(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039449
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】紙製品用包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
B65D75/62 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144471
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA12
3E067AB75
3E067AB77
3E067AC03
3E067AC14
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BC06A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB03
3E067FA01
3E067FB07
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】紙基材を含む包装基材で包装された紙製品の包装体において、ミシン目が開封し易くて意図しない切断を抑制でき、かつ、紙製品を取り出し易い取り出し口を形成し得る、一本線のミシン目を有する紙製品用包装体を提供する。
【解決手段】少なくとも紙基材を含む包装基材で、1以上の紙製品の全体が覆われ、少なくとも1つのシール部により紙製品が密封されており、包装基材が、紙製品の取り出し口を形成するための一本線のミシン目を有する包装体であって、紙製品は、積層状薄葉紙であり、包装基材の坪量が、35g/m
2以上105g/m
2以下であり、ミシン目は、包装基材における紙製品の上部を覆う面に、紙製品の一辺と略平行になるように備えられ、ミシン目のボンド率が、6%以上27%以下であり、ミシン目の全体の長さ/紙製品におけるミシン目と略平行な辺の長さが、0.4以上1.8以下である、紙製品用包装体を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも紙基材を含む包装基材で、1以上の紙製品の全体が覆われ、少なくとも1つのシール部により前記紙製品が密封されており、前記包装基材が、前記紙製品の取り出し口を形成するための一本線のミシン目を有する包装体であって、
前記紙製品は、積層状薄葉紙であり、
前記包装基材の坪量が、35g/m2以上105g/m2以下であり、
前記ミシン目は、前記包装基材における前記紙製品の上部を覆う面に、前記紙製品の一辺と略平行になるように備えられ、
前記ミシン目のボンド率が、6%以上27%以下であり、
前記ミシン目の全体の長さ/前記紙製品における前記ミシン目と略平行な辺の長さが、0.4以上1.8以下であることを特徴とする、紙製品用包装体。
【請求項2】
前記ボンド率×前記包装基材の坪量が、400以上1800以下であることを特徴とする、請求項1に記載の紙製品用包装体。
【請求項3】
前記包装基材は、更にシール層を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の紙製品用包装体。
【請求項4】
前記シール層は、ヒートシール層及び/又は接着剤層であることを特徴とする、請求項3に記載の紙製品用包装体。
【請求項5】
前記ヒートシール層が、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする、請求項4に記載の紙製品用包装体。
【請求項6】
前記包装体が、キャラメル包装、ガゼット包装又はピロー包装であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の紙製品用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製品、特に薄葉紙等の紙製品を包装するのに好適な紙製品用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレットペーパー、キッチンペーパー等のロール状の紙製品や、ティッシュペーパー、ワイパー等の積層状の紙製品を被包装物として収容する包装体が知られている。
【0003】
ロール状の紙製品を包装する包装体として、例えば、特許文献1には、ポリエチレン等の筒状フィルムにガゼット(ガセット)を対称的に折り込んで本体とし、その上部を平面状に折り畳んで把持部を構成したものが開示されている。
【0004】
一方、積層状の紙製品を包装する包装体としては、坪量の高い板紙で作製された紙製カートンが一般的である。また、紙製カートンに代わる包装体として、例えば、特許文献2には、可撓性の樹脂フィルムから形成された包装袋の上面の中央部にミシン目が設けられたフィルム包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-269010号公報
【特許文献2】特開2016-188092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような紙製品、特に薄葉紙等の紙製品を被包装物とする新規な包装体に対する要求が存在していた。特に、近年の環境問題に対する意識の高まりから、プラスチック(合成樹脂)の使用を削減することが望まれている。
また、ティッシュペーパー等の紙製品を包装するフィルムは、紙製品取り出し口を形成するために一本線のミシン目が設けられており、開封できるようになっているが、紙基材を含む包装基材で紙製品を包装して、取り出し口用のミシン目を設けた際、フィルム包装と異なるため開封し難い場合がある。そこで、ミシン目の繋ぎを短くすると、開封し易くなるが、一方でミシン目が意図せず(簡単に)切れてしまい、不良品となることがある。
【0007】
また、フィルム包装された場合、取り出し口から紙製品を取り出すとき(特に1枚目)に取り出し易いが、紙基材を含む包装基材で包装された場合、取り出し口から紙製品を取り出すときに取り出し難い。この理由として、取り出し口から紙製品を取り出す際、フィルムは曲がり易いが、紙基材を含む包装基材は厚くてゴワゴワするため、曲がり難いためである。
また、ミシン目の長さを長くすると紙製品を引き出し易くなるが、紙製品を引き出したときの抵抗が低すぎ、次の紙製品が取り出し口から落ちてしまう。このため、一本線のミシン目を有する紙を主体とする包装基材で、ミシン目が開封し易く、かつ、紙製品を取り出し易くすることは困難であった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、紙基材を含む包装基材で包装された紙製品の包装体において、ミシン目が開封し易くて意図しない切断を抑制でき、かつ、紙製品を取り出し易い取り出し口を形成し得る、一本線のミシン目を有する紙製品用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、包装基材の坪量、ミシン目のボンド率、及びミシン目の長さとそれと略平行な紙製品の辺の長さとの比率を規定することで、紙基材を含む包装基材で包装された紙製品の包装体において、ミシン目が開封し易くて意図しない切断を抑制でき、かつ、紙製品を取り出し易い取り出し口を形成し得る、一本線のミシン目を有する紙製品用包装体とすることができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0010】
