(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039411
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】カップリング機構、及び給送装置
(51)【国際特許分類】
F16D 1/112 20060101AFI20220303BHJP
B65H 1/14 20060101ALI20220303BHJP
F16D 1/06 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
F16D1/112
B65H1/14 322B
F16D1/06 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144415
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】相川 憲稔
(72)【発明者】
【氏名】秋山 洋人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】竹下 尚人
(72)【発明者】
【氏名】畑川 和義
(72)【発明者】
【氏名】堀内 圭
(72)【発明者】
【氏名】西沢 聖児
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 裕
(72)【発明者】
【氏名】横山 尚己
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC27
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA16
3F343HD16
3F343KB03
3F343LA04
3F343LA13
3F343LA14
3F343LA16
3F343LC11
3F343LC22
3F343LC25
3F343LD10
3F343LD21
3F343LD29
3F343MB04
3F343MB12
3F343MC06
3F343MC17
3F343MC27
(57)【要約】
【課題】 確実に駆動連結させることのできるカップリング機構を提供することを目的とする。
【解決手段】 積載部32を昇降させる昇降機構37に昇降モータMT3の動力を伝達するためのカップリング機構39であって、入力プーリ59と、入力プーリ59に対して連結、離間するカップリング部材60と、カップリング部材60と入力プーリ59が離間する際にカップリング部材60を所定量回転させる回転手段を設けた。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の動力を被駆動体に伝達するカップリング機構において、
第1の伝達部材と、前記第1の伝達部材に対して連結、離間する第2の伝達部材と、前記第2の伝達部材と前記第1の伝達部材が離間する際に該第2の伝達部材を所定量回転させる回転手段と、を備えるカップリング機構。
【請求項2】
前記第1、第2の伝達部材の一方に形成された凹部と、他方に形成された凸部と、を係合させて前記第1、第2の伝達部材を連結する請求項1に記載のカップリング機構。
【請求項3】
前記凸部は、前記凹部の側部に当接する当接面とこの当接面に対して傾斜した傾斜面をからなる請求項2に記載のカップリング機構。
【請求項4】
前記第2の伝達部材を支持する軸部材と、
前記第1の伝達部材と前記第2の伝達部材が離間する際に前記第2の伝達部材を軸部材に沿って移動させる移動手段と、を備え、
前記回転手段は、前記軸部材の所定位置に設けられ、前記移動手段による前記第2の伝達部材の移動を規制する規制部材と、
前記第2の伝達部材に設けられ、前記規制部材に当接して前記第2の伝達部材を所定量回転させる回転部材と、を有する請求項1~3のいずれか1つに記載のカップリング機構。
【請求項5】
装置本体に対して引き出し可能な収納庫と、前記収納庫内に設けられ、シートを積載する積載トレイと、前記積載トレイを上昇させる昇降機構と、前記昇降機構を駆動させる駆動手段と、前記駆動手段の動力を前記昇降機構に伝達する駆動伝達手段と、を備えた給紙装置において、
前記駆動伝達手段は、
前記収納庫が前記装置本体に装着された状態で前記駆動手段の動力を前記昇降機構に伝達し、前記収納庫が前記装置本体から引き出された状態で前記駆動手段の動力を前記昇降機構に非伝達とするカップリング機構を有し、
前記カップリング機構は、
第1の伝達部材と、前記収納庫が前記装置本体に装着されるときに前記第1の伝達部材に対して連結し、前記収納庫が前記装置本体から引き出されるときに前記第1の伝達部材に対して離間する第2の伝達部材と、前記第2の伝達部材と前記第1の伝達部材が離間する際に該第2の伝達部材を所定量回転させる回転手段と、を備えた給紙装置。
【請求項6】
前記駆動手段は、正逆転可能な駆動モータを有し、
前記カップリング機構は、前記収納庫が前記装置本体に装着された状態で前記駆動モータの正回転を前記昇降機構に伝達し、
