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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039458
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20220303BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20220303BHJP
   G07D 11/00 20190101ALI20220303BHJP
   G07D 3/02 20060101ALN20220303BHJP
【FI】
G07D11/14 101D
G07D9/00
G07D11/00 111
G07D3/02 GBN
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144482
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】桧森 江靖
【テーマコード(参考)】
3E001
3E040
3E141
【Fターム(参考)】
3E001AA01
3E001AB03
3E001BA01
3E001CA09
3E001DA02
3E001DA14
3E001FA35
3E001FA58
3E040BA15
3E040DA08
3E040FA10
3E141AA08
3E141BA15
3E141DA08
3E141FA10
3E141GA01
3E141GB03
3E141HA09
3E141JA02
3E141JA14
3E141LA35
3E141LA58
(57)【要約】
【課題】硬貨に混入する異物の装置内部への取り込みを抑制することが可能となる硬貨処理装置を提供する。
【解決手段】回転盤12と、回転盤12の周囲に立設されると共に回転盤12の回転により硬貨を繰り出す繰出口21が形成されたガイド壁部13と、繰出口21から繰り出された硬貨を搬送する搬送路30と、搬送路30側から繰出口21を介してガイド壁部13内に向けて空気を吹き出す空気吹出手段69と、を備える。これにより、異物がガイド壁部13内から繰出口21を介して搬送路30に繰り出されそうになっても、これをガイド壁部13内に押し戻すことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転盤と、
前記回転盤の周囲に立設されると共に該回転盤の回転により硬貨を繰り出す繰出口が形成されたガイド壁部と、
前記繰出口から繰り出された硬貨を搬送する搬送路と、
前記搬送路側から前記繰出口を介して前記ガイド壁部内に向けて空気を吹き出す空気吹出手段と、
を備える
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記空気吹出手段は、
前記ガイド壁部から該ガイド壁部内に突出して設けられて硬貨を分離する分離部の近傍位置にさらに空気を吹き出す
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記ガイド壁部における前記繰出口と対向する位置に設けられ、前記ガイド壁部内から異物を排除する異物排除口をさらに備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記異物排除口に接続され、空気の吸引により異物を前記異物排除口から吸引する吸引手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記吸引手段は、
吸引ポンプの駆動によって、前記異物排除口から空気を吸引することになり、
前記空気吹出手段は、
前記吸引ポンプから排出される空気を吹き出す
ことを特徴とする請求項4に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記異物排除口から前記吸引ポンプを介して前記空気吹出手段の吹出口に至る空気通路が閉じられている
ことを特徴とする請求項5に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記吸引手段により吸引された異物を収集する異物収集手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導入された硬貨を一枚ずつ分離して繰り出す回転円盤、あるいは、導入された硬貨を回転円盤に向け繰り出す補給円盤を有する硬貨処理機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56-52488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、硬貨処理機は、大量の硬貨を一度に受け入れて処理することが可能であるが、投入口に投入される硬貨の中には、作業者が気付き難い小さなゴミやクリップ等の異物が混入していることがある。硬貨計数時に異物が混入すると、計数時の判別不良や搬送不良等の障害に陥るおそれがある。より具体例を挙げると、ステープラの芯、クリップ等といった金属異物、又は硬貨に付着する金属粉が搬送路に進入した際には、センサの誤検知による識別不良が発生する場合があり、また、輪ゴムや糸屑等といった線状の異物が混入した際には、搬送用のベルトやプーリに絡まり、搬送不良が発生する場合がある。