(1)本発明の第1の態様は、少なくとも紙基材を含む包装基材で、1以上の紙製品の全体が覆われ、少なくとも1つのシール部により上記紙製品が密封されており、上記包装基材が、上記紙製品の取り出し口を形成するための一本線のミシン目を有する包装体であって、上記紙製品は、積層状薄葉紙であり、上記包装基材の坪量が、35g/m2以上105g/m2以下であり、上記ミシン目は、上記包装基材における上記紙製品の上部を覆う面に、上記紙製品の一辺と略平行になるように備えられ、上記ミシン目のボンド率が、6%以上27%以下であり、上記ミシン目の全体の長さ/上記紙製品における上記ミシン目と略平行な辺の長さが、0.4以上1.8以下であることを特徴とする、紙製品用包装体である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の紙製品用包装体であって、上記ボンド率×上記包装基材の坪量が、400以上1800以下であることを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の紙製品用包装体であって、上記包装基材は、更にシール層を含むことを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(3)に記載の紙製品用包装体であって、上記シール層は、ヒートシール層及び/又は接着剤層であることを特徴とするものである。
(5)本発明の第5の態様は、(4)に記載の紙製品用包装体であって、上記ヒートシール層が、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とするものである。
(6)本発明の第6の態様は、(1)から(5)のいずれかに記載の紙製品用包装体であって、上記包装体が、キャラメル包装、ガゼット包装又はピロー包装であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、紙基材を含む包装基材で包装された紙製品の包装体において、ミシン目が開封し易くて意図しない切断を抑制でき、かつ、紙製品を取り出し易い取り出し口を形成し得る、一本線のミシン目を有する紙製品用包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の紙製品用包装体及び紙製品の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の紙製品用包装体のミシン目を開封し、形成された取り出し口から紙製品を取り出す過程を示す斜視図である。
【
図3】本発明の紙製品用包装体に包装される紙製品の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
【0014】
1.紙製品用包装体
図1は、本発明の紙製品用包装体(以下、単に「包装体」とも言う。)及び紙製品の一例を示す斜視図である。本発明の包装体1は、包装基材10で、紙製品(被包装物)11の全体が覆われ、少なくとも1つのシール部12により紙製品11が密封されている。シール部12は、包装体1が後述するガゼット包装又はピロー包装である場合は、包装基材10が重なり合った端部に備えられることが好ましい。このとき、
図1に示すように、シール部12は包装体1の両端部に略直線で、かつ各シール部12が略平行になるように形成されることが好ましいが、包装体1の密封性(シール部12の接着性)を確保できるのであれば、これ以外の箇所に形成されていてもよい。
【0015】
なお、シール部12は3つ以上備えられていてもよく、例えば、
図1に示す包装体1の両端部のシール部12の他に、シール部12のそれぞれの略中央部を結び、かつ、シール部12のいずれとも直交するようにシール部が更に形成されていてもよい(図示しない)。また、包装体1において、包装基材10は紙製品11の全体ではなく一部を覆っていてもよく、紙製品11は密封されていなくてもよい(図示しない)。
【0016】
また、シール部12の長手方向と直交する方向(幅方向)の長さは、2mm以上35mm以下であることが好ましく、4mm以上24mm以下であることがより好ましく、6mm以上13mm以下であることが更に好ましい。シール部12は端部まで完全にシールされている必要はなく、例えば、端部側へ幅方向に包装基材10を数mm余らせた状態でシールされていてもよい。
【0017】
さらに、包装体1は紙製品11を取り出すための取り出し口14を備える。この取り出し口14は、包装基材10が、紙製品11の取り出し口14を形成するための一本線のミシン目13を有し、使用時において、ミシン目13を切って開封することで形成される。
図2に示すように、形成した取り出し口14から紙製品11を順次引き出す(取り出す)ことで、紙製品11を必要な枚数得ることができる。
ミシン目13は、包装基材10において、紙製品11の上部を覆う面に、紙製品11の一辺と略平行になるように備えられる。また、紙製品11の中央部の上に配置されるように備えられることが好ましい。ミシン目13の全体の長さは、20mm以上410mm以下であることが好ましく、40mm以上320mm以下であることがより好ましく、60mm以上170mm以下であることが更に好ましい。
【0018】
また、ミシン目13の繋ぎの長さは、0.3mm以上2.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上1.3mm以下であることがより好ましく、0.7mm以上1.1mm以下であることが更に好ましい。ミシン目13の切込線の長さは、1.0mm以上8.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以上7.0mm以下であることがより好ましく、3.0mm以上6.0mm以下であることが更に好ましい。なお、繋ぎの長さ及び切込線の長さのそれぞれの値は、ミシン目13全体の繋ぎの長さ及び切込線の長さの平均から算出する。
そして、ミシン目13の繋ぎの長さをAとし、ミシン目13の切込線の長さをBとすると、ミシン目13のボンド率は(A/(A+B)×100)(%)という式により求められる。ミシン目13のボンド率は、6%以上27%以下であり、9%以上23%以下であることが好ましく、12%以上19%以下であることがより好ましい。ミシン目13のボンド率が6%未満であると、ミシン目13が切れ易くなり、開封時以外のときに意図せず切れてしまう。ミシン目13のボンド率が27%を超えると、ミシン目13が切れ難くなり、取り出し口14を形成し難くなる。ミシン目13のボンド率を上記の数値範囲内にすることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。ミシン目13の個々の繋ぎの長さ及び切込線の長さは、光学顕微鏡を用いて測定する。