前記昇降機構は、前記カップリング機構から伝達された前記駆動モータの正回転にて前記積載トレイを上昇させる請求項5に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記カップリング機構の前記第1の伝達部材は、前記駆動モータの正逆転によって正逆方向に回転し、
前記第1の伝達部材は、前記第1の伝達部材の逆方向の回転のみを前記昇降機構に伝達する一方向クラッチを有し、
前記昇降機構は、前記1方向クラッチによって前記第1の伝達部材から伝達された前記駆動モータの逆回転にて前記積載トレイを下降させる請求項6に記載の給紙装置。
【請求項8】
前記第1、第2の伝達部材の一方に形成された凹部と、他方に形成された凸部と、を係合させて前記第1、第2の伝達部材を連結する請求項5に記載の給紙装置。
【請求項9】
前記凸部は、前記凹部の側部に当接する当接面とこの当接面に対して傾斜した傾斜面をからなる請求項6に記載の給紙装置。
【請求項10】
前記第2の伝達部材を支持する軸部材と、
前記第1の伝達部材と前記第2の伝達部材が離間する際に前記第2の伝達部材を軸部材に沿って移動させる移動手段と、を備え、
前記回転手段は、前記軸部材の所定位置に設けられ、前記移動手段による前記第2の伝達部材の移動を規制する規制部材と、
前記第2の伝達部材に設けられ、前記規制部材に当接して前記第2の伝達部材を所定量回転させる回転部材と、を有する請求項5、請求項8~9のいずれか1つに記載の給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複写機やプリンタなどの画像形成装置にシートを給送する給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置の画像形成部にシートを給紙する給紙装置が知られている。一般的な給紙装置はシートが積載される積載部と、この積載部のシートを給紙する給紙手段が設けられている。積載部には100枚程度のシートを収納可能な給紙カセットを備えるものや、数千枚に及ぶ大容量のシートを収納可能な収納庫を備えるものがある。
【0003】
給紙手段は、積載部のシートを繰り出す繰出ローラと、繰り出されたシートを給紙する給紙ローラと、給紙ローラに圧接してシートを1枚に分離する分離部材を備えている。また、カセットや収納庫は、シートを収納するために装置本体に対して引き出し可能になっている。そして、従来のカセットや収納庫を備える給紙装置には、カセットや収納庫に設けられた積載部と、この積載部を昇降させる昇降機構が設けたものが知られている。昇降機構は、積載部の四辺をそれぞれ吊り下げる4つワイヤと、4つのワイヤを巻き取る巻取プーリと、巻き取りプーリを回転させる昇降モータと、昇降モータの駆動を巻取プーリに伝達する駆動伝達機構を備えている。そして、昇降機構は、昇降モータを正転駆動することによって、巻取プーリが回転してワイヤを巻き取り、積載部を上昇させる。一方、昇降モータを逆転駆動すれば、巻取プーリが反対方向に回転して、巻取プーリからワイヤが繰り出されて積載部が下降するようになっている(例えば、特許文献1)。
【0004】
上述したような給紙装置において、昇降モータの動力によって積載部を上昇、下降させる駆動伝達機構として第1、第2の駆動伝達部材を連結、離間によって昇降モータの動力を巻取プーリに伝達、非伝達するカップリング機構を備えているものがある(例えば、特許文献2)。このカップリング機構は、装置本体に対するカセットや収納庫の装着、引き出しの状態によって昇降モータの動力を昇降機構に伝達、非伝達とするように構成されている。そして、カップリング機構は一般的に第1の駆動伝達部材に形成された複数の凹部と第2の駆動伝達部材に形成された複数の凸部とを篏合させて第1、第2の駆動伝達部材を連結し、昇降モータの動力を昇降機構に伝達する。また、第1、第2の駆動伝達部材を離間することで昇降モータの動力を昇降機構に伝達しないように構成されている。連結した凹部と凸部は、凹部の一側面が凸部の一側面に当接して回転して動力を伝達する。したがって、昇降モータを停止して、第1の駆動伝達部材と第2の駆動伝達部材を離間すると第1の駆動伝達部材の凹部と第2の駆動伝達部材の凸部は互いに篏合する位置にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-31985号公報
【特許文献2】特開2004-51255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第1の駆動伝達部材と第2の駆動伝達部材を離間後に篏合位置から若干ずれると第1の駆動伝達部材の凹部の頂部と第2の駆動伝達部材の凸部の頂部が干渉し、その干渉によって第1の駆動伝達部材と第2の駆動伝達部材が連結されない恐れや各部材を損傷させる恐れが生じる。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、第1の駆動伝達部材と第2の駆動伝達部材を確実に連結させることのできるカップリング機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1の発明は、駆動源の動力を被駆動体に伝達するカップリング機構において、第1の伝達部材と、第1の伝達部材に対して連結、離間する第2の伝達部材と、第2の伝達部材と第1の伝達部材が離間する際に第2の伝達部材を所定量回転させる回転手段と、を備える。