【0005】
したがって、本発明は、硬貨に混入する異物の装置内部への取り込みを抑制することが可能となる硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様は、回転盤と、前記回転盤の周囲に立設されると共に該回転盤の回転により硬貨を繰り出す繰出口が形成されたガイド壁部と、前記繰出口から繰り出された硬貨を搬送する搬送路と、前記搬送路側から前記繰出口を介して前記ガイド壁部内に向けて空気を吹き出す空気吹出手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る第2の態様は、第1の態様において、前記空気吹出手段は、前記ガイド壁部から該ガイド壁部内に突出して設けられて硬貨を分離する分離部の近傍位置にさらに空気を吹き出すことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記ガイド壁部における前記繰出口と対向する位置に設けられ、前記ガイド壁部内から異物を排除する異物排除口をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る第4の態様は、第3の態様において、前記異物排除口に接続され、空気の吸引により異物を前記異物排除口から吸引する吸引手段をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る第5の態様は、第4の態様において、前記吸引手段は、吸引ポンプの駆動によって、前記異物排除口から空気を吸引することになり、前記空気吹出手段は、前記吸引ポンプから排出される空気を吹き出すことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る第6の態様は、第5の態様において、前記異物排除口から前記吸引ポンプを介して前記空気吹出手段の吹出口に至る空気通路が閉じられていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る第7の態様は、第4乃至第6のいずれか一態様において、前記吸引手段により吸引された異物を収集する異物収集手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、硬貨に混入する異物の装置内部への取り込みを抑制することが可能となる硬貨処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る一実施形態の硬貨処理装置を示す一部をブロックとした平面図である。
図2】本発明に係る一実施形態の硬貨処理装置の硬貨繰出部近傍を示す平断面図である。
図3】本発明に係る一実施形態の硬貨処理装置の図2のIII-III断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る一実施形態の硬貨処理装置を図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態の硬貨処理装置11は、装置外から投入されたバラの硬貨Cを識別しつつ計数して金種別に分類して収納するものであり、円形の回転盤12と、この回転盤12の周囲にこの回転盤12を囲むようにほぼ隙間なく立設される円筒状のガイド壁部13とを有する硬貨繰出部15を備えている。ガイド壁部13の内周面14は回転盤12側に向く円筒面となっている。回転盤12とガイド壁部13とは同軸状に配置されている。硬貨繰出部15は、回転盤12の上面上であってガイド壁部13の径方向内側が硬貨Cが外部から導入される硬貨導入空間16となっている。
【0016】
回転盤12は水平に広がる平面状の上面17を有する円環状の環状部18と、環状部18の径方向内側にあって環状部18の上面17よりも上方に膨出する膨出部19とを有している。回転盤12は、図示略の駆動モータで駆動されて環状部18と膨出部19とが一体に回転する。
【0017】
図2および図3に示すように、ガイド壁部13の円周方向の所定位置の下部には、回転盤12の回転により硬貨Cをガイド壁部13の外に繰り出す繰出口21が設けられている。ここで、回転盤12は繰出口21から硬貨Cを繰り出す際には図1および図2における反時計回りに回転することになる。繰出口21は、ガイド壁部13を径方向に貫通している。繰出口21は、回転盤12の環状部18の上面17との間に、硬貨Cの一枚のみの通過が可能となるように取り扱う硬貨Cのうちの最も厚い硬貨Cの厚みよりも大きく、取り扱う硬貨Cのうちの最も薄い硬貨Cの二枚分の厚みよりも小さい隙間を形成している。
【0018】