【0019】
2.包装基材
包装基材10は、少なくとも紙基材を含むが、更にシール層を含むことが好ましい。紙基材には、包装体1として形成された際、外面側に印刷が施されていてもよい。また、紙基材は、防水性の確保のために、オーバーコートが施されたオーバーコート紙であってもよい。
【0020】
包装基材10の坪量(例えば、紙基材とシール層との合計坪量)は、35g/m2以上105g/m2以下であり、40g/m2以上85g/m2以下であることが好ましく、50g/m2以上75g/m2以下であることがより好ましい。包装基材10の坪量が35g/m2未満であると、ミシン目13が切れ易くなり、開封時以外のときに意図せず切れてしまう。包装基材10の坪量が105g/m2を超えると、ミシン目13が切れ難くなり、取り出し口14を形成し難くなる。包装基材10の坪量を上記の数値範囲内にすることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。
【0021】
また、ミシン目13のボンド率と包装基材10の坪量を掛けた値(ミシン目13のボンド率×包装基材10の坪量)は、400以上1800以下であることが好ましく、600以上1500以下であることがより好ましく、800以上1200以下であることが更に好ましい。ミシン目13のボンド率×包装基材10の坪量が400未満であると、ミシン目13が切れ易くなり、開封時以外のときに意図せず切れてしまう。ミシン目13のボンド率×包装基材10の坪量が1800を超えると、ミシン目13が切れ難くなり、取り出し口14を形成し難くなる。ミシン目13のボンド率×包装基材10の坪量を上記の数値範囲内にすることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。
【0022】
(1)紙基材
紙基材は、木材パルプを主原料として製造される。ここでのパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプや、新聞紙、チラシ、更系雑誌、コート系雑誌、感熱記録紙、感圧記録紙、模造紙、色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、あるいはこれらの混合古紙等の古紙パルプ等、従来において公知であるパルプを単独で、あるいは任意の配合率で混合したものを採用することができる。
【0023】
本発明の包装体1の紙基材において、パルプ含有量としては、針葉樹クラフトパルプ50~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~50重量%であることが好ましく、針葉樹クラフトパルプ70~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~30重量%であることがより好ましく、針葉樹クラフトパルプ90~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~10重量%であることが更に好ましい。上記のパルプ含有量にすることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。また、未晒パルプ含有量が30~100重量%であることが好ましく、50~100重量%であることがより好ましく、70~100重量%であることが更に好ましい。
【0024】
パルプスラリーには、パルプ繊維以外の材料を副資材として配合してもよい。包装体1においては、通常、パルプ繊維の含有割合を70重量%以上100重量%以下とすることが好ましく、80重量%以上100重量%以下とすることがより好ましく、90重量%以上100重量%以下とすることが更に好ましい。上記のパルプ含有量にすることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。また、包装基材10の強度等が適正になり、包装し易くなる。
【0025】
なお、パルプ製造における蒸解方法や漂白方法は、特に限定されない。
【0026】
また、紙基材には、必要に応じて、一般的に用いられている各種添加剤、例えば、湿潤紙力向上剤、填料、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色顔料等を適宜、適量にて添加してもよい。
【0027】
湿潤紙力向上剤は、通常用いられる公知のものの中から選択して使用することができる。例えば、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、メラミン系樹脂等から選択することが好ましい。このような湿潤紙力向上剤の含有量(絶乾状態での質量)は、通常、パルプ(絶乾状態での質量)に対して、湿潤紙力向上剤を0.01重量%以上0.7重量%以下、好ましくは0.02重量%以上0.5重量%以下、より好ましくは0.03重量%以上0.3重量%以下とすることが好ましい。湿潤紙力向上剤の含有量が0.7重量%を超えても、その含有量に見合う効果が得られ難くなり、その結果、コストアップとなり、また離解性が低下して、本発明の包装体1を後に再利用することが困難となる場合がある。また、湿潤紙力向上剤の含有量が0.01重量%未満では、十分な湿潤紙力が得難いものとなり、水に濡れたときに破れ易く包装体としての機能が劣る場合がある。
【0028】
本発明の包装体1において、これらの原料を通常の抄紙工程により抄造して、包装基材10の紙基材を得ることができる。
【0029】
包装基材10の紙基材の坪量は、25g/m2以上88g/m2以下であることが好ましく、30g/m2以上72g/m2以下であることがより好ましく、40g/m2以上56g/m2以下であることが更に好ましい。紙基材の坪量が上記範囲内にあることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。また、紙基材の使用量を抑制しつつ、必要とされる包装基材10のしなやかさと柔らかさ、強度のすべてが達成し易くなる。
【0030】
紙基材の坪量は、例えば、シール層が後述するヒートシール層である場合は、次のようにして求めることができる。
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製する。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とする。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノズカp1500(ヤクルト薬品工業株式会社製)を添加量が1重量%となるように添加する。
セルラーゼオノズカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材10(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をする。次に、180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定する。包装基材10(ヒートシール層が形成された紙基材)の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、紙基材の坪量を算出する。
紙基材の坪量=
包装基材10の坪量×[(包装基材10の質量-ヒートシール層の質量)/包装基材10の質量]
【0031】
包装基材10の坪量(例えば、紙基材とシール層との合計坪量)に対する紙基材の坪量の割合は、51%以上100%以下であればよいが、通常、60%以上95%以下であることがより好ましく、70%以上90%以下であることが更に好ましい。上記範囲内とすることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。また、柔らかい紙製品11に対する包装のし易さを確保でき、さらに、良好なヒートシール性又は接着性も確保できる。
【0032】
(2)シール層
本発明の包装体1において、包装基材10は、紙基材の他にシール層を含むことが好ましいが、シール層はヒートシール層及び/又は接着剤層であることが好ましい。本発明の包装基材10は、例えば、紙基材/ヒートシール層、紙基材/接着剤層、紙基材/ヒートシール層/接着剤層、紙基材/接着剤層/ヒートシール層等のような層構成を取ることができる。
なお、シール層は後述するように紙基材上に設けるが、紙基材の内部に設ける(例えば、紙基材を抄造する際に、シール層の原料も一緒に抄造して、シール層の原料を含んでシール性を有する包装基材10を得る)方式でもよい。
【0033】
(2-1)ヒートシール層
本発明の包装体1において、ヒートシール層は、紙基材の全面に形成されていても、表面の一部、例えば、紙基材同士が積層・接合される部分にのみ形成されていてもよい。紙基材の表面においてヒートシール層を形成する位置、大きさ、及びヒートシール層が占める割合は適宜設定することができる。
【0034】
ヒートシール層を構成する材料としては特に限定されず、各種ヒートシール性を発現する材料のいずれも使用することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂や、その他の熱可塑性樹脂等を使用することができる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、アイオノマー、非晶性ポリエステル、ポリプロピレン、スチレン-アクリル共重合体、プロピレン-エチレン共重合体(好ましくはエチレン含有量が10モル%以下の共重合体)、あるいは、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体等をグラフト重合又は共重合したポリプロピレン系樹脂、中密度ポリエチレン等を使用することができる。ヒートシール層を構成する材料は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
ヒートシール層は、通常用いられる方法、例えば、紙基材上にポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂を含有する組成物を押出法によって製膜する方法、公知のヒートシール加工装置(貼合処理装置)を用いて、紙基材に熱可塑性樹脂からなる、又は熱可塑性樹脂を含有するフィルムを貼り付ける方法、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物を水に溶解、又は分散させた水系ヒートシール剤、あるいは、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物を溶剤に溶解、又は分散させた溶剤系ヒートシール剤をロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の公知の方法で紙基材上に塗工する方法等で形成することができる。
【0036】
ヒートシール層の坪量は、50g/m2以下であることが好ましく、5g/m2以上35g/m2以下であることがより好ましく、10g/m2以上20g/m2以下であることが更に好ましい。ヒートシール層の坪量が上記範囲内にあることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。また、必要とされる包装基材10のしなやかさと柔らかさ、強度のすべてがより良好に達成でき、さらに、包装体1としての密封性とシール部12の接着性を容易に確保し易い傾向がある。
【0037】
ヒートシール層の坪量は、例えば、次のようにして求めることができる。
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製する。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とする。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノズカp1500(ヤクルト薬品工業株式会社製)を添加量が1重量%となるように添加する。
セルラーゼオノズカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材10(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をする。次に、180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定する。包装基材10(ヒートシール層が形成された紙基材)の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、ヒートシール層の坪量を算出する。
ヒートシール層の坪量=
包装基材10の坪量×(ヒートシール層の質量/包装基材10の質量)
【0038】
(2-2)接着剤層
本発明の包装体1において、接着剤層は、紙基材、又は紙基材上に形成されたヒートシール層の全面に形成されていても、表面の一部、例えば、紙基材同士が積層・接合される部分にのみ形成されていてもよい。紙基材の表面において接着剤層を形成する位置、大きさ、及び接着剤層が占める割合は適宜設定することができる。
【0039】
接着剤層を構成する接着剤としては特に限定されず、公知のものをいずれも使用することができ、例えば、エチレン系接着剤、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、スチレン-アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等を使用することができる。これらの中でも、スチレン-アクリル系接着剤が好ましい。
【0040】