【0009】
第2の発明は、装置本体に対して引き出し可能な収納庫と、収納庫内に設けられ、シートを積載する積載トレイと、積載トレイを上昇させる昇降機構と、昇降機構を駆動させる駆動手段と、駆動手段の動力を昇降機構に伝達する駆動伝達手段と、を備えた給紙装置において、駆動伝達手段は、収納庫が装置本体に装着された状態で駆動手段の動力を昇降機構に伝達し、収納庫が装置本体から引き出された状態で駆動手段の動力を昇降機構に非伝達とするカップリング機構を有し、カップリング機構は、第1の伝達部材と、収納庫が装置本体に装着されるときに第1の伝達部材に対して連結し、収納庫が装置本体から引き出されるときに第1の伝達部材に対して離間する第2の伝達部材と、第2の伝達部材と第1の伝達部材が離間する際に第2の伝達部材を所定量回転させる回転手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
第1、第2の本発明によれば、第2の伝達部材と第1の伝達部材が離間する際に第2の伝達部材を自動で連結可能な位置まで回転させることで、第1の駆動伝達部材と第2の駆動伝達部材を確実に連結できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る画像形成システムを示す概略構成断面図である。
【
図2】本発明に係る給紙装置における収納庫を引き出した状態を示す状態図である。
【
図3】本発明に係る積載部の昇降機構を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る昇降モータと駆動伝達機構を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る収納庫の引き出し、装着時における昇降モータと駆動伝達機構の状態を示す模式図である。
【
図6】本発明に係るカップリング機構の状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係るカップリング機構の構成を説明する組合せ断面図及び断面斜視図である。
【
図8】本発明に係るカップリング機構の他の実施形態を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[画像形成システム]
図1は、給紙装置を備えた画像形成システムの全体構成を示す図である。同図で示すように、画像形成システムは、シートに画像を印刷する画像形成装置1、原稿を読み取る原稿読取装置2、シートを原稿読取装置2の読取部に搬送する原稿送り装置3、画像形成装置1にシートを供給する給紙装置4、画像形成装置1の排紙口に連結されて、画像形成装置1から排出されるシートを集積するシート集積装置5とで構成されている。
【0013】
画像形成装置1は、100枚程度のシートを収納可能な2つの給紙カセット6a、6bを備えている。そして、2つの給紙カセット6a、6bと給紙装置4のいずれか1つからシート取り出し、取り出したシートに原稿読取装置2から転送される画像データを印刷し、排紙ローラ対10によってシート集積装置5に排出する。
【0014】
画像形成装置1は静電印刷を行うもので、感光ドラム11に静電潜像を形成するビーム投光器12と、静電潜像にトナーインクを付着する現像器13と、転写チャージャ14とを備えている。そして、シートに、感光ドラム11に形成した画像インクを転写チャージャ14で転写し、その下流側には配置される定着ローラ15によってシート上の画像を加熱定着して、シート集積装置5へと搬送する構成となっている。
【0015】
給紙装置4は、給紙カセット6a、6bよりも多い3000枚のシートが収納可能な収納部(収納庫)30を備え、画像形成装置1からの給紙指令に従って1枚毎にシートを画像形成装置1に供給する。
【0016】
原稿読取装置2は、透明なガラスで形成される第1プラテン16と第2プラテン17とを装置の上部に水平方向に並設している。第1プラテン16は、手置きでセットされる原稿の読み取りに用いられ、使用可能な原稿の最大寸法サイズに形成されている。そして、第2プラテン17は所定速度で移動する原稿の読み取りに用いられる。
【0017】
画像読取装置2の内部には、第1、第2の読取キャリッジ18、19と、集光レンズ20及び光電変換素子21(CCD)を有する光電変換手段が備えられている。第1、第2の読取キャリッジ18、19は、図示しないがキャリッジモータによって駆動されて、第1プラテン16の下方を副走査方向に往復移動する。第1の読取キャリッジ18には、光を原稿に向けて照射するランプと、原稿から反射された光を反射するミラーが設けられ、第2の読取キャリッジ19には、第1の読取キャリッジ18のミラーからの光を集光レンズ20及び光電変換素子21に案内する2つのミラーが設けられている。そして、第1、第2の読取キャリッジ18、19は移動して、第1プラテン16にセットされている原稿に光を照射し、原稿からの反射光を光電変換素子21で光電変換して原稿を読み取る。光電変換素子21で読み取った原稿の画像データは、画像形成装置1のビーム投光器12に画像信号で送信される。