ガイド壁部13には、その径方向において繰出口21と対向する位置の下部に、異物Xをガイド壁部13の外へ排出する異物排除口22が形成されている。言い換えれば、異物排除口22は、ガイド壁部13における繰出口21と対向する位置に設けられ、ガイド壁部13内の硬貨導入空間16から異物Xを排除する。異物排除口22は、ガイド壁部13の円周方向において繰出口21とは180°異なる位置に配置されている。異物排除口22は、ガイド壁部13を径方向に貫通している。異物排除口22は、取り扱ういずれの硬貨Cもガイド壁部13の外へ排出することがない大きさに形成されている。
【0019】
ガイド壁部13には、繰出口21の近傍の所定位置に、ガイド壁部13内に突出する分離部25が配置される配置口23が形成されている。ここで、回転盤12は繰出口21から硬貨Cを繰り出す際には図1および図2における反時計回りに回転することになり、配置口23は、この際の回転盤12の回転方向における繰出口21よりも下流側の近傍位置に設けられている。配置口23は、ガイド壁部13を径方向に貫通している。配置口23は、分離部25が配置された状態では取り扱ういずれの硬貨Cもガイド壁部13の外へ排出することがない大きさに形成されている。ガイド壁部13は、繰出口21と異物排除口22と配置口23とを除いては、径方向に貫通する部分がない。ガイド壁部13は、繰出口21のみから硬貨Cを外に繰り出し可能となっている。
【0020】
分離部25は、ガイド壁部13内に突出する位置にローラ26を有している。分離部25は、回転盤12の回転時にガイド壁部13の内周面14に案内されて移動する硬貨Cに当接してこの硬貨Cをガイド壁部13の径方向内側に移動させる。これにより、分離部25は、ガイド壁部13の円周方向において隣り合う硬貨C同士を相対移動させる。
【0021】
硬貨処理装置11の外から図示略の投入口に投入されたバラ硬貨Cが、図1に示すように、硬貨導入空間16内に導入されて回転盤12上に載置されることになり、この状態で回転盤12が図1における反時計回りに回転すると、その遠心力によって硬貨Cがガイド壁部13の内周面14に沿って運ばれ、繰出口21を介して一枚ずつに分離されて硬貨繰出部15から外に順次繰り出される。つまり、繰出口21は、回転盤12から繰り出される硬貨Cを一枚ずつに通過規制する。
【0022】
硬貨処理装置11は、硬貨繰出部15の硬貨繰出位置に、硬貨繰出部15から繰り出された硬貨C、つまり繰出口21を通過した硬貨Cを搬送する搬送路30を有している。搬送路30は、硬貨繰出部15から繰り出された硬貨Cを案内する硬貨通路31と、硬貨通路31上の硬貨Cを搬送するフィードユニット32とを有している。
【0023】
硬貨通路31は、回転盤12の接線方向に沿って配置されて繰出口21に接続される第1通路部33と、この第1通路部33の回転盤12とは反対側からこの第1通路部33の直交方向に延出する第2通路部34と、この第2通路部34の第1通路部33とは反対側からこの第2通路部34の直交方向に延出する第3通路部35とを有している。
【0024】
第1通路部33には、搬送中の硬貨Cの磁気情報等から金種を識別しつつ計数する識別部37が設けられている。
【0025】
第2通路部34には、硬貨Cを落下可能であり落下した硬貨Cを装置外に取出可能に案内するリジェクト口38と、識別部37で識別不能と識別された硬貨Cをリジェクト口38に落下させるリジェクト部39と、硬貨Cを落下可能であり落下した硬貨Cを装置内の図示略のオーバーフロー収納庫に案内するオーバーフロー選別口40と、識別部37で装置内の図示略の金種別の収納庫に収納しきれないと識別された硬貨Cをオーバーフロー選別口40から落下させるオーバーフロー選別部41とが設けられている。
【0026】
第3通路部35には、硬貨Cを落下可能であり落下した硬貨Cを装置内の図示略の金種別の収納庫に案内する金種別の選別口42a~42fが設けられている。これら選別口42a~42fは、硬貨Cを小さい外径のものから落下させるようになっており、最も上流側から順に、1円、50円、5円、100円、10円、500円を落下させるようになっている。
【0027】
フィードユニット32は、硬貨繰出部15から繰り出された硬貨Cを上側から硬貨通路31に押し付けて搬送する複数の搬送ベルト45と、搬送ベルト45を架設するためのプーリ46と、プーリ46を駆動する図示略の駆動モータ等を有している。フィードユニット32の駆動モータは、回転盤12の駆動モータと同期して駆動される。
【0028】
回転盤12の回転により硬貨繰出部15から繰り出された硬貨Cは、搬送路30において硬貨通路31で案内されながらフィードユニット32の駆動力で搬送されることになる。このフィードユニット32および硬貨通路31による搬送中、硬貨Cは、まず、識別部37で識別されることになる。そして、識別部37で識別不能であった硬貨Cが、リジェクト部39によってリジェクト口38から落下させられることになり、識別部37でオーバーフローの金種の硬貨Cであると識別された硬貨Cが、オーバーフロー選別部41によってオーバーフロー選別口40から落下させられることになって、それ以外の硬貨Cが、金種別の選別口42a~42fの対応するものから落下する。このようにして、硬貨Cが選別される。