接着剤層は、接着剤を、紙基材、又は紙基材上に形成されたヒートシール層等に、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の公知の方法で塗工することにより形成することができる。
【0041】
接着剤層の坪量(接着剤の乾燥塗布量)は、通常、2g/m2以上30g/m2以下が好ましく、3g/m2以上25g/m2以下がより好ましく、5g/m2以上20g/m2以下が更に好ましい。
なお、接着剤層の坪量は、包装基材10の坪量と、接着剤層を設ける前にJIS P 8124に準拠して測定した紙基材の坪量とから、下記式により算出する。
接着剤層の坪量=包装基材10の坪量-紙基材の坪量
【0042】
前述のとおり、本発明の包装基材10においては、シール層はヒートシール層及び/又は接着剤層であることが好ましいが、通常、接着剤層よりも、ヒートシール層、特に、ポリオレフィン系樹脂を含有するヒートシール層の方が接着性に優れ、ヒートシール層、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂を含有するヒートシール層を設ける方が紙製品11をより包装し易くなる場合がある。また、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。
【0043】
(3)他の層
本発明の包装基材10は、紙基材、シール層以外に、他の層を備えていてもよい。他の層としては、例えば、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバープリント層、遮光層等が挙げられる。これら他の層は、例えば、紙基材とシール層との間、あるいは包装基材10の最上面に設けることができ、1層でもよく、2層以上であってもよい。
【0044】
(4)包装基材全体の物性
後述するように、本発明に係る包装体1の包装形式は種々あり、製造ライン方向(搬送方向;MD方向)から紙製品11を包むように包装する場合と、製造ライン方向と直交する幅方向(CD方向)から紙製品11を包むように包装する場合とがある。MD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のMD方向の引張強度は、2.0kN/m以上8.0kN/m以下であることが好ましく、2.5kN/m以上6.5kN/m以下であることがより好ましく、3.3kN/m以上5.5kN/m以下であることが更に好ましい。CD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のCD方向の引張強度は、0.7kN/m以上4.0kN/m以下であることが好ましく、0.9kN/m以上3.0kN/m以下であることがより好ましく、1.1kN/m以上2.0kN/m以下であることが更に好ましい。包装基材10のMD方向又はCD方向の引張強度を上記の範囲内にすることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。包装基材10の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定することができる。
【0045】
MD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のMD方向の破断伸びは、0.8%以上2.4%以下であることが好ましく、1.0%以上2.1%以下であることがより好ましく、1.2%以上1.8%以下であることが更に好ましい。CD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のCD方向の破断伸びは、3.0%以上7.0%以下であることが好ましく、3.5%以上6.7%以下であることがより好ましく、4.0%以上6.0%以下であることが更に好ましい。包装基材10のMD方向又はCD方向の破断伸びを上記の範囲内にすることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。包装基材10の破断伸びは、JIS P 8113に準拠して測定することができる。
【0046】
MD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のMD方向の引裂強度は、350mN以上1400mN以下であることが好ましく、450mN以上1200mN以下であることがより好ましく、580mN以上900mN以下であることが更に好ましい。CD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のCD方向の引裂強度は、400mN以上3000mN以下であることが好ましく、700mN以上2300mN以下であることがより好ましく、900mN以上1500mN以下であることが更に好ましい。また、MD方向の引裂強度に対するCD方向の引裂強度の比率(引裂強度(CD)/引裂強度(MD))は、1.1以上4.5以下であることが好ましく、1.2以上4.0以下であることがより好ましく、1.4以上2.5以下であることが更に好ましい。包装基材10のMD方向若しくはCD方向の引裂強度又はそれらの比率を上記の範囲内にすることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。包装基材10の引裂強度は、JIS P 8116に準拠して測定することができる。
【0047】
包装基材10の破裂強度は、90kPa以上310kPa以下であることが好ましく、120kPa以上260kPa以下であることがより好ましく、150kPa以上220kPa以下であることが更に好ましい。包装基材10の破裂強度を上記の範囲内にすることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。包装基材10の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定することができる。
【0048】
MD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のMD方向の曲げこわさは、20μN・m以上330μN・m以下であることが好ましく、30μN・m以上225μN・m以下がより好ましく、60μN・m以上170μN・m以下であることが更に好ましい。CD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のCD方向の曲げこわさは、8μN・m以上145μN・m以下であることが好ましく、13μN・m以上100μN・m以下であることがより好ましく、20μN・m以上65μN・m以下であることが更に好ましい。包装基材10のMD方向又はCD方向の曲げこわさが上記範囲内にあることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。また、必要とされる包装基材10のしなやかさと柔らかさが達成し易くなる。包装基材10の曲げこわさは、ISO 2493に準拠して測定することができる。なお、曲げこわさは、繊維の長軸方向に負荷がかかる場合において最も強くなるため、繊維配向比が1.0に近いと、MD方向の曲げこわさは小さく、CD方向の曲げこわさは大きくなる傾向がある。