【0018】
原稿送り装置3は、給紙トレイ22にセットされた原稿をシート搬送機構24によって第2プラテン17を通過させて、排紙トレイ23に排紙する。なお、原稿送り装置3で第2プラテン17上を通過する原稿を読み取る場合、第1、第2の読取キャリッジ18、19は第2プラテン17の下方で静止させ、移動する原稿を読み取る。
【0019】
給紙装置4は、シートをセットするために引き出される収納庫30と、シートを収納庫30内のシートを給紙する給紙機構31を備えている。収納庫30には、シートが積載され、上下方向に昇降する積載部32と、シート給紙方向にスライド移動可能に設けられ、積載部32上のシート後端を規制する後端規制板36と、シート給紙方向と直交するシート幅方向にスライド移動可能に設けられ、積載部32上のシートのシート幅方向の両端を規制する一対のサイド規制板35と、積載部32を昇降させる昇降機構37と、を備えている。
【0020】
給紙機構31は、収納庫30内のシートを繰り出す繰出ローラ40と、繰出ローラ40にて繰り出されたシートを給紙する給紙ローラ41と、給紙ローラ41に圧接して繰出ローラ40にて繰り出されたシートを分離する分離ローラ42と、給紙ローラ41にて給紙されたシートを画像形成装置1に供給する搬送ローラ対43と、を備えている。
繰出ローラ40は、積載部32によって給紙位置に移動した最上位シートの上面に接触して積載部32上のシートを繰り出す。繰り出されたシートは給紙ローラ41と分離ローラ42によって1枚に分離され、搬送ローラ対43に送られる。そして、搬送ローラ対43によってシートが1枚毎順次に画像形成装置1に供給される。
【0021】
図2は収納庫30が、給紙装置4の筐体(給紙装置本体)4aから引き出された状態を示す状態図である。収納庫30のシート給紙方向の両側には、シート給紙方向と直交する前後方向に収納庫30をスライド可能に支持する一対のスライドレール24、25が設けられている。収納庫30は、給紙装置4の筐体4aに装着する装着位置と給紙装置4の筐体4aから引き出された引き出し位置とにスライドレールに沿ってスライド移動する。そして、収納庫30を装着位置から引き出し位置に移動させ、
図2に示すように引き出し位置にある引き出し状態で、積載部32上にシートを積載する。
なお、スライドレールは、一般的なスライドレールであって、収納庫30に取り付けられるインナーレールと筐体4aに取り付けられるアウターレールによって構成されている。
【0022】
積載部32は、
図2に示すように 積載トレイ32aと、補助トレイ32bで構成されている。積載トレイ32aは、積載されたシートの後端を規制する後端規制板36がスライド移動する部分が切り欠かれている。また、シート給紙方向に直交するシート幅方向のシートの両端をそれぞれ規制する一対のサイド規制板35が移動する両側部分も切り欠かれている。補助トレイ32bは、主トレイ32aのシート幅方向の両側の切り欠き部分のそれぞれに配置されている。それぞれの補助トレイ32bは、上下方向に移動可能にサイド規制板35に取り付けられている。これによって、補助トレイ32bがサイド規制板の移動に伴ってシート幅方向に移動する。また、補助トレイ32bは、積載トレイ32aの昇降動作に連動して上下方向に移動する。積載トレイ32aは、第1、第2ステー33、34によって支持されている。第1ステー33は積載トレイ32aの上流側端部を支持しており、第2ステー34は積載トレイ32aの上流側端部を支持している。
【0023】
[積載トレイの昇降機構37]
次に、収納庫30における積載部32の昇降機構37について説明する。
図3は、積載部32の昇降機構37を示す斜視図である。
【0024】
本実施形態の昇降機構37は、積載トレイ32aのシート給紙方向の上流側及び下流側を支持する第1、第2のステー33、34の両端部を吊り下げる4本のワイヤ55a~55dと、4本のワイヤ55a~55dがそれぞれ架けられる複数の吊下プーリ52a~52dと、同一の巻取シャフト56の両側に設けられ、4本のワイヤ55a~55dの巻き取る2つ巻取プーリ53a、53bと、を有するワイヤ式昇降機構37である。
【0025】
各ワイヤ55a~55dは、一端を巻取プーリ53a、53bに固定され、他端を収納庫30の枠体に支持される吊下プーリ52a~52dを介して各ステー33、34の端部に取り付けられている。つまり、4本のワイヤ55a~55dは積載トレイ32aの四隅をワイヤ55a~55dによって支持し、巻取プーリ53a、53bの正回転によって巻き取られることで、積載トレイ32aを含む積載部32を上昇させる。また、巻取プーリ53a、53bの逆回転によって4本のワイヤ55a~55dが繰り出されることで積載トレイ32aを含む積載部32が下降する。
【0026】