【0029】
本実施形態においては、硬貨処理装置11は、硬貨導入空間16内に入り込んだ異物Xが、上記のような硬貨処理の動作中に繰出口21から搬送路30へ繰り出されることを抑制する異物繰出抑制部50を有している。
【0030】
異物繰出抑制部50は、異物排除口22から空気を吸引する吸引ポンプ51と、異物排除口22に接続されて異物排除口22と吸引ポンプ51とを繋ぐ吸引通路52と、吸引通路52の途中に設けられて吸引ポンプ51により吸引された空気および異物Xの中から異物Xのみを収集する異物収集部53(異物収集手段)と、を有する吸引部54(吸引手段)を備えている。
【0031】
また、異物繰出抑制部50は、吸引ポンプ51と、吸引ポンプ51の排気通路61と、排気通路61の分岐した一方の分岐通路62の末端に設けられて、ガイド壁部13内の硬貨導入空間16に向けて空気を吹き出す吹出口63を有する側部排気部64と、排気通路61の分岐した他方の分岐通路66の末端に設けられて、ガイド壁部13内の硬貨導入空間16に向けて空気を吹き出す吹出口67を有する上部排気部68と、を有する吹出部69(空気吹出手段)を備えている。
【0032】
異物繰出抑制部50は、異物排除口22から吸引ポンプ51を介して吹出口63,67に至る空気通路71が閉じられている。言い換えれば、異物排除口22と吹出口63,67とを結ぶ空気通路71は、異物排除口22および吹出口63,67のみが外部に開口している。この空気通路71は、吸引通路52、異物収集部53内の通路、吸引ポンプ51内の通路および排気通路61を含んでいる。
【0033】
吸引部54は、異物排除口22に接続されており、吸引ポンプ51の駆動により異物排除口22から硬貨導入空間16内の空気を吸引することになり、このような空気の吸引により異物排除口22から硬貨導入空間16内の異物Xを吸引する。すなわち、吸引部54は、例えば、回転盤12の回転により、異物排除口22の近傍に位置した異物Xを、異物排除口22から空気と共に吸引し、異物収集部53で捕捉する。
【0034】
吹出部69は、このように吸引部54が異物排除口22から異物Xを吸引するため吸引ポンプ51を駆動することに伴って吸引ポンプ51から排出される空気を硬貨導入空間16内に向けて吹き出す。
【0035】
吹出部69は、その側部排気部64が、図2および図3に示すように、搬送路30の第1通路部33側から繰出口21を介してガイド壁部13内に向けて空気を吹き出す。側部排気部64は、その空気を吹き出す吹出口63がガイド壁部13の径方向において繰出口21と対向配置されている。側部排気部64の吹出口63から吹き出した空気は、図2および図3に二点鎖線矢印Y1~Y3で示すように、繰出口21を通過した後、回転盤12の主に環状部18の上面17で案内されて異物排除口22に向けて流れ、ガイド壁部13の内周面14で案内されて異物排除口22に向けて流れる。言い換えれば、側部排気部64は、吹出口63から吹き出した空気が繰出口21を通過した後、異物排除口22に向けて流れるように配置されている。
【0036】
よって、側部排気部64の吹出口63から吹き出した空気は、硬貨導入空間16内で繰出口21の近傍にある異物Xを異物排除口22に向けて移動するように誘導する。その際に、吹出口63から吹き出した空気は、例えば、回転盤12の回転で硬貨導入空間16内から繰出口21を介して搬送路30に繰り出される硬貨Cと共に搬送路30に向けて移動しようとする異物Xについても繰出口21からの繰り出しを抑制し異物排除口22に向けて移動するように誘導する。また、吹出口63から吹き出した空気は、例えば、その流路上にある異物Xについても異物排除口22に向けて移動するように誘導する。勿論、吹出部69の風力は、硬貨Cの繰出口21からの繰り出しに影響のないレベルの力となっている。異物排除口22に向けて誘導されて移動した異物Xは、異物排除口22の近傍に至ると、異物排除口22から空気と共に吸引部54によって吸引され、異物収集部53で捕捉される。
【0037】
吹出部69は、その上部排気部68が、ガイド壁部13からガイド壁部13内に突出して設けられて硬貨Cを分離する分離部25の近傍位置に向けてその上方から空気を吹き出す。上部排気部68は、図3に示すように、その空気を吹き出す吹出口67が、ガイド壁部13の軸方向において環状部18の上面17と対向配置されている。上部排気部68は、図2に示すように、吹出口67がガイド壁部13の径方向において分離部25よりも若干ガイド壁部13の中心側の位置の上面17と対向している。言い換えれば、上部排気部68は、吹出口67が、ガイド壁部13の円周方向において分離部25と位置を重ね合わせている。
【0038】