【0049】
本発明の包装基材10の厚さは、40μm以上135μm以下であることが好ましく、48μm以上110μm以下であることがより好ましく、68μm以上92μm以下であることが更に好ましい。包装基材10の厚さが上記範囲内にあることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。包装基材10の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠して測定することができる。なお、加圧面の圧力条件は100kPaとした。
【0050】
包装基材10の密度は、0.60g/cm3以上0.95g/cm3以下であることが好ましく、0.65g/cm3以上0.90g/cm3以下であることがより好ましく、0.70g/cm3以上0.85g/cm3以下であることが更に好ましい。包装基材10の密度が上記範囲内にあることで、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。また、必要とされる包装基材10の強度、しなやかさと柔らかさが達成し易い。包装基材10の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出することができる。
【0051】
なお、例えば、紙製品11としてティッシュペーパー積層体を包装する際、ティッシュペーパー積層体の密度は、0.04g/cm3以上0.30g/cm3以下が好ましく、0.07g/cm3以上0.25g/cm3以下がより好ましく、0.10g/cm3以上0.20g/cm3以下が更に好ましい。ティッシュペーパー積層体の密度が上記範囲内にあることで、紙製品11を取り出し口14から取り出し易い包装体1を得ることができる。また、包装体を手に持ってミシン目を開封するとき、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。さらに、紙製品11を包装し易くなる。なお、ティッシュペーパー積層体の密度は次のように測定する。まず、ティッシュペーパー積層体を包装体1から採取し、ティッシュペーパー積層体の質量を23℃50%で調湿後に電子天秤で測定する。その後、ティッシュペーパー積層体のサイズ(幅、奥行、高さ(紙製品11の長さ))を定規で測定し、次の式により、密度を算出する。
ティッシュペーパー積層体の密度(g/cm3)=ティッシュペーパー積層体の質量(g)/(ティッシュペーパー積層体の幅(cm)×ティッシュペーパー積層体の奥行(cm)×ティッシュペーパー積層体の高さ(cm))
【0052】
3.紙製品
本発明の包装体1が包装する紙製品11としては、本発明の包装体1は、薄葉紙のような柔らかい紙製品を包装するものであり、薄葉紙としては、ティッシュペーパー、ワイパー、ウエットティッシュ、ペーパーハンドタオル等の積層状薄葉紙が挙げられる。なお、積層状薄葉紙はポップアップ式になっていると、本発明の包装体1における取り出し口14から引き出し易くなるので好ましい。また、積層状薄葉紙は、一般的なティッシュペーパー積層体のように2つ折りの状態でポップアップ式になっていてもよく、4つ折りの状態でポップアップ式になっていることがより好ましい。
図3は、本発明の包装体1が包装する紙製品11の一例を示す斜視図である。このとき、ミシン目13と略平行な辺15の長さは50mm以上230mm以下であることが好ましく、65mm以上200mm以下であることがより好ましく、80mm以上120mm以下であることが更に好ましい。なお、紙製品11の辺15と垂直な辺の長さは50mm以上150mm以下であることが好ましく、70mm以上130mm以下であることがより好ましく、90mm以上110mm以下であることが更に好ましい。紙製品11の厚さは10mm以上110mm以下であることが好ましく、20mm以上80mm以下であることがより好ましく、30mm以上50mm以下であることが更に好ましい。紙製品11のサイズを上記範囲内にすることで、包装体1を手に持ってミシン目13を開封する際に、開封し易くて、かつ、意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。
【0053】
また、紙製品11の辺15の長さをCとし、ミシン目13の全体の長さをDとしたとき、その比率であるミシン目13の全体の長さ/紙製品11におけるミシン目13と略平行な辺15の長さ(すなわちD/C)は、0.4以上1.8以下であり、0.6以上1.6以下であることが好ましく、0.8以上1.4以下であることがより好ましい。上記比率が0.4未満であると、紙製品11を引き出すときの抵抗が大きすぎて、紙製品11を引き出し難い。上記比率が1.8を超えると、紙製品11を引き出すときの抵抗が小さすぎて、次の紙製品11が取り出し口14から落ちてしまう。上記比率を上記範囲内とすることで、紙製品11を引き出すときの抵抗が適度なものとなり、紙製品11を取り出し易い取り出し口14を形成することができる。
【0054】
なお、積層状薄葉紙がティッシュペーパーの場合、2プライであることが好ましい。また、紙質として、1プライ当たりの坪量は10g/m2以上20g/m2以下であることが好ましく、12g/m2以上18g/m2以下であることがより好ましく、14g/m2以上16g/m2以下であることが更に好ましい。また、2プライで5組分(10枚分)の紙厚は、0.4mm/10枚以上1.1mm/10枚以下であることが好ましく、0.5mm/10枚以上1.0mm/10枚以下であることがより好ましく、0.6mm/10枚以上0.9mm/10枚以下であることが更に好ましい。坪量及び紙厚を上記の数値範囲内とすることで、積層体の密度を適切な範囲にすることができ、紙製品11を取り出し口14から取り出し易い包装体1を得ることができる。
なお、1プライ当たりの坪量はJIS P 8124に準拠して測定・算出することができる。また、紙厚は、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定する。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。また、測定を10回繰り返して測定結果を平均する。
【0055】
さらに、積層状薄葉紙がティッシュペーパーの場合、2プライ当たりの乾燥時の縦方向引張強度は2.3N/25mm以上6.0N/25mm以下であることが好ましく、2.6N/25mm以上5.0N/25mm以下であることがより好ましく、2.9N/25mm以上4.0N/25mm以下であることが更に好ましい。また、2プライ当たりの乾燥時の横方向引張強度は0.6N/25mm以上2.5N/25mm以下であることが好ましく、0.8N/25mm以上2.2N/25mm以下であることがより好ましく、1.0N/25mm以上1.9N/25mm以下であることが更に好ましい。乾燥時の縦方向及び横方向の引張強度を上記の数値範囲内とすることで、積層体の密度を適切な範囲にすることができ、紙製品11を取り出し口14から取り出し易い包装体1を得ることができる。
