、AC/DC変換回路30bが系統電力を電力変換して第2端32bから出力する際の直流電力の電圧と同じとなるように制御されるとよい。
【0054】
通常、電力供給装置では、特定の出力電圧範囲で所望の変換効率が得られるようAC/DC変換回路やDC/DC変換回路が設計される。一方、本実施形態の第2の電力供給装置20のように他の電力供給装置10からの出力電力が、第12配線L12bに入力されると、第12配線L12bの電圧が変動してしまい、結果、AC/DC変換回路30bやDC/DC変換回路50bで所望の変換効率が得られなくなるおそれがある。
【0055】
双方向DC/DC変換回路60は、第1の入出力端61から出力される直流電力の電圧が、AC/DC変換回路30bが系統電力を電力変換して第2端32bから出力する際の直流電力の電圧と同じとなるように制御される。この場合、双方向DC/DC変換回路60は、AC/DC変換回路30bやDC/DC変換回路50bの変換効率を下げることなく、他の電力供給装置からの電力を受電できる。
【0056】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)かかる構成によれば、蓄電装置70を有する第1の電力供給装置10の蓄電装置70を、他の電力供給装置(第2の電力供給装置20)と共用することができる、第1の電力供給装置10を提供することができる。また、第2の電力供給装置20に電気的に接続されるバイパス線LB及びAC/DC変換回路30bに電気的に接続される第1の入出力端61と、蓄電装置70に電気的に接続される第2の入出力端62とを有する双方向DC/DC変換回路60を有している。このため、電力供給システム1は、1つの双方向DC/DC変換回路60で第1の電力供給装置10と第2の電力供給装置20の双方に蓄電装置70からの出力電力を供給することができる。さらに、バイパス線LBと第1の入出力端61とが電気的に接続されるように切替部SW1を制御する場合がある。この場合、切替部SW1は、第1の入出力端61とAC/DC変換回路30aの第2端32aとが非接続となるように切替部SW1は制御される。このため、AC/DC変換回路30aは、バイパス線LBや第2の電力線L2を介してAC/DC変換回路30aが第2の電力供給装置20と電気的に接続されることがない。したがって、第2の電力供給装置20によるAC/DC変換回路30aへの影響を抑制することができる。
【0057】
(2)また、かかる構成によれば、蓄電装置70を有する第1の電力供給装置10において蓄電装置70を使用しない場合にのみ、蓄電装置70からの電力を第2の電力供給装置20に供給することができる。
【0058】
(3)かかる構成によれば、第1の電力供給装置10の蓄電装置70を第2の電力供給装置20と共用することができる電力供給システム1を提供することができる。すなわち、第1の電力供給装置10の蓄電装置70からの電力を、蓄電装置70を備えていない第2の電力供給装置20に供給することができるため、急速充電タイプでない第2の電力供給装置20でも急速充電が可能となる。
【0059】
上記実施形態は以下のように変更してもよい。なお、上記実施形態及び以下の各別例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせてもよい。
〇なお、第1の制御部80が送信部を有し、第1の制御部80の送信部が送信した判定部803の判定結果を、第2の制御部85の取得部852が取得(受信)してもよい。この場合、供給制御部851は、取得した判定結果に基づいて、AC/DC変換回路30bとDC/DC変換回路50bを駆動させる。
【0060】
〇また、上述では、切替部SW1が双投式スイッチである場合について説明したが、これに限られない。切替部SW1は、例えば、複数の単投スイッチにより実現されてもよい。
図5に示すように、電力供給システム1は、例えば、切替部SW1に代えて、切替部SW2を備える。切替部SW2は、例えば、第1切替器SW21と、第2切替器SW22とを備える。第1切替器SW21は、第2の電力線L2に設けられ、第2切替器SW22は、バイパス線LBに設けられる。第1切替器SW21と、第2切替器SW22とは、それぞれ、一つの可動接点C1と、一つの第1固定接点C2とを備える。
【0061】
第1切替器SW21の可動接点C1は、第21配線L21に設けられ、第1切替器SW21の第1固定接点C2と、第2切替器SW22の可動接点C1とは、第23配線L23に設けられる。第2切替器SW22の第1固定接点C2は、バイパス線LBに設けられる。また、第22配線L22の第1端t21は、第23配線L23に接続される。
【0062】
この場合、第1切替状態において、切替部SW2は、第1切替器SW21の可動接点C1と第1固定接点C2とが接続され、第2切替器SW22の可動接点C1と第1固定接点C2とが非接続にされる。また、第2切替状態において、切替部SW2は、第1切替器SW21の可動接点C1と第1固定接点C2とが非接続にされ、第2切替器SW22の可動接点C1と第1固定接点C2とが接続される。また、切替部SW2は、双方向DC/DC変換回路60や蓄電装置70のメンテナンス時等において、第1切替器SW21と第2切替器SW22の可動接点C1と第1固定接点C2とが、いずれも非接続状態に制御されてもよい。これにより、双方向DC/DC変換回路60や蓄電装置70を、第1の電力供給装置10や第2の電力供給装置20から非接続にすることができる。
【0063】
〇また、上述では、バイパス線LBは、第2の電力供給装置20において、AC/DC変換回路30bの第2端32bとコンデンサ40bを介して接続される場合について説明したが、これに限られない。バイパス線LBは、例えば、第2の電力供給装置20において、DC/DC変換回路50bの出力端52bに接続されるものであってもよい。
【0064】
〇また、電力供給システム1は、第1の電力供給装置10を複数備えるものであってもよい。
〇また、上述では、電力供給システム1が備える第1の電力供給装置10が第1の制御部80を備え、第2の電力供給装置20のそれぞれが第2の制御部85を備える場合について説明したが、これに限られない。電力供給システム1は、例えば、電力供給システム1が備える第1の電力供給装置10と、第2の電力供給装置20とを制御する制御部を備えるものであってもよい。この場合、制御部は、第1の制御部80が備える機能部と、第2の制御部85が備える機能部とを備える。ただし、制御部は、送信部855を備えていなくてもよい。
【0065】
○また、電力供給システム1は、複数の第2の電力供給装置20を備えていてもよい。この場合、第1の電力供給装置10は、複数の第2の電力供給装置20のうち任意の第2の電力供給装置20に電力を供給できるように構成されることが好ましい。
【0066】
○また、電力供給システム1は、複数の第1の電力供給装置10を備えていてもよい。
○また、第2の電力供給装置20は、車両用蓄電装置91に電力を供給するものであれば、どのような構成であってもよい。例えば、第2の電力供給装置20は、第1の電力供給装置10と同一構成としてもよい。
【0067】
○また、第1の制御部80や第2の制御部85が有する機能部は、それぞれ別体の装置により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…電力供給システム、10…第1の電力供給装置、20…第2の電力供給装置、30、30a、30b…AC/DC変換回路、31a、31b…第1端、32a、32b…第2端、40、40a、40b…コンデンサ、50、50a、50b…DC/DC変換回路、60…双方向DC/DC変換回路、61…第1の入出力端、62…第2の入出力端、70…蓄電装置、80…第1の制御部、90-1、90-2…車両、91…車両用蓄電装置、92…車両ECU、L1…第1の電力線、L2…第2の電力線、LB…バイパス線、PCa、PCb…給電コネクタ、SP…系統電源、SW1…切替部。