よって、上部排気部68の吹出口67から図3に示す二点鎖線矢印Z1で示すように吹き出した空気は、分離部25に当接してガイド壁部13の径方向における中央側に移動させられた硬貨Cに吹き付けられ、その結果、分離部25に当接した硬貨Cと、分離部25に当接する直前の硬貨Cとの隙間に吹き付けられる。吹出口67から吹き出した空気は、例えば、隣り合う硬貨Cと硬貨Cとの間に挟まれた異物X等をこれら硬貨Cから離す。このように硬貨C間に挟まれた状態が解消された異物Xは、回転盤12の回転あるいは上記側部排気部64からの空気の流れによって異物排除口22の近傍に至ると、異物排除口22から吸引部54によって空気と共に吸引され、異物収集部53で捕捉される。
【0039】
異物繰出抑制部50は、いずれも硬貨導入空間16内に向けて空気を吹き出す側部排気部64と上部排気部68とを有しており、よって、いずれも硬貨導入空間16内に向けて空気を吹き出す複数の排気部64,68を有している。複数の排気部64,68のうちの一つが搬送路30側から繰出口21を介してガイド壁部13内に向けて空気を吹き出す側部排気部64となっている。また、複数の排気部64,68のうちの他の一つがガイド壁部13からガイド壁部13内に突出して設けられる分離部25の近傍位置に向け空気を吹き出す上部排気部68となっている。
【0040】
異物繰出抑制部50は、回転盤12の駆動と連動して吸引ポンプ51が駆動される。例えば、回転盤12の駆動開始と吸引ポンプ51の駆動開始とがタイミングを合わせ、回転盤12の駆動停止と吸引ポンプ51の駆動停止とがタイミングを合わせる。あるいは、回転盤12の駆動開始のタイミングよりも所定時間前を吸引ポンプ51の駆動開始のタイミングとし、回転盤12の駆動停止のタイミングの所定時間後を吸引ポンプ51の駆動停止のタイミングとしても良い。
【0041】
以上に述べた本実施形態の硬貨処理装置11によれば、回転盤12の周囲に立設されると共に回転盤12の回転により硬貨Cを繰り出す繰出口21が形成されたガイド壁部13の、繰出口21を介して搬送路30側からガイド壁部13内に向けて空気を吹き出す吹出部69を備えるため、異物Xがガイド壁部13内の硬貨導入空間16から繰出口21を介して搬送路30に繰り出されそうになっても、これを硬貨導入空間16に押し戻すことができる。よって、異物Xが硬貨導入空間16から繰出口21を介して搬送路30に繰り出されることを抑制することができる。したがって、硬貨Cに混入する異物Xの装置内部への取り込みを抑制することが可能となる。
【0042】
また、硬貨処理装置11によれば、吹出部69は、ガイド壁部13からガイド壁部13内に突出して設けられて硬貨Cを分離する分離部25の近傍位置にさらに空気を吹き出すため、硬貨Cと硬貨Cとの間に挟まれた異物Xをこれら硬貨Cから離すことができる。よって、硬貨Cと硬貨Cとの間に挟まれた状態で異物Xが硬貨導入空間16から繰出口21を介して搬送路30に繰り出されてしまうことを抑制できる。したがって、硬貨Cに混入する異物Xの装置内部への取り込みを一層抑制することが可能となる。
【0043】
また、硬貨処理装置11によれば、ガイド壁部13における繰出口21と対向する位置にガイド壁部13内から異物Xを排除する異物排除口22をさらに備えるため、吹出部69が繰出口21を介して搬送路30側からガイド壁部13内に向けて吹き出した空気で移動する異物Xを効果的に異物排除口22からガイド壁部13外へ排除することができる。したがって、硬貨Cに混入する異物Xの装置内部への取り込みを一層抑制することが可能となる。
【0044】
また、硬貨処理装置11によれば、異物排除口22に接続され、空気の吸引により異物Xを異物排除口22から吸引する吸引部54をさらに備えるため、異物Xをさらに効果的に異物排除口22からガイド壁部13外へ排除することができる。したがって、硬貨Cに混入する異物Xの装置内部への取り込みを一層抑制することが可能となる。空気の吸引により異物Xを異物排除口22から吸引するため、装置内を汚すことなく異物Xの除去が可能となる。
【0045】
また、硬貨処理装置11によれば、吸引部54は、吸引ポンプ51の駆動によって、異物排除口22から空気を吸引することになり、吹出部69は、この吸引ポンプ51から排出される空気を吹き出すことになるため、吸引ポンプ51を吸引部54と吹出部69とで共用できる。よって、部品点数およびコストの増大を抑制しつつ多機能化が図れる。
【0046】
また、硬貨処理装置11によれば、異物排除口22から吸引ポンプ51を介して吹出部69の吹出口63,67に至る空気通路71が閉じられているため、装置内部で粉塵などをまき散らすことを抑制することができる。
【0047】
また、硬貨処理装置11によれば、吸引部54により吸引された異物Xを収集する異物収集部53をさらに備えるため、異物排除口22から吸引した異物Xを収集し、纏めて回収することができる。
【符号の説明】
【0048】
11 硬貨処理装置
12 回転盤
13 ガイド壁部
21 繰出口
22 異物排除口
25 分離部
30 搬送路
51 吸引ポンプ
53 異物収集部(異物収集手段)
54 吸引部(吸引手段)
63,67 吹出口
69 吹出部(空気吹出手段)
71 空気通路
C 硬貨
X 異物
図1
図2
図3