なお、乾燥時の縦方向及び横方向の引張強度は、いずれもJIS P 8113に準拠して測定・算出することができる。
また、上記の坪量、紙厚、引張強度の測定は、JIS P 8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行う。
【0056】
4.包装形式
本発明に係る包装体1の包装形式としては、キャラメル包装、ピロー包装、ガゼット包装が例示できる。
【0057】
キャラメル包装とは、被包装物の一方向に沿って延びる包装基材を、この方向と交差する方向に被包装物を巻き込み、又はあらかじめ筒状に形成された包装基材の軸方向の一端から被包装物を入れる。そして、被包装物の両端側からはみ出た包装基材のうち、対向する2つのフラップ状の辺を互いに折り畳み、次に別の対向する2つのフラップ状の辺を同様に互いに折り畳み、これら折り畳み部分を熱融着等で封止した包装形式である。キャラメル包装は、積層状薄葉紙の包装に好ましい。このキャラメル包装は、既知の装置を利用して行うことができる。
【0058】
ピロー包装とは、シート状の包装基材の上あるいは下に載置された被包装物を、筒状に包むように、包装基材をその幅方向の両端部において内面同士で重ね合わせ、この重ね合わせた部分をヒートシール等することにより円筒状に形成し、袋の長さ(高さ)に合わせて底となる部分、又は口となる部分を横一文字にヒートシール等で封止するとともに、この封止された部分において一袋ごとにカットした包装形式である。このピロー包装は、既知の装置を利用して行うことができる。
なお、ピロー包装には、包装基材を垂直方向に送って、被包装物を上から充填しながら包む縦ピロー包装と、包装基材を水平方向に送って、被包装物を包む横ピロー包装がある。薄葉紙を包装する場合は、包装速度や薄葉紙の形態から、横ピロー包装が好ましい。
【0059】
ガゼット包装とは、シート状の包装基材の上あるいは下に載置された被包装物を、筒状に包むように、包装基材をその幅方向の両端部において内面同士で重ね合わせ、この重ね合わせた部分をヒートシール等することにより円筒状に形成し、袋の長さ(高さ)に合わせて底となる部分、又は口となる部分の両端を内側に織り込んでマチを作り、横一文字にヒートシール等で封止するとともに、この封止された部分において一袋ごとにカットした包装形式である。このガゼット包装は、既知の装置を利用して行うことができる。
【0060】
ある実施形態において、例えば、MD方向の曲げこわさが20μN・m以上330μN・m以下である包装基材10を用いる場合、本発明の包装体1は、例えば、包装基材10を連続シートの形態で搬送し、紙製品11を配置した後、搬送方向(製造ライン方向;MD方向)から紙製品11を包みながら包装し、搬送方向とは直交する幅方向(CD方向)から所定寸法にカットする場合、すなわち、包む方向が包装基材10のMD方向である場合に、特に好適に適用される。この場合、本発明の包装体1においては、包装形式として、キャラメル包装を選択することが好ましい。なお、包装基材10を所定の大きさに切断した後に紙製品11を配置してもよく、紙製品11を配置した後に包装基材10を所定の大きさに切断してもよい。
【0061】
別の実施形態において、例えば、CD方向の曲げこわさが8μN・m以上145μN・m以下である包装基材10を用いる場合、本発明の包装体1は、例えば、包装基材10を連続シートの形態で搬送し、紙製品11を配置した後、搬送方向(製造ライン方向;MD方向)と直交する幅方向(CD方向)から紙製品11を包みながら包装する場合、すなわち、包む方向が包装基材10のCD方向である場合に、特に好適に適用される。この場合、本発明の包装体1においては、包装形式として、ガゼット包装、又はピロー包装を選択することが好ましく、ガゼット包装がより好ましい。なお、この場合も、包装基材10を所定の大きさに切断した後に紙製品11を配置してもよく、紙製品11を配置した後に包装基材10を所定の大きさに切断してもよい。
なお、ミシン目13は上記のいずれかの包装工程に搬送しながら形成することが好ましいが、事前にミシン目13を包装基材10に設けておいてもよい。ミシン目13を形成する方向としては、包装基材10のMD方向に沿った方向、包装基材10のCD方向に沿った方向のどちらでもよいが、MD方向に沿った方向が好ましい。ミシン目13を包装基材10のMD方向に沿った方向にすることで、本願のような包装基材10の坪量及びミシン目13のボンド率を有する包装体1において、より開封し易くて、かつ、より意図しない切断を抑制できるミシン目13を有する包装体1を得ることができる。
【0062】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが、当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0063】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0064】
実施例及び比較例において、作製した包装基材の物性値の測定は、次の方法で行った。
【0065】
(包装基材の坪量)
包装基材の坪量は、JIS P 8124に準拠して測定した。
【0066】
(紙基材の坪量、及びヒートシール層の坪量)
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製した。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とした。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノズカp1500(ヤクルト薬品工業株式会社製)を添加量が1重量%となるように添加した。
セルラーゼオノズカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をした。次に、180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定した。包装基材(ヒートシール層が形成された紙基材)の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、紙基材の坪量と、ヒートシール層の坪量を算出した。
紙基材の坪量=
包装基材の坪量×[(包装基材の質量-ヒートシール層の質量)/包装基材の質量]
ヒートシール層の坪量=
包装基材の坪量×(ヒートシール層の質量/包装基材の質量)
【0067】
(接着剤層の坪量(接着剤塗布量))
上記のようにして求めた包装基材の坪量と、接着剤層を設ける前にJIS P 8124に準拠して測定した紙基材の坪量とから、下記式により、接着剤層の坪量を算出した。
接着剤層の坪量=包装基材の坪量-紙基材の坪量
【0068】
(包装基材の厚さ)