さらに、昇降機構37は、駆動源である昇降モータMT3と、昇降モータMT3の駆動を巻取プーリ53a、53bに伝達する複数のギヤZ1~Z6とタイミングベルトTB1を備える駆動伝達機構38と、を含む駆動ユニットを備える。昇降モータMT3は、正転及び逆転が可能なモータである。以下、昇降モータMT3の正転により巻取プーリ53a、53bがワイヤ55a~55dを巻取方向に正回転され、昇降モータMT3の逆転により巻取プーリ53a、53bがワイヤ55a~55dを繰出方向に逆回転される。また、本実施形態において積載部32を上昇させるための駆動力(動力)を第1駆動力とし、昇降モータMT3が積載部32を下降させるための駆動力を第2駆動力とする。
【0027】
なお、
図2、
図3に示すように、昇降モータMT3を含む駆動ユニットは、収納庫30と一体で筐体4aから引き出され、引き出された状態でも電力を供給されるように構成されている。本実施の形態では昇降モータMT3として、パルスモータを用いており、パルスモータの駆動パルス数をカウントして積載部32の上昇量、または下降量を制御する。
【0028】
[駆動伝達機構]
図4は、駆動ユニットの斜視図であり、
図5(a)(b)は駆動ユニットの模式図である。
図4及び
図5に示すように、駆動ユニットの駆動伝達機構38は、タイミングベルトTB1、駆動プーリ58、入力プーリ(第1の駆動伝達部材)59、ワンウェイクラッチOW1、カップリング部材(第2の駆動伝達部材)60、付勢バネ(移動手段)SP、駆動ギヤZ1、アイドラギヤZ2~Z5、及び巻取ギヤZ6を含んでいる。なお、入力プーリ59、カップリング部材60、付勢バネSPは、昇降モータMT3の正転を昇降機構37の巻取プーリ53a、53bに伝達、遮断するためのカップリング機構39となっている。
【0029】
入力プーリ59は、回転軸SF1に設けられ、タイミングベルトTB1を介して昇降モータMT3の出力軸に取り付けられた駆動プーリ58と連結されている。従って、入力プーリ60は昇降モータMT3の出力軸に常に連動して回転する。昇降モータMT3が正転するときの入力プーリ59の回転方向を第1方向R1とし、昇降モータMT3が逆転するときの入力プーリ59の回転方向を第2方向R2とする。
【0030】
ワンウェイクラッチOW1は、入力プーリ59に内蔵され、入力プーリ59と回転軸SF1とを連結している。従って、ワンウェイクラッチOW1は、入力プーリ59の一方向の回転を駆動ギヤZ1に伝達する機能を有する。具体的には、ワンウェイクラッチOW1は、昇降モータMT3が逆転する場合の入力プーリ59の第2方向R2を回転軸SF1及び駆動ギヤZ1に伝達する。一方、ワンウェイクラッチOW1は、昇降モータMT3が正転する場合の入力プーリ59の第1方向R1の回転を回転軸SF1及び駆動ギヤZ1に伝達しない。
【0031】
カップリング部材60は、回転軸SF1上に配置され、回転軸SF1の軸線方向にスライド移動可能である。すなわち、入力プーリ59、カップリング部材60及び駆動ギヤZ1は、共通の回転軸SF1上に設けられている。カップリング部材60は、収納庫30の装着及び引き出しに連動して、昇降モータMT3が正転したときの入力プーリ59から駆動ギヤZ1への駆動伝達を連結及び遮断する機能を有する。カップリング部材60の詳しい構成及び作用については後述する。
【0032】
巻取ギヤZ6は、巻取シャフト56に取り付けられており、ギヤZ4、Z5を介して駆動ギヤZ1に連結されている。したがって、駆動ギヤZ1の回転に連動して、巻取シャフト56が回転してワイヤ55a~55dの巻き取り又は繰り出しが行われ、積載トレイ32aの昇降動作が行われる。
【0033】
なお、収納庫30は、収納庫30の枠体を構成するフレーム30aと、フレーム30aにネジ止め等の固定具で固定された補助フレーム30bとを有している。昇降モータMT3及び駆動伝達機構38の構成部材は、フレーム30a及び補助フレーム30bの一方又は両方に支持されることで、収納庫30に設けられている。
【0034】
[カップリング部材による駆動伝達の遮断]
次に、入力プーリ59及びカップリング部材60からなるカップリング機構39の構成について説明する。
図6(a)(b)は、カップリング機構39の入力プーリ59及びカップリング部材60の状態を示す斜視図である。
図6(a)は入力プーリ59に対してカップリング部材60が連結位置に移動した状態を示す状態図、
図6(b)は入力プーリ59に対してカップリング部材60が遮断位置に移動した状態を示す状態図である。
図7(a)(b)は、入力プーリ59及びカップリング部材60の構成を説明する断面図である。
図7(a)は入力プーリ59を凹状の係合部64を切断した断面とカップリング部材60を回転軸SF1における軸中心位置を切断した断面とを組み合わせた組合せ断面図、
図7(b)は入力プーリ59及びカップリング部材60を回転軸SF1における軸中心位置を切断した斜視断面図である。なお、
図7(a)(b)において付勢バネSPは、便宜上図示しない。
【0035】
図6(a)(b)に示すように、カップリング部材60は、回転軸SF1に対して軸線方向にスライド可能である。このため、カップリング部材60は、軸線方向に入力プーリ59に係合する連結位置と入力プーリ59から離間する遮断位置に移動する。
【0036】