包装基材の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠し、自動昇降式紙厚計スタンダードモデル TM-600(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した。加圧面の圧力条件は100kPaとした。
【0069】
(包装基材の密度)
包装基材の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出した。
【0070】
(包装基材のMD方向及びCD方向の引張強度)
包装基材のMD方向及びCD方向の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定した。
【0071】
(包装基材のMD方向及びCD方向の破断伸び)
包装基材のMD方向及びCD方向の破断伸びは、JIS P 8113に準拠して測定した。
【0072】
(包装基材のMD方向及びCD方向の引裂強度)
包装基材のMD方向及びCD方向の引裂強度は、いずれもJIS P 8116に準拠して測定した。
【0073】
(包装基材の破裂強度)
包装基材の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定した。
【0074】
(包装基材のMD方向及びCD方向の曲げこわさの測定)
包装基材のMD方向及びCD方向の曲げこわさは、ISO 2493に記載された方法に準拠し、L&W ベンディングテスター(Lorentzen & Wettre社製)を用いて測定を行った。包装基材は、幅38mm、長さ100mmの試験片について、曲げ角度を15度、曲げ長(試料台のスパン)を10mmとしたときの測定値を曲げ抵抗(荷重)とし、次の算出式によって曲げこわさ(μN・m)を求めた。
曲げこわさ(μN・m)=60×曲げ抵抗(mN)×曲げ長10(mm)2÷(π×曲げ角度15(°)×サンプル幅38(mm))
なお、長さ100mmの試験片を採取できない場合は、試験片の長さを短くすることができる。また、試験片は、取り出し口のミシン目を含まないようにするが、試験片のサイズを確保する上でミシン目を含まなければならないときは、ミシン目を含んでもよい。
【0075】
(実施例1)
(包装基材)
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)100重量%を用いた紙基材を用意した。そして、紙基材上に、ヒートシール層として、ポリエチレン層を押出法によって製膜し、包装基材を作製した。作製した包装基材の坪量、紙基材の坪量、及びヒートシール層の坪量と、包装基材の厚さ、密度、MD方向及びCD方向の引張強度、MD方向及びCD方向の破断伸び、破裂強度、MD方向及びCD方向の曲げこわさ、並びにMD方向及びCD方向の引裂強度及びそれらの比率を測定した結果を表1に示す。
【0076】
(ティッシュペーパー包装体(ガゼット包装))
作製した包装基材を用いて、包装基材のMD方向18cm×包装基材のCD方向11cm×高さ5cmの大きさの包装体を作製した。そして、この包装体の中に、紙製品としてティッシュペーパー2プライを4つ折りの状態でポップアップ式に50組入れ、ガゼット包装により密封して、ティッシュペーパー包装体を得た。なお、CD方向から紙製品を包みながら包装する形式とした。また、ティッシュペーパー包装体はシール部を3個有しており、ミシン目はティッシュペーパーを包装する直前に形成した。
【0077】
(ミシン目の開け易さ、ミシン目の切れ難さ及び紙製品の取り出し易さ)
作製したティッシュペーパー包装体について、ミシン目の開け易さ、ミシン目の切れ難さ及び紙製品の取り出し易さをそれぞれモニター30人で評価した。評価基準はそれぞれ以下のとおりである。
・ミシン目の開け易さ
A:ミシン目が切れ難く、取り出し口を形成し難いと感じた人 0~1人
B:ミシン目が切れ難く、取り出し口を形成し難いと感じた人 2~3人
C:ミシン目が切れ難く、取り出し口を形成し難いと感じた人 4~6人
D:ミシン目が切れ難く、取り出し口を形成し難いと感じた人 7~15人
E:ミシン目が切れ難く、取り出し口を形成し難いと感じた人 16~30人
・ミシン目の切れ難さ
A:ミシン目が切れ易すぎて、開封前に意図せず切れてしまうと感じた人 0~1人
B:ミシン目が切れ易すぎて、開封前に意図せず切れてしまうと感じた人 2~3人
C:ミシン目が切れ易すぎて、開封前に意図せず切れてしまうと感じた人 4~6人
D:ミシン目が切れ易すぎて、開封前に意図せず切れてしまうと感じた人 7~15人
E:ミシン目が切れ易すぎて、開封前に意図せず切れてしまうと感じた人 16~30人
・紙製品の取り出し易さ
A:抵抗が大きすぎて紙製品が引っ掛かったり、抵抗が小さすぎて次の紙製品が取り出し口から落ちてしまったりして、紙製品を取り出し難いと感じた人 0~1人
B:抵抗が大きすぎて紙製品が引っ掛かったり、抵抗が小さすぎて次の紙製品が取り出し口から落ちてしまったりして、紙製品を取り出し難いと感じた人 2~3人
C:抵抗が大きすぎて紙製品が引っ掛かったり、抵抗が小さすぎて次の紙製品が取り出し口から落ちてしまったりして、紙製品を取り出し難いと感じた人 4~6人
D:抵抗が大きすぎて紙製品が引っ掛かったり、抵抗が小さすぎて次の紙製品が取り出し口から落ちてしまったりして、紙製品を取り出し難いと感じた人 7~15人
E:抵抗が大きすぎて紙製品が引っ掛かったり、抵抗が小さすぎて次の紙製品が取り出し口から落ちてしまったりして、紙製品を取り出し難いと感じた人 16~30人
【0078】
(実施例2)~(実施例16)、(比較例1)~(比較例6)
実施例2~16及び比較例1~6も実施例1と同様にして、表1に示す物性を有する包装基材を作製し、これを用い、実施例1と同様にして、ティッシュペーパー包装体(ガゼット包装)を作製して、ミシン目の開け易さ、ミシン目の切れ難さ及び紙製品の取り出し易さを評価した。ただし、実施例14においては、紙基材上にヒートシール層としてポリエチレン層を設ける代わりに、スチレン-アクリル系接着剤層(接着剤塗布量:10.8g/m2)を設けた。また、実施例15においては、紙製品としてティッシュペーパー2プライを26組、実施例16においては、紙製品としてティッシュペーパー2プライを72組それぞれ入れて、ティッシュペーパー包装体を作製した。
【0079】
【0080】
表1に示される結果から明らかなとおり、実施例1~16の包装体はいずれもミシン目が開封し易くて意図しない切断を抑制でき、ティッシュペーパーも取り出し易いものであった。それに対して、比較例1~6はいずれもミシン目が切れ難くて取り出し口を形成し難いか、切れ易すぎて開封前に意図せず切れてしまうか、又はティッシュペーパーが取り出し難いものであった。
よって、本発明の包装体は、紙基材を含む包装基材で包装された紙製品の包装体において、ミシン目が開封し易くて意図しない切断を抑制でき、かつ、紙製品を取り出し易い取り出し口を形成し得る、一本線のミシン目を有する紙製品用包装体を提供することができる。