図6(a)(b)に示すように、カップリング部材60には入力プーリ59に係合(篏合)する凸状の係合爪65が複数設けられ、また回転軸SF1が挿通する挿通孔60bが設けられている。入力プーリ59は、カップリング部材60が連結位置に移動した際に係合爪65と係合(篏合)する凹状の係合部64が複数設けられている。
【0037】
図6(a)(b)及び
図7(a)(b)に示すようにカップリング部材60の係合爪65の凸部は入力プーリ59側に伸びた側面65aと螺旋状に傾斜した傾斜面65bが形成され、入力プーリ59の係合部64の凹部は、カップリング部材60側に伸びた直線状の内側面64aと螺旋状に傾斜した傾斜面65bとして構成され、ラチェット機構となっている。つまり、
図6(a)(b)、
図7(a)(b)に示すように係合爪65は、ラチェット機構におけるノコギリ状の歯車のような形状となっている。
【0038】
[入力プーリ及びカップリング部材の構成]
入力プーリ59は、係合部64をカップリング部材60の係合爪65に係合することで、カップリング部材60に第1方向R1の回転を伝達する。具体的には入力プーリ59の係合部64とカップリング部材60の係合爪65が係合した状態で入力プーリ59を第1方向R1に回転すると係合部64における回転方向と反対側の内側面64aが係合爪65の回転方向の側面65aに当接してカップリング部材60を回転させるようになっている。また、カップリング部材60は入力プーリ59の第1方向R1の回転を回転軸SF1に伝達し、カップリング部材60と回転軸SF1とは一体で回転するように構成されている。
【0039】
本実施の形態では、入力プーリ59が第1方向R1に回転するときにカップリング部材60の回転を回転軸SF1に伝達するために、回転軸SF1に設けられたピン61と、カップリング部材60の挿通孔60bに一体的に形成したスライド孔60cを備える。スライド孔36cは挿通孔60bを挟んで両側に形成され、ピン61がスライド孔60c内に挿入できるように形成されている。
【0040】
そして、
図5(a)(b)に示すようにカップリング部材60の挿通孔60bに回転軸SF1を挿入し、スライド孔60cにピン61を挿入した状態で、カップリング部材60が回転すると、スライド孔60cの内壁面がピン61に当接して、カップリング部材60が回転軸SF1を同一方向に回転させる。
【0041】
なお、スライド孔60cは、
図7(a)(b)に示すようにカップリング部材60の移動方向(軸線方向)に沿ってカップリング部材60の移動量に対応した長さに形成されている。ピン61は、カップリング60の移動に伴ってスライド孔60c内をスライド移動するように構成されている。またピン61は、
図7(a)に示すようにスライド孔60cの入力プーリ59側の端部に設けられた規制部60dに当接し、カップリング60の移動を規制している。つまり、収納庫30の引き出しによって、付勢バネSP(
図7には図示せず)の付勢力にて軸線方向に移動するカップリング部材60は、その規制部60dが回転軸SF1に設けられたピン61に当接すると停止するようになっており、この停止した位置を入力プーリ59とカップリング部材60とが離間した遮断位置としている。
【0042】
ここで、
図6(b)、
図7(b)に示すようにスライド孔60cは、挿入孔60bの中心を支点に扇型に形成され、停止したピン61に対してカップリング部材60が所定量回転できるように形成されている。また、
図7(a)(b)に示すようにスライド孔60c内の入力プーリ59側の規制部60dには、スライド孔60c内に突出し、カップリング部材60を所定量回転させるための第1、第2のカム部70、71が形成されている。この第1、第2のカム部70はスライド孔60c内における回転軸SF1に対して両側にそれぞれ形成されている。第1、第2カム部70、71は、それぞれ軸線方向に傾斜したカム面70a、71aを有し、第1のカム部70のカム面70aと第2のカム部71のカム面71aは互いに対面するように形成されている。第1のカム部70と第2のカム部71は同一な形状であり、同一な高さで、両カム面70a、71bは同一な傾斜角度としている。
【0043】
上述した構成によって、カップリング部材60が連結位置から退避位置に移動すると、第1、第2のカム面71a、72bがピン61に接触して所定量に第2の方向R2に回転する。
【0044】
入力プーリ59は、その係合部64の内側面64aを係合爪65の側面65aに当接してカップリング部材60を回転させているため、昇降モータMT3を停止させた状態では係合部64の内側面64aを係合爪65の側面65aに当接している。この係合部64の内側面64aを係合爪65の側面65aに当接した状態からカップリング部材60を入力プーリ59から離間し、その後にカップリング部材60を入力プーリ59に連結させると係合部64の側面65aのカップリング部材60側の頂部と係合爪65の頂部が干渉する恐れがある。しかし、上記のカップリング機構39の構成によれば、カップリング部材60と入力プーリ59を離間させると、付勢バネSPの付勢力によってカップリング部材60が移動し、カム部70、71がピン61に当接してカップリング部材60が所定量回転するように構成したので、カップリング部材60の係合爪65の頂部と入力プーリ59の係合部64の頂部とが干渉することが防止できる。さらに、係合爪65に旋状に傾斜した傾斜面65bと係合部64に螺旋状に傾斜した傾斜面65bを形成したので、係合爪65と係合部64が係合する際に傾斜面64b、65bが互いに接触しながら係合するため円滑な係合動作ができる。
【0045】
上記の構成により、係合爪65が入力プーリ59から離脱した遮断位置に移動した状態では、昇降モータMT3が正転してもカップリング部材60は回転しない。また、昇降モータMT3が正転するときの入力プーリ59の第1方向R1に回転は、ワンウェイクラッチOW1が滑る方向である。したがって、カップリング部材60が遮断位置にある状態で昇降モータMT3が正転しても、回転軸SF1は回転せず、巻取シャフト56は駆動しない。
【0046】
一方、カップリング部材60が入力プーリ59から遮断位置にある状態で昇降モータMT3が逆転した場合、ワンウェイクラッチOW1によって入力プーリ59と回転軸SF1が第2方向R2に回転する。そのため、ワイヤ55a~55dを繰り出す方向に巻取シャフト56が回転し、積載トレイ32aは下降する。
【0047】
これに対し、係合爪65が入力プーリ59に係合する連結位置にカップリング部材60が移動した状態で昇降モータMT3が正転し、入力プーリ59を回転させると、入力プーリ59の係合部64の当接する面64aがカップリング部材60の係合爪65の当接する面65aに当接してカップリング部材60が回転する。入力プーリ59ト共にカップリング部材60が第1方向R1に回転するとピン61を介して回転軸SF1が回転する。そして、回転軸SF1が回転で駆動ギヤZ1が第1方向R1に回転することで、巻取シャフト56がワイヤ55a~55dを巻き取る方向に駆動し、積載トレイ32aは上昇する。
【0048】
一方、カップリング部材60が入力プーリ59に係合する連結位置にある状態で昇降モータMT3が逆転した場合、ワンウェイクラッチOW1によって入力プーリ59と回転軸SF1が第2方向R2に回転する。そのため、カップリング部材60が入力プーリ59から離脱している場合と同様に、巻取シャフト56がワイヤ55a~55dを繰り出す方向に駆動し、積載トレイ32aは下降する。
【0049】
このように、本実施形態の駆動伝達機構38は、昇降モータMT3から入力される駆動力を2つに分岐した経路で伝達するように構成されている。第1伝達経路は、カップリング部材60を経由する経路であり、昇降モータMT3が正転するときの駆動力(動力)を伝達する。第2伝達経路は、ワンウェイクラッチOW1を経由する経路であり、昇降モータMT3が逆転するときの駆動力(動力)を伝達する。そして、カップリング部材60の位置に応じて第1伝達経路が連結状態と遮断状態とに切り替わる一方で、カップリング部材60の位置によらずに第2伝達経路は常時連結された構成となっている。
【0050】
[収納庫の開閉とカップリング部材の移動]
カップリング部材60は、収納庫30の装着、引き出し動作に連動して、前述した連結位置(
図5(b))と遮断位置(
図5(a))との間を移動する。連結位置はカップリング部材60が第1伝達経路を連結状態とするときの位置、すなわちカップリング部材60が入力プーリ59からの駆動を回転軸SF1に伝達する位置であり、遮断位置は第1伝達経路の連結を解除して遮断状態とするときの位置、すなわちカップリング部材60が入力プーリ59からの駆動を回転軸SF1に伝達しない位置である。
【0051】
図5(a)(b)に示すように、付勢手段としての付勢バネSPは、入力プーリ59とカップリング部材60との間に配置されている。付勢バネSPは、カップリング部材60を、入力プーリ59から離間させる方向に付勢している。つまり、付勢バネSPはカップリング部材60の係合爪65と入力プーリ59の係合部64との係合を解除する方向にカップリング部材60を付勢している。
【0052】
また、
図6(a)(b)に示すように、給紙装置本体4の筐体4aには、カップリング部材60に当接してスライドさせることが可能な当接部62が設けられている。そして、カップリング部材60の入力プーリ59とは異なる側の端面が、筐体4aの当接部62に当接することで、カップリング部材60が付勢バネSPの付勢力に抗して入力プーリ59に向かって移動する。
【0053】
以上の構成により、本実施形態の遮断手段を構成するカップリング部材60は、収納庫30の開閉に連動して連結位置と遮断位置に移動し、第1伝達経路を連結状態と遮断状態とに切り替える。
【0054】
具体的に説明すると、収納庫30が装着位置にある状態、すなわち筐体4aに装着されている状態では、筐体4aの当接部62がカップリング部材60を当接することでカップリング部材60は連結位置に保持される(
図5(b)参照)。このため、駆動伝達機構38の第1伝達経路が連結状態となり、昇降モータMT3の正転及び逆転によって積載トレイ32aを上昇及び下降する。すなわち、本実施形態のカップリング機構39は、収納庫が閉じている場合に、駆動源から昇降機構37に第1駆動力を伝達可能な連結状態となる。
【0055】
これに対し収納庫30が引き出し位置にある状態、すなわち筐体204から引き出されると、カップリング部材60が筐体4aの当接部62から離間することで、付勢バネSPの付勢力によりカップリング部材60が遮断位置に移動する(
図5(a)参照)。このため、駆動伝達機構38の第1伝達経路が遮断状態となり、昇降モータMT3が正転しても積載トレイ32aは上昇することはなく、昇降モータMT3の逆転によって積載トレイ32aの下降のみが可能な状態となる。すなわち本実施形態の駆動伝達機構は、収納庫が開いている場合に、カップリング機構39によって駆動源から昇降機構37への第1駆動力の伝達が遮断された遮断状態となる。
【0056】
したがって、収納庫30の装着、引き出し動作に連動してカップリング部材60を移動させる構成により、収納庫30を引き出した状態で積載トレイ32aが予期せず上昇することを防ぐことができる。
【0057】
[第2の実施の形態]
上述した実施の形態(第1の実施の形態)では、昇降モータMT3が収納庫30に設けられ、収納庫30と一体で給紙装置本体4に装着、引き出し可能な給紙装置にカップリング機構39を用い、昇降モータMT3の正回転の駆動力(動力)を収納庫30の装着、引き出し状態によって伝達、遮断するようにしたが、昇降モータを給紙装置本体に設け、収納庫を給紙装置本体に装着したときのみ昇降機構に駆動力(動力)を伝達する構成の給紙装置に採用することもできる。
【0058】
具体的には、
図8に示すように給紙装置本体104の筐体104aには、昇降モータMT103、昇降モータMT103の出力軸に取り付けられた駆動プーリ158、タイミングベルトTB101を介して駆動プーリ158の回転が伝達される入力プーリ159が設けられている。一方、収納庫103には、回転軸SF101に取り付けられたカップリング部材160及び付勢バネSP101、回転軸SF101に設けられた第1伝達ギヤZ101、第1伝達ギヤZ101に歯合し、巻取プーリ153の回転軸に設けられた第2伝達ギヤが備えられている。
【0059】
そして、カップリング機構139と回転軸SF101には第1の実施の形態のピン61と同様なピン116が取り付けられ、入力プーリ159には第1の実施の形態のカップリング部材60と同様に凸状の係合爪165、回転軸SF101が挿通する挿通孔、回転軸SF101に取り付けられたピン116が挿入されるスライド孔、カム部170、171が設けられている。入力プーリ159も、第1の実施の形態の入力プーリ59と同様にカップリング部材160の係合爪165と係合する凹状の係合部が複数設けられている。ただし、第1の実施の形態の付勢バネSP1は、入力プーリ59とカップリング部材60の間に設けていたが、この実施の形態における付勢バネSP101はカップリング部材160と第1の伝達ギヤZ101との間に設けられ、カム部170、171はカップリング部材160の第1伝達ギヤZ10側に形成されている。
【0060】
図8(a)は、収納庫130が引き出され、カップリング部材160が入力プーリ159から離間した状態であり、この状態では昇降モータMT103の駆動力は昇降機構に伝達されない。
図8(b)は収納庫130が給紙装置本体104に装着され、カップリング部材160が入力プーリ159に連結した状態であり、この状態では昇降モータMT103の駆動力は昇降機構に伝達される。
【0061】
収納庫130が引き出し状態から給紙装置本体104に装着すると、カップリング部材160の係合爪165が入力プーリ59の係合部164に係合して連結される。このとき、付勢バネSP101は圧縮され、カップリング部材160を入力プーリ159側に付勢している。これによって、収納庫130の装着状態においてカップリング部材160と入力プーリ159が確実に連結される。逆に、収納庫130を給紙装置本体104から引き出すとカップリング部材160が入力プーリから離間して係合爪165と係合部164の係合が解除される。これによって、昇降モータMT103の駆動力は昇降機構に伝達されない。このとき、カップリング部材160は、付勢バネSP101によって回転軸SF101に沿って収納庫130の装着方向に移動する。この移動の際にピン161がカム部170、171に当接してカップリング部材160を所定量回転させる。ピン161はカップリング部材160を回転させた後に規制部160dに当接してカップリング部材160の収納庫130の装着方向への移動を規制する。
【0062】
カップリング機構60、160は上述の実施の形態に限定されることなく、駆動源の駆動力を被駆動体に伝達するものに適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
4 給紙装置
4a 筐体(紙装置本体)
30 収納庫
32 積載部
37 昇降機構
38 駆動伝達機構
39 カップリング機構
59 入力プーリ(第1の駆動伝達部材)
64 係合部
60 カップリング部材(第2の駆動伝達部材)
60b 挿通孔
60c スライド孔
60d 規制部
70 第1のカム部
72 第2のカム部
61 ピン
MT3 昇降モータ
SP 付勢バネ(移動手段)
SF1 回転軸
OW 昇降